(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081985
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】薄板コイル積載用架台及び薄板コイル積載方法
(51)【国際特許分類】
B60P 3/00 20060101AFI20240612BHJP
【FI】
B60P3/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195632
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】593005644
【氏名又は名称】JFE物流株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樹 幸治
(72)【発明者】
【氏名】澤井 爽介
(57)【要約】
【課題】汎用性を有しかつ、容易に薄板コイルを輸送することが可能な薄板コイル積載用架台を提供する。
【解決手段】薄板コイルが積載される薄板コイル積載用架台は、輸送車両の荷台の左右に立設された一対のスタンションを把持するための一対の把持部を有する第1台木固定治具と、前記第1台木固定治具と対向して配されている第2台木固定治具と、前記第1台木固定治具及び、前記第2台木固定治具を連結するための一対の第3台木固定治具と、を含む枠体と、前記枠体の枠内に設けられている前記薄板コイルを載置するための複数の台木と、を備える。前記第3台木固定治具の各々は、前記第1台木固定治具と前記第2台木固定治具とにそれぞれ嵌合して連結され、前記台木の各々は、前記枠体の枠内に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄板コイルが積載される薄板コイル積載用架台であって、
輸送車両の荷台の左右に立設された一対のスタンションを把持するための一対の把持部を有する第1台木固定治具と、前記第1台木固定治具と対向して配されている第2台木固定治具と、前記第1台木固定治具及び、前記第2台木固定治具を連結するための一対の第3台木固定治具と、を含む枠体と、
前記枠体の枠内に設けられている前記薄板コイルを載置するための複数の台木と、を備え、
前記第3台木固定治具の各々は、前記第1台木固定治具と前記第2台木固定治具とにそれぞれ嵌合して連結され、
前記台木の各々は、前記枠体の枠内に設けられていることを特徴とする薄板コイル積載用架台。
【請求項2】
前記第1台木固定治具は、棒状に形成されかつ、一端側及び他端側に形成された第1嵌合凹部を有し、
前記第2台木固定治具は、棒状に形成されかつ、一端側及び他端側に形成された第2嵌合凹部を有し、
前記第3台木固定治具の各々は、棒状に形成されかつ、前記第1嵌合凹部と嵌合する上端部嵌合凸部が一端側に形成され及び、前記第2嵌合凹部と嵌合する下端部嵌合凸部が他端側に形成され、
前記上端部嵌合凸部は、その先端が前記第1嵌合凹部の幅よりも長く形成され、
前記下端部嵌合凸部は、その先端が前記第2嵌合凹部の幅よりも長く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の薄板コイル積載用架台。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の薄板コイル積載用架台を用いた薄板コイルの積載方法であって、
前記第1台木固定治具及び、前記第2台木固定治具を一対の前記第3台木固定治具で連結する工程と、
輸送車両の荷台の左右に立設された一対のスタンションに前記把持部を固定する工程と、を含むことを特徴とする薄板コイルの積載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄板コイル積載用架台及び薄板コイル積載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スラブ(鋼片)を薄く延ばしてコイル状に形成した薄板コイルを輸送車両で輸送することが行われている。
【0003】
薄板コイルの輸送車両への積載方法としては、複数の薄板コイルの各々の軸方向を輸送車両の前後方向に沿って配置した、いわゆる鉄砲積みがある。鉄砲積みの一例としては、例えば、輸送車両の荷台において、その左右方向から中央に向かって深くなるように窪んで形成されかつ、その前後方向に窪みが延びた凹部を有するコイル輸送車両が非特許文献1に開示されている。
【0004】
さらに、薄板コイルを、傾斜角を有する傾斜面で支持する台木を用いて輸送車両に載置することが特許文献1の
図4に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】森井運送有限会社(荷台にコイル輸送専用のポケット設置車あり!)[令和4年11月4日検索]インターネット<URL:https://www.morii-unso.co.jp/service/coil/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、非特許文献1に記載されている輸送車両は、特殊な構造を有しているため、一般的な輸送車両に加工を施して適用することは難しく、汎用性に乏しいという問題がある。
