IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ YKK AP株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081969
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】壁構造体
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/14 20060101AFI20240612BHJP
【FI】
E04H17/14 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195606
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】島田 空
【テーマコード(参考)】
2E142
【Fターム(参考)】
2E142AA01
2E142FF06
2E142FF17
2E142HH01
2E142HH16
2E142HH22
(57)【要約】
【課題】複数のブロック材を枠体の内側に簡単に安定させて設けて、壁構造体の施工性を向上させる。
【解決手段】上枠10、下枠20、及び、左右の縦枠30を有する枠体3の内側に、複数のブロック材4が左右方向Sと上下方向Rに並べて設けられる。壁構造体1は、左右の縦枠30の間に架設されて、上下方向Rに並ぶブロック材4の間に配置される横材40と、下枠20と横材40の間、横材40同士の間、及び、横材40と上枠10の間のそれぞれに架設されて、左右方向Sに並ぶブロック材4の間に配置される縦材50を備える。横材40は、横材40の下側に位置するブロック材4に押し付けてブロック材4を押える押え部を有する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠、下枠、及び、左右の縦枠を有する枠体の内側に、複数のブロック材が左右方向と上下方向に並べて設けられた壁構造体であって、
前記左右の縦枠の間に架設されて、上下方向に並ぶ前記ブロック材の間に配置される横材と、
前記下枠と前記横材の間、前記横材同士の間、及び、前記横材と前記上枠の間のそれぞれに架設されて、左右方向に並ぶ前記ブロック材の間に配置される縦材と、を備え、
前記横材は、前記横材の下側に位置する前記ブロック材に押し付けて前記ブロック材を押える押え部を有する壁構造体。
【請求項2】
請求項1に記載された壁構造体において、
前記上枠は、前記上枠の下側に位置する前記ブロック材に押し付けて前記ブロック材を押える押え部を有する壁構造体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された壁構造体において、
前記上枠、前記下枠、前記左右の縦枠、前記横材、及び、前記縦材のそれぞれは、前記ブロック材に対して前記壁構造体の厚み方向の両側に位置して、前記ブロック材に沿って延びる一対の保持部を有し、
前記ブロック材は、前記一対の保持部の間に挟まれて、前記一対の保持部の間に保持される壁構造体。
【請求項4】
請求項3に記載された壁構造体において、
前記縦材は、前記壁構造体の厚み方向の両側に位置する一対の係止部を有し、
前記下枠の上側に位置する前記縦材の前記一対の係止部は、前記下枠の前記一対の保持部に係止され、
前記横材の上側に位置する前記縦材の前記一対の係止部は、前記横材の前記一対の保持部に係止される壁構造体。
【請求項5】
請求項4に記載された壁構造体において、
前記下枠の上側に位置する前記縦材の前記一対の係止部は、前記下枠の上側に前記ブロック材がない状態で、前記下枠の前記一対の保持部の間の位置と前記下枠の前記一対の保持部に係止される位置とに移動し、
前記横材の上側に位置する前記縦材の前記一対の係止部は、前記横材の上側に前記ブロック材がない状態で、前記横材の前記一対の保持部の間の位置と前記横材の前記一対の保持部に係止される位置とに移動する壁構造体。
【請求項6】
請求項1又は2に記載された壁構造体において、
前記左右の縦枠は、前記枠体の内側に向かって開放されて前記縦枠の長手方向に延び、前記上枠、前記下枠、及び、前記横材のそれぞれが取り付けられる溝部を有する壁構造体。
【請求項7】
請求項6に記載された壁構造体において、
前記左右の縦枠は、前記溝部が形成された形材からなり、
前記上枠は、前記縦枠の形材と同一の断面形状の形材からなり、溝部が形成された上枠本体と、前記上枠本体の溝部を覆う上枠カバーと、を有し、
前記下枠は、前記縦枠の形材と同一の断面形状の形材からなり、溝部が形成された下枠本体と、前記下枠本体の溝部を覆う下枠カバーと、を有する壁構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠体の内側に複数のブロック材が設けられた壁構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のブロック材を備えた壁構造体では、複数のブロック材が枠体の内側に上下方向と左右方向に並べて設けられている。複数のブロック材は、枠体により囲まれて、枠体の内側に保持されている。また、このような壁構造体として、従来、隣り合う支柱の間に上枠材と下枠材を架設し、複数の横材を上枠材と下枠材の間に設けて隣り合う支柱に接続する壁構造体が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された従来の壁構造体では、下枠材と横材の間、横材同士の間、及び、横材と上枠材の間に、複数のブロック材を並べて設けている。ところが、壁構造体を構築する際には、ブロック材を安定して固着するため、接着剤の塗布により、ブロック材と下枠材の間、ブロック材と横材の間、及び、ブロック材と上枠材の間に接着層を介装させる。そのため、ブロック材毎に接着剤の塗布を行い、ブロック材を1つずつ下枠材、横材、上枠材に接着する必要があり、ブロック材の設置及び壁構造体の施工に手間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6713768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、複数のブロック材を枠体の内側に簡単に安定させて設けて、壁構造体の施工性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
