(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081981
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】管理装置
(51)【国際特許分類】
B65H 63/00 20060101AFI20240612BHJP
【FI】
B65H63/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195628
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】富山 公貴
(72)【発明者】
【氏名】平井 克尚
【テーマコード(参考)】
3F115
【Fターム(参考)】
3F115AA01
3F115CA42
3F115CA53
3F115CF39
(57)【要約】
【課題】糸処理装置の通信異常の発生状況をユーザに直感的に把握させることが可能な管理装置を提供する。
【解決手段】管理装置は、糸を巻き取ってパッケージを製造する糸処理装置を管理する。管理装置は、表示部と、表示制御部と、通信部と、検出部と、を備える。表示部は、糸処理装置に関する情報を表示する。表示制御部は、表示部の表示内容を制御する。通信部は、糸処理装置を構成する複数のユニットとそれぞれ通信する。検出部は、ユニットの通信異常を検出する。表示制御部は、複数のユニットを示すノードと、ユニット同士を接続する通信経路を示すリンクと、を用いたネットワーク構成図を表示部に表示する。表示制御部は、検出部が検出した通信異常を、ネットワーク構成図のうち当該通信異常の発生箇所に応じた位置に重畳して、表示部に表示する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸を巻き取ってパッケージを製造する糸処理装置を管理する管理装置において、
前記糸処理装置に関する情報を表示する表示部と、
前記表示部の表示内容を制御する表示制御部と、
前記糸処理装置を構成する複数のユニットとそれぞれ通信する通信部と、
前記ユニットの通信異常を検出する検出部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記複数のユニットを示すノードと、前記ユニット同士を接続する通信経路を示すリンクと、を用いたネットワーク構成図を前記表示部に表示し、
前記表示制御部は、前記検出部が検出した通信異常を、前記ネットワーク構成図のうち当該通信異常の発生箇所に応じた位置に重畳して、前記表示部に表示することを特徴とする管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の管理装置であって、
前記ユニットは、前記パッケージを形成する巻取ユニット、及び、前記巻取ユニットによる前記パッケージの形成を補助する補助ユニットであり、
前記表示部は、第1領域と、第2領域と、を有し、
前記表示制御部は、
前記第1領域に、前記巻取ユニットの前記ネットワーク構成図と、前記巻取ユニットの通信異常を表示し、
前記第2領域に、前記第1領域と重複しないように、前記補助ユニットの前記ネットワーク構成図と、前記補助ユニットの通信異常を表示することを特徴とする管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の管理装置であって、
前記表示制御部は、通信異常が生じている前記巻取ユニットの識別情報を表示することを特徴とする管理装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の管理装置であって、
前記表示制御部は、前記ネットワーク構成図の全体を前記表示部の一画面に表示するか、あるいは、画面スクロールにより前記ネットワーク構成図の全体が確認可能な態様で当該ネットワーク構成図を前記表示部に表示することを特徴とする管理装置。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の管理装置であって、
前記ユニットは、複数の機器から構成されており、
前記表示制御部は、前記ノードに前記機器を含めた前記ネットワーク構成図を前記表示部に表示し、
前記表示制御部は、前記機器の通信異常を、当該通信異常の発生箇所に応じて前記ネットワーク構成図に重畳して前記表示部に表示することを特徴とする管理装置。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載の管理装置であって、
前記表示制御部は、前記ノードの選択を受け付け、前記ノードが選択された場合は、選択された前記ノードに対応する通信基板の位置を示す画像を前記表示部に表示することを特徴とする管理装置。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか一項に記載の管理装置であって、
