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特開2024-82023補正値の決定方法、プログラム、及び画像投射システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082023
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】補正値の決定方法、プログラム、及び画像投射システム
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20240612BHJP
   G09G 5/10 20060101ALI20240612BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20240612BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240612BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
G09G5/00 510V
G09G5/00 510B
G09G5/00 550C
G09G5/10 B
G09G5/00 X
G03B21/14 E
G03B21/00 D
H04N5/74 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195704
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村澤 友造
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
5C182
【Fターム(参考)】
2K203FA03
2K203FA23
2K203FA34
2K203FA63
2K203FA82
2K203FA94
2K203FB03
2K203GA44
2K203GA52
2K203GA59
2K203GC12
2K203KA56
2K203MA05
5C058AA18
5C058BA23
5C058BA35
5C058EA03
5C058EA33
5C182AA03
5C182AA04
5C182AA12
5C182BA03
5C182BA14
5C182BB04
5C182BB05
5C182BB11
5C182BB22
5C182BB26
5C182BC03
5C182BC22
5C182BC25
5C182BC41
5C182CA01
5C182CA21
5C182CB11
5C182CC25
5C182CC26
5C182DA14
5C182DA22
5C182DA70
(57)【要約】
【課題】投射面が曲面である場合に、輝度を適正に調整する。
【解決手段】補正値の決定方法は、第1プロジェクター100Aが、曲率半径CRの絶対値が第1閾値TH1以下であるスクリーンSCの、重畳領域AR3を含む第1領域AR1に第1画像PM1を投射することと、第1カメラ160Aが第1領域AR1のうちの重畳領域AR3を撮像した第1撮像画像PC1を取得することと、第2プロジェクター100BがスクリーンSCの重畳領域AR3を含む第2領域AR2に第2画像PM2を投射することと、第2カメラ160Bが第2領域AR2のうちの重畳領域AR3を撮像した第2撮像画像PC2を取得することと、第1撮像画像PC1、及び第2撮像画像PC2に基づいて、第1プロジェクター100Aが有する光源111Aの出力の補正に用いる補正値ADを決定することと、を含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1プロジェクターが、曲率半径の絶対値が第1閾値以下である投射面の、重畳領域を含む第1領域に少なくとも1つの第1画像を投射することと、
第1カメラが前記第1領域のうちの前記重畳領域を撮像した少なくとも1つの第1撮像画像を取得することと、
第2プロジェクターが、前記投射面の前記重畳領域を含む第2領域に少なくとも1つの第2画像を投射することと、
第2カメラが前記第2領域のうちの前記重畳領域を撮像した少なくとも1つの第2撮像画像を取得することと、
前記少なくとも1つの第1撮像画像、及び前記少なくとも1つの第2撮像画像に基づいて、前記第1プロジェクターが有する光源の出力の補正に用いる補正値を決定することと、
を含む、補正値の決定方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1撮像画像の前記重畳領域における平均輝度である第1平均輝度は、前記少なくとも1つの第2撮像画像の前記重畳領域における平均輝度である第2平均輝度よりも高く、
前記補正値を決定することは、前記第1平均輝度と前記第2平均輝度との差分を、前記補正値として決定することを含み、
前記補正値を用いて前記第1プロジェクターの光源の出力を減少させる補正をすること、
を更に含む、請求項1に記載の補正値の決定方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1画像は、複数の色と、複数の階調との組み合わせである複数の画像を含み、
前記少なくとも1つの第2画像は、複数の色と複数の階調との組み合わせである複数の画像を含む、
請求項1又は請求項2に記載の補正値の決定方法。
【請求項4】
前記第1プロジェクター及び前記第2プロジェクターの一方が、前記第1撮像画像、及び前記第2撮像画像に基づいて、前記補正値を決定することと、
前記第1プロジェクター及び前記第2プロジェクターの一方から、前記第1プロジェクター及び前記第2プロジェクターの他方へ、前記補正値を送信することと、
を含む、請求項1又は請求項2に記載の補正値の決定方法。
【請求項5】
前記曲率半径の絶対値は、前記第1閾値よりも小さい第2閾値以上である、請求項1又は請求項2に記載の補正値の決定方法。
【請求項6】
前記第1プロジェクターの投射レンズは、前記第1領域の中心における前記投射面の法線上に位置し、
前記第2プロジェクターの投射レンズは、前記第2領域の中心における前記投射面の法線上に位置する、
請求項1又は請求項2に記載の補正値の決定方法。
【請求項7】
前記第1カメラは、前記第1プロジェクターの投射レンズの近傍に配置され、
前記第2カメラは、前記第2プロジェクターの投射レンズの近傍に配置される、
請求項1又は請求項2に記載の補正値の決定方法。
【請求項8】
第1プロジェクターが、曲率半径の絶対値が第1閾値以下である投射面の、重畳領域を含む第1領域に少なくとも1つの第1画像を投射することと、
第1カメラが前記第1領域のうちの前記重畳領域を撮像した少なくとも1つの第1撮像画像を取得することと、
第2プロジェクターが、前記投射面の前記重畳領域を含む第2領域に少なくとも1つの第2画像を投射することと、
第2カメラが前記第2領域のうちの前記重畳領域を撮像した少なくとも1つの第2撮像画像を取得することと、
前記第1撮像画像、及び前記第2撮像画像に基づいて、前記第1プロジェクターが有する光源の出力の補正に用いる補正値を決定することと、
をプロセッサーに実行させる、プログラム。
【請求項9】
第1プロジェクターと、
第2プロジェクターと、
第1カメラと、
第2カメラと、
を備え、
前記第1プロジェクターが、曲率半径の絶対値が第1閾値以下である投射面の、重畳領域を含む第1領域に第1画像を投射することと、
前記第1カメラが前記第1領域のうちの前記重畳領域を撮像した少なくとも1つの第1撮像画像を取得することと、
前記第2プロジェクターが、前記投射面の前記重畳領域を含む第2領域に少なくとも1つの第2画像を投射することと、
前記第2カメラが前記第2領域のうちの前記重畳領域を撮像した少なくとも1つの第2撮像画像を取得することと、
前記少なくとも1つの第1撮像画像、及び前記少なくとも1つの第2撮像画像に基づいて、前記第1プロジェクターが有する光源の出力の補正に用いる補正値を決定することと、
を実行する、画像投射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補正値の決定方法、プログラム、及び画像投射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のプロジェクターによるタイリング投射に関する技術が知られている。
