(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082007
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20240612BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240612BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
H01L29/78 658A
H01L29/78 653A
H01L29/78 652H
H01L29/78 652T
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195678
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高谷 秀史
(57)【要約】
【課題】スーパージャンクション構造を備えた半導体装置において、n型コラムとp型コラムの間のチャージバランスの崩れが抑えられる技術を提供する。
【解決手段】n型コラム14aとp型コラム14bが少なくとも一方向に沿って交互に繰り返し配置されているスーパージャンクション構造を含む半導体層10、を備えた半導体装置1の製造方法は、前記半導体層の表面に成膜されており、前記n型コラムと前記p型コラムの少なくとも一方の形成範囲に対応して開口する遮蔽層52,54,62,64の設計パターンからのずれを示すパターンずれに基づいて前記スーパージャンクション構造を形成する工程、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
n型コラム(14a)とp型コラム(14b)が少なくとも一方向に沿って交互に繰り返し配置されているスーパージャンクション構造を含む半導体層(10)、を備えた半導体装置(1)の製造方法であって、
前記半導体層の表面に成膜されており、前記n型コラムと前記p型コラムの少なくとも一方の形成範囲に対応して開口する遮蔽層(52,54,62,64)の設計パターンからのずれを示すパターンずれに基づいて前記スーパージャンクション構造を形成する工程、を備える、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記スーパージャンクション構造を形成する工程は、
前記n型コラムの形成範囲に対応して開口するn型コラム用遮蔽層(52,62)の前記パターンずれに基づいて前記n型コラムを形成する工程と、
前記p型コラムの形成範囲に対応して開口するp型コラム用遮蔽層(54,64)の前記パターンずれに基づいて前記p型コラムを形成する工程と、を有している、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記n型コラム用遮蔽層の前記パターンずれに基づいて前記n型コラムを形成する工程は、
前記n型コラム用遮蔽層の開口幅(52W)を測定するステップと、
前記n型コラム用遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にn型不純物イオンを注入して前記n型コラムを形成するステップであって、測定された前記開口幅に応じて前記n型不純物イオンの注入量が調整される、ステップと、を含む、請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記p型コラム用遮蔽層の前記パターンずれに基づいて前記p型コラムを形成する工程は、
前記p型コラム用遮蔽層の開口幅(54W)を測定するステップと、
前記p型コラム用遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にp型不純物イオンを注入して前記p型コラムを形成するステップであって、測定された前記開口幅に応じて前記p型不純物イオンの注入量が調整される、ステップと、を含む、請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記n型コラム用遮蔽層の前記パターンずれに基づいて前記n型コラムを形成する工程は、
前記n型コラム用遮蔽層の開口幅(52W)を測定するステップと、
前記n型コラム用遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にn型不純物イオンを注入するステップであって、所定条件に応じて前記n型不純物イオンが注入される、ステップと、
測定された前記開口幅に応じて前記n型不純物イオンを追加で注入するか否かを判定し、追加注入が必要と判定された場合には、前記n型コラム用遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にn型不純物イオンを追加で注入して前記n型コラムを形成するステップと、を含む、請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記p型コラム用遮蔽層の前記パターンずれに基づいて前記p型コラムを形成する工程は、
前記p型コラム用遮蔽層の開口幅(54W)を測定するステップと、
前記p型コラム用遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にp型不純物イオンを注入するステップであって、所定条件に応じて前記p型不純物イオンが注入される、ステップと、
測定された前記開口幅に応じて前記p型不純物イオンを追加で注入するか否かを判定し、追加注入が必要と判定された場合には、前記p型コラム用遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にp型不純物イオンを追加で注入して前記p型コラムを形成するステップと、を含む、請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記n型コラム用遮蔽層の前記パターンずれに基づいて前記n型コラムを形成する工程は、
前記n型コラム用遮蔽層の開口幅(62W)を測定するステップと、
前記n型コラム用遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にn型不純物イオンを注入するステップと、
前記n型コラム用遮蔽層を除去するステップと、