上枠、下枠、及び、左右の縦枠を有する枠体の内側に、複数のブロック材が左右方向と上下方向に並べて設けられた壁構造体であって、
前記左右の縦枠の間に架設されて、上下方向に並ぶ前記ブロック材の間に配置される横材と、
前記下枠と前記横材の間、前記横材同士の間、及び、前記横材と前記上枠の間のそれぞれに架設されて、左右方向に並ぶ前記ブロック材の間に配置される縦材と、を備え、
前記横材は、前記横材の下側に位置する前記ブロック材に押し付けて前記ブロック材を押える押え部を有する壁構造体である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数のブロック材を枠体の内側に簡単に安定させて設けて、壁構造体の施工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の壁構造体を含む壁体を示す正面図である。
図2】本実施形態の壁構造体を示す斜視図である。
図3】本実施形態の壁構造体を正面からみた縦断面図である。
図4】本実施形態の壁構造体を側方からみた縦断面図である。
図5】本実施形態の壁構造体を上方からみた横断面図である。
図6図4の上枠を含む部分を拡大して示す縦断面図である。
図7図4の横材を含む部分を拡大して示す縦断面図である。
図8図4の下枠を含む部分を拡大して示す縦断面図である。
図9図5の一方の縦枠を含む部分を拡大して示す横断面図である。
図10図5の縦材を含む部分を拡大して示す横断面図である。
図11】本実施形態の壁構造体の施工手順を示す図である。
図12】本実施形態の壁構造体の施工手順を示す図である。
図13】本実施形態の壁構造体の施工手順を示す図である。
図14】本実施形態の壁構造体の施工手順を示す図である。
図15】本実施形態の壁構造体の施工手順を示す図である。
図16】本実施形態の壁構造体の施工手順を示す図である。
図17】本実施形態の壁構造体の施工手順を示す図である。
図18】本実施形態の壁構造体の施工手順を示す図である。
図19】本実施形態の壁構造体の施工手順を示す図である。
図20】本実施形態の壁構造体の施工手順を示す図である。
図21】本実施形態の壁構造体の施工手順を示す図である。
図22】本実施形態の壁構造体の施工手順を示す図である。
図23】本実施形態の壁構造体の施工手順を示す図である。
図24】本実施形態の壁構造体の施工手順を示す図である。
図25】本実施形態の壁構造体の施工手順を示す図である。
図26】本実施形態の壁構造体の施工手順を示す図である。
図27】本実施形態の壁構造体の施工手順を示す図である。
図28】他の実施形態の横材の押え部を示す斜視図である。
図29】他の実施形態の上枠の押え部によりブロック材を押えた状態を示す縦断面図である。
図30】他の実施形態の横材の押え部によりブロック材を押えた状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の壁構造体の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の壁構造体は、壁体の一部又は全体を構成する構造体であり、壁体の一部に組み込まれて壁体とともに設置箇所に設置され、或いは、単独の壁体として設置箇所に設置される。以下では、壁体の一部に組み込まれる壁構造体を例にとり、本実施形態の壁構造体について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態の壁構造体1を含む壁体2を示す正面図であり、屋外に設置された壁体2及び壁構造体1を示している。
図示のように、壁体2は、門の周りに設置される門塀であり、インターホン2A、ポスト2B、及び、壁構造体1を備えている。壁構造体1は、壁体2の下側部分に組み込まれて、壁体2の一部を構成する。壁体2及び壁構造体1は、設置箇所である地面Gに立てた状態で設置されて、地面Gにおいて自立する。
【0011】
なお、設置箇所に設置した壁構造体1を正面からみたときに、上下となる方向が上下方向Rであり、左右となる方向が左右方向Sである。図1では、上下方向Rは鉛直方向であり、左右方向Sは水平方向である。壁構造体1の厚み方向は、設置箇所に設置した壁構造体1における厚み方向であり、設置箇所に設置した壁構造体1を正面からみたときに前後となる方向である。図1では、壁構造体1の厚み方向と左右方向Sは、互いに直交する水平方向である。このように、壁構造体1に関する方向は、設置箇所に設置した状態での方向で特定する。
【0012】
図2は、本実施形態の壁構造体1を示す斜視図であり、壁体2から壁構造体1を抜き出して示している。図3は、本実施形態の壁構造体1を正面からみた縦断面図であり、上下方向Rと左右方向Sを含む面で切断した壁構造体1の断面を示している。図4は、本実施形態の壁構造体1を側方からみた縦断面図であり、上下方向Rと壁構造体1の厚み方向Tを含む面で切断した壁構造体1の断面を示している。図5は、本実施形態の壁構造体1を上方からみた横断面図であり、左右方向Sと壁構造体1の厚み方向Tを含む面で切断した壁構造体1の断面を示している。
【0013】
図示のように、壁構造体1は、枠体3と、枠体3の内側に並べて設けられた複数のブロック材4(図3図5では、鎖線で示す)を備えている。ブロック材4は、壁構造体1の壁部を構成するブロック状の壁材であり、押出成形により形成された金属製(ここでは、アルミニウム合金製)の形材からなる。ブロック材4の形材は、所定の断面形状に形成されて、形材の長手方向に直交する方向に切断される。これにより、同じ形状の複数のブロック材4が形成される。複数のブロック材4は、枠体3の内側に左右方向Sと上下方向Rに並べて設けられて、枠体3の内側に保持されている。
【0014】
ブロック材4は、複数の貫通孔4A(空所)を有し、直方体形状に形成されている。貫通孔4Aは、ブロック材4を壁構造体1の厚み方向Tに貫通して、壁構造体1の厚み方向Tの両側に向かって開放されている。壁構造体1の厚み方向Tの両側は、壁構造体1の一方の壁面側と他方の壁面側である。複数のブロック材4は、枠体3の内側で、左右方向Sと上下方向Rに互いに隣り合い、壁構造体1の壁面に沿って並設されて、枠体3により囲まれている。ここでは、3つのブロック材4が左右方向Sに並べて設けられて、4つのブロック材4が上下方向Rに並べて設けられている。
【0015】
