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特開2024-81982伸縮性シートの製造方法及び伸縮性シートの製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081982
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】伸縮性シートの製造方法及び伸縮性シートの製造装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20240612BHJP
【FI】
A61F13/15 311
A61F13/15 354
A61F13/15 355A
A61F13/15 355B
A61F13/15 390
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195629
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 侑哉
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 数馬
(72)【発明者】
【氏名】黒田 圭介
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA11
3B200BA12
3B200BA16
3B200BB11
3B200CA02
3B200CB01
3B200CB02
3B200DA01
3B200EA12
3B200EA21
3B200EA27
(57)【要約】
【課題】一対の搬送ベルト間に巻回された糸状弾性体を安定して搬送し、大きい幅の伸縮性シートを効率的に製造できる、伸縮性シートの製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】本発明の伸縮性シートの製造方法は、直交方向Y1に離間配置された一対の搬送ベルト50,50に糸状弾性体24を連続的に巻回する巻回工程と、巻回された糸状弾性体24を搬送方向X1に搬送する搬送工程と、搬送状態の糸状弾性体24を一対の連続シート23a,23b間に挟んで、該一対の連続シート23a,23b間に糸状弾性体24を固定する一体化工程とを備えている。一対の搬送ベルト50,50はそれぞれ、高さ方向Zに並んだ上段ベルト51及び下段ベルト55を備えている。搬送工程では、巻回された糸状弾性体24の高さ方向Zにおける伸長率を、搬送方向X1の下流に向かって漸次高めていく。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の連続シート及び糸状弾性体を搬送方向に沿って搬送しながら、該一対の連続シート間に、伸長させた該糸状弾性体を固定する固定工程を具備する、伸縮性シートの製造方法であって、
前記固定工程は、
搬送状態の前記一対の連続シートの一方又は双方に接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
前記搬送方向に直交する直交方向に離間配置された一対の搬送ベルトに前記糸状弾性体を連続的に巻回する巻回工程と、
前記一対の搬送ベルトによって、巻回された前記糸状弾性体を前記搬送方向に搬送する搬送工程と、
搬送状態の前記糸状弾性体を前記一対の連続シート間に挟んで、該一対の連続シート間に前記糸状弾性体を固定する一体化工程と、
前記一体化工程後に前記連続シートの幅方向の両端部それぞれから延出した前記糸状弾性体を切断する切断工程とを備え、
前記一対の搬送ベルトはそれぞれ、該搬送ベルトの高さ方向に並んだ上段ベルト及び下段ベルトを備えており、
前記搬送工程において、巻回された前記糸状弾性体の前記高さ方向における伸長率を、前記搬送方向の下流に向かって漸次高めていく、伸縮性シートの製造方法。
【請求項2】
前記搬送工程において、巻回された前記糸状弾性体の前記高さ方向における伸長率と、該巻回された前記糸状弾性体の前記直交方向における伸長率とを、前記搬送方向の下流に向かって漸次高めていく、請求項1に記載の伸縮性シートの製造方法。
【請求項3】
前記巻回工程は、前記一対の搬送ベルトに前記糸状弾性体を連続的に巻回する巻回手段によって行われ、
前記巻回工程の前に、前記巻回手段に導入する前記糸状弾性体の張力を一定に調整する張力調整工程と、該巻回手段に導入する前記糸状弾性体の供給速度を調整する速度調整工程とを備える、請求項1又は2に記載の伸縮性シートの製造方法。
【請求項4】
前記速度調整工程は、フィードローラー及びガイドローラー間に前記糸状弾性体を通し、該フィードローラーの回転速度を増減させて前記供給速度を調整する、請求項3に記載の伸縮性シートの製造方法。
【請求項5】
前記搬送工程において、前記上段ベルト及び前記下段ベルトの搬送速度を互いに異ならせ、前記一対の連続シート間に固定される前記糸状弾性体の向きを、前記直交方向と平行にするか又は該平行に近づける、請求項1~4の何れか1項に記載の伸縮性シートの製造方法。
【請求項6】
前記搬送工程において、前記糸状弾性体の前記直交方向における伸長率と、該糸状弾性体の前記高さ方向における伸長率とが等しくなるように、前記一対の搬送ベルト間の距離を前記搬送方向の下流に向かって漸次拡大する、請求項1~5の何れか1項に記載の伸縮性シートの製造方法。
【請求項7】
一対の連続シート及び糸状弾性体を搬送方向に沿って搬送しながら、該一対の連続シート間に、伸長させた該糸状弾性体を固定する、伸縮性シートの製造装置であって、
搬送状態の前記一対の連続シートの一方又は双方に接着剤を塗布する接着剤塗布手段と、前記搬送方向に直交する直交方向に離間配置された一対の搬送ベルトと、該一対の搬送ベルトに前記糸状弾性体を連続的に巻回する巻回手段と、巻回された前記糸状弾性体を前記一対の連続シート間に挟んだ状態でこれらを固定する一体化手段と、前記連続シートの幅方向の両端部それぞれから延出した前記糸状弾性体を切断する切断手段とを備えており、
前記一対の搬送ベルトはそれぞれ、該搬送ベルトの高さ方向に並んだ上段ベルト及び下段ベルトを備え、該上段ベルト及び該下段ベルト間の距離が前記搬送方向の下流に向かって漸次拡大する、伸縮性シートの製造装置。
【請求項8】
平面視における一対の搬送ベルト間の距離も、前記搬送方向の下流に向かって漸次拡大する、請求項7に記載の伸縮性シートの製造装置。
【請求項9】
前記搬送方向における前記巻回手段の上流に、前記巻回手段に導入される前の前記糸状弾性体の張力を一定に調整する張力調整手段と、前記巻回手段への前記糸状弾性体の供給速度を調整する速度調整手段とを備える、請求項7又は8に記載の伸縮性シートの製造装置。
【請求項10】
前記搬送ベルトは、前記上段ベルト及び前記下段ベルトの搬送速度が互いに異なるように制御可能になされている、請求項7~9の何れか1項に記載の伸縮性シートの製造装置。
【請求項11】
前記一対の搬送ベルトは、平面視における該一対の搬送ベルト間の角度θ1が、側面視における前記上段ベルト及び前記下段ベルト間の角度θ2以上である、請求項7~10の何れか1項に記載の伸縮性シートの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性シートの製造方法及び伸縮性シートの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
伸縮性を有するウエストパネルを具備し、該ウエストパネルに該ファスニングテープが設けられた、展開型の使い捨ておむつが知られている。ウエストパネルは、複数の糸状弾性体が、一対のシート間に伸長状態で固定された伸縮性シートにより形成されている。形状追従性や製造時の安定性等といった種々の観点から、当該伸縮性シートの製造方法について検討がされている。
