(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081989
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】洗濯乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 33/65 20200101AFI20240612BHJP
D06F 33/63 20200101ALI20240612BHJP
D06F 58/44 20200101ALI20240612BHJP
【FI】
D06F33/65
D06F33/63
D06F58/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195640
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】小倉 隼人
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA02
3B167AA04
3B167AA05
3B167AA12
3B167AB23
3B167AB30
3B167AB32
3B167AD01
3B167AE03
3B167AE05
3B167AE11
3B167BA09
3B167BA59
3B167BA64
3B167FB01
3B167FB05
3B167HA16
3B167HA32
3B167HA45
3B167HA53
3B167HA54
3B167JA41
3B167JA45
3B167JA53
3B167JA66
3B167JB02
3B167JC22
3B167KA02
3B167KA32
3B167KA63
3B167KB02
3B167LC02
3B167LC08
3B167LC09
3B167LC19
3B167LC20
3B167LD12
3B167LE07
3B167LF30
3B167LG05
(57)【要約】
【課題】洗濯乾燥運転によって生じる衣類に対するシワ付きを効果的に抑制することができる洗濯乾燥機を提供する。
【解決手段】洗濯乾燥機は、外箱内に設けられる水槽と、水槽内に回転可能に設けられ衣類が収容される回転槽と、回転槽内の衣類に対して、洗い、すすぎ、脱水、及び乾燥の各工程を含む洗濯乾燥運転を実行可能な制御装置と、を備え、制御装置は、洗濯乾燥運転において、シワの発生を抑制する衣類の部位に応じて選択可能な複数のシワ抑制コースを実行可能である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱内に設けられる水槽と、
前記水槽内に回転可能に設けられ衣類が収容される回転槽と、
前記回転槽内の前記衣類に対して、洗い、すすぎ、脱水、及び乾燥の各工程を含む洗濯乾燥運転を実行可能な制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記洗濯乾燥運転において、シワの発生を抑制する前記衣類の部位に応じて選択可能な複数のシワ抑制コースを実行可能である、
洗濯乾燥機。
【請求項2】
前記制御装置は、複数の前記シワ抑制コースにおいて、所望のシワの抑制具合に応じて異なる処理内容を実行可能である、
請求項1に記載の洗濯乾燥機。
【請求項3】
前記水槽内に空気を循環供給するための風路と、
前記風路の途中に設けられ前記空気を加熱して前記回転槽内の前記衣類を乾燥するための温風を生成する温風供給装置と、
前記風路の途中に設けられ前記水槽内に空気を送風する送風装置と、を更に備え、
前記制御装置は、前記シワ抑制コースにおいて、予め設定されている標準コースよりも乾燥工程中の前記送風装置の出力を大きくする、
請求項1に記載の洗濯乾燥機。
【請求項4】
前記制御装置は、前記シワ抑制コースにおいて、予め設定されている標準コースよりも脱水工程中の前記回転槽の回転数を小さくする、
請求項1に記載の洗濯乾燥機。
【請求項5】
複数の前記シワ抑制コースは、前記衣類における第1部位のシワの発生を抑制する第1シワ抑制コースと、前記衣類における前記第1部位とは異なる第2部位のシワの発生を抑制する第2シワ抑制コースと、を含んでおり、
前記制御装置は、前記第1シワ抑制コースにおいて、前記標準コースよりも前記乾燥工程の目標乾燥率を低くする、
請求項1に記載の洗濯乾燥機。
【請求項6】
複数の前記シワ抑制コースは、前記衣類における第1部位のシワの発生を抑制する第1シワ抑制コースと、前記衣類における前記第1部位とは異なる第2部位のシワの発生を抑制する第2シワ抑制コースと、を含んでおり、
前記制御装置は、前記第2シワ抑制コースにおいて、予め設定されている標準コースよりも乾燥工程中の前記回転槽の回転数を小さくする、
請求項1に記載の洗濯乾燥機。
【請求項7】
前記制御装置は、前記第2シワ抑制コースにおいて、前記乾燥工程の前に前記回転槽内の前記衣類をほぐすためのほぐし動作を実行可能である、
請求項6に記載の洗濯乾燥機。
【請求項8】
前記制御装置は、前記第2シワ抑制コースにおいて、前記標準コースよりも洗い工程又はすすぎ工程の一方又は両方の攪拌時間を短縮する、
請求項7に記載の洗濯乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば洗濯機能及び乾燥機能を備え、洗い、すすぎ、脱水、及び乾燥の各工程を含む洗濯乾燥運転を実行可能な洗濯乾燥機が知られている。従来構成では、衣類のシワ付きを抑制するために、乾燥工程において送風ファンの回転数を高めるとともに回転ドラムの回転数を高めることで、衣類の布を広げてシワ付きの抑制が図られている。