枠体3は、互いに組み合わされた4つの枠10、20、30(上枠10、下枠20、一対の縦枠30)を有している。枠体3の4つの枠10、20、30は、枠体3を構成する中空状の枠材であり、それぞれ押出成形により形成された金属製(ここでは、アルミニウム合金製)の形材からなる。上枠10の長手方向と下枠20の長手方向は、左右方向Sであり、縦枠30の長手方向は、上下方向Rである。また、壁構造体1の厚み方向Tは、枠体3(上枠10、下枠20、縦枠30)の見込み方向である。
【0016】
上枠10と下枠20は、横方向(左右方向S)に延びる上下の横枠であり、一対の縦枠30の間に配置されている。一対の縦枠30は、枠体3の左右の側枠であり、枠体3の左右の側部に位置して、縦方向(上下方向R)に延びる。縦枠30は、地面Gに設置された支柱であり、地面Gから上方に向かって突出している。上枠10の長手方向の両側の端部は、左右の縦枠30に取り付けられ、下枠20の長手方向の両側の端部は、左右の縦枠30に取り付けられている。これにより、枠体3の4つの枠10、20、30が枠組みされる。上枠10と下枠20のそれぞれは、左右の縦枠30の間に架設されて、一方の縦枠30から他方の縦枠30まで延びる。
【0017】
枠体3は、4つの枠10、20、30により、複数のブロック材4を囲んで、複数のブロック材4を保持する。枠体3の内側で、ブロック材4は、上枠10の下側、下枠20の上側、縦枠30の横側に並べて設けられている。上枠10は、上枠10の下側に左右方向Sに並べて設けられる複数のブロック材4を保持する。下枠20は、下枠20の上側に左右方向Sに並べて設けられる複数のブロック材4を保持する。縦枠30は、縦枠30の横側に上下方向Rに並べて設けられる複数のブロック材4を保持する。
【0018】
壁構造体1は、上下方向Rに並ぶブロック材4の間のそれぞれに配置された複数の横材40と、左右方向Sに並ぶブロック材4の間のそれぞれに配置された複数の縦材50を備えている。横材40と縦材50は、枠体3の内側を仕切る仕切り材(横仕切り材、縦仕切り材)であり、それぞれ押出成形により形成された金属製(ここでは、アルミニウム合金製)の形材からなる。横材40は、横方向に延び、一対の縦枠30の間に配置されて、枠体3の内側を上下方向Rに仕切る。縦材50は、縦方向に延び、枠体3の内側を左右方向Sに仕切る。
【0019】
横材40の長手方向(左右方向S)の両側の端部は、左右の縦枠30に取り付けられている。横材40は、左右の縦枠30の間に架設されて、一方の縦枠30から他方の縦枠30まで延びる。複数の横材40は、上枠10と下枠20の間に位置して、上下方向Rに互いに間隔を開けて設けられ、上下方向Rに隣り合うブロック材4の間のそれぞれに配置されている。また、上枠10の下方に隣り合う横材40は、上枠10から下方に離隔して配置され、下枠20の上方に隣り合う横材40は、下枠20から上方に離隔して配置されている。上下方向Rに互いに隣り合う横材40は、上下方向Rに離隔して配置されている。横材40は、下側に並べて設けられる複数のブロック材4と上側に並べて設けられる複数のブロック材4の間に配置されて、上下の複数のブロック材4を保持している。
【0020】
縦材50は、上下方向Rに隣り合う下枠20と横材40の間、上下方向Rに隣り合う横材40同士の間、及び、上下方向Rに隣り合う横材40と上枠10の間のそれぞれに架設されている。下枠20と横材40の間、横材40同士の間、及び、横材40と上枠10の間のそれぞれで、複数の縦材50は、左右の縦枠30の間に位置して、左右方向Sに間隔を開けて設けられ、左右方向Sに隣り合うブロック材4の間のそれぞれに配置されている。また、縦枠30に隣り合う縦材50は、縦枠30から左右方向Sに離隔して配置され、左右方向Sに互いに隣り合う縦材50は、左右方向Sに離隔して配置されている。縦材50は、左右方向Sに並べて設けられるブロック材4の間のそれぞれに配置されて、左右のブロック材4を保持している。
【0021】
下枠20と横材40の間では、縦材50の下端部は、下側の下枠20に装着され、縦材50の上端部は、上側の横材40に固定されている。これにより、縦材50は、下枠20と横材40に取り付けられて、下枠20から横材40まで延びる。横材40同士の間では、縦材50の下端部は、下側の横材40に装着され、縦材50の上端部は、上側の横材40に固定されている。これにより、縦材50は、上下の横材40に取り付けられて、下側の横材40から上側の横材40まで延びる。横材40と上枠10の間では、縦材50の下端部は、下側の横材40に装着され、縦材50の上端部は、上側の上枠10に固定されている。これにより、縦材50は、横材40と上枠10に取り付けられて、横材40から上枠10まで延びる。
【0022】
複数の横材40と複数の縦材50は、枠体3の内側で格子状に組み合わされて、枠体3の内側に、左右方向Sと上下方向Rに並ぶ複数の領域を区画している。ブロック材4は、枠体3の内側の複数の領域に配置されて、上枠10の長手方向、下枠20の長手方向、横材40の長手方向、及び、縦枠30の長手方向のそれぞれに沿って並べて設けられている。枠体3の内側で、ブロック材4は、上下方向Rにおいて、下枠20と横材40の間、横材40同士の間、横材40と上枠10の間に位置し、左右方向Sにおいて、縦枠30と縦材50の間、縦材50同士の間に位置している。
【0023】
左右の縦枠30は、枠体3の内側に向かって開放された溝部31を有している。溝部31は、壁構造体1の厚み方向Tにおける縦枠30の中間部に位置し、縦枠30の内部に向かって窪んだ凹状に形成されている。また、溝部31は、縦枠30の長手方向に延び、縦枠30の長手方向の全体にわたって形成されている。上枠10、下枠20、及び、複数の横材40のそれぞれは、左右の縦枠30の溝部31内で、取付材60~62により、溝部31に取り付けられている。
【0024】
上枠10用の左右の取付材60は、固定具63により、上枠10の長手方向の両側の端部(左右の端部)に固定され、固定具64により、縦枠30の溝部31に固定されている。下枠20用の左右の取付材61は、固定具65により、下枠20の長手方向の両側の端部に固定され、固定具66により、縦枠30の溝部31に固定されている。横材40用の左右の取付材62は、固定具67により、横材40の長手方向の両側の端部に固定され、固定具68により、縦枠30の溝部31に固定されている。固定具63~68は、ネジである。
【0025】