測定された前記開口幅に応じて前記n型不純物イオンを追加で注入するか否かを判定し、追加注入が必要と判定された場合には、前記n型コラムの形成範囲の少なくとも一部に対応して開口する追加のn型コラム用追加遮蔽層(64)を前記半導体層の表面に成膜するステップと、
前記n型コラム用追加遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にn型不純物イオンを注入して前記n型コラムを形成するステップと、を含む、請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記p型コラム用遮蔽層の前記パターンずれに基づいて前記p型コラムを形成する工程は、
前記p型コラム用遮蔽層の開口幅(64W)を測定するステップと、
前記p型コラム用遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にp型不純物イオンを注入するステップと、
測定された前記開口幅に応じて前記p型不純物イオンを追加で注入するか否かを判定し、追加注入が必要と判定された場合には、前記p型コラムの形成範囲の少なくとも一部に対応して開口する追加のp型コラム用追加遮蔽層(68)を前記半導体層の表面に成膜するステップと、
前記p型コラム用追加遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にp型不純物イオンを注入して前記p型コラムを形成するステップと、を含む、請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記スーパージャンクション構造を形成する工程は、
前記n型コラムの形成範囲に対応して開口するn型コラム用遮蔽層を前記半導体層の表面に成膜する工程と、
前記n型コラム用遮蔽層の設計パターンからのアライメントずれを測定する工程と、
前記n型コラム用遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にn型不純物イオンを注入して前記n型コラムを形成する工程と、
測定された前記アライメントずれに基づいて前記p型コラムの形成範囲に対応して開口するp型コラム用遮蔽層を前記半導体層の前記表面に成膜する工程と、
前記p型コラム用遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にp型不純物イオンを注入して前記p型コラムを形成する工程と、を有している、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記スーパージャンクション構造を形成する工程は、
前記p型コラムの形成範囲に対応して開口するp型コラム用遮蔽層を前記半導体層の表面に成膜する工程と、
前記p型コラム用遮蔽層の設計パターンからのアライメントずれを測定する工程と、
前記p型コラム用遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にp型不純物イオンを注入して前記p型コラムを形成する工程と、
測定された前記アライメントずれに基づいて前記n型コラムの形成範囲に対応して開口するn型コラム用遮蔽層を前記半導体層の前記表面に成膜する工程と、
前記n型コラム用遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にn型不純物イオンを注入して前記n型コラムを形成する工程と、を有している、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
低オン抵抗と高耐圧が両立する構造として、n型コラムとp型コラムが少なくとも一方向に沿って交互に繰り返し配置されているスーパージャンクション構造が提案されている。特許文献1~3は、このようなスーパージャンクション構造を備えた半導体装置の一例を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-245082号公報
【特許文献2】特開2009-188177号公報
【特許文献3】特開2010-056154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
低オン抵抗と高耐圧の両立をさらに改善するためには、スーパージャンクション構造を構成するn型コラムとp型コラムの各々の不純物濃度を高くする必要がある。n型コラムとp型コラムの各々の不純物濃度が高くなると、例えばn型半導体層内にp型不純物イオンをカウンタードーピングしてn型コラムとp型コラムを形成することが困難となる。高濃度なn型半導体層内に多量のp型不純物イオンをイオン注入しなければならず、欠陥等が問題となるからである。このため、低オン抵抗と高耐圧を高度に両立する半導体装置を製造するためには、n型コラムとp型コラムの各々をイオン注入で形成しなければならない。
【0005】
n型コラムとp型コラムの各々をイオン注入で形成する場合において、n型コラムとp型コラムの各々の不純物濃度及び/又は位置を制御し、n型コラムとp型コラムの間のチャージバランスの崩れを抑えることができる技術が必要である。本明細書は、スーパージャンクション構造を備えた半導体装置において、n型コラムとp型コラムの間のチャージバランスの崩れが抑えられる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、n型コラム(14a)とp型コラム(14b)が少なくとも一方向に沿って交互に繰り返し配置されているスーパージャンクション構造を含む半導体層(10)、を備えた半導体装置(1)の製造方法を開示することができる。この製造方法は、前記半導体層の表面に成膜されており、前記n型コラムと前記p型コラムの少なくとも一方の形成範囲に対応して開口する遮蔽層(52,54,62,66)の設計パターンからのずれを示すパターンずれに基づいて前記スーパージャンクション構造を形成する工程、を備えていてもよい。ここで、前記パターンずれは、特に限定されるものではないが、例えば前記遮蔽層の開口幅の寸法ずれであってもよく、前記遮蔽層のアライメントずれであってもよい。この製造方法によると、前記遮蔽層のパターンずれに基づくフィードバック制御によって前記スーパージャンクション構造を形成することができるので、前記第1コラムと前記第2コラムのチャージバランスの崩れが抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本明細書が開示する実施形態の半導体装置の要部断面図を模式的に示す。
