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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081978
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】管理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 63/00 20060101AFI20240612BHJP
   D01H 13/00 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
B65H63/00 Z
B65H63/00 F
D01H13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195624
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】富山 公貴
(72)【発明者】
【氏名】平井 克尚
【テーマコード(参考)】
3F115
4L056
【Fターム(参考)】
3F115CA53
3F115CB00
3F115CE08
3F115CF39
4L056AA02
4L056AA45
4L056EB13
4L056ED01
4L056ED03
4L056ED07
4L056ED11
(57)【要約】
【課題】糸処理装置の稼動履歴に関する情報が複数階層で構成される場合に、これらの情報を適切に表示可能な管理装置を提供する。
【解決手段】管理装置は、糸を巻き取ってパッケージを製造する糸処理装置を管理する。管理装置は、表示部と、制御部と、を備える。表示部は、糸処理装置の稼動履歴に関する情報を表示する。制御部は、表示部の表示内容を制御する。制御部は、糸処理装置の稼動履歴に関する複数の第1情報を表示部に表示するとともに、第1情報が選択された場合に、選択された第1情報に属する第2情報を表示部に表示する。制御部は、第1情報と、当該第1情報に属する第2情報と、が重複しないように、かつ、同一画面に表示する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸を巻き取ってパッケージを製造する糸処理装置を管理する管理装置において、
前記糸処理装置の稼動履歴に関する情報を表示する表示部と、
前記表示部の表示内容を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記糸処理装置の稼動履歴に関する複数の第1情報を前記表示部に表示するとともに、前記第1情報が選択された場合に、選択された前記第1情報に属する第2情報を前記表示部に表示し、
前記制御部は、前記第1情報と、当該第1情報に属する前記第2情報と、が重複しないように、かつ、同一画面に表示することを特徴とする管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の管理装置であって、
前記表示部は、互いに重複しない領域である、第1領域と、第2領域と、第3領域と、を有し、
前記制御部は、前記第1領域に前記第1情報を表示し、前記第2領域に前記第2情報を表示し、前記第3領域に前記第1情報又は前記第2情報の1つに関するグラフである個別グラフを表示することを特徴とする管理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の管理装置であって、
前記糸処理装置は、前記パッケージを製造する複数の巻取ユニットを備え、
前記制御部は、前記表示部に表示された前記第1情報又は前記第2情報の選択が行われた場合に、横軸が時間であり、縦軸が選択された前記第1情報又は前記第2情報の時間毎の値である個別グラフ及び/又は横軸が前記複数の巻取ユニットであり、縦軸が選択された前記第1情報又は前記第2情報の前記巻取ユニット毎の値である個別グラフを前記第1情報及び前記第2情報と同一画面に表示することを特徴とする管理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の管理装置であって、
前記個別グラフの横軸は前記複数の巻取ユニットであり、
前記制御部は、選択された前記第1情報又は前記第2情報の値が基準を満たさない前記巻取ユニットを特定する情報を前記個別グラフとは異なる位置に表示することを特徴とする管理装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の管理装置であって、
前記個別グラフの横軸は前記複数の巻取ユニットであり、
前記制御部は、表示された前記個別グラフの一部が選択された場合、当該選択された位置から所定範囲内に位置する前記巻取ユニットのうち、選択された前記第1情報又は前記第2情報の値が最も悪い前記巻取ユニットを選択することを特徴とする管理装置。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載の管理装置であって、
前記制御部は、巻取ユニットが選択された場合、更に、前記第1情報又は前記第2情報の補助グラフを前記表示部に表示し、
前記第1情報の前記補助グラフの横軸は時間であり、縦軸は、選択された前記巻取ユニットの前記第1情報と、前記複数の巻取ユニットの前記第1情報の平均値又は合計値であり、
前記第2情報の前記補助グラフの横軸は時間であり、縦軸は、選択された前記巻取ユニットの前記第2情報と、前記複数の巻取ユニットの前記第2情報の平均値又は合計値であることを特徴とする管理装置。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか一項に記載の管理装置であって、
前記制御部は、前記糸処理装置の動作状態毎の時間比率をそれぞれ前記第1情報として前記表示部に表示し、
前記制御部は、前記糸処理装置のそれぞれの動作状態の時間比率の更に詳細な内訳を前記第2情報として前記表示部に表示することを特徴とする管理装置。