取付材60~62は、縦枠30の溝部31内に配置されて、溝部31の内部に収容されている。上枠10、下枠20、及び、複数の横材40のそれぞれは、取付材60~62により、縦枠30の溝部31の内部にのみ取り付けられている。枠体3の内側で、縦枠30に隣り合うブロック材4は、縦枠30の溝部31、及び、溝部31内の取付材61、62と固定具66~68を覆う位置に配置されている。縦枠30の溝部31、及び、溝部31内の取付材61、62と固定具66~68は、ブロック材4により覆われて遮蔽されている。
【0026】
図6は、図4の上枠10を含む部分を拡大して示す縦断面図である。図7は、図4の横材40を含む部分を拡大して示す縦断面図である。図8は、図4の下枠20を含む部分を拡大して示す縦断面図である。図9は、図5の一方の縦枠30を含む部分を拡大して示す横断面図である。図10は、図5の縦材50を含む部分を拡大して示す横断面図である。
【0027】
図示のように、上枠10、下枠20、及び、左右の縦枠30は、同一の断面形状の形材を加工して形成されている(図6図8図9参照)。形材は、金属(ここでは、アルミニウム合金)の押出成形により成形された押出形材であり、所定の断面形状に形成されている。形材の断面形状は、形材の長手方向に直交する断面における形状である。左右の縦枠30は、溝部31が形成された形材からなる。上枠10は、縦枠30の形材と同一の断面形状の形材からなる上枠本体11と、上枠本体11に装着された上枠カバー12を有している。下枠20は、縦枠30の形材と同一の断面形状の形材からなる下枠本体21と、下枠本体21に装着された下枠カバー22を有している。
【0028】
上枠本体11、下枠本体21、及び、左右の縦枠30は、溝部を有する同一の断面形状の形材であり、中空形状に形成されている。そのため、上枠本体11には、溝部(上枠溝部13)が形成され、下枠本体21には、溝部(下枠溝部23)が形成されている。上枠溝部13と下枠溝部23は、縦枠30の縦枠溝部である溝部31に相当する部分であり、溝部31と同一の断面形状に形成されている。上枠カバー12は、上枠本体11の上枠溝部13を覆い、下枠カバー22は、下枠本体21の下枠溝部23を覆う。
【0029】
上枠溝部13は、枠体3の内側及び下方に向かって開放されて、上枠10の長手方向に延びる。上枠カバー12は、上枠溝部13の内部に嵌め込まれて、上枠溝部13に装着される。上枠カバー12は、上枠溝部13に沿って上枠10の長手方向に延び、上枠溝部13を下方において塞ぐ。下枠溝部23は、枠体3の内側及び上方に向かって開放されて、下枠20の長手方向に延びる。下枠カバー22は、下枠溝部23の内部に嵌め込まれて、下枠溝部23に装着される。下枠カバー22は、下枠溝部23に沿って下枠20の長手方向に延び、下枠溝部23を上方において塞ぐ。
【0030】
上枠10は、ブロック材4と対向する対向部14と、ブロック材4を保持する一対の保持部15と、ブロック材4を押える複数の押え部16を有している(図6参照)。対向部14は、上枠10の下面部である上枠本体11の下面部及び上枠カバー12の下面部であり、上下方向Rにおいて、上枠10の下側に位置する複数のブロック材4(ブロック材4の上面部)の上側に配置されて、複数のブロック材4と対向する。一対の保持部15は、上枠本体11に設けられて、対向部14の下側に位置している。また、一対の保持部15は、上枠10の長手方向の両端部の間で、上枠10の長手方向に延び、互いに並列して形成されている。
【0031】
上枠10の一対の保持部15は、ブロック材4に向かって突出する突片(保持片)であり、壁構造体1の厚み方向Tに互いに離隔し、対向部14に対して壁構造体1の厚み方向Tの両側に位置している。また、一対の保持部15は、上枠10の下側に隣り合う複数のブロック材4に対して壁構造体1の厚み方向Tの両側に位置して、複数のブロック材4に沿って延びる。壁構造体1の厚み方向Tにおいて、複数のブロック材4は、それぞれ一対の保持部15の間に挟まれて、一対の保持部15の間に保持される。
【0032】
このように、上枠10の一対の保持部15は、対向部14の下側に設けられ、壁構造体1の厚み方向Tにおいて、互いの間に複数のブロック材4を挟んで、複数のブロック材4の両側に位置する。複数のブロック材4は、一対の保持部15の間に配置されて、一対の保持部15の間に嵌る。一対の保持部15により、複数のブロック材4が壁構造体1の厚み方向Tの両側から保持されて、壁構造体1の厚み方向Tにおける複数のブロック材4の移動が規制される。
【0033】
上枠10は、上枠10の下側に位置するブロック材4に押え部16を押し付けて、押え部16によりブロック材4を押える。上枠10の複数の押え部16は、対向部14(ここでは、上枠カバー12の下面部)に設けられた上枠押え部であり、対向部14から下方に向かって突出して、対向部14の下側に位置している。また、押え部16は、突き出し加工により、対向部14の一部を下方に突出させた突部であり、上枠10の下側に隣り合う複数のブロック材4のそれぞれの上側に位置している。上枠10が左右の縦枠30に取り付けられた状態で、上枠10の複数の押え部16は、上枠10の下側に並べて設けられる複数のブロック材4のそれぞれに押し付けられて、複数のブロック材4のそれぞれを下方に向けて押える。
【0034】
下枠20は、ブロック材4と対向する対向部24と、ブロック材4を保持する一対の保持部25を有している(図8参照)。対向部24は、下枠20の上面部である下枠本体21の上面部及び下枠カバー22の上面部であり、上下方向Rにおいて、下枠20の上側に位置する複数のブロック材4(ブロック材4の下面部)の下側に配置されて、複数のブロック材4と対向する。複数のブロック材4は、下枠20の対向部24に載置されて、対向部24と当接する。一対の保持部25は、下枠本体21に設けられて、対向部24の上側に位置している。また、一対の保持部25は、下枠20の長手方向の両端部の間で、下枠20の長手方向に延び、互いに並列して形成されている。
【0035】
下枠20の一対の保持部25は、ブロック材4に向かって突出する突片(保持片)であり、壁構造体1の厚み方向Tに互いに離隔し、対向部24に対して壁構造体1の厚み方向Tの両側に位置している。また、一対の保持部25は、下枠20の上側に隣り合う複数のブロック材4に対して壁構造体1の厚み方向Tの両側に位置して、複数のブロック材4に沿って延びる。壁構造体1の厚み方向Tにおいて、複数のブロック材4は、それぞれ一対の保持部25の間に挟まれて、一対の保持部25の間に保持される。
【0036】