特許文献1には、以下の技術が開示される。すなわち、複数の第1プロジェクターと複数の第2プロジェクターと制御装置を含んだ表示システムの制御方法において、複数の第1プロジェクターのうち一の第1プロジェクターが前記第1プロジェクターに対応する一の領域に第1画像を投射し、複数の第2プロジェクターのうち前記一の領域に対応する一の第2プロジェクターが前記一の領域に第2画像を投射する。また、制御装置は、複数の第1画像の明るさと、複数の第2画像の明るさを推定し、複数の第1画像から、最も暗い第1暗画像と、第1暗画像と異なる第1調整対象画像を特定し、複数の第2画像から、最も暗い第2暗画像と、第2暗画像と異なる第2調整対象画像を特定する。また、第1調整対象画像を投射するプロジェクターを制御して第1調整対象画像の明るさを第1暗画像の明るさに近づけ、第2調整対象画像を投射するプロジェクターを制御して第2調整対象画像の明るさを第2暗画像の明るさに近づける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-71608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、複数の第1プロジェクターの明るさを近づけることで、複数の第1プロジェクターによってタイリング投射される第1合成画像における明るさのむらを低減することが記載されている。しかしながら、特許文献1には、投射面の形状については記載されていない。換言すれば、投射面が、曲面である場合には、輝度を適正に調整できない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、第1プロジェクターが、曲率半径の絶対値が第1閾値以下である投射面の、重畳領域を含む第1領域に少なくとも1つの第1画像を投射することと、第1カメラが前記第1領域のうちの前記重畳領域を撮像した少なくとも1つの第1撮像画像を取得することと、第2プロジェクターが、前記投射面の前記重畳領域を含む第2領域に少なくとも1つの第2画像を投射することと、第2カメラが前記第2領域のうちの前記重畳領域を撮像した少なくとも1つの第2撮像画像を取得することと、前記少なくとも1つの第1撮像画像、及び前記少なくとも1つの第2撮像画像に基づいて、前記第1プロジェクターが有する光源の出力の補正に用いる補正値を決定することと、を含む、補正値の決定方法である。
【0006】
本開示の他の一態様は、第1プロジェクターが、曲率半径の絶対値が第1閾値以下である投射面の、重畳領域を含む第1領域に少なくとも1つの第1画像を投射することと、第1カメラが前記第1領域のうちの前記重畳領域を撮像した少なくとも1つの第1撮像画像を取得することと、第2プロジェクターが、前記投射面の前記重畳領域を含む第2領域に少なくとも1つの第2画像を投射することと、第2カメラが前記第2領域のうちの前記重畳領域を撮像した少なくとも1つの第2撮像画像を取得することと、前記第1撮像画像、及び前記第2撮像画像に基づいて、前記第1プロジェクターが有する光源の出力の補正に用いる補正値を決定することと、をプロセッサーに実行させる、プログラムである。
【0007】
本開示の更に別の一態様は、第1プロジェクターと、第2プロジェクターと、第1カメラと、第2カメラと、を備え、前記第1プロジェクターが、曲率半径の絶対値が第1閾値以下である投射面の、重畳領域を含む第1領域に第1画像を投射することと、前記第1カメラが前記第1領域のうちの前記重畳領域を撮像した少なくとも1つの第1撮像画像を取得することと、前記第2プロジェクターが、前記投射面の前記重畳領域を含む第2領域に少なくとも1つの第2画像を投射することと、前記第2カメラが前記第2領域のうちの前記重畳領域を撮像した少なくとも1つの第2撮像画像を取得することと、前記少なくとも1つの第1撮像画像、及び前記少なくとも1つの第2撮像画像に基づいて、前記第1プロジェクターが有する光源の出力の補正に用いる補正値を決定することと、を実行する、画像投射システムである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る画像投射システムの構成の一例を示す図。
図2】本実施形態に係るプロジェクターの構成の一例を示す図。
図3】第1プロジェクターの第1制御部の構成の一例を示す図。
図4】パターン画像の一例を示す表。
図5】第1平均輝度、及び第2平均輝度の一例を示すグラフ。
図6】第1プロジェクターの第1制御部の処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像投射システム1の構成の一例を示す図である。
画像投射システム1は、プロジェクター100と、画像供給装置200と、を備える。プロジェクター100は、第1プロジェクター100Aと、第2プロジェクター100Bと、を含む。
【0010】
また、第1プロジェクター100Aと第2プロジェクター100Bとは、互いに通信可能に接続される。第1プロジェクター100Aと第2プロジェクター100Bとは、例えば、Ethernet(登録商標)ケーブルを介して、互いに通信可能に接続される。
本実施形態では、第1プロジェクター100Aと第2プロジェクター100Bとは、Ethernet(登録商標)ケーブル等によって有線通信可能に接続されるが、Wi-Fi(登録商標)等によって無線通信可能に接続されてもよい。
【0011】
画像供給装置200は、例えばパーソナルコンピューター等で構成され、第1プロジェクター100A、及び第2プロジェクター100Bの各々に対して画像を供給する。画像供給装置200は、例えばコンテンツを再生することによって生成される画像を、Ethernet(登録商標)ケーブルを介して、第1プロジェクター100A、及び第2プロジェクター100Bの各々に対して供給する。
【0012】
本実施形態では、画像供給装置200は、第1プロジェクター100A、及び第2プロジェクター100Bの各々と、Ethernet(登録商標)ケーブル等によって有線通信可能に接続されるが、Wi-Fi(登録商標)等によって無線通信可能に接続されてもよい。
本実施形態では、画像供給装置200が、パーソナルコンピューターで構成されるが、画像供給装置200が、タブレット端末、又はスマートフォン等で構成されてもよい。
【0013】
第1プロジェクター100A、及び第2プロジェクター100Bは、例えば、スクリーンSCに対して左右に並べて配置される。
第1プロジェクター100Aは、第1画像光PLAをスクリーンSCの第1領域AR1に投射する。また、第1プロジェクター100Aは、スクリーンSC上で第1画像PM1を形成するように、第1画像光PLAを投射する。
第2プロジェクター100Bは、第2画像光PLBをスクリーンSCの第2領域AR2に投射する。また、第2プロジェクター100Bは、スクリーンSC上で第2画像PM2を形成するように、第2画像光PLBを投射する。
図1に示すように、第1画像PM1と第2画像PM2とは左右方向に配列される。第1画像PM1と第2画像PM2とで、1つの投射画像Pが形成される。すなわち、本実施形態では、第1プロジェクター100A及び第2プロジェクター100Bが、第1画像PM1と第2画像PM2とを、いわゆる、タイリング表示する。
スクリーンSCは、「投射面」の一例に対応する。
【0014】
本実施形態では、第1プロジェクター100A、及び第2プロジェクター100Bは、例えば、スクリーンSCに対して左右に並べて配置されるが、これに限定されない。第1プロジェクター100A、及び第2プロジェクター100Bは、例えば、スクリーンSCに対して上下に並べて、すなわち、Z軸に沿って、配置してもよい。
【0015】
また、本実施形態では、画像投射システム1が、2台のプロジェクター100を含む場合について説明するが、これに限定されない。画像投射システム1が、3台以上のプロジェクター100を含んでもよい。
【0016】
重畳領域AR3は、第1領域AR1と第2領域AR2とが重なる領域であり、第1画像PM1と第2画像PM2とが重なる領域である。重畳領域AR3に投射される第1画像光PLA及び第2画像光PLBの各々には、いわゆる、エッジブレンディング処理が施され、第1画像PM1と第2画像PM2とが滑らかに接続される。
以下の説明において、第1画像光PLAと第2画像光PLBを区別しない場合には、画像光PLと記載する場合がある。
【0017】
図1には、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を示す。Z軸は、鉛直方向と平行であり、X軸及びY軸の各々は、水平方向と平行である。図1において、ユーザーがスクリーンSCに向かって立ったときに、X軸は、左右方向を示し、Y軸は、前後方向を示す。X軸の正方向が右方向を示し、Y軸の正方向が後方向、すなわちスクリーンSCから離れる方向を示し、Z軸の正方向が上方向を示す。
第1プロジェクター100A、及び第2プロジェクター100Bは、スクリーンSCに対して、Y軸の正方向に配置される。
Z軸は、「上下方向を示す座標軸」の一例に対応する。