【0008】
特許文献1に記載の架台を用いた場合には、薄板コイルを輸送車両に積載する際に、コイルサイズに合せて、台木の設置位置を調整することが必要である。台木の設置位置の調整は、揚重機等の機械で吊られている状態で薄板コイルに接近して行わなわなければならず、作業に注意を要するという問題がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、汎用性を有しかつ、容易に薄板コイルを輸送することが可能な薄板コイル積載用架台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を有利に解決する本発明に係る薄板コイル積載用架台は、薄板コイルが積載される薄板コイル積載用架台であって、輸送車両の荷台の左右に立設された一対のスタンションを把持するための一対の把持部を有する第1台木固定治具と、前記第1台木固定治具と対向して配されている第2台木固定治具と、前記第1台木固定治具及び、前記第2台木固定治具を連結するための一対の第3台木固定治具と、を含む枠体と、前記枠体の枠内に設けられている前記薄板コイルを載置するための複数の台木と、を備え、前記第3台木固定治具の各々は、前記第1台木固定治具と前記第2台木固定治具とにそれぞれ嵌合して連結され、前記台木の各々は、前記枠体の枠内に設けられていることを特徴とする。
【0011】
なお、本発明に係る薄板コイル積載用架台は、
前記第1台木固定治具は、棒状に形成されかつ、一端側及び他端側に形成された第1嵌合凹部を有し、前記第2台木固定治具は、棒状に形成されかつ、一端側及び他端側に形成された第2嵌合凹部を有し、前記第3台木固定治具の各々は、棒状に形成されかつ、前記第1嵌合凹部と嵌合する上端部嵌合凸部が一端側に形成され及び、前記第2嵌合凹部と嵌合する下端部嵌合凸部が他端側に形成され、前記上端部嵌合凸部は、その先端が前記第1嵌合凹部の幅よりも長く形成され、前記下端部嵌合凸部は、その先端が前記第2嵌合凹部の幅よりも長く形成されていること等がより好ましい解決手段になり得るものと考えられる。
【0012】
さらに、本発明に係る薄板コイル積載方法は、上記薄板コイル積載用架台を用いた薄板コイルの積載方法であって、前記第1台木固定治具及び、前記第2台木固定治具を一対の前記第3台木固定治具で連結する工程と、輸送車両の荷台の左右に立設された一対のスタンションに前記把持部を固定する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第3台木固定治具の各々は、第1台木固定治具と第2台木固定治具とにそれぞれ嵌合して連結され、また、台木の各々は、枠体の枠内に着脱可能に設けられていることにより、薄板コイル積載用架台を人力で容易に設置・取外しを行うことが可能となる。これにより、輸送車両に積載する薄板コイルの数に合せて薄板コイル積載用架台を設置することができ、輸送車両のスペースを有効に活用することもできる。また、輸送車両の荷台の左右に配されるスタンションがあれば、本発明の薄板コイル積載用架台を用いることができる。このため、汎用性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係る薄板コイル積載用架台の概要を示した平面図である。
【
図2】薄板コイル積載用架台に薄板コイルを積載した状態を示した左側面図である。
【
図3】
図3Aは、第1台木固定治具の平面図であり、
図3Bは、第1台木固定治具の正面図である。
【
図4】
図4Aは、第2台木固定治具の平面図であり、
図4Bは、第2台木固定治具の正面図である。
【
図5】
図5Aは、第3台木固定治具の平面図であり、
図5Bは、第3台木固定治具の正面図である。
【
図7】薄板コイル積載用架台に薄板コイルが載置される態様を示す説明図である。
【
図8】
図8は第1台木固定治具に第3台木固定治具を連結する前の態様を示す説明図である。
【
図9】
図9Aは第1台木固定治具に第3台木固定治具を連結した後の態様を示す説明図である。