このように、下枠20の一対の保持部25は、対向部24の上側に設けられ、壁構造体1の厚み方向Tにおいて、互いの間に複数のブロック材4を挟んで、複数のブロック材4の両側に位置する。複数のブロック材4は、一対の保持部25の間に配置されて、一対の保持部25の間に嵌る。一対の保持部25により、複数のブロック材4が壁構造体1の厚み方向Tの両側から保持されて、壁構造体1の厚み方向Tにおける複数のブロック材4の移動が規制される。
【0037】
左右の縦枠30は、ブロック材4と対向する対向部32と、ブロック材4を保持する一対の保持部33を有している(図9参照)。対向部32は、縦枠30の横面部であり、溝部31に対して壁構造体1の厚み方向Tの両側に位置している。また、対向部32は、左右方向Sにおいて、縦枠30の横側に位置する複数のブロック材4(ブロック材4の横面部)の横側に配置されて、複数のブロック材4と対向する。横側は、左右方向Sにおける横側であり、横面部は、左右方向Sにおける横側に位置する面部である。複数のブロック材4は、縦枠30の対向部32と当接する。一対の保持部33は、対向部32の横側(枠体3の内側)に位置している。また、一対の保持部33は、縦枠30の長手方向の両端部の間で、縦枠30の長手方向に延び、互いに並列して形成されている。
【0038】
縦枠30の一対の保持部33は、ブロック材4に向かって突出する突片(保持片)であり、壁構造体1の厚み方向Tに互いに離隔し、対向部32に対して壁構造体1の厚み方向Tの両側に位置している。また、一対の保持部33は、縦枠30の横側に隣り合う複数のブロック材4に対して壁構造体1の厚み方向Tの両側に位置して、複数のブロック材4に沿って延びる。壁構造体1の厚み方向Tにおいて、複数のブロック材4は、それぞれ一対の保持部33の間に挟まれて、一対の保持部33の間に保持される。
【0039】
このように、縦枠30の一対の保持部33は、対向部32の横側に設けられ、壁構造体1の厚み方向Tにおいて、互いの間に複数のブロック材4を挟んで、複数のブロック材4の両側に位置する。複数のブロック材4は、一対の保持部33の間に配置されて、一対の保持部33の間に嵌る。一対の保持部33により、複数のブロック材4が壁構造体1の厚み方向Tの両側から保持されて、壁構造体1の厚み方向Tにおける複数のブロック材4の移動が規制される。
【0040】
横材40は、ブロック材4と対向する対向部41と、ブロック材4を保持する2組の一対の保持部42、43(上下方向Rにおける上側の一対の保持部42と下側の一対の保持部43)と、ブロック材4を押える複数の押え部44を有している(図7参照)。対向部41は、上下方向Rにおいて、横材40の上側に位置する複数のブロック材4(ブロック材4の下面部)の下側、及び、横材40の下側に位置する複数のブロック材4(ブロック材4の上面部)の上側に配置されて、上側と下側の複数のブロック材4の間に位置し、上側と下側の複数のブロック材4と対向する。横材40の上側の複数のブロック材4は、下側の横材40の対向部41に載置されて、対向部41と当接する。
【0041】
上側の一対の保持部42は、対向部41の上側に位置し、下側の一対の保持部43は、対向部41の下側に位置している。一対の保持部42、43のそれぞれは、横材40の長手方向の両端部の間で、横材40の長手方向に延び、互いに並列して形成されている。一対の保持部42、43のそれぞれは、ブロック材4に向かって突出する突片(保持片)であり、壁構造体1の厚み方向Tに互いに離隔し、対向部41に対して壁構造体1の厚み方向Tの両側に位置している。
【0042】
上側の一対の保持部42は、横材40の上側に隣り合う複数のブロック材4に対して壁構造体1の厚み方向Tの両側に位置して、複数のブロック材4に沿って延びる。壁構造体1の厚み方向Tにおいて、複数のブロック材4は、それぞれ一対の保持部42の間に挟まれて、一対の保持部42の間に保持される。下側の一対の保持部43は、横材40の下側に隣り合う複数のブロック材4に対して壁構造体1の厚み方向Tの両側に位置して、複数のブロック材4に沿って延びる。壁構造体1の厚み方向Tにおいて、複数のブロック材4は、それぞれ一対の保持部43の間に挟まれて、一対の保持部43の間に保持される。
【0043】
このように、横材40の一対の保持部42、43は、対向部41の上側と下側のそれぞれに設けられている。壁構造体1の厚み方向Tにおいて、一対の保持部42、43のそれぞれは、互いの間に複数のブロック材4を挟んで、複数のブロック材4の両側に位置する。複数のブロック材4は、一対の保持部42、43の間に配置されて、一対の保持部42、43の間に嵌る。一対の保持部42、43により、複数のブロック材4が壁構造体1の厚み方向Tの両側から保持されて、壁構造体1の厚み方向Tにおける複数のブロック材4の移動が規制される。
【0044】
横材40は、横材40の下側に位置するブロック材4に押え部44を押し付けて、押え部44によりブロック材4を押える。横材40の複数の押え部44は、対向部41に設けられた横材押え部であり、対向部41から下方に向かって突出して、対向部41の下側に位置している。また、押え部44は、突き出し加工により、対向部41の一部を下方に突出させた突部であり、横材40の下側に隣り合う複数のブロック材4のそれぞれの上側に位置している(図5参照)。横材40が左右の縦枠30に取り付けられた状態で、横材40の複数の押え部44は、横材40の下側に並べて設けられる複数のブロック材4のそれぞれに押し付けられて、複数のブロック材4のそれぞれを下方に向けて押える。
【0045】
縦材50は、ブロック材4と対向する対向部51と、ブロック材4を保持する2組の一対の保持部52、53(左右方向Sにおける一方の一対の保持部52と他方の一対の保持部53)を有している(図10参照)。対向部51は、左右方向Sにおいて、縦材50の左右の両側に位置するブロック材4(ブロック材4の横面部)の間に位置し、左右のブロック材4と対向する。縦材50の左右のブロック材4は、互いの間の縦材50の対向部51と当接する。
【0046】
一方の一対の保持部52は、対向部51の一方の横側に位置し、他方の一対の保持部53は、対向部51の他方の横側に位置している。一対の保持部52、53のそれぞれは、縦材50の長手方向(上下方向R)の両端部(下端部、上端部)の間で、縦材50の長手方向に延び、互いに並列して形成されている。一対の保持部52、53のそれぞれは、ブロック材4に向かって突出する突片(保持片)であり、壁構造体1の厚み方向Tに互いに離隔し、対向部51に対して壁構造体1の厚み方向Tの両側に位置している。
【0047】
