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特開2024-82016作業機械及び作業機械のラダーの格納方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082016
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】作業機械及び作業機械のラダーの格納方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/08 20060101AFI20240612BHJP
   E02F 9/16 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
E02F9/08 Z
E02F9/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195692
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】503032946
【氏名又は名称】住友重機械建機クレーン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】山本 一徳
(57)【要約】
【課題】ラダーを容易に運搬できる作業機械及びラダーの格納方法を提供する。
【解決手段】作業機械100は、ハウス105と、ハウス105の上面に設けられた上段足場107と、前記上段足場107の上に立てた状態に設けられ昇降用手摺11cと、前記上段足場107から掛け下ろされ、前記上段足場107に対して着脱可能であり、前記昇降用手摺11cとは別体のラダー50と、を備える。昇降用手摺11cは、ロア柵11のポールを兼ねている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足場と、
前記足場の上に立てた状態に設けられた昇降用手摺と、
前記足場から掛け下ろされ、前記足場に対して着脱可能であり、前記昇降用手摺とは別体のラダーと、
を備える作業機械。
【請求項2】
前記ラダーの上から前記足場の縁に沿って離れた位置において、前記足場の縁に沿って前記足場の上に設置された柵を更に備え、
前記柵の支柱が前記昇降用手摺を兼ねている
請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記ラダーは、前記足場よりも上に突出していないか、または、前記足場よりも上に突き出ており、前記足場から前記ラダーの上端までの高さは、前記ラダーが前記足場よりも上に突き出た部分が所定基準値以上であればその部分を手摺として認める前記所定基準値未満である
請求項1又は2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記足場が上面に設けられたハウスを更に備え、
前記ラダーが使用時に前記ハウスから幅方向外方に張り出すよう前記ハウスに着脱可能に設けられ、
前記ラダーが格納時に前記ハウスの上において前記足場の縁よりも幅方向内方に配置される
請求項1に記載の作業機械。
【請求項5】
足場と、
前記足場の縁に沿って前記足場の上に立てられた柵と、
前記足場から掛け下ろされ、前記足場に対して着脱可能なラダーと、を備え、
前記ラダーが、前記足場から前記柵に付け替えられる
作業機械。
【請求項6】
前記柵は、前記ラダーを引っかけて垂下した状態で保持可能な保持部と、
前記保持部によって保持された前記ラダーを前記柵に対して固定する固定部と、を有する
請求項2または5に記載の作業機械。
【請求項7】
請求項5に記載の作業機械のラダーの格納方法であって、
前記ラダーを前記足場から取り外すラダー取り外し工程と、
、前記ラダーを前記柵に設置するラダー格納工程とを有する作業機械のラダーの格納方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業機械及び作業機械のラダーの格納方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ガード部材と、ガード部材の上からガード部材の脇に掛け下ろされているとともにガード部材に固定されたラダーと、を備える作業機械を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-76222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業機械が大型になるほど、特許文献1に記載のラダー自体も大きく重くなるため、ラダーを着脱して運搬することを考えた場合作業が大変である。