【
図2】
図1に示す半導体装置を製造する第1の製造方法のうちスーパージャンクション構造を形成する工程のフローを示す。
【
図3】
図1に示す半導体装置を製造する第1の製造方法中の要部断面図を模式的に示す。
【
図4】
図1に示す半導体装置を製造する第1の製造方法中の要部断面図を模式的に示す。
【
図5】
図1に示す半導体装置を製造する第1の製造方法中の要部断面図を模式的に示す。
【
図6】
図1に示す半導体装置を製造する第1の製造方法の変形例のうちスーパージャンクション構造を形成する工程のフローを示す。
【
図7】
図1に示す半導体装置を製造する第2の製造方法のうちスーパージャンクション構造を形成する工程のフローを示す。
【
図8】
図1に示す半導体装置を製造する第2の製造方法中の要部断面図を模式的に示す。
【
図9】
図1に示す半導体装置を製造する第2の製造方法中の要部断面図を模式的に示す。
【
図10】
図1に示す半導体装置を製造する第2の製造方法中の要部断面図を模式的に示す。
【
図11】
図1に示す半導体装置を製造する第2の製造方法中の要部断面図を模式的に示す。
【
図12】
図1に示す半導体装置を製造する第3の製造方法のうちスーパージャンクション構造を形成する工程のフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本明細書が開示する半導体装置について説明する。なお、図示明瞭化を目的として、繰り返し配置されている構成要素についてはその1つのみに符号を付す。
【0009】
図1に、半導体装置1の要部断面図を模式的に示す。半導体装置1は、MOSFETと称される種類のパワー半導体装置であり、半導体層10と、半導体層10の下面を被覆するドレイン電極22と、半導体層10の上面を被覆するソース電極24と、半導体層10の上層部に設けられている複数のトレンチゲート30と、を備えている。
【0010】
半導体層10は、特に限定されるものではないが、例えば4Hの炭化珪素層であってもよい。半導体層10は、その上面の結晶面が(0001)のSi面に対してオフ角だけ傾斜していてもよい。オフ角は、特に限定されるものではないが、例えば4°であってもよい。半導体層10は、炭化珪素層に代えて、シリコン層、窒化物半導体層、酸化ガリウム層であってもよい。半導体層10は、n+型のドレイン領域12と、n型のドリフト領域14と、p型のボディ領域16と、n+型のソース領域18と、p+型のボディコンタクト領域19と、を有している。
【0011】
ドレイン領域12は、半導体層10の下層部に配置されており、半導体層10の下面に露出する位置に設けられている。ドレイン領域12は、半導体層10の下面を被膜するドレイン電極22にオーミック接触している。
【0012】
ドリフト領域14は、ドレイン領域12とボディ領域16の間に設けられており、複数のn型コラム14aと複数のp型コラム14bを有している。n型コラム14aとp型コラム14bは、半導体層10の横断面内において少なくとも一方向に沿って交互に繰り返すように配置されており、スーパージャンクション構造を構成している。なお、半導体層10の横断面内においてn型コラム14aとp型コラム14bが交互に繰り返す方向を、以下「繰り返し方向」という。複数のn型コラム14aと複数のp型コラム14bは、特に限定されるものではないが、半導体層10の上面に直交する方向から見たときに(以下、「平面視したときに」という)、例えばストライプ状に配置されていてもよい。
【0013】
ドリフト領域14が空乏化すると、n型コラム14aが正に帯電され、p型コラム14bが負に帯電する。n型コラム14aの正電荷のチャージ量とp型コラム14bの負電荷のチャージ量がバランスすると、ドリフト領域14が良好に空乏化され、半導体装置1の耐圧が向上する。半導体装置1では、n型コラム14aとp型コラム14bの間でチャージバランスするように設計される。
【0014】
ボディ領域16は、ドリフト領域14上に設けられており、半導体層10の上層部に配置されている。ボディ領域16は、ドリフト領域14のn型コラム14aとソース領域18の間に設けられており、n型コラム14aとソース領域18の双方に接しており、n型コラム14aとソース領域18を隔てている。ボディ領域16のp型不純物のキャリア濃度は、所望のゲート閾値電圧に応じて調整されている。
【0015】
ソース領域18は、ボディ領域16上に設けられており、半導体層10の上層部に配置されており、半導体層10の表面に露出する位置に設けられている。ソース領域18は、トレンチゲート30の側面に接している。ソース領域18は、半導体層10の表面を被膜するソース電極24にオーミック接触している。
【0016】
ボディコンタクト領域19は、ボディ領域16上に設けられており、半導体層10の上層部に配置されており、半導体層10の表面に露出する位置に設けられている。ボディコンタクト領域19は、半導体層10の表面を被膜するソース電極24にオーミック接触している。
【0017】
トレンチゲート30は、半導体層10の上層部に形成されているトレンチ内に充填されており、ソース領域18とボディ領域16を貫通してドリフト領域14のn型コラム14aに達している。この例では、トレンチゲート30は、半導体層10を平面視したときに、n型コラム14aとp型コラム14bの長手方向に沿って延びている。この例に代えて、トレンチゲート30は、半導体層10を平面視したときに、n型コラム14aとp型コラム14bの繰り返し方向、即ち、n型コラム14aとp型コラム14bの長手方向に直交する方向に沿って延びていてもよい。トレンチゲート30は、ゲート電極32とゲート絶縁膜34を有している。ゲート電極32は、不純物を含むポリシリコンで形成されており、ゲート絶縁膜34を介して半導体層10に対向している。特に、ゲート電極32は、ドリフト領域14のn型コラム14aとソース領域18を隔てる部分のボディ領域16にゲート絶縁膜34を介して対向している。ゲート絶縁膜34は、酸化シリコンで形成されており、トレンチの内壁を被覆している。
【0018】
次に、
