IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 村田機械株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-管理装置 図1
  • 特開-管理装置 図2
  • 特開-管理装置 図3
  • 特開-管理装置 図4
  • 特開-管理装置 図5
  • 特開-管理装置 図6
  • 特開-管理装置 図7
  • 特開-管理装置 図8
  • 特開-管理装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081977
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】管理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 63/00 20060101AFI20240612BHJP
   D01H 13/00 20060101ALI20240612BHJP
   D01H 13/32 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
B65H63/00 Z
B65H63/00 F
D01H13/00 Z
D01H13/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195619
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】富山 公貴
(72)【発明者】
【氏名】平井 克尚
【テーマコード(参考)】
3F115
4L056
【Fターム(参考)】
3F115CA53
3F115CE08
3F115CF39
4L056AA02
4L056AA45
4L056EB13
4L056EB30
4L056ED01
4L056ED03
4L056ED11
(57)【要約】
【課題】設定項目又は稼動項目に関するユーザの利便性が高い管理装置を提供する。
【解決手段】管理装置は、糸を巻き取ってパッケージを製造する糸処理装置を管理する。管理装置は、表示部と、制御部と、を備える。表示部は、糸処理装置に関する情報を表示する。制御部は、糸処理装置の動作に関する設定を示す設定項目、又は、糸処理装置の稼動に関する情報を示す稼動項目を表示部に表示する。制御部は、設定項目グループに属する複数の設定項目の選択、又は、稼動項目グループに属する複数の稼動項目の選択を受け付けて登録する。制御部は、設定項目グループに属する設定項目を抽出して表示部に表示する処理、又は、稼動項目グループに属する稼動項目を抽出して表示部に表示する処理を行う。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸を巻き取ってパッケージを製造する糸処理装置を管理する管理装置において、
前記糸処理装置に関する情報を表示する表示部と、
前記糸処理装置の動作に関する設定を示す設定項目、又は、前記糸処理装置の稼動に関する情報を示す稼動項目を前記表示部に表示する制御部と、
を備え、
前記制御部は、設定項目グループに属する複数の前記設定項目の選択、又は、稼動項目グループに属する複数の前記稼動項目の選択を受け付けて登録し、
前記制御部は、前記設定項目グループに属する前記設定項目を抽出して前記表示部に表示する処理、又は、前記稼動項目グループに属する前記稼動項目を抽出して前記表示部に表示する処理を行うことを特徴とする管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の管理装置であって、
前記制御部は、識別情報と、当該識別情報に対応付けて登録された前記設定項目グループ又は前記稼動項目グループと、を対応付けた情報にアクセス可能であり、
前記制御部は、前記識別情報が選択された場合に、当該識別情報に対応付けて登録された前記設定項目グループに属する前記設定項目、又は、当該識別情報に対応付けて登録された前記稼動項目グループに属する前記稼動項目を前記表示部に表示することを特徴とする管理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の管理装置であって、
前記制御部は、少なくとも前記設定項目グループに関する処理を実行可能であり、
前記制御部は、前記パッケージを製造するロット毎に前記設定項目に対する設定値を設定可能であり、
前記制御部は、前記設定項目グループに属する前記設定項目を前記ロット毎に、前記表示部の同一画面に表示することを特徴とする管理装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の管理装置であって、
前記制御部は、少なくとも前記稼動項目グループに関する処理を実行可能であり、
前記制御部は、前記稼動項目グループに属するサブグループと、当該サブグループに属する前記稼動項目と、を登録可能であり、
前記制御部は、前記稼動項目グループに属する前記稼動項目を、前記サブグループ毎に区分して前記表示部に表示することを特徴とする管理装置。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の管理装置であって、
前記制御部は、少なくとも前記稼動項目グループに関する処理を実行可能であり、
前記制御部は、前記表示部に表示された前記稼動項目の選択が行われた場合に、選択された前記稼動項目に関するグラフを当該稼動項目と同一画面に表示することを特徴とする管理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の管理装置であって、
前記糸処理装置には、前記パッケージを製造する複数の巻取ユニットが含まれており、
前記制御部は、前記表示部に表示された前記稼動項目の選択が行われた場合に、横軸が時間であり、縦軸が時間毎の前記稼動項目であるグラフ及び/又は横軸が前記複数の巻取ユニットであり、縦軸が前記巻取ユニット毎の前記稼動項目であるグラフを当該稼動項目と同一画面に表示することを特徴とする管理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の管理装置であって、
前記グラフの横軸は前記複数の巻取ユニットであり、
前記制御部は、前記稼動項目の値が基準を満たさない前記巻取ユニットを特定する情報を前記表示部に表示することを特徴とする管理装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の管理装置であって、
前記グラフの横軸は前記複数の巻取ユニットであり、
前記制御部は、表示されたグラフの一部が選択された場合、当該選択された位置から所定範囲内に位置する前記巻取ユニットのうち、前記稼動項目の値が最も悪い前記巻取ユニットを選択することを特徴とする管理装置。