例えば特許文献1には、幅方向に伸長させた弾性伸縮部材の両端部又は一端部以外の部分を第1シートに接着固定した後、その伸長状態を解除して該弾性伸縮部材の非接着部分を非伸長状態まで収縮させる収縮工程と、前記弾性伸縮部材における伸長状態の部分及び非伸長状態の部分を第1のシートと第2のシートとの間に挟んで接着固定して、積層体を得る第2接着工程とを含む、テープ式使い捨ておむつの製造方法が開示されている。
【0003】
また本出願人は、先に、一対の搬送ベルトに対する巻きかけ速度と同等又はそれ以上の速度で、伸長状態の糸状弾性体を弾性体巻回手段に導入する供給工程と、弾性体巻回手段によって前記糸状弾性体を、糸搬送用長手構造体に連続的に巻回し搬送する搬送工程と、前記糸状弾性体を一対のシート間に挟んで固定する一体化工程とを備えた、伸縮性シートの製造方法を開示した(特許文献2)。
【0004】
特許文献3には、所定の張力で繰り出された糸状弾性体を伸長状態で搬送機構に巻回する巻回機構を用いた製造方法であって、搬送機構に巻回する第1速度よりも遅い第2速度で、前記糸状弾性体を前記巻回機構に導入する、伸縮性シートの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-022550号公報
【特許文献2】特開2012-090835号公報
【特許文献3】特開2014-128435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1~3の伸縮性シートの製造方法では、離間配置された一対の搬送ベルトに糸状弾性体を連続的に巻回し、その巻回した糸状弾性体を一対の連続シート間に固定し、一対の搬送ベルト間に位置する糸状弾性体の両端部を切断して、伸縮性シートを製造する。この伸縮性シートは、糸状弾性体の延在方向が該シートの幅方向と一致する。この伸縮性シートの幅(幅方向の長さ)を大きくするには、一対の搬送ベルト間の距離を広げることが考えられる。しかしながら、一対の搬送ベルト間の距離を広げると、糸状弾性体の搬送が不安定となり易く、搬送中に該糸状弾性体の切断が生じる虞がある。特許文献1~3は、前記の課題を解決するための技術を開示するものではない。
【0007】
したがって、本発明の課題は、一対の搬送ベルト間に巻回した糸状弾性体を安定して搬送し、大きい幅の伸縮性シートを効率的に製造できる、伸縮性シートの製造方法及び伸縮性シートの製造装置を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一対の連続シート及び糸状弾性体を搬送方向に沿って搬送しながら、該一対の連続シート間に、伸長させた該糸状弾性体を固定する固定工程を具備する、伸縮性シートの製造方法にする。
一実施形態として、前記固定工程は、
搬送状態の前記一対の連続シートの一方又は双方に接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
前記搬送方向に直交する直交方向に離間配置された一対の搬送ベルトに前記糸状弾性体を連続的に巻回する巻回工程と、
前記一対の搬送ベルトによって、巻回された前記糸状弾性体を前記搬送方向に搬送する搬送工程と、
搬送状態の前記糸状弾性体を前記一対の連続シート間に挟んで、該一対の連続シート間に前記糸状弾性体を固定する一体化工程と、
前記一体化工程後に前記連続シートの幅方向の両端部それぞれから延出した前記糸状弾性体を切断する切断工程とを備えることが好ましい。
一実施形態として、前記一対の搬送ベルトはそれぞれ、該搬送ベルトの高さ方向に並んだ上段ベルト及び下段ベルトを備えていることが好ましい。
一実施形態として、前記搬送工程において、巻回された前記糸状弾性体の前記高さ方向における伸長率を、前記搬送方向の下流に向かって漸次高めていくことが好ましい。
【0009】
また本発明は、一対の連続シート及び糸状弾性体を搬送方向に沿って搬送しながら、該一対の連続シート間に、伸長させた該糸状弾性体を固定する、伸縮性シートの製造装置に関する。
一実施形態として、前記製造装置は、搬送状態の前記一対の連続シートの一方又は双方に接着剤を塗布する接着剤塗布手段と、前記搬送方向に直交する直交方向に離間配置された一対の搬送ベルトと、該一対の搬送ベルトに前記糸状弾性体を連続的に巻回する巻回手段と、巻回された前記糸状弾性体を前記一対の連続シート間に挟んだ状態でこれらを固定する一体化手段と、前記連続シートの幅方向の両端部それぞれから延出した前記糸状弾性体を切断する切断手段とを備えていることが好ましい。
一実施形態として、前記一対の搬送ベルトはそれぞれ、該搬送ベルトの高さ方向に並んだ上段ベルト及び下段ベルトを備え、該上段ベルト及び該下段ベルト間の距離が前記搬送方向の下流に向かって漸次拡大することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の伸縮性シートの製造方法及び伸縮性シートの製造装置によれば、一対の搬送ベルト間に巻回された糸状弾性体を安定して搬送し、大きい幅の伸縮性シートを効率的に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の伸縮性シートの製造方法により得られる、ウエストパネルを用いた展開型使い捨ておむつを示す平面図である。
図2図2は、本発明の伸縮性シートの製造装置の一実施形態を示す概略図である。
図3図3は、図2に示す巻回手段、搬送装置及び一体化手段を示す斜視図である。
図4図4は、図2に示す搬送ベルトと、該搬送ベルトを支持する支持部材を示す断面図である。
図5図5は、図2に示す搬送ベルトを模式的に示す側面図である。
図6図6は、図2に示す搬送ベルトを模式的に示す平面図である。
図7図7は、搬送ベルトに巻回された糸状弾性体の搬送状態を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
先ず、本発明の伸縮性シートの製造方法及び該伸縮性シートの製造装置によって製造される伸縮性シートの一実施形態を説明する。本実施形態の伸縮性シートは、展開型の使い捨ておむつのウエストパネルに用いられる。
図1に示す使い捨ておむつ1(以下、単に「おむつ1」ともいう。)は、着用状態において、着用者の腹側に配される腹側部Aと、着用者の背側に配される背側部Bと、該腹側部A及び該背側部Bの間に位置する股下部Cとを有している。股下部Cは、おむつ1の着用状態において着用者の股間部に配される部位である。腹側部Aは、おむつ1の着用状態において股下部Cよりも着用者の腹側即ち前側に配される部位である。背側部Bは、おむつ1の着用状態において股下部Cよりも着用者の背側即ち後側に配される部位である。腹側部A、股下部C及び背側部Bは、おむつ1を縦方向Xに3等分するように区分したときの各領域に相当する。
おむつ1は、図1に示すように、着用者の前後方向に相当する縦方向Xとこれに直交する横方向Yとを有する。本明細書において、「着用者の前後方向」とは、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる方向を指す。おむつ1は、腹側部Aから股下部Cを介して背側部Bに延びる縦方向Xに延在している。
【0013】
おむつ1は、吸収性本体15と、背側部Bの左右両外方に連設された左右一対のウエストパネル20,20と、腹側部Aの左右両外方に連設された左右一対のパネル材19,19とを有している(図1参照)。
吸収性本体15は、液透過性の表面シート11と、液不透過性又は撥水性の裏面シート13と、これら両シート11,13間に介在された吸収体14とを具備し、これらが接着剤等の公知の接合手段により一体化されて構成されている。吸収体14は、尿等の排泄物の主な吸液部位となる。
【0014】
おむつ1は、吸収性本体15の肌対向面における縦方向Xに沿う左右両側部に、液抵抗性又は撥水性で且つ通気性のシート材から構成された一対の防漏カフ16,16を有している。この防漏カフ16は、通気性のシートと、該シートどうし間であって、横方向Y内方端部に縦方向Xに伸長状態で固定されたカフ弾性部材17とを有している。防漏カフ16の横方向Y内方端部は自由端部となっており、前記のカフ弾性部材17が収縮することによって、該自由端部が少なくとも股下部Cで起立し、尿等の排泄液の横方向Y外方への流出を阻止する。防漏カフ16の横方向Y外方端部は表面シート11上に固定されている。
