(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082025
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】レジスタ
(51)【国際特許分類】
B60H 1/34 20060101AFI20240612BHJP
F24F 13/15 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
B60H1/34 611B
F24F13/15 B
F24F13/15 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195706
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田代 尚史
(72)【発明者】
【氏名】宮木 敦司
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 淳
【テーマコード(参考)】
3L081
3L211
【Fターム(参考)】
3L081FC03
3L211BA57
3L211DA14
3L211DA82
(57)【要約】
【課題】 操作用ノブの操作性を損なうことなくフィンを目立たなくすることができるレジスタを提供する。
【解決手段】 レジスタ1は、空気吹出口11を有するベゼル10と、ベゼル10の空気吹出口に連通する通風路13aを有する支持筐体13と、支持筐体13に回動可能に支持されており通風路13aにおいて空気吹出口11に対向して互いに平行に延びる複数のフィン20と、複数のフィン20を連結するリンクロッド30と、を備え、複数のフィン20には、操作用ノブ24が設けられた主動フィン21が含まれており、ベゼル10の空気吹出口11側を前側としたとき、複数のフィン20の中で主動フィン21が他のフィン22,23よりも前側に配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気吹出口を有するベゼルと、
上記ベゼルの上記空気吹出口に連通する通風路を有する支持筐体と、
上記支持筐体に回動可能に支持されており上記通風路において上記空気吹出口に対向して互いに平行に延びる複数のフィンと、
上記複数のフィンを連結するリンクロッドと、を備え、
上記複数のフィンには、操作用ノブが設けられた主動フィンが含まれており、上記ベゼルの上記空気吹出口側を前側としたとき、上記複数のフィンの中で上記主動フィンが他のフィンよりも前側に配置されている、レジスタ。
【請求項2】
上記複数のフィンはいずれも、上記支持筐体に支持されるフィン支軸と、上記リンクロッドとの連結軸と、を有し、上記フィン支軸が上記連結軸よりも前側に配置されている、請求項1に記載のレジスタ。
【請求項3】
上記主動フィンの前面に加飾部が設けられており、上記ベゼルには、上記主動フィンの両端部から上記加飾部に連続して連続して上記主動フィンの延長線上に延びる加飾バーが設けられている、請求項2に記載のレジスタ。
【請求項4】
上記複数のフィンは、上記主動フィンとしての第1フィンと、上記第1フィンを挟んでその両側にそれぞれに位置する第2フィン及び第3フィンと、からなり、上記第2フィンの上記連結軸と上記第3フィンの上記連結軸とを結んだ仮想直線よりも前側に上記第1フィンの上記連結軸が位置している、請求項2または3に記載のレジスタ。
【請求項5】
上記リンクロッドは、上記連結軸のための通し孔を有する孔部を備え、上記第2フィンと上記第3フィンの少なくとも一方には、上記孔部が係合する係合溝部と、上記係合溝部において上記孔部がフィン長手方向に移動するのを規制する移動規制部と、が設けられている、請求項4に記載のレジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、レジスタが開示されている。このレジスタは、空気吹出口を有するベゼルと、ベゼルの空気吹出口に連通する通風路を有するリテーナと、リテーナに回動可能に支持された風向調節用の複数のフィンと、を備えている。これら複数のフィンには、前可動ルーバを構成している3つの水平フィンと、前可動ルーバの上流側に位置する後可動ルーバを構成している複数の垂直フィンと、が含まれている。前可動ルーバの3つの水平フィンのうちの中央の水平フィンには、操作用ノブが左右に摺動可能に設けられている。乗員は操作用ノブを動かして風向調節を行う。すなわち、操作用ノブを上下に動かすことによって3つの水平フィンを上下に回動させることができる。一方で、この操作用ノブを左右に動かすことによって複数の垂直フィンを左右に回動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種のレジスタの構造に関して、複数のフィンを極力目立たないようにしたいという要請がある。