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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081987
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】自立性包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/02 20060101AFI20240612BHJP
   B65D 30/16 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
B65D33/02
B65D30/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195637
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正樹
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AB23
3E064BA16
3E064BA26
3E064BA30
3E064BB03
3E064BC08
3E064BC18
3E064EA07
3E064EA30
3E064FA04
3E064HF09
3E064HG03
3E064HM01
3E064HN65
3E064HS04
3E064HU03
(57)【要約】
【課題】腰強度の低いポリオレフィン系樹脂でモノマテリアル化した積層体を用いた場合であっても、自立性保持と注ぎ性を改善させた自立性包装袋を提供すること。
【解決手段】第1の側面フィルムと、第2の側面フィルムと、これらの間に2つ折りの状態で折り目側から挿入された底フィルムとを重ね合わせて周縁部をシールすることによって収納部が形成された自立性包装袋において、
前記自立性包装袋を自立させたときの鉛直方向に相当する方向における前記第1の側面フィルムおよび前記第2の側面フィルムのループスティフネス値が、500mN/15mm以下であることを特徴とする自立性包装袋である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側面フィルムと、第2の側面フィルムと、これらの間に2つ折りの状態で折り目側から挿入された底フィルムとを重ね合わせて周縁部をシールすることによって収納部が形成された自立性包装袋において、
前記第1の側面フィルムおよび前記第2の側面フィルムの周縁部の長手方向の少なくとも一方に、前記第1の側面フィルムおよび前記第2の側面フィルムをシールしたシール領域に取り囲まれた、シールされていない領域である未シール領域が設けられ、前記未シール領域に空気が注入されて空気注入部が形成されており、
前記第1の側面フィルム、前記第2の側面フィルム、前記底フィルムは、それぞれ少なくとも基材とシーラント層を備えた積層体であり、
前記自立性包装袋を自立させたときの鉛直方向に相当する方向における前記第1の側面フィルムおよび前記第2の側面フィルムのループスティフネス値が、500mN/15mm以下であることを特徴とする自立性包装袋。
【請求項2】
前記自立性包装袋を自立させたときの水平方向に相当する方向における前記第1の側面フィルムおよび前記第2の側面フィルムのループスティフネスが、450mN/15mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の自立性包装袋。
【請求項3】
前記第1の側面フィルム、前記第2の側面フィルム、前記底フィルムはさらにガスバリア層を備えた積層体であり、それぞれが、酸素透過度1.0cc/(m・day・atm)以下であり、水蒸気透過度が1.0g/(m・day)以下であることを特徴する請求項1または2に記載の自立性包装袋。
【請求項4】
前記自立性包装袋におけるポリオレフィン樹脂の合計質量が、自立性包装袋に用いられる前記積層体の全質量を基準として、90質量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の自立性包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料のリサイクル性に優れる環境負荷の小さな積層体及びそれを用いた包装材料に関するものであり、特に、大容量の自立性包装袋の自立性保持と注ぎ性改善に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、液体や粉体などの内容物を収納した自立性を有する包装袋が知られている。例えば、飲料、シャンプー、調味料など液体および流動性のあるものを収容するスタンディングパウチは広く用いられている。