またおむつ1は、吸収性本体15の左右両側部の脚廻りに配される部分に、レッグギャザー形成用のレッグ弾性部材18を有している。レッグ弾性部材18は、縦方向Xに伸長状態で配されており、着用状態において該弾性部材18の収縮によりレッグギャザーが形成される。
【0015】
おむつ1の展開且つ伸長状態において、吸収性本体15は縦方向Xに長い長方形状であり、パネル材19は台形状である。おむつ1の「展開且つ伸長状態」とは、おむつ1を展開状態とし、該おむつ1の各部の弾性部材を伸長させて設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで広げた状態をいう。
【0016】
一対のウエストパネル20,20それぞれは、横方向Yに伸縮性を有する伸縮性シート21からなる。ウエストパネル20は、展開且つ伸長状態において矩形状であり、2枚のシート23と、これらシート23間に伸長した状態で配された複数本の糸状弾性体24とを有し、これらが接着剤や融着等の手段により一体化されている。このウエストパネル20において、糸状弾性体24は横方向Yに伸長状態で固定されており、縦方向Xに間欠配置されている。本実施形態のウエストパネル20は、横方向Y内方端部が吸収性本体15の背側部Bの両側部に固定され、横方向Y外方端部にファスニングテープ26が固定されている。ファスニングテープ26は、おむつ1の腹側部Aにおける非肌対向面の止着領域(図示せず)に着脱自在に止着可能な止着部を有している。止着領域は、止着部の素材に応じ、適切な素材のものが選択される。例えば止着部がメカニカルファスナーのオス材である場合、止着領域としては、メカニカルファスナーのメス材として、該オス材と係合可能な繊維シート、例えば、編み物地、不織布を用いることができる。
【0017】
本実施形態のおむつ1において、ウエストパネル20を構成する伸縮性シート21は、製造時におけるシートの搬送方向X1が縦方向Xと平行となり、製造時における伸縮性シート21の搬送方向X1に直交する方向Y1(直交方向Y1)が横方向Yと一致するように固定されている。
【0018】
おむつ1の形成材料について説明する。
ウエストパネル20を構成するシート23及びパネル材19としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、シート23及びパネル材19としては、不織布、織物、フィルム又はそれらの積層シート等を用いることができる。吸収性本体15を構成する表面シート11及び裏面シート13としては、それぞれ、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート11としては、親水性且つ液透過性の不織布等を用いることができ、裏面シート13としては、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。吸収体14としては、パルプ繊維等の繊維の積繊体又はこれに吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コアを、透水性の薄紙や不織布からなるコアラップシートで被覆したもの等を用いることができる。防漏カフ16を構成するシートとしては、伸縮性のフィルム、不織布、織物又はそれらの積層シート等を用いることができる。
【0019】
糸状弾性体24、カフ弾性部材17及びレッグ弾性部材18としては、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン-ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン-ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル-エチレン等のポリエチレン-αオレフィン共重合体等からなる糸状の伸縮性材料を用いることができる。本発明における糸状弾性体には、断面が円形、正方形状のものの他、楕円形、断面矩形等の細幅帯状のものも含まれ、マルチフィラメントタイプのものも用いることができる。伸縮性シート21が具備する糸状弾性体24の幅(又は径)は、例えば、0.1mm以上3mm以下であり、好ましくは1mm以下である。
ファスニングテープ26としては、例えば、不織布等といったテープ基材の一方の面上にメカニカルファスナーのフック部材を熱融着や接着剤等により貼り付けてなるものを用いることができる。
【0020】
伸縮性シートの一実施形態として、おむつ1のウエストパネル20を例示したが、伸縮性シートはこれに限定されない。
【0021】
次に、本発明の伸縮性シートの製造方法及び該伸縮性シートの製造装置の好ましい実施形態について図2図7を参照しながら説明する。
本実施形態の伸縮性シートの製造装置100(以下、単に「製造装置100」ともいう。)の概略図を図2に示す。本実施形態の製造装置100は、連続シート23a,23bと糸状弾性体24とを一体化して、伸縮性シート21を連続的に製造する装置である。
【0022】
本実施形態の製造装置100は、糸状弾性体24を一方向に搬送する搬送方向X1と、該搬送方向X1に直交する直交方向Y1と、搬送方向X1及び直交方向Y1それぞれに直交する高さ方向Zとを有する。直交方向Y1は、後述する連続シート23a,23bの幅方向と一致する。本実施形態の製造装置100は、高さ方向Zが鉛直方向と一致し、搬送方向X1が水平方向と一致する。また、後述する一対のニップローラー61,62間に通される連続シート23a,23bの面が水平方向と平行になるように配置されている。
本実施形態の製造装置100は、直交方向Y1に伸長させた糸状弾性体24を搬送方向X1に沿って搬送する搬送手段5と、糸状弾性体24を搬送手段5に連続的に巻回する巻回手段4と、該巻回手段4に糸状弾性体24を導入する導入手段3と、連続シート23a,23bに接着剤を塗布する接着剤塗布手段71a,71bと、糸状弾性体24を一対の連続シート23a,23b間に挟んだ状態でこれらを固定する一体化手段6と、連続シート23a,23bの幅方向の両端部それぞれから延出した糸状弾性体24を切断する切断手段8とを備えている(図2参照)。
【0023】
本実施形態の製造装置100は、搬送方向X1の上流から順に、導入手段3、巻回手段4、搬送手段5、一体化手段6、及び切断手段8が並んで設置されている。切断手段8は、一体化手段6と搬送方向X1に部分的に重なっている。接着剤塗布手段71aは、連続シート23a,23bの搬送経路であって、糸状弾性体24の搬送経路との合流地点よりも上流に設置されている。
【0024】
導入手段3は、搬送方向X1における巻回手段4の上流に設置されており、該巻回手段4に糸状弾性体24を供給する。導入手段3は、張力調整手段30と、速度調整手段35とを備えている。
張力調整手段30は、巻回手段4に導入される前の糸状弾性体24の張力を一定に調整する。張力調整手段30は、糸状弾性体24の巻回体(図示せず)から繰り出される糸状弾性体24に対し、ブレーキによってテンションをかけるテンサー(図示せず)と、該テンサーの下流側に位置して糸状弾性体24を繰り出す繰り出しローラー31と、繰り出しローラー31の下流側に位置して、該ローラー31から繰り出される糸状弾性体24のテンションを測定するテンションセンサー32とを備えている(図2参照)。繰り出しローラー31は、その回転軸の軸方向が直交方向Y1に沿っており、該ローラー31の駆動部にモーター(図示せず)が取り付けられている。繰り出しローラー31は、その外周に糸状弾性体24が巻き付けられて使用される。張力調整手段30は、テンションセンサー32による検出出力に基づき、製造装置100が備える制御部(図示せず)によって、繰り出しローラー31(モーター)の回転速度を制御する。これにより繰り出しローラー31は、所定のテンションで糸状弾性体24をその巻回体から巻き出すことができる。テンションセンサー32には、所定のテンションで糸状弾性体24を給糸し得る、公知の給糸装置を用いることができる。