【0005】
本発明は、ラダーをより容易に運搬できる作業機械及び作業機械のラダーの格納方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
足場と、
前記足場の上に立てた状態に設けられた昇降用手摺と、
前記足場から掛け下ろされ、前記足場に対して着脱可能であり、前記昇降用手摺とは別体のラダーと、
を備える作業機械
である。
【0007】
本発明の一態様は、
足場と、
前記足場の縁に沿って前記足場の上に立てられた柵と、
前記足場から掛け下ろされ、前記足場に対して着脱可能なラダーと、を備え、
前記ラダーが、前記足場から前記柵に付け替えられる
作業機械
である。
【0008】
本発明の一態様は、
前記作業機械のラダーの格納方法であって、
前記ラダーを前記足場から取り外すラダー取り外し工程と、
、前記ラダーを前記柵に設置するラダー格納工程とを有する作業機械のラダーの格納方法
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ラダーを容易に運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】クレーンの右側面図である。
図2】梯子・手摺装置及びハウスの斜視図である。
図3】梯子・手摺装置及びハウスの斜視図である。
図4】梯子・手摺装置のラダーを前から見た図面である。
図5】ラッチによって上段足場に留められたラダーの上部の斜視図である。
図6】ラッチから解放されたラダーの上部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、1つ以上の実施形態について説明し、実施形態の特徴および技術的な効果が以下の詳細な説明および図面から理解される。ただし、本発明の範囲は、以下に開示された実施形態に限定されない。図面は例示のみのために提供されるため、本発明の範囲は図面の例示に限定されない。
【0012】
<1. 作業機械の概要>
図1は、作業機械100の右側面図である。
作業機械100は、自走式のクレーンであり、より具体的にはクローラクレーンである。
作業機械100は、下部走行体101、上部旋回体102、キャブ103、ブーム104、対のハウス105、対の下段足場106、対の上段足場107、カウンタウエイト108及び対の梯子・手摺装置10を備える。なお、片方のハウス105が図1に図示され、このハウス105の裏側にもう片方のハウス105が隠れているため、図1ではもう片方のハウス105の図示が省略される。下段足場106、上段足場107及び梯子・手摺装置10についても同様である。
【0013】
下部走行体101は、自走可能なクローラである。
上部旋回体102は、下部走行体101の上に搭載されているとともに、下部走行体101に対して旋回する。上部旋回体102の旋回軸は上下方向を定義し、その旋回軸に沿った軸方向が上下方向に対して平行である。
【0014】
キャブ103は、上部旋回体102の前部に搭載されている。
ブーム104の下端がキャブ103の左側方において上部旋回体102の前部に連結されており、ブーム104がその下端の起伏軸の回りに起伏する。ブーム104の起伏軸は左右方向を定義し、その起伏軸に沿った軸方向が左右方向に対して平行である。左右方向を幅方向ということもある。また、上部旋回体102における前後方向とは、下部走行体101の前進方向及び後進方向によって定義されるものではなく、上部旋回体102の旋回軸及びブームの起伏軸に対して直交する方向をいう。図1の側面図では、上部旋回体102を横から見て、キャブ103からハウス105への向きが後ろ方向であり、ハウス105からキャブ103への方向が前方向である。また、ブーム104が倒れた状態において、上部旋回体102の旋回体からブームの先端への向きが前方向である。
カウンタウエイト18が上部旋回体102の後部に搭載されている。旋回軸からカウンタウエイト108への向きが後ろ方向である。
【0015】
対のハウス105は、キャブ103の後方において、左右方向に互いに間隔を置いて上部旋回体102に搭載されている。ハウス105には、原動機、油圧機器及び電装品等が収容されている。
【0016】