【0003】
ところで、例えばシャツやジャケット等の袖付きの衣類では、例えば衣類の胴部分や袖部分等の衣類の部位によってシワ付きの発生原因が異なる場合がある。従来構成では、衣類の部位に応じてシワ付きの抑制に対応することが困難であり、複数の衣類の部位に生じるシワ付きに対応しようとすると、無駄な動作が発生するおそれがある。結果として、消費電力の増加や運転時間の長期化を招くことが考えられ、洗濯乾燥運転によって生じる衣類に対するシワ付きを効果的に抑制するという点において課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、洗濯乾燥運転によって生じる衣類に対するシワ付きを効果的に抑制することができる洗濯乾燥機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の洗濯乾燥機は、外箱内に設けられる水槽と、前記水槽内に回転可能に設けられ衣類が収容される回転槽と、前記回転槽内の前記衣類に対して、洗い、すすぎ、脱水、及び乾燥の各工程を含む洗濯乾燥運転を実行可能な制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記洗濯乾燥運転において、シワの発生を抑制する前記衣類の部位に応じて選択可能な複数のシワ抑制コースを実行可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態による洗濯乾燥機の一例を概略的に示す縦断左側面図
【
図2】一実施形態による洗濯乾燥機の一例を概略的に示す縦断背面図
【
図3】一実施形態による洗濯乾燥機の電気的構成の一例を示すブロック図
【
図4】一実施形態による洗濯乾燥機について、ユーザが運転コースを選択する際に操作パネルに表示される内容の一例を示す図
【
図5】一実施形態による洗濯乾燥機について、ユーザが運転コースのうちシワ抑制コースを選択した場合に操作パネルに表示される内容の一例を示す図
【
図6】一実施形態による洗濯乾燥機について、操作パネルに表示されるシワ具合評価画面の一例を示す図
【
図7】一実施形態による洗濯乾燥機について、洗濯乾燥運転全体の工程の一例を示すフローチャート
【
図8】一実施形態による洗濯乾燥機について、制御装置の記憶部に記憶される設定テーブルの一例を示す図
【
図9】一実施形態による洗濯乾燥機について、制御装置の記憶部に記憶される洗いテーブルの一例を示す図
【
図10】一実施形態による洗濯乾燥機について、制御装置の記憶部に記憶されるすすぎテーブルの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態の洗濯乾燥機について、図面を参照しながら説明する。また、以下の実施形態において、構成要素等に付された「第1」、「第2」との語句は、類似した構成要素を単に区別するためのものであり、構成要素間の優劣や時間的要素を意味するものではない。
【0009】
図1に示す洗濯乾燥機10は、回転槽14の回転軸が水平方向へ向かう横軸型又は後方へ向かって下降傾斜した斜め軸型のドラム式洗濯乾燥機である。洗濯乾燥機は、ドラム式洗濯乾燥機に限らず、回転槽の回転軸が鉛直方向を向いた縦軸型洗濯乾燥機であっても良い。また、洗濯乾燥機10は、洗剤や仕上げ剤等の洗濯処理剤を自動で投入可能な処理剤自動投入装置を備えていても良い。処理剤自動投入装置は、複数回分の洗濯運転に用いる量の洗濯処理剤を貯留可能な処理剤タンクを有し、洗濯運転ごとに処理剤タンクから所定量の洗濯処理剤を自動で水槽内に投入することができる装置である。
【0010】
洗濯乾燥機10は、外箱11、扉12、水槽13、回転槽14、モータ15、排水機構16、操作パネル17、注水機構20、及び乾燥機構30、を備えている。なお、
図1において、洗濯乾燥機10の設置面側つまり鉛直下側を洗濯乾燥機10の下側とし、設置面と反対側つまり鉛直上側を洗濯乾燥機10の上側とする。洗濯乾燥機10のユーザから見て手前方側つまり
図1の紙面左側を洗濯乾燥機10の前方側とし、ユーザの反対側つまり
図1の紙面右側を洗濯乾燥機10の後方側とする。
【0011】
外箱11は、例えばステンレス鋼板等の金属又は樹脂材等の組合せによって全体として矩形の中空箱状に形成されている。外箱11は、洗濯乾燥機10の外郭を構成している。外箱11は、前面側に外箱11の内部と外部とを連通する開口111を有している。扉12は、外箱11の前面側に設けられて、開口111を開閉する。ユーザは、扉12を開いた状態で、開口111を通じて回転槽14から衣類の出し入れをすることができる。水槽13及び回転槽14は、いずれも円筒形状の軸方向の一方側つまり前方側が開口し、他方側つまり後方側に底部を有する、いわゆる有底円筒状に形成されている。
【0012】
水槽13は、外箱11内に設けられ図示しないサスペンションによって弾性的に支持されている。水槽13は、
図1及び
図2に示すように、排気口131、給気口132、及び注水口133を有している。排気口131、給気口132、及び注水口133は、水槽13の内部と外部とを連通している。排気口131は、水槽13内の空気を排出するためのものである。排気口131は、例えば水槽13の上部前寄りの部分であって、水槽13の左右方向の中心に対して右方向へ離れた位置に設けられている。