複数のフィンの配置に関して、特許文献1に開示のレジスタでは、全ての水平フィンがベゼルの空気吹出口に近接した見え易い位置に配置されている。したがって、このレジスタにおける水平フィンの配置については上記要請に対して改善の余地がある。また、水平フィンを単にベゼルの空気吹出口から引き離すと、水平フィンに設けられている操作用ノブも空気吹出口から遠ざかることになり、操作用ノブの操作性の低下が懸念される。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、操作用ノブの操作性を損なうことなくフィンを目立たなくすることができるレジスタを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
空気吹出口を有するベゼルと、
上記ベゼルの上記空気吹出口に連通する通風路を有する支持筐体と、
上記支持筐体に回動可能に支持されており上記通風路において上記空気吹出口に対向して互いに平行に延びる複数のフィンと、
上記複数のフィンを連結するリンクロッドと、を備え、
上記複数のフィンには、操作用ノブが設けられた主動フィンが含まれており、上記ベゼルの上記空気吹出口側を前側としたとき、上記複数のフィンの中で上記主動フィンが他のフィンよりも前側に配置されている、レジスタ、
にある。
【発明の効果】
【0007】
上述の態様のレジスタにおいて、複数のフィンは、支持筐体の通風路でベゼルの空気吹出口に対向して互いに平行に延びている。これら複数のフィンは、リンクロッドで連結されており、主動フィンに設けられている操作用ノブが操作されることによって、同期してその向きを変更するように回動する。これにより、風向調節が可能とされている。このレジスタは、複数のフィンの中で主動フィンが他のフィンよりも前側(ベゼルの空気吹出口側の位置)に配置されるように構成されている。
【0008】
上記構成のレジスタによれば、主動フィンのみをベゼルの空気吹出口に近接した位置に配置することによって、この主動フィンに設けられている操作用ノブの操作性を担保できる。このとき、操作用ノブの操作に関与する主動フィンを除いた他のフィンを主動フィンよりも後側位置に配置している。これにより、他のフィンをベゼルの空気吹出口側から見えにくくすることができる。
【0009】
以上のごとく、上述の態様によれば、操作用ノブの操作性を損なうことなくフィンを目立たなくすることができるレジスタを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】実施形態1のレジスタを前斜め上方からみた斜視図。
【
図3】
図2中のリンクロッドの周辺構造を示す側面図。
【
図4】
図3の初期状態から操作用ノブを上向きに回動させたときの状態を示す側面図。
【
図5】
図3の初期状態から操作用ノブを下向きに回動させたときの状態を示す側面図。
【
図6】
図3中の第2フィンとリンクロッドの係合構造を模式的に示す平面図。
【
図7】
図3中の第3フィンとリンクロッドの係合構造を模式的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述の態様の好ましい実施形態について以下に説明する。
【0012】
上述の態様のレジスタにおいて、上記複数のフィンはいずれも、上記支持筐体に支持されるフィン支軸と、上記リンクロッドとの連結軸と、を有し、上記フィン支軸が上記連結軸よりも前側に配置されているのが好ましい。
【0013】
このレジスタによれば、各フィンのフィン支軸を連結軸よりも前側に配置することで、複数のフィンがリンクロッドを介して同期して回動するときに、ベゼルの空気吹出口側から最も見えやすい主動フィンの前端部の動きを少なく抑えることができる。
【0014】
上述の態様のレジスタにおいて、上記主動フィンの前面に加飾部が設けられており、上記ベゼルには、上記主動フィンの両端部から上記加飾部に連続して連続して上記主動フィンの延長線上に延びる加飾バーが設けられているのが好ましい。
【0015】
このレジスタによれば、主動フィンの前面に設けられた加飾部の両側からベゼルの加飾バーを連続して延ばす構造によって、主動フィンの加飾部が加飾バーと概ね一体化して見えるようになる。これにより、主動フィンを極力目立たなくすることができる視覚上の効果が得られる。
【0016】
上述の態様のレジスタにおいて、上記複数のフィンは、上記主動フィンとしての第1フィンと、上記第1フィンを挟んでその両側にそれぞれに位置する第2フィン及び第3フィンと、からなり、上記第2フィンの上記連結軸と上記第3フィンの上記連結軸とを結んだ仮想直線よりも前側に上記第1フィンの上記連結軸が位置しているのが好ましい。
【0017】