対の下段足場106は、対のハウス105の幅方向における脇にそれぞれ配置されているとともに、前後方向に延びている。右のハウス105の幅方向における脇とはそのハウス105の右脇をいい、左のハウス105の幅方向における脇とはそのハウス105の左脇をいう。
【0017】
左の下段足場106は、左のハウス105の左側面の下端から幅方向外方に張り出すように上部旋回体102に取り付けられ、右の下段足場106は、右のハウス105の右側面の下端から幅方向外方に張り出すように上部旋回体102に取り付けられている。幅方向外方とは、左右のハウス105の間の中間面(この中間面は、起伏軸に対して垂直であるとともに、旋回軸に対して平行である。)から幅方向に沿って離れる方向をいい、中間面の右方の領域では、右方向が幅方向外方であり、中間面の左方の領域では、左方向が幅方向外方である。幅方向内方とは、幅方向に沿って中間面へ近づく方向をいう。
【0018】
対の上段足場107は、作業員が乗れる箇所である。対の上段足場107は、対のハウス105の上面にそれぞれ設けられている。上段足場107は、ハウス105の屋根又はそれに敷設された床板である。
【0019】
<2. 梯子・手摺装置>
図3は、右のハウス105に設置される右の梯子・手摺装置10の斜視図である。図4は、右の梯子・手摺装置10のラダー50を前から見た図面である。図5及び図6は、ラダー50の上部の斜視図である。以下、右の梯子・手摺装置10について詳細に説明する。左の梯子・手摺装置10は、左右のハウス105の間の中間面に関して、右の梯子・手摺装置10に対して左右対称に設けられているため、右の梯子・手摺装置10について主に説明する。
【0020】
梯子・手摺装置10は、ロア柵11,12、アッパー柵13,14、保持部21,26、固定部22,27、ラッチ31,36及びラダー50を有する。
【0021】
<2-1. 柵>
ロア柵11,12は、右の上段足場107の幅方向における外側の縁、つまりその上段足場107の右縁に沿って、その上段足場107上に取り付けられている。ロア柵11はロア柵12の前端から前へ離間して配置されている。ロア柵11は、後述のラダー50の上から上段足場107の右縁に沿って前に僅かに離れた位置において、上段足場107の右縁に沿って上段足場107上に設置されている。ロア柵12は、ラダー50の上から上段足場107の右縁に沿って後ろに僅かに離れた位置において、上段足場107の右縁に沿って上段足場107上に設置されている。
【0022】
アッパー柵13は、起伏可能にロア柵11の上に連結されている。アッパー柵13は、幅方向内方、つまり左へ倒れ込むよう倒伏可能である。倒伏状態のアッパー柵13は、上段足場107の上に横たわっている。アッパー柵13は、幅方向外方、つまり右へ立つよう起立可能である。起立状態のアッパー柵13は、上段足場107の右縁に沿って、上段足場107の上に起立している。アッパー柵13がロア柵11に連結されたものは、安全柵且つ足場用手摺である。
アッパー柵13がロア柵11に連結されるのと同様にして、アッパー柵14がロア柵12に連結されている。
【0023】
以下に、これら柵11~14について詳細に説明する。
【0024】
ロア柵11は、ベース11a、ポール11b、昇降用手摺11c及びバー11d,11eを有する。
ベース11aは、上段足場107の右縁に沿って、その上段足場107上に取り付けられている。
ポール11bの下端がベース11aの前端に固定され、ポール11bがベース11aの前端に立てた状態に設けられている。
昇降用手摺11cの下端がベース11aの後端に固定され、昇降用手摺11cがベース11aの後端に立てた状態に設けられている。昇降用手摺11cは、ロア柵11の支柱である上、作業員がラダー50の昇降の際に掴む手摺を兼ねている。昇降用手摺11c及びポール11bの高さは、後述のラダー50の幅に等しい。なお、本明細書において、「等しい」とは、完全に等しいことのみならず、近似することも意味する。
バー11d,11eは、ポール11bと昇降用手摺11cの間に架設されて、前後方向に延びている。バー11dはバー11eから上に離れて配置されている。
【0025】
ロア柵12は、ベース12a、昇降用手摺12b、ポール12c及びバー12d,12eを有する。
ベース12aは、上段足場107の右縁に沿って、その上段足場107上に取り付けられている。ベース12aは、ロア柵11のベース11aから後方に離れて配置されている。