一方の一対の保持部52は、縦材50の一方の横側に隣り合うブロック材4に対して壁構造体1の厚み方向Tの両側に位置して、ブロック材4に沿って延びる。壁構造体1の厚み方向Tにおいて、ブロック材4は、一対の保持部52の間に挟まれて、一対の保持部52の間に保持される。他方の一対の保持部53は、縦材50の他方の横側に隣り合うブロック材4に対して壁構造体1の厚み方向Tの両側に位置して、ブロック材4に沿って延びる。壁構造体1の厚み方向Tにおいて、ブロック材4は、一対の保持部53の間に挟まれて、一対の保持部53の間に保持される。
【0048】
このように、縦材50の一対の保持部52、53は、対向部51の左右方向Sの両側に設けられている。壁構造体1の厚み方向Tにおいて、一対の保持部52、53のそれぞれは、互いの間にブロック材4を挟んで、ブロック材4の両側に位置する。ブロック材4は、一対の保持部52、53の間に配置されて、一対の保持部52、53の間に嵌る。一対の保持部52、53により、ブロック材4が壁構造体1の厚み方向Tの両側から保持されて、壁構造体1の厚み方向Tにおけるブロック材4の移動が規制される。
【0049】
一対の保持部15、25、33、42、43、52、53は、壁構造体1の厚み方向Tの両側で、複数のブロック材4のそれぞれの縁部(上縁部、下縁部、一方の横縁部、及び、他方の横縁部)に沿って配置されて、複数のブロック材4のそれぞれの縁部を保持する。各ブロック材4は、上、下、左、右のそれぞれに位置する一対の保持部15、25、33、42、43、52、53により、上、下、左、右のそれぞれにおいて保持される。これにより、壁構造体1の厚み方向Tにおけるブロック材4の移動が確実に規制されて、ブロック材4が枠体3の内側に安定して保持される。
【0050】
図11図27は、本実施形態の壁構造体1の施工手順を示す図である。図11図16図18図20図22図23図25図27は、施工中の壁構造体1の斜視図であり、図17図21図24は、施工中の壁構造体1を側方からみた縦断面図である。
【0051】
図示のように、上枠カバー12を上枠本体11に装着していない状態で(図11参照)、左右の取付材60を固定具63により上枠10に固定する。その際、取付材60の一部を上枠本体11内に挿入して、取付材60を上枠本体11及び上枠10の内部に固定する。また、下枠カバー22を下枠本体21に装着していない状態で(図12参照)、左右の取付材61を固定具65により下枠20に固定する。その際、取付材61の一部を下枠本体21内に挿入して、取付材61を下枠本体21及び下枠20の内部に固定する。同時に、左右の当板26を固定具65により下枠20に固定して、当板26を下枠20の左右の端面に取り付ける。複数の横材40のそれぞれで(図13参照)、左右の取付材62を固定具67により横材40に固定する。
【0052】
下枠20の左右の取付材61を左右の縦枠30の溝部31内に挿入し(図14参照)、下枠20の下枠本体21を左右の縦枠30の間に配置する。その状態で、下枠20の取付材61のそれぞれを固定具66により縦枠30の溝部31に固定して、下枠20の下枠本体21を左右の縦枠30の溝部31に取り付ける。続いて、下枠カバー22を下枠溝部23に装着した後(図15参照)、複数の縦材50の下端部を下枠20に装着する。
【0053】
縦材50は、下端部に形成された一対の係止部54を有している(図16図17参照)。一対の係止部54は、縦材50において壁構造体1の厚み方向Tの両側に位置する突片(係止片)であり、壁構造体1の厚み方向Tの両外側に向かって突出している。下枠20の上側に位置する縦材50の一対の係止部54は、縦材50の下側に位置する下枠20の一対の保持部25に係止されて、一対の保持部25に保持される。一対の係止部54は、縦材50の保持部52、53よりも下側に位置し、それぞれ下枠20の保持部25の下側(保持部25と対向部24の間)に配置される。一対の係止部54は、下側から一対の保持部25に引っ掛かり、一対の保持部25に係止される。これにより、縦材50の下端部は、下枠20に装着されて、下枠20に保持される。
【0054】
下枠20の上側に位置する縦材50では、縦材50の一対の係止部54は、下枠20の上側にブロック材4がない状態で、下枠20の一対の保持部25の間の位置(非係止位置)と下枠20の一対の保持部25に係止される位置(係止位置)とに移動する。非係止位置は、下枠20の一対の保持部25の間で、縦材50の一対の係止部54が下枠20の一対の保持部25から離隔する位置(離隔位置)である。非係止位置の縦材50の一対の係止部54は、下枠20の一対の保持部25から一対の保持部25の間の位置に離隔して、一対の保持部25に係止されない。
【0055】
縦材50の下端部を下枠20の一対の保持部25の間で下枠20(ここでは、対向部24)に接触させた状態で、縦材50を回転せることで、縦材50の一対の係止部54は、非係止位置と係止位置とに移動する。また、縦材50を回転させつつ、縦材50の一対の係止部54を非係止位置からそれぞれ下枠20の保持部25に向かって移動させる。これにより、縦材50の一対の係止部54は、非係止位置から係止位置に移動して、下枠20の一対の保持部25に係止される。
【0056】
ブロック材4を下枠20の上方から下枠20に向かって下方に移動させて(図18参照)、縦枠30と縦材50の間、及び、縦材50同士の間のそれぞれに、ブロック材4を挿入する(図19参照)。続いて、横材40の左右の取付材62を左右の縦枠30の溝部31内に挿入し、横材40を左右の縦枠30の間に配置する。また、横材40を下側の複数のブロック材4の上に配置して、ネジである固定具69により、複数の縦材50の上端部を上側の横材40に固定する。固定具69は、横材40を上方から貫通して、縦材50の対向部51に取り付けられる。その状態で(図20参照)、横材40の取付材62のそれぞれを固定具68により縦枠30の溝部31に固定して、横材40を左右の縦枠30の溝部31に取り付ける。
【0057】
横材40をブロック材4の上に配置して左右の縦枠30に取り付けるのに伴い(図21参照)、横材40の押え部44は、横材40の下側に位置するブロック材4のそれぞれに当接してブロック材4に押し付けられ、下側のブロック材4のそれぞれを押える。横材40の押え部44により、ブロック材4は、上側から押えられるとともに、下側の下枠20(対向部24)に押し付けられる。これにより、横材40の下側に位置するブロック材4のガタツキが抑制される。また、ブロック材4は、下枠20と横材40の間に安定して設けられる。
【0058】
