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  • 特開-吸水シート 図1
  • 特開-吸水シート 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000082
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】吸水シート
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/015 20060101AFI20231225BHJP
   B01J 35/39 20240101ALI20231225BHJP
   A61L 9/00 20060101ALI20231225BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20231225BHJP
   D06M 11/46 20060101ALI20231225BHJP
   B32B 7/02 20190101ALI20231225BHJP
【FI】
A01K1/015 A
B01J35/02 J
A61L9/00 C
A61L9/01 B
D06M11/46
B32B7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098626
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】522246452
【氏名又は名称】TSJ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】江草 東
【テーマコード(参考)】
2B101
4C180
4F100
4G169
4L031
【Fターム(参考)】
2B101AA13
2B101AA20
2B101GB01
4C180AA05
4C180AA07
4C180AA10
4C180AA16
4C180BB06
4C180BB12
4C180BB15
4C180CC03
4C180CC17
4C180EA34X
4F100AA21A
4F100BA03
4F100BA07
4F100DG15A
4F100GB71
4F100JC00
4F100JD05A
4F100JD05C
4F100JD15B
4G169AA03
4G169BA04A
4G169BA48A
4G169BB04A
4G169BC50A
4G169CA10
4G169CA11
4G169DA05
4G169EA10
4G169HA02
4G169HB01
4G169HE03
4G169HF02
4L031AB34
4L031BA09
4L031DA13
(57)【要約】
【課題】尿のアンモニア臭をより迅速及び確実に消臭可能なペット用の吸水シートを提供する。
【解決手段】吸水シート1は、透水性を有する表面層10と、非透水性を有する裏面層30と、前記表面層10と前記裏面層20との間に設けられる吸水層30と、を備え、前記表面層10が、酸化チタン11を含んでいる。前記表面層10は、酸化チタン11を担持した不織布13である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透水性を有する表面層と、
非透水性を有する裏面層と、
前記表面層と前記裏面層との間に設けられる吸水層と、を備え、
前記表面層が、酸化チタンを含んでいることを特徴とする吸水シート。
【請求項2】
前記表面層は、酸化チタンを担持した不織布であることを特徴とする請求項1に記載の吸水シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットの排泄物の処理やペットのトイレに使用されるペット用の吸水シートに関する。
【背景技術】
【0002】
ペット用吸水シートは、例えば、特許文献1に記載されているように、表面シートと、裏面シートと、両シート間に設けられる吸水シート、で構成されるのが一般的である。表面シートには、消臭、芳香、殺菌作用を有する機能性成分が含まれる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-000046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の消臭、芳香、殺菌作用をより高めた吸水シートの要求が高まっている。特には、尿のアンモニア臭をより迅速及び確実に消臭可能な吸水シートの要求が高い。
【0005】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、尿のアンモニア臭をより迅速及び確実に消臭可能かペット用の吸水シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吸水シートは、透水性を有する表面層と、非透水性を有する裏面層と、前記表面層と前記裏面層との間に設けられる吸水層と、を備え、前記表面層が、酸化チタンを含んでいることを特徴とする。
【0007】