【0013】
給気口132は、水槽13内へ空気を供給するためのものである。給気口132は、例えば水槽13の底部であって、底部の上下方向の中心よりやや上寄り部分に設けられている。注水口133は、例えば洗剤や柔軟仕上げ剤等の洗濯処理剤を含んだ水を水槽13内に供給するためのものである。注水口133は、例えば水槽13の上部後寄りの部分であって、水槽13の左右方向の中心に対して左方向へ離れた位置に設けられている。
【0014】
回転槽14は、水槽13内に回転可能に配置されている。回転槽14は、モータ15によって回転駆動される。回転槽14は、バッフル141や複数の孔142を有している。バッフル141は、回転槽14内に収容された衣類を撹拌及び掻き上げる機能を有する。バッフル141は、複数例えば3つ設けられている。孔142は、回転槽14の周面にほぼ全域に亘って形成されており、例えば脱水工程時においては水が出入りする通水孔として機能し、乾燥工程時には空気が出入りする通風孔として機能する。
【0015】
モータ15は、水槽13の底部外側に設けられている。モータ15は、詳細は図示しないが、例えば回転数を変更可能なブラシレスのダイレクトドライブモータで構成されている。モータ15は、回転槽14に接続されており、回転槽14を水槽13に対して相対的に回転駆動させる機能を有する。モータ15の軸部151、水槽13の中心軸、及び回転槽14の回転軸は、それぞれ重なっている。モータ15は、回転槽14及びバッフル141とともに、水槽13内に貯留された水を撹拌する機能を有する。
【0016】
排水機構16は、水槽13内に貯留されている水を、洗濯乾燥機10の機外へ排出する機能を有する。排水機構16は、
図1に示すように、排水弁161及び排水ホース162を有している。排水弁161は、電磁的に開閉可能に構成されている。排水ホース162は、一方の端部が排水弁161に接続され、他方の端部が洗濯乾燥機10の機外に引き出されている。排水弁161が開放されると、水槽13内に貯留されていた水は、排水ホース162を通して洗濯乾燥機10の機外へ排出される。つまり、排水弁161は、水槽13内に貯留された水を外部に排水するための排水経路を開閉する。
【0017】
操作パネル17は、
図1に示すように、例えば外箱11の上面の前側部分に設けられている。操作パネル17は、ユーザが運転や運転ごとのコースに関する設定を行うための入力操作等を受け付けるとともに、入力された操作内容及び運転状況等を表示する機能を有する。運転とは、複数の異なる工程が順に実行されるものを意味し、運転の種類としては、例えば洗濯乾燥運転が含まれる。洗濯乾燥運転は、例えば洗い工程、すすぎ工程、脱水工程、及び乾燥工程つまり洗濯から乾燥までを連続的に行う運転である。乾燥工程には、周知の送風工程及びソフトキープ工程を含めることができる。洗濯乾燥運転で実行される工程は、ユーザの要求等に応じて変更可能な構成としても良い。
【0018】
注水機構20は、例えば水道等の外部の水源から供給される水を水槽13内に給水する機能を有する。注水機構20は、
図1及び
図2に示すように、給水弁21、注水ケース22、及び注水ホース23を有している。給水弁21は、電磁的に開閉可能に構成されている。給水弁21は、外部の水源から注水機構20を介して水槽13内に至る給水経路を開閉する機能を有する。注水ケース22は、給水弁21の下流側に設けられている。注水ケース22は、図示しない処理剤ケースを有して構成できる。処理剤ケースは、1回の洗濯運転に必要な洗濯処理剤を貯留可能に構成されている。つまり、注水ケース22は、内部に洗濯処理剤を収容可能に構成されている。処理剤ケースに洗濯処理剤が収容されていると、注水ケース22に流入した外部の水源から供給された水と洗濯処理剤とが注水ケース22内で混合され、その後水槽13及び回転槽14内に供給される。
【0019】
注水ホース23は、例えば可撓性を有するホースで構成できる。注水ホース23は、注水ケース22と水槽13とを繋ぐ部分である。注水ホース23の一方の端部は注水ケース22に接続され、他方の端部は注水口133に接続されている。外部の水源から注水ケース22内に供給された水は、注水ホース23を通って水槽13内に供給される。
【0020】
乾燥機構30は、水槽13内に温風を供給する機能を有する。乾燥機構30は、風路40及び温風供給装置50を有している。風路40は、水槽13の外側に位置しており、一方の端部が排気口131に接続され、他方の端部が給気口132に接続されている。風路40は、排気口131と給気口132とを繋いでいる。風路40は、水槽13内に空気を循環供給するためのものである。風路40は、水槽13内の空気を排気口131から取り込み、温風供給装置50を介して温風を生成した後、その温風を給気口132から水槽13内へ供給する機能を有する。
【0021】
風路40は、
図1及び
図2に示すように、例えば排気ダクト41、フィルタ部42、接続ダクト43、熱交換部44、及び給気ダクト45を有して構成することができる。排気ダクト41は、例えば可撓性を有する蛇腹状のホースで構成されている。排気ダクト41の一方の端部は排気口131に接続され、他方の端部はフィルタ部42に接続されている。排気ダクト41は、例えば水槽13内の空気を排出する部分である。フィルタ部42は、例えば容器状に形成されており、その内部に図示しないフィルタが設けられており、そのフィルタによって、風路40内を流れる空気に含まれるリントやゴミ等の異物を捕集する。