【0025】
速度調整手段35は、張力調整手段30の下流側に位置し、糸状弾性体24を巻回手段4に供給する供給速度を調整する。本実施形態の速度調整手段35は、フィードローラー37と、該フィードローラー37の上流側及び下流側に位置するガイドローラー36a,36bとを備えている。フィードローラー37は、後述する巻回手段4と繰り出しローラー31との間に配され、該フィードローラー37の回転軸の軸方向が直交方向Y1に沿っている。フィードローラー37は、その駆動部にサーボモーター(図示せず)が取り付けられており、製造装置100が備える制御部(図示せず)により、制御されている。
本実施形態の製造装置100は、張力調整手段30及び速度調整手段35を具備する導入手段3によって、糸状弾性体24を連続して繰り出し、巻回手段4に糸状弾性体24を伸長状態で導入する。
【0026】
巻回手段4は、糸状弾性体24を、後述する一対の搬送ベルト50,50に連続的に巻回する回転アーム40と、該回転アーム40を回転させる駆動部47とを備えている(図3参照)。回転アーム40は、棒状部材であり、鉛直方向に延びる垂直部41の一端部42が搬送方向X1下流側に略直角に屈曲し、該垂直部の他端部43が搬送方向X1上流側に略直角に屈曲したクランク状となっており、該一端部42と該他端部43とが搬送方向X1に延在している。以下、回転アーム40の一端部42を「周回部42」ともいい、回転アーム40の他端部43を「軸部43」ともいう。回転アーム40の垂直部41は、周回部42及び軸部43それぞれに対して角度をなす一方、周回部42と軸部43とは略平行となっている。軸部43は、搬送方向X1の上流側の一端に糸状弾性体24の導入口を有し、周回部42は、その先端(搬送方向X1の下流側の一端)に、糸状弾性体24の導出口42aを有している。回転アーム40は、導入口から導入された糸状弾性体24を、軸部43、垂直部41、及び周回部42の順に通し、導出口42aから該糸状弾性体24を導出する。この回転アーム40は、垂直部41と周回部42又は垂直部41と軸部43との屈曲部や導出口42aに、糸状弾性体24との間の摩擦を低減し得る各種公知の部材(従動ロールや低摩擦部材等)が配置されてもよい。
【0027】
周回部42は、導出口42aの位置が、後述する搬送ベルト50,50の上流側の端部よりも下流側に配されている。すなわち、周回部42の先端部は、搬送ベルト50,50と搬送方向X1に重なっている。
巻回手段4が具備する駆動部47は、回転アーム40の軸部43を回転させる。当該駆動部47は、サーボモーター48と、軸部43を該サーボモーター48の回転に連動させる連動ベルト49とを具備している。連動ベルト49は、サーボモーター48の外周と軸部43の外周とに掛け渡されており、該連動ベルト49によって、サーボモーター48が回転すると、軸部43が連動して同方向に回転するようになされている。この軸部43の回転によって、周回部42が搬送ベルト50の外周を周回する。これにより、導出口42aから導出された糸状弾性体24が、一対の搬送ベルト50,50間に巻回される。
このようにして回転アーム40は、取り込んだ糸状弾性体24を、一対の搬送ベルト50,50における上流側端部の周囲に連続的に巻回する。回転アーム40の回転速度、即ち、サーボモーター48の回転速度は、製造装置100が備える制御部(図示せず)により、制御されている。
【0028】
搬送手段5は、直交方向Y1に離間配置された一対の搬送ベルト50,50を具備し、巻回された糸状弾性体24を、該一対の搬送ベルト50,50によって搬送方向X1に搬送し、後述する一対の連続シート23a,23b間に導入する。一対の搬送ベルト50,50は、これらベルト50,50どうし間の中央位置に対して左右対称であり、互いに同一の構成を有している。
一対の搬送ベルト50,50それぞれは、図2図5に示すように、上段ベルト51及び下段ベルト55の上下2段のベルトを備えている。すなわち搬送ベルト50は、高さ方向Zに並んだ上段ベルト51及び下段ベルト55を備えている。上段ベルト51及び下段ベルト55はそれぞれ、無端状の回転ベルトである。上段ベルト51と下段ベルト55とは、高さ方向Zに対向配置され、上段ベルト51が上方に、下段ベルト55が下方に位置している(図3参照)。
【0029】
上段ベルト51は、図3に示すように、搬送方向X1に離間して配置された一対のプーリー52,53間に架け渡されている。一対のプーリー52,53は、搬送ベルト50における搬送方向X1の両端部に設けられている。これらプーリー52,53の回転軸は互いに平行であり、該回転軸が直交方向Y1に対して傾斜した状態となっている。これにより、上段ベルト51及び下段ベルト55の各面が、水平方向に対して傾斜した状態となっている。これらベルト51,55の各面は、後述する順走部分51a,55a及び逆走部分51b,55bそれぞれの面である。
【0030】
上段ベルト51は、巻回手段4により巻回される糸状弾性体24と接触して該糸状弾性体24を搬送方向X1に沿って搬送する順走部分51aと、該順走部分51aとは逆向きに走行する逆走部分51bとを有している(図3参照)。上段ベルト51の順走部分51aは、上段ベルト51における上流側のプーリー52から下流側のプーリー53に向かって走行する部分である。逆走部分51bは、上段ベルト51における下流側のプーリー53から上流側のプーリー52に向かって走行する部分である。上段ベルト51において順走部分51aと逆走部分51bとは、高さ方向Zに対向配置され、順走部分51aが上方に、逆走部分51bが下方に位置している(図3参照)。上段ベルト51は、搬送方向X1の両端部において、順走部分51a及び逆走部分51bの内面が、回転するプーリー52,53と当接することで周回している。
【0031】
下段ベルト55も、上段ベルト51と同様の構成を具備している。下段ベルト55は、図3に示すように、搬送ベルト50における搬送方向X1の両端部に設けられた一対のプーリー56,57間に架け渡されている。また下段ベルト55は、巻回手段4により巻回される糸状弾性体24と接触して該糸状弾性体24を搬送方向X1に沿って搬送する順走部分55aと、該順走部分55aとは逆向きに走行する逆走部分55bとを有している(図3参照)。下段ベルト55の順走部分55aは、下段ベルト55における上流側のプーリー56から下流側のプーリー57に向かって走行する部分である。逆走部分55bは、下段ベルト55における下流側のプーリー57から上流側のプーリー56に向かって走行する部分である。下段ベルト55において順走部分55aと逆走部分55bとは、高さ方向Zに対向配置され、順走部分55aが下方に、逆走部分55bが上方に位置している(図3参照)。下段ベルト55は、搬送方向X1の両端部において、順走部分55a及び逆走部分55bの内面が、回転するプーリー56,57と当接することで周回している。
本実施形態の搬送ベルト50は、高さ方向Zにおいて、上段ベルト51及び下段ベルト55の逆走部分51b,55bどうしが対向している。
【0032】
一対の搬送ベルト50,50の直交方向Y1に沿う断面視において、上段ベルト51,51どうし、及び下段ベルト55,55どうしそれぞれが、直交中心線CYに対して線対称になるように配されている(図4参照)。
より詳細には、上段ベルト51,51の順走部分51aどうし及び逆走部分51bどうしが、直交中心線CYに対して線対称に傾きを有するように配置されている。また、下段ベルト55,55の順走部分55aどうし及び逆走部分55bどうしが、直交中心線CYを軸に線対称に配され且つ該直交中心線CYに対し傾きを有するように配置されている。「直交中心線CY」は、一対の搬送ベルト50,50の全幅(直交方向Y1の全長)を二等分し且つ高さ方向Zに延びる仮想直線である。