【請求項9】
請求項1から8までの何れか一項に記載の管理装置であって、
前記糸処理装置には、前記パッケージを製造する複数の巻取ユニットが含まれており、
前記制御部は、前記巻取ユニットが選択された場合、横軸が時間で、縦軸が選択された前記巻取ユニットの前記稼動項目と前記複数の巻取ユニットの前記稼動項目の平均値又は合計値であるグラフを前記表示部に表示することを特徴とする管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、糸を巻き取ってパッケージを製造する糸処理装置を管理する管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、糸処理ユニットに関する情報を表示するディスプレイを開示する。ディスプレイは、糸処理ユニットの制御のための設定値を入力する複数種類の設定画面を表示可能である。ディスプレイは、複数種類の設定画面のうち、ユーザ(オペレータ)から指定された設定画面を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-96629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、何れの設定項目を何れの設定画面に割り振るかは任意に定めてもよいと記載されている。しかし、特許文献1には、設定画面のバリエーションが様々であることが記載されているだけであり、設定画面に表示する項目をユーザがカスタマイズ可能であることは特許文献1には記載されていない。そのため、設定項目の割り振り方によっては、ある特定のユーザにとって利便性が低くなる可能性がある。この課題は、設定項目に限られない。例えば、糸処理装置の稼動に関する情報を示す稼動項目についても、設定項目と同様の課題が存在する。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、設定項目又は稼動項目に関するユーザの利便性が高い管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の観点によれば、以下の構成の管理装置が提供される。即ち、管理装置は、糸を巻き取ってパッケージを製造する糸処理装置を管理する。管理装置は、表示部と、制御部と、を備える。前記表示部は、前記糸処理装置に関する情報を表示する。前記制御部は、前記糸処理装置の動作に関する設定を示す設定項目、又は、前記糸処理装置の稼動に関する情報を示す稼動項目を前記表示部に表示する。前記制御部は、設定項目グループに属する複数の前記設定項目の選択、又は、稼動項目グループに属する複数の前記稼動項目の選択を受け付けて登録する。前記制御部は、前記設定項目グループに属する前記設定項目を抽出して前記表示部に表示する処理、又は、前記稼動項目グループに属する前記稼動項目を抽出して前記表示部に表示する処理を行う。
【0008】
これにより、ユーザによって選択された設定項目又は稼動項目を抽出して表示部に表示することができる。従って、ユーザにとって使い易いように設定項目又は稼動項目を配置することにより、設定項目又は稼動項目に関するユーザの利便性を向上させることができる。
【0009】
前記の管理装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記制御部は、識別情報と、当該識別情報に対応付けて登録された前記設定項目グループ又は前記稼動項目グループと、を対応付けた情報にアクセス可能である。前記制御部は、前記識別情報が選択された場合に、当該識別情報に対応付けて登録された前記設定項目グループに属する前記設定項目、又は、当該識別情報に対応付けて登録された前記稼動項目グループに属する前記稼動項目を前記表示部に表示する。
【0010】
これにより、使用するユーザ毎又は巻取条件等に応じて識別情報を設定することにより、ユーザ又は巻取条件等に応じた複数の設定項目又は複数の稼動項目を表示部に表示することができる。
【0011】
前記の管理装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記制御部は、少なくとも前記設定項目グループに関する処理を実行可能である。前記制御部は、前記パッケージを製造するロット毎に前記設定項目に対する設定値を設定可能である。前記制御部は、前記設定項目グループに属する前記設定項目を前記ロット毎に、前記表示部の同一画面に表示する。
【0012】
これにより、ロット毎の設定変更を容易に行うことができる。
【0013】
前記の管理装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記制御部は、少なくとも前記稼動項目グループに関する処理を実行可能である。前記制御部は、前記稼動項目グループに属するサブグループと、当該サブグループに属する前記稼動項目と、を登録可能である。前記制御部は、前記稼動項目グループに属する前記稼動項目を、前記サブグループ毎に区分して前記表示部に表示する。
【0014】
これにより、稼動項目を更に整理して表示部に表示することができる。
【0015】
前記の管理装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記制御部は、少なくとも前記稼動項目グループに関する処理を実行可能である。前記制御部は、前記表示部に表示された前記稼動項目の選択が行われた場合に、選択された前記稼動項目に関するグラフを当該稼動項目と同一画面に表示する。
【0016】
稼動項目に関するグラフが表示されることにより、ユーザは、糸処理装置の稼動を一見して把握できる。また、稼動項目の表示が維持されつつグラフが表示されるため、ユーザは、画面を切り替えることなく別の稼動項目を選択したり、稼動項目の値を確認したりすることができる。
【0017】
前記の管理装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記糸処理装置には、前記パッケージを製造する複数の巻取ユニットが含まれている。前記制御部は、前記表示部に表示された前記稼動項目の選択が行われた場合に、横軸が時間であり、縦軸が時間毎の前記稼動項目であるグラフ及び/又は横軸が前記複数の巻取ユニットであり、縦軸が前記巻取ユニット毎の前記稼動項目であるグラフを当該稼動項目と同一画面に表示する。
【0018】
これにより、ユーザは、時間変化に応じた稼動又は巻取ユニット毎の稼動を一見して把握できる。
【0019】
前記の管理装置においては、前記制御部は、グラフの横軸が前記複数の巻取ユニットであるグラフを表示する際において、前記稼動項目の値が基準を満たさない前記巻取ユニットを特定する情報を前記表示部に表示することが好ましい。
【0020】
これにより、ユーザは、基準を満たさない巻取ユニットを一見して把握できる。
【0021】