【0022】
接続ダクト43は、フィルタ部42と熱交換部44との間に設けられ、フィルタ部42と熱交換部44とを繋いでいる。熱交換部44は、例えば洗濯乾燥機10の背面側であって、外箱11内の底部寄りに配置されている。熱交換部44は、風路40の途中部位に設けられている。水槽13から風路40に取り込まれて接続ダクト43を流れた空気は、熱交換部44を通過する際に除湿及び加熱されて乾燥した温風となる。給気ダクト45は、熱交換部44と水槽13の給気口132との間に設けられ、熱交換部44と水槽13の給気口132とを繋いでいる。給気ダクト45は、例えば水槽13内に空気を供給する部分である。
【0023】
温風供給装置50は、例えばヒートポンプ機構すなわち冷凍サイクルを構成している。温風供給装置50は、風路40の途中に設けられている。温風供給装置50は、風路40を流れる空気を加熱して、回転槽14内の衣類を乾燥するための温風を生成できる。温風は、例えば約60℃~70℃程度になるように設定されている。温風供給装置50は、
図2に示すように、冷却器51、凝縮器52、圧縮機53、及び絞り弁54、を有している。冷却器51及び凝縮器52は、熱交換部44内に設けられている。冷却器51は、風路40を循環する空気の冷却除湿を行う。凝縮器52は、風路40を流れる空気を加熱して温風にする。圧縮機53は、熱交換部44の外側に設けられている。絞り弁54は、高圧の液体冷媒を蒸発しやすいように減圧するためのものである。なお、温風供給装置50は、ヒートポンプ機構の構成に代えて、周知のヒータ式の機構としても良い。
【0024】
また、乾燥機構30は、送風装置55を有している。送風装置55は、例えばシロッコファンで構成されている。送風装置55は、風路40の途中に設けられ温風供給装置50によって除湿及び加熱された空気を給気口132から水槽13内へ供給する機能を有する。送風装置55は、例えば熱交換部44と給気ダクト45との間に設けられている。
【0025】
洗濯乾燥機10の運転は、
図3に示す制御装置60によって制御される。制御装置60は、CPU601や、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリなどの記憶部602を有するマイクロコンピュータを主体に構成されている。また、洗濯乾燥機10は、
図1等に示すように、給気温度センサ18及び排気温度センサ19を備えている。給気温度センサ18及び排気温度センサ19は、例えばサーミスタで構成されており、風路40を流れる空気の温度を検知するためのものである。給気温度センサ18は、例えば給気口132の近傍に設けられ、風路40内を流れる空気のうち水槽13内に供給される空気の温度を検知する。排気温度センサ19は、例えば排気口131の近傍に設けられ、風路40内を流れる空気のうち水槽13内から排出された空気の温度を検知する。
【0026】
図3に示すように、モータ15、排水弁161、操作パネル17、給気温度センサ18、排気温度センサ19、給水弁21、圧縮機53、及び送風装置55は、制御装置60に電気的に接続されている。そして、制御装置60は、操作パネル17や温度センサ18、19等から入力された信号に基づき、モータ15、排水弁161、給水弁21、圧縮機53、及び送風装置55の駆動制御を行う。制御装置60の記憶部602は、制御プログラムを記憶している。制御装置60は、操作パネル17に対するユーザからの操作を受けて又は予め設定された予約内容によって、記憶部602に記憶されている上記制御プログラムをCPU601において実行することにより、洗濯乾燥運転を自動で実行する。
【0027】
制御装置60は、洗濯乾燥運転において、複数の運転コースのうちいずれかの運転コースを実行可能に構成されている。複数の運転コースには、標準コース及びシワ抑制コースが含まれる。標準コースは、例えば日常的な洗濯用の運転コースである。シワ抑制コースは、例えば標準コースより洗濯乾燥運転後の衣類に対するシワ付きの発生を抑えた運転コースである。なお、洗濯乾燥運転において実行可能な運転コースには、スピードコースやつけおきコースといった他の運転コースを含めることができる。
【0028】
ここで、衣類に対するシワの主な発生原因は以下が考えられる。乾いた状態で形状を維持していた衣類は、水分を含むことで変形可能な状態となり、その状態で外力が加わることで変形する。そして、変形した状態の衣類から水分が抜けることで、シワが発生する。そのため、衣類に対するシワ付きを抑えるためには、衣類が変形したまま乾燥することを避けることが有効である。しかしながら、例えばシャツやジャケット等の袖付きの衣類の場合、例えば衣類の胴体部分と袖部分とでは変形のしやすさや変形の仕方等が異なり、変形を回避又は解消するために実施すべき措置が異なる。
【0029】
そこで、本実施形態では、シワ抑制コースは、シワの発生を抑制する衣類の部位に応じて選択可能に複数設けられている。複数のシワ抑制コースは、第1シワ抑制コース及び第2シワ抑制コースを含んでいる。第1シワ抑制コースは、衣類における第1部位例えば衣類の胴体部分のシワの発生を抑制するための運転コースである。第2シワ抑制コースは、衣類における第1部位とは異なる第2部位例えば衣類の袖部分のシワの発生を抑制するための運転コースである。これにより、洗濯乾燥の対象となる衣類の種類に応じて、運転コースを適宜使い分けることができる。
【0030】