前記検出部が検出する通信異常が、通信不可であることを特徴とする管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、糸を巻き取ってパッケージを製造する糸処理装置を管理する管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、1つの上位制御装置と、複数の下位制御装置と、を備える繊維機械を開示する。上位制御装置は、通信チェックを行い、それぞれの下位制御装置との間で通信ができるか否かをチェックする。上位制御装置は、通信チェックの結果をディスプレイに表示する。具体的には、上位制御装置は、下位制御装置の一覧をリストとして表示し、通信に成功したか否かを付記する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の繊維機械では、下位制御装置がリストとして表示されるため、ユーザは、通信異常の発生箇所を直感的に把握しにくい。また、特定の下位制御装置で通信異常が発生した場合、この特定の下位制御装置自体に起因して通信異常が発生したのか、あるいは、別の下位制御装置又は通信経路に起因して通信異常が発生したかをユーザは容易に判別できない。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、糸処理装置の通信異常の発生状況をユーザに直感的に把握させることが可能な管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の観点によれば、以下の構成の管理装置が提供される。即ち、管理装置は、糸を巻き取ってパッケージを製造する糸処理装置を管理する。管理装置は、表示部と、表示制御部と、通信部と、検出部と、を備える。前記表示部は、前記糸処理装置に関する情報を表示する。前記表示制御部は、前記表示部の表示内容を制御する。前記通信部は、前記糸処理装置を構成する複数のユニットとそれぞれ通信する。前記検出部は、前記ユニットの通信異常を検出する。前記表示制御部は、前記複数のユニットを示すノードと、前記ユニット同士を接続する通信経路を示すリンクと、を用いたネットワーク構成図を前記表示部に表示する。前記表示制御部は、前記検出部が検出した通信異常を、前記ネットワーク構成図のうち当該通信異常の発生箇所に応じた位置に重畳して、前記表示部に表示する。
【0008】
これにより、ネットワーク構成図に通信異常の発生箇所が重畳されるため、ユーザは、糸処理装置を構成する各ユニットの通信異常の発生状況を直感的に把握できる。
【0009】
前記の管理装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記ユニットは、前記パッケージを形成する巻取ユニット、及び、前記巻取ユニットによる前記パッケージの形成を補助する補助ユニットである。前記表示部は、第1領域と、第2領域と、を有する。前記第1領域に、前記巻取ユニットの前記ネットワーク構成図と、前記巻取ユニットの通信異常を表示する。前記第2領域に、前記第1領域と重複しないように、前記補助ユニットの前記ネットワーク構成図と、前記補助ユニットの通信異常を表示する。
【0010】
これにより、巻取ユニットと補助ユニットに分けてネットワーク構成図が表示されるため、ユーザは、通信異常の発生箇所を一層簡単に把握することができる。また、巻取ユニットの通信異常と補助ユニットの通信異常が同一画面に表示されるので、画面を切り替える手間を無くすことができる。
【0011】
前記の管理装置においては、前記表示制御部は、通信異常が生じている前記巻取ユニットの識別情報を表示することが好ましい。
【0012】
これにより、ユーザは、通信異常が生じている巻取ユニットを即座に把握できる。
【0013】
前記の管理装置においては、前記表示制御部は、前記ネットワーク構成図の全体を前記表示部の一画面に表示するか、あるいは、画面スクロールにより前記ネットワーク構成図の全体が確認可能な態様で当該ネットワーク構成図を前記表示部に表示することが好ましい。
【0014】
これにより、ユーザは全く又はあまり手間を掛けることなく、糸処理装置の全体の通信異常の発生状況を把握できる。
【0015】
前記の管理装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記ユニットは、複数の機器から構成されている。前記表示制御部は、前記ノードに前記機器を含めた前記ネットワーク構成図を前記表示部に表示する。前記表示制御部は、前記機器の通信異常を、当該通信異常の発生箇所に応じて前記ネットワーク構成図に重畳して前記表示部に表示する。
【0016】
これにより、ユーザは、ユニット内の通信異常も含めて、通信異常の発生状況を把握できる。
【0017】