図1を参照し、半導体装置1の動作を説明する。ソース電極24の電位よりもドレイン電極22の電位が正となる状態で、トレンチゲート30のゲート電極32の電位がソース電極24よりも正であり、且つ閾値よりも高く制御されると、半導体装置1はターンオンする。このとき、ソース領域18とドリフト領域14のn型コラム14aを隔てる部分のボディ領域16に反転層が形成される。ソース領域18から供給される電子は、その反転層のチャネルを経由してドリフト領域14のn型コラム14aに達する。n型コラム14aに達した電子は、n型コラム14aを経由してドレイン領域12に流れる。n型コラム14aは、n型不純物のキャリア濃度が高いので、半導体装置1は低オン抵抗という特性を有することができる。
【0019】
トレンチゲート30のゲート電極32の電位がソース電極24の電位と同一となるように制御されると、反転層のチャネルが消失し、半導体装置1はターンオフする。スーパージャンクション構造を構成する複数のn型コラム14aと複数のp型コラム14bは実質的に完全空乏化され、ドリフト領域14の広い範囲が空乏化される。また、ドリフト領域14はスーパージャンクション構造を有することから、ドリフト領域14の電界分布が厚み方向に平準化される。このため、ドリフト領域14は大きい電位差を負担することができるので、半導体装置1は高耐圧という特性を有することができる。
【0020】
(半導体装置の第1の製造方法)
次に、
図2~
図5を参照し、半導体装置1の第1の製造方法のうちのスーパージャンクション構造を形成する工程について説明する。半導体装置1の製造するための他の工程については、公知の製造技術を利用することができる。
【0021】
まず、
図3に示すように、n
+型の炭化珪素基板であるドレイン領域12を準備する。次に、特に限定されるものではないが、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等のエピタキシャル成長技術を利用して、ドレイン領域12の表面から炭化珪素のn型のエピ層140を成長させる。なお、エピ層140は半導体層10の少なくとも一部を構成しており、半導体層と称することもある。
【0022】
次に、
図4に示すように、フォトリソグラフィー技術を利用してエピ層140上にn型コラム用遮蔽層52を成膜する(即ち、
図2のステップS1)。n型コラム用遮蔽層52は、n型コラム14aの形成範囲に対応して開口するようにパターニングされる。
【0023】
次に、n型コラム用遮蔽層52の開口幅52Wが測定される(即ち、
図2のステップS2)。n型コラム用遮蔽層52の開口幅52Wは、n型コラム用遮蔽層52の開口の短手方向の幅であり、スーパージャンクション構造の繰り返し方向の幅である。
【0024】
次に、イオン注入技術を利用して、n型コラム用遮蔽層52の開口を介してエピ層140内にn型不純物イオンを注入し、n型コラム14aを形成する(即ち、
図2のステップS3)。n型不純物イオンは、特に限定されるものではないが、例えば窒素イオンが用いられてもよい。ここで、n型不純物イオンを注入する条件は、測定されたn型コラム用遮蔽層52の開口幅52Wに基づいて設定される。測定された開口幅52Wが設計パターンの開口幅よりも狭い場合、n型不純物イオンのイオン注入工程は、n型不純物イオンの注入量の条件が設計条件(即ち、基準条件)よりも多くなる条件で実施される。逆に、測定された開口幅52Wが設計パターンの開口幅よりも広い場合、n型不純物イオンを注入工程は、n型不純物イオンの注入量の条件が設計条件よりも少なくなる条件で実施される。このように、n型コラム用遮蔽層52の開口幅52Wのパターンずれに基づいてn型不純物イオンの注入量をフィードバック制御することにより、n型コラム14aのn型不純物の濃度を所望の値にすることができる。なお、設定されるn型不純物イオンの注入量は、開口幅52Wに基づいて連続的に調整されてもよく、多段的に調整されてもよい。イオン注入後、n型コラム用遮蔽層52は除去される。
【0025】
次に、
図5に示すように、フォトリソグラフィー技術を利用してエピ層140上にp型コラム用遮蔽層54を成膜する(即ち、
図2のステップS4)。p型コラム用遮蔽層54は、p型コラム14bの形成範囲に対応して開口するようにパターニングされる。
【0026】
次に、p型コラム用遮蔽層54の開口幅54Wが測定される(即ち、
図2のステップS5)。p型コラム用遮蔽層54の開口幅54Wは、p型コラム用遮蔽層54の開口の短手方向の幅であり、スーパージャンクション構造の繰り返し方向の幅である。
【0027】
次に、イオン注入技術を利用して、p型コラム用遮蔽層54の開口を介してエピ層140内にp型不純物イオンを注入し、p型コラム14bを形成する(即ち、
図2のステップS6)。p型不純物イオンは、特に限定されるものではないが、例えばアルミニウムイオンが用いられてもよい。ここで、p型不純物イオンを注入する条件は、測定されたp型コラム用遮蔽層54の開口幅54Wに基づいて設定される。測定された開口幅54Wが設計パターンの開口幅よりも狭い場合、p型不純物イオンのイオン注入工程は、p型不純物イオンの注入量の条件が設計条件(即ち、基準条件)よりも多くなる条件で実施される。逆に、測定された開口幅54Wが設計パターンの開口幅よりも広い場合、p型不純物イオンを注入工程は、p型不純物イオンの注入量の条件が設計条件よりも少なくなる条件で実施される。このように、p型コラム用遮蔽層54の開口幅54Wのパターンずれに基づいてp型不純物イオンの注入量をフィードバック制御することにより、p型コラム14bのp型不純物の濃度を所望の値にすることができる。なお、設定されるp型不純物イオンの注入量は、開口幅54Wに基づいて連続的に調整されてもよく、多段的に調整されてもよい。イオン注入後、p型コラム用遮蔽層54は除去される。
【0028】
これらの工程を経て、半導体層10内にn型コラム14aとp型コラム14bが交互に繰り返し配置されているスーパージャンクション構造を形成することができる。上記製造方法によると、フィードバック制御によりn型コラム14aとp型コラム14bの各々の不純物濃度が所望の値に調整されている。このため、半導体装置1がオフしたときに、n型コラム14aの正電荷のチャージ量とp型コラム14bの負電荷のチャージ量がバランスし、ドリフト領域14が良好に空乏化される。このため、半導体装置1は、高耐圧な特性を有することができる。
【0029】
(半導体装置の第1の製造方法の変形例)