このレジスタによれば、第1フィンの連結軸を第2フィンの連結軸と第3フィンの連結軸とを結んだ仮想直線よりも前側に配置することによって、第1フィンが第2フィン及び第3フィンよりも前側に位置している場合であっても、操作用ノブの操作時に入力される荷重を、第1フィンからリンクロッドを介して第2フィン及び第3フィンに確実に伝達することができる。
【0018】
上述の態様のレジスタにおいて、上記リンクロッドは、上記連結軸のための通し孔を有する孔部を備え、上記第2フィンと上記第3フィンの少なくとも一方には、上記孔部が係合する係合溝部と、上記係合溝部において上記孔部がフィン長手方向に移動するのを規制する移動規制部と、が設けられているのが好ましい。
【0019】
このレジスタによれば、リンクロッドの孔部を第2フィンと第3フィンの少なくとも一方のフィンの係合溝部に係合させることによって、第1フィンの連結軸と第2フィン及び第3フィンの連結軸との間に位置ずれがあるような場合でも、リンクロッドの動きを安定させることができる。このとき、移動規制部を設けてリンクロッドの孔部がフィン長手方向に移動するのを規制するようにすれば、フィンに対するリンクロッドのガタつきを少なくすることができ、リンクロッドの傾きを抑制することができる。
【0020】
以下、上述の態様のレジスタの具体的な構造について図面を参照しつつ説明する。
【0021】
なお、本明細書に関する図面では、特に断わらない限り、車両前方を矢印FRで示し、車両上方を矢印UPで示し、車両内方を矢印INで示すものとする。レジスタについては、その左右方向をX軸方向とし、その奥行方向をY軸方向とし、その上下方向をZ軸方向とする。また、説明の便宜上、レジスタの空気吹出口側(下流側)を「前側」と定義し、その反対側(上流側)を「後側」と定義する。
【0022】
(実施形態1)
図1に示される実施形態1のレジスタ1は、車両のインストルメントパネルに車室に面するように取付けられる内装部品である。このレジスタ1の材質は特に限定されないが、成形に関するコストを抑えるためにはその材質として樹脂材料を用いるのが好ましい。
【0023】
レジスタ1は、概して、ベゼル10と、本体部12と、複数(本形態では3つ)の水平フィン20と、複数(本形態では7つ)の垂直フィン26と、を備えている。ベゼル10は、空調処理された空気を車室に向けて吹き出す空気吹出口11を有する。本体部12は、互いに一体化された支持筐体13及びリテーナ14からなる。本体部12は、上記空気が流入する空気流入口14bと、ベゼル10の空気吹出口11に連通する通風路13a,14aと、を有する。
【0024】
複数の水平フィン20は、支持筐体13の通風路13aにおいて空気吹出口11に対向して互いに平行に水平方向(左右方向X)に延びる風向調節用のフィンである。このとき、左右方向Xが水平フィン20のフィン長手方向となる。複数の水平フィン20は、支持筐体13に回動可能に支持されている。
【0025】
本形態において、複数の水平フィン20には、上下方向Zの中央に位置する第1水平フィン21(以下、単に「第1フィン」という。)と、第1フィン21の上方に位置する第2水平フィン22(以下、単に「第2フィン」という。)と、第1フィン21の下方に位置する第3水平フィン23(以下、単に「第3フィン」という。)と、が含まれている。これら3つのフィン21,22,23は、1つのリンクロッド30を介して回動可能に支持されている。これにより、3つのフィン21,22,23が同期してその向きを上下に変えることができるようになっている。
【0026】
複数の垂直フィン26は、リテーナ14の通風路14aにおいて互いに平行に垂直方向(上下方向Z)に延びる風向調節用のフィンである。このとき、上下方向Zが垂直フィン26のフィン長手方向となる。複数の垂直フィン26は、奥行方向Yについて3つのフィン21,22,23よりも後側のベゼル10から離れた位置に配置されている。これら複数の垂直フィン26は、上下方向Zに沿って延びる1つのリンクバー27を介して回動可能に支持されている。これにより、全ての垂直フィン26が同期してその向きを左右に変えることができるようになっている。なお、垂直フィン26を動かすための更なる具体的な構成については、例えば、特開2019-98878号公報に開示のものが参照される。
【0027】
1.フィン21,22,23の構造
図1~
図3に示されるように、第1フィン21は、操作用ノブ24が設けられた主動フィンである。この第1フィン21は、3つのフィン21,22,23の中で他のフィン22,23よりも前側(すなわち、ベゼル10の空気吹出口11に近い位置)に配置されている(特に、