次に、ユーザによる運転コースの設定における操作パネル17への表示等に関する制御内容の一例を説明する。操作パネル17は、
図4等に示すように、表示部171を有している。表示部171は、ユーザに対して情報を提示する機能を有する。表示部171には、例えば運転に関する情報及び運転に関する操作を受け付けるための操作キーが含まれた画面が表示される。表示部171への表示は、制御装置60によって制御される。表示部171は、例えば液晶ディスプレイとタッチパネルとが相互に重ね合わせて配置されたタッチパネルディスプレイで構成されている。表示部171のタッチパネルは、例えば静電容量式が採用されている。タッチパネルは、静電容量式に限らず、抵抗膜方式等の他の方式を採用しても良い。
【0031】
制御装置60は、ユーザによって図示しない電源スイッチが操作されて起動すると、運転の種類を選択するためのホーム画面を表示部171に表示させる。制御装置60は、ホーム画面において、例えばユーザによって運転の種類のうち洗濯乾燥運転が選択されると、
図4に示すように、表示部171に運転コース選択画面を表示させる。運転コース選択画面では、例えば標準コースアイコン172、第1シワ抑制コースアイコン173、及び第2シワ抑制コースアイコン174が配置される。標準コースアイコン172、第1シワ抑制コースアイコン173、及び第2シワ抑制コースアイコン174は、運転コースの種類に対応して設けられた運転コースを選択するための操作キーである。
【0032】
標準コースアイコン172は、標準コースを選択するための操作キーであり、例えば「標準」との文字で構成できる。第1シワ抑制コースアイコン173は、第1シワ抑制コースを選択するための操作キーであり、例えば「シワ抑制(通常)」との文字で構成できる。第2シワ抑制コースアイコン174は、第2シワ抑制コースを選択するための操作キーであり、例えば「シワ抑制(袖)」との文字で構成できる。
【0033】
制御装置60は、運転コース選択画面において、ユーザによって任意の運転コースアイコン172、173、174に対する所定の操作が行われることにより、運転コースの種類を設定する。具体的には、制御装置60は、任意の運転コースアイコン172、173、174に対する操作が一回行われると、その任意の運転コースアイコン172、173、174を選択する。この場合、制御装置60は、表示部171に、選択された運転コースアイコン172、173、174に関する参考情報175を表示させることができる。
【0034】
参考情報175は、運転コースの概要例えば推奨される衣類の種類や容量の目安を含めることができる。例えば
図4に示すように、標準コースアイコン172に対応した参考情報175は、「普通の衣類の洗濯に。[容量12.0kg]」との文字で構成できる。シワ抑制コースアイコン173、174に対応した参考情報175は、例えば
図5に示すように、「衣類へのシワ付きが気になるときに。[容量4.0kg]」との文字で構成できる。そして、制御装置60は、ユーザによって一回操作が行われた任意の運転コースアイコン172、173、174に対する操作が再び行われると、選択された運転コースを実行するように設定する。
【0035】
また、制御装置60は、
図5に示すように、運転コース選択画面において、シワ抑制コースアイコン173、174に対する操作が一回行われると、表示部171に、シワ具合評価キー176を表示させることができる。シワ具合評価キー176は、表示部171の画面をシワ具合評価画面へと移行させるための操作キーである。制御装置60は、シワ具合評価キー176が操作されると、例えば
図6に示すように、表示部171の画面をシワ具合評価画面に移行させる。
【0036】
シワ具合評価画面では、洗濯乾燥運転後のシワ付き状態の満足度(以下、単に満足度と称する場合がある。)に関する複数の選択キー177、閉じるキー178、及び決定キー179が配置される。洗濯乾燥運転後のシワ付き状態の満足度とは、シワの抑制具合を意味し、洗濯乾燥運転後の衣類に対するシワ付き状態に対するユーザの心証を示すものである。満足度は、例えばユーザが衣類に対するシワ付きが少ないと感じた場合に高くなり、一方例えばユーザが衣類に対するシワ付きが多いと感じた場合に低くなる。
【0037】
選択キー177は、満足度を選択するための操作キーである。本実施形態では、満足度は、例えば4段階で設けられており、シワ具合評価画面において4つの選択キー177a~177dが表示される。各選択キー177a~177dは、例えば数字で構成することができ、満足度が高いほど大きな数字で構成できる。具体的には、満足度としては、満足度「4」が「満足」、満足度「3」が「やや満足」、満足度「2」が「やや不満」、満足度「1」が「不満」、を表している。
【0038】
ユーザは、例えば過去に行った洗濯乾燥運転後のシワ付き状態に不満がない場合は、選択キー177dを選択する。一方、ユーザは、例えば過去に行った洗濯乾燥運転後のシワ付き状態に不満がある場合は、選択キー177aを選択する。このように、ユーザは、シワ抑制コースの実行前に、自身の経験に基づいて満足度を選択できる。制御装置60は、ユーザによっていずれかの選択キー177a~177dが選択されると、選択された選択キー177a~177dの周囲に枠を表示させることができる。これにより、ユーザは、現在選択されている満足度を容易に認識することができる。
【0039】