前記の管理装置においては、前記表示制御部は、前記ノードの選択を受け付け、前記ノードが選択された場合は、選択された前記ノードに対応する通信基板の位置を示す画像を前記表示部に表示することが好ましい。
【0018】
これにより、通信基板の画像が表示部に表示されるので、通信異常を解消する際に、該当の通信基板を容易に特定できる。
【0019】
前記の管理装置においては、前記検出部が検出する通信異常が、通信不可であることが好ましい。
【0020】
これにより、ユーザが介在しないと解消が困難な通信異常を表示部に表示してユーザに把握させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る管理装置を含む自動ワインダの正面図。
【
図3】通信確認を行って通信確認画面を表示する処理を示すフローチャート。
【
図4】ネットワーク構成図に通信異常アイコンを重畳した通信確認画面。
【
図5】画像表示アイコンを操作し、ノード選択画面を操作することで、通信基板画像が表示されることを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。初めに、
図1及び
図2を参照して、自動ワインダ(繊維機械)の全体的な構成について説明する。
【0023】
図1に示す自動ワインダ1は、糸処理装置2と、管理装置50と、を備える。糸処理装置2と管理装置50は並んで配置されている。糸処理装置2は、並設された複数の巻取ユニット10を備える。糸処理装置2は、更に、ボビン準備装置30(
図2)と玉揚台車40とを備える。ボビン準備装置30及び玉揚台車40は、巻取ユニット10の巻取りを補助するため、それぞれ補助ユニットに相当する。
【0024】
それぞれの巻取ユニット10は、給糸部11と、糸解舒補助装置12と、テンション付与装置13と、糸継装置14と、糸品質測定器15と、クレードル16と、巻取ドラム17と、ハウジング18と、を備える。
【0025】
自動ワインダ1には、給糸ボビン21が装着されたトレイを搬送するためのコンベアが設けられている。給糸部11には、コンベアによって搬送されたトレイが支持されている。糸解舒補助装置12は、給糸ボビン21から解舒される糸が遠心力によって振り回されて外側に膨らんだ部分(バルーン)に対して接触することで、糸が過度に振り回されることを抑制し、糸の解舒を一定のテンションで行うことができる。テンション付与装置13は、走行する糸に所定のテンションを付与する。糸継装置14には、給糸ボビン21から解舒される糸と、パッケージ22の糸と、がそれぞれ案内される。糸継装置14は図略のブロアに接続されており、空気流を発生させることができる。糸継装置14は、空気流を用いて、糸同士の糸継ぎを行う。糸品質測定器15は、走行する糸の品質(例えば糸太さ又はその変化量等)を光学式センサ等で測定する。
【0026】
クレードル16には巻取ボビンが取り付けられている。巻取ドラム17は、巻取ボビン又はパッケージ22と接触して回転することにより、糸を綾振りしつつ、当該糸を巻取ボビンに巻き取る。巻取ドラム17が巻取ボビンに糸を巻き取ることにより、パッケージ22が製造される。
【0027】
ハウジング18の内部には、
図2に示すユニット制御部19が設けられている。ユニット制御部19は、CPU、RAM、ストレージ等を備える。ストレージは、例えば、HDD、SDD、又はフラッシュメモリである。ストレージには各種プログラム及び制御用データが記憶されている。CPUは、ストレージに記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行する。これにより、ユニット制御部19は巻取ユニット10に関する制御を行う。
【0028】
ボビン準備装置30は、図略のコンベアと糸端準備装置を備える。コンベアは、給糸ボビン21が装着されたトレイを巻取ユニット10まで搬送する。糸端準備装置は、巻取ユニット10が給糸ボビン21から糸をスムーズに引き出すための準備を行う。
【0029】
玉揚台車40は、巻取ユニット10の並列方向に沿って走行可能である。具体的には、巻取ユニット10の上方には、並列方向に沿ってレールが形成されており、玉揚台車40はレールに沿って走行する。玉揚台車40は、ある巻取ユニット10においてパッケージが満巻となった場合、玉揚台車40は、当該巻取ユニット10まで走行して停止する。玉揚台車40は、当該巻取ユニット10の満巻のパッケージを取り外すとともに糸が巻かれていない新たな巻取ボビンを巻取ユニット10に供給する。
【0030】
具体的には、玉揚台車40は、糸引出しアーム41と、クレードル開放アーム42と、チャッカ43と、を備える。糸引出しアーム41は、図略のエアシリンダ等のアクチュエータにより伸縮可能である。糸引出しアーム41は図略のブロア装置に接続されている。これにより、糸引出しアーム41の先端の糸捕捉部に吸引流を発生させることができる。糸引出しアーム41は、この吸引流を用いて給糸ボビン21からの糸を引き出す。クレードル開放アーム42は、クレードル16を操作して開放し、満巻となったパッケージ22をクレードル16から取り外す玉揚作業を行う。チャッカ43は、図略のボビンストッカに保持されている空の巻取ボビンを掴んでクレードル16に供給する。