昇降用手摺12bは、棒状に設けられている。昇降用手摺12bの下端がベース12aの前端に固定され、昇降用手摺12bがベース12aの前端に立てた状態に設けられている。昇降用手摺12bは、ロア柵12の支柱である上、作業員がラダー50の昇降の際に掴む手摺を兼ねている。昇降用手摺12bから昇降用手摺11cまでの間隔は、人が通れる程度である。
ポール12cの下端がベース12aの後端に固定され、ポール12cがベース11aの後端に立てた状態に設けられている。ポール12cは、ロア柵11の昇降用手摺12bから後ろに離れて配置されている。ポール12c及び昇降用手摺12bの高さは、後述のラダー50の幅に等しい。
バー12d,12eは、昇降用手摺12bとポール12cの間に架設されて、前後方向に延びている。バー12dはバー12eから上に離れて配置されている。
【0026】
下段足場106から昇降用手摺11c,12bの下端までの高さは所定の規格における所定基準値以上である。ここでの所定基準値とは、下段足場106から昇降用手摺11c,12bの下端までの高さがその所定基準値以下であれば、昇降用手摺11c,12bがラダー50用の手摺として認められる基準値である。この基準値は作業機械100が使用される場所で認められる基準値であればよい。JIS B8826-2:2005の場合、所定基準値が1600 mmであり、ISO 11660-2:2015(E)の場合、所定基準値が1600 mmであり、SAE J2703 OCT2008の場合、所定基準値が1600 mmであり、ISO 2867:2011(E)の場合、所定基準値が1700 mmである。従って、ラダー50のうち上段足場107よりも上の部分及びは、JIS B8826-2:2005、ISO 11660-2:2015(E)、SAE J2703 OCT2008又はISO 2867:2011(E)の規格上、昇降用手摺11c,12bがラダー50用の手摺として認められる。
【0027】
アッパー柵13は、ポール13b,昇降用手摺り13c及びハンドレール13d,13eを有する。
ポール13bの下端がヒンジ部11fによって前後方向の軸の回りに回転可能にロア柵11のポール11bの上端に連結されており、ポール13bがその軸を支点にして起伏可能である。
昇降用手摺13cは棒状に設けられている。昇降用手摺13cの下端がヒンジ部11gによって前後方向の軸の回りに回転可能にロア柵11の昇降用手摺11cの上端に連結されており、昇降用手摺13cがその軸を支点にして起伏可能である。昇降用手摺13cが起立した状態では、昇降用手摺13cがロア柵11の昇降用手摺11cと同軸となり、昇降用手摺13c及び昇降用手摺11cが一続きに上下方向に延びている。昇降用手摺13cは、アッパー柵13の支柱である上、作業員がラダー50の昇降の際に掴む手摺を兼ねている。
ハンドレール13d,13eは、ポール13bと昇降用手摺13cの間に架設されて、前後方向に延びている。ハンドレール13dはハンドレール13eから上に離れて配置されている。
【0028】
アッパー柵14は、昇降用手摺14b,ポール14c及びハンドレール14d,14eを有する。
昇降用手摺14bは棒状に設けられている。昇降用手摺14bの下端がヒンジ部12fによって前後方向の軸の回りに回転可能にロア柵12の昇降用手摺12bの上端に連結されており、昇降用手摺14bがその軸を支点にして起伏可能である。昇降用手摺14bが起立した状態では、昇降用手摺14bがロア柵12の昇降用手摺12bと同軸となり、昇降用手摺14b及び昇降用手摺12bが一続きに上下方向に延びている。昇降用手摺14bは、アッパー柵13の昇降用手摺13cから後ろに離間している。昇降用手摺14bは、アッパー柵14の支柱である上、作業員がラダー50の昇降の際に掴む手摺を兼ねている。
ポール14cは棒状に設けられている。ポール14cの下端がヒンジ部12gによって前後方向の軸の回りに回転可能にロア柵12のポール12cの上端に連結されており、ポール14cがその軸を支点にして起伏可能である。
ハンドレール14d,14eは、昇降用手摺14bとポール14cの間に架設されて、前後方向に延びている。ハンドレール14dはハンドレール14eから上に離れて配置されている。
【0029】
アッパー柵13が起立した状態では、作業者が上段足場107上で作業を行う際に、作業者の転落がアッパー柵13及びロア柵11によって防止される。また、作業者は、身体に綱を固定し、その綱をフック等によりハンドレール13d又は13eに摺動可能に繋げると、上段足場107上で安全に作業を行える。アッパー柵14についても同様である。尚、この綱は、クレーンの所定の位置に設けられた専用の穴に括り付けてもよい。