【0018】
スクリーンSCは、Y軸の正方向、すなわち、前方向に突出する曲面である。換言すれば、スクリーンSCは曲率半径CRの絶対値が第1閾値TH1以下である。スクリーンSCの曲率半径CRの絶対値は、第1閾値TH1以下であり、且つ、第1閾値TH1よりも小さい第2閾値TH2以上である。第1閾値TH1は、例えば、10mであり、第2閾値TH2は、例えば、1mである。スクリーンSCの曲率半径CRの絶対値は、例えば、5mである。スクリーンSCは、例えば、Z軸に平行な中心軸を有し、半径が5mの円筒CLの表面の一部分である。
【0019】
第1プロジェクター100Aは、第1領域AR1の中心CP1におけるスクリーンSCの法線上に第1投射レンズ113Aが位置するように、第1プロジェクター100Aが配置される。
このように第1プロジェクター100Aを配置することによって、第1領域AR1に投射される第1画像PM1の輝度を均一に調整することが容易になる。
第2プロジェクター100Bは、第2領域AR2の中心CP2におけるスクリーンSCの法線上に第2投射レンズ113Bが位置するように、第2プロジェクター100Bが配置される。
このように第2プロジェクター100Bを配置することによって、第2領域AR2に投射される第2画像PM2の輝度を均一に調整することが容易になる。
第1投射レンズ113Aについては、図2を参照して更に説明する。
【0020】
本実施形態では、例えば、第1プロジェクター100Aがプライマリープロジェクターとして機能し、第2プロジェクター100Bがセカンダリープロジェクターとして機能する。第1プロジェクター100Aは、第2プロジェクター100Bの動作を制御する。具体的には、図3を参照して説明するように、第1プロジェクター100Aは、第2プロジェクター100Bの光源111Aの出力を制御する。
光源111Aについては、図2を参照して更に説明する。
【0021】
図2は、本実施形態に係るプロジェクター100の構成の一例を示す図である。
第1プロジェクター100A及び第2プロジェクター100Bの各々は、互いに略同一の構成を有するため、図2を参照して、第1プロジェクター100Aの構成について説明し、第2プロジェクター100Bの構成については、その説明を省略する。なお、以下の説明において、第1プロジェクター100Aと第2プロジェクター100Bを区別しない場合には、プロジェクター100と記載する場合がある。
【0022】
図2に示すように、第1プロジェクター100Aは、投射部110と、投射部110を駆動する駆動部120とを備える。投射部110は、光学的な画像の形成を行い、スクリーンSCに第1画像光PLAを投射する。なお、本実施形態では、第1プロジェクター100Aの固体光源111Aの出力を調整するときに、投射部110は、パターン画像PTNに対応する第1画像光PLAをスクリーンSCに投射する。また、本実施形態では、投射部110は、画像供給装置200からの画像データに対応する第1画像光PLAをスクリーンSCに投射する。
パターン画像PTNについては、図3及び図4を参照して更に説明する。
投射部110は、光源部111、光変調装置112及び投射光学系113を備える。駆動部120は、光源駆動部121及び光変調装置駆動部122を備える。
【0023】
光源部111は、LED(Light Emitting Diode)、レーザー光源等の固体光源111Aを備える。
固体光源111Aは、「光源」の一例に対応する。
本実施形態では、光源部111が固体光源111Aを備える場合について説明するが、これに限定されない。光源部111が、固体光源111Aに換えて、ハロゲンランプ、キセノンランプ、超高圧水銀ランプ等のランプ光源を備えてもよい。
固体光源111Aを、以下の説明において、光源111Aと記載する場合がある。
【0024】
また、光源部111は、光源111Aが発した光を光変調装置112に導くリフレクター、及び補助リフレクターを備えてもよい。更に、光源部111は、投射光の光学特性を高めるためのレンズ群、偏光板、又は光源111Aが発した光の光量を光変調装置112に至る経路上で低減させる調光素子等を備えてもよい。
光源駆動部121は、内部バス107に接続され、同じく内部バス107に接続された第1制御部150の指示に従って、光源部111の光源111Aを点灯、及び消灯させ、光源111Aの出力を制御する。
【0025】
光変調装置112は、例えば、R、G及びBの三原色に対応した3枚の液晶パネル115を備える。Rは赤色を示し、Gは緑色を示し、Bは青色を示す。すなわち、光変調装置112は、R色光に対応する液晶パネル115と、G色光に対応する液晶パネル115と、B色光に対応する液晶パネル115とを備える。
光源部111が発する光はRGBの3色の色光に分離され、それぞれ対応する液晶パネル115に入射される。3枚の液晶パネル115の各々は、透過型の液晶パネルであり、透過する光を変調して第1画像光PLAを生成する。各液晶パネル115を通過して変調された第1画像光PLAは、クロスダイクロイックプリズム等の合成光学系によって合成され、投射光学系113に射出される。
本実施形態では、光変調装置112が光変調素子として透過型の液晶パネル115を備える場合について説明するが、これに限定されない。光変調素子は反射型の液晶パネルでもよいし、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device)でもよい。
【0026】
光変調装置112は、光変調装置駆動部122によって駆動される。光変調装置駆動部122は、画像処理部145に接続される。
光変調装置駆動部122には、画像処理部145からR,G,Bの各原色に対応する画像データが入力される。光変調装置駆動部122は、入力された画像データを液晶パネル115の動作に適したデータ信号に変換する。光変調装置駆動部122は、変換したデータ信号に基づいて、各液晶パネル115の各画素に電圧を印加し、各液晶パネル115に画像を描画する。
【0027】
投射光学系113は、入射された第1画像光PLAをスクリーンSC上に結像させる第1投射レンズ113A、ミラー等を備える。また、投射光学系113は、スクリーンSCに投射される画像を拡大又は縮小させるズーム機構、フォーカスの調整を行うフォーカス調整機構、及び、第1画像光PLAの投射方向を調整するレンズシフト機構等を備える。
【0028】
また、第1プロジェクター100Aは、第1カメラ160Aを備える。第1カメラ160Aは、第1制御部150の指示に従って、重畳領域AR3を撮像し、第1撮像画像PC1を生成する。また、第1カメラ160Aは、生成した第1撮像画像PC1を第1制御部150へ伝送する。
第1カメラ160Aは、第1プロジェクター100Aの第1投射レンズ113Aの近傍に配置される。
【0029】
第1プロジェクター100Aは、操作部131、リモコン受光部133、入力インターフェース135、記憶部137、第1通信インターフェース141、フレームメモリー143、画像処理部145、及び第1制御部150を更に備える。入力インターフェース135、記憶部137、第1通信インターフェース141、画像処理部145、第1制御部150、及び第1カメラ160Aは、内部バス107を介して相互にデータ通信可能に接続される。
【0030】
操作部131は、第1プロジェクター100Aの筐体表面に設けられた各種のボタンやスイッチを備え、これらのボタンやスイッチの操作に対応した操作信号を生成して、入力インターフェース135に出力する。入力インターフェース135は、操作部131から入力された操作信号を第1制御部150に出力する回路を備える。
【0031】
リモコン受光部133は、リモコン5から送信される赤外線信号を受光し、受光した赤外線信号をデコードして操作信号を生成する。リモコン受光部133は、生成した操作信号を入力インターフェース135に出力する。入力インターフェース135は、リモコン受光部133から入力された操作信号を第1制御部150に出力する回路を備える。
【0032】
記憶部137は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気的記録装置、又は、フラッシュメモリー、SSD(Solid State Drive)等の半導体記憶素子を用いた記憶装置である。記憶部137は、第1制御部150が実行するプログラム、第1制御部150が処理したデータ、及び画像データ等を記憶する。
【0033】