【0003】
このスタンディングパウチは、通常、2枚の側面フィルムの下部に、底フィルムを折り畳みながら挿入し、加熱接着して底シール部、側面フィルムの両サイドを加熱接着して側部シール部をそれぞれ形成して構成される。これらの側面フィルムおよび底フィルムにて形成される空間内に、内容物を充填し、その後、スタンディングパウチの天部が加熱接着されて封緘される。底フィルムは、充填時に拡開されて自立性包装袋になる。また上隅部には、注出口が形成されているものが多い。
【0004】
スタンディングパウチは、近年、内容物の容量が増量されることにより、重量が大きくなり、従来は、腰強度に優れたナイロン(NY)やポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)基材と、ポリプロピレンフィルム(PP)やポリエチレンフィルム(PE)等のポリオレフィン系シーラント材、バリア性付与のためのAL箔を用いた複合材料を組み合わせた積層体が用いられてきた(特許文献1,2参照)。
【0005】
ところで近年、海洋プラスチックごみ問題等に端を発する環境意識の高まりから、プラスチック材料の分別回収と再資源化のさらなる高効率化が求められるようになってきている。すなわち、従来、様々な異種材料を組み合わせることで高性能化を図ってきた包装用の積層体においても、包材を構成する積層体を同系統の材料で構成して、包材を一体の素材として再利用するモノマテリアル化が求められるようになってきた。
【0006】
モノマテリアル化の取り組みの中では、90質量%以上の同一樹脂素材を用いた包装材料がリサイクル性が高いと考えられているが、多くのプラスチックフィルムの中でも特に、包装材料として広く使用され、リサイクル適正の高いPPやPEでのモノマテリアル化が期待されている。これらのリサイクルの徹底により分別回収と再資源化において効果的である。
【0007】
前述したように、大容量のスタンディングパウチでは、NYやPETフィルムといった腰強度の高いフィルムを使用していたが、PPやPEといったポリオレフィン系樹脂は腰強度が低い。したがって、モノマテリアル化するにあたり、PPやPEのような腰強度の低い素材を使用した場合、腰感が低下してしまうといった問題が生じている。中でも、包装材料そのものが自立性を有する「スタンディングパウチ」では腰感低下の影響が大きく、店頭陳列時に倒れてしまったり、折れ曲がってしまうといった自立性低下の懸念があった。さらに注ぎ性にも問題が生じてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7-237281号公報
【特許文献2】特開平7-241967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述のような背景技術の問題を鑑みて、腰強度の低いポリオレフィン系樹脂でモノマテリアル化した積層体を用いた場合であっても、自立性保持と注ぎ性を改善させた自立性包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための手段として、本発明の第1の態様は、
第1の側面フィルムと、第2の側面フィルムと、これらの間に2つ折りの状態で折り目側から挿入された底フィルムとを重ね合わせて周縁部をシールすることによって収納部が形成された自立性包装袋において、
前記第1の側面フィルムおよび前記第2の側面フィルムの周縁部の長手方向の少なくとも一方に、前記第1の側面フィルムおよび前記第2の側面フィルムをシールしたシール領域に取り囲まれた、シールされていない領域である未シール領域が設けられ、前記未シール領域に空気が注入されて空気注入部が形成されており、
前記第1の側面フィルム、前記第2の側面フィルム、前記底フィルムは、それぞれ少なくとも基材とシーラント層を備える積層体であり、
前記自立性包装袋を自立させたときの鉛直方向(TD)に相当する方向における前記第1の側面フィルムおよび前記第2の側面フィルムのループスティフネス値が、500mN/15mm以下であることを特徴とする自立性包装袋である。
【0011】