上段ベルト51及び下段ベルト55は、順走部分51a,55aの直交方向Y1外方端が、逆走部分51b,55bの直交方向Y1外方端よりも、該直交方向Y1外方に位置するように、これらベルト51,55が水平方向に対して傾斜している。これにより、搬送ベルト50により搬送される糸状弾性体24は、直交方向Y1の両端部側で、上段ベルト51の順走部分51aと、下段ベルト55の順走部分55aとに架け渡された状態で搬送される。本実施形態の搬送ベルト50,50は、後述するベルト支持ガイド59によって、上段ベルト51及び下段ベルト55が水平方向(直交方向Y1)に対して傾斜した状態に支持される。
【0033】
搬送ベルト50に巻回された糸状弾性体24は、上段ベルト51及び下段ベルト55それぞれの順走部分51a,55aの移動により搬送される。これら順走部分51a,55aによる送り速度(移動速度)が搬送速度である。
搬送ベルト50が備える各プーリー52,53,56,57それぞれには、その駆動部にサーボモーター(図示せず)が連設されており、上段ベルト51及び下段ベルト55それぞれの回転速度を変更することができる。
上段ベルト51及び下段ベルト55は何れもタイミングベルトであることが好ましい。これらベルト51,55の回転速度、すなわちプーリー52,53,56,57の各駆動部に配されたサーボモーター(図示せず)の回転速度は、製造装置100の備える制御部(図示せず)により、制御されている。一対の搬送ベルト50,50間の糸状弾性体24をより平行にして搬送する観点から、一対の搬送ベルト50それぞれは、上段ベルト51及び下段ベルト55の搬送速度が互いに異なるように制御可能になされていることが好ましい。
【0034】
本実施形態の一対の搬送ベルト50,50それぞれは、搬送方向X1における一対のプーリー間に、順走部分51a,55a及び逆走部分51b,55bを、水平方向に対して傾斜状態に維持するベルト支持ガイド59を備えている(図4参照)。ベルト支持ガイド59は、搬送方向X1に延びる所定幅の板状体であり、搬送方向X1において糸状弾性体24の巻回開始地点よりも上流側から一体化手段6(一対のニップローラー61,62)の下流側まで配されている。なお、図2及び図3では、ベルト支持ガイド59の図示を省略している。
【0035】
ベルト支持ガイド59は、直交方向Y1に沿う断面視において搬送ベルト50よりも直交方向Y1内方に位置するガイド本体59aと、ガイド本体59aから直交方向Y1外方に突出する3個のガイド片59b,59cとを有している。これら3個のガイド片のうち、高さ方向Zの中央に位置する中央ガイド片59bは、上段ベルト51の逆走部分51bと、下段ベルト55の逆走部分55bとの間に位置している。また中央ガイド片59bの高さ方向Z両側に位置するガイド片59c,59cは、上段ベルト51の順走部分51a及び逆走部分51bの間と、下段ベルト55の順走部分55a及び逆走部分55bの間に位置している。これらガイド片59b,59cが水平方向に対し傾斜した状態で、ガイド本体59aから突出していることで、上段ベルト51及び下段ベルト55の順走部分51a,55aと逆走部分51b,55bとが該傾斜した状態に支持される。このようにベルト支持ガイド59が上段ベルト51及び下段ベルト55を支持することで、前述したように、順走部分51a,55aの直交方向Y1外方端が、逆走部分51b,55bの直交方向Y1外方端よりも、該直交方向Y1外方に位置する。これにより、糸状弾性体24に逆走部分51b,55bが接触することを抑制することができ、搬送方向X1とは逆向きに走行する逆走部分51b,55bによる干渉を防ぎながら、糸状弾性体24を円滑に搬送することができる。また、ベルト支持ガイド59,59は、順走部分と逆走部分との間に配された各ガイド片59c,59cによって、上段及び下段ベルト51,55の各ベルトにおける順走部分と逆走部分との接触を防止することができる。
【0036】
搬送ベルト50に巻回された糸状弾性体24によって、上段ベルト51,51の順走部分51a,51aに下方に押し下げる力が加わり、下段ベルト55,55の順走部分55a,55aに上方に押し上げる力が加わることがある。そのような力が加わっても、ベルト支持ガイド59,59によって、各ベルト51,55の傾斜状態や走行位置がより安定して維持される。これにより、上段ベルト51,51の順走部分51a,51aと下段ベルト55の順走部分55a,55aとの距離が変動すること等による、搬送ベルト50上の糸状弾性体24の巻回位置の乱れをより効果的に防止できる。斯かる「巻回位置」は、一対の搬送ベルト50,50上の糸状弾性体24の巻回箇所であり、搬送ベルト50(順走部分51a,55a)の搬送に伴って搬送方向X1の上流側から下流側に移動していく箇所である。
【0037】
本実施形態の一対の搬送ベルト50,50は、ベルト支持ガイド59によって支持されることで、高さ中心線CZに対して、上段ベルト51及び下段ベルト55が線対称に配されている。「高さ中心線CZ」は、一対の搬送ベルト50,50の全高(高さ方向Zの全長)を二等分し且つ直交方向Y1に延びる仮想直線である。
これら上段ベルト51及び下段ベルト55は、順走部分51a,55aどうしの直交方向Y1外方端の位置が直交方向Y1に略一致している(図4参照)。また、上段ベルト51及び下段ベルト55は、逆走部分51b,55bどうしの直交方向Y1外方端の位置が直交方向Y1に略一致している(図4参照)。
【0038】
本実施形態の一対の搬送ベルト50,50それぞれにおいて、上段ベルト51及び下段ベルト55間の距離tは、搬送方向X1の下流に向かって漸次拡大する(図5及び図7参照)。上段ベルト51及び下段ベルト55間の距離tは、高さ方向Zにおける上段ベルト51の順走部分51aと、下段ベルト55の順走部分55aとの間の距離である。当該距離tを搬送方向X1の下流に向かって漸次拡大することで、一対の搬送ベルト50,50に巻回された糸状弾性体24の高さ方向Zにおける伸長率を、搬送方向X1の下流に向かって漸次高めることができる。
本実施形態の上段ベルト51及び下段ベルト55は、搬送方向X1の下流に向かって、左右の搬送ベルト50,50の双方が同じ距離tで漸次拡大している。
【0039】
本実施形態の一対の搬送ベルト50,50は、平面視における該一対の搬送ベルト50,50間の距離dも、前記搬送方向の下流に向かって漸次拡大する(図6及び図7参照)。一対の搬送ベルト50,50間の距離dは、直交方向Y1における一対の上段ベルトの順走部分51a,51aどうし間の距離、又は直交方向Y1における一対の下段ベルトの順走部分55a,55aどうし間の距離である。一対の搬送ベルト50,50間の距離dが下流に向かって漸次拡大することで、一対の搬送ベルト50,50間に巻回された糸状弾性体24の直交方向Y1における伸長率を、搬送方向X1の下流に向かって漸次高めることができる。
本実施形態の一対の上段ベルトの順走部分51a,51aどうし間の距離d、及び一対の下段ベルトの順走部分55a,55aどうし間の距離dは、搬送方向X1の下流に向かって同じ距離で漸次拡大している。
【0040】
接着剤塗布手段71a,71bは、糸状弾性体24の搬送経路に合流させる前の段階で、一対の連続シート23a,23bの何れか一方又は双方に接着剤を塗布する。本実施形態の接着剤塗布手段71a,71bは、一対の連続シート23a,23bどうしが対向する面それぞれに、任意の塗布パターンで接着剤を塗布する。接着剤の塗工態様は、ストライプ状、スパイラル状、サイン波形状等のパターン塗工であってもよく、全面にスプレー又はべた塗りした塗工であってもよい。接着剤塗布手段71a,71bとしては、コーターやスプレー等の公知の塗布装置を用いることができる。