【0030】
ロア柵11,12及びアッパー柵13,14は、ハウス105の右側面よりも幅方向内方、つまり左に配置されている。つまり、ロア柵11,12及びアッパー柵13,14は、ハウス105の右側面よりも幅方向外方にはみ出ていない。
【0031】
なお、必要に応じて、チェーン又はバーが昇降用手摺11c,13cと昇降用手摺12b,14bとの間に架け渡されていてもよい。そのチェーン又はバーは、昇降用手摺11c,13c及び昇降用手摺12b,14bから取り外し可能である。
【0032】
<2-2. 保持部>
保持部21,26は、これらの間に間隔を置いて前後に配置されて、ロア柵11に取り付けられている。具体的には、保持部21がロア柵11のポール11bの上端、特にヒンジ部11fに取り付けられ、保持部26が昇降用手摺11cの上端、特にヒンジ部11gに取り付けられている。保持部21,26は、フックにより構成される。保持部21,26は、ロア柵11から幅方向外方、つまり右に向けて設けられて、上方へ屈曲するよう鈎状に設けられている。保持部21,26は、ハウス105の右側面よりも幅方向内方、つまり左に配置されている。つまり、保持部21,26は、ハウス105の右側面よりも幅方向外方にはみ出ていない。
【0033】
ラダー50の格納時、例えばハウス105の輸送時等には、ラダー50が横にされた状態で保持部21,26に掛けられる。
保持部21,26は、その内側の面にクッションを有してもよい。ラダー50が保持部21,26に掛けられる際に、ラダー50がクッションに当たるため、ラダー50及び保持部21,26の塗装の剥離が防止される。
【0034】
<2-3. 固定部>
固定部22,27は、これらの間に間隔を置いて前後に配置されて、ロア柵11に取り付けられている。具体的には、固定部22がロア柵11のポール11bの下端に取り付けられ、保持部26が昇降用手摺11cの上端に取り付けられている。固定部22,27は、ロア柵11から幅方向外方、つまり右に向けて設けられている。固定部22,27は、その上端に窪みを有した台座により構成されている。
【0035】
<2-4. ラッチ>
ラッチ31,36は、これらの間に間隔を置いて前後に配置されて、ロア柵11,12の間において上段足場107上に取り付けられている。具体的には、ラッチ31,36が昇降用手摺11cと昇降用手摺12bの間において上段足場107上に取り付けられ、ラッチ31が昇降用手摺11cの近位且つ昇降用手摺12bの遠位に配置され、ラッチ36が昇降用手摺12bの近位且つ昇降用手摺12cの遠位に配置されている。ラッチ31が昇降用手摺11cの後方において昇降用手摺11cに寄って配置され、ラッチ36が昇降用手摺12bの前方において昇降用手摺12bに寄って配置されている。ラッチ31,36は、ハウス105の右側面よりも幅方向内方、つまり左に配置されている。ラッチ31,36は、ラダー50の上部を上段足場107に留めるとともにラダー50の上部を解放可能な留め具である。ラダー50の上部は、ラッチ31,36に対して着脱可能である。
【0036】
ラッチ31は、ベース31a、一対のブラケット31b、キャッチピン31d及び留めピン31eを有する。
【0037】
ベース31aは板状に設けられている。ベース31aは、昇降用手摺11cと昇降用手摺り12bの間における昇降用手摺11cの近位において、上段足場107上に固定されている。
一対のブラケット31bは、これらの間に間隔を置いて前後に配置されて、ベース31a上に立てた状態に設けられている。これらブラケット31bは、ベース31aに一体形成されている。ブラケット31bは、留めピン31eを通すための通し孔31cを有する。通し孔31cは、ブラケット31bを前後に貫通している。
キャッチピン31dは、ブラケット31bの間に架設されている。キャッチピン31dは、通し孔31cよりも幅方向外方、つまり左に配置されている。キャッチピン31dはメッキ等の塗装が施されていてもよい。キャッチピン31dのみならず、ベース31a、ブラケット31b、キャッチピン31d及び留めピン31eにも塗装が施されてもよい。
【0038】
ラッチ36は、ラッチ31と同様に設けられている。ラッチ36は、ラッチ31と同様に、ベース36a、一対のブラケット36b、キャッチピン36d及び留めピン36eを有する。
【0039】
<2-5. ラダー>