上記製造方法は、n型コラム14aとp型コラム14bの各々に対して1回のイオン注入工程を実施し、そのイオン注入工程での不純物イオンの注入量が調整される例である。この例に代えて、1回目のイオン注入工程を予め決められた所定条件で実施し、追加のイオン注入が必要な場合のみ追加のイオン注入工程を実施するようにしてもよい。この例の製造フローを
図6に示す。なお、
図6の製造フローにおいて、
図2と共通の工程については共通の符号を付している。
【0030】
図6に示すように、ステップS1及びステップS2は、
図2の製造フローと共通である。次に、イオン注入技術を利用して、n型コラム用遮蔽層52の開口を介してエピ層140内にn型不純物イオンを注入する(即ち、
図6のステップS11)。n型不純物イオンを注入する条件は、予め決められた所定条件である。ここで、所定条件は、n型コラム14aに所望されるn型不純物濃度よりも少ない濃度となるようにn型不純物イオンの注入量が設定された条件である。
【0031】
次に、測定されたn型コラム用遮蔽層52の開口幅52Wに基づいて、追加のイオン注入が必要か否かが判定される(即ち、
図6のステップS12)。この判定工程では、測定されたn型コラム用遮蔽層52の開口幅52Wと1回目のイオン注入工程の所定条件から見積もられるn型コラム14aのn型不純物濃度が許容濃度以下の場合、追加でイオン注入が必要と判定される。追加でイオン注入が必要と判断された場合、n型コラム用遮蔽層52の開口を介してエピ層140内にn型不純物イオンを注入し、n型コラム14aを形成する(即ち、
図6のステップS13)。なお、追加でイオン注入されるn型不純物イオンの注入量は、予め決められた所定条件であってもよい。追加でイオン注入が必要と判断されなかった場合、このイオン注入工程はスキップされる。このように、n型コラム用遮蔽層52の開口幅52Wのパターンずれに基づいてn型不純物イオンの注入回数をフィードバック制御することにより、n型コラム14aのn型不純物の濃度を所望の値にすることができる。イオン注入後、n型コラム用遮蔽層52は除去される。
【0032】
図6に示すように、ステップS4及びステップS5は、
図2の製造フローと共通である。次に、イオン注入技術を利用して、p型コラム用遮蔽層54の開口を介してエピ層140内にp型不純物イオンを注入する(即ち、
図6のステップS14)。p型不純物イオンを注入する条件は、予め決められた所定条件である。ここで、所定条件は、p型コラム14bに所望されるp型不純物濃度よりも少ない濃度となるようにp型不純物イオンの注入量が設定された条件である。
【0033】
次に、測定されたp型コラム用遮蔽層54の開口幅54Wに基づいて、追加のイオン注入が必要か否かが判定される(即ち、
図6のステップS15)。この判定工程では、測定されたp型コラム用遮蔽層54の開口幅54Wと1回目のイオン注入工程の所定条件から見積もられるp型コラム14bのp型不純物濃度が許容濃度以下の場合、追加でイオン注入が必要と判定される。追加でイオン注入が必要と判断された場合、p型コラム用遮蔽層54の開口を介してエピ層140内にp型不純物イオンを注入し、p型コラム14bを形成する(即ち、
図6のステップS16)。なお、追加でイオン注入されるp型不純物イオンの注入量は、予め決められた所定条件であってもよい。追加でイオン注入が必要と判断されなかった場合、このイオン注入工程はスキップされる。このように、p型コラム用遮蔽層54の開口幅54Wのパターンずれに基づいてp型不純物イオンの注入回数をフィードバック制御することにより、p型コラム14bのp型不純物の濃度を所望の値にすることができる。イオン注入後、p型コラム用遮蔽層54は除去される。
【0034】
これらの工程を経て、半導体層10内にn型コラム14aとp型コラム14bが交互に繰り返し配置されているスーパージャンクション構造を形成することができる。上記製造方法でも、フィードバック制御によりn型コラム14aとp型コラム14bの各々の不純物濃度が所望の値に調整されており、半導体装置1は高耐圧な特性を有することができる。
【0035】
(半導体装置の第2の製造方法)
上記第1の製造方法は、n型コラム14aとp型コラム14bの各々に対して1枚の遮蔽層を用いてイオン注入工程を実施する例である。この例に代えて、n型コラム14aとp型コラム14bの各々に対して2枚の遮蔽層を用いてイオン注入工程を実施してもよい。
図7~
図11を参照し、半導体装置1の第2の製造方法のうちのスーパージャンクション構造を形成する工程について説明する。なお、第1の製造方法と共通する構成要素には共通の符号を付し、その説明を省略する。
【0036】
まず、
図8に示すように、フォトリソグラフィー技術を利用してエピ層140上にn型コラム用遮蔽層62を成膜する(即ち、
図7のステップS21)。n型コラム用遮蔽層62は、n型コラム14aの形成範囲に対応して開口するようにパターニングされる。
【0037】
次に、n型コラム用遮蔽層62の開口幅62Wが測定される(即ち、
図7のステップS22)。n型コラム用遮蔽層62の開口幅62Wは、n型コラム用遮蔽層62の開口の短手方向の幅であり、スーパージャンクション構造の繰り返し方向の幅である。
【0038】
次に、イオン注入技術を利用して、n型コラム用遮蔽層62の開口を介してエピ層140内にn型不純物イオンを注入する(即ち、
図7のステップS23)。n型不純物イオンを注入する条件は、予め決められた所定条件である。ここで、所定条件は、n型コラム14aに所望されるn型不純物濃度よりも少ない濃度となるようにn型不純物イオンの注入量が設定された条件である。イオン注入後、n型コラム用遮蔽層62は除去される。
【0039】
次に、
図9に示すように、フォトリソグラフィー技術を利用してエピ層140上にp型コラム用遮蔽層64を成膜する(即ち、
図7のステップS24)。p型コラム用遮蔽層64は、p型コラム14bの形成範囲に対応して開口するようにパターニングされる。
【0040】
次に、p型コラム用遮蔽層64の開口幅64Wが測定される(即ち、
図7のステップS25)。p型コラム用遮蔽層64の開口幅64Wは、p型コラム用遮蔽層64の開口の短手方向の幅であり、スーパージャンクション構造の繰り返し方向の幅である。
【0041】
次に、イオン注入技術を利用して、p型コラム用遮蔽層64の開口を介してエピ層140内にp型不純物イオンを注入する(即ち、