鉛直方向における第1の側面フィルムおよび第2の側面フィルムのループスティフネス値が、500mN/15mm以下であると、空気注入口の面積が小さくても空気注入時に十分な開口幅を確保できる。より具体的には、ループスティフネス値が低いことで、空気注入部の面積が小さくても、空気注入時にしっかり空気注入部が膨らむので、良好に自立性を保つことができる。腰強度が弱いモノマテリアル包装袋でも、空気注入部(持ち手としても機能する)を設けることで自立させることが可能である。
【0012】
また、本発明の第2の態様は、
前記自立性包装袋を自立させたときの水平方向(MD)に相当する方向における前記第1の側面フィルムおよび前記第2の側面フィルムのループスティフネスが、450mN/15mm以下であってもよい。
【0013】
上記鉛直方向に加えて、さらに水平方向における第1の側面フィルムおよび第2の側面フィルムのループスティフネス値が、450mN/15mm以下であると、空気注入口の面積が小さくても空気注入時に十分な開口幅を確保できる。より具体的には、空気注入部の面積が小さくても、空気注入時にしっかり空気注入部が膨らむので、良好に自立性を保つことができる。さらに、水平方向の腰強度が低いと、充填口が開きやすく充填適性の向上にもつながる。
【0014】
また、本発明の第3の態様は、
前記第1の側面フィルム、前記第2の側面フィルム、前記底フィルムはさらにガスバリア層を備える積層体であり、それぞれが、酸素透過度1.0cc/(m・day・atm)以下であり、水蒸気透過度が1.0g/(m・day)以下であってもよい。バリア性を有することで、空気注入部の空気が経時で抜けず、自立性を安定して保つことができる。
【0015】
また、本発明の第4の態様は、
前記自立性包装袋におけるポリオレフィン樹脂の合計質量が、自立性包装袋に用いられ
る前記積層体の全質量を基準として、90質量%以上であってよい。90質量%以上であればモノマテリアル化した積層体を用いた包装袋ということができる。
【発明の効果】
【0016】
腰強度の低いポリオレフィン系樹脂でモノマテリアル化した積層体を用いた場合であっても、自立性保持と注ぎ性を改善させた自立性包装袋を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る自立性包装袋の一実施形態を示す斜視図である。
図2図1のX-X'線に沿った自立性包装袋の断面図である。
図3】本発明に係る積層体の層構成の一例を示す概略断面図である。
図4】本発明に係る積層体の層構成の他の例を示す概略断面図である。
図5】ループスティフネスの測定方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を図を参照しながら、更に詳しい説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例によってのみ限定されるものではない。
【0019】
図1は、本発明に係る自立性包装袋の一実施形態を示す斜視図であり、図2は、図1のX-X'線に沿った自立性包装袋の断面図である。
【0020】
図1を参照して、本発明の自立性包装袋10の外観を説明する。自立性包装袋10は、対向配置した第1の側面フィルム1と、第2の側面フィルム2と、これらの間に2つ折りにして挟み込まれた底フィルム3とを備える。第1の側面フィルム1、第2の側面フィルム2、底フィルム3は、可撓性を有したシートである。第1の側面フィルム1、第2の側面フィルム2の下部の間に底フィルム3を折り畳みながら挿入し、底部をシールして底シール部5を、第1の側面フィルム1および第2の側面フィルム2の周縁部をシールすることによって、側シール部4、4'をそれぞれ形成し、内容物を収納するための空間である収納部7が形成されている。また、天部をシールして天シール部6を形成するとともに、本実施形態に係る自立性包装袋10では、側シール部4と天シール部6との上隅部に口栓15が装着されて形成されている。また、口栓15と対向する側シール部4'には、長手方向に一本の空気注入部8が形成されている。
【0021】
自立性包装袋10は、収納部7に内容物を充填することによって、内容物の重みで底フィルム3が広がり、これによって、第1の側面フィルム1の底部と第2の側面フィルム2との底部とが筒形状となる。したがって、収納部7に内容物を充填した状態で、底フィルム3側を下にして、自立性包装袋10を自立させることが可能である。このような自立性包装袋10は、スタンディングパウチとも称される。図2に自立した状態の自立性包装袋10の断面図を示す。