【0031】
管理装置50は、糸処理装置2を管理する。本実施形態の糸処理装置2は、巻取ユニット10及び玉揚台車40を含む。ただし、玉揚台車40を糸処理装置2から除外してもよい。即ち、玉揚台車40は、管理装置50の管理対象であってもよいし、管理装置50の管理対象外であってもよい。また、
図2に示すように、管理装置50は、制御部51と、表示部52と、操作部53と、通信部54と、を備える。
【0032】
制御部51は、ユニット制御部19と同様、CPU、RAM、ストレージ等を備える。ストレージは、例えば、HDD、SSD、又はフラッシュメモリである。ストレージには各種プログラム及び制御用データが記憶されている。CPUは、ストレージに記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行する。これにより、制御部51は、糸処理装置2の管理に関する制御を行う。また、制御部51は、プログラムを実行することにより表示制御部51a又は検出部51bとしての機能することもできる。
【0033】
表示部52は、情報を表示可能なディスプレイ装置である。表示部52は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイである。表示部52は、制御部51が生成した画面を表示する。以下の説明において、「画面」とは、糸処理装置2に関する情報の表示、又は、糸処理装置2に関する設定の変更を目的として、表、グラフ、写真、イラスト、入力欄、又はアイコン等で構成された表示物である。具体的には、糸処理装置2に関する設定を確認又は変更するための設定画面、糸処理装置2の現在の状況を確認するための確認画面等が表示部52に表示される。確認画面としては、糸処理装置2の通信異常の発生状況を確認するための通信確認画面がある。
【0034】
操作部53は、ユーザが操作可能なハードウェアデバイスである。操作部53は、例えば、ハードウェアキー又はタッチパネルである。タッチパネルは、表示部52と一体的に構成されており、ユーザが表示部52の画面に触れた場合、ユーザが触れた位置を検出する。また、制御部51は、ユーザが触れた位置の履歴に基づいて、所定の操作(タップ、ダブルタップ、ドラッグ、ピンチイン、ピンチアウト)が行われたことを検出可能である。なお、ユーザとは、自動ワインダ1の稼動を補助するオペレータだけでなく、自動ワインダ1を管理する管理者も含む用語である。
【0035】
制御部51は、ユーザが操作部53を操作して行った指令に応じた処理を行う。例えば、ユーザが操作部53を操作して、通信確認画面の表示指示を行った場合、制御部51は、指定された通信確認画面を表示する。
【0036】
通信部54は、他の装置と通信を行うための有線通信モジュール又は無線通信モジュールである。通信部54は、複数の巻取ユニット10、ボビン準備装置30、及び玉揚台車40と通信可能である。これらの通信で用いる通信規格は、例えばLAN又はCANであるが、他の通信規格であってもよい。
【0037】
次に、
図3から
図5を参照して、制御部51の検出部51bが通信確認を行って、制御部51の表示制御部51aが通信確認画面を表示部52に表示する処理の流れを説明する。この処理は、
図3のフローチャートに記載されている。
図3のフローチャートは、制御部51によって行われる。
【0038】
制御部51は、通信確認タイミングか否かを判定する(S101)。通信確認タイミングとは、糸処理装置2の通信状況を確認するタイミングである。例えば、所定時間毎に通信確認タイミングが到来するように設定してもよいし、ユーザの指示があったタイミングを通信確認タイミングとして取り扱ってもよい。
【0039】
制御部51(検出部51b)は、通信確認タイミングであると判定した場合、通信確認を行う。具体的には、制御部51(検出部51b)は、通信部54を制御して、糸処理装置2の各ユニット(巻取ユニット10、ボビン準備装置30、玉揚台車40)に通信確認信号を送信する(S102)。通信確認信号の送信先は、各ユニットの機器のうち外部通信を行うための機器(例えばユニット制御部19)である。以下では、ユニット(巻取ユニット10、ボビン準備装置30、玉揚台車40)を構成する機器を単に「機器」と称することがある。
【0040】