図9Bは第1台木固定治具と第3台木固定治具との嵌合態様を上面視した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて、本実施形態に係る薄板コイル積載用架台について説明する。各図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる場合がある。以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであり、それらの構成を下記のものに限定するものでない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0016】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る薄板コイル積載用架台について説明する。ここで、本発明に係る薄板コイル積載用架台は、輸送車両の荷台の左右に立設された一対のスタンションを把持するための一対の把持部を有する第1台木固定治具と、前記第1台木固定治具と対向して配されている第2台木固定治具と、前記第1台木固定治具及び、前記第2台木固定治具を連結するための一対の第3台木固定治具と、を含む枠体と、前記枠体の枠内に設けられている前記薄板コイルを載置するための複数の台木と、を備えている。本発明に係る薄板コイル積載用架台は、前記第3台木固定治具の各々は、前記第1台木固定治具と前記第2台木固定治具とにそれぞれ嵌合して連結され、前記台木の各々は、前記枠体の枠内に設けられている。以下、本実施形態に係る薄板コイル積載用架台が備えている各部材について説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る薄板コイル積載用架台の概要を示す平面図である。
図1に示されるように、薄板コイル積載用架台100は、第1台木固定治具101と、第1台木固定治具101と対向して配されている第2台木固定治具102と、一対の第3台木固定治具103(第3台木固定治具103R及び第3台木固定治具103L)と台木104とを備えている。第1台木固定治具101と、第2台木固定治具102と、第3台木固定治具103R及び第3台木固定治具103Lは、薄板コイル200を積載するための、例えば矩形状の枠体Fを形成する。枠体Fの枠内には、薄板コイル200を載置するための複数の台木104(台木141~144)が設けられている。
【0018】
輸送車両の荷台301には、その左右方向(荷台301の幅方向であり、
図1においてD1で示される方向)において配されている一対のスタンションS1,S2を有する。一対のスタンションS1,S2は、輸送車両の荷台301の全長方向(荷台301の長さ方向であり、
図1においてD2で示される方向)に沿って複数配されている。一対のスタンションS1,S2は、例えば、角柱の棒状に形成されている。第1台木固定治具101は、棒状に形成されている。第1台木固定治具101は、その軸が輸送車両の荷台301の左右方向に沿って設置されている。
【0019】
第1台木固定治具101は、第1台木固定治具本体111と、スタンションS1を把持するための把持部112と、スタンションS2を把持するための把持部113と、を対として有する。
【0020】
把持部112,113は、例えば、スタンションS1,S2が直方体である場合、スタンションS1,S2の外周を囲むように、荷台301の左右方向の端部が開口したU字状に形成することができる。把持部112,113をこのような形状とすることにより、スタンションS1,S2に把持部112,113を嵌合させることができる。したがって、第1台木固定治具101をスタンションS1,S2に容易に取り付けることができ、かつ、スタンションS1,S2から第1台木固定治具101を容易に取り外すことができる。
【0021】
第1台木固定治具101の長手方向の長さは、例えば、輸送車両の荷台301の左右方向におけるスタンションS1,S2間の距離によって決定される。
【0022】
第2台木固定治具102は、棒状に形成されている。第2台木固定治具102は、第2台木固定治具本体121を有する。第2台木固定治具102は、スタンションS1およびスタンションS2を結ぶ荷台301の左右方向と平行に設置される。第2台木固定治具102の長さは、第1台木固定治具本体111の長手方向の長さと同様に設定することができる。
【0023】
第3台木固定治具103は、枠体Fの右端に位置する第3台木固定治具103Rと、左端に位置する第3台木固定治具103Lからなる。第3台木固定治具103Rは、第1台木固定治具101及び、第2台木固定治具102の一端側に配されている。第3台木固定治具103Lは、第1台木固定治具101及び、第2台木固定治具102の他端側に配されている。
【0024】
第3台木固定治具103R,103Lは、棒状に形成されている。第3台木固定治具103R,103Lは、第1台木固定治具101及び、第2台木固定治具102を連結する。第3台木固定治具103R,103Lは、第1台木固定治具101及び、第2台木固定治具102に対して垂直(輸送車両の荷台301の全長方向に沿って)に設置される。第3台木固定治具103R,103Lの長手方向の長さは、第1台木固定治具本体111と第2台木固定治具102との間の距離よりも長くとするとよい。
【0025】