前記の管理装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記グラフの横軸は前記巻取ユニットである。前記制御部は、表示されたグラフの一部が選択された場合、当該選択された位置から所定範囲内に位置する前記巻取ユニットのうち、前記稼動項目の値が最も悪い前記巻取ユニットを選択する。
【0022】
これにより、ユーザは、所定範囲内に位置する前記巻取ユニットのうち、稼動項目の値が最も悪い巻取ユニットを簡単に選択できる。
【0023】
前記の管理装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記糸処理装置には、前記パッケージを製造する複数の巻取ユニットが含まれている。前記制御部は、前記巻取ユニットが選択された場合、横軸が時間で、縦軸が選択された前記巻取ユニットの前記稼動項目と前記複数の巻取ユニットの前記稼動項目の平均値又は合計値であるグラフを前記表示部に表示する。
【0024】
これにより、ユーザは、選択された巻取ユニットの稼動項目を、他の複数の巻取ユニットの稼動項目の平均値又は合計値と簡単に比較できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る管理装置を含む自動ワインダの正面図。
図2】自動ワインダのブロック図。
図3】カスタマイズ設定画面及びカスタマイズ稼動画面を編集する処理を示すフローチャート。
図4】表示部に表示されるカスタマイズ設定画面の編集画面。
図5】カスタマイズ設定画面及びカスタマイズ稼動画面に関する登録情報を示す表。
図6】カスタマイズ設定画面を表示する処理及び設定値を更新する処理を示すフローチャート。
図7】表示部に表示されるカスタマイズ設定画面。
図8】カスタマイズ稼動画面を表示する処理を示すフローチャート。
図9】表示部に表示されるカスタマイズ稼動画面。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。初めに、図1及び図2を参照して、自動ワインダ(繊維機械)の全体的な構成について説明する。
【0027】
図1に示す自動ワインダ1は、糸処理装置2と、管理装置50と、を備える。糸処理装置2と管理装置50は並んで配置されている。糸処理装置2は、並設された複数の巻取ユニット10と、玉揚台車40と、を備える。
【0028】
それぞれの巻取ユニット10は、給糸部11と、糸解舒補助装置12と、テンション付与装置13と、糸継装置14と、糸品質測定器15と、クレードル16と、巻取ドラム17と、ハウジング18と、を備える。
【0029】
給糸部11には、給糸ボビン21が支持されている。糸解舒補助装置12は、給糸ボビン21から解舒される糸が遠心力によって振り回されて外側に膨らんだ部分(バルーン)に対して接触することで、糸が過度に振り回されることを抑制し、糸の解舒を一定のテンションで行うことができる。テンション付与装置13は、走行する糸に所定のテンションを付与する。糸継装置14には、給糸ボビン21から解舒される糸と、パッケージ22の糸と、がそれぞれ案内される。糸継装置14は、案内された糸同士の糸継ぎを行う。糸品質測定器15は、走行する糸の品質(例えば糸太さ又はその変化量等)を光学式センサ等で測定する。
【0030】
クレードル16には巻取ボビンが取り付けられている。巻取ドラム17は、巻取ボビン又はパッケージ22と接触して回転することにより、糸を綾振りしつつ、当該糸を巻取ボビンに巻き取る。巻取ドラム17が巻取ボビンに糸を巻き取ることにより、パッケージ22が製造される。
【0031】
ハウジング18の内部には、図2に示すユニット制御部19が設けられている。ユニット制御部19は、CPU、RAM、ストレージ等を備える。ストレージは、例えば、HDD、SDD、又はフラッシュメモリである。ストレージには各種プログラム及び制御用データが記憶されている。CPUは、ストレージに記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行する。これにより、ユニット制御部19は巻取ユニット10に関する制御を行う。
【0032】
玉揚台車40は、巻取ユニット10の並列方向に沿って走行可能である。具体的には、巻取ユニット10の上方には、並列方向に沿ってレールが形成されており、玉揚台車40はレールに沿って走行する。玉揚台車40は、ある巻取ユニット10においてパッケージが満巻となった場合、玉揚台車40は、当該巻取ユニット10まで走行して停止する。玉揚台車40は、当該巻取ユニット10の満巻のパッケージを取り外すとともに糸が巻かれていない新たな巻取ボビンを巻取ユニット10に供給する。
【0033】
具体的には、玉揚台車40は、糸引出しアーム41と、クレードル開放アーム42と、チャッカ43と、を備える。糸引出しアーム41は、図略のエアシリンダ等のアクチュエータにより伸縮可能である。糸引出しアーム41の先端には吸引式の糸捕捉部が取り付けられており、給糸ボビン21からの糸を引き出す。クレードル開放アーム42は、クレードル16を操作して開放し、満巻となったパッケージ22をクレードル16から取り外す。チャッカ43は、図略のボビンストッカに保持されている空の巻取ボビンを掴んでクレードル16に供給する。
【0034】
管理装置50は、糸処理装置2を管理する。本実施形態の糸処理装置2は、巻取ユニット10及び玉揚台車40を含む。ただし、玉揚台車40を糸処理装置2から除外してもよい。即ち、玉揚台車40は、管理装置50の管理対象であってもよいし、管理装置50の管理対象外であってもよい。また、管理装置50の管理対象である糸処理装置2には、更に、ボビン準備装置が含まれていてもよい。ボビン準備装置とは、給糸ボビン21を巻取ユニット10まで搬送したり、給糸ボビン21に糸を巻き取る準備を行う装置である。図2に示すように、管理装置50は、制御部51と、表示部52と、操作部53と、通信部54と、を備える。
【0035】
制御部51は、ユニット制御部19と同様、CPU、RAM、ストレージ等を備える。ストレージは、例えば、HDD、SSD、又はフラッシュメモリである。ストレージには各種プログラム及び制御用データが記憶されている。CPUは、ストレージに記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行する。これにより、制御部51は、糸処理装置2の管理に関する制御を行う。
【0036】
表示部52は、情報を表示可能なディスプレイ装置である。表示部52は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイである。表示部52は、制御部51が生成した画面を表示する。以下の説明において、「画面」とは、糸処理装置2に関する情報の表示、又は、糸処理装置2に関する設定の変更を目的として、表、グラフ、写真、イラスト、入力欄、又はアイコン等で構成された表示物である。具体的には、各巻取ユニット10の設定を確認又は変更するための設定画面、各巻取ユニット10の稼動に関する情報を示す稼動画面、玉揚台車40の設定を確認又は変更するための設定画面、玉揚台車40の稼動に関する情報を示す稼動画面等が表示部52に表示される。
