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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082040
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】管理機及び圃場管理方法
(51)【国際特許分類】
   A01B 49/04 20060101AFI20240612BHJP
【FI】
A01B49/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195742
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】515267611
【氏名又は名称】有限会社鷹岡工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100092923
【弁理士】
【氏名又は名称】石垣 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187757
【弁理士】
【氏名又は名称】石垣 春樹
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 英明
【テーマコード(参考)】
2B034
【Fターム(参考)】
2B034AA09
2B034BA01
2B034BB02
2B034BC05
2B034BD03
2B034BE03
2B034JA07
2B034JA17
2B034JB18
(57)【要約】
【課題】従来自走式の管理機を使用して行うことができなかった苗の植え付けを自走式の管理機を使用して行うことができるようにして、作業者の労力を軽減し、更に効率的で操作性と安全性に優れた管理機を提供する。
【解決手段】本発明の管理機1は、進行方向Yの後方-Yに走行輪7、進行方向Yの前方+Yにロータリーユニット11が配置された管理機であって、エンジン5と、左右一対の走行輪7L、7Rと、ロータリーユニット11と、走行輪7とロータリーユニット11に動力を伝達する第1動力伝達機構15と、操作ハンドル3と、誘導溝形成部12と、誘導溝形成部12に動力を伝達する第2動力伝達機構16と、を備え、更に管理機本体2と管理機本体2に取り付けられる移植ユニット301との間には、植え付け位置303と、退避位置305との間で取り付け位置が切り替え可能な移植ユニット取付け構造307が設けられていることによって構成されている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕作地の地面に作用して所望の圃場管理作業を行う、進行方向後方に走行輪、進行方向前方にロータリーユニットが配置された自走式の管理機において、
上記走行輪とロータリーユニットを駆動する動力を生成するエンジンと、
上記エンジンの出力軸の回転を所定の方向と所定の回転数の回転に変換して走行輪とロータリーユニットとに伝達する第1動力伝達機構と、
上記第1動力伝達機構によって伝達された動力を受けて所定の方向に所定の回転数で回転する左右一対の走行輪と、
上記第1動力伝達機構によって伝達された動力を受けて植え付けを除く所望の圃場管理作業を実行するロータリーユニットと、
上記エンジンが搭載された管理機本体を支持して舵を取る操作ハンドルと、
上記ロータリーユニットによって掘削された植え付け溝の所定ピッチ側方に管理機の進行方向を案内する誘導溝を形成する、管理機本体に対して着脱可能に設けられる誘導溝形成部と、
上記誘導溝形成部を駆動する動力を上記第1動力伝達機構から分配して誘導溝形成部に伝達する第2動力伝達機構と、を備え、
上記管理機本体の進行方向の後方部位と、該後方部位に取り付けられる移植ユニットとの間には、着脱式の移植ユニットを植え付け溝に作用させる植え付け位置と植え付け溝の上方に持ち上げた退避位置との間で切り替え可能な移植ユニット取付け構造が設けられていることを特徴とする管理機。
【請求項2】
上記移植ユニット取付け構造は、軸部とソケット部とからなる嵌め合い手段と、
ロックピンと係合凹部とを有するロック手段と、
当接部とロック解除片とを有するロック解除手段と、を備え、
上記係合凹部は揺動支点を中心に揺動する揺動アームの揺動支点寄りの中間部に設けられ、上記当接部は上記揺動アームの自由端に設けられており、
上記揺動アームが付勢バネの付勢力によりロックピン側に付勢されることで上記係合凹部にロックピンが係合する移植ユニットの下端を地面の上方に持ち上げた退避位置でロック状態が維持され、
上記ロック解除片がロック解除レバーの操作により上記当接部を押し上げることによって、上記揺動アームが揺動支点を中心にロックピンから離れる方向に揺動することで上記係合凹部とロックピンとの係合ロック状態が解除され、移植ユニットの下端が地面に接地した植え付け位置に移行するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の管理機。