閉じるキー178は、シワ具合評価画面における操作の内容を反映せずに、シワ具合評価画面を閉じるためのキーである。決定キー179は、シワ不具合評価画面における操作の内容を反映した上で、シワ不具合評価画面を閉じるための操作キーである。制御装置60は、ユーザによって所望の選択キー177a~177dが操作された後に、決定キー179が操作されると、満足度を設定する。設定された満足度は、運転コース選択画面において設定された運転コースと対応付けられて、制御装置60の記憶部602に記憶される。
【0040】
制御装置60は、洗濯乾燥機10の電源が投入されると(
図7のスタート)、例えば操作パネル17に対するユーザからの操作を受けて運転コースを設定し(ステップS11)、洗濯乾燥運転を実行する。制御装置60は、洗濯乾燥運転が開始されると、回転槽14を低速で回転させ、その際にモータ15のq軸電流を図示しない電流センサが測定することにより衣類の重量を検知する(ステップS12)。次に、制御装置60は、洗い工程(ステップS13)、すすぎ工程(ステップS14)、脱水工程(ステップS15)、及び乾燥工程(ステップS16)を順次行い、洗濯乾燥運転を終了する(エンド)。
【0041】
以下では、運転コース設定工程において設定される各工程の制御内容の具体的態様の一例について、
図8から
図10を参照しながら説明する。制御装置60の記憶部602は、
図8に示す洗濯乾燥運転における各工程の制御内容に関する設定テーブル61、
図9に示す洗い工程における洗い動作時の回転槽14の制御内容に関する洗いテーブル62、及び
図10に示すすすぎ工程におけるためすすぎ時の回転槽14の制御内容に関するすすぎテーブル63を記憶している。洗い動作とは、回転槽14内の衣類を撹拌して洗う周知の動作である。ためすすぎとは、回転槽14内の衣類を撹拌してすすぐ周知の動作である。なお、ためすすぎは、すすぎ工程において複数回実行される構成にしても良い。
【0042】
図8から
図10に示す各テーブル61、62、63において、標準コースの制御内容は、周知の一般的なコースが設定された場合の制御内容を示している。
図8の設定テーブル61におけるシワ抑制コースの「第1」の項目は、シワ抑制コースのうち第1シワ抑制コースに対応しており、シワ抑制コースの「第2」の項目は、シワ抑制コースのうち第2シワ抑制コースに対応している。また、設定テーブル61に示すシワ抑制コースの制御内容において、標準コースの制御内容と同じ制御内容の箇所には「-」を示している。更に、
図8の設定テーブル61における「満足度」の項目は、シワ具合評価画面においてユーザによって入力操作される選択キー177a~177dに対応している。
【0043】
制御装置60は、第1シワ抑制コースが設定されている場合、乾燥工程中の送風装置55の出力つまり回転数を標準コース例えば4000rpmよりも大きくする。制御装置60は、第1シワ抑制コースにおいて、所望のシワの抑制具合つまり満足度に応じて異なる処理内容を実行可能である。つまり、制御装置60は、第1シワ抑制コースにおいて満足度が低く設定されているほど、乾燥工程中の送風装置55の回転数を大きくする。また、制御装置60は、第1シワ抑制コースにおいて満足度が低く設定されている場合に、脱水工程中の回転槽14の回転数を標準コース例えば1400rpmよりも小さくする。
【0044】
制御装置60は、第1シワ抑制コースにおいて、標準コースよりも乾燥工程の目標乾燥率を低くする。つまり、制御装置60は、第1シワ抑制コースにおいて、標準コースよりも洗濯乾燥運転終了時の衣類内に含まれる水分量が多くなるように設定できる。本実施形態では、制御装置60は、第1シワ抑制コースにおいて満足度が低く設定されている場合に、乾燥工程の目標乾燥率を標準コース例えば100%よりも低くする。
【0045】
乾燥率は、例えば給気温度センサ18及び排気温度センサ19で検知される温度差つまり水槽13の給気口132と排気口131とを流れる空気の温度差の変化量に基づいて算出できる。この場合、乾燥率は、水槽13の給気口132と排気口131とを流れる空気の最高温度差から温度センサ18、19によって検知された水槽13の給気口132と排気口131とを流れる空気の温度差を引いた基準値の変化に基づいて定めることができる。ここで、給気口132と排気口131とを流れる空気の温度差は、回転槽14内の衣類から水分が抜けて乾燥が進むにつれて小さくなるため、当該基準値は、乾燥が進むにつれて大きくなる。したがって、第1シワ抑制コースにおける当該基準値の閾値は、標準コースよりも小さく設定することができる。
【0046】
具体的には、
図8に示すように、制御装置60は、第1シワ抑制コースにおいて満足度「4」が設定されている場合、乾燥工程中の送風装置55の回転数を例えば4200rpmにする。制御装置60は、第1シワ抑制コースにおいて満足度「3」が設定されている場合、脱水工程中の回転槽14の回転数を例えば1000rpmにするとともに、乾燥工程中の送風装置55の回転数を例えば4200rpmにする。制御装置60は、第1シワ抑制コースにおいて満足度「2」が設定されている場合、脱水工程中の回転槽14の回転数を例えば1000rpmにするとともに、乾燥工程中の送風装置55の回転数を例えば4500rpmにする。
【0047】
制御装置60は、第1シワ抑制コースにおいて満足度「1」が設定されている場合、脱水工程中の回転槽14の回転数を例えば1000rpmにするとともに、乾燥工程中の送風装置55の回転数を例えば5000rpmにする。また、制御装置60は、第1シワ抑制コースにおいて満足度「1」が設定されている場合、乾燥工程の目標乾燥率を例えば97%にする。