図7のステップS26)。p型不純物イオンを注入する条件は、予め決められた所定条件である。ここで、所定条件は、p型コラム14bに所望されるp型不純物濃度よりも少ない濃度となるようにp型不純物イオンの注入量が設定された条件である。イオン注入後、p型コラム用遮蔽層64は除去される。
【0042】
次に、ステップS22で測定されたn型コラム用遮蔽層62の開口幅62Wに基づいて、追加のイオン注入が必要か否かが判定される(即ち、
図7のステップS27)。この判定工程では、測定されたn型コラム用遮蔽層62の開口幅62Wと1回目のイオン注入工程の所定条件から見積もられるn型コラム14aのn型不純物濃度が許容濃度以下の場合、追加でイオン注入が必要と判定される。
【0043】
図10に示すように、追加でイオン注入が必要と判断された場合、フォトリソグラフィー技術を利用してエピ層140上に追加のn型コラム用追加遮蔽層66を成膜する(即ち、
図7のステップS28)。n型コラム用追加遮蔽層66は、n型コラム14aの形成範囲の内側の一部に対応して開口するようにパターニングされる。これにより、n型コラム用追加遮蔽層66の開口の位置は、パターンずれが生じたとしても、1回目のイオン注入工程でn型不純物イオンが注入された領域に対して確実に重複することができる。ここで、n型コラム用追加遮蔽層66を露光するための複数種類のフォトマスクが用意されており、測定されたn型コラム用遮蔽層62の開口幅62W(
図8参照)に応じて、即ち、1回目のイオン注入工程で注入されたn型不純物イオンの注入量に応じて適宜選択される。例えば、測定されたn型コラム用遮蔽層62の開口幅62Wが設計値よりも幅広な場合、1回目のイオン注入工程で注入されたn型不純物イオンの注入量が設計値よりも多いことから、n型コラム用追加遮蔽層66を露光するためのフォトマスクには開口幅66Wが設計値よりも幅狭となる種類を選択する。逆に、測定されたn型コラム用遮蔽層62の開口幅62Wが設計値よりも幅狭な場合、1回目のイオン注入工程で注入されたn型不純物イオンの注入量が設計値よりも少ないことから、n型コラム用追加遮蔽層66を露光するためのフォトマスクには開口幅66Wが設計値よりも幅広となる種類を選択する。
【0044】
次に、イオン注入技術を利用して、n型コラム用追加遮蔽層66の開口を介してエピ層140内にn型不純物イオンを注入し、n型コラム14aを形成する(即ち、
図7のステップS29)。n型不純物イオンを注入する条件は、予め決められた所定条件であってもよい。このように、n型コラム用遮蔽層62の開口幅62Wのパターンずれに基づいて、追加で成膜するn型コラム用追加遮蔽層66の開口幅66Wをフィードバック制御することにより、n型コラム14aのn型不純物の濃度を所望の値にすることができる。イオン注入後、n型コラム用追加遮蔽層66は除去される。追加でイオン注入が必要と判断されなかった場合、これら追加のイオン注入工程はスキップされる。
【0045】
次に、ステップS25で測定されたp型コラム用遮蔽層64の開口幅64Wに基づいて、追加のイオン注入が必要か否かが判定される(即ち、
図7のステップS30)。この判定工程では、測定されたp型コラム用遮蔽層64の開口幅64Wと1回目のイオン注入工程の所定条件から見積もられるp型コラム14bのp型不純物濃度が許容濃度以下の場合、追加でイオン注入が必要と判定される。
【0046】
図11に示すように、追加でイオン注入が必要と判断された場合、フォトリソグラフィー技術を利用してエピ層140上に追加のp型コラム用追加遮蔽層68を成膜する(即ち、
図7のステップS31)。p型コラム用追加遮蔽層68は、p型コラム14bの形成範囲の内側の一部に対応して開口するようにパターニングされる。これにより、p型コラム用追加遮蔽層68の開口の位置は、パターンずれが生じたとしても、1回目のイオン注入工程でp型不純物イオンが注入された領域に対して確実に重複することができる。ここで、p型コラム用追加遮蔽層68を露光するための複数種類のフォトマスクが用意されており、測定されたp型コラム用遮蔽層64の開口幅64W(
図8参照)に応じて、即ち、1回目のイオン注入工程で注入されたp型不純物イオンの注入量に応じて適宜選択される。例えば、測定されたp型コラム用遮蔽層64の開口幅64Wが設計値よりも幅広な場合、1回目のイオン注入工程で注入されたp型不純物イオンの注入量が設計値よりも多いことから、p型コラム用追加遮蔽層68を露光するためのフォトマスクには開口幅68Wが設計値よりも幅狭となる種類を選択する。逆に、測定されたp型コラム用遮蔽層64の開口幅64Wが設計値よりも幅狭な場合、1回目のイオン注入工程で注入されたp型不純物イオンの注入量が設計値よりも少ないことから、p型コラム用追加遮蔽層68を露光するためのフォトマスクには開口幅68Wが設計値よりも幅広となる種類を選択する。
【0047】
次に、イオン注入技術を利用して、p型コラム用追加遮蔽層68の開口を介してエピ層140内にp型不純物イオンを注入し、p型コラム14bを形成する(即ち、
図7のステップS32)。p型不純物イオンを注入する条件は、予め決められた所定条件であってもよい。このように、p型コラム用遮蔽層64の開口幅64Wのパターンずれに基づいて、追加で成膜するp型コラム用追加遮蔽層68の開口幅68Wをフィードバック制御することにより、p型コラム14bのp型不純物の濃度を所望の値にすることができる。イオン注入後、p型コラム用追加遮蔽層68は除去される。追加でイオン注入が必要と判断されなかった場合、これら追加のイオン注入工程はスキップされる。
【0048】
これらの工程を経て、半導体層10内にn型コラム14aとp型コラム14bが交互に繰り返し配置されているスーパージャンクション構造を形成することができる。上記製造方法でも、フィードバック制御によりn型コラム14aとp型コラム14bの各々の不純物濃度が所望の値に調整されており、半導体装置1は高耐圧な特性を有することができる。
【0049】
また、上記製造方法によると、ウェハ内のチップごとに対処することができる。1回目のイオン注入のための遮蔽層の開口幅をチップごとに測定し、2回目のイオン注入のための遮蔽層の開口幅をチップごとにフィードバック制御することができる。2回目のイオン注入が必要ないと判定されたチップでは、2回目のイオン注入のための遮蔽層のうち対応するチップの遮蔽層を露光しないようにすることで、2回目のイオン注入をスキップすることができる。このように、上記製造方法によると、ウェハ内のチップごとに対処することができるので、n型コラム14aとp型コラム14bの各々の不純物濃度をチップごとに最適化することができる。