各ユニットは、通信確認信号を受信した場合、応答信号を管理装置50に送信する。管理装置50と特定のユニットの間で通信を行うことができない場合、管理装置50は、この特定のユニットから応答信号を受信することができない。従って、制御部51(検出部51b)は、応答信号を受信できたか否かに応じて、各ユニットの通信異常を検出できる。制御部51は、応答信号の返信の有無(即ち、通信異常の有無)を、ユニットを特定する情報と対応付けてストレージに記憶する(S103)。
【0041】
なお、制御部51は、自身が備えるストレージに代えて、外部装置にユニット毎の通信異常の有無を記憶してもよい。外部装置は、例えば、自動ワインダ1の工場内に配置される記憶装置であるか、あるいは、ワイドエリアネットワークを介して管理装置50と接続されるデータサーバである。
【0042】
ここで、管理装置50とユニットとの間で何らかの原因で通信遅延が発生している場合、制御部51が応答信号を受信するまでの時間が長くなる。制御部51は、応答信号を受信するまでに閾値以上の時間が掛かった場合、相手のユニットとの間で通信遅延が生じていると判定する。制御部51は、通信遅延が発生していることを、ユニットを特定する情報と対応付けてストレージに記憶する。なお、通信遅延の判定は必須の処理ではなく省略することもできる。
【0043】
また、応答信号には、ユニットを構成する複数の機器についての通信異常の有無を示す情報が含まれる。例えば、巻取ユニット10は、上述したように、制御、糸の巻取り、糸の巻取りの補助、及び品質監視等を行う複数の機器を備える。巻取ユニット10を構成するこれらの機器同士が通信することにより、巻取ユニット10は適切に動作する。ユニット制御部19は、巻取ユニット10を構成する他の機器に対して、通信確認信号を送信し、応答信号を受信できたか否かに応じて、他の機器の通信異常の有無を検出する。ユニット制御部19は、他の機器の通信異常の有無を示す情報を応答信号に含め、この応答信号を管理装置50へ送信する。なお、ユニット制御部19は、更に、通信遅延の判定を行って、通信遅延の有無を示す情報を応答信号に含めてもよい。
【0044】
制御部51は、応答信号の有無に加え、応答信号に含まれる各機器の通信異常の有無をストレージに記憶する(S104)。これにより、制御部51は、各ユニットに通信異常があるか否か、及び、ユニットを構成する各機器に通信異常があるか否かを特定できる。
【0045】
なお、上述した通信確認の方法は一例であり、別の方法で通信確認を行ってもよい。例えば、一定時間間隔で各ユニットが生存通知信号を制御部51に送信するように設定する。そして、生存通知信号を受信できない時間が一定時間を超えた場合、そのユニットに通信異常が発生していると判断する。また、ユニットを構成する機器同士の通信確認も同様の方法で行うことができる。
【0046】
制御部51は、操作部53に行われた操作に基づいて、通信確認画面の表示指示があったか否かを判定する(S105)。通信確認画面の表示指示は、例えば、
図4に示す第1メニューバー61、第2メニューバー62、第3メニューバー63を操作することにより行われる。第1メニューバー61は常に表示されており、第1メニューバー61には複数のアイコンが表示される。第2メニューバー62には、第1メニューバー61で選択したアイコンの下位の階層の項目を示すアイコンが表示される。つまり、第1メニューバー61で選択したアイコンに応じて、第2メニューバー62に表示されるアイコンが変化する。第3メニューバー63には、第2メニューバー62で選択したアイコンの下位の階層の項目を示すアイコンが表示される。
図4に示す例では、第2メニューバー62のアイコンから、通信確認画面を表示するためのアイコンを選択する操作が行われることにより、第3メニューバー63には、通信チェックを指示するための項目が表示される。なお、上述した通信確認画面の表示指示は一例であり、第1メニューバー61、第2メニューバー62、第3メニューバー63を用いずに通信確認画面の表示指示が行われてもよい。
【0047】
図4に示す通信確認画面には、第1領域71と、第2領域72と、が表示されている。第1領域71と第2領域72は上下方向(画面の短手方向)に並べて配置されている。
図4に示す第1領域71及び第2領域72のレイアウトは一例であり、第1領域71と第2領域72が左右方向に並べて配置されてもよい。また、制御部51は、第1領域71と第2領域72の何れか一方のみを表示部52に表示してもよい。
【0048】
制御部51(表示制御部51a)は、通信確認画面の表示指示があったと判定した場合、各ユニット及び各機器のネットワーク構成図を表示部52に表示するとともに、ネットワーク構成図に通信異常マーク74を重畳させて表示する(S106)。
【0049】
図4に示すネットワーク構成図は、通信を行う機器(又はユニット)と、それらの通信経路と、を示す図である。通信を行う機器は「ノード」に相当する。
図4に示すネットワーク構成図では、機器を表す文字を用いてノードを示す。例えば、