【請求項8】
請求項1から7までの何れか一項に記載の管理装置であって、
前記制御部は、前記第1情報又は前記第2情報の全てが選択される場合に、横軸が時間であり、縦軸が前記糸処理装置の動作状態に対する時間比率の総括を示す総括グラフを前記表示部に表示することを特徴とする管理装置。
【請求項9】
請求項1から8までの何れか一項に記載の管理装置であって、
前記制御部は、前記第1情報と前記第2情報との対応関係を示す表示物を前記表示部に表示することを特徴とする管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、糸を巻き取ってパッケージを製造する糸処理装置を管理する管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数の紡績ユニットを設定又は管理するための設定管理装置を開示する。設定管理装置は表示部を備えており、表示部には監視画面が表示される。監視画面に表示される情報には、紡績ユニットの稼動データが含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-86057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の監視画面には、稼動データとしての複数の項目が表示されている。特許文献1には、稼動データについては詳細に記載されておらず、稼動データに属する別の情報が存在するかは不明である。つまり、特許文献1には、稼動データが複数階層で構成される場合に、稼動データをどのような態様で表示するかについて開示されていない。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、糸処理装置の稼動履歴に関する情報が複数階層で構成される場合に、これらの情報を適切に表示可能な管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の観点によれば、以下の構成の管理装置が提供される。即ち、前記管理装置は、糸を巻き取ってパッケージを製造する糸処理装置を管理する。管理装置は、表示部と、制御部と、を備える。前記表示部は、前記糸処理装置の稼動履歴に関する情報を表示する。前記制御部は、前記表示部の表示内容を制御する。前記制御部は、前記糸処理装置の稼動履歴に関する複数の第1情報を前記表示部に表示するとともに、前記第1情報が選択された場合に、選択された前記第1情報に属する第2情報を前記表示部に表示する。前記制御部は、前記第1情報と、当該第1情報に属する前記第2情報と、が重複しないように、かつ、同一画面に表示する。
【0008】
これにより、ユーザは、第1情報を確認しながら、第1情報に属する第2情報の内容を確認できる。従って、第1情報を表示部の表示領域から削除して第2情報を表示する場合と比較して、ユーザは、稼動履歴に関する情報を容易に把握できる。
【0009】
前記の管理装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記表示部は、互いに重複しない領域である、第1領域と、第2領域と、第3領域と、を有する。前記制御部は、前記第1領域に前記第1情報を表示し、前記第2領域に前記第2情報を表示し、前記第3領域に前記第1情報又は前記第2情報の1つに関するグラフである個別グラフを表示する。
【0010】
ユーザは、第1情報、第1情報に属する第2情報、第1情報又は第2情報に関するグラフを同時に確認できるので、稼動履歴に関する情報を詳細に把握できる。
【0011】
前記の管理装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記糸処理装置は、前記パッケージを製造する複数の巻取ユニットを備える。前記制御部は、前記表示部に表示された前記第1情報又は前記第2情報の選択が行われた場合に、横軸が時間であり、縦軸が選択された前記第1情報又は前記第2情報の時間毎の値である個別グラフ及び/又は横軸が前記複数の巻取ユニットであり、縦軸が選択された前記第1情報又は前記第2情報の前記巻取ユニット毎の値である個別グラフを前記第1情報及び前記第2情報と同一画面に表示する。
【0012】
これにより、ユーザは、時間変化に応じた第1情報若しくは第2情報、又は、巻取ユニット毎の第1情報若しくは第2情報を一見して把握できる。
【0013】
前記の管理装置においては、前記個別グラフの横軸は前記複数の巻取ユニットである。前記制御部は、選択された前記第1情報又は前記第2情報の値が基準を満たさない前記巻取ユニットを特定する情報を前記個別グラフとは異なる位置に表示する。
【0014】
これにより、ユーザは、基準を満たさない巻取ユニットを個別グラフとは異なる位置に表示された情報を見て把握できる。
【0015】
前記の管理装置においては、前記個別グラフの横軸は前記巻取ユニットである。前記制御部は、表示された前記個別グラフの一部が選択された場合、当該選択された位置から所定範囲内に位置する前記巻取ユニットのうち、前記第1情報又は前記第2情報の値が最も悪い前記巻取ユニットを選択する。
【0016】
これにより、ユーザは、所定範囲内における第1情報又は第2情報の値が最も悪い巻取ユニットを簡単に選択できる。
【0017】
前記の管理装置においては、前記制御部は、巻取ユニットが選択された場合、更に、前記第1情報又は前記第2情報の補助グラフを前記表示部に表示する。前記第1情報の前記補助グラフの横軸は時間であり、縦軸は、選択された前記巻取ユニットの前記第1情報と、前記複数の巻取ユニットの前記第1情報の平均値又は合計値である。前記第2情報の前記補助グラフの横軸は時間であり、縦軸は、選択された前記巻取ユニットの前記第2情報と、前記複数の巻取ユニットの前記第2情報の平均値又は合計値である。
【0018】
これにより、ユーザは、選択された巻取ユニットの第1情報(又は第2情報)を、他の複数の巻取ユニットの第1情報の平均値又は合計値(又は第2情報の平均値又は合計値)と簡単に比較できる。