【0022】
第1の側面フィルム1および第2の側面フィルム2の周縁部には、第1の側面フィルム1および第2の側面フィルム2が互いにシールされて形成された側シール領域に囲まれるように、未シール領域8'が設けられている。未シール領域8'は、自立性包装袋10の長手方向の一方の端縁に沿う側シール部4'に設けられ、鉛直方向に所定の長さにわたって、第1の側面フィルム1および第2の側面フィルム2が互いにシールされていない領域である。未シール領域8'に、空気を注入して密封することによって、空気注入部8が形成され、未シール領域8'において第1の側面フィルム1および第2の側面フィルム2は筒形状に膨らんでいる。
【0023】
自立性包装袋10の長手方向の一方の側シール部4'に形成された未シール領域8'に空
気を注入して得られた空気注入部8は、支柱の役目をし、陳列時や、内容物注出時での包装袋の折れ曲がりを防ぐことができる。また、内容物が少なくなった状態で保存するときでも、包装袋の折れ曲がりを防ぐことができる。空気注入部8は、包装袋の自立を補助するためには、包装袋の高さの少なくとも二分の一以上の長さにわたって形成されていることが好ましい。形成位置は包装袋の上部から始まると、空気の封止と内容物の封入を同時に行えるため好ましい。
【0024】
本発明の自立性包装袋10は、さらに口栓15を備えていてもよい。口栓15が容器の一方に寄せて設けられている場合は、空気注入部8は、口栓15形成側とは離れた周辺部に形成すると、内容物を注ぐ際にも自立性包装袋10が折れ曲がったりせず、良好に内容物を注ぐことができる。
【0025】
口栓15が容器の中央に設けられている場合は、空気注入部8は、自立性包装袋10の長手方向の一方に設けてあってもよいが、他方にも設けてあってもよい。空気注入部8を口栓15を中心に左右対称に設けることで、自立性だけでなく、ディスプレイ時の外観を良好に保つことができる。また、どちらの手で注いでも注ぎやすくできる。
【0026】
ここで、本実施形態に係る自立性包装袋10では、自立時の鉛直方向に対応する方向における第1の側面フィルム1および第2の側面フィルム2のループスティフネス値が500mN/15mm以下であり、かつ、自立時の水平方向に対応する方向における第1の側面フィルム1および第2の側面フィルム2のループスティフネス値が450mN/15mm以下である。ここで、ループスティフネスとは、所定寸法の短冊状にカットしたフィルムを用いてループを形成し、このループを径方向に所定量だけ押しつぶした状態で測定したループの反発力をいい、フィルムの腰強度を表す指標である。ループスティフネスの値が大きいほど、フィルムの腰強度が高くなる。ループスティフネスの測定方法については後述する。
【0027】
鉛直方向のループスティフネス値および水平方向のループスティフネス値が上記の範囲にあると、空気注入部8の面積が小さくても、空気注入時にしっかり空気注入部8が膨らむので、良好に自立性を保つことができる。したがって、腰強度が低いモノマテリアル包装袋でも、空気注入部8を設けることで自立させることが可能である。
【0028】
自立性包装袋10を自立させる際、自立性包装袋10全体の形も崩れにくく自立性が保たれやすくなっている。また、気体注入部8は、自立性包装袋10の自立性を高めるだけでなく、自立性包装袋10を運搬したり内容物を取り出したりする際に、取っ手として機能する。すなわち、気体注入部8およびその周囲の第1の側面フィルム1および第2の側面フィルム2をつかむことによって、自立性包装袋10を持ちやすくなっている。本実施形態に係る自立性包装袋10では、気体注入部8によって付与される形態保持性によって、内容物が少量であっても、取り出す際に取り出し口の位置を安定させることができ、内容物の注出がしやすくなる。
【0029】
次に、本実施形態の自立性包装袋10を製袋する方法を以下に説明する。前述したように、折り畳まれた底フィルム3を第1の側面フィルム1および第2の側面フィルム2の下部の間に挿入し、第1の側面フィルム1および第2の側面フィルム2と底フィルム3をシールし、底シール部5を形成する。次いで第1の側面フィルム1および第2の側面フィルム2の側縁をシールし、左右側シール部4、4'を形成する。底シール部5の側シール部に相当する部分の底フィルム3同士を所定の部位でシールする。即ち、第1の側面フィルム1および第2の側面フィルム2同士が接着されるために、自立性が付与されるのである。底フィルム3は、内容物を充填する時に、その重量による底フィルム3への加圧によって拡開される。