図2に示すように、ラダー50の使用時には、ラダー50の上部が柵11~14の近くにおいて、より具体的には、柵11,13と柵12,14との間において上段足場107に掛けられており、ラダー50が上段足場107からハウス105の脇に掛け下ろされている。図3に示すように、ラダー50の格納時には、ラダー50は、上段足場107からロア柵11に付け替えられる。具体的には、ラダー50は、上段足場107上において横になって保持部21,26に掛けられて、保持部21,26から垂下して、固定部22,27によって下から支持されている。
【0040】
ラダー50は、一対の支柱51,52、複数の踏み桟57、一対のストライカー53,54及び一対の緩衝材55,56を有する。
【0041】
棒状の支柱51,52は、一端部に棒状の掛け部51a,52aを有するとともに、他端部に掛け部51a,52aよりも短い棒状の当て部51b,52bを有する。掛け部51a,52aが支柱51,52に対してほぼ直角に曲げられており、当て部51b,52bが掛け部51a,52aの曲げ方向と同一方向に支柱51,52に対してほぼ直角に曲げられている。つまり、ラダー50の使用時には、支柱51及び支柱52に対して、当て部51b,52bは、その底部にある緩衝材55、56がハウス側面に当接するようにハウス105の側面に向かって曲げられている。
【0042】
支柱51,52は互いに平行に配置されている。踏み桟57は、支柱51,52の間に架設されているとともに、一定間隔で支柱51,52の長手方向に配列されている。踏み桟57はステップともいう。
【0043】
緩衝材55,56は、当て部51b,52bの端にそれぞれ被さって、当て部51b,52bの端にそれぞれ装着されている。緩衝材55,56は、ゴム弾性材からなる。緩衝材55,56はエンドキャップともいう。
【0044】
ストライカー53,54は掛け部51a,52aにそれぞれ溶接されている。ストライカー53,54は、それぞれ掛け部51a,52aからそれぞれ当て部51b,52bの方へ突出している。ストライカー53は、それに形成されたノッチ53a及び通し孔53bを有する。ノッチ53aは、ストライカー53のエッジから切りか欠かれている。支柱51が立って上下に延びた状態では、ストライカー53のエッジにおけるノッチ53aの開口からノッチ53aの底(ノッチ53aの底のことを突き当たりともいう。)への方向は、上に向けて支柱51から離れる向きに斜めである。通し孔53bは、ストライカー53を貫通する。ストライカー53と同様に、ストライカー54もノッチ53a及び通し孔53bを有する。
ストライカー53,54はメッキ等の塗装が施されていてもよい。
【0045】
ラダー50はハウス105に対して着脱可能である。使用時には、ラダー50がハウス105の側面に設置される。格納時には、ラダー50はハウス105から取り外されて、ロア柵11に支持される。
【0046】
<2-5-1. 使用時のラダーの取り付け>
図2図4及び図5に示すように、掛け部51a,52aがハウス105の上の上段足場107に乗り上げており、ストライカー53,54がそれぞれラッチ31,36によって上段足場107に留められ、ラダー50が上段足場107からハウス105の脇に掛け下ろされている。支柱51,52がハウス105の側面から離れてその側面に沿って上下に延びている。当て部51b,52bが支柱51,52の下端からハウス105の側面の方へ突出し、当て部51b,52bの端がそれぞれ緩衝材55,56を介してハウス105の側面の下部に当てられている。緩衝材55,56は、ハウス105の側面の損傷及び塗装の剥離等を抑える。
【0047】
ストライカー53がキャッチピン31dの上から一対のブラケット31bの間に差し込まれている。キャッチピン31dがストライカー53のノッチ53aに差し込まれることによって、ストライカー53がキャッチピン31dに引っ掛かっている。留めピン31eがブラケット31bの通し孔31c及びストライカー53の通し孔53bに挿入され、これにより、キャッチピン31dからストライカー53の脱落が抑えられる。ノッチ53aがその開口からその底に向かって支柱51に対して斜めに切り欠かれているため、作業員が踏み桟57に足を載せて踏み桟57に体重を掛けると、ストライカー57がキャッチピン31dから外れる方向とは反対方向の荷重がストライカー57からキャッチピン31dに与えられるため、ストライカー57がキャッチピン31dから外れにくい。
【0048】