図4のネットワーク構成図の「VOS」及び「MCU」は、管理装置50を示す。ノード同士はリンクで接続されている。リンクで接続されたノード同士は直接的に通信可能である。
【0050】
第1領域71には、巻取ユニット10のネットワーク構成図が示されている。ネットワーク構成図の「UNIT」は巻取ユニット10を示す。第1領域71には、「UNIT」の横に付されている数字は、ユニット番号である。ユニット番号とは、複数の巻取ユニット10を区別するための数字であり、所定の位置を基準として並列方向に沿って、それぞれの巻取ユニット10に割り振られる番号である。本実施形態では、表示スペースの関係で、全ての巻取ユニット10を一画面に表示できない。そのため、制御部51(表示制御部51a)は、画面スクロール可能な態様で、巻取ユニット10のネットワーク構成図を表示する。
【0051】
これにより、ユーザは、画面をスクロールさせるだけで全ての巻取ユニット10のネットワーク構成図を視認することができる。そのため、例えば巻取ユニット10の番号を指定して、指定された番号の巻取ユニット10のネットワーク構成図を表示する態様と比較して、本実施形態の表示態様は一覧性に優れる。なお、全ての巻取ユニット10を含むネットワーク構成図を一画面に表示してもよい。
【0052】
第1領域71には、巻取ユニット10を構成する機器のネットワーク構成図も示されている。「UNIT PCB」はユニット制御部19の基板に相当する。PCBは、Printed Circuit Boardの略語である。「UNIT PCB」の下位には、巻取ドラム17、ユニット制御部19のディスプレイ等が接続されている。また、巻取ユニット10を構成する機器は階層構造となるように接続されている。例えば、「MIDDLE」の機器の下位に、糸解舒補助装置12及びRFIDリーダライタ等が接続されている。上述した機器同士の通信確認では、「UNIT PCB」は、「DRUM」等の他の機器に通信確認信号を送信し、その応答の有無に応じて、該当の機器の通信異常を判定する。
【0053】
第2領域72には、補助ユニットのネットワーク構成図が示されている。ネットワーク構成図の「MAIN PCB」は、ブロア装置及びコンベア等の制御を行う基板である。「AD PCB」は、玉揚台車40の制御を行う基板である。「CBF PCB」は、ボビン準備装置30の制御を行う基板である。巻取ユニット10と同様、これらの補助ユニットを構成する機器のネットワーク構成図も第2領域72に表示されている。
【0054】
なお、本実施形態では、第1領域71と第2領域72は重複していない。言い換えれば、同一画面に、巻取ユニット10のネットワーク構成図と、補助ユニットのネットワーク構成図と、が表示されている。
【0055】
ネットワーク構成図には、通信異常マーク74が重畳されている。通信異常マーク74は、対象のユニット又は機器が通信異常であることを示すマークである。本実施形態の通信異常は、「通信不可」と「通信遅延」に区分され、それぞれ異なるマークを用いて表示される。「通信不可」は、対象のユニット又は機器と通信を行うことができない状態を示す。「通信遅延」は、対象のユニット又は機器との通信に遅延が生じている状態を示す。なお、「通信不可」と「通信遅延」を区別せずにまとめて「通信異常」として取り扱ってもよい。あるいは、「通信遅延」の検出及び表示を省略してもよい。
【0056】
制御部51は、ステップS103,S104で記憶した情報に基づいて、「通信不可」が生じている機器を特定する。制御部51(表示制御部51a)は、特定した機器のノードに応じた位置に、「通信不可」の通信異常マーク74を表示する。更に、制御部51は、ステップS103,S104で記憶した情報に基づいて、通信遅延が生じている機器を特定する。制御部51(表示制御部51a)は、特定した機器のノードに応じた位置に、「通信遅延」の通信異常マーク74を表示する。
【0057】
本実施形態では、通信異常マーク74は対称の機器のノードの近傍に表示される。この表示態様は一例であり、以下のように変更できる。例えば、ノードに重畳するように通信異常マーク74を表示してもよい。あるいは、ノードをグレーアウトしてもよい。また、ノードの通信異常に基づいて、通信経路として機能しないリンクが特定できる場合は、通信異常を示す態様でリンクを表示してもよい。
【0058】
ユーザは、通信確認画面を参照することにより、通信異常の発生箇所を直感的に把握できる。例えば、「UNIT 1」を構成する機器は全てが通信不可なので、「UNIT 1 PCB」又はその近傍のケーブルに異常があると推測できる。また、「UNIT 4」を構成する機器は、「MIDDLE」以下の機器が全て通信不可なので、「MIDDLE」又はその近傍のケーブルに異常があると推測できる。このように、通信経路の上位の機器に通信異常がある場合、その機器の下位に位置する機器の近傍のノードにも通信異常マーク74が表示される。これにより、通信異常マーク74がまとまって複数表示されるため、通信経路の上位の機器に通信異常があることにユーザが気付き易い。本実施形態の通信確認画面を用いることにより、通信異常の発生箇所を容易に特定できる可能性があるので、通信異常を早期に修復できる可能性がある。