接着剤を塗布した一対の連続シート23a,23bは、一体化手段6に搬送され、糸状弾性体24の搬送経路と合流する。
【0041】
一体化手段6は、巻回された糸状弾性体24を、接着剤を塗布した一対の連続シート23a,23b間に導入し、該連続シート23a,23bと糸状弾性体24とを一体化する(図2参照)。
本実施形態の一体化手段6は、搬送ベルト50における上流側のプーリー52,56よりも搬送方向X1下流側であって、下流側のプーリー53,57よりも搬送方向X1上流側に設置されている。また一体化手段6は、直交方向Y1において一対の搬送ベルト50,50間に設置されている。本実施形態の一体化手段6は、直交方向Y1における一対の搬送ベルト50,50間に位置する一対のニップローラー61,62を具備している(図3参照)。
【0042】
一対のニップローラー61,62には、金属製の円筒形のローラーや、低硬度シリコンゴム製の円筒形のローラーを用いることができる。一対のニップローラー61,62は、何れか一方の駆動部にサーボモーター(図示せず)が取り付けられており、製造装置100が備える制御部(図示せず)により回転速度が制御されている。また、一対のニップローラー61,62それぞれの回転軸には駆動伝達用のギヤが取り付けられている。この駆動手段(図示せず)によって、伸縮性シートの生産速度に基づき、サーボモーターの回転速度、即ち一方のニップローラー61の回転速度をコントロールすることができる。その際、駆動伝達用のギヤが噛み合うことによって、他方のニップローラー62にも駆動力が伝達され、一対のニップローラー61,62を回転させることができる。一対の連続シート23a,23b間に伸長状態の糸状弾性体24を確実に固定する観点から、本実施形態において一対のニップローラー61,62の軸受け部分は、油圧、空圧、バネ等の力を利用して、それぞれの軸受け部分が加圧されている。
【0043】
本実施形態の一体化手段6では、一対のニップローラー61,62間に、搬送ベルト50で搬送中の糸状弾性体24が直交方向Y1に伸長状態で導入される。そして、一対の連続シート23a,23b間に糸状弾性体24を挟んだ状態で、これらをニップローラー61,62で加圧することで、糸状弾性体24が連続シート23a,23b間に固定される。このようにして、連続シート23a,23b間に糸状弾性体24を固定する。
【0044】
切断手段8は、搬送中の糸状弾性体24と当接する部分が先鋭な切断刃となされたカッターを備えている。切断手段8は、直交方向Y1における搬送ベルト50と一対のニップローラー61,62との間に配されている(図2参照)。これにより、連続シート23a,23bの幅方向(直交方向Y1)の両端部それぞれから延出した糸状弾性体24を、搬送しながら前記のカッターによって切断することができる。切断された糸状弾性体24は、直交方向Y1に収縮し、連続シート23a,23bの幅内に収まる。
切断手段8(カッター)は、一対の搬送ベルト50,50それぞれの高さ方向Zにおける上段ベルト51と下段ベルト55との間に位置している。切断手段8には、糸状弾性体24を切断し得る各種公知のものを特に制限なく使用することができ、例えば、外周面に周方向に亘る切断刃を備えたカッターローラーと該切断刃を受けるアンビルローラーとを備えたローラーカッター等を用いることもできる。また、レーザーや熱等により切断してもよい。
この切断手段8によって、連続シート23a,23bから延出した糸状弾性体24の両端部が切断されることで、伸縮性シート21の連続体(以下、「伸縮シート連続体22」ともいう。)が得られる。
なお、図3では切断手段8の図示を省略している。
【0045】
本実施形態の伸縮性シートの製造方法(以下、単に「製造方法」ともいう。)は、上述した実施形態の製造装置100を用いて実行される。
本実施形態の製造方法は、一対の連続シート23a,23b及び糸状弾性体24を搬送方向X1に沿って搬送しながら、該一対の連続シート23a,23b間に、伸長させた該糸状弾性体24を固定する固定工程を具備する。
固定工程は、接着剤塗布工程と、導入工程と、巻回工程と、搬送工程と、一体化工程と、切断工程とを備えている。本実施形態の固定工程は、導入工程、巻回工程、搬送工程、及び一体化工程をこの順で行い、これら工程と並行して、接着剤塗布工程を行っている。導入工程、巻回工程、搬送工程及び一体化工程では、糸状弾性体24を搬送方向X1に沿って搬送する。この糸状弾性体24の搬送経路とは別の搬送経路で搬送された一対の連続シート23a,23bが、一体化工程で糸状弾性体24と合流する。
【0046】
接着剤塗布工程は、搬送状態の一対の連続シート23a,23bの一方又は双方に接着剤を塗布する。本実施形態の接着剤塗布工程は、前述した接着剤塗布手段71a,71bによって行われ、一対の連続シート23a,23bの双方に接着剤を塗布する。接着剤塗布工程後、一対の連続シート23a,23bは一体化工程に供される。
【0047】
導入工程は、巻回手段4に糸状弾性体24を導入する工程であり、巻回工程の前に行われる。本実施形態の導入工程は、糸状弾性体24の張力を一定に調整する張力調整工程と、糸状弾性体24の供給速度を調整する速度調整工程とを備える。斯かる構成により、糸状弾性体24のテンションを安定化することができ、該糸状弾性体24を巻回手段4へ安定して導入することができる。糸状弾性体24のテンションをより安定化する観点から、張力調整工程後に速度調整工程を行うことが好ましい。
また上記と同様の観点から、巻回工程の直前に速度調整工程を行うことが好ましい。
【0048】
張力調整工程は、前述した張力調整手段30によって行われる。糸状弾性体24のテンションをより安定化する観点から、張力調整工程において調整される糸状弾性体24の伸長率は、好ましくは1.5倍以上4.0倍以下であり、より好ましくは1.5倍以上2.5倍以下である。
伸長率は下記の式で求められる。
伸長率=La/Lb
La:伸長状態の糸状弾性体の長さ
Lb:非伸長状態の糸状弾性体の長さ(糸状弾性体の自然長さ)
【0049】
速度調整工程は、前述した速度調整手段35によって行われる。導入工程が速度調整工程を具備することで、張力調整工程後の搬送抵抗による糸状弾性体24の供給量の低下をより抑制できる。斯かる効果をより確実に奏させる観点から、速度調整工程は、巻回手段4に導入する糸状弾性体24の供給速度を、好ましくは50m/min以上1700m/min以下、より好ましくは300m/min以上1000m/min以下に調整する。斯かる供給速度は、フィードローラー37の回転速度により調整される。本実施形態では、フィードローラー37及びガイドローラー36a,36b間に糸状弾性体24を通し、該フィードローラー37の回転速度を増減させて、巻回手段4への糸状弾性体24の供給速度を調整する。
【0050】
巻回工程は、直交方向Y1に離間配置された一対の搬送ベルト50,50に糸状弾性体24を連続的に巻回する。巻回工程は、前述した巻回手段4によって行われる。具体的には、軸部43を中心に回転アーム40を回転させて、一対の搬送ベルト50における上流側端部の周囲(外周)を周回部42が周回する(図3参照)。これにより、周回部42の導出口42aから導出された糸状弾性体24が、一対の搬送ベルト50,50における上流側端部に巻回される。この巻回によって、一対の搬送ベルト50,50間に糸状弾性体24が掛け渡される。本実施形態では、直交方向Y1における一対の上段ベルト51間と、一方の高さ方向Zにおける上段ベルト51及び下段ベルト55間と、直交方向Y1における一対の下段ベルト55間と、他方の高さ方向Zにおける上段ベルト51及び下段ベルト55間とに、糸状弾性体24が掛け渡される。この場合、一対の搬送ベルト50,50の直交方向Y1に沿う断面視において、一対の上段ベルト51,51及び下段ベルト55,55の各順走部分51a,55aを角とする略四角形の四辺に沿って糸状弾性体24が掛け渡される(図4参照)。