第1通信インターフェース141は、画像供給装置200、及び第2プロジェクター100BとEthernet(登録商標)規格に従って通信を実行する通信インターフェースである。第1通信インターフェース141は、Ethernet(登録商標)ケーブルを接続するコネクター、及びコネクターを伝送される信号を処理するインターフェース回路を備える。第1通信インターフェース141は、コネクター及びインターフェース回路を有するインターフェース基板であり、第1制御部150の第1プロセッサー150A等が実装されるメイン基板に接続される。或いは、第1通信インターフェース141を構成するコネクター及びインターフェース回路が、第1制御部150のメイン基板に実装される。第1通信インターフェース141は、画像供給装置200から画像データ等を受信する。また、第1通信インターフェース141は、第2プロジェクター100Bから、第2カメラ160Bが生成した第2撮像画像PC2を受信する。
【0034】
第1制御部150は、第1メモリー150B及び第1プロセッサー150Aを備える。
第1メモリー150Bは、第1プロセッサー150Aが実行するプログラムやデータを不揮発的に記憶する記憶装置である。第1メモリー150Bは、磁気的記憶装置、フラッシュROM(Read Only Memory)等の半導体記憶素子、或いはその他の種類の不揮発性記憶装置によって構成される。また、第1メモリー150Bは、第1プロセッサー150Aのワークエリアを構成するRAM(Random Access Memory)を含んでもよい。第1メモリー150Bは、第1制御部150によって処理されるデータ、及び第1プロセッサー150Aが実行する第1制御プログラムPGM1等を記憶する。
【0035】
第1プロセッサー150Aは、単一のプロセッサーで構成されてもよいし、複数のプロセッサーが第1プロセッサー150Aとして機能する構成であってもよい。第1プロセッサー150Aは、第1制御プログラムPGM1を実行して第1プロジェクター100Aの各部を制御する。例えば、第1プロセッサー150Aは、操作部131及びリモコン5によって受け付けた操作に対応した画像処理の実行指示と、この画像処理に用いるパラメーターとを画像処理部145に出力する。パラメーターには、例えば、スクリーンSCに投射する画像の幾何的な歪みを補正するための幾何補正パラメーター等が含まれる。また、第1プロセッサー150Aは、光源駆動部121を制御して光源部111の点灯と消灯とを制御し、また光源部111の出力、すなわち光量を調整する。
第1プロセッサー150Aは、「プロセッサー」の一例に対応する。
第1制御プログラムPGM1は、「プログラム」の一例に対応する。
【0036】
第1プロセッサー150Aは、第1メモリー150Bの一部または全部、及び、その他の回路と統合されたSoC(System on Chip)で構成されてもよい。また、第1プロセッサー150Aは、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の演算処理を実行するDSP(Digital Signal Processor)との組合せにより構成してもよい。第1プロセッサー150Aの機能の全てを、ハードウェアに実装した構成としてもよく、プログラマブルデバイスを用いて構成してもよい。
【0037】
画像処理部145、及びフレームメモリー143は、例えば、集積回路によって構成することができる。集積回路は、LSI(Large-Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)を含む。PLDには、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)が含まれる。また、集積回路の構成の一部にアナログ回路が含まれていてもよく、プロセッサーと集積回路との組み合わせであってもよい。プロセッサーと集積回路との組み合わせは、マイクロコントローラー(MCU)、SoC(System-on-a-chip)、システムLSI、チップセットなどと呼ばれる。
【0038】
画像処理部145は、第1通信インターフェース141から入力された画像データをフレームメモリー143に展開する。フレームメモリー143は、複数のバンクを備える。各バンクは、1フレーム分の画像データを書き込み可能な記憶容量を有する。フレームメモリー143は、例えば、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)によって構成される。
【0039】
画像処理部145は、フレームメモリー143に展開した画像データに対して、例えば、解像度変換処理、又はリサイズ処理、歪曲収差の補正、形状補正処理、デジタルズーム処理、画像の色合いや輝度の調整等の画像処理を行う。
また、画像処理部145は、垂直同期信号の入力フレーム周波数を描画周波数に変換した垂直同期信号を生成する。生成した垂直同期信号を出力同期信号という。画像処理部145は、生成した出力同期信号を光変調装置駆動部122に出力する。
【0040】
次に、図3を参照して第1プロジェクター100Aの第1制御部150の構成について説明する。図3は、第1プロジェクター100Aの第1制御部150の構成の一例を示す図である。第1プロジェクター100Aの第1制御部150は、第1プロジェクター100Aの動作を制御すると共に、第2プロジェクター100Bの動作を指示する。
図3に示すように、第1制御部150は、投射指示部151と、画像取得部152と、補正値算出部153と、補正実行部154と、通信制御部155と、パターン画像記憶部156と、を備える。具体的には、第1制御部150の第1プロセッサー150Aが、第1メモリー150Bに記憶された第1制御プログラムPGM1を実行することによって、第1制御部150は、投射指示部151、画像取得部152、補正値算出部153、補正実行部154、及び通信制御部155、として機能する。また、第1制御部150の第1プロセッサー150Aが、第1メモリー150Bに記憶された第1制御プログラムPGM1を実行することによって、第1メモリー150Bを、パターン画像記憶部156として機能させる。
【0041】
パターン画像記憶部156は、予めパターン画像PTNを記憶する。パターン画像PTNは、第1領域AR1及び第2領域AR2の輝度を調整するときに、投射指示部151によって、スクリーンSCの第1領域AR1に投射される。また、パターン画像PTNは、第1領域AR1及び第2領域AR2の輝度を調整するときに、投射指示部151からの指示に応じて、第2プロジェクター100BからスクリーンSCの第2領域AR2に投射される。
第1プロジェクター100Aが投射するパターン画像PTNは、「第1画像」の一例に対応する。
また、第2プロジェクター100Bが投射するパターン画像PTNは、「第2画像」の一例に対応する。
【0042】
パターン画像PTNは、複数の色、及び複数の階調の画像を含む。パターン画像PTNは、例えば、R色の単色画像と、G色の単色画像と、B色の単色画像と、を含む。すなわち、R色、B色、及びG色が、「複数の色」の一例に対応する。
パターン画像PTNの輝度の階調は、例えば、8段階に設定される。例えば、輝度を256階調で表す場合について、図4を参照して説明する。なお、パターン画像PTNの輝度の階調は、光源111Aの出力に対応する。
輝度の諧調は、「諧調」の一例に対応する。
【0043】
本実施形態では、パターン画像PTNの輝度の階調は、例えば、8段階に設定されるが、これに限定されない。パターン画像PTNの輝度の階調は、1段階以上であればよい。
【0044】
図4は、パターン画像PTNの一例を示す表である。
図4の各列には、左から右に向けて、パターン群番号GNと、パターン番号Nと、色Cと、階調BRとを記載している。パターン群番号GNは、輝度の階調が同一のパターン画像PTNの群を示す。
例えば、パターン群番号GNが、「1」の3つのパターン画像PTNは、輝度の階調BRが「31」である。パターン群番号GNが、「2」の3つのパターン画像PTNは、輝度の階調BRが「63」である。パターン群番号GNが、「8」の3つのパターン画像PTNは、輝度の階調BRが「255」である。
【0045】
パターン番号Nは、2桁の番号である。パターン番号Nの1桁目は、パターン群番号GNを示す。パターン番号Nの2桁目は、パターン画像PTNの色Cを示す。例えば、パターン番号Nの2桁目が「1」である場合には、パターン画像PTNの色Cは、「R色」である。また、例えば、パターン番号Nの2桁目が「2」である場合には、パターン画像PTNの色Cは、「G色」である。また、例えば、パターン番号Nの2桁目が「3」である場合には、パターン画像PTNの色Cは、「B」である。
色Cの欄には、パターン番号Nに対応するパターン画像PTNの色Cを記載している。また、階調BRの欄には、パターン番号Nに対応するパターン画像PTNの輝度の階調BRを記載している。