【0059】
また、巻取ユニット10のネットワーク構成図の近傍には、特定巻取ユニット75が表示される。特定巻取ユニット75は、通信異常が発生している巻取ユニット10の番号を示す表示物である。特定巻取ユニット75では、通信異常が発生している全ての巻取ユニット10の番号が一画面に表示される。これにより、ユーザは、巻取ユニット10のネットワーク構成図を画面スクロールすることなく、通信異常が発生している全ての巻取ユニット10を把握できる。また、特定巻取ユニット75に表示された巻取ユニット10の番号を選択することにより、選択された番号の巻取ユニット10が第1領域71に表示される。例えば、
図7では、「UNIT 8」は第1領域71の表示範囲外である。特定巻取ユニット75の「UNIT 8」を選択することにより、画面のスクロール又は切り替わりが発生し、「UNIT 8」が第1領域71に表示される。別の表示方法としては、特定巻取ユニット75では、通信異常が発生している巻取ユニット10を所定の個数を上限として一画面に表示し、スクロールすることで、通信異常が発生している残りの巻取ユニット10が表示されてもよい。あるいは、特定巻取ユニット75では、通信異常が発生している巻取ユニット10を所定の個数を上限として一画面に表示しつつ、スクロール不能であってもよい。この場合は、巻取ユニット10の通信異常が解消することにより、非表示であった巻取ユニット10が新たに表示される。また、特定巻取ユニット75に表示される巻取ユニット10は、例えば番号順であるが、それ以外の順序で表示されてもよい。なお、特定巻取ユニット75の表示を省略してもよい。
【0060】
特定巻取ユニット75は、第1領域71(巻取ユニット10のネットワーク構成図)に表示してもよいし、第1領域71及び第2領域72とは異なる別の領域に表示してもよい。なお、巻取ユニット10以外の機器(特に、第2領域72に表示される機器)についても、通信異常が発生している機器を示す名称や識別情報等を並べて表示してもよい。
【0061】
また、ネットワーク構成図には、ユニット毎に画像表示アイコン80が表示されている。制御部51は、操作部53に行われた操作に基づいて、画像表示アイコン80が選択されたか否かを判定する(S107)。
【0062】
制御部51(表示制御部51a)は、画像表示アイコン80が選択されたと判定した場合、ノード選択画面81を表示する(S108)。
図5に示すように、ノード選択画面81には、選択されたユニットを構成する機器のノードの一覧が表示される。ノード選択画面81は、ユーザがノードを選択するための画面である。
【0063】
制御部51(表示制御部51a)は、ノード選択画面81のノードが選択された場合、選択されたノードの通信基板の位置を示す画像を表示する(S109)。
図5には、「MAIN PCB」が選択され、それの通信基板を示す通信基板画像82が表示されている。本実施形態の通信基板画像82は、対象の通信基板が収容された筐体の全体図の写真と、筐体内の通信基板の位置を太枠で示した写真と、を含む。ただし、この通信基板画像82は一例であり、通信基板の位置が示される限り、本実施形態とは異なる表示態様であってもよい。例えば、写真に代えてイラストであってもよいし、筐体の位置を示す画像が更に付加されてもよい。
【0064】
通信基板画像82の表示機能があることにより、ユーザは、ネットワーク構成図と実際の機器の対応関係を容易に把握できる。従って、ユーザは、ネットワーク構成図を参照して通信異常を修復すべき通信基板を特定した後に、通信基板画像82を参照することにより修復すべき通信基板の位置を簡単に把握することができる。
【0065】
なお、本実施形態では、制御部51(表示制御部51a)は、画像表示アイコン80が選択された場合に、ノード選択画面81を表示する。しかし、ノード選択画面81の表示は必須ではなく省略することもできる。例えば、制御部51(表示制御部51a)は、ネットワーク構成図の各ノードのそれぞれに画像表示アイコン80を表示し、選択された画像表示アイコン80に応じた通信基板画像82を表示してもよい。また、画像表示アイコン80の表示を省略してもよい。この場合、制御部51(表示制御部51a)は、ネットワーク構成図のノードを選択したときに、ノード選択画面81又は通信基板画像82を表示する。
【0066】