【0030】
次いで、天部を、内容物を充填する開口部を残しシールして天シール部7を形成する。この際に、上隅部に、予め形成した口栓15を装着する。また、この際に、口栓15と対向する側シール部4'に、長手方向に未シール領域8'からなる空隙部を形成する。
【0031】
次に、空気注入部を形成する方法を簡単に説明する。未シール領域8'の長手方向の端部に、空気を注入するための図示しない注入孔を形成する。この注入孔は、第1の側面フィルム1または第2の側面フィルム2を貫通する孔であればよい。図示しない治具で注入孔から空気を注入し、一定量注入したら注入孔の部分をヒートシールし、注入孔が塞がれ空気注入部が形成される。空気注入部は、両側の側シール部4、4'に形成してもよく、そうすることでさらに自立性を向上させることができる。陳列時や注出時、内容物が少なくなった状態で保存しても、包装袋の折れ曲がりを防ぐことができる。また、注出時に包装袋をさらに安定して保持できる。
【0032】
次に、本発明に係る、ポリオレフィン系樹脂でモノマテリアル化した積層体について説明する。図3は、本発明に係る積層体(側面フィルム1,2および底フィルム3)の層構成の一例、図4は他の例を示す概略断面図である。
【0033】
<側面フィルム>
側面フィルム1,2は、図3に示される層構成を有する積層体である。側面フィルム1,2は、少なくとも基材層21とシーラント層22からなり、基材層21とシーラント層22が接着層23を介して積層されている。側面フィルム1,2は、基材層21(ポリプロピレン)/接着層23/シーラント層22(ポリエチレン)の層構成となっている。このように、本実施形態の側面フィルム1,2は基材層21およびシーラント層22がすべてポリオレフィン系樹脂からなるモノマテリアル化された積層体である。
【0034】
側面フィルム1,2の基材層21のポリプロピレン系樹脂としては、二軸延伸ポリプロピレンフィルムが好ましい。側面フィルム1,2の基材層21を、二軸延伸ポリプロピレン樹脂にすることによって、剛性が高くなることにより、自立性包装袋10が自立するためのより十分な強度を与えることができる。基材層21の厚みとしては、加工性を考慮すると、10~50μmの範囲であることが好ましい。
【0035】
側面フィルム1,2のシーラント層22のポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンからなるフィルムが使用できる。これらの樹脂を押出し機により製膜して使用することができる。
【0036】
<底フィルム>
次に、底フィルム3を説明する。本実施形態の底フィルム3は、側面フィルム1,2のと同様の層構成でもよく、基材層21およびシーラント層22がすべてポリエチレン系樹脂でもよい。底フィルム3のポリエチレン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子ポリエチレンなどを挙げることができる。これら樹脂を用いて多層化して底フィルム3を形成することができる。シート状に形成する方法としては、押し出し機により押し出し成形、共押出し機により多層押し出し成形して、シートを形成することができる。底フィルム3の厚みは、側面フィルム1,2の厚みに対して適宜決めればよい。
【0037】
側面フィルム1,2および底フィルム3の諸物性を向上する必要があれば、基材層21とシーラント層22の間に、中間層24を設けてもよい。中間層24はガスバリア性を備えていてもよく、ガスバリア性を有することで空気注入部8の空気が抜けず、自立性を安定して保つことができる。
【0038】
図4は、本発明に係る積層体の層構成の他の例を示す概略断面図であり、中間層24としてガスバリア層を備えている。ガスバリア層は、PVAやPVDCのようなバリアコート剤、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)のようなバリア性樹脂、金属(AL)またはポリオレフィン基材に無機酸化物蒸着層を備えたものを用いることができる。本実施形態のガスバリア層24は、二軸延伸ポリプロピレン基材25上に無機酸化物蒸着層26を備えている。
【0039】