【0019】
前記の管理装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記制御部は、前記糸処理装置の動作状態毎の時間比率をそれぞれ前記第1情報として前記表示部に表示する。前記制御部は、前記糸処理装置のそれぞれの動作状態の時間比率の更に詳細な内訳を前記第2情報として前記表示部に表示する。
【0020】
これにより、ユーザは、糸処理装置の各動作の時間比率及びその内訳を一見して把握できる。
【0021】
前記の管理装置においては、前記制御部は、前記第1情報又は前記第2情報が選択される場合に、横軸が時間であり、縦軸が前記糸処理装置の動作状態に対する時間比率の総括を示す総括グラフを前記表示部に表示することが好ましい。
【0022】
これにより、ユーザは、複数の前記第1情報又は前記第2情報に関する情報を一見して把握できる。
【0023】
前記の管理装置においては、前記制御部は、前記第1情報と前記第2情報との対応関係を示す表示物を前記表示部に表示することが好ましい。
【0024】
これにより、ユーザは、どの第1情報に属する第2情報が表示されているかを一見して把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る管理装置を含む自動ワインダの正面図。
図2】自動ワインダのブロック図。
図3】稼動履歴画面を表示する処理、及び、表示内容を変更する処理を示すフローチャート。
図4】第1領域に第1情報が表示され、第3領域に第1情報総括グラフが表示された稼動履歴画面。
図5】第1領域に第1情報が表示され、第2領域に第2情報が表示され、第3領域に第1情報個別グラフが表示された稼動履歴画面。
図6】第3領域の第1情報個別グラフを選択することにより特定の巻取ユニットのグラフが表示された稼動履歴画面。
図7】第1領域に第1情報が表示され、第2領域に第2情報が表示され、第3領域に第2情報総括グラフが表示された稼動履歴画面。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。初めに、図1及び図2を参照して、自動ワインダ(繊維機械)の全体的な構成について説明する。
【0027】
図1に示す自動ワインダ1は、糸処理装置2と、管理装置50と、を備える。糸処理装置2と管理装置50は並んで配置されている。糸処理装置2は、並設された複数の巻取ユニット10と、玉揚台車40と、を備える。
【0028】
それぞれの巻取ユニット10は、給糸部11と、糸解舒補助装置12と、テンション付与装置13と、糸継装置14と、糸品質測定器15と、クレードル16と、巻取ドラム17と、ハウジング18と、を備える。
【0029】
自動ワインダ1には、給糸ボビン21が装着されたトレイを搬送するためのコンベアが設けられている。給糸部11には、コンベアによって搬送されたトレイが支持されている。糸解舒補助装置12は、給糸ボビン21から解舒される糸が遠心力によって振り回されて外側に膨らんだ部分(バルーン)に対して接触することで、糸が過度に振り回されることを抑制し、糸の解舒を一定のテンションで行うことができる。テンション付与装置13は、走行する糸に所定のテンションを付与する。糸継装置14には、給糸ボビン21から解舒される糸と、パッケージ22の糸と、がそれぞれ案内される。糸継装置14は、案内された糸同士の糸継ぎを行う。糸品質測定器15は、走行する糸の品質(例えば糸太さ又はその変化量等)を光学式センサ等で測定する。
【0030】
クレードル16には巻取ボビンが取り付けられている。巻取ドラム17は、巻取ボビン又はパッケージ22と接触して回転することにより、糸を綾振りしつつ、当該糸を巻取ボビンに巻き取る。巻取ドラム17が巻取ボビンに糸を巻き取ることにより、パッケージ22が製造される。
【0031】
ハウジング18の内部には、図2に示すユニット制御部19が設けられている。ユニット制御部19は、CPU、RAM、ストレージ等を備える。ストレージは、例えば、HDD、SDD、又はフラッシュメモリである。ストレージには各種プログラム及び制御用データが記憶されている。CPUは、ストレージに記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行する。これにより、ユニット制御部19は巻取ユニット10に関する制御を行う。
【0032】
玉揚台車40は、巻取ユニット10の並列方向に沿って走行可能である。具体的には、巻取ユニット10の上方には、並列方向に沿ってレールが形成されており、玉揚台車40はレールに沿って走行する。玉揚台車40は、ある巻取ユニット10においてパッケージが満巻となった場合、玉揚台車40は、当該巻取ユニット10まで走行して停止する。玉揚台車40は、当該巻取ユニット10の満巻のパッケージを取り外すとともに糸が巻かれていない新たな巻取ボビンを巻取ユニット10に供給する。
【0033】
具体的には、玉揚台車40は、糸引出しアーム41と、クレードル開放アーム42と、チャッカ43と、を備える。糸引出しアーム41は、図略のエアシリンダ等のアクチュエータにより伸縮可能である。糸引出しアーム41の先端には吸引式の糸捕捉部が取り付けられており、給糸ボビン21からの糸を引き出す。クレードル開放アーム42は、クレードル16を操作して開放し、満巻となったパッケージ22をクレードル16から取り外す玉揚作業を行う。チャッカ43は、図略のボビンストッカに保持されている空の巻取ボビンを掴んでクレードル16に供給する。
【0034】
管理装置50は、糸処理装置2を管理する。本実施形態の糸処理装置2は、巻取ユニット10及び玉揚台車40を含む。ただし、玉揚台車40を糸処理装置2から除外してもよい。即ち、玉揚台車40は、管理装置50の管理対象であってもよいし、管理装置50の管理対象外であってもよい。また、管理装置50の管理対象である糸処理装置2には、更に、ボビン準備装置が含まれていてもよい。ボビン準備装置とは、給糸ボビン21が装着されたトレイを巻取ユニット10まで搬送したり、給糸ボビン21に糸を巻き取る準備を行う装置である。図2に示すように、管理装置50は、制御部51と、表示部52と、操作部53と、通信部54と、を備える。