図4に示すように、パターン画像PTNの色Cは3色であり、パターン画像PTNの階調BRは8段階であるため、パターン画像記憶部156は、24(=3×8)個のパターン画像PTNを記憶する。
【0046】
次に、図3に戻って、第1プロジェクター100Aの第1制御部150の構成を説明する。
投射指示部151は、第1プロジェクター100Aに、スクリーンSCの第1領域AR1に第1画像PM1に対応する第1画像光PLAを投射させる。なお、第1プロジェクター100Aに第1画像光PLAを投射させるときには、第2プロジェクター100Bには第2画像光PLBを投射させない。
また、投射指示部151は、第2プロジェクター100Bに、スクリーンSCの第2領域AR2に第2画像PM2に対応する第2画像光PLBを投射させる。なお、第2プロジェクター100Bに、第2画像光PLBを投射させるときには、第1プロジェクター100Aには、第1画像光PLAを投射させない。
また、第1画像PM1及び第2画像PM2は、パターン画像PTNである。
すなわち、投射指示部151は、第1プロジェクター100A、及び第2プロジェクター100Bに、例えば、図4を参照して説明した24個のパターン画像PTNを、順次、投射させる。
【0047】
画像取得部152は、第1プロジェクター100AがスクリーンSCの第1領域AR1に第1画像PM1に対応する第1画像光PLAを投射するときに、第1カメラ160Aが第1領域AR1のうちの重畳領域AR3を撮像した第1撮像画像PC1を取得する。
また、画像取得部152は、第2プロジェクター100BがスクリーンSCの第2領域AR2に第2画像PM2に対応する第2画像光PLBを投射するときに、第2カメラ160Bが第2領域AR2のうちの重畳領域AR3を撮像した第2撮像画像PC2を取得する。
なお、第2カメラ160Bは、第2プロジェクター100Bに配置される。
【0048】
なお、投射指示部151からの指示に従って、第1プロジェクター100Aが24個のパターン画像PTNを順次投射させる度に、画像取得部152は、第1撮像画像PC1を取得する。また、投射指示部151からの指示に従って、第2プロジェクター100Bが24個のパターン画像PTNを順次投射させる度に、画像取得部152は、第2撮像画像PC2を取得する。したがって、画像取得部152は、24個のパターン画像PTNの各々に対応する第1撮像画像PC1と、24個のパターン画像PTNの各々に対応する第2撮像画像PC2とを取得する。
【0049】
本実施形態では、画像取得部152は、第1カメラ160Aが第1領域AR1のうちの重畳領域AR3を撮像した第1撮像画像PC1を取得する場合について説明するが、これに限定されない。例えば、画像取得部152が、第1カメラ160Aが第1領域AR1を撮像した撮像画像を取得し、取得した撮像画像から、重畳領域AR3に対応する第1撮像画像PC1を切り出して取得してもよい。
同様に、本実施形態では、画像取得部152は、第2カメラ160Bが第2領域AR2のうちの重畳領域AR3を撮像した第2撮像画像PC2を取得する場合について説明するが、これに限定されない。例えば、画像取得部152が、第2カメラ160Bが第2領域AR2を撮像した撮像画像を取得し、取得した撮像画像から、重畳領域AR3に対応する第2撮像画像PC2を切り出して取得してもよい。
【0050】
補正値算出部153は、第1撮像画像PC1、及び第2撮像画像PC2に基づいて、第1プロジェクター100Aの光源111Aの出力の補正に用いる補正値ADを決定する。
本実施形態では、第1撮像画像PC1の重畳領域AR3における平均輝度である第1平均輝度BR1が、第2撮像画像PC2の重畳領域AR3における平均輝度である第2平均輝度BR2よりも高い場合について説明する。
補正値算出部153は、第1平均輝度BR1と第2平均輝度BR2との差分を、補正値ADとして決定する。すなわち、補正値算出部153は、次の式(1)によって補正値ADを算出する。
AD=BR1-BR2 (1)
【0051】
なお、第1平均輝度BR1は、第1撮像画像PC1の重畳領域AR3における平均輝度であり、第2平均輝度BR2は、第2撮像画像PC2の重畳領域AR3における平均輝度である。すなわち、第1平均輝度BR1の算出において、第1撮像画像PC1の重畳領域AR3以外の領域の輝度は使用しない。同様に、第2平均輝度BR2の算出において、第2撮像画像PC2の重畳領域AR3以外の領域の輝度は使用しない。
また、第1平均輝度BR1は、第1撮像画像PC1の重畳領域AR3における複数点の輝度を取得し、平均した値であってもよい。同様に、第2平均輝度BR2は、第2撮像画像PC2の重畳領域AR3における複数点の輝度を取得し、平均した値であってもよい。
【0052】
補正値算出部153は、第1平均輝度BR1、及び第2平均輝度BR2を、例えば、パターン画像PTNの輝度の階調毎に算出する。換言すれば、補正値算出部153は、第1平均輝度BR1、及び第2平均輝度BR2を、図4に示すパターン群番号GN毎に算出する。
【0053】
例えば、パターン群番号GNが「1」の場合には、補正値算出部153は、下記に示す3つの第1撮像画像PC1を用いて、パターン群番号GNが「1」に対応する第1平均輝度BR1を算出する。すなわち、3つの第1撮像画像PC1とは、パターン番号Nが「11」のパターン画像PTNに対応する第1撮像画像PC1と、パターン番号Nが「12」のパターン画像PTNに対応する第1撮像画像PC1と、パターン番号Nが「13」のパターン画像PTNに対応する第1撮像画像PC1と、である。
例えば、パターン群番号GNが「1」の場合には、補正値算出部153は、下記に示す3つの第2撮像画像PC2を用いて、パターン群番号GNが「1」に対応する第2平均輝度BR2を算出する。すなわち、3つの第2撮像画像PC2とは、パターン番号Nが「11」のパターン画像PTNに対応する第2撮像画像PC2と、パターン番号Nが「12」のパターン画像PTNに対応する第2撮像画像PC2と、パターン番号Nが「13」のパターン画像PTNに対応する第2撮像画像PC2と、である。
【0054】
以下の説明において、パターン群番号GNが「M」(M=1~8)に対応する第1平均輝度BR1を、第1平均輝度BR1M(M=1~8)と記載する。また、パターン群番号GNが「M」(M=1~8)に対応する第2平均輝度BR2を、第2平均輝度BR2M(M=1~8)と記載する。また、パターン群番号GNが「M」(M=1~8)に対応する補正値ADを、補正値ADM(M=1~8)と記載する。この場合に、補正値算出部153は、補正値ADMを、次の式(2)によって算出する。
ADM=BR1M-BR2M (2)
【0055】
補正実行部154は、第1平均輝度BR1が第2平均輝度BR2と一致するように、補正値ADを用いて、第1プロジェクター100Aの光源111Aの出力を補正する。
具体的には、補正実行部154は、第1平均輝度BR1Mが第2平均輝度BR2Mと一致するように、補正値ADMを用いて、第1プロジェクター100Aの光源111Aの出力を補正する。ここで、整数Mは、パターン群番号GNに対応する。
補正実行部154の処理については、図5を参照して更に説明する。
【0056】
通信制御部155は、パターン画像PTNを第2プロジェクター100Bへ送信する。また、通信制御部155は、パターン画像PTNを投射する指示を第2プロジェクター100Bへ送信する。
通信制御部155は、第2撮像画像PC2を撮像する指示を第2プロジェクター100Bへ送信する。また、通信制御部155は、第2撮像画像PC2を第2プロジェクター100Bから受信する。
【0057】
本実施形態では、第1プロジェクター100Aが光源111Aの出力を補正する場合について説明するが、これに限定されない。第1プロジェクター100Aが、第2プロジェクター100Bの光源111Bの出力を補正してもよい。この場合には、通信制御部155は、補正値ADMを第2プロジェクター100Bへ送信する。
第1プロジェクター100Aは、「前記第1プロジェクター及び前記第2プロジェクターの一方」の一例に対応する。
第2プロジェクター100Bは、「前記第1プロジェクター及び前記第2プロジェクターの他方」の一例に対応する。
【0058】
図5は、第1平均輝度BR1M、及び第2平均輝度BR2Mの一例を示すグラフである。
図5の横軸は、パターン群番号GNであり、図5の縦軸は、第1平均輝度BR1M、及び第2平均輝度BR2Mである。整数Mは、1~8である。グラフG1は、第1平均輝度BR1Mを示し、グラフG2は、第2平均輝度BR2Mを示す。
グラフG1に示すように、パターン群番号GNが増加する程、第1平均輝度BR1Mは増加する。また、グラフG2に示すように、パターン群番号GNが増加する程、第2平均輝度BR2Mは増加する。