図3を参照)。また、3つのフィン21,22,23を上下方向Zからみたとき、第2フィン22が第3フィン23よりも前側に配置されている。なお、第2フィン22と第3フィン23の配置関係は、これに限定されるものではなく、例えば、第3フィン23を第2フィン22よりも前側に配置したり、第2フィン22と第3フィン23を上下方向Zに互いに重なるように配置したりしても良い。
【0028】
第2フィン22は、ベゼル10の被覆部15によって空気吹出口11側から覆われている。同様に、第3フィン23は、ベゼル10の被覆部16によって空気吹出口11側から覆われている。被覆部15,16によって2つのフィン22,23が目立たなくなっている。
【0029】
操作用ノブ24の後側には、複数の垂直フィン26のいずれか1つに設けられた被連係部(図示省略)と連係する連係部24aが設けられている。操作用ノブ24は、第1フィン21に左右方向Xに摺動可能に取り付けられている。このため、この操作用ノブ24は、左右方向Xについては第1フィン21とは独立して動くようになっている。一方で、この操作用ノブ24は、上下方向Zについては第1フィン21と一体で動くようになっている。
【0030】
操作用ノブ24を左右方向Xに動かした場合には、連係部24aも左右方向Xに動くことによって、複数の垂直フィン26の向きがそれぞれ左右に同期して調節される。これに対して、操作用ノブ24を回動させた場合には、第1フィン21がこの操作用ノブ24と一体で動くことによって、3つのフィン21,22,23の向きがそれぞれ上下に同期して調節される。
【0031】
図1及び
図2に示されるように、第1フィン21の前面には加飾処理が施された加飾部25が設けられている。加飾部25は、左右方向Xに直線状に延びている。これに対して、ベゼル10には、第1フィン21の左右方向Xの両端部から加飾部25に連続して第1フィン21の延長線上に延びる加飾バー17,18が設けられている。ここでいう「加飾」とは、機能は変えずに見た目のみが変更される装飾処理をいう。典型的には、塗装、めっき、印刷、着色などが、加飾に相当する。
【0032】
加飾バー17は、第1フィン21の左端部との間に若干の隙間をあけた位置から左側に直線状に延びている。また、加飾バー18は、第1フィン21の右端部との間に若干の隙間をあけた位置から左側に直線状に延びている。加飾バー17,18は、その上下方向の幅寸法が第1フィン21の加飾部25のものと概ね一致するように構成されるのが好ましい。これにより、第1フィン21の加飾部25と加飾バー17,18との協働によって一定幅の加飾部分が概ね一直線上に形成される。
【0033】
2.リンクロッド30の連結構造
図3に示されるように、第1フィン21は、左右方向Xの両端部にフィン支軸21aを有し、このフィン支軸21aを介して支持筐体13側のブラケット13bに回動可能に支持されている。第2フィン22は、左右方向Xの両端部にフィン支軸22aを有し、このフィン支軸22aを介して支持筐体13側のブラケット13cに回動可能に支持されている。第3フィン23は、左右方向Xの両端部にフィン支軸23aを有し、このフィン支軸23aを介して支持筐体13側のブラケット13dに回動可能に支持されている。
【0034】
リンクロッド30は、3つのフィン21,22,23のそれぞれの連結軸21b,22b,23bを連結するためのものである。このため、リンクロッド30は、連結軸21bのための通し孔31aを有する孔部31と、連結軸22bのための通し孔32aを有する孔部32と、連結軸23bのための通し孔33aを有する孔部33と、を有する。
【0035】
リンクロッド30は、2つの連結軸21b,22bを連結する第1アーム30aと、2つの連結軸21b,23bを連結する第2アーム30bと、を有する。このリンクロッド30は、左右方向Xを板厚方向とするプレート部材である。このリンクロッド30は、左右方向Xからみたとき、第1アーム30aと第2アーム30bの境界領域が最も前側に突出し、第1アーム30aが境界領域から後側斜め上方に湾曲して延出し、且つ第2アーム30bが境界領域から後側斜め下方に湾曲して延出するような湾曲形状をなしている。
【0036】
第1フィン21において、フィン支軸21aが連結軸21bよりも前側に配置されている。第2フィン22において、フィン支軸22aが連結軸22bよりも前側に配置されている。第3フィン23において、フィン支軸23aが連結軸23bよりも後側に配置されている。また、連結軸22bと連結軸23bとを結んだ仮想直線Lよりも前側に連結軸21bが位置している。このように、連結軸21bは、残りの2つの連結軸22b,23bに対して奥行方向Yの位置が後側にずれている。これは、第2フィン22と第3フィン23のいずれも、第1フィン21よりも後側に配置されているためである。
【0037】