無機酸化物としては、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシュウム、酸化カリウム、酸化錫、酸化ナトリウム、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化鉛、ジ酸化ルコニウム、酸化イットリウムなどの金属酸化物が使用できる。中でも生産性、価格面から酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどが好ましい。
【0040】
基材層21、中間層24、シーラント層22はそれぞれ接着層23で貼り合される。接着層23としては、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、接着性樹脂によるものを挙げることができる。特に、ノンソルベントラミネーションであると、環境への負荷軽減及び、高温に弱いポリエチレン系樹脂であっても比較的低温で接着できることから好ましい。接着層23の成分にバイオマス由来の成分を含んでいてもよい。
【0041】
また、基材層21には、必要に応じて適宜印刷層を設けることができる。この印刷層により、文字、絵柄などを形成することができる。印刷方法としては、例えば、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷などの公知の印刷方法を用いることができる。
【実施例0042】
以下、本発明を具体的に実施した実施例で説明する。
【0043】
実施例および比較例として用いた、積層体(No2~No6)および現行品(No1)の層構成およびループスティフネス値、酸素透過度、水蒸気透過度を表1に示す。なお、表中の層構成に記載はないが、積層体(No3~No6)のHDPE/LLDPE間にはガスバリア性付与のため透明蒸着層が含まれている。また、ループスティフネス値は下記の方法で測定した。
【0044】
<ループスティフネスの測定>
図5は、ループスティフネスの測定方法を説明するための模式図である。積層体(No2~No6)および現行品(No1)のフィルムから、幅15mm、長さ50mmの短冊状フィルムを切り出した。このとき、短冊状フィルムの長手方向が測定対象の方向に一致するようにした。図4のように、切り出した短冊状フィルムをループスティフネステスタ30にセットしてループを形成し、形成したループに装置の当て板を押し付けてループを押しつぶし、ループの反発力を測定した。押しつぶし長は10mmとした。測定で得られた反発強度の値(mN)をループスティフネスとした。
【0045】
積層体(No2~No6)および現行品(No1)の積層体を用いて、3種類(容量:660、900、1200)の容量を有する自立性包装袋10を作製した。実施例1~5は空気注入部有り、比較例1~5は空気注入部無しの自立性包装袋において、自立性と抽出性に関して官能評価を実施した。結果を表2に示す。
〇:自立可能/注出性良好
△:一部折れ曲がってしまうが自立可能/抽出に時間がかかる
×:自立しない/抽出が困難
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
<結果>
(腰強度)
現行品(No1)に比べて、積層体(No2~No6)のモノマテリアル構成品は腰強度が低い。
【0049】
(ガスバリア性)
現行品(No1)はAL箔構成のためガスバリア性はかなり良い。積層体(No2~No6)モノマテリアル構成は、AL箔構成同等とまではいかないものの、ガスバリア層を含むため、バリア性が良好である。このようにガスバリア性を有することで空気を注入した後に経時で抜けていくのを防ぐことができる。
【0050】
(自立性/抽出性)
気体注入部無しの場合:
現行品(No1)に対して、積層体(No2~No6)は腰強度が低く、折れ曲がったりすることで、自立性や注ぎ性が悪かった。
気体注入部有りの場合:
積層体(No2~No6)の全ての構成において、自立性と注ぎ性の向上がみられた。このことから、腰強度の低いポリオレフィン系樹脂でモノマテリアル化した積層体を用いた場合であっても、気体注入部を設けることで自立性や注ぎ性を改善することができる。
【符号の説明】
【0051】
1,2・・・側面フィルム
3・・・底フィルム
4,4'・・・側シール部
5・・・底シール部
6・・・天シール部
7・・・収納部
8(8')・・・空気注入部(未シール領域)
10・・・自立性包装袋
15・・・口栓
21・・・基材層
22・・・シーラント層
23・・・接着層
24・・・ガスバリア層
25・・・ガスバリア基材層
26・・・ガスバリア蒸着層
30・・・ループスティフネステスタ
図1
図2
図3
図4
図5