【0035】
制御部51は、ユニット制御部19と同様、CPU、RAM、ストレージ等を備える。ストレージは、例えば、HDD、SSD、又はフラッシュメモリである。ストレージには各種プログラム及び制御用データが記憶されている。CPUは、ストレージに記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行する。これにより、制御部51は、糸処理装置2の管理に関する制御を行う。
【0036】
表示部52は、情報を表示可能なディスプレイ装置である。表示部52は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイである。表示部52は、制御部51が生成した画面を表示する。以下の説明において、「画面」とは、糸処理装置2に関する情報の表示、又は、糸処理装置2に関する設定の変更を目的として、表、グラフ、写真、イラスト、入力欄、又はアイコン等で構成された表示物である。具体的には、各巻取ユニット10の設定を確認又は変更するための設定画面、各巻取ユニット10の稼動履歴に関する情報を示す稼動履歴画面、玉揚台車40の設定を確認又は変更するための設定画面、玉揚台車40の稼動履歴に関する情報を示す稼動履歴画面等が表示部52に表示される。
【0037】
操作部53は、ユーザが操作可能なハードウェアデバイスである。操作部53は、例えば、ハードウェアキー又はタッチパネルである。タッチパネルは、表示部52と一体的に構成されており、ユーザが表示部52の画面に触れた場合、ユーザが触れた位置を検出する。また、制御部51は、ユーザが触れた位置の履歴に基づいて、所定の操作(タップ、ダブルタップ、ドラッグ、ピンチイン、ピンチアウト)が行われたことを検出可能である。なお、ユーザとは、自動ワインダ1の稼動を補助するオペレータだけでなく、自動ワインダ1を管理する管理者も含む用語である。
【0038】
制御部51は、ユーザが操作部53を操作して行った指令に応じた処理を行う。例えば、ユーザが操作部53を操作して、稼動履歴を表示する稼動履歴画面の表示指示を行った場合、制御部51は、指定された稼動履歴画面を表示する。また、ユーザが操作部53を操作して、糸巻取条件を変更する指示を行った場合、制御部51は、糸巻取条件の変更を反映させる。
【0039】
通信部54は、他の装置と通信を行うための有線通信モジュール又は無線通信モジュールである。通信部54は、複数の巻取ユニット10及び玉揚台車40と通信可能である。
【0040】
次に、図3から図7を参照して、稼動履歴画面を表示してユーザの指示に応じて表示内容を変更する処理の流れを説明する。この処理は、図3のフローチャートに記載されている。図3のフローチャートは、管理装置50の制御部51によって行われる。稼動履歴とは、パッケージ22の製造に関して糸処理装置2が行った処理に関する履歴である。稼動履歴は、糸処理装置2が行った処理を単に示すものであってもよいし、それを統計処理して示すものであってもよい。
【0041】
制御部51は、操作部53に行われた操作に基づいて、稼動履歴画面の表示指示があったか否かを判定する(S101)。稼動履歴画面の表示指示は、例えば、図4に示す第1メニューバー61、第2メニューバー62、第3メニューバー63を操作することにより行われる。第1メニューバー61は常に表示されており、第1メニューバー61には複数のアイコンが表示される。第2メニューバー62には、第1メニューバー61で選択したアイコンの下位の階層の項目を示すアイコンが表示される。つまり、第1メニューバー61で選択したアイコンに応じて、第2メニューバー62に表示されるアイコンが変化する。第3メニューバー63には、第2メニューバー62で選択したアイコンの下位の階層の項目を示すアイコンが表示される。図4に示す例では、第2メニューバー62のアイコンから、稼動履歴画面を表示するためのアイコンを選択する操作が行われることにより、第3メニューバー63には、稼動履歴の対象を選択する項目が表示される。図4に示す例では、糸処理装置2の機械効率(作業効率)に関する稼動履歴が選択されている。なお、上述した稼動履歴画面の表示指示は一例であり、第1メニューバー61、第2メニューバー62、第3メニューバー63を用いずに稼動履歴画面の表示指示が行われてもよい。
【0042】
図4に示す稼動履歴画面には、第1領域70と、第2領域80と、第3領域90と、が表示されている。第1領域70と第2領域80は左右方向(画面の長手方向)に並べて配置されている。第3領域90は、第1領域70及び第2領域80の下方に配置されている。図4に示す第1領域70、第2領域80、及び第3領域90のレイアウトは一例であり、例えば以下のように変更できる。即ち、第1領域70と第2領域80は上下方向に並べて配置されてもよい。また、第1領域70、第2領域80、及び第3領域90が同一方向に並べて配置されてもよい。あるいは、第1領域70及び第2領域80の上方に第3領域90が配置されてもよい。ただし、第3領域90は必須の表示要素ではなく、省略することもできる。
【0043】
制御部51は、稼動履歴画面の表示指示があったと判定した場合、表示部52の第1領域70に複数の第1情報を表示する(S102)。第1情報とは、糸処理装置2の稼動履歴に関する情報である。図4に示すように巻取ユニット10の機械効率が選択された場合、第1情報は、巻取ユニット10の稼動時間内訳である。稼動時間内訳とは、巻取ユニット10の動作状態毎の時間比率である。1つの動作状態の時間比率が、1つの第1情報に相当する。
【0044】