本形態では、フィン支軸21aと連結軸21bの軸間距離d1は、フィン支軸22aと連結軸22bの軸間距離d2、及びフィン支軸23aと連結軸23bの軸間距離d3と一致している。これにより、3つのフィン21,22,23を同期させて上下に円滑に回動させることができる。
【0038】
3.フィン21,22,23の動作
図4に示されるように、乗員が操作用ノブ24を把持して初期状態(
図2を参照)から上向きに回動させると、第1フィン21の連結軸21bは、フィン支軸21aを中心に軌跡線M1に沿って右回り方向(時計まわり方向)に回動する。したがって、リンクロッド30を介して連結軸21bと連結されている残りの連結軸22b,23bも連結軸21bと連動して同方向に回動する。すなわち、第2フィン22の連結軸22bは、フィン支軸22aを中心に軌跡線M2に沿って右回り方向に回動し、第3フィン23の連結軸23bは、フィン支軸23aを中心に軌跡線M3に沿って右回り方向に回動する。
【0039】
図5に示されるように、乗員が操作用ノブ24を把持して初期状態(
図2を参照)から下向きに回動させると、第1フィン21の連結軸21bは、フィン支軸21aを中心に軌跡線M1に沿って左回り方向(反時計まわり方向)に回動する。したがって、リンクロッド30を介して連結軸21bと連結されている残りの連結軸22b,23bも連結軸21bと連動して同方向に回動する。すなわち、第2フィン22の連結軸22bは、フィン支軸22aを中心に軌跡線M2に沿って左回り方向に回動し、第3フィン23の連結軸23bは、フィン支軸23aを中心に軌跡線M3に沿って左回り方向に回動する。
【0040】
4.フィン21,22,23とリンクロッド30との係合構造
図6及び
図7に示されるように、第1フィン21は、リンクロッド30の孔部31を左右方向Xの両側から挟み込むように連結軸21bに固定される固定部材21cを備えている。リンクロッド30の孔部31には、第1フィン21の連結軸21bを通す通し孔31aが設けられている。
【0041】
図6に示されるように、第2フィン22には、リンクロッド30の孔部32が係合する係合溝部22cと、係合溝部22cにおいてリンクロッド30の孔部32が左右方向X(フィン長手方向)に移動するのを規制する移送規制部としてのリブ22dと、が設けられている。リンクロッド30の孔部32には、第2フィン22の連結軸22bを通す通し孔32aが設けられている。係合溝部22cにリブ22dを設けることによって、リンクロッド30が孔部31を中心に傾く方向の荷重を受けたときでも、リンクロッド30の孔部32の左右方向Xの移動がリブ22dによって規制されるため、リンクロッド30の傾きが抑制される。
【0042】
図7に示されるように、第3フィン23には、リンクロッド30の孔部33が係合する係合溝部23cと、係合溝部23cにおいてリンクロッド30の孔部33が左右方向X(フィン長手方向)に移動するのを規制する移送規制部としてのリブ23dと、が設けられている。リンクロッド30の孔部33には、第3フィン23の連結軸23bを通す通し孔33aが設けられている。係合溝部23cにリブ23dを設けることによって、リンクロッド30が孔部31を中心に傾く方向の荷重を受けたときでも、リンクロッド30の孔部33の左右方向Xの移動がリブ23dによって規制されるため、リンクロッド30の傾きが抑制される。
【0043】
本形態のように、2つの係合溝部22c,23cのいずれにもリブ22d,23dを設けることによって、リンクロッド30の傾きを抑制する効果を高めることができる。一方で、リンクロッド30の傾きが殆ど生じない場合には、必要に応じて、2つのリブ22d,23dの少なくとも一方を省略するようにしても良い。また、フィン21,22,23とリンクロッド30との係合構造は、
図6及び
図7のものに限定されるものではなく、必要に応じて適宜に変更可能である。
【0044】
次に、上述の実施形態1の作用効果について説明する。
【0045】
実施形態1のレジスタ1において、3つのフィン21,22,23は、支持筐体13の通風路13aでベゼル10の空気吹出口11に対向して互いに平行に延びている。これら3つのフィン21,22,23は、リンクロッド30で連結されており、第1フィン21に設けられている操作用ノブ24が操作されることによって、同期してその向きを変更するように回動する。これにより、風向調節が可能とされている。このレジスタ1は、3つのフィン21,22,23の中で第1フィン21が他のフィン22,23よりも前側(ベゼル10の空気吹出口11側の位置)に配置されるように構成されている。
【0046】
上記構成のレジスタ1によれば、第1フィン21のみをベゼル10の空気吹出口11に近接した位置に配置することによって、この第1フィン21に設けられている操作用ノブ24の操作性を担保できる。このとき、操作用ノブ24の操作に関与する第1フィン21を除いた他のフィン22,23を第1フィン21よりも後側位置に配置している。これにより、他のフィン22,23をベゼル10の空気吹出口11側から見えにくくすることができる。