第1台木固定治具101、第2台木固定治具102及び一対の第3台木固定治具103を構成する材料としては、枠体Fに当該薄板コイル積載用架台100に薄板コイル200による重量の負荷が掛かった場合に、その形態を保持することができるものであれば、特に制限されない。また、第1台木固定治具101、第2台木固定治具102及び一対の第3台木固定治具103を構成する材料としては、このような所定の機械的強度を有し、耐摩耗性に優れたものであれば、特に制限されない。具体的に、第1台木固定治具101、第2台木固定治具102及び一対の第3台木固定治具103を構成する材料としては、アルミ合金、ステンレス(SUS303、SUS304、SUS430)、鉄(SS400、S45C)、アルミニウム(A5052、A5052)、ジュラルミン(A2017)、真鍮(C3604)、特殊鋼、ダイス鋼(SKD11)、ハイス鋼(SKH51)、ポリアセタール樹脂(POM)等を例示することができる。
【0026】
なお、第1台木固定治具101、第2台木固定治具102及び一対の第3台木固定治具103は、角柱状に形成されており、その長手方向に対して垂直な断面の断面形状は、薄板コイル積載用架台100の強度確保のため矩形であることが好ましい。第1台木固定治具101、第2台木固定治具102及び一対の第3台木固定治具103は、薄板コイル200の輸送時おけるその強度を確保することができれば、その内部が充填されている角棒であっても、その内部が空洞の角パイプであってもよい。さらに、第1台木固定治具101、第2台木固定治具102及び一対の第3台木固定治具103の各々の重量は、薄板コイルの輸送時おける薄板コイル積載用架台の強度を確保し、人力で組み立てることができ、かつ人力で取り外すことができる観点から、3~15kgであることが好ましい。第1台木固定治具101、第2台木固定治具102及び一対の第3台木固定治具103の各々の重量が3kg以上であれば、薄板コイル積載用架台の強度を確保することができるためである。また、各々の重量が15kg以下であれば、これらの台木固定治具を人力で容易に運ぶことができるため好ましい。具体的には、第1台木固定治具101の重量を9~13kg、第2台木固定治具102の重量を8~12kg、第3台木固定治具103の重量を3~5kgに設定することできる。例えば、具体的に本実施形態に係る薄板コイル積載用架台100は、一対のスタンションS1,S2に固定する第1台木固定治具101の重量を12kg、第2台木固定治具102の重量を9kg、第3台木固定治具103を3kgに設定し、これらの台木固定治具を嵌合することにより枠体Fを形成し、枠体Fの内部に設置する複数の台木104として11kgの台木104を採択して形成することができる。このように、第1台木固定治具101、第2台木固定治具102、一対の第3台木固定治具103及び、台木104を構成することにより、揚重機等の機械を用いずに、すなわち、人力でこれらの部材の組み付け及び、分解を行うことが可能となる。
【0027】
枠体Fは、薄板コイル200を積載するための基本構造体となる。枠体Fは、第1台木固定治具101の把持部112,113がスタンションS1,S2を把持することによって荷台301に固定されている。このため、輸送車両が走行状態から減速して停止する際に、枠体Fに薄板コイル200の慣性力が働いても、スタンションS1,S2によって当該慣性力を和らげることができる。ここで、枠体Fの形態は、輸送車両の荷台301の大きさ、薄板コイルのコイル径、コイル幅等の薄板コイル200の積載条件に応じて適宜調整することができる。
【0028】
枠体Fの枠内には、薄板コイル200を載置するための複数の台木104が設けられている。複数の台木104は、例えば、枠体Fの上面視で第1台木固定治具101の右側に取り付けられる台木141と、台木141に隣接して第1台木固定治具101の左側に取り付けられる台木142と、第2台木固定治具102の右側に取り付けられる台木143と、台木143に隣接して第2台木固定治具102の左側に取り付けられる台木144と、から構成される。台木141は、枠体Fの枠内において、台木143と対向して配されている。台木142は、枠体Fの枠内において、台木144と対向して配されている。
【0029】
台木141~144を構成する材料としては、薄板コイル200の運搬時において、積載された当該薄板コイル200の移動を抑制し、耐久性及び耐水性に優れた材料であることが好ましい。台木141~144を構成する材料としては、例えば、アピトン、セランガンバツ等を挙げることができる。
【0030】
複数の台木104は、薄板コイル200を安定して載置することができればよく、その個数は、4個に制限されるものではない。例えば、各々の重量、薄板コイル200の支持に必要な強度等の条件によって台木104の個数が決定される。
【0031】
第1台木固定治具101及び第2台木固定治具102に台木141~144を取り付ける手段としては、台木141~144に薄板コイル200が載置された場合に、第1台木固定治具101と台木141,142と第2台木固定治具102と台木143,144との取り付け状態を維持することができるものであれば、特に制限されない。
【0032】