【0048】
また、制御装置60は、
図8に示すように、第2シワ抑制コースが設定されている場合、乾燥工程中の回転槽14の回転数を標準コース例えば60rpmよりも小さくする。この場合、第2シワ抑制コースにおける乾燥工程中の回転槽14の回転数は、衣類が回転槽14の内壁に張り付かない程度の回転数に設定することが好ましい。また、制御装置60は、第2シワ抑制コースにおいて、所望のシワの抑制具合つまり満足度に応じて異なる処理内容を実行可能である。つまり、制御装置60は、第2シワ抑制コースにおいて満足度が低く設定されている場合に、乾燥工程中の送風装置55の回転数を大きくする。また、制御装置60は、第2シワ抑制コースにおいて満足度が低く設定されている場合に、脱水工程中の回転槽14の回転数を標準コース例えば1400rpmよりも小さくする。
【0049】
制御装置60は、第2シワ抑制コースにおいて、乾燥工程の前工程例えば洗い工程又はすすぎ工程の一方又は両方にて回転槽14内の衣類をほぐすためのほぐし動作を実行可能である。ほぐし動作とは、例えば回転槽14を低速で一定期間正転方向及び逆転方向に交互に回転させることにより行われる。これにより、回転槽14内の衣類同士の絡まりを抑制及び解消することができる。また、制御装置60は、第2シワ抑制コースにおいて標準コースよりも洗い工程又はすすぎ工程の一方又は両方の攪拌時間を短縮できる。攪拌時間とは、回転槽14を回転させることによって回転槽14内の衣類が攪拌されている時間を意味する。
【0050】
具体的には、
図8に示すように、制御装置60は、第2シワ抑制コースにおいて満足度「4」が設定されている場合、乾燥工程中の回転槽14の回転数を例えば50rpmにする。制御装置60は、第2シワ抑制コースにおいて満足度「3」が設定されている場合、洗い工程又はすすぎ工程の一方又は両方にてほぐし動作を実行しかつ脱水工程中の回転槽14の回転数を例えば1000rpmにする。また、制御装置60は、第2シワ抑制コースにおいて満足度「3」が設定されている場合、乾燥工程中の回転槽14の回転数を例えば50rpmにする。
【0051】
制御装置60は、第2シワ抑制コースにおいて満足度「2」が設定されている場合、洗い工程又はすすぎ工程の一方又は両方にてほぐし動作を実行しかつ脱水工程中の回転槽14の回転数を例えば1000rpmにする。また、制御装置60は、第2シワ抑制コースにおいて満足度「2」が設定されている場合、乾燥工程中の回転槽14の回転数を例えば50rpmにするとともに、乾燥工程中の送風装置55の回転数を例えば4200rpmにする。制御装置60は、第2シワ抑制コースにおいて満足度「1」が設定されている場合、洗い工程又はすすぎ工程の一方又は両方にてほぐし動作を実行するとともに攪拌時間を短縮しかつ脱水工程中の回転槽14の回転数を例えば1000rpmにする。
【0052】
第2シワ抑制コースにおいて、洗い工程又はすすぎ工程の攪拌時間を短縮する場合の制御内容は次のようになる。洗い工程の場合、
図9の洗いテーブル62に示すように、標準コースでは、例えば回転槽14を20秒間正転方向、20秒間逆転方向に、正転方向と逆転方向との切替時に停止時間を設けることなく交互に繰り返し回転させる。一方、第2シワ抑制コースでは、例えば回転槽14を10秒間正転方向、10秒間逆転方向に、正転方向と逆転方向との切替時に停止時間10秒間を設けて交互に繰り返し回転させる。
【0053】
このように、第2シワ抑制コースにおいて、洗い工程における攪拌時間を標準コースよりも短くしかつ回転槽14の停止時間を設けることで、回転槽14内の衣類同士の絡まりを抑制できる。第2シワ抑制コースにおいて、単に洗い工程の攪拌時間を短くすると洗浄力が低下するおそれがある。そこで、制御装置60は、第2抑制コースにおいて、洗い工程の時間を標準コース例えば14分よりも長く例えば20分にするとともに、回転槽14の回転数を標準コース例えば40rpmよりも大きく例えば60rpmにする。これにより、衣類同士の絡まりを抑えつつ、洗浄力を確保することができる。
【0054】
すすぎ工程の場合、
図10のすすぎテーブル63に示すように、標準コースでは、例えば回転槽14を20秒間正転方向、20秒間逆転方向に、正転方向と逆転方向との切替時に停止時間を設けることなく交互に繰り返し回転させる。一方、第2シワ抑制コースでは、例えば回転槽14を10秒間正転方向、10秒間逆転方向に、正転方向と逆転方向との切替時に停止時間10秒間を設けて交互に繰り返し回転させる。
【0055】
このように、第2シワ抑制コースにおいて、すすぎ工程における攪拌時間を標準コースよりも短くし、回転槽14の停止時間を設けることで、回転槽14内の衣類同士の絡まりを抑制できる。第2シワ抑制コースにおいて、単にすすぎ工程の攪拌時間を短くするとすすぎ効果が低下するおそれがある。そこで、制御装置60は、第2抑制コースにおいて、洗い工程の時間を標準コース例えば2分よりも長く例えば3分にするとともに、回転槽14の回転数を標準コース例えば40rpmよりも大きく例えば60rpmにする。これにより、衣類同士の絡まりを抑えつつ、すすぎ効果を確保することができる。
【0056】
また、制御装置60は、第2シワ抑制コースにおいて満足度「1」が設定されている場合、乾燥工程中の回転槽14の回転数を例えば50rpmにするとともに、乾燥工程中の送風装置55の回転数を例えば4200rpmにする。