図4に示す第1領域70の第1項目71には、稼動時間内訳として、「作業時間比率(機械効率)」と、「糸継ぎサイクル時間比率」と、「糸継ぎ待ち停止時間比率」と、「満管停止時間比率」と、が表示されている。これらの時間比率がそれぞれ第1情報に相当する。作業時間比率は、巻取ユニット10が糸を巻き取る作業を行っている時間比率である。糸継ぎサイクル時間比率は、巻取ユニット10が糸継ぎを行っている時間比率である。糸継ぎ待ち停止時間比率は、巻取ユニット10に糸継ぎが必要な状態であって糸継ぎの開始を待機している時間比率である。満管停止時間比率は、パッケージ22の製造が完了し玉揚作業を待っている状態である。
【0045】
第1領域70の第2項目72には、第1項目71に示された情報の略称が記載されている。後述するように、第1項目71、第2項目72、及び第3項目73はオペレータが操作可能なボタンを兼ねている。また、第2項目72の最も上の欄には、全ての第1情報を総括することを示す「ALL」という文字列が表示されている。稼動履歴画面が最初に表示された状態では、ALLが選択済みである。第1領域70の第3項目73には、同じ行に記載された稼動時間内訳に対応する実際の時間比率が記載されている。
【0046】
第1情報は、以上のように第1領域70に表示される。なお、これらの第1情報は一例であり、第1情報は、別の観点の稼動履歴に関する情報であってもよい。例えば、玉揚台車40の稼動時間内訳であってもよい。また、第1情報は、稼動時間内訳に限られず、例えば、巻取ユニット10で発生したアラームの内訳であってもよい。アラームの内訳とは、アラームの種類毎にアラームの回数比率を示した情報である。
【0047】
制御部51は、第1情報を第1領域70に表示する処理を行うとともに、更に、第1情報総括グラフ91を表示部52の第3領域90に表示する(S103、図4)。第1情報総括グラフ91は、全ての(複数の)第1情報をまとめて示すグラフである。具体的には、第1情報総括グラフ91の横軸は時間であり、縦軸は稼動時間内訳(第1情報)である。つまり、第1情報総括グラフ91の1本の棒グラフは、所定の時間長さにおける各稼動状態の時間比率を示す。なお、第1情報総括グラフ91の横軸を巻取ユニット10にしてもよい。これにより、巻取ユニット10毎の各稼動状態の時間比率をグラフで示すことができる。なお、巻取ユニット10を特定する情報として、巻取ユニット10の番号を横軸の値として用いることができる。巻取ユニット10の番号とは、所定の位置を基準として並列方向に沿って、それぞれの巻取ユニット10に割り振られる番号である。この場合、第1情報総括グラフ91の1本の棒グラフは、所定の時間長さにおける1つの巻取ユニット10の稼動状態毎の時間比率を示す。
【0048】
上述したように、本実施形態では、稼動履歴画面が最初に表示された状態では、第2項目のALLが選択済みである。言い換えれば、デフォルトで第1情報の全てが選択されているため、制御部51は、ユーザの指示を待たずに第1情報総括グラフ91を第3領域90に表示する。これに代えて、制御部51は、ユーザが第2項目のALLを選択する操作を行ったことを検出した後に、第3領域90に第1情報総括グラフ91を表示してもよい。
【0049】
次に、制御部51は、操作部53に行われた操作に基づいて、第1領域70の第1情報が選択されたか否かを判定する(S104)。上述したように、第1領域70の第2項目72はユーザが選択可能である。本実施形態では、制御部51は、第1項目71、第2項目72、又は第3項目73が選択された場合は第1情報が選択されたと判定する。更に、制御部51は、選択された第2項目72に対応する第1情報を特定し、特定された第1情報が選択されたと判定する。
【0050】
制御部51は、第1領域70の第1情報が選択されたと判定した場合、選択された第1情報に属する第2情報を表示部52の第2領域80に表示する(S105、図5)。第2情報とは、第1情報に関連し、かつ、第1情報を更に詳細に示す情報である。言い換えれば、第2情報は、第1情報の下位の階層に相当する情報である。本実施形態では、第2情報は、第1情報が示す時間比率を更に細かく分類した情報である。図5には、第1情報として「糸継待ち停止時間比率」が選択されており、それに属する第2情報である「糸継待ち停止時間比率内訳」が第2領域80に表示されている。具体的には、第2領域80の第1項目81には糸継待ち停止時間比率内訳として、「トレイ供給停止時間比率」と「コンベア満杯時間比率」と「コンベアトレイ詰まり時間比率」と「トレイレベル制御時間比率」とが表示されている。これらの時間比率がそれぞれ第2情報に相当する。トレイ供給停止時間比率は、給糸ボビン21を巻取ユニット10に供給するためのトレイの供給が停止されていることに起因して、糸継待ちが発生した時間比率である。コンベア満杯時間比率とは、コンベアがトレイで満たされており、トレイが排出できないことに起因して糸継待ちが発生した時間比率である。コンベアトレイ詰まり時間比率とは、巻取ユニット10にトレイを供給するためのコンベアに詰まりが生じた時間比率である。トレイレベル制御時間比率とは、トレイレベル制御を行うために掛かった時間比率である。
【0051】
表示部52の表示画面は第1領域70と第2領域80に区分されており、第1領域70に第1情報が表示され、第2領域80に第2情報が表示される。言い換えれば、同一画面に第1情報と第2情報が表示される。これにより、第1情報と第2情報が重複しないので、ユーザは、第1情報と第2情報を同時に確認することができる。
【0052】
第2領域80の第2項目82には、第1項目81に示された情報の略称が記載されている。後述するように、第1項目81、第2項目82、及び第3項目83はオペレータが操作可能なボタンを兼ねている。また、第2項目82の最も上の欄には、全ての第2情報を総括することを示す「ALL」という文字列が表示されている。第2領域80の第3項目83には、同じ行に記載された糸継ぎ待ち停止時間比率内訳に対応する実際の時間比率が記載されている。
【0053】