【0059】
本実施形態では、第1平均輝度BR1Mは、第2平均輝度BR2Mよりも大きい。補正値ADMは、第1平均輝度BR1Mと第2平均輝度BR2Mとの差を示す。補正実行部154は、第1平均輝度BR1Mが第2平均輝度BR2Mと一致するように、補正値ADMを用いて、第1プロジェクター100Aの光源111Aの出力を補正する。
【0060】
例えば、整数Mが「1」の場合には、補正値算出部153は、パターン番号Nが「11」である場合の第1平均輝度BR1、パターン番号Nが「12」である場合の第1平均輝度BR1、及びパターン番号Nが「13」である場合の第1平均輝度BR1を用いて、第1平均輝度BR11を算出する。また、補正値算出部153は、パターン番号Nが「11」である場合の第2平均輝度BR2、パターン番号Nが「12」である場合の第2平均輝度BR2、及びパターン番号Nが「13」である場合の第2平均輝度BR2を用いて、第2平均輝度BR12を算出する。
そして、補正値算出部153は、補正値AD1を、上記式(2)によって算出する。また、補正実行部154は、第1平均輝度BR11が第2平均輝度BR21と一致するように、補正値AD1を用いて、第1プロジェクター100Aの光源111Aの出力を補正する。
【0061】
次に、図6を参照して、第1プロジェクター100Aの第1制御部150の処理について説明する。図6は、第1プロジェクター100Aの第1制御部150の処理の一例を示すフローチャートである。
図6に示すように、まず、ステップS101において、投射指示部151は、第1プロジェクター100Aに、スクリーンSCの第1領域AR1にパターン画像PTNに対応する第1画像光PLAを投射させる。このとき、第2プロジェクター100Bには第2画像光PLBを投射させない。
次に、ステップS103において、画像取得部152は、第1カメラ160Aが第1領域AR1のうちの重畳領域AR3を撮像した第1撮像画像PC1を取得する。
次に、ステップS105において、投射指示部151は、第1プロジェクター100Aに、投射を停止させる。
【0062】
次に、ステップS107において、投射指示部151は、第2プロジェクター100Bに、スクリーンSCの第2領域AR2にパターン画像PTNに対応する第2画像光PLBを投射させる。このとき、第1プロジェクター100Aには第1画像光PLAを投射させない。
次に、ステップS109において、画像取得部152は、第2カメラ160Bが第2領域AR2のうちの重畳領域AR3を撮像した第2撮像画像PC2を取得する。
次に、ステップS111において、投射指示部151は、第2プロジェクター100Bに、投射を停止させる。
次に、ステップS113において、投射指示部151は、第1プロジェクター100A、及び第2プロジェクター100Bに、全てのパターン画像PTNを投射させたか否かを判定する。
全てのパターン画像PTNを投射させてはいないと投射指示部151が判定した場合(ステップS113;NO)には、処理がステップS111に戻る。全てのパターン画像PTNを投射させたと投射指示部151が判定した場合(ステップS113;YES)には、処理がステップS115へ進む。ステップS113から処理が戻った場合には、ステップS111では、投射指示部151は、投射済みではないパターン画像PTNを選択し、第1プロジェクター100Aに投射させる。続くステップS107についても同様である。
【0063】
そして、ステップS115において、補正値算出部153は、第1平均輝度BR1M(M=1~8)を算出する。
次に、ステップS117において、補正値算出部153は、第2平均輝度BR2M(M=1~8)を算出する。
次に、ステップS119において、補正値算出部153は、第1平均輝度BR1Mと第2平均輝度BR2Mとの差を算出することによって、補正値ADM(M=1~8)を算出する。
次に、ステップS121において、補正実行部154は、第1平均輝度BR1Mが第2平均輝度BR2Mと一致するように、補正値ADMを用いて、第1プロジェクター100Aの光源111Aの出力を補正する。その後、処理が終了する。
【0064】
ステップS101は、「第1画像を投射すること」の一例に対応する。ステップS103は、「第1撮像画像を取得すること」の一例に対応する。ステップS107は、「第2画像を投射すること」の一例に対応する。ステップS109は、「第2撮像画像を取得すること」の一例に対応する。ステップS119は、「補正値を決定すること」の一例に対応する。
【0065】
図6を参照して説明したように、第1平均輝度BR1Mが第2平均輝度BR2Mと一致するように、第1プロジェクター100Aの光源111Aの出力を補正するため、投射面が曲面である場合に、輝度を適正に調整できる。
【0066】
[本実施形態及び作用効果]
以上、図1図6を参照して説明したように、本実施形態に係る補正値の決定方法は、第1プロジェクター100Aが、曲率半径CRの絶対値が第1閾値TH1以下であるスクリーンSCの、重畳領域AR3を含む第1領域AR1に少なくとも1つの第1画像PM1を投射することと、第1カメラ160Aが第1領域AR1のうちの重畳領域AR3を撮像した少なくとも1つの第1撮像画像PC1を取得することと、第2プロジェクター100BがスクリーンSCの重畳領域AR3を含む第2領域AR2に少なくとも1つの第2画像PM2を投射することと、第2カメラ160Bが第2領域AR2のうちの重畳領域AR3を撮像した少なくとも1つの第2撮像画像PC2を取得することと、少なくとも1つの第1撮像画像PC1、及び少なくとも1つの第2撮像画像PC2に基づいて、第1プロジェクター100Aが有する光源111Aの出力の補正に用いる補正値ADを決定することと、を含む。
【0067】
すなわち、第1撮像画像PC1、及び第2撮像画像PC2に基づいて、第1プロジェクター100Aの光源111Aの出力の補正に用いる補正値ADを決定する。また、第1撮像画像PC1は、第1プロジェクター100AがスクリーンSCの第1領域AR1に第1画像PM1を投射して、第1カメラ160Aが第1領域AR1のうちの重畳領域AR3を撮像した画像である。同様に、第2撮像画像PC2は、第2プロジェクター100BがスクリーンSCの第2領域AR2に第2画像PM2を投射して、第2カメラ160Bが第2領域AR2のうちの重畳領域AR3を撮像した画像である。
例えば、スクリーンSCが第1プロジェクター100A及び第2プロジェクター100Bに近付く向きに突出する曲面である場合に、第1カメラ160Aを用いて第2領域AR2の全体を撮像すると、スクリーンSCが曲がっているために、得られる撮像画像が第2画像光PLBの偏光の影響を受けることがある。第2カメラ160Bを用いて第1領域AR1の全体を撮像した画像についても同様である。そのため、これらの画像を用いて補正値ADを決定すると、輝度を適切に補正できない可能性がある。これに対して、第1撮像画像PC1を用いることで、第1カメラ160Aが撮像する画像が、第2プロジェクター100Bからの第2画像光PLBの偏光の影響を受けることを防止できる。同様に、第2カメラ160Bが撮像する画像が、第1プロジェクター100Aからの第2画像光PLBの偏光の影響を受けることを防止できる。したがって、スクリーンSCが曲面である場合に、第1画像PM1の輝度を適正に調整できる。
【0068】
また、補正値の決定方法は、少なくとも1つの第1撮像画像PC1の重畳領域AR3における平均輝度である第1平均輝度BR1は、少なくとも1つの第2撮像画像PC2の重畳領域AR3における平均輝度である第2平均輝度BR2よりも高く、補正値ADを決定することは、第1平均輝度BR1と第2平均輝度BR2との差分を、補正値ADとして決定することを含み、補正値ADを用いて第1プロジェクター100Aの光源111Aの出力を減少させる補正をすること、を更に含む。
したがって、補正値ADを用いて第1プロジェクター100Aの光源111Aの出力を減少させる補正をするため、スクリーンSCが曲面である場合に、第1画像PM1の輝度を適正に調整できる。
【0069】
また、補正値の決定方法は、第1画像PM1は、複数の色と、複数の階調との組み合わせである複数のパターン画像PTNを含み、第2画像PM2は、複数の色と、複数の階調との組み合わせである複数のパターン画像PTNを含む。 よって、複数の色と、複数の階調との組み合わせである複数のパターン画像PTNの各々に対応する第1撮像画像PC1、及び第2撮像画像PC2を取得できる。したがって、第1画像PM1の輝度を適正に調整できる。
【0070】