【0057】
以上説明した実施形態によれば、洗濯乾燥機10は、水槽13と、回転槽14と、制御装置60と、を備える。水槽13は、外箱11内に設けられる。回転槽14は、水槽13内に回転可能に設けられ衣類が収容される。制御装置60は、回転槽14内の衣類に対して、洗い、すすぎ、脱水、及び乾燥の各工程を含む洗濯乾燥運転を実行可能である。そして、制御装置60は、洗濯乾燥運転において、シワの発生を抑制する衣類の部位に応じて選択可能な複数のシワ抑制コースを実行可能である。
【0058】
これによれば、シワの発生を抑制する衣類の部位に応じて選択可能な複数のシワ抑制コースを実行可能とすることで、洗濯乾燥運転によって生じる衣類に対するシワ付きを効果的に抑制することができる。
【0059】
制御装置60は、複数のシワ抑制コースにおいて、所望のシワの抑制具合に応じて異なる処理内容を実行可能である。ここで、衣類に対するシワ付き具合は、同じ形状の衣類であっても、衣類の素材や生地等によって異なる。そこで、シワ抑制コースにおいて、所望のシワの抑制具合つまり洗濯乾燥運転後のシワ付き状態の満足度に応じて異なる処理内容を実行可能にすることで、衣類の素材や生地等を考慮して、洗濯乾燥運転によって生じる衣類に対するシワ付きの抑制を図ることができる。
【0060】
また、洗濯乾燥機10は、風路40と、温風供給装置50と、送風装置55と、を更に備える。風路40は、水槽13内に空気を循環供給するためのものである。温風供給装置50は、風路40の途中に設けられ、空気を加熱して回転槽14内の衣類を乾燥するための温風を生成する。送風装置55は、風路40の途中に設けられ、水槽13内に空気を送風する。そして、制御装置60は、シワ抑制コースにおいて、予め設定されている標準コースよりも乾燥工程中の送風装置55の出力を大きくする。
【0061】
これによれば、シワ抑制コースにおいて、乾燥工程中の送風装置55の出力を大きくし、回転槽14内に供給される温風の風速を高めることで、回転槽14内の衣類を広げながら乾燥させることができる。これにより、衣類に対するシワ付きを抑制できる。
【0062】
制御装置60は、シワ抑制コースにおいて、予め設定されている標準コースよりも脱水工程中の回転槽14の回転数を小さくする。これによれば、シワ抑制コースにおいて、脱水工程時の回転槽14の回転数を小さくすることで、脱水工程中に回転槽14内の衣類に与える機械力を低減して、衣類に対するシワ付きの発生を抑制できる。
【0063】
複数のシワ抑制コースは、第1シワ抑制コースと第2シワ抑制コースとを含んでいる。第1シワ抑制コースは、衣類における第1部位のシワの発生を抑制する運転コースである。第2シワ抑制コースは、衣類における第1部位とは異なる第2部位のシワの発生を抑制する運転コースである。制御装置60は、第1シワ抑制コースにおいて、標準コースよりも乾燥工程の目標乾燥率を低くする。これによれば、衣類における第1部位例えば胴部分に対するシワ付きの発生を抑制する第1シワ抑制コースにおいて、乾燥工程の目標乾燥率を低くすることで、衣類の過乾燥によるシワ付きの発生を防止できる。
【0064】
また、制御装置60は、第2シワ抑制コースにおいて、標準コースよりも乾燥工程中の回転槽14の回転数を小さくする。これによれば、衣類における第2部位例えば袖部分に対するシワ付きの発生を抑制する第2シワ抑制コースにおいて、乾燥工程中の回転槽14の回転数を小さくすることで、衣類をほぐしながらつまり衣類が回転槽14の内壁に張り付かない状態で乾燥させることができる。これにより、衣類を広がりやすくしつつ、衣類同士が絡まることを抑えることができる。よって、衣類に対するシワ付きの発生をより一層抑制できる。
【0065】
更に、制御装置60は、第2シワ抑制コースにおいて、乾燥工程の前に回転槽14内の衣類をほぐすためのほぐし動作を実行可能である。これによれば、乾燥工程の開始時点で衣類同士が絡まっていることを想定して、乾燥工程の前工程でほぐし動作を実行することで、乾燥工程の前に予め衣類をほぐしておくことができる。これにより、衣類同士の絡まりに起因したシワ付きの発生をより一層抑制できる。
【0066】
また、制御装置60は、第2シワ抑制コースにおいて、標準コースよりも洗い工程又はすすぎ工程の一方又は両方の攪拌時間を短縮する。これによれば、洗い工程又はすすぎ工程における回転槽14内の衣類の撹拌によって衣類同士が絡まってしまうことを想定して、洗い工程又はすすぎ工程の一方又は両方の攪拌時間を短縮することで、衣類同士の絡まりを抑制できる。これにより、衣類同士の絡まりに起因したシワ付きの発生を抑制できる。
【0067】
なお、上記実施形態では、洗い工程又はすすぎ工程における撹拌時間、脱水工程における回転槽14の回転数、乾燥工程における回転槽14の回転数、送風装置55の回転数、及び目標乾燥率等について、具体的数値を挙げながら説明したが、それら具体的数値は一例を示したに過ぎず、適宜変更が可能であることは勿論である。また、洗濯乾燥機10の全体のハードウェア構成、運転コースの種類等についても、様々な変更が可能である。
【0068】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
10…洗濯乾燥機、13…水槽、14…回転槽、40…風路、50…温風供給装置、55…送風装置、60…制御装置