【0037】
操作部53は、ユーザが操作可能なハードウェアデバイスである。操作部53は、例えば、ハードウェアキー又はタッチパネルである。タッチパネルは、表示部52と一体的に構成されており、ユーザが表示部52の画面に触れた場合、ユーザが触れた位置を検出する。また、制御部51は、ユーザが触れた位置の履歴に基づいて、所定の操作(タップ、ダブルタップ、ドラッグ、ピンチイン、ピンチアウト)が行われたことを検出可能である。なお、ユーザとは、自動ワインダ1の稼動を補助するオペレータだけでなく、自動ワインダ1を管理する管理者も含む用語である。
【0038】
制御部51は、ユーザが操作部53を操作して行った指令に応じた処理を行う。例えば、ユーザが操作部53を操作して、設定画面等を表示する指示を行った場合、制御部51は、指定された設定画面等を表示する。また、ユーザが操作部53を操作して、糸巻取条件を変更する指示を行った場合、制御部51は、糸巻取条件の変更を反映させる。
【0039】
通信部54は、他の装置と通信を行うための有線通信モジュール又は無線通信モジュールである。通信部54は、複数の巻取ユニット10及び玉揚台車40と通信可能である。
【0040】
次に、設定画面及び稼動画面のカスタマイズ機能について説明する。初めに、自動ワインダ1の設定項目と稼動項目が多数存在することについて説明する。
【0041】
ユーザは、パッケージ22の製造を適切に行うために、原料としての糸(給糸ボビン21に巻かれた糸)に関する設定項目に対して、該当する設定値を入力する。例えば、この種の設定項目には、ボビンのサイズ、巻かれている糸の太さ、種類、長さ等が存在する。更に、ユーザは、糸処理装置2の各装置の設定項目に対して、適切な設定値を入力する。ここで、巻取ユニット10は多数の装置を備え、それぞれの装置に対して設定項目が存在する。更に、玉揚台車40又はボビン準備装置についても、様々な設定項目が存在する。そのため、ユーザが入力可能な設定項目は多数存在する。
【0042】
また、ユーザは、自動ワインダ1に関して様々な稼動項目を確認する。稼動項目とは、糸処理装置2の現在又は過去の稼動に関して得られた情報を示す項目である。稼動項目は、例えば、糸処理装置2が稼動することで得られたパッケージ22に関する情報、糸処理装置2の稼動効率、及び、糸処理装置2が稼動することに伴うエネルギーの消費量又は消費効率等が存在する。更に、巻取ユニット10、玉揚台車40、又は、ボビン準備装置の稼動効率等も稼動項目に含まれる。従って、ユーザが確認可能な稼動項目は多数存在する。
【0043】
このように、設定項目及び稼動項目はそれぞれ多数存在する。従って、全ての設定項目を1画面にまとめて表示することは困難である。そのため、管理装置50は、設定項目を所定の基準で分類し、複数の設定画面に分けて設定項目を表示する。稼動項目についても同様である。その結果、ユーザは、複数の稼動画面を切り替えながら設定項目又は稼動項目を確認する必要がある。
【0044】
この点、本実施形態の管理装置50は、ユーザが選択した設定項目を一画面(以下、カスタマイズ設定画面)に表示可能である。更に、管理装置50は、ユーザが選択した稼動項目を一画面(以下、カスタマイズ稼動画面)に表示可能である。従って、複数の画面を切り替える手間を軽減できる。なお、ユーザが頻繁に用いる設定項目又は稼動項目は、ユーザに応じて又は繊維工場に応じて異なる。そのため、設定項目又は稼動項目をメーカ側で事前に設定するだけでは足りず、ユーザが選択可能とすることが必要である。
【0045】
次に、図3から図5を参照して、設定項目又は稼動項目に関するユーザの選択を受け付けて登録する処理の流れを説明する。この処理は、図3のフローチャートに記載されている。図3のフローチャートは、管理装置50の制御部51によって行われる。
【0046】
ユーザは、カスタマイズ設定画面の編集を希望する場合、操作部53を操作して、メニュー画面から所定の項目を選択するか、メニューバーのボタンを選択する等して、カスタマイズ設定画面を編集するための編集画面を表示部52に表示させる。制御部51は、操作部53に行われた操作に基づいて、カスタマイズ設定画面の編集指示があったか否かを判定する(S101)。制御部51は、この編集指示があったと判定した場合、カスタマイズ設定画面の編集画面を表示部52に表示して、設定項目の選択を受け付ける(S102)。
【0047】
図4に示すように、表示部52には、第1メニューバー61及び第2メニューバー62が表示される。第1メニューバー61は常に表示されており、第1メニューバー61には複数のアイコンが表示される。第2メニューバー62には、第1メニューバー61で選択したアイコンの下位の階層の項目を示すアイコンが表示される。つまり、第1メニューバー61で選択したアイコンに応じて、第2メニューバー62に表示されるアイコンが変化する。ユーザは、操作部53を用いて第1メニューバー61及び/又は第2メニューバー62に表示されたアイコンを選択する操作を行って、カスタマイズ設定画面の編集画面を表示する指示を行うことができる。
【0048】
図4には、更に、対象選択領域63と、設定項目表示領域64と、ユーザID表示領域65と、表示選択領域66と、が表示されている。
【0049】
対象選択領域63には、糸処理装置2を構成する装置が並べて記載されている。具体的には、巻取ユニット10を示す「ユニット」、巻取ユニット10以外の装置を示す「本体」が対象選択領域63に表示されている。更に、「本体」の下位に玉揚台車40を示す「玉揚装置」と「ボビン準備装置」とが対象選択領域63に表示されている。なお、これらの装置は一例であり、上記以外の装置が対象選択領域63に表示されていてもよい。
【0050】
図4に示す対象選択領域63では、「ユニット」がユーザによって選択されている。そのため、設定項目表示領域64には、巻取ユニット10に関する設定項目が並べて配置されている。設定項目表示領域64は画面スクロール可能である。一画面に全ての設定項目が表示できない場合は、画面スクロールさせることにより残りの設定項目を表示させることができる。また、ユーザが別の対象機器を選択したと制御部51が判定した場合、制御部51は、設定項目表示領域64に、選択された別の対象機器に関する設定項目を表示する。なお、対象選択領域63を省略し、全ての設定項目を設定項目表示領域64に表示してもよい。
【0051】