【0047】
従って、上述の実施形態1によれば、操作用ノブ24の操作性を損なうことなくフィン21,22,23を目立たなくすることができるレジスタ1を提供できる。
【0048】
実施形態1のレジスタ1によれば、3つのフィン21,22,23のフィン支軸21a,22a,23aを連結軸21b,22b,23bよりも前側に配置することで、3つのフィン21,22,23がリンクロッド30を介して同期して回動するときに、ベゼル10の空気吹出口11側から最も見えやすい第1フィン21の前端部の動きを少なく抑えることができる。
【0049】
実施形態1のレジスタ1によれば、第1フィン21の前面に設けられた加飾部25の両側からベゼル10の加飾バー17,18を連続して延ばす構造によって、第1フィン21の加飾部25が加飾バー17,18と概ね一体化して見えるようになる。これにより、第1フィン21を極力目立たなくすることができる視覚上の効果が得られる。
【0050】
実施形態1のレジスタ1によれば、第1フィン21の連結軸21bを第2フィン22の連結軸22bと第3フィン23の連結軸23bとを結んだ仮想直線Lよりも前側に配置することによって、第1フィン21が第2フィン22及び第3フィン23よりも前側に位置している場合であっても、操作用ノブ24の操作時に入力される荷重を、第1フィン21からリンクロッド30を介して第2フィン22及び第3フィン23に確実に伝達することができる。
【0051】
実施形態1のレジスタ1によれば、リンクロッド30の孔部32,33を2つのフィン22,23の係合溝部22c,23cのそれぞれに係合させることによって、第1フィン21の連結軸21bと第2フィン22及び第3フィン23の連結軸22b,23bとの間に位置ずれがあるような場合でも、リンクロッド30の動きを安定させることができる。このとき、移動規制部としてのリブ22d,23dを設けてリンクロッド30の孔部32,33が左右方向Xに移動するのを規制するようにすれば、2つのフィン22,23に対するリンクロッド30のガタつきを少なくすることができ、リンクロッド30の傾きを抑制することができる。また、リブ22d,23dを設けることにより、リンクロッド30の孔部32,33が2つのフィン22,23と接触して経年等で削れるのを抑制することができる。
【0052】
本発明は、上述の典型的な形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変形が考えられる。例えば、上述の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0053】
上述の形態では、3つのフィン21,22,23をリンクロッド30で連結する場合について例示したが、フィンの数は3つの限定されるものではなく、必要に応じて適宜にフィンの数を設定することができる。
【0054】
上述の形態では、リンクロッド30によって連結される3つのフィン21,22,23が左右方向Xに延びる水平フィンである場合について例示したが、これに代えて、これら3つのフィン21,22,23を上下方向Zに延びる垂直フィンに変更しても良い。
【0055】
上述の形態では、3つのフィン21,22,23のフィン支軸21a,22a,23aが連結軸21b,22b,23bよりも前側に配置される場合について例示したが、これに代えて、フィン支軸21a,22a,23aが連結軸21b,22b,23bよりも後側に配置される構造を採用することもできる。
【0056】
上述の形態では、第1フィン21の前面に加飾部25を設ける場合について例示したが、必要に応じてこの加飾部25を省略しても良い。
【0057】
上述の形態では、車両のインストルメントパネルに取付けられるレジスタ1について例示したが、このレジスタ1の取付け箇所はインストルメントパネルに限定されるものではなく、必要に応じて、車室に面する適宜の箇所をレジスタ1の取付け箇所とすることができる。
【符号の説明】
【0058】
1…レジスタ、 10…ベゼル、 11…空気吹出口、 13…支持筐体、 13a…通風路、 17,18…加飾バー、 20,21,22,23…水平フィン(フィン)、21…第1水平フィン(第1フィン、主動フィン)、 21a,22a,23a…フィン支軸、 21b,22b,23b…連結軸、 22…第2水平フィン(第2フィン、他のフィン)、 22c,23c…係合溝部、 22d,23d…リブ(移動規制部)、 23…第3水平フィン(第3フィン、他のフィン)、 24…操作用ノブ、 25…加飾部、 30…リンクロッド、 31,32,33…孔部、 31a,32a,33a…通し孔、 L…仮想直線、 X…フィン長手方向