なお、これらの第2情報は「糸継待ち停止時間比率」に属する情報である。他の第1情報が選択された場合は、選択された第1情報に属する別の第2情報が第2領域80に表示される。例えば、第1情報として「満管停止時間比率」が選択された場合は、第2情報として満管停止時間比率の内訳、例えば、玉揚台車40が他の巻取ユニット10に対して作業を行っていた時間比率、玉揚台車40が移動を開始して該当の巻取ユニット10に到達するまでの時間比率、その他のエラーにより停止していた時間比率等が含まれる。また、第1情報が巻取ユニット10で発生したアラームの内訳である場合、更に詳細なアラームの内訳が第2情報となる。
【0054】
図5に示すように、稼動履歴画面には、第1領域70及び第2領域80に跨る位置にリンクバー79が表示されている。リンクバー79は、第2情報が何れの第1情報に属しているかを明確にするための表示物である。リンクバー79は、第1領域70に表示された1つの第1情報(ユーザが選択した第1情報)から延びており、第2領域80に表示された第2情報の第1項目81に接続されている。これにより、ユーザは、現在選択中の第1情報を確認できるとともに、第1情報と第2情報との対応関係を直感的に把握できる。なお、第2情報が何れの第1情報に属しているかを明確にするための表示物は、リンクバーに限られない。例えば選択中の第1情報の枠線の色と、第2情報を示す表の枠線の色と、を同じにしてもよい。この場合、同色の枠線が、第1情報と第2表示物の対応関係を示す表示物に相当する。
【0055】
次に、制御部51は、選択された第1情報の第1情報個別グラフ92を第3領域90に表示する(S106、図5)。制御部51は、第3領域90から第1情報総括グラフ91を削除した後に、第3領域90に第1情報個別グラフ92を表示する。制御部51は、選択された第1情報に基づいて第1情報個別グラフ92を作成する。第1情報個別グラフ92は、選択された第1情報の内容を示すグラフである。つまり、第1情報個別グラフ92は、第1情報総括グラフ91から、選択した項目以外を非表示にしたグラフである。具体的には、第1情報個別グラフ92の横軸は巻取ユニット10を示しており、詳細には巻取ユニット10に割り振られる番号を用いて、それぞれの巻取ユニット10が示されている。第1情報個別グラフ92の縦軸は、選択された第1情報の値である。図5に示す例では第1情報として「糸継待ち停止時間比率」が選択されているため、巻取ユニット10毎の糸継待ち停止時間比率が第1情報個別グラフ92として示されている。また、制御部51は、複数の第1情報が選択された場合、複数の第1情報を含む第1情報個別グラフ92を作成する。この場合、第2領域80には、複数の第1情報のうち最も上側の第1情報に対応する第2情報だけが第2領域80に表示されてもよいし、第2領域80をスクロール可能にして選択された全ての第1情報に対応する第2情報を第2領域80に表示してもよい。
【0056】
また、第1情報の値に基準が設定されている場合、制御部51は、第1情報個別グラフ92に基準となる値を表示する。更に、制御部51は、第1情報個別グラフ92における、基準を満たす巻取ユニット10の表示態様と、基準を満たさない巻取ユニット10の表示態様と、を異ならせる。表示態様を異ならせるとは、表示の仕方が異なることであり、具体的には、表示色、点滅の有無、強調表示の有無等が異なることである。これにより、基準を満たさない巻取ユニット10を目立たせることができる。なお、第1情報個別グラフ92の横軸は巻取ユニット10の番号に限られず、時間であってもよい。この場合、所定の時間長さ毎の糸継待ち停止時間比率が示されることになる。また、横軸が巻取ユニット10の番号であるグラフと、横軸が時間であるグラフと、を同時に第3領域90に表示してもよい。
【0057】
第1情報個別グラフ92の近傍であって第1情報個別グラフ92とは異なる位置、詳細には第1情報個別グラフ92の上方には、特定巻取ユニット93が表示されている。特定巻取ユニット93は、基準を満たさない巻取ユニット10の番号と、その巻取ユニット10の第1情報の値と、で構成されている。特定巻取ユニット93は、第1情報の値が悪い順に最大5つの巻取ユニット10の番号を表示する。なお、基準を満たさない巻取ユニット10が存在しない場合、特定巻取ユニット93には巻取ユニット10の番号は表示されない。特定巻取ユニット93として表示する巻取ユニット10の番号の数の最大は5に限られず、5以外の数値であってもよい。また、特定巻取ユニット93は、基準を満たさない全ての巻取ユニット10を表示してもよい。特定巻取ユニット93に表示される巻取ユニット10の番号の一覧はスクロール可能であってもよい。これにより、多くの巻取ユニット10の番号が表示された場合でも、ユーザは全ての巻取ユニット10の番号を確認できる。また、巻取ユニット10の表示順序は第1情報の値が悪い順に限られず、巻取ユニット10の番号順であってもよい。なお、第1情報の値の表示を省略してもよい。あるいは、特定巻取ユニット93の表示を省略してもよい。
【0058】
第3領域90には、更に、補助グラフ94が表示される。補助グラフ94は、第1情報個別グラフ92を補助するグラフであり、第1情報に関する別の観点のグラフである。第3領域90の区分された領域の一方に第1情報個別グラフ92が表示され、他方に補助グラフ94が表示される。言い換えれば、表示部52の同一画面に第1情報個別グラフ92と補助グラフ94が表示される。
【0059】
図5に示す例では、補助グラフ94の横軸は時間であり、縦軸は第1情報である。補助グラフ94には、複数の巻取ユニット10の第1情報の平均値が示されている。なお、複数の巻取ユニット10の第1情報の平均値に代えて合計値を示すグラフを記載してもよい。この補助グラフ94は一例であり、例えば第1情報個別グラフ92の横軸が時間である場合は、補助グラフ94の横軸を巻取ユニット10にしてもよい。あるいは、補助グラフ94の表示を省略してもよい。
【0060】
表示部52の表示画面は第1領域70と第2領域80と第3領域90に区分されている。そのため、第1情報と第2情報と同一画面に、第3領域90のグラフ(第1情報個別グラフ92、補助グラフ94、及び後述の第2情報総括グラフ95)が表示される。そのため、ユーザは、第1情報と第2情報を見ながら、第3領域90のグラフを確認することができる。