ユーザID表示領域65には、ユーザID(識別情報)が記載されている。ユーザIDは、自動ワインダ1のユーザを識別するための識別情報である。ユーザIDは、ユーザの認証に実際に用いられるIDであってもよいし、あるいは、ユーザIDは、ユーザ毎に個別にカスタマイズ設定画面を作成するためだけに用いられてもよい。
【0052】
なお、ユーザ毎ではなく、別の情報毎にカスタマイズ設定画面を作成可能であってもよい。例えば、巻き取るパッケージ22の種類毎に、カスタマイズ設定画面を作成可能であってもよい。この場合、ユーザID表示領域65には、巻き取るパッケージ22の種類を示す情報、又は、ユーザが指定した任意の識別情報が設定される。なお、識別情報を用いて複数種類のカスタマイズ設定画面を作成することは必須ではなく、省略することもできる。この場合、1つの管理装置50に対して、1種類のカスタマイズ設定画面が用いられることになる。
【0053】
表示選択領域66には、設定項目表示領域64に記載の設定項目毎に、かつ、ユーザID表示領域65に記載のユーザID毎にチェックボックスが表示されている。ユーザは、操作部53を用いて、表示選択領域66のチェックボックスを操作することにより、カスタマイズ設定画面に表示する設定項目を選択することができる。例えば、「Customer 1」に対応するユーザが、「糸番手」の設定項目の表示を希望する場合、「Customer 1」と「糸番手」の両方に対応する箇所のチェックボックスにチェックを入れる。なお、設定項目を選択する方法はチェックボックス形式に限られない。例えば、設定項目表示領域64に記載された設定項目を表示選択領域66にドラッグ操作することで、設定項目を選択する方式であってもよい。
【0054】
本実施形態の編集画面では、ユーザが選択可能な設定項目の一覧と、ユーザID毎の設定項目の選択の有無と、が同一画面に表示される。従って、ユーザは、別のユーザの設定項目の選択状況を参照しながら、自身の設定項目を選択できる。
【0055】
ユーザが設定項目を選択した場合、制御部51は、ユーザIDに対応付けて、選択された設定項目を登録する(S103)。以下では、ユーザが選択した設定項目を示す情報を登録情報と称する。制御部51は、自身が備えるストレージに登録情報を記憶するが、外部装置に登録情報を記憶してもよい。外部装置は、例えば、自動ワインダ1の工場内に配置される記憶装置であるか、あるいは、ワイドエリアネットワークを介して管理装置50と接続されるデータサーバである。
【0056】
図5には、登録情報を示す表が示されている。登録情報は、ユーザIDと、それに対応する複数の設定項目(鎖線で囲んだ範囲)と、で構成されている。1つのユーザIDに対応付けられる複数の設定項目は、設定項目グループに属する設定項目に相当する。言い換えれば、登録情報は、ユーザIDと、それに対応する設定項目グループに属する設定項目を対応付けた情報である。また、ユーザIDを用いない場合、登録情報は、設定項目グループに属する設定項目を登録した情報である。なお、設定項目は対象機器に応じて区分されているが、対象機器に応じた区分を省略してもよい。
【0057】
次に、稼動項目に関するユーザの選択を受け付けて登録する処理の流れについて説明する。なお、稼動項目の選択及び登録は、設定項目の選択及び登録と共通する部分が多いため、共通する部分については説明を省略又は簡略化する。
【0058】
カスタマイズ稼動画面の編集に関するステップS104からS106の処理は、上述したステップS101からS103の処理に対応する。即ち、制御部51は、操作部53に行われた操作に基づいて、カスタマイズ稼動画面の編集指示があったか否かを判定する(S104)。制御部51は、この編集指示があったと判定した場合、カスタマイズ稼動画面の編集画面を表示部52に表示して、稼動項目の選択を受け付ける(S105)。ユーザが稼動項目を選択した場合、制御部51は、ユーザIDに対応付けて、選択された稼動項目を登録する(S106)。
【0059】
図4に示すカスタマイズ設定画面の編集画面は、カスタマイズ稼動画面の編集画面と略共通している。主な相違点は、以下の2つである。1つ目の相違点は、対象選択領域63に対象機器に代えて、「生産」、「エネルギー」等の稼動に関する分類情報が記載される点である。2つ目の相違点は、設定項目表示領域64に、設定項目に代えて稼動項目が表示される点である。
【0060】
図5に示す登録情報についても、設定項目の登録内容と稼動項目の登録内容とは略共通している。即ち、登録情報は、ユーザIDと、それに対応する複数の稼動項目(鎖線で囲んだ範囲、稼動項目グループに相当)と、で構成されている。また、稼動項目は稼動に関する分類情報に応じて区分されている。つまり、稼動項目グループに属する稼動項目は、1又は複数のサブグループ(分類情報)に区分されている。なお、分類情報の登録を省略してもよい。
【0061】
なお、設定項目の選択及び登録に関して上述した全ての技術的特徴は、矛盾が生じない限り、稼動項目の選択及び登録にも適用されるものとする。
【0062】
次に、図6及び図7を参照して、カスタマイズ設定画面について説明する。カスタマイズ設定画面を表示する処理は、図6のフローチャートに記載されている。図6のフローチャートは、管理装置50の制御部51によって行われる。
【0063】
制御部51は、操作部53に行われた操作に基づいて、カスタマイズ設定画面の表示指示があったか否かを判定する(S201)。カスタマイズ設定画面の表示指示は、例えば、第1メニューバー61及び/又は第2メニューバー62を操作することにより行われるが、異なる操作でこの表示指示が行われてもよい。
【0064】
制御部51は、カスタマイズ設定画面の表示指示があったと判定した場合、選択されたユーザIDに対応付けられたカスタマイズ設定画面を表示部52に表示する(S202)。本実施形態では、直近に使用したユーザIDが自動的に選択される。なお、管理装置50にユーザ毎にログインする仕組みが存在する場合、管理装置50は現在のユーザのユーザIDを取得可能である。そのため、現在ログイン中のユーザIDを自動的に選択してもよい。なお、カスタマイズ設定画面を表示する前に、ユーザにユーザIDを選択させてもよい。
【0065】
図7には、カスタマイズ設定画面が示されている。図7には、上述した第1メニューバー61、第2メニューバー62、及び対象選択領域63に加えて、カスタマイズ設定項目表示領域71、ユーザID切替ボックス72、ロット表示領域73、及び入力ボックス74が表示されている。
【0066】
カスタマイズ設定項目表示領域71は、ユーザが選択した設定項目(言い換えれば、設定項目グループに属する全ての設定項目)が並べて表示される領域である。本実施形態では、所定の対象機器に関して選択された全ての設定項目がカスタマイズ設定項目表示領域71に表示される。ただし、対象選択領域63の表示を省略し、対象機器に関係なく全ての設定項目をカスタマイズ設定項目表示領域71に表示してもよい。
【0067】