本発明において、前記表面層は、酸化チタンを担持した不織布であることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、表面層に含まれる酸化チタンにより、尿に含まれるアンモニアを分解することができるので、アンモニア臭をより迅速及び確実に消臭可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るペット用吸水シートを模式的に示す一部分解斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るペット用吸水シートを示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係るペット用吸水シート1について説明する。図1はペット用吸水シート1を模式的に示す一部分解斜視図、図2はペット用吸水シート1を示す一部断面図である。
【0011】
ペット用吸水シート1は、透水性を有する表面層10と、吸水層20と、非透水性を有する裏面層30と、がこの順で積層されて形成された、矩形状の積層シートである。
【0012】
表面層10は、図2に示されるように、酸化チタン11を担持した不織布13で作成される。表面層10は、例えば、酸化チタン11を分散させた液体(例えば、水)を不織布13に散布した後、あるいは、酸化チタン11を分散させた液体(例えば、水)に不織布13を浸した後、液体を蒸発させることで形成される。これにより、酸化チタン11が、不織布13の表面方向及び厚さ方向に分散して、不織布13の繊維間に担持される。特には、不織布13の表面により多くの酸化チタン11が存在することが好ましい。なお、酸化チタン11としては、光触媒作用の高いアナターゼ型の結晶を持つことが好ましい。また、分散性を考慮して、酸化チタン11の粒径は1~200nmであることが好ましい。
【0013】
吸水層20は、例えば、吸水紙21と、フラップパルプ23と、吸水紙25とを、この順に積層して作成されている。
【0014】
裏面層30は、例えば、ポリエチレンフィルムで作成されている。
【0015】
吸水シート1は、表面層10と、吸水層20と、裏面層30とをこの順で重ねて、例えば、表面層10の周囲と裏面層30の周囲とを縫い合わせたり接着したりすることで形成される。なお、図1に示されるように、裏面層30の四隅に、接着層40を設けてもよい。この場合、ペット用トイレなどの底面に吸水シート1をずれることなく固定できる。
【0016】
上記構成を有する吸水シート1の消臭作用について説明する。吸水シート1に尿が注がれると、尿は表面層10を通過して吸水層20に吸水されて保持される。紫外線を含む光(可視光)が照射された状況下で尿が表面層10を通過する際、表面層10の不織布13に担持された酸化チタン11が光触媒として作用する。
【0017】
光触媒とは、特定の波長を有する光が照射された際に、触媒作用、すなわち、化学反応の反応速度を速める作用を発揮する。光触媒に光が照射されると、酸化還元反応により酸化性フリーラジカルが発生し、この酸化性フリーラジカルにより、尿素、バクテリア、臭気汚染物質等の有機物を酸化的に分解し、環境に無害な二酸化炭素や水を生成する。本発明の場合、紫外線が表面層10に照射されることで、表面層10に含まれる酸化チタン11が触媒として作用し、尿に含まれるアンモニアを、無害な窒素、水素、水等に分解する。これにより、尿のアンモニア臭が低減される。
【0018】
次に、上記吸水シート1の消臭機能の確認実験について説明する。酸化チタンを担持しない不織布で作成された表面層と、本発明の吸水シート1と同じ吸水層20と裏面層30とで作成され、本発明の吸水シート1と同サイズの吸水シートを比較例として使用した。両吸水シートのサイズは430mm×290mm、重量は40gである。また、各シートの吸水層には、吸水性高分子が5g含まれる。
【0019】
濃度1%のアンモニア水5mlを、本発明の吸水シート1及び比較例の吸水シートの表面(表面層)に注ぎ、可視光照射下に2分間放置した。その後、各吸水シートを樹脂製の密閉透明箱に収容し、密閉透明箱内のアンモニアガス濃度をガス探知器で測定した。密閉透明箱のサイズは、縦450mm、横340mm、高さ285mmである。ガス探知器は、型式NA802を使用した。環境温度は20度、相対湿度は60%であった。
【0020】
その結果、本発明の吸水シート1の場合、アンモニア濃度は6ppmであった。一方で、比較例の吸水シートの場合、アンモニア濃度は36ppmであった。これにより、本発明の吸水シート1は、比較例の吸水シートに比べて、アンモニア濃度が83.3%低下したことがわかる。つまり、この消臭効果は、本発明の吸水シート1の含まれる酸化チタン11の作用によるものであることがわかる。
【0021】
上記説明したように、本発明によれば、表面層10に含まれる酸化チタン11により、尿に含まれるアンモニアを分解することができるので、アンモニア臭をより迅速及び確実に消臭することができる。また、吸水シート1の最も表側の面である表面層10に光触媒である酸化チタン11が含まれることで、紫外線を含む可視光が酸化チタン11に照射されやすくなるので、酸化チタン11の触媒作用をより有効に発揮させることができる。さらに、不織布13を使用することで、酸化チタン11が繊維間に担持されやすくなる。
【0022】
本発明の吸水シート1は、介護用等の吸水シートとしても使用可能である。
【0023】
上記した本発明の実施の形態の説明は、本発明に係る吸水シートにおける好適な実施の形態を説明しているため、材質、寸法、構造等、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0024】
1 吸水シート
10 表面層
11 酸化チタン
13 不織布
20 吸水層
30 裏面層
図1
図2