ストライカー53がラッチ31に留められるのと同様にして、ストライカー54がラッチ36に留められている。
【0049】
ラダー50が以上のように上段足場107からハウス105の脇に掛け下ろされた状態では、ラダー50がハウス105の側面から幅方向外方に張り出すようハウス105に対して着脱可能となっている。
【0050】
ラダー50が以上のように上段足場107からハウス105の脇に掛け下ろされた状態では、支柱51,52の上端及び掛け部51a,52aの上端がラダー50の上端となる。ラダー50、特に支柱51,52は上段足場107よりも上に突き出ているが、上段足場107からラダー50の上端までの高さは所定の規格における所定基準値未満である。ここでの所定基準値とは、上段足場107からラダー50の上端までの高さがその所定基準値以上であれば、ラダー50のうち上段足場107よりも上の部分が手摺として認められる基準値である。JIS B8826-2:2005の場合、所定基準値が750 mmであり、ISO 11660-2:2015(E)の場合、所定基準値が900 mmであり、SAE J2703 OCT2008の場合、所定基準値が850 mmであり、EN 13586:2020(E)の場合、所定基準値が1100 mmであり、ISO 2867:2011(E)の場合、所定基準値が850 mmである。従って、ラダー50のうち上段足場107よりも上の部分は、JIS B8826-2:2005、ISO 11660-2:2015(E)、SAE J2703 OCT2008、EN 13586:2020(E)又はISO 2867:2011(E)の規格上、手摺として認められない。つまり、ラダー50は、手摺の無い梯子である。
このようにラダー50自体には、上段足場107からラダー50の上端までの高さまでの高さに手摺として認められる部材が設けられていない。このため、ラダー50単体の大きさを小さくすることができ、運搬が容易になる。一方で、ラダー50単体では、規定の上で上段足場107の位置まで登ることが認められない。しかし、ラダー50の使用時には、昇降用手摺11c、12b、13c、14bが、ラダー50の上方側を登る際の手擦として機能するように設置しているため、ラダー50が昇降用の足踏みとしての機能を保ちつつ軽量化され、ラダー50の運搬が容易になっている。
【0051】
作業員がラダー50を昇り降りする際には、その作業員が左右の手で昇降用手摺12b又は14bと昇降用手摺11c又は13cをそれぞれ掴んで、足を踏み桟57に掛けて踏み桟57を踏む。
【0052】
<2-5-2. 格納時のラダーの付け替え>
図6に示すように、作業員がストライカー53をラッチ31から、ストライカー54をラッチ36から外す。具体的には、まず、作業員が留めピン31eをブラケット31b及びストライカー53から、留めピン36eをブラケット36b及びストライカー54から引き抜く。次に、作業員がラダー50を少し持ち上げることによって、ストライカー53をキャッチピン31dから、ストライカー54をキャッチピン36dから外す。その後、作業員が留めピン31eをブラケット31bの通し孔31cに、留めピン36eをブラケット36bの通し孔36cに挿入する。
【0053】
次に、図3に示すように、作業員がラダー50を横にするとともに、ラダー50の支柱51を保持部21,26に引っ掛けて、ラダー50を保持部21,26から垂下させ、ラダー50の支柱52を固定部22,27の上に載せ置いて、支柱52を固定部22,27の窪みに嵌める。この際、ラダー50の向きについては、掛け部51a,52a及びの当て部51b,52bの端を幅方向内方、つまり左へ向ける。それゆえ、ラダー50の掛け部51a,52a及びの当て部51b,52bがハウス105の右側面よりも幅方向内方、つまり左に配置される。このため、ラダー50をハウス105に設置しても車幅を小さく収められる。さらに、本実施形態では、ラダー50の全体がハウス105の右側面よりも幅方向内方、つまり左に配置され、ラダー50がハウス105の右側面から右へ張り出していない。そのため、作業機械100から取り外されたハウス105を柵11,12,13,14及びラダー50と一緒に貨物自動車で輸送する際に、ラダー50が法定上の車幅制限に影響しない。
【0054】
<3. 有利な効果>
以上に説明したように、ラダー50が昇降用手摺11c,13c,12b,14bと別体であるため、ラダー50自体の上下長が短くなる。ラダー50は上段足場107から大きく上に突出していないため、ラダー50自体の上下長が短くでき、結果的に小型なラダー50であるためラダー50の運搬は容易である。