【0050】
(半導体装置の第3の製造方法)
上記第1及び第2の製造方法は、イオン注入のための遮蔽層の開口幅のパターンずれに基づいて、イオン注入工程をフィードバック制御する例である。この例に代えて、イオン注入のための遮蔽層のアライメントずれに基づいて、イオン注入工程をフィードバック制御してもよい。
図12の製造フローを参照し、半導体装置1の第3の製造方法のうちのスーパージャンクション構造を形成する工程について説明する。なお、断面図については省略するが、第3の製造方法を説明するための断面図は、例えば第1の製造方法と同様である。
【0051】
まず、フォトリソグラフィー技術を利用してエピ層上にn型コラム用遮蔽層を成膜する(即ち、
図12のステップS41)。n型コラム用遮蔽層は、n型コラムの形成範囲に対応して開口するようにパターニングされる。
【0052】
次に、n型コラム用遮蔽層のアライメントずれが測定される(即ち、
図12のステップS42)。アライメントずれは、アライメントマークに対する相対的な位置関係において設計位置に対する位置ずれをいう。アライメントずれは、特に限定されるものではないが、例えばアライメントマークを基準に規定される座標系で記述されてもよい。例えば、アライメントマークを基準にXY直交座標系が規定された場合、アライメントマークずれは、X方向とY方向の2成分の位置ずれで記述される。
【0053】
次に、イオン注入技術を利用して、n型コラム用遮蔽層の開口を介してエピ層内にn型不純物イオンを注入し、n型コラムを形成する(即ち、
図12のステップS43)。n型不純物イオンを注入する条件は、予め決められた所定条件であってもよい。イオン注入後、n型コラム用遮蔽層は除去される。
【0054】
次に、フォトリソグラフィー技術を利用してエピ層上にp型コラム用遮蔽層を成膜する(即ち、
図12のステップS44)。ここで、p型コラム用遮蔽層は、測定されたn型コラム用遮蔽層のアライメントずれに基づいて、同様なアライメントずれが生じるように成膜される。
【0055】
次に、p型コラム用遮蔽層のアライメントずれが測定され、n型コラム用遮蔽層のアライメントずれと一致しているか否かが判定される(即ち、
図12のステップS45)。なお、ここでいう「一致」とは、アライメントずれが完全に一致する場合に限らず、p型コラム用遮蔽層のアライメントずれとn型コラム用遮蔽層のアライメントずれの差が許容範囲内の場合も含む。
【0056】
p型コラム用遮蔽層のアライメントずれとn型コラム用遮蔽層のアライメントずれが一致している場合、イオン注入技術を利用して、p型コラム用遮蔽層の開口を介してエピ層内にp型不純物イオンを注入し、p型コラムを形成する(即ち、
図12のステップS46)。p型不純物イオンを注入する条件は、予め決められた所定条件であってもよい。p型コラム用遮蔽層のアライメントずれとn型コラム用遮蔽層のアライメントずれが一致しているので、形成されるn型コラムとp型コラムの相対的な位置関係は、設計パターンに近いものとなる。このように、n型コラム用遮蔽層のアライメントずれに基づいてp型コラム用遮蔽層のパターンをフィードバック制御することにより、n型コラムとp型コラムの相対的な位置関係を所望のものにすることができる。n型コラム用遮蔽層のアライメントずれとn型コラム用遮蔽層のアライメントずれが一致していない場合、p型コラム用遮蔽層を除去した後に、p型コラム用遮蔽層の成膜工程を再度実施してもよい。
【0057】
なお、遮蔽層のアライメントずれをフィードバックする工程は、遮蔽層の開口幅をフィードバックする工程とともに実施されてもよい。また、p型コラム用遮蔽層を先に成膜し、p型コラム用遮蔽層のアライメントずれに基づいてn型コラム用遮蔽層のパターンをフィードバック制御してもよい。
【0058】
以下、本明細書で開示される技術の特徴を整理する。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【0059】
(特徴1)
n型コラム(14a)とp型コラム(14b)が少なくとも一方向に沿って交互に繰り返し配置されているスーパージャンクション構造を含む半導体層(10)、を備えた半導体装置(1)の製造方法であって、
前記半導体層の表面に成膜されており、前記n型コラムと前記p型コラムの少なくとも一方の形成範囲に対応して開口する遮蔽層(52,54,62,64)の設計パターンからのずれを示すパターンずれに基づいて前記スーパージャンクション構造を形成する工程、を備える、半導体装置の製造方法。
【0060】
(特徴2)
前記スーパージャンクション構造を形成する工程は、
前記n型コラムの形成範囲に対応して開口するn型コラム用遮蔽層(52,62)の前記パターンずれに基づいて前記n型コラムを形成する工程と、
前記p型コラムの形成範囲に対応して開口するp型コラム用遮蔽層(54,64)の前記パターンずれに基づいて前記p型コラムを形成する工程と、を有している、特徴1に記載の半導体装置の製造方法。
【0061】
(特徴3)
前記n型コラム用遮蔽層の前記パターンずれに基づいて前記n型コラムを形成する工程は、
前記n型コラム用遮蔽層の開口幅(52W)を測定するステップと、
前記n型コラム用遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にn型不純物イオンを注入して前記n型コラムを形成するステップであって、測定された前記開口幅に応じて前記n型不純物イオンの注入量が調整される、ステップと、を含む、特徴2に記載の半導体装置の製造方法。
【0062】
(特徴4)
前記p型コラム用遮蔽層の前記パターンずれに基づいて前記p型コラムを形成する工程は、
前記p型コラム用遮蔽層の開口幅(54W)を測定するステップと、
前記p型コラム用遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にp型不純物イオンを注入して前記p型コラムを形成するステップであって、測定された前記開口幅に応じて前記p型不純物イオンの注入量が調整される、ステップと、を含む、特徴2又は3に記載の半導体装置の製造方法。