ユーザID切替ボックス72は、ユーザIDを切り替えるための表示物である。ユーザがユーザID切替ボックス72を操作することにより、別のユーザIDに切り替えることができる。
【0068】
ロット表示領域73は、設定項目に対する設定値がロット毎に表示される領域である。ロットは、パッケージ22の製造単位である。ロットを切り替えるタイミングでは、例えば自動ワインダ1が製造するパッケージ22の種類が変更されることがある。そのため、ロットが切り替わる前後において、設定項目に対する設定値を切り替える必要がある。本実施形態では、ロット表示領域73毎に、設定項目の入力ボックス74が表示される。
【0069】
入力ボックス74は、設定項目毎に設定値を入力するための箇所である。ユーザは、操作部53を用いて、入力ボックス74を選択して設定値を入力する。本実施形態では、ロット毎に入力ボックス74が表示されるため、ロット毎に異なる設定値を入力可能である。更に、本実施形態では、ロットに応じた入力ボックス74が同一画面に表示される。従って、ある特定のロットの設定値を入力する際に、他のロットの設定値を参照することができる。また、制御部51は、操作部53を用いたユーザの指示を受け付けることにより、入力ボックス74に表示される設定項目の並替え及び削除を行うことができる。
【0070】
なお、ロット表示領域73は必須ではなく省略することができる。この場合、ロットを予め選択して設定値を入力するか、又はこれから製造されるパッケージ22に対する設定値を入力することになる。
【0071】
制御部51は、操作部53に行われた操作(具体的にはユーザID切替ボックス72への操作)に基づいて、別のユーザIDが選択されたか否かを判定する(S203)。制御部51は、別のユーザIDが選択されたと判定した場合、選択されたユーザIDに対応付けられたカスタマイズ設定画面に切り替えて表示部52に表示する(S202)。
【0072】
制御部51は、操作部53に行われた操作(具体的には入力ボックス74への操作)に基づいて、設定項目に対して設定値が入力されたか否かを判定する(S204)。制御部51は、設定値が入力されたと判定した場合、設定項目に対する設定値を更新して、制御部51のストレージ又は外部装置に記憶する(S205)。なお、本実施形態では、ロット毎に設定値を入力可能であるため、制御部51は、ロット、ユーザID毎における設定項目、ロット毎における設定項目の設定値を対応付けて記憶する。
【0073】
上述したように、従来では設定画面を切り替えながら設定項目毎に設定値を入力又は更新する必要があった。また、設定項目は多数存在するが、ユーザが用いる設定項目は限られていることが多い。従って、ユーザが頻繁に用いる設定項目をカスタマイズ設定画面に登録しておくことにより、ユーザは、画面を全く又は殆ど切り替えることなく、設定値の入力又は更新を行うことができる。
【0074】
次に、図8及び図9を参照して、カスタマイズ稼動画面について説明する。カスタマイズ稼動画面を表示する処理は、図8のフローチャートに記載されている。図8のフローチャートは、管理装置50の制御部51によって行われる。なお、カスタマイズ稼動画面に関する処理は、カスタマイズ設定画面に関する処理と共通する部分が多いため、共通する部分については説明を省略又は簡略化する。
【0075】
カスタマイズ稼動画面の表示に関するステップS301からS303の処理は、上述したステップS201からS203の処理に対応する。即ち、制御部51は、操作部53に行われた操作に基づいて、カスタマイズ稼動画面の表示指示があったか否かを判定する(S301)。制御部51は、カスタマイズ稼動画面の表示指示があったと判定した場合、選択されたユーザIDに対応付けられたカスタマイズ稼動画面を表示部52に表示する(S302)。制御部51は、操作部53に行われた操作に基づいて、別のユーザIDが選択されたか否かを判定する(S303)。制御部51は、別のユーザIDが選択されたと判定した場合、選択されたユーザIDに対応付けられたカスタマイズ稼動画面に切り替えて表示部52に表示する(S302)。
【0076】
図9には、カスタマイズ稼動画面が示されている。カスタマイズ稼動画面は、稼動項目表示領域81と、グラフ表示領域82と、を含む。グラフ表示領域82は、第1グラフ表示領域83と、第2グラフ表示領域84と、を含む。
【0077】
稼動項目表示領域81は、ユーザが選択した稼動項目(言い換えれば、稼動項目グループに属する全ての稼動項目)とその値とが並べて表示される領域である。本実施形態では、予め、「生産」、「エネルギー」等の分類情報(サブグループの情報)とともに、稼動項目が登録されている。従って、稼動項目表示領域81には、分類情報に応じて区分された態様で、稼動項目が表示される。ユーザは、以下のようにして分類情報を設定する。即ち、稼動項目が選択されると、選択された稼動項目は所定の(デフォルトで指定された)分類情報に属する。ユーザは、所定の分類情報に属する稼動項目を目的の分類情報までドラッグしてから移動させる等により、選択した稼動項目が目的の分類情報に属するように設定する。なお、全ての稼動項目には予め分類情報が付与されていてもよい。この場合、編集画面において稼動項目が選択されることにより、予め付与された分類情報に分類される。更に、その後において、稼動項目に付与された分類情報を変更することも可能である。また、分類情報の名称は、カスタマイズ稼動画面又は別の画面において、編集可能であることが好ましい。例えば、ユーザが分類情報の名称を選択して分類情報の名称を変更可能であることが好ましい。また、制御部51は、操作部53を用いたユーザの指示を受け付けることにより、稼動項目表示領域81に表示される稼動項目の並替え及び削除を行うことができる。
【0078】
また、ユーザは、操作部53を用いて、稼動項目表示領域81に表示された稼動項目を選択する操作を行うことができる。制御部51は、操作部53に行われた操作に基づいて、稼動項目が選択されたか否かを判定する(S304)。
【0079】
制御部51は、稼動項目が選択されたと判定した場合、選択された稼動項目に関する第1グラフ83aを第1グラフ表示領域83に表示する(S305)。このとき、制御部51は、稼動項目表示領域81の表示を維持しつつ、稼動項目表示領域81と同一画面に第1グラフ83aを表示する。これにより、ユーザは、稼動項目表示領域81の稼動項目と、第1グラフ表示領域83の第1グラフ83aと、を同時に確認することができる。
【0080】
第1グラフ表示領域83は、稼動項目に関する第1グラフ83aを表示する領域である。第1グラフ表示領域83には、第1グラフ83aと、特定巻取ユニット83bと、が表示される。
【0081】