【0055】
昇降用手摺11c,13c,12b,14bは、柵11,12,13,14の支柱である上、作業員がラダー50の昇降の際に掴む手摺にも用いられる。それゆえ、別途手摺をラダー50に設置する必要がなく、小型なラダー50が提供される。よって、ラダーの運搬が容易である。また、上段足場107上に別途手摺を設置する必要がなく、上段足場107の上のスペースを大きくとることができ、作業員にとって作業がしやすい。
【0056】
ラダー50が上段足場107及びハウス105に対して着脱可能であるため、ハウス105に対するラダー50の相対的な位置及び向きを気にせずに、ラダー50を運搬することができる。よって、ラダー50の運搬が容易である。強いては、ラダー50をハウス105とは別送することができ、ラダー50を容易に運搬することができる。
【0057】
保持部21,26及び固定部22,27がロア柵11に設けられているため、ラダー50をハウス105の脇からロア柵11に付け替えて、ラダー50をハウス105と一緒に運搬することもできる。
【0058】
ラダー50が保持部21,26に引っ掛けられて固定部22,27に支持された場合、ラダー50がハウス105の右側面から右へ張り出していない。そのため、作業機械100から取り外されたハウス105を柵11,12,13,14及びラダー50と一緒に貨物自動車で輸送する際に、ラダー50が法定上の車幅制限に影響しない。
【0059】
ラダー50が上段足場107からハウス105の脇に掛け降ろされていて、ラダー50がハウス105の側面から幅方向外方に張り出している。そのため、階段と比較しても、ラダー50はハウス105の体積の小型化の要因とならない。なお、仮にラダー50に代えて階段が採用されたら、その階段はそれ全体を下段足場106上に配置することができないため、ハウス105の側面よりも幅方向内方に階段の設置スペースを確保しなければならず、ハウス105の体積が小さくなってしまい、その分の体積が別で用意されなければならず、階段は結果的にクレーン全体が大型化してしまう要因となってしまう。
【0060】
保持部21,26が設けられたロア柵11がラダー50の使用時の設置箇所のすぐ近くにあるため、手間無くラダー50を上段足場107及びハウス105からロア柵11に付け替えることができる。ラダー50の格納に際して、ハウス105の側面から取り外したラダー50を下段足場106から降りて運ばずに済む。つまり、ラダー50を格納する作業が容易である。さらに、ラダー50を柵11に格納しているため、ラダー50をハウス105及び柵11,12,13,14と一緒に輸送するための準備が容易である。
【0061】
キャッチピン31d,36d及びストライカー53,54が塗装されているため、ストライカー53,54の着脱の際にキャッチピン31d,36d及びストライカー53,54が傷つきにくい。錆の発生も抑えられる。
【0062】
<4. 作業機械の変形例>
上記実施形態では、梯子・手摺装置10が設けられる作業機械100がクローラクレーンであるが、梯子・手摺装置10が設けられる作業機械は、クローラクレーン以外の作業機械であってもよい。例えば、作業機械は、ホイールクレーン、トラッククレーン、港湾クレーン、天井クレーン、門型クレーン、アンローダ、固定式クレーン、ショベル、ブルドーザ、ホイールローダ、ダンプトラック、モーターグレーダ、フォークリフト、ドリルジャンボ、自走式破砕機又は自走式土質改良機であってもよい。
【0063】
保持部21,26と同様に、固定部22,27がフックから構成されてもよい。この場合、ラダー50の格納の際には、支柱52が固定部22,27に引っ掛けられて、ラダー50が保持部21,26及び固定部22,27によってロア柵11に留められる。
【0064】
左のハウス105の側面にラダー50が設けられなくてもよい。この場合、左の柵11,12,13,14の前後長が右の柵11,12,13,14の前後長よりも長く、左のロア柵11,12が互いに近接し、左のアッパー柵13,14が互いに近接している。
【符号の説明】
【0065】
10 梯子・手摺装置
11,12 ロア柵
13,14 アッパー柵
11c,13c,12b,14b 昇降用手摺
21,26 保持部
22,27 固定部
31,36 ラッチ(留め具)
50 ラダー
53,54 ストライカー
100 作業機械
105 ハウス
107 上段足場
図1
図2
図3
図4
図5
図6