【0063】
(特徴5)
前記n型コラム用遮蔽層の前記パターンずれに基づいて前記n型コラムを形成する工程は、
前記n型コラム用遮蔽層の開口幅(52W)を測定するステップと、
前記n型コラム用遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にn型不純物イオンを注入するステップであって、所定条件に応じて前記n型不純物イオンが注入される、ステップと、
測定された前記開口幅に応じて前記n型不純物イオンを追加で注入するか否かを判定し、追加注入が必要と判定された場合には、前記n型コラム用遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にn型不純物イオンを追加で注入して前記n型コラムを形成するステップと、を含む、特徴2に記載の半導体装置の製造方法。
【0064】
(特徴6)
前記p型コラム用遮蔽層の前記パターンずれに基づいて前記p型コラムを形成する工程は、
前記p型コラム用遮蔽層の開口幅(54W)を測定するステップと、
前記p型コラム用遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にp型不純物イオンを注入するステップであって、所定条件に応じて前記p型不純物イオンが注入される、ステップと、
測定された前記開口幅に応じて前記p型不純物イオンを追加で注入するか否かを判定し、追加注入が必要と判定された場合には、前記p型コラム用遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にp型不純物イオンを追加で注入して前記p型コラムを形成するステップと、を含む、特徴2又は6に記載の半導体装置の製造方法。
【0065】
(特徴7)
前記n型コラム用遮蔽層の前記パターンずれに基づいて前記n型コラムを形成する工程は、
前記n型コラム用遮蔽層の開口幅(62W)を測定するステップと、
前記n型コラム用遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にn型不純物イオンを注入するステップと、
前記n型コラム用遮蔽層を除去するステップと、
測定された前記開口幅に応じて前記n型不純物イオンを追加で注入するか否かを判定し、追加注入が必要と判定された場合には、前記n型コラムの形成範囲の少なくとも一部に対応して開口する追加のn型コラム用追加遮蔽層(64)を前記半導体層の表面に成膜するステップと、
前記n型コラム用追加遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にn型不純物イオンを注入して前記n型コラムを形成するステップと、を含む、特徴2に記載の半導体装置の製造方法。
【0066】
(特徴8)
前記p型コラム用遮蔽層の前記パターンずれに基づいて前記p型コラムを形成する工程は、
前記p型コラム用遮蔽層の開口幅(64W)を測定するステップと、
前記p型コラム用遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にp型不純物イオンを注入するステップと、
測定された前記開口幅に応じて前記p型不純物イオンを追加で注入するか否かを判定し、追加注入が必要と判定された場合には、前記p型コラムの形成範囲の少なくとも一部に対応して開口する追加のp型コラム用追加遮蔽層(68)を前記半導体層の表面に成膜するステップと、
前記p型コラム用追加遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にp型不純物イオンを注入して前記p型コラムを形成するステップと、を含む、特徴2又は7に記載の半導体装置の製造方法。
【0067】
(特徴9)
前記スーパージャンクション構造を形成する工程は、
前記n型コラムの形成範囲に対応して開口するn型コラム用遮蔽層を前記半導体層の表面に成膜する工程と、
前記n型コラム用遮蔽層の設計パターンからのアライメントずれを測定する工程と、
前記n型コラム用遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にn型不純物イオンを注入して前記n型コラムを形成する工程と、
測定された前記アライメントずれに基づいて前記p型コラムの形成範囲に対応して開口するp型コラム用遮蔽層を前記半導体層の前記表面に成膜する工程と、
前記p型コラム用遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にp型不純物イオンを注入して前記p型コラムを形成する工程と、を有している、特徴1~8のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【0068】
(特徴10)
前記スーパージャンクション構造を形成する工程は、
前記p型コラムの形成範囲に対応して開口するp型コラム用遮蔽層を前記半導体層の表面に成膜する工程と、
前記p型コラム用遮蔽層の設計パターンからのアライメントずれを測定する工程と、
前記p型コラム用遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にp型不純物イオンを注入して前記p型コラムを形成する工程と、
測定された前記アライメントずれに基づいて前記n型コラムの形成範囲に対応して開口するn型コラム用遮蔽層を前記半導体層の前記表面に成膜する工程と、
前記n型コラム用遮蔽層の開口を介して前記半導体層内にn型不純物イオンを注入して前記n型コラムを形成する工程と、を有している、特徴1~9のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【0069】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0070】
1:半導体装置、 10:半導体層、 12:ドレイン領域、 14:ドリフト領域、 14a:n型コラム、 14b:p型コラム、 16:ボディ領域、 18:ソース領域、 19:ボディコンタクト領域、 22:ドレイン電極、 24:ソース電極、 30:トレンチゲート、 52:n型コラム用遮蔽層、 54:p型コラム用遮蔽層、 62:n型コラム用遮蔽層、 64:p型コラム用遮蔽層、 66:n型コラム用追加遮蔽層、 68:p型コラム用追加遮蔽層、