第1グラフ83aは、稼動項目表示領域81で選択された稼動項目を示すグラフである。具体的には、第1グラフ83aの横軸は、巻取ユニット10の番号であり、縦軸が稼動項目の値である。巻取ユニット10の番号とは、所定の位置を基準として並列方向に沿って、それぞれの巻取ユニット10に割り振られる番号である。なお、巻取ユニット10の番号に代えて、時間を横軸に設定してもよい。あるいは、横軸が巻取ユニット10の番号であるグラフと、横軸が時間であるグラフと、を同時に第1グラフ表示領域83に表示してもよい。
【0082】
また、稼動項目の値に基準が設定されている場合、制御部51は、基準を第1グラフ83aに表示する。更に、制御部51は、第1グラフ83aにおける、基準を満たす巻取ユニット10の表示態様と、基準を満たさない巻取ユニット10の表示態様と、を異ならせる。表示態様を異ならせるとは、表示の仕方が異なることであり、具体的には、表示色、点滅の有無、強調表示の有無等が異なることである。これにより、基準を満たさない巻取ユニット10を目立たせることができる。
【0083】
特定巻取ユニット83bは、第1グラフ83aの近傍に表示されたテキストである。特定巻取ユニット83bは、基準を満たさない巻取ユニット10の番号と、その巻取ユニット10の稼動項目の値と、で構成されている。特定巻取ユニット83bは、稼動項目の値が悪い順に最大5つの巻取ユニット10の番号を表示する。なお、基準を満たさない巻取ユニット10が存在しない場合、特定巻取ユニット83bには巻取ユニット10の番号は表示されない。特定巻取ユニット83bとして表示する巻取ユニット10の番号の数の最大は5に限られず、5以外の数値であってもよい。また、特定巻取ユニット83bは、基準を満たさない全ての巻取ユニット10を表示してもよい。特定巻取ユニット83bに表示される巻取ユニット10の番号の一覧はスクロール可能であってもよい。これにより、多くの巻取ユニット10の番号が表示された場合でも、ユーザは全ての巻取ユニット10の番号を確認できる。また、巻取ユニット10の表示順序は稼動項目の値が悪い順に限られず、巻取ユニット10の番号順であってもよい。なお、稼動項目の値の表示を省略してもよい。あるいは、特定巻取ユニット83b自体の表示を省略してもよい。
【0084】
また、ユーザは、操作部53を用いて、第1グラフ表示領域83に表示された第1グラフ83aの一部を選択する操作を行うことができる。制御部51は、操作部53に行われた操作に基づいて、第1グラフ83aの一部が選択されたか否かを判定する(S306)。
【0085】
制御部51は、第1グラフ83aの一部が選択されたと判定した場合、選択された範囲の内稼動項目の値が最も悪い巻取ユニット10を選択する(S307)。具体的には、制御部51は、第1グラフ83aの一部が選択された場合、当該選択された位置から所定範囲内に位置する巻取ユニット10のグラフを特定し、稼動項目の値が最も悪い巻取ユニット10を選択する。例えば稼動項目が稼動効率等のように高い方が優れている場合、制御部51は、稼動項目の値が最も低い巻取ユニット10を選択する。逆に、例えば稼動項目が機械停止率等のように低い方が優れている場合、制御部51は、稼動項目の値が最も高い巻取ユニット10を選択する。ユーザは、稼動項目の値が悪い巻取ユニット10の情報を把握したいため、上述した処理を行うことにより、ユーザの手間を軽減できる。
【0086】
図9に示す例では、指を用いて巻取ユニット10の番号30の近傍がタッチ(選択)されており、タッチされた位置から所定範囲(例えばグラフの2,3本分)の範囲に、基準を満たさない番号30の巻取ユニット10が存在するため、制御部51は番号30の巻取ユニット10を選択する。
【0087】
そして、制御部51は、選択された巻取ユニット10の稼動項目を評価するための第2グラフ84aを第2グラフ表示領域84に表示する(S308)。このとき、制御部51は、稼動項目表示領域81と第1グラフ表示領域83の表示を維持しつつ、これらと同一画面に第2グラフ84aを表示する。これにより、ユーザは、稼動項目表示領域81の稼動項目と、第1グラフ表示領域83の第1グラフ83aと、第2グラフ表示領域84の第2グラフ84aと、を同時に確認することができる。
【0088】
なお、第1グラフ83aをタッチした場合だけでなく、特定巻取ユニット83bに記載の巻取ユニット10の番号が選択されたことを検出した場合においても、制御部51は、第2グラフ84aを第2グラフ表示領域84に表示する。
【0089】
第2グラフ表示領域84には、第2グラフ84aと、グラフ情報84bと、が表示されている。第2グラフ84aは、稼動項目表示領域81で選択された稼動項目であって、かつ、第1グラフ表示領域83で選択された巻取ユニット10に関するグラフである。第2グラフ84aは、横軸が時間で縦軸が稼動項目の値のグラフである。第2グラフ84aは、選択された巻取ユニット10の稼動項目の時間変化を示すグラフと、全ての又は所定範囲の巻取ユニット10の稼動項目の値の平均値の時間変化を示すグラフと、で構成されている。グラフ情報84bには、選択された巻取ユニット10のグラフの線種(グラフを特定するための情報)と、複数の巻取ユニット10の平均値を示すグラフの線種と、が記載されている。なお、複数の巻取ユニット10の稼動項目の値の平均値に代えて合計値を示すグラフを記載してもよい。
【0090】
なお、制御部51は、グラフ情報84bの選択された巻取ユニット10のグラフの線種が選択されたことを検出した場合、選択された巻取ユニット10のグラフを非表示にしてもよい。また、制御部51は、複数の巻取ユニット10の稼動項目の値の平均値又は合計値を示すグラフの線種が選択された場合、この選択されたグラフを非表示にしてもよい。
【0091】
ユーザは、第2グラフ84aを参照することにより、該当の巻取ユニット10の稼動項目の値が低下したタイミングを把握できる。これにより、該当の巻取ユニットの稼動項目の値が低下した原因を特定することができる可能性がある。
【0092】
本実施形態では、制御部51は、所定範囲内で稼動項目の値が最も悪い巻取ユニット10を選択するが、ユーザがタッチした位置に最も近い巻取ユニット10が選択されてもよい。そのため、第2グラフ84aを構成するグラフは、稼動項目の値が最も悪いグラフに限られない。また、本実施形態では、第1グラフ83aを用いて巻取ユニット10が選択されるが、それ以外の方法(例えばユーザが巻取ユニット10の番号を入力する方法)で巻取ユニット10が選択されてもよい。
【0093】
以上に説明したように、本実施形態の管理装置50は、糸を巻き取ってパッケージ22を製造する糸処理装置2を管理する。管理装置50は、表示部52と、制御部51と、を備える。表示部52は、糸処理装置2に関する情報を表示する。制御部51は、糸処理装置2の動作に関する設定を示す設定項目、又は、糸処理装置2の稼動に関する情報を示す稼動項目を表示部52に表示する。制御部51は、設定項目グループに属する複数の設定項目の選択、又は、稼動項目グループに属する複数の稼動項目の選択を受け付けて登録する。制御部51は、設定項目グループに属する設定項目を抽出して表示部52に表示する処理、又は、稼動項目グループに属する稼動項目を抽出して表示部52に表示する処理を行う。