【0061】
また、ユーザは、操作部53を用いて、第3領域90に表示された第1情報個別グラフ92を選択する操作を行うことができる。制御部51は、操作部53に行われた操作に基づいて、第1情報個別グラフ92の一部が選択されたか否かを判定する(S107)。
【0062】
制御部51は、第1情報個別グラフ92の一部が選択されたと判定した場合、選択された範囲のうち第1情報の値が最も悪い巻取ユニット10を選択する(S108)。具体的には、制御部51は、第1情報個別グラフ92の一部が選択された場合、当該選択された位置から所定範囲内に位置する巻取ユニット10のグラフを特定し、第1情報の値が最も悪い巻取ユニット10を選択する。例えば第1情報が糸継待ち停止時間比率のように低い方が優れている場合、制御部51は、第1情報の値が最も高い巻取ユニット10を選択する。逆に、例えば第1情報が作業時間比率(機械効率)等のように高い方が優れている場合、制御部51は、第1情報の値が最も低い巻取ユニット10を選択する。ユーザは、第1情報の値が悪い巻取ユニット10の情報を把握したいため、上述した処理を行うことにより、ユーザの手間を軽減できる。
【0063】
図6に示す例では、指を用いて巻取ユニット10の番号30の近傍がタッチ(選択)されており、タッチされた位置から所定範囲(例えばグラフの2,3本分)の範囲に、基準を満たさない番号30の巻取ユニット10が存在するため、制御部51は番号30の巻取ユニット10を選択する。
【0064】
本実施形態では、制御部51は、所定範囲内で第1情報の値が最も悪い巻取ユニット10を選択するが、ユーザがタッチした位置に最も近い巻取ユニット10が選択されてもよい。そのため、補助グラフ94を構成するグラフは、第1情報の値が最も悪いグラフに限られない。また、本実施形態では、第1情報個別グラフ92を用いて巻取ユニット10が選択されるが、それ以外の方法(例えばユーザが巻取ユニット10の番号を入力する方法)で巻取ユニット10が選択されてもよい。
【0065】
そして、制御部51は、選択された巻取ユニット10に関するグラフを第3領域90に表示する(S109)。具体的には、制御部51は、選択された巻取ユニット10の第1情報の値を示すグラフを、補助グラフ94に追加する。これにより、ユーザは、選択された巻取ユニット10の第1情報を、複数の巻取ユニット10の第1情報の平均値又は合計値と、を比較することができる。なお、第1情報個別グラフ92をタッチした場合だけでなく、特定巻取ユニット93に記載の巻取ユニット10の番号が選択されたことを検出した場合においても、制御部51は、選択された巻取ユニット10に関するグラフを表示する。
【0066】
制御部51は、操作部53に行われた操作に基づいて、第2情報総括グラフ95の表示指示があったか否かを判定する(S110)。本実施形態では、制御部51は、第2領域80の第2項目82のALLが選択された場合に、第2情報の全てが選択されるため、第2情報総括グラフ95の表示指示があったと判定する。ただし、別の方法(例えば、第1項目81又は第3項目83の選択)により第2情報総括グラフ95の表示指示がされてもよい。
【0067】
制御部51は、第2情報総括グラフ95の表示指示があったと判定した場合、表示部52の第3領域90に第2情報総括グラフ95を表示する(S111、図7)。制御部51は、第1情報個別グラフ92及び補助グラフ94を第3領域90から削除した後に、第2情報総括グラフ95を表示する。第2情報総括グラフ95は、全ての(複数の)第2情報をまとめて示すグラフである。具体的には、第2情報総括グラフ95の横軸は時間であり、縦軸は糸継待ち停止時間比率内訳(複数の第2情報)である。つまり、第2情報総括グラフ95の1本の棒グラフは、所定の時間長さにおける糸継待ち停止が発生した要因の時間比率を示す。なお、第2情報総括グラフ95の横軸を巻取ユニット10にしてもよい。この場合、第2情報総括グラフ95の1本の棒グラフは、所定の時間長さにおける1つの巻取ユニット10の糸継待ち停止が発生した要因の時間比率を示す。
【0068】
ユーザは、第2情報総括グラフ95を参照することにより、第2領域80に表示される複数の第2情報を一見して把握することができる。なお、第2情報総括グラフ95を表示する機能は必須ではなく省略してもよい。
【0069】
本実施形態では、第1情報が選択された場合に第3領域90に第1情報個別グラフ92を表示する。この処理に代えて又は加えて、第2情報が選択された場合に第3領域90に第2情報個別グラフを表示してもよい。第1情報個別グラフ92に関する説明は、第2情報個別グラフにも適用されるものとする。また、本実施形態では、巻取ユニット10が選択された場合に、第1情報の補助グラフ94を第3領域90に表示する。この処理に代えて又は加えて、巻取ユニット10が選択された場合に、第2情報の補助グラフ94を第3領域90に表示してもよい。第1情報の補助グラフ94に関する説明は、第2情報の補助グラフ94にも適用されるものとする。
【0070】
以上に説明したように、糸を巻き取ってパッケージ22を製造する糸処理装置2を管理する。本実施形態の管理装置50は、表示部52と、制御部51と、を備える。表示部52は、糸処理装置2の稼動履歴に関する情報を表示する。制御部51は、表示部52の表示内容を制御する。制御部51は、糸処理装置2の稼動履歴に関する複数の第1情報を表示部52に表示するとともに、第1情報が選択された場合に、選択された第1情報に属する第2情報を表示部52に表示する。制御部51は、第1情報と、第1情報に属する第2情報と、が重複しないように、かつ、同一画面に表示する。
【0071】
これにより、ユーザは、第1情報を確認しながら、第1情報に属する第2情報の内容を確認できる。従って、第1情報を表示部52の表示領域から削除して第2情報を表示する場合と比較して、ユーザは、稼動履歴に関する情報を容易に把握できる。