例えば、第1台木固定治具101及び第2台木固定治具102は、台木104と嵌合可能に形成するとよい。具体的には、第1台木固定治具101及び第2台木固定治具102に台木104を嵌合して取り付けるための固着部105~108を設けるとよい。
【0033】
固着部105~108は、台木104を第1台木固定治具101又は第2台木固定治具102に固定することができる部材であればよく、特に制限されない。固着部105~108としては、例えば、L字型金具等を挙げることができる。
【0034】
固着部105は、台木141を取り付けるために第1台木固定治具101の第2台木固定治具102と対向する面に設けられる。固着部105は、固着部105Rと固着部105Lとからなる。固着部105Rは、枠体Fを上面から見た場合に、第1台木固定治具本体111の右端に設置され、固着部105Lは、固着部105Rの左側に隣接して設置されている。固着部105Rと固着部105Lは、第1台木固定治具本体111の長手方向に沿って位置し、互いに対向して設置されている。台木141は、固着部105R及び固着部105Lの間に配されることによって、枠体Fの枠内に人力で取り外し可能な状態で取り付けられる。
【0035】
固着部106は、台木142を取り付けるために第1台木固定治具101の第2台木固定治具102と対向する面に設けられる。固着部106は、固着部106Rと固着部106Lとからなる。固着部106Lは、枠体Fを上面から見た場合に、第1台木固定治具本体111の左端に設置され、固着部106Rは、固着部106Lの右側に隣接して設置されている。固着部106Rと固着部106Lは、第1台木固定治具本体111の長手方向に沿って位置し、互いに対向して設置されている。台木142は、固着部106R及び固着部106Lの間に配されることによって、枠体Fの枠内に人力で取り外し可能な状態で取り付けられる。
【0036】
固着部107は、台木143を取り付けるために第2台木固定治具102の第1台木固定治具101と対向する面に設けられる。固着部107は、固着部107Rと固着部107Lとからなる。固着部107Rは、枠体Fを上面から見た場合に、第2台木固定治具本体121の右端に設置され、固着部107Lは、固着部107Rの左側に隣接して設置されている。固着部107Rと固着部107Lは、第2台木固定治具本体121の長手方向に沿って位置し、互いに対向して設置されている。台木143は、固着部107R及び固着部107Lの間に配されることによって、枠体Fの枠内に人力で取り外し可能な状態で取り付けられる。
【0037】
固着部108は、台木144を取り付けるために第2台木固定治具102の第1台木固定治具101と対向する面に設けられる。固着部108は、固着部108Rと固着部108Lとからなる。固着部108Lは、枠体Fを上面から見た場合に、第2台木固定治具本体121の左端に設置され、固着部108Lの右側に隣接して設置されている。固着部108Rと固着部108Lは、第2台木固定治具本体121の長手方向に沿って位置し、互いに対向して設置されている。台木144は、固着部108R及び固着部108Lの間に配されることによって、枠体Fの枠内に人力で取り外し可能な状態で取り付けられる。
【0038】
薄板コイル200は、枠体Fの枠内に設けられた台木141~144に載置される。具体的に薄板コイル200は、枠体Fによって囲まれた内部領域の中心Cの鉛直方向に薄板コイル200の重心Gが位置するように載置される。ここで、内部領域の中心Cは、枠体Fの枠内に設けられた台木141の左下角部と台木142の右下角部と台木143の左上角部と台木144の右上角部とによって形成される矩形の中心を意味する。
【0039】
薄板コイル積載用架台100に積載される薄板コイル200は、その軸に垂直な断面が円環形状であって、中空部を有する中空円柱体である。薄板コイル200の重量は、輸送車両の積載可能な重量に応じて設定するとよい。薄板コイル200の径及び幅は、輸送車両の通行に関する規制、輸送車両の幅、輸送車両の幅方向(左右方向)に配されたスタンションS1,S2間の距離等に応じ定めるとよい。
【0040】
図2は、本実施形態に係る薄板コイル積載用架台に薄板コイルを積載した状態を示した左側面図である。
図2に示されるように、薄板コイル200は、台木141,142と、台木143,144と、で形成された凹部145に載置される。
【0041】
第1台木固定治具本体111に取り付けられた台木141,142は、枠体Fの内部方向(荷台301の前後方向D2)でありかつ、第1台木固定治具本体111の固定端から下方に傾斜している傾斜面141a,142aを有している。第2台木固定治具121に取り付けられた台木143,144は、枠体Fの内部方向(荷台301の前後方向D2)でありかつ、第2台木固定治具102の固定端から下方に傾斜している傾斜面143a,144aを有している。これらの傾斜面141a,142a及び傾斜面143a,144aによって凹部145が形成される。凹部145は、台木141,142の先端部の端面と、台木143,144の先端部の端面と、が対向して配されていることにより、側面視(荷台301の左右方向からみて)がV字状をなすように形成されている。