【0051】
後述する糸状弾性体24の切断をより抑制する観点から、巻回工程は以下の条件で行うことが好ましい。
巻回工程における一対の搬送ベルト50,50に巻回する時の糸状弾性体24の伸長率は、前述した張力調整工程により調整された伸長率であることが好ましい。すなわち、好ましくは1.5倍以上4.0倍以下、より好ましくは1.5倍以上2.5倍以下である。伸長率は前述した方法により求める。
巻回工程における回転アーム40の回転速度は、好ましくは250rpm以上8000rpm以下、より好ましくは1500rpm以上5000rpm以下である。
【0052】
搬送工程は、前述した一対の搬送ベルト50,50によって、巻回工程で巻回された糸状弾性体24を搬送方向X1に搬送し、一体化工程に供する。本実施形態の搬送手段5は、前述したように、高さ方向Zにおける上段ベルト51及び下段ベルト55間の距離tが、搬送方向X1の下流に向かって漸次拡大している(図5参照)。これにより、本実施形態の搬送工程では、巻回された糸状弾性体24の高さ方向Zにおける伸長率を、搬送方向X1の下流に向かって漸次高めていく。斯かる構成は、伸縮性シート21を製造する上で以下の利点を有する。
【0053】
糸状弾性体24は、伸縮性を有するため振動し易い。一対の搬送ベルト50,50間に巻回され且つ搬送される糸状弾性体24に振動が生じると、糸状弾性体24どうしが接触し易くなったり、該糸状弾性体2がベルト支持ガイド59等の製造装置100における各部材に接触し易くなったりする。この接触で、糸状弾性体24が意図せずに切断することがある。特に、幅の大きい伸縮性シート21を製造するため、一対の搬送ベルト50,50間の距離d(図6及び図7参照)を長くすると、一対の搬送ベルト50,50間の糸状弾性体24が長くなるので、振動とこれによる糸状弾性体24の切断が生じ易くなる。本実施形態の搬送工程では、糸状弾性体24の高さ方向Zにおける伸長率を下流に向かって漸次高めるので、該下流に向かうに連れ、直交方向Y1において上段ベルト51,51どうし間に掛け渡された糸状弾性体24a(以下、「上側糸状弾性体24a」ともいう。図4参照)と、直交方向Y1において下段ベルト55,55どうし間に掛け渡された糸状弾性体24b(以下、「下側糸状弾性体24b」ともいう。図4参照)との、高さ方向Zの離間距離が長くなる。これにより、上側糸状弾性体24aと下側糸状弾性体24bとが振動しても、これら糸状弾性体24a,24bどうしが接触することを効果的に抑制できるので、該接触による糸状弾性体24の意図しない切断を抑制できる。このようにして本実施形態の搬送工程では、一対の搬送ベルト50,50間に巻回された糸状弾性体24を安定して搬送できる。斯かる効果は、幅の大きい(直交方向Y1の長さが長い)伸縮性シート21の効率的な製造に有効である。
また、搬送ベルト50を、糸状弾性体24の高さ方向Zにおける伸長率を下流に向かって漸次高めるように構成することで、巻回手段4の回転アーム40をコンパクト化できる。
【0054】
上記の効果をより確実に奏させる観点から、上段ベルト51及び下段ベルト55は、搬送方向X1の下流に向かって、高さ方向Zにおいて互いに離間するように配されていることが好ましい(図5参照)。上記と同様の観点から、一対の搬送ベルト50,50の側面視における上段ベルト51及び下段ベルト55間の角度θ2(図5参照)は、好ましくは1°以上20°以下、より好ましくは1°以上10°以下である。斯かる角度θ2は、搬送ベルト50を側面視したときの上段ベルト51の順走部分51aと、下段ベルト55の順走部分55aとの間の角度であり、これら順走部分51a,55aを搬送方向X1の上流に向け延長させた仮想直線間の角度である(図5参照)。
【0055】
本実施形態の搬送ベルト50は、高さ方向Zにおける上段ベルト51及び下段ベルト55間の距離tが搬送方向X1において異なっており、搬送方向X1の上流側の端部で最小となり、搬送方向X1の下流側の端部で最大となる。
糸状弾性体24の振動をより抑制する観点から、搬送方向X1の巻回開始地点P1における上段ベルト51及び下段ベルト55間の距離t1(図5参照)は、好ましくは10mm以上25mm以下、より好ましくは10mm以上20mm以下である。
上記と同様の観点から、搬送方向X1の一体化手段6の位置P2(図5参照)における上段ベルト51及び下段ベルト55間の距離t2(図5参照)は、好ましくは20mm以上50mm以下、より好ましくは20mm以上40mm以下である。搬送方向X1の一体化手段6の位置P2は、搬送方向X1における一対のニップローラー61,62の回転軸の位置とする(図5参照)。
上段ベルト51及び下段ベルト55間の距離tは、高さ方向Zにおける上段ベルト51の順走部分51aと、下段ベルト55の順走部分55aとの間の距離である。
なお本実施形態では、高さ方向Zにおける一対のニップローラー61,62の中心軸どうし間の距離が、前記一体化手段6の位置P2(図5参照)における上段ベルト51及び下段ベルト55間の距離t2よりも長い。
【0056】
搬送工程において、一対の搬送ベルト50,50間に巻回された糸状弾性体24(以下、「巻回状態の糸状弾性体24」ともいう。)の高さ方向Zにおける伸長率とともに、該巻回された糸状弾性体24の直交方向Y1における伸長率とを、搬送方向X1の下流に向かって漸次高めていくことが好ましい。斯かる構成により、一対の搬送ベルト50,50に巻回した糸状弾性体24の全体を伸長させることができ、高さ方向Z及び直交方向Y1における伸長率の差を小さくできる。その結果、一対の搬送ベルト50,50における糸状弾性体24の巻回位置をより高精度に維持でき、糸状弾性体24の搬送をより安定化できる。
【0057】
本実施形態の搬送手段5は、高さ方向Zにおける上段ベルト51及び下段ベルト55間の距離tとともに、一対の搬送ベルト50,50間の距離dも、前記搬送方向の下流に向かって漸次拡大している(図6及び図7参照)。これにより、巻回状態の糸状弾性体24の高さ方向Z及び直交方向Y1の両伸長率が、搬送方向X1の下流に向かって漸次高められる。また、巻回状態の糸状弾性体24の直交方向Y1の長さが、巻回開始地点P1で最小であり、且つ搬送方向X1の下流に向かって長くなるので、幅の大きい伸縮性シート21を効率的に製造できる。これにより、巻回手段4等の設備をコンパクト化できる。
また、巻回開始地点P1における高さ方向Z及び直交方向Y1の長さそれぞれが最小となるので、該地点P1における糸状弾性体24の振動を効果的に抑制することができる。これらの効果は、幅の大きい(直交方向Y1の長さが長い)伸縮性シート21の安定的な製造に特に有効である。
【0058】
糸状弾性体24の振動をより抑制する観点から、一対の搬送ベルト50,50は、搬送方向X1の下流に向かって、直交方向Y1において互いに離間するように配されていることが好ましい(図6参照)。上記と同様の観点から、平面視における一対の搬送ベルト50,50間の角度θ1(図6参照)は、好ましくは1°以上50°以下、より好ましくは1°以上20°以下である。斯かる角度θ1は、一対の搬送ベルト50,50を平面視したときの上段ベルト51の順走部分51aどうし間の角度であり、これら順走部分51a,51aを搬送方向X1の上流に向け延長させた仮想直線間の角度である(図6参照)。
【0059】
本実施形態の搬送ベルト50は、直交方向Y1における一対の搬送ベルト50,50間の距離dが搬送方向X1において異なっており、搬送方向X1の上流側の端部で最小となり、搬送方向X1の下流側の端部で最大となる。
糸状弾性体24の振動をより抑制する観点から、搬送方向X1の巻回開始地点P1における一対の搬送ベルト50,50間の距離d1(図6参照)は、好ましくは70mm以上120mm以下、より好ましくは90mm以上110mm以下である。