【0072】
本実施形態の管理装置50において、表示部52は、互いに重複しない領域である、第1領域70と、第2領域80と、第3領域90と、を有する。制御部51は、第1領域70に第1情報を表示し、第2領域80に第2情報を表示し、第3領域90に第1情報に関するグラフである第1情報個別グラフ92を表示する。なお、第1情報個別グラフ92に代えて、第2情報個別グラフを表示してもよい。
【0073】
ユーザは、第1情報、第1情報に属する第2情報、第1情報又は第2情報に関する個別グラフを同時に確認できるので、稼動履歴に関する情報を詳細に把握できる。
【0074】
本実施形態の管理装置50において、糸処理装置2は、パッケージ22を製造する複数の巻取ユニット10を備える。制御部51は、表示部52に表示された第1情報の選択が行われた場合に、横軸が時間であり、縦軸が選択された第1情報の時間毎の値である第1情報個別グラフ92及び/又は横軸が複数の巻取ユニット10であり、縦軸が選択された第1情報の巻取ユニット10毎の値である第1情報個別グラフ92を第1情報及び第2情報と同一画面に表示する。なお、制御部51は、第2情報が選択された場合、第1情報個別グラフ92に代えて又は加えて、第2情報個別グラフを表示してもよい。
【0075】
これにより、ユーザは、時間変化に応じた第1情報若しくは第2情報、又は、巻取ユニット10毎の第1情報若しくは第2情報を一見して把握できる。
【0076】
本実施形態の管理装置50において、個別グラフ(第1情報個別グラフ92又は第2情報個別グラフ)の横軸は複数の巻取ユニット10である。制御部51は、選択された第1情報又は第2情報の値が基準を満たさない巻取ユニット10を特定する情報を個別グラフとは異なる位置に表示する。
【0077】
これにより、ユーザは、基準を満たさない巻取ユニット10を個別グラフとは異なる位置に表示された情報を見て把握できる。
【0078】
本実施形態の管理装置50において、第1情報個別グラフ92の横軸は巻取ユニット10である。制御部51は、第1情報個別グラフ92の一部が選択された場合、当該選択された位置から所定範囲内に位置する巻取ユニット10のうち、第1情報の値が最も悪い巻取ユニット10を選択する。なお、制御部51は、第2情報個別グラフが表示部52に表示される場合は、同様の処理を行って、第2情報の値が最も悪い巻取ユニット10を選択する。
【0079】
これにより、ユーザは、所定範囲内における第1情報又は第2情報の値が最も悪い巻取ユニット10を簡単に選択できる。
【0080】
本実施形態の管理装置50において、制御部51は、巻取ユニット10が選択された場合、更に、第1情報の補助グラフ94又は第2情報の補助グラフを表示部52に表示する。第1情報の補助グラフ94の横軸は時間であり、縦軸は選択された巻取ユニット10の第1情報と、複数の巻取ユニット10の第1情報の平均値又は合計値である。第2情報の補助グラフの横軸は時間であり、縦軸は選択された巻取ユニット10の第2情報と、複数の巻取ユニット10の第2情報の平均値又は合計値である。
【0081】
これにより、ユーザは、選択された巻取ユニット10の第1情報(又は第2情報)を、他の複数の巻取ユニット10の第1情報の平均値又は合計値(又は第2情報の平均値又は合計値)と簡単に比較できる。
【0082】
本実施形態の管理装置50において、制御部51は、糸処理装置2の動作状態毎の巻取ユニット10をそれぞれ第1情報として表示部52に表示する。制御部51は、糸処理装置2のそれぞれの動作状態の巻取ユニット10の更に詳細な内訳を第2情報として表示部52に表示する。
【0083】
これにより、ユーザは、糸処理装置2の各動作の時間比率及びその内訳を一見して把握できる。
【0084】
本実施形態の管理装置50において、制御部51は、第1情報又は第2情報が選択される場合に、横軸が時間であり、縦軸が糸処理装置2の動作状態に対する時間比率の総括を示す第1情報総括グラフ91を表示部52に表示する。なお、制御部51は、第2情報が選択される場合は、第2情報総括グラフを表示してもよい。
【0085】
これにより、ユーザは、複数の第1情報又は第2情報に関する情報を一見して把握できる。
【0086】
本実施形態の管理装置50において、制御部51は、第1情報と第2情報との対応関係を示すリンクバー79を表示部52に表示する。
【0087】
これにより、ユーザは、どの第1情報に属する第2情報が表示されているかを一見して把握できる。
【0088】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0089】
上記実施形態で示したフローチャートは一例であり、一部の処理を省略したり、一部の処理の内容を変更したり、新たな処理を追加したりしてもよい。例えば、稼動履歴画面の表示指示があった場合に第1情報総括グラフ91を第3領域90に表示する処理を省略し、ユーザからの指示が別途あった場合に第1情報総括グラフ91を第3領域90に表示してもよい。
【0090】
上記実施形態では、自動ワインダ1が備える管理装置50に本発明を適用した例を説明したが、自動ワインダ1以外の繊維機械(例えば紡績機)にも本発明を適用できる。
【0091】
上記実施形態では、管理装置50は、糸処理装置2と並んで配置されているが、糸処理装置2とは離れた位置に管理装置50が配置されていてもよい。また、1又は複数の管理装置50を管理する上位の管理装置(外部装置)が、上述した第1情報又は第2情報に関する処理を行ってもよい。外部装置は、例えば、自動ワインダ1の工場内に配置される記憶装置であるか、あるいは、ワイドエリアネットワークを介して管理装置50と接続されるデータサーバである。
【符号の説明】
【0092】
1 自動ワインダ
2 糸処理装置
10 巻取ユニット
40 玉揚台車
50 管理装置
51 制御部
52 表示部
53 操作部
54 通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7