また、補正値の決定方法は、第1プロジェクター100A及び第2プロジェクター100Bの一方が、第1撮像画像PC1、及び第2撮像画像PC2に基づいて、補正値ADを決定することと、第1プロジェクター100A及び第2プロジェクター100Bの一方から、第1プロジェクター100A及び第2プロジェクター100Bの他方へ、補正値ADを送信することと、を含む。
よって、簡素な構成で、補正値ADを決定できる。したがって、簡素な構成で、第1画像PM1又は第2画像PM2の輝度を適正に調整できる。
【0071】
また、補正値の決定方法は、スクリーンSCの曲率半径CRの絶対値は、第1閾値TH1よりも小さい第2閾値TH2以上である。
よって、スクリーンSCの曲率半径CRの絶対値は、第2閾値TH2以上であるため、第2閾値TH2を適正に設定することによって、第1プロジェクター100A、及び第2プロジェクター100Bの各々を適正な位置に配置できる。したがって、第1画像PM1の輝度を適正に調整できる。
【0072】
また、補正値の決定方法は、第1プロジェクター100Aの第1投射レンズ113Aが、第1領域AR1の中心CP1におけるスクリーンSCの法線上に位置し、第2プロジェクター100Bの第2投射レンズ113Bが、第2領域AR2の中心CP2におけるスクリーンSCの法線上に位置する。
よって、第1プロジェクター100A、及び第2プロジェクター100Bの各々を適正な位置に配置できる。したがって、第1画像PM1の輝度を適正に調整できる。
【0073】
また、補正値の決定方法は、第1カメラ160Aは、第1プロジェクター100Aの第1投射レンズ113Aの近傍に配置され、第2カメラ160Bは、第2プロジェクター100Bの第2投射レンズ113Bの近傍に配置される。
よって、第1カメラ160Aは、第1撮像画像PC1として、適正な画像を生成できる。また、第2カメラ160Bは、第2撮像画像PC2として、適正な画像を生成できる。したがって、第1画像PM1の輝度を適正に調整できる。
【0074】
本実施形態に係る第1制御プログラムPGM1は、第1プロジェクター100Aが、曲率半径CRの絶対値が第1閾値TH1以下であるスクリーンSCの、重畳領域AR3を含む第1領域AR1に少なくとも1つの第1画像PM1を投射することと、第1カメラ160Aが第1領域AR1のうちの重畳領域AR3を撮像した少なくとも1つの第1撮像画像PC1を取得することと、第2プロジェクター100BがスクリーンSCの重畳領域AR3を含む第2領域AR2に少なくとも1つの第2画像PM2を投射することと、第2カメラ160Bが第2領域AR2のうちの重畳領域AR3を撮像した少なくとも1つの第2撮像画像PC2を取得することと、少なくとも1つの第1撮像画像PC1、及び少なくとも1つの第2撮像画像PC2に基づいて、第1プロジェクター100Aが有する光源111Aの出力の補正に用いる補正値ADを決定することと、を第1プロジェクター100Aの第1プロセッサー150Aに実行させる。
したがって、本実施形態に係る第1制御プログラムPGM1は、本実施形態に係る補正値の決定方法と同様の効果を奏することができる。
【0075】
本実施形態に係る画像投射システム1は、第1プロジェクター100Aと、第2プロジェクター100Bと、第1カメラ160Aと、第2カメラ160Bと、を備え、第1プロジェクター100Aが、曲率半径CRの絶対値が第1閾値TH1以下であるスクリーンSCの、重畳領域AR3を含む第1領域AR1に少なくとも1つの第1画像PM1を投射することと、第1カメラ160Aが第1領域AR1のうちの重畳領域AR3を撮像した少なくとも1つの第1撮像画像PC1を取得することと、第2プロジェクター100BがスクリーンSCの重畳領域AR3を含む第2領域AR2に少なくとも1つの第2画像PM2を投射することと、第2カメラ160Bが第2領域AR2のうちの重畳領域AR3を撮像した少なくとも1つの第2撮像画像PC2を取得することと、少なくとも1つの第1撮像画像PC1、及び少なくとも1つの第2撮像画像PC2に基づいて、第1プロジェクター100Aが有する光源111Aの出力の補正に用いる補正値ADを決定することと、を実行する。
したがって、本実施形態に係る画像投射システム1は、本実施形態に係る補正値の決定方法と同様の効果を奏することができる。
【0076】
[他の実施形態]
上述した本実施形態は、好適な実施の形態である。ただし、上述の本実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形実施が可能である。
【0077】
本実施形態では、スクリーンSCが、Z軸に平行な中心軸を有し、半径が5mの円筒CLの表面の一部分である場合について説明するが、これに限定されない。例えば、円筒CLの半径は、第1閾値TH1以下、且つ第2閾値TH2以上であればよい。また、例えば、円筒CLの中心軸は、X軸に平行でもよい。
また、例えば、スクリーンSCが、球の表面の一部分でもよい。
【0078】
また、本実施形態では、スクリーンSCが、Y軸の正方向、すなわち、前方向に突出する曲面である場合について説明するが、これに限定されない。例えば、スクリーンSCが、Y軸の負方向、すなわち、後方向に突出する曲面でもよい。また、例えば、スクリーンSCのうち、第1領域AR1を含む領域が、前方向に突出する曲面であり、第2領域AR2を含む領域が、後方向に突出する曲面でもよい。また、例えば、スクリーンSCのうち、第1領域AR1を含む領域が、後方向に突出する曲面であり、第2領域AR2を含む領域が、前方向に突出する曲面でもよい。
【0079】
また、本実施形態では、第1プロジェクター100Aが第1カメラ160Aを備え、第2プロジェクター100Bが第2カメラ160Bを備える場合について説明するが、これに限定されない。第1カメラ160Aが、第1プロジェクター100Aとは、別体として構成されてもよい。この場合には、第1カメラ160Aは、第1プロジェクター100Aと通信可能に構成される。また、第2カメラ160Bが、第2プロジェクター100Bとは、別体として構成されてもよい。この場合には、第2カメラ160Bは、第2プロジェクター100Bと通信可能に構成される。
【0080】
また、本実施形態では、第1プロジェクター100Aがプライマリープロジェクターとして機能し、第2プロジェクター100Bがセカンダリープロジェクターとして機能する場合について説明するが、これに限定されない。例えば、第2プロジェクター100Bがプライマリープロジェクターとして機能し、第1プロジェクター100Aがセカンダリープロジェクターとして機能してもよい。
【0081】
本実施形態では、第1プロジェクター100Aの第1制御部150が、投射指示部151、画像取得部152、補正値算出部153、補正実行部154、通信制御部155、及びパターン画像記憶部156を備える場合について説明したが、これに限定されない。
例えば、第2プロジェクター100Bの第1制御部150が、投射指示部151、画像取得部152、補正値算出部153、補正実行部154、通信制御部155、及びパターン画像記憶部156を備えてもよい。また、例えば、画像供給装置200の第2制御部が、投射指示部151、画像取得部152、補正値算出部153、補正実行部154、通信制御部155、及びパターン画像記憶部156を備えてもよい。
【0082】
また、図3に示す各機能部は機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に制限されない。つまり、必ずしも各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサーがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも可能である。また、上記実施形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアで実現してもよく、或いは、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。その他、プロジェクター100の各部の具体的な細部構成についても、趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
【0083】
また、図6に示すフローチャートの処理単位は、第1プロジェクター100Aの第1制御部150の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。図6のフローチャートに示す処理単位の分割の仕方や名称によって制限されることはなく、処理内容に応じて、更に多くの処理単位に分割することもできるし、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。また、上記のフローチャートの処理順序も、図示した例に限られるものではない。