【0042】
薄板コイル200の外周側面201は、台木141~144の傾斜面141a~144aに接触する。薄板コイル200は、台木141~144によって形成される枠体Fの内部領域の中心C(
図1参照)の鉛直方向に薄板コイル200の重心Gが位置するように載置される。
【0043】
このように、薄板コイル200が凹部145に載置されることにより、薄板コイル200の重量が4枚の固定用台木141~144に均一に分散される。これより、薄板コイル200は、バランスよく固定用台木104に安定して載置される。その結果、薄板コイル200は、当該薄板コイル200の輸送時における輸送車両の発進時及び減速時においても、枠体Fの枠内において、積載された位置から動くことなく、安定して積載される。
【0044】
図3は、第1台木固定治具101の概要を示した模式図である。
図3Aは、第1台木固定治具101の平面図である。
図3Aに示されるように、第1台木固定治具101の把持部112,113は、輸送車両の荷台301の左右に立設されたスタンションS1,S2を把持する。
【0045】
図3Bは、第1台木固定治具の正面図である。
図3Bに示されるように、第1台木固定治具101は、一端側に形成された第1嵌合凹部114と他端側に形成された第1嵌合凹部115とを有している。第1嵌合凹部114は、固着部105Rよりも右端側、すなわち、把持部112側に設けられている。第1嵌合凹部115は、固着部106Lよりも左端側、すなわち、把持部113側に設けられている。
【0046】
図4は、第2台木固定治具102の概要を示した模式図である。
図4Aは、第2台木固定治具102の平面図である。
図4Bは、第2台木固定治具102の正面図である。
図4A及び、
図4Bに示されるように、第2台木固定治具102の一端側に形成された第2嵌合凹部122は、固着部107Rよりも一端側に設けられている。第2台木固定治具102の他端側に形成された第2嵌合凹部123は、固着部108Lよりも他端側に設けられている。
【0047】
図5は、第3台木固定治具103の概要を示した模式図である。
図5Aは、第3台木固定治具103の平面図である。
図5Aに示されるように、第3台木固定治具103R,103Lの各々は、一端側(第1台木固定治具101側)に位置する上端部132と、他端側(第2台木固定治具102側)に位置する下端部133とを有する。
【0048】
図5Bは、第3台木固定治具103R,103Lの正面図である。
図5Bに示されるように、第3台木固定治具103R,103Lの各々は、その一端側に第1台木固定治具101の第1嵌合凹部114と嵌合する上端部嵌合凸部134と、その他端側に第2台木固定治具102の第2嵌合凹部123と嵌合する下端部嵌合凸部135とを有している。
【0049】
第1台木固定治具101の第1嵌合凹部114、115には、第3台木固定治具103R,103Lの上端部嵌合凸部134が嵌合される。第2台木固定治具102の第2嵌合凹部122,123には、第3台木固定治具103R,103Lの下端部嵌合凸部135が嵌合される。
【0050】
図6は、台木104の側面図である。
図6に示されるように、台木104は、固定端から先端側に向かってその厚さが薄くなるように形成された傾斜面104aを有している。台木104は、側面視で荷台301の高さ方向に延びる上底及び下底を有する台形状に形成されている。このため、傾斜面104aの先端は、輸送車両の荷台301に接触することなく、所定の高さ(上底の高さ)に位置している。したがって、薄板コイル200は、少なくとも所定の高さ(上底の高さ)だけ輸送車両の荷台301から浮いた状態で台木104に支持される。
【0051】
図7は、薄板コイル積載用架台に薄板コイルが載置される態様を示している。
図7に示されるように、台木141,142は、台木143,144と対向して配されている。互いに対向する台木(141,142)、(143,144)間の距離は、薄板コイル積載用架台100に積載される薄板コイル200の径の大きさによって適宜定められる。
【0052】
凹部145には、予め定められた最大外径の薄板コイル210から最小外径の薄板コイル220の任意の外径のコイルが載置される。薄板コイル210、220は、凹部145によって支持される。尚、内部領域の中心C(
図1参照)の鉛直方向に、最大外径の薄板コイル210の重心G1及び、最小外径の薄板コイル220の重心G2が位置するように載置される。
【0053】
台木141~144は、予め定められた薄板コイル200の外径範囲内の薄板コイル200を支持可能に形成されるとよい。台木141~144の仕様は、最大外径の薄板コイル210のコイル径と、最小外径の薄板コイル220のコイル径とを設定し、設定されたこれらのコイル径を勘案して決定される。このようにして仕様が決定された台木141~144を用いることで、最大外径から最小外径までの薄板コイル200を凹部145に載置することができる。台木141~144の傾斜面141a~144aによって、薄板コイル200が荷台301の前後方向に移動することが防止される。