【0094】
これにより、ユーザによって選択された設定項目又は稼動項目を抽出して表示部52に表示することができる。従って、ユーザにとって使い易いように設定項目又は稼動項目を配置することにより、設定項目又は稼動項目に関するユーザの利便性を向上させることができる。
【0095】
本実施形態の管理装置50において、制御部51は、識別情報(ユーザID)と、識別情報に対応付けて登録された設定項目グループ又は稼動項目グループと、を対応付けた情報にアクセス可能である。制御部51は、識別情報が選択された場合に、識別情報に対応付けて登録された設定項目グループに属する設定項目、又は、識別情報に対応付けて登録された稼動項目グループに属する稼動項目を表示部52に表示する。
【0096】
これにより、使用するユーザ毎又は巻取条件等に応じてユーザIDを設定することにより、ユーザに応じた複数の設定項目又は複数の稼動項目を表示部に表示することができる。
【0097】
本実施形態の管理装置50において、制御部51は、少なくとも設定項目グループに関する処理を実行可能である。制御部51は、パッケージ22を製造するロット毎に設定項目に対する設定値を設定可能である。制御部51は、設定項目グループに属する設定項目をロット毎に、表示部52の同一画面に表示する。
【0098】
これにより、ロット毎の設定変更を容易に行うことができる。
【0099】
本実施形態の管理装置50において、制御部51は、少なくとも稼動項目グループに関する処理を実行可能である。制御部51は、稼動項目グループに属するサブグループ(分類情報)と、サブグループに属する稼動項目と、を登録可能である。制御部51は、稼動項目グループに属する稼動項目を、サブグループ毎に区分して表示部52に表示する。
【0100】
これにより、稼動項目を更に整理して表示部に表示することができる。
【0101】
本実施形態の管理装置50において、制御部51は、少なくとも稼動項目グループに関する処理を実行可能である。制御部51は、表示部52に表示された稼動項目の選択が行われた場合に、選択された稼動項目に関する第1グラフ83aを稼動項目と同一画面に表示する。
【0102】
稼動項目に関するグラフが表示されることにより、ユーザは、糸処理装置2の稼動を一見して把握できる。また、稼動項目の表示が維持されつつ第1グラフ83aが表示されるため、ユーザは、画面を切り替えることなく別の稼動項目を選択したり、稼動項目の値を確認したりすることができる。
【0103】
本実施形態の管理装置50において、糸処理装置2には、パッケージ22を製造する複数の巻取ユニット10が含まれている。制御部51は、表示部52に表示された稼動項目の選択が行われた場合に、横軸が時間であり、縦軸が時間毎の稼動項目であるグラフ及び/又は横軸が複数の巻取ユニット10であり、縦軸が巻取ユニット10毎の稼動項目である第1グラフ83aを稼動項目と同一画面に表示する。
【0104】
これにより、ユーザは、時間変化に応じた稼動又は巻取ユニット10毎の稼動を一見して把握できる。
【0105】
本実施形態の管理装置50において、制御部51は、横軸が複数の巻取ユニット10である第1グラフ83aを表示する際において、稼動項目の値が基準を満たさない巻取ユニット10を特定する情報(特定巻取ユニット83b)を表示部52に表示する。
【0106】
これにより、ユーザは、基準を満たさない巻取ユニット10を一見して把握できる。
【0107】
本実施形態の管理装置50において、第1グラフ83aの横軸は巻取ユニット10である。制御部51は、表示された第1グラフ83aの一部が選択された場合、当該選択された位置から所定範囲内に位置する巻取ユニット10のうち、稼動項目の値が最も悪い巻取ユニット10を選択する。
【0108】
これにより、ユーザは、所定範囲内に位置する前記巻取ユニットのうち、稼動項目の値が最も悪い巻取ユニット10を簡単に選択できる。
【0109】
本実施形態の管理装置50において、糸処理装置2には、パッケージ22を製造する複数の巻取ユニット10が含まれている。制御部51は、巻取ユニット10が選択された場合、横軸が時間で、縦軸が選択された巻取ユニット10の稼動項目と複数の巻取ユニット10の稼動項目の平均値又は合計値である第2グラフ84aを表示部52に表示する。
【0110】
これにより、ユーザは、選択された巻取ユニット10の稼動項目を、他の複数の巻取ユニット10の稼動項目の平均値又は合計値と簡単に比較できる。
【0111】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0112】
上記実施形態の管理装置50は、カスタマイズ設定画面に関する処理と、カスタマイズ稼動画面に関する処理と、を行うことができる。これに代えて、管理装置50は、カスタマイズ設定画面に関する処理とカスタマイズ稼動画面に関する処理のうち一方の処理のみを行うことが可能であってもよい。
【0113】
カスタマイズ稼動画面における第1グラフ83a及び第2グラフ84aの表示は必須ではなく省略してもよい。あるいは、同一画面ではなくポップアップ又は画面切替えにより、第1グラフ83a又は第2グラフ84aを表示させてもよい。また、第1グラフ83aと第2グラフ84aの一方を非表示にして、他方を拡大表示してもよい。
【0114】
カスタマイズ設定画面又はカスタマイズ稼動画面に関する登録情報を、複数の管理装置50同士でやり取り可能であってもよい。これにより、1つの管理装置50で行った設定を他の管理装置50に反映させることができる。登録情報をやり取りする手段としては、管理装置50同士の有線又は無線による通信、又は、USBメモリ等の記憶媒体を用いた方法等がある。
【0115】
上記実施形態で示したフローチャートは一例であり、一部の処理を省略したり、一部の処理の内容を変更したり、新たな処理を追加したりしてもよい。
【0116】
上記実施形態では、自動ワインダ1が備える管理装置50に本発明を適用した例を説明したが、自動ワインダ1以外の繊維機械(例えば紡績機)にも本発明を適用できる。
【0117】
上記実施形態では、管理装置50は、糸処理装置2と並んで配置されているが、糸処理装置2とは離れた位置に管理装置50が配置されていてもよい。また、1又は複数の管理装置50を管理する上位の管理装置(外部装置)が、上述した設定項目グループ又は稼動項目グループに関する処理を行ってもよい。
【符号の説明】
【0118】
1 自動ワインダ
2 糸処理装置
10 巻取ユニット
40 玉揚台車
50 管理装置
51 制御部
52 表示部
53 操作部
54 通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9