【0084】
また、プロジェクター100の制御方法は、プロジェクター100が備える第1プロセッサー150Aに、プロジェクター100の制御方法に対応した第1制御プログラムPGM1を実行させることで実現できる。また、第1制御プログラムPGM1は、コンピューターで読み取り可能に記録した記録媒体に記録しておくことも可能である。
記録媒体としては、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリーデバイスを用いることができる。具体的には、フレキシブルディスク、HDD、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD、Blu-ray(登録商標) Disc、光磁気ディスク、フラッシュメモリー、カード型記録媒体等の可搬型、或いは固定式の記録媒体が挙げられる。また、記録媒体は、プロジェクター100が備える内部記憶装置であるRAM、ROM、HDD等の不揮発性記憶装置であってもよい。
第1制御プログラムPGM1をサーバー装置等に記憶させておき、サーバー装置からプロジェクター100に、第1制御プログラムPGM1をダウンロードすることで、プロジェクター100の制御方法を実現することもできる。
【0085】
[付記]
以下、本開示のまとめを付記する。
(付記1)
第1プロジェクターが、曲率半径の絶対値が第1閾値以下である投射面の、重畳領域を含む第1領域に少なくとも1つの第1画像を投射することと、第1カメラが前記第1領域のうちの前記重畳領域を撮像した少なくとも1つの第1撮像画像を取得することと、第2プロジェクターが、前記投射面の前記重畳領域を含む第2領域に少なくとも1つの第2画像を投射することと、第2カメラが前記第2領域のうちの前記重畳領域を撮像した少なくとも1つの第2撮像画像を取得することと、前記少なくとも1つの第1撮像画像、及び前記少なくとも1つの第2撮像画像に基づいて、前記第1プロジェクターが有する光源の出力の補正に用いる補正値を決定することと、を含む、補正値の決定方法。
【0086】
これにより、例えば、投射面が第1プロジェクター、及び第2プロジェクターに近付く向きに突出する曲面である場合に、第1撮像画像が、第2プロジェクターからの投射光の偏光の影響を受けることを防止できる。同様に、第2撮像画像が、第1プロジェクターからの投射光の偏光の影響を受けることを防止できる。したがって、投射面が曲面である場合に、第1画像の輝度を適正に調整できる。
【0087】
(付記2)
前記少なくとも1つの第1撮像画像の前記重畳領域における平均輝度である第1平均輝度は、前記少なくとも1つの第2撮像画像の前記重畳領域における平均輝度である第2平均輝度よりも高く、前記補正値を決定することは、前記第1平均輝度と前記第2平均輝度との差分を、前記補正値として決定することを含み、前記補正値を用いて前記第1プロジェクターの光源の出力を減少させる補正をすること、を更に含む、付記1に記載の補正値の決定方法。
【0088】
これにより、前記第1平均輝度が前記第2平均輝度と一致するように、前記補正値を用いて前記第1プロジェクターの光源の出力を補正するため、投射面が曲面である場合に、第1画像の輝度を適正に調整できる。
【0089】
(付記3)
前記少なくとも1つの第1画像は、複数の色と、複数の階調との組み合わせである複数の画像を含み、前記少なくとも1つの第2画像は、複数の色と複数の階調との組み合わせである複数の画像を含む、付記1又は付記2に記載の補正値の決定方法。
【0090】
これにより、複数の色、及び複数の階調の輝度の画像の各々に対応する第1撮像画像、及び第2撮像画像を取得できる。したがって、第1画像の輝度を適正に調整できる。
【0091】
(付記4)
前記第1プロジェクター及び前記第2プロジェクターの一方が、前記第1撮像画像、及び前記第2撮像画像に基づいて、前記補正値を決定することと、前記第1プロジェクター及び前記第2プロジェクターの一方から、前記第1プロジェクター及び前記第2プロジェクターの他方へ、前記補正値を送信することと、を含む、付記1から付記3のいずれか1つに記載の補正値の決定方法。
【0092】
これにより、簡素な構成で、補正値を決定できる。したがって、簡素な構成で、第1画像の輝度を適正に調整できる。
【0093】
(付記5)
前記投射面の前記曲率半径の絶対値は、前記第1閾値よりも小さい第2閾値以上である、付記1から付記4のいずれか1つに記載の補正値の決定方法。
【0094】
これにより、第2閾値を適正に設定することによって、第1プロジェクター、及び第2プロジェクターの各々を適正な位置に配置できる。したがって、第1画像の輝度を適正に調整できる。
【0095】
(付記6)
前記第1プロジェクターの投射レンズは、前記第1領域の中心における前記投射面の法線上に位置し、前記第2プロジェクターの投射レンズは、前記第2領域の中心における前記投射面の法線上に位置する、付記1から付記5のいずれか1つに記載の補正値の決定方法。
【0096】
これにより、第1プロジェクター、及び第2プロジェクターの各々を適正な位置に配置できる。したがって、第1画像の輝度を適正に調整できる。
【0097】
(付記7)
前記第1カメラは、前記第1プロジェクターの投射レンズの近傍に配置され、前記第2カメラは、前記第2プロジェクターの投射レンズの近傍に配置される、付記1から付記6のいずれか1つに記載の補正値の決定方法。
【0098】
これにより、第1カメラは、第1撮像画像として、適正な画像を生成できる。また、第2カメラは、第2撮像画像として、適正な画像を生成できる。したがって、第1画像の輝度を適正に調整できる。
【0099】
(付記8)
第1プロジェクターが、曲率半径の絶対値が第1閾値以下である投射面の、重畳領域を含む第1領域に少なくとも1つの第1画像を投射することと、第1カメラが前記第1領域のうちの前記重畳領域を撮像した少なくとも1つの第1撮像画像を取得することと、第2プロジェクターが、前記投射面の前記重畳領域を含む第2領域に少なくとも1つの第2画像を投射することと、第2カメラが前記第2領域のうちの前記重畳領域を撮像した少なくとも1つの第2撮像画像を取得することと、前記第1撮像画像、及び前記第2撮像画像に基づいて、前記第1プロジェクターが有する光源の出力の補正に用いる補正値を決定することと、をプロセッサーに実行させる、プログラム。
【0100】
これにより、付記8に記載のプログラムは、付記1に記載の補正値の決定方法と同様の効果を奏する。
【0101】
(付記9)
第1プロジェクターと、第2プロジェクターと、第1カメラと、第2カメラと、を備え、前記第1プロジェクターが、曲率半径の絶対値が第1閾値以下である投射面の、重畳領域を含む第1領域に第1画像を投射することと、前記第1カメラが前記第1領域のうちの前記重畳領域を撮像した少なくとも1つの第1撮像画像を取得することと、前記第2プロジェクターが、前記投射面の前記重畳領域を含む第2領域に少なくとも1つの第2画像を投射することと、前記第2カメラが前記第2領域のうちの前記重畳領域を撮像した少なくとも1つの第2撮像画像を取得することと、前記少なくとも1つの第1撮像画像、及び前記少なくとも1つの第2撮像画像に基づいて、前記第1プロジェクターが有する光源の出力の補正に用いる補正値を決定することと、を実行する、画像投射システム。
【0102】
これにより、付記9に記載の画像投射システムは、付記1に記載の補正値の決定方法と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0103】
1…画像投射システム、100…プロジェクター、100A…第1プロジェクター、100B…第2プロジェクター、111…光源部、111A、111B…固体光源(光源)、113…投射光学系、113A…第1投射レンズ、113B…第2投射レンズ、115…液晶パネル、141…第1通信インターフェース、150…第1制御部、150A…第1プロセッサー(プロセッサー)、150B…第1メモリー、151…投射指示部、152…画像取得部、153…補正値算出部、154…補正実行部、155…通信制御部、156…パターン画像記憶部、160A…第1カメラ、160B…第2カメラ、200…画像供給装置、AD、AD1~ADM…補正値、AR1…第1領域、AR2…第2領域、AR3…重畳領域、BR1、BR11~BR1M…第1平均輝度、BR2、BR21~BR2M…第2平均輝度、CR…曲率半径、PC1…第1撮像画像、PC2…第2撮像画像、PGM1…第1制御プログラム(プログラム)、PM1…第1画像、PM2…第2画像、PTN…パターン画像、SC…スクリーン(投射面)、TH1…第1閾値、TH2…第2閾値。
図1
図2
図3
図4
図5
図6