【0054】
以上説明したように、本実施形態に係る薄板コイル積載用架台100によれば、第1台木固定治具101と、第2台木固定治具102と、を一対の第3台木固定治具103で連結することができる。したがって、これらの各台木固定治具を嵌合して連結することにより揚げ重機等の機械を用いずに人力で組み付けすることができる。本実施形態に係る薄板コイル積載用架台100は、各台木固定治具の嵌合状態を解除することにより、人力で個々の部材に分解することができる。
【0055】
また、本実施形態に係る薄板コイル積載用架台100は、輸送車両の荷台301の左右に配されるスタンションS1,S2があれば用いることができる。このため、汎用性を高めることができる。
【0056】
第1~第3台木固定治具101~103を分解することにより、枠体Fよりも荷台301の占有スペースを大幅に減らすことができる。さらに、分解された第1~第3台木固定治具101~103のそれぞれを独立して保管し、輸送することができる。
【0057】
また本実施形態に係る薄板コイル積載用架台によれば、輸送車両の荷台301に積載することができる最小コイル径から最大コイル径を有する種々の薄板コイルを積載することができる。
【0058】
第1台木固定治具101、第2台木固定治具102、一対の第3台木固定治具103及び、台木104の重量は、可能な限り軽くするとよい。例えば、第1~第3台木固定治具101,102,103及び台木104を15kg以下とするとよい。このように、各部材を構成することで、薄板コイル積載用架台100の組立及び、分解作業のユーザに掛かる負担を軽減すること、すなわち、揚げ重機等の機械を用いずに人力で作業を行うことが可能となる。
【0059】
尚、本実施形態に係る薄板コイル積載用架台において、一対の第3台木固定治具103と第1台木固定治具101と第2台木固定治具102とがそれぞれ嵌合して連結されていればよい。例えば、第1台木固定治具101及び第2台木固定治具102の所定位置に嵌合凸部を設け、これらの嵌合凸部に対応した一対の第3台木固定治具の所定位置に嵌合凹部を設けて、第1台木固定治具101と第2台木固定治具102とを一対の第3台木固定治具103に嵌合してもよい。
【0060】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る薄板コイル積載用架台について説明する。本実施形態に係る薄板コイル積載用架台は、上記実施形態において、前記第1台木固定治具は、棒状に形成されかつ、一端側及び他端側に形成された第1嵌合凹部を有し、前記第2台木固定治具は、棒状に形成されかつ、一端側及び他端側に形成された第2嵌合凹部を有し、前記第3台木固定治具の各々は、棒状に形成されかつ、前記第1嵌合凹部と嵌合する上端部嵌合凸部が一端側に形成され及び、前記第2嵌合凹部と嵌合する下端部嵌合凸部が他端側に形成され、前記上端部嵌合凸部は、その先端が前記第1嵌合凹部の幅よりも長く形成され、前記下端部嵌合凸部は、その先端が前記第2嵌合凹部の幅よりも長く形成されていることを特徴とする。なお、本実施形態以降の実施形態に係る薄板コイル積載用架台において、第1実施形態に係る薄板コイル積載用架台と共通する部材はそのまま採用することとし、当該部材の符号と同一の符号を用いることとする。以下、本実施形態に係る薄板コイル積載用架台の特徴的部分について説明する。
【0061】
図8は、第1台木固定治具101と第3台木固定治具103との連結態様を示す。なお、
図8においては、第1台木固定治具101の把持部112,113が省略して表されている。
【0062】
図8に示されるように、第3台木固定治具103Lの上端部嵌合凸部134の先端である上端部132の幅W1は、第1台木固定治具101の第1嵌合凹部115の幅W2よりも長く形成されている。第3台木固定治具103Lの下端部嵌合凸部135の先端である下端部133の幅W1は、第2台木固定治具102の第2嵌合凹部123の幅W2よりも長く形成されている。
【0063】
図9は、第1台木固定治具101と第3台木固定治具103との連結態様を示す。なお、
図9においては、第1台木固定治具101の把持部112,113が省略して表されている。
【0064】
図9Aは、第1台木固定治具101に第3台木固定治具103Lを嵌合した際の各部材の位置関係を示している。
図9Bは、第1台木固定治具101と第3台木固定治具103Lとが嵌合した際の各部材の位置関係を示している。
【0065】