続いて、複数の縦材50の下端部を横材40に装着する(図22図24参照)。横材40の上側に位置する縦材50の一対の係止部54は、縦材50の下側に位置する横材40の一対の保持部42に係止されて、一対の保持部42に保持される。一対の係止部54は、それぞれ横材40の保持部42の下側(保持部42と対向部41の間)に配置される。一対の係止部54は、下側から一対の保持部42に引っ掛かり、一対の保持部42に係止される。これにより、縦材50の下端部は、横材40に装着されて、横材40に保持される。
【0059】
横材40の上側に位置する縦材50では、縦材50の一対の係止部54は、横材40の上側にブロック材4がない状態で、横材40の一対の保持部42の間の位置(非係止位置)と横材40の一対の保持部42に係止される位置(係止位置)とに移動する。非係止位置は、横材40の一対の保持部42の間で、縦材50の一対の係止部54が横材40の一対の保持部42から離隔する位置(離隔位置)である。非係止位置の縦材50の一対の係止部54は、横材40の一対の保持部42から一対の保持部42の間の位置に離隔して、一対の保持部42に係止されない。
【0060】
縦材50の下端部を横材40の一対の保持部42の間で横材40(ここでは、対向部41)に接触させた状態で、縦材50を回転せることで、縦材50の一対の係止部54は、非係止位置と係止位置とに移動する。また、縦材50を回転させつつ、縦材50の一対の係止部54を非係止位置からそれぞれ横材40の保持部42に向かって移動させる。これにより、縦材50の一対の係止部54は、非係止位置から係止位置に移動して、横材40の一対の保持部42に係止される。
【0061】
ブロック材4を横材40の上方から横材40に向かって下方に移動させて(図25参照)、縦枠30と縦材50の間、及び、縦材50同士の間のそれぞれに、ブロック材4を挿入する。その後、横材40の配置と縦材50の固定(図19参照)、横材40の取り付け(図20参照)、縦材50の装着(図22参照)、及び、ブロック材4の挿入(図25参照)を最も上側に位置する複数のブロック材4の挿入まで繰り返す。横材40をブロック材4の上に配置して左右の縦枠30に取り付けるのに伴い、ブロック材4は、横材40の押え部44により、上側から押えられるとともに、下側の横材40(対向部41)に押し付けられる。これにより、横材40同士の間に位置するブロック材4のガタツキが抑制される。また、ブロック材4は、横材40同士の間に安定して設けられる。
【0062】
次に、上枠10の上枠カバー12を左右の縦枠30の間に配置する(図26参照)。また、上枠カバー12を下側の複数のブロック材4の上に配置して、固定具69により、複数の縦材50の上端部を上側の上枠カバー12に固定する。固定具69は、上枠カバー12を上方から貫通して、縦材50の対向部51に取り付けられる。続いて、上枠10の左右の取付材60を左右の縦枠30の溝部31内に挿入し、上枠10の上枠本体11を左右の縦枠30の間に配置する。また、上枠10の上枠本体11を下方の上枠カバー12に向かって移動させて、上枠カバー12を上枠溝部13に装着する(図27参照)。その状態で、上枠10の取付材60のそれぞれを固定具64により縦枠30の溝部31に固定して、上枠本体11及び上枠10を左右の縦枠30の溝部31に取り付ける。以上により、壁構造体1の施工が終了して、壁構造体1が完成する(図2参照)。
【0063】
上枠10をブロック材4の上に配置して左右の縦枠30に取り付けるのに伴い(図6参照)、上枠10の押え部16は、上枠10の下側に位置するブロック材4のそれぞれに当接してブロック材4に押し付けられ、下側のブロック材4のそれぞれを押える。上枠10の押え部16により、ブロック材4は、上側から押えられるとともに、下側の横材40(対向部41)に押し付けられる。これにより、上枠10の下側に位置するブロック材4のガタツキが抑制される。また、ブロック材4は、上枠10と横材40の間に安定して設けられる。
【0064】
以上説明した壁構造体1では、横材40を左右の縦枠30の間に架設して、横材40の押え部44により、ブロック材4を上側から押える。そのため、複数のブロック材4を枠体3の内側に簡単に安定させて設けて、壁構造体1の施工性を向上させることができる。また、ブロック材4を枠体3の内側に設ける際のブロック材4の調整作業の負担を軽減することもできる。上枠10の押え部16により、上枠10の下側に位置する複数のブロック材4を枠体3の内側に簡単に安定させて設けることができる。ブロック材4を一対の保持部15、25、33、42、43、52、53の間に保持することで、ブロック材4の移動を簡単に規制して、ブロック材4を安定させることができる。
【0065】
縦材50の一対の係止部54は、下枠20の一対の保持部25と横材40の一対の保持部42のそれぞれに係止される。そのため、下枠20の一対の保持部25と横材40の一対の保持部42により、ブロック材4に加えて、縦材50を保持することができる。縦材50の一対の係止部54を下枠20の一対の保持部25の間と横材40の一対の保持部42の間のそれぞれで移動させることで、縦材50の一対の係止部54を下枠20の一対の保持部25と横材40の一対の保持部42のそれぞれに簡単に係止することができる。
【0066】
上枠10、下枠20、及び、横材40のそれぞれを縦枠30の共通の溝部31に取り付ける。これにより、上枠10、下枠20、及び、横材40のそれぞれを縦枠30に取り付けた箇所の露出を抑制して、壁構造体1の意匠性を向上させることができる。また、同一の断面形状の形材から左右の縦枠30、上枠10の上枠本体11、及び、下枠20の下枠本体21を製造することができ、左右の縦枠30、上枠10の上枠本体11、及び、下枠20の下枠本体21の製造コストを削減することができる。
【0067】
図28は、他の実施形態の横材40の押え部44を示す斜視図である。図29は、他の実施形態の上枠10の押え部16によりブロック材4を押えた状態を示す縦断面図である。図30は、他の実施形態の横材40の押え部44によりブロック材4を押えた状態を示す縦断面図である。
図示のように、横材40の押え部44と上枠10の押え部16は、弾性変形可能な弾性材であり、ここでは、スポンジ(例えば、スポンジ状のシリコンゴムであるシリコンスポンジ)によって形成されている。横材40の押え部44は、横材40の対向部41に貼り付けられて、横材40の長手方向に延びる。上枠10の押え部16は、上枠10の対向部14に貼り付けられて、上枠10の長手方向に延びる。