以上に説明したように、本実施形態の管理装置50は、糸を巻き取ってパッケージ22を製造する糸処理装置2を管理する。管理装置50は、表示部52と、表示制御部51aと、通信部54と、検出部51bと、を備える。表示部52は、糸処理装置2に関する情報を表示する。表示制御部51aは、表示部52の表示内容を制御する。通信部54は、糸処理装置2を構成する複数のユニットとそれぞれ通信する。検出部51bは、ユニットの通信異常を検出する。表示制御部51aは、複数のユニットを示すノードと、前記ユニット同士を接続する通信経路を示すリンクと、を用いたネットワーク構成図を表示部52に表示する。表示制御部51aは、検出部51bが検出した通信異常を、ネットワーク構成図のうち通信異常の発生箇所に応じた位置に重畳して、表示部52に表示する。
【0067】
これにより、ネットワーク構成図に通信異常の発生箇所が重畳されるため、ユーザは、糸処理装置2を構成する各ユニットの通信異常の発生状況を直感的に把握できる。
【0068】
本実施形態の管理装置50において、ユニットは、パッケージ22を形成する巻取ユニット10、及び、巻取ユニット10によるパッケージ22の形成を補助する補助ユニットである。表示部52は、第1領域71と、第2領域72と、を有する。第1領域71に、巻取ユニット10のネットワーク構成図と、巻取ユニット10の通信異常を表示する。第2領域72に、第1領域71と重複しないように、補助ユニットのネットワーク構成図と、補助ユニットの通信異常を表示する。
【0069】
これにより、巻取ユニット10と補助ユニットに分けてネットワーク構成図が表示されるため、ユーザは、通信異常の発生箇所を一層簡単に把握することができる。また、巻取ユニットの通信異常と補助ユニットの通信異常が同一画面に表示されるので、画面を切り替える手間を無くすことができる。
【0070】
本実施形態の管理装置50において、表示制御部51aは、通信異常が生じている巻取ユニット10の識別情報を表示する。
【0071】
これにより、ユーザは、通信異常が生じている巻取ユニット10を即座に把握できる。
【0072】
本実施形態の管理装置50において、表示制御部51aは、ネットワーク構成図の全体を表示部52の一画面に表示するか、あるいは、画面スクロールによりネットワーク構成図の全体が確認可能な態様でネットワーク構成図を表示部52に表示する。
【0073】
これにより、ユーザは全く又はあまり手間を掛けることなく、糸処理装置2の全体の通信異常の発生状況を把握できる。
【0074】
本実施形態の管理装置50において、ユニットは、複数の機器から構成されている。表示制御部51aは、ノードに機器を含めたネットワーク構成図を表示部52に表示する。表示制御部51aは、機器の通信異常を、通信異常の発生箇所に応じてネットワーク構成図に重畳して表示部52に表示する。
【0075】
これにより、ユーザは、ユニット内の通信異常も含めて、通信異常の発生状況を把握できる。
【0076】
本実施形態の管理装置50において、表示制御部51aは、ノードの選択を受け付け、ノードが選択された場合は、選択されたノードに対応する通信基板の位置を示す画像を表示部52に表示する。
【0077】
これにより、通信基板の画像が表示部に表示されるので、通信異常を解消する際に、該当の通信基板を容易に特定できる。
【0078】
本実施形態の管理装置50において、検出部51bが検出する通信異常が、通信不可である。
【0079】
これにより、ユーザが介在しないと解消が困難な通信異常を表示部52に表示してユーザに把握させることができる。
【0080】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0081】
上記実施形態で示したフローチャートは一例であり、一部の処理を省略したり、一部の処理の内容を変更したり、新たな処理を追加したりしてもよい。例えば、制御部51はネットワーク構成図の表示後、ユーザの指示を受けた後に、通信異常マーク74を重畳してもよい。
【0082】
上記実施形態では、巻取ユニット10、補助ユニット、それらを構成する機器の全てをノードとしてネットワーク構成図に記載したが、全てをノードとして記載することは必須ではなく、一部のみをノードとして記載してもよい。
【0083】
上記実施形態では、自動ワインダ1が備える管理装置50に本発明を適用した例を説明したが、自動ワインダ1以外の繊維機械(例えば紡績機)にも本発明を適用できる。
【0084】
上記実施形態では、管理装置50は、糸処理装置2と並んで配置されているが、糸処理装置2とは離れた位置に管理装置50が配置されていてもよい。また、1又は複数の管理装置50を管理する上位の管理装置(外部装置)が、上述した通信異常に関する処理を行ってもよい。外部装置は、例えば、自動ワインダ1の工場内に配置される記憶装置であるか、あるいは、ワイドエリアネットワークを介して管理装置50と接続されるデータサーバである。
【符号の説明】
【0085】
1 自動ワインダ
2 糸処理装置
10 巻取ユニット
40 玉揚台車
50 管理装置
51 制御部
52 表示部
53 操作部
54 通信部