図9A及び、9Bに示すように、第3台木固定治具103Lが第1台木固定治具101と嵌合した状態で、薄板コイル積載用架台100に薄板コイル200が載置されると、台木141~144が荷台301の前後方向に荷重を受ける。言い換えれば、荷台301の前後方向において互いに対向する台木(141,142)、(143,144)の間隔が離れる方向に力が働く。すなわち、第1台木固定治具101は、図中の矢印方向に荷重を受ける。第1台木固定治具101の壁部は、第3台木固定治具103Lの上端部132に押し当てられる。これにより、第3台木固定治具103Lと第1台木固定治具101との嵌合状態を強固にすることができる。
【0066】
同様に、第2台木固定治具102の壁部は、第3台木固定治具103Lの下端部133に押し当てられる。これにより、第3台木固定治具103Lと第2台木固定治具102との嵌合状態を強固にすることができる。
【0067】
また、薄板コイル積載用架台100から薄板コイル200が移動されると、台木141~144が受けていた荷重が解放される。このため、第3台木固定治具103Lと第1台木固定治具101との嵌合状態が緩くなる。同様に、第3台木固定治具103Lと第2台木固定治具102との嵌合状態が緩くなる。
【0068】
このため、ユーザは、第3台木固定治具103Lを上方に持ち上げるだけで、第1台木固定治具101及び、第2台木固定治具102との連結を容易に解除することができる。尚、第3台木固定治具103Rについても、第3台木固定治具103Lと同様の構成であるため説明を省略する。
【0069】
以上説明したように、本実施形態に係る薄板コイル積載用架台によれば、台木141~144が受ける薄板コイル200の荷重を利用して、第3台木固定治具103L、103Rと、第1台木固定治具101及び、第2台木固定治具102との嵌合状態を強固にすることができる。したがって、部材同士をボルト等の締結手段を用いずに連結させることが可能となる。また、薄板コイル200の荷重を開放することにより、第3台木固定治具103L、103Rと、第1台木固定治具101及び、第2台木固定治具102との嵌合状態を緩くすることができる。したがって、これらの部材の分解を容易に行うことが可能となる。
【0070】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る薄板コイルの積載方法について説明する。第3実施形態に係る薄板コイルの積載方法は、上記実施形態に係る薄板コイル積載用架台を用いた薄板コイルの積載方法である。本実施形態に係る薄板コイルの積載方法は、上記実施形態に係る薄板コイル積載用架台を用いた薄板コイルの積載方法であって、
(I)前記第1台木固定治具及び、前記第2台木固定治具を一対の前記第3台木固定治具で連結する工程と、
(II)輸送車両の荷台301の左右に立設された一対のスタンションに前記把持部を固定する工程と、を含む。以下、本実施形態に係る薄板コイルの積載方法が含む各工程について説明する。
【0071】
<工程(I)について>
工程(I)は、枠体Fを形成するステップである。工程(I)において、第1台木固定治具101の一方の第1嵌合凹部114に第3台木固定治具103Rの上端部嵌合凸部134を嵌合させ、他方の第1嵌合凹部114に第3台木固定治具103Lの上端部嵌合凸部134を嵌合させる。
【0072】
さらに、第2台木固定治具102の一方の第2嵌合凹部123に第3台木固定治具103Rの下端部嵌合凸部135を嵌合させ、他方の第2嵌合凹部123に第3台木固定治具103Lの下端部嵌合凸部135を嵌合させる。
【0073】
<工程(II)について>
工程(II)は、輸送車両の荷台301の左右に立設された一対のスタンションに第1台木固定治具が有する一対の前記把持部を固定するステップである。工程(I)で形成された枠体Fを輸送車両の荷台301に配置し、第1台木固定治具101の把持部112をスタンションS1の外周を覆うように嵌め込む。次いで、把持部113をスタンションS2の外周を覆うように嵌め込む。
【0074】
尚、工程(II)を先に行い、次いで工程(I)を行ってもよい。また、このように枠体Fを形成した後に、台木141~144を固着部105~108に嵌め込むことによって取り付けるとよい。
【0075】
また、薄板コイル積載用架台100に薄板コイル200の固定状態を安定させるために、当該薄板コイル200と台木141~144との間にシート状のゴムを設けてもよい。さらに、スベロープ、金属ワイヤー等を用いて輸送車両の荷台301に薄板コイル200を固定してもよい。
【符号の説明】
【0076】
100 薄板コイル積載用架台
101 第1台木固定治具
111 第1台木固定治具本体
112 把持部
113 把持部
114 第1嵌合凹部(一端側)
115 第1嵌合凹部(他端側)
S1,S2 スタンション
102 第2台木固定治具
121 第2台木固定治具本体
122 第2嵌合凹部(一端側)
123 第2嵌合凹部(他端側)
103 第3台木固定治具
103R 第3台木固定治具(枠体右側)
103L 第3台木固定治具(枠体右側)
131 第3台木固定治具本体
134 上端部嵌合凸部
135 下端部嵌合凸部
F 枠体
104 台木
141 台木
142 台木
143 台木
144 台木
200 薄板コイル