【0068】
横材40の押え部44は、横材40の下側に位置するブロック材4に押し付けられて弾性変形する。横材40は、1つの押え部44により、複数のブロック材4を押える。上枠10の押え部16は、上枠10の下側に位置するブロック材4に押し付けられて弾性変形する。上枠10は、1つの押え部16により、複数のブロック材4を押える。このように、横材40の押え部44は、貼り付け等により、横材40に取り付けてもよく、上枠10の押え部16は、貼り付け等により、上枠10に取り付けてもよい。
【0069】
なお、上枠10の上枠本体11は、上枠溝部13のない形材から形成してもよく、下枠20の下枠本体21は、下枠溝部23のない形材から形成してもよい。この場合には、上枠10が上枠カバー12を有さずに、上枠本体11が上枠10となる。また、下枠20が下枠カバー22を有さずに、下枠本体21が下枠20となる。左右の縦枠30を支柱に取り付けて、支柱により、左右の縦枠30を支持するようにしてもよい。本発明は、門塀に限定されず、種々の壁構造体に適用可能である。壁構造体は、壁体として単独で設置される壁構造体であってもよく、壁体の一部に設けられる壁構造体であってもよい。
【0070】
以上のとおり、本実施形態では、以下の(1)~(7)に記載された壁構造体を開示している。
【0071】
(1) 上枠、下枠、及び、左右の縦枠を有する枠体の内側に、複数のブロック材が左右方向と上下方向に並べて設けられた壁構造体であって、
前記左右の縦枠の間に架設されて、上下方向に並ぶ前記ブロック材の間に配置される横材と、
前記下枠と前記横材の間、前記横材同士の間、及び、前記横材と前記上枠の間のそれぞれに架設されて、左右方向に並ぶ前記ブロック材の間に配置される縦材と、を備え、
前記横材は、前記横材の下側に位置する前記ブロック材に押し付けて前記ブロック材を押える押え部を有する壁構造体。
(1)に記載された壁構造体では、複数のブロック材を枠体の内側に簡単に安定させて設けて、壁構造体の施工性を向上させることができる。
【0072】
(2) (1)に記載された壁構造体において、
前記上枠は、前記上枠の下側に位置する前記ブロック材に押し付けて前記ブロック材を押える押え部を有する壁構造体。
(2)に記載された壁構造体では、上枠の下側に位置する複数のブロック材を枠体の内側に簡単に安定させて設けることができる。
【0073】
(3) (1)又は(2)に記載された壁構造体において、
前記上枠、前記下枠、前記左右の縦枠、前記横材、及び、前記縦材のそれぞれは、前記ブロック材に対して前記壁構造体の厚み方向の両側に位置して、前記ブロック材に沿って延びる一対の保持部を有し、
前記ブロック材は、前記一対の保持部の間に挟まれて、前記一対の保持部の間に保持される壁構造体。
(3)に記載された壁構造体では、ブロック材を一対の保持部の間に保持することで、ブロック材の移動を簡単に規制して、ブロック材を安定させることができる。
【0074】
(4) (3)に記載された壁構造体において、
前記縦材は、前記壁構造体の厚み方向の両側に位置する一対の係止部を有し、
前記下枠の上側に位置する前記縦材の前記一対の係止部は、前記下枠の前記一対の保持部に係止され、
前記横材の上側に位置する前記縦材の前記一対の係止部は、前記横材の前記一対の保持部に係止される壁構造体。
(4)に記載された壁構造体では、下枠の一対の保持部と横材の一対の保持部により、ブロック材に加えて、縦材を保持することができる。
【0075】
(5) (4)に記載された壁構造体において、
前記下枠の上側に位置する前記縦材の前記一対の係止部は、前記下枠の上側に前記ブロック材がない状態で、前記下枠の前記一対の保持部の間の位置と前記下枠の前記一対の保持部に係止される位置とに移動し、
前記横材の上側に位置する前記縦材の前記一対の係止部は、前記横材の上側に前記ブロック材がない状態で、前記横材の前記一対の保持部の間の位置と前記横材の前記一対の保持部に係止される位置とに移動する壁構造体。
(5)に記載された壁構造体では、縦材の一対の係止部を下枠の一対の保持部の間と横材の一対の保持部の間のそれぞれで移動させることで、縦材の一対の係止部を下枠の一対の保持部と横材の一対の保持部のそれぞれに簡単に係止することができる。
【0076】
(6) (1)ないし(5)のいずれかに記載された壁構造体において、
前記左右の縦枠は、前記枠体の内側に向かって開放されて前記縦枠の長手方向に延び、前記上枠、前記下枠、及び、前記横材のそれぞれが取り付けられる溝部を有する壁構造体。
(6)に記載された壁構造体では、上枠、下枠、及び、横材のそれぞれを縦枠に取り付けた箇所の露出を抑制して、壁構造体の意匠性を向上させることができる。
【0077】
(7) (6)に記載された壁構造体において、
前記左右の縦枠は、前記溝部が形成された形材からなり、
前記上枠は、前記縦枠の形材と同一の断面形状の形材からなり、溝部が形成された上枠本体と、前記上枠本体の溝部を覆う上枠カバーと、を有し、
前記下枠は、前記縦枠の形材と同一の断面形状の形材からなり、溝部が形成された下枠本体と、前記下枠本体の溝部を覆う下枠カバーと、を有する壁構造体。
(7)に記載された壁構造体では、同一の断面形状の形材から左右の縦枠、上枠の上枠本体、及び、下枠の下枠本体を製造することができ、左右の縦枠、上枠の上枠本体、及び、下枠の下枠本体の製造コストを削減することができる。
【符号の説明】
【0078】
1・・・壁構造体、2・・・壁体、3・・・枠体、4・・・ブロック材、4A・・・貫通孔、10・・・上枠、11・・・上枠本体、12・・・上枠カバー、13・・・上枠溝部、14・・・対向部、15・・・保持部、16・・・押え部、20・・・下枠、21・・・下枠本体、22・・・下枠カバー、23・・・下枠溝部、24・・・対向部、25・・・保持部、26・・・当板、30・・・縦枠、31・・・溝部、32・・・対向部、33・・・保持部、40・・・横材、41・・・対向部、42・・・保持部、43・・・保持部、44・・・押え部、50・・・縦材、51・・・対向部、52・・・保持部、53・・・保持部、54・・・係止部、60・・・取付材、61・・・取付材、62・・・取付材、63・・・固定具、64・・・固定具、65・・・固定具、66・・・固定具、67・・・固定具、68・・・固定具、69・・・固定具、G・・・地面、R・・・上下方向、S・・・左右方向、T・・・厚み方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30