上記と同様の観点から、搬送方向X1の一体化手段6の位置P2(図5参照)における一対の搬送ベルト50,50間の距離d2(図6参照)は、好ましくは160mm以上230mm以下、より好ましくは200mm以上220mm以下である。
直交方向Y1における一対の搬送ベルト50,50間の距離dは、直交方向Y1における上段ベルト51の順走部分51a,51aどうし間の距離とする。
【0060】
搬送工程において、糸状弾性体24の直交方向Y1における伸長率と、該糸状弾性体24の高さ方向Zにおける伸長率とが等しくなるように、一対の搬送ベルト50,50間の距離dを搬送方向X1の下流に向かって漸次拡大することが好ましい。巻回状態の糸状弾性体24における直交方向Y1及び高さ方向Zの各伸長率の差が抑えられると、巻回状態の糸状弾性体24が、搬送ベルト50(順走部分51a,55a)上でずれ難くなり、糸状弾性体24のピッチが所定の間隔に維持し易くなる。これにより、例えば、伸縮性シート21における糸状弾性体24を等間隔に配することができる。
斯かる効果をより確実に奏させる観点から、巻回状態の糸状弾性体24の直交方向Y1の伸長率と、該糸状弾性体24の高さ方向Zの伸長率との差は、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.5以下であり、これら伸長率に差がないこと(0であること)が最も好ましい。
上記と同様の観点から、一対の搬送ベルト50,50は、平面視における該一対の搬送ベルト間の角度θ1(図6参照)が、側面視における上段ベルト51及び下段ベルト55間の角度θ2(図5参照)以上であること(θ1≧θ2)が好ましい。この場合、平面視における一対の搬送ベルト間の角度θ1(図6参照)と、側面視における上段ベルト51及び下段ベルト55間の角度θ2(図5参照)との差は、好ましくは0°以上49°以下である。
【0061】
搬送工程において搬送ベルト50により搬送される糸状弾性体24どうしをより平行にする観点から、搬送工程において、上段ベルト51及び下段ベルト55の搬送速度を互いに異ならせ、一対の連続シート23a,23b間に固定される糸状弾性体24の向きを、直交方向Y1と平行にするか又は該平行に近づけることが好ましい。具体的には、上段ベルト51の搬送速度と、下段ベルト55の搬送速度とを異ならせることで、搬送方向X1に隣り合う直交方向Y1に伸長された糸状弾性体24どうしを平行にする、又は平行に近づけることができる。本実施形態では、一対の上段ベルトの順走部分51aどうし間に掛け渡された糸状弾性体24と、一対の下段ベルトの順走部分55aどうし間に掛け渡された糸状弾性体24とが、搬送方向X1に隣り合っている。
【0062】
搬送方向X1に隣り合う糸状弾性体24どうしをより容易に平行にする観点から、一方の搬送ベルト50は、上段ベルト51が下段ベルト55よりも搬送速度が速く、他方の搬送ベルト50は、上段ベルト51が下段ベルト55よりも搬送速度が遅く設定されることが好ましい。この場合、上段ベルト51及び下段ベルト55の搬送速度は、以下の範囲内であることが好ましい。
上段ベルト51及び下段ベルト55の搬送速度の差は、好ましくは0.05m/min以上20m/min以下、より好ましくは4m/min以上14m/min以下である。
上段ベルト51及び下段ベルト55の搬送速度は、好ましくは0.25m/min以上100m/min以下、より好ましくは20m/min以上70m/min以下である。
【0063】
一体化工程は、搬送状態の糸状弾性体24を一対の連続シート23a,23b間に挟んで、一対の連続シート23a,23b間に糸状弾性体を固定する。一体化工程は、前述した一体化手段6によって、巻回状態の糸状弾性体24を搬送しながら行う。本実施形態の一体化工程では、糸状弾性体24は、一対の搬送ベルト50,50間で直交方向Y1に伸長された部分が、一対の連続シート23a,23bに導入される。すなわち、一対の上段ベルトの順走部分51aどうし間に掛け渡された糸状弾性体24と、一対の下段ベルトの順走部分55aどうし間に掛け渡された糸状弾性体24とが、一対の連続シート23a,23bに導入される。
一体化工程では、接着剤が塗布された一対の連続シート23a,23b間に糸状弾性体24を挟み、これを一対のニップローラー61,62間で加圧する。これにより、一対の連続シート23a,23bの延在方向と直交する方向に延びる糸状弾性体24が、該延在方向に間欠的に固定される。
【0064】
切断工程は、一体化工程後に行われる工程であり、連続シート23a,23bの幅方向(直交方向Y1)の両端部それぞれから延出した糸状弾性体24を切断する。切断工程は、前述した切断手段8によって行われる。切断工程によって、一対の搬送ベルト50,50間に巻回された糸状弾性体24は、該搬送ベルト50から解放されるとともに、伸縮シート連続体22が得られる。
【0065】
以上の固定工程により得られた伸縮シート連続体22は、公知の切断手段(図示せず)によって、該連続体22の延在方向に間欠的に切断される。間欠的に切断する間隔は、例えばおむつ1が備えるウエストパネル20と同寸法にすることができ、これにより伸縮性シート21からなるウエストパネル20を連続的に製造することができる。
【0066】
本実施形態の製造方法は、前述した搬送工程における糸状弾性体24の意図しない切断又は振動を抑えることにより、幅(直交方向Y1の長さ)が好ましくは160mm以上である幅広の伸縮性シート21を効率的に製造できる。本実施形態の製造方法により得られる伸縮性シート21は、その幅(直交方向Y1の長さ)が好ましくは160mm以上280mm以下、より好ましくは200mm以上240mm以下である。
【0067】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されず、適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態の搬送工程では、巻回状態の糸状弾性体24を、高さ方向Z及び直交方向Y1の双方の伸長率を搬送方向X1の下流に向かって漸次高めていたが、高さ方向Zの伸長率のみを漸次高めてもよい。
また、搬送工程において上段ベルト51及び下段ベルト55の搬送速度を同じにしてもよい。
また、固定工程は、導入工程を具備しなくともよい。
また、上述した実施形態は、連続シート23a,23bの面が水平方向と平行になるように配置されていたが、これらの面が鉛直方向と平行になるように配置されていてもよい。後者の場合、高さ方向Zは水平方向と平行になる。
また、上段ベルトと下段ベルトは、順走部分と逆走部分とが高さ方向Zに2段に配置されたものではなく、直交方向Y1に2段に配置されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 使い捨ておむつ
11 表面シート
13 裏面シート
14 吸収体
15 吸収性本体
16 防漏カフ
17 カフ弾性部材
18 レッグ弾性部材
19 パネル材
20 ウエストパネル
21 伸縮性シート
22 伸縮シート連続体
23a,23b 連続シート
24 糸状弾性体
26 ファスニングテープ
100 製造装置
3 導入手段
30 張力調整手段
31 繰り出しローラー
32 テンションセンサー
35 速度調整手段
36a,36b ガイドローラー
37 フィードローラー
4 巻回手段
40 回転アーム
41 垂直部
42 周回部
42a 導出口
43 軸部
47 駆動部
48 サーボモーター
49 連動ベルト
5 搬送手段
50 搬送ベルト
51 上段ベルト
51a 順走部分
51b 逆走部分
55 下段ベルト
55a 順走部分
55b 逆走部分
52,53,56,57 プーリー
59 ベルト支持ガイド
61,62 ニップローラー
71a,71b 接着剤塗布手段
A 腹側部
B 背側部
C 股下部
X 縦方向
Y 横方向
X1 搬送方向
Y1 直交方向
Z 高さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7