【請求項3】
上記移植ユニットは、生分解性の長尺な帯状部材により苗を植えるポットと隣接するポット間を接ぐ連結部とを交互に連続するように形成した連結ポットに対応した移植ユニットであって、
上記連結ポットを集合状態にして収容した苗箱をセットする、進行方向後方に傾斜した傾斜トレーと、
集合状態の連結ポットを始端側から順次引き出して植え付け位置まで案内する案内経路及び複数のガイドローラと、
植え付け位置に供給されたポット内の苗の側傍の地面を鎮圧して苗の根を定着させるための鎮圧ローラと、を有し、
上記案内経路の中間部に設けられる樋状のシュートの上流位置には、傾斜トレーの底面と平行な第1ローラ対が上流側に開くようにV字状に配置されると共に、
上記シュートの底面と傾斜トレーの底面とを段差が生じないように連絡する案内スロープが設けられていることを特徴とする請求項1記載の管理機。
【請求項4】
上記管理機のロータリーユニットの進行方向前方位置には、ロータリーユニットによって耕耘され跳ね上げられた土を管理機の側方外部に導く第1動力伝達機構により動力が伝達される搬送ユニットが設けられていることを特徴とする請求項1記載の管理機。
【請求項5】
上記管理機の走行輪の側部外方位置には、周囲にスパイク突起が形成された合成樹脂製で傘状の鎮圧ホイールが設けられていることを特徴とする請求項1記載の管理機。
【請求項6】
上記管理機の操作ハンドルの左右には、左旋回クラッチレバーと右旋回クラッチレバーがそれぞれ一対ずつ設けられていることを特徴とする請求項1記載の管理機。
【請求項7】
上記管理機本体の進行方向の中央部には、該中央部に揺動支点を有する3本の揺動支持アームが進行方向前方に向けてアーチ状に延びていて、そのうち中央の第1揺動支持アームの先端には、耕作地の地面と平行に配置され、土揚げ時において誘導溝の側壁に当接して管理機の進行を案内する誘導輪と、誘導溝底面の地面に接地して回転する前方補助輪と、左旋回時、右旋回時、Uターン時に上記前方補助輪の向きを変える旋回ハンドルと、が設けられており、
上記第1揺動支持アームの左右に位置する2本の第2揺動支持アームの先端には、誘導溝の左右の耕作地の地面に接地して回転する側方補助輪と、管理機の進行方向前方を覆う前方ガード板と、を備えたガードフレームが取り付けられていて、
更に、上記第1揺動支持アームの基端部には、上記前方補助輪の接地高さを調節する昇降ハンドルが設けられており、
上記第2揺動支持アームの基端部には、上記側方補助輪の接地高さを地面の凹凸に合わせて自動的に調節するための接地方向に付勢された付勢バネが設けられていることを特徴とする請求項1記載の管理機。
【請求項8】
耕作地の地面に作用して所望の圃場管理作業を行う、進行方向後方に走行輪、進行方向前方にロータリーユニットが配置された自走式の管理機を使用することによって実行される圃場管理方法において、
平らに耕して整地した耕作地の地面に対して、栽培する野菜の苗を植え付けるための植え付け溝と、次工程以降で使用する管理機の進行方向を案内するための誘導溝と、を同時に形成しながら、形成した植え付け溝に苗を植え付けて行く、植え付け溝・誘導溝形成・植え付け工程と、
移植ユニットと誘導溝形成部と第2動力伝達機構とを管理機本体から取り外し、隣接する植え付け溝の間に形成した誘導溝に機体前方の軌間幅中央に設けられる前方補助輪を位置合わせして進行させることによって左右の植え付け溝を埋め戻しながら誘導溝の幅を拡張して行く埋め戻し工程と、
拡幅した誘導溝に機体前方の軌間幅中央に設けられる誘導輪と前方補助輪とを位置合わせして進入させることによって、埋め戻された左右の植え付け溝上に土揚げして畝を形成し畝を段階的に高くして行く土揚げ工程と、を備えていることを特徴とする圃場管理方法。
【請求項9】
上記植え付け溝・誘導溝形成・植え付け工程では、耕耘列の終端に達したところで、移植ユニットを上方に持ち上げた退避位置に移動させて機体を旋回させた後、隣接する次の耕耘列の開始位置に移動させたところで、移植ユニットを下方に降ろした植え付け位置に移動させて当該耕耘列に進入させるようにしたことを特徴とする請求項8記載の圃場管理方法。
【請求項10】
上記、埋め戻し工程と土揚げ工程では耕耘列の終端から隣接する次の耕耘列の開始位置に至る旋回エリアでも、ロータリーユニットを駆動して誘導溝の拡幅と土揚げを連続的に行うようにしたことを特徴とする請求項8記載の圃場管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植え付け前の溝掘り作業、植え付け後の埋め戻し作業及び埋め戻し後の土揚げ作業を一台の管理機を使用して行うことのできる自走式の管理機及び当該管理機を使用した圃場管理方法に係り、特に白ネギ等の長根の野菜の栽培に適した操作性と安全性を兼ね備え、更に植え付け作業にも対応した生産性に優れた管理機及び当該管理機を使用した圃場管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンの出力軸の回転を利用して、各種の作業を行う作業機械が従来から種々開発され、各種の作業現場で使用されている。例えば、農業の分野では耕作地(圃場)の地面を掘削して耕耘することで平らに整地し、更に畝立て、溝掘り、土寄せ等の一般的な圃場管理作業を行う場合には、比較的畝間の間隔が広い規模の大きな圃場では乗用式のトラクターが多く使用されている。
一方、小規模の畑や畝間の間隔が狭い圃場では、作業者が例えば両手で操作ハンドルを握った状態で管理機と共に歩きながら移動する自走式の小型の管理機が使用されている。
【0003】
そして、白ネギやゴボウ、長芋等の長根の野菜の栽培には、進行方向後方に走行輪、進行方向前方にロータリーユニットを備えた下記の特許文献1、2に示すような自走式の管理機が多く使用されている。
また、これらの自走式の管理機にはロータリーユニットが、耕耘、畝立て、溝掘り、土寄せ等の目的の違いに応じて複数の種類用意されており、当該圃場で行う管理作業に応じて、適宜ロータリーユニットを付け替えて目的に応じた圃場管理作業が行われている。
【0004】
一方、植え付け作業は、上記自走式の管理機を使用した圃場管理作業と切り離して別に行われており、下記の特許文献3に示すような連結ポット式の簡易移植機等を使用して、作業者が当該移植機のハンドルを握って後向きで移動することで、各ポットに収容されている苗を順次引き出しながら植え付け作業が行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-233489号公報
【特許文献2】特開2012-49号公報
【特許文献3】特開2019-71827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような自走式の管理機では、常に操作ハンドルを握って耕耘列に沿った直線的な耕耘作業と、耕耘列の終端に達したところで管理機を旋回して方向転換し、次の耕耘列に移行させる移行作業と、を複数回繰り返さなければならず、作業者に多大な労力を強いることになっていた。
また、植え付け作業時には、上記自走式の管理機は使用できず、該管理機に代えて別途、連結ポット式の簡易移植機等を圃場に入れて植え付け作業を行わなければならず、一連の圃場管理作業の連続的かつ効率的な実施を妨げる一つの要因となっていた。
【0007】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、その多くが同じ作業の繰り返しとなり、常に操作ハンドルを握って長時間作業しなければならなかった作業者の多大な労力を軽減することと、従来の自走式の管理機を使用して行うことができなかった植え付け作業を自走式の管理機を使用して行えるようにすることで一連の圃場管理作業の連続性と効率性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するべく本発明の請求項1による管理機は、耕作地の地面に作用して所望の圃場管理作業を行う、進行方向後方に走行輪、進行方向前方にロータリーユニットが配置された自走式の管理機において、上記走行輪とロータリーユニットを駆動する動力を生成するエンジンと、上記エンジンの出力軸の回転を所定の方向と所定の回転数の回転に変換して走行輪とロータリーユニットとに伝達する第1動力伝達機構と、上記第1動力伝達機構によって伝達された動力を受けて所定の方向に所定の回転数で回転する左右一対の走行輪と、上記第1動力伝達機構によって伝達された動力を受けて植え付けを除く所望の圃場管理作業を実行するロータリーユニットと、上記エンジンが搭載された管理機本体を支持して舵を取る操作ハンドルと、上記ロータリーユニットによって掘削された植え付け溝の所定ピッチ側方に管理機の進行方向を案内する誘導溝を形成する、管理機本体に対して着脱可能に設けられる誘導溝形成部と、上記誘導溝形成部を駆動する動力を上記第1動力伝達機構から分配して誘導溝形成部に伝達する第2動力伝達機構と、を備え、上記管理機本体の進行方向の後方部位と、該後方部位に取り付けられる移植ユニットとの間には、着脱式の移植ユニットを植え付け溝に作用させる植え付け位置と植え付け溝の上方に持ち上げた退避位置との間で切り替え可能な移植ユニット取付け構造が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項2による管理機は、請求項1記載の管理機において、上記移植ユニット取付け構造は、軸部とソケット部とからなる嵌め合い手段と、ロックピンと係合凹部とを有するロック手段と、当接部とロック解除片とを有するロック解除手段と、を備え、上記係合凹部は揺動支点を中心に揺動する揺動アームの揺動支点寄りの中間部に設けられ、上記当接部は上記揺動アームの自由端に設けられており、上記揺動アームが付勢バネの付勢力によりロックピン側に付勢されることで上記係合凹部にロックピンが係合する、移植ユニットの下端を地面の上方に持ち上げる退避位置でロック状態が維持され、上記ロック解除片がロック解除レバーの操作により上記当接部を押し上げることによって上記揺動アームが揺動支点を中心にロックピンから離れる方向に揺動することで上記係合凹部とロックピンとの係合ロック状態が解除され、移植ユニットの下端が地面に設置した植え付け位置に移行するように構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項3による管理機は、請求項1記載の管理機において、上記移植ユニットは、生分解性の長尺な帯状部材により苗を植えるポットと隣接するポット間をつなぐ連結部とを交互に連続するように形成した連結ポットに対応した移植ユニットであって、上記連結ポットを集合状態にして収容した苗箱をセットする、進行方向後方に傾斜した傾斜トレーと、集合状態の連結ポットを始端側から順次引き出して植え付け位置まで案内する案内経路及び複数のガイドローラと、植え付け位置に供給されたポット内の苗の側傍の地面を鎮圧して苗の根を定着させるための鎮圧ローラと、を有し、上記案内経路の中間部に設けられる樋状のシュートの上流位置には傾斜トレーの底面と平行な第1ローラ対が上流側が開くようにV字状に配置されると共に、上記シュートの底面と傾斜トレーの底面とを段差が生じないように連絡する案内スロープが設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項4による管理機は、請求項1記載の管理機において、上記管理機のロータリーユニットの進行方向前方位置にはロータリーユニットによって耕耘され跳ね上げられた土を管理機の側方外部に導く第1動力伝達機構により動力が伝達される搬送ユニットが設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項5による管理機は、請求項1記載の管理機において、上記管理機の走行輪の側部外方位置には周囲にスパイク突起が形成された合成樹脂製で傘状の鎮圧ホイールが設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項6による管理機は、請求項1記載の管理機において、上記管理機の操作ハンドルの左右には、左旋回クラッチレバーと右旋回クラッチレバーがそれぞれ一対ずつ設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項7による管理機は、請求項1記載の管理機において、上記管理機本体の進行方向の中央部には、該中央部に揺動支点を有する3本の揺動支持アームが進行方向前方に向けてアーチ状に延びていて、そのうち中央の第1揺動支持アームの先端には、耕作地の地面と平行に配置され、土揚げ時において誘導溝の側壁に当接して管理機の進行を案内する誘導輪と、誘導溝底面の地面に接地して回転する前方補助輪と、左旋回時、右旋回時及びUターン時に上記前方補助輪の向きを変える旋回ハンドルと、が設けられており、上記第1揺動支持アームの左右2本の第2揺動支持アームの先端には、誘導溝の左右の耕作地の地面に接地して回転する側方補助輪と、管理機の進行方向前方を覆う前方ガード板を備えたガードフレームと、が取り付けられていて、更に、上記第1揺動支持アームの基端部には上記前方補助輪の接地高さを調節する昇降ハンドルが設けられており、上記第2揺動支持アームの基端部には、上記側方補助輪の接地高さを地面の凹凸に合わせて自動的に調節するための接地方向に付勢させる付勢バネが設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項8による圃場管理方法は、耕作地の地面に作用して所望の圃場管理作業を行う、進行方向後方に走行輪、進行方向前方にロータリーユニットが配置された自走式の管理機を使用することによって実行される圃場管理方法において、平らに耕して整地した耕作地の地面に対して、栽培する野菜の苗を植え付けるための植え付け溝と、次工程で使用する管理機の進行方向を案内する誘導溝と、を同時に形成しながら、形成した植え付け溝に苗を植え付けて行く、植え付け溝・誘導溝形成・植え付け工程と、移植ユニットと誘導溝形成部と第2動力伝達機構とを管理機本体から取り外し、隣接する植え付け溝の間に形成した誘導溝に機体前方の軌間幅中央に設けられる前方補助輪を位置合わせして進行させることによって左右の植え付け溝を埋め戻しながら誘導溝の幅を拡張して行く埋め戻し工程と、拡幅した誘導溝に機体前方の軌間幅中央に設けられる誘導輪と前方補助輪とを位置合わせして進入させることによって、埋め戻された左右の植え付け溝上に土揚げして畝を形成し畝を段階的に高くして行く土揚げ工程と、を備えていることを特徴とするものである。
【0016】
また、請求項9による圃場管理方法は、請求項8記載の圃場管理方法において、上記植え付け溝・誘導溝形成・植え付け工程では、耕耘列の終端に達したところで、移植ユニットを上方に持ち上げた退避位置に移動させて機体を旋回させた後、隣接する次の耕耘列の開始位置に移動させたところで、移植ユニットを下方に降ろした植え付け位置に移動させて当該耕耘列に進入させるようにしたことを特徴とするものである。
【0017】
また、請求項10による圃場管理方法は、請求項8記載の圃場管理方法において、上記埋め戻し工程と土揚げ工程では耕耘列の終端から隣接する次の耕耘列の開始位置に至る旋回エリアでも、ロータリーユニットを駆動して誘導溝の拡幅と土揚げを連続的に行うようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
上記手段によって以下のような効果が得られる。即ち、本発明の管理機によると、ロータリーユニットの他に誘導溝形成部が設けられているから、ロータリーユニットによって掘削された植え付け溝の所定ピッチ側方に誘導溝が形成される。従って、隣接する次の耕耘列あるいは後続の工程の圃場管理作業を行う際に、この誘導溝を案内にして管理機を進行できるから、作業者が操作ハンドルを常に握って操作しなくても管理機は安定して走行することができ、作業者の労力が軽減される。
また、誘導溝形成部を駆動する動力として、第2動力伝達機構を介して第1動力伝達機構から分配する形で必要な動力を得ているから、部品の有効利用を図ってコンパクトで軽量かつ機能性に優れた管理機を提供できるようになる。
【0019】
また、移植ユニット取付け構造を介して管理機本体に対して移植ユニットを取り付けた場合には、従来管理機とは別の移植装置を使用して行っていた植え付け作業が管理機を使用して行うことができるようになり、作業性が向上する。
また、管理機本体に取り付けた移植ユニットは、植え付け溝に作用する植え付け位置と、植え付け溝の上方に持ち上げた退避位置とをとることができるから、苗の植え付けを行わない耕耘列終端の旋回エリアでは、移植ユニットを退避位置に持ち上げて旋回し、次の耕耘列の開始位置に進入させることが可能になる。
【0020】
また、移植ユニット取付け構造において、軸部とソケット部とからなる嵌め合い手段を備えた場合には、取り付けられた移植ユニットの姿勢が安定し確実な移植ユニットの保持が図れるようになる。
また、移植ユニットを退避位置にした状態を維持するロックピンと係合凹部とからなるロック手段を備えた場合には、移植ユニットを退避位置にした状態を保持して旋回エリアでの管理機の旋回が円滑に行えるようになる。
また、ロック解除レバーの操作によりロック解除を作動させて当接部を押し上げて上記ロックピンと係合凹部とのロック状態を解除するロック解除手段を設けた場合には、退避位置で保持していた移植ユニットを速やかに植え付け位置に移行させることが可能になり、円滑な植え付け作業の再開が可能になる。
【0021】
また、移植ユニットを傾斜トレーと、案内経路及び複数のガイドローラと、鎮圧ローラと、を有する連結ポット対応の移植ユニットとし、案内経路の中間部のシュートの上流位置に傾斜トレーの底面と平行な第1ローラ対を設けてV字状に配置すると共に、シュートの底面と傾斜トレーの底面とが段差が生じないように連絡する案内スロープを設けた場合には、集合状態の連結ポットから引き出されるポット苗の植え付け位置までの供給が円滑かつ速やかに行われるようになる。
【0022】
また、ロータリーユニットの進行方向前方位置に、ロータリーユニットによって耕耘され跳ね上げられた土を管理機の側方外部に導く第1動力伝達機構により動力が伝達される搬送ユニットを設けた場合には、埋め戻しや土揚げに利用する土を十分な量、円滑に供給することが可能になる。
また、搬送ユニットを駆動する動力としてロータリーユニットと同じ第1動力伝達機構を利用することで、ロータリーユニットの回転に同期した搬送ユニットの作動が可能になる。
【0023】
また、走行輪の側部外方位置に、周囲にスパイク突起が形成された合成樹脂製で傘状の鎮圧ホイールを設けた場合には、ロータリーユニットで掘削した植え付け溝や拡幅した誘導溝の側壁を鎮圧して崩れにくく押し固めることが可能になる。
また、スパイク突起が地面に刺さりながら鎮圧ホイールが回転することで、土の逃げを防止することができる。また、合成樹脂製の鎮圧ホイールとすることで、溝の側壁の形状に応じて適宜弾性変形するから、溝の側壁の凹凸や起伏の変化にも対応することが可能になる。
【0024】
また、操作ハンドルの左右に左旋回クラッチレバーと右旋回クラッチレバーをそれぞれが一対ずつ設けた場合には、管理機に対する作業者の位置が変わっても、近くにある左旋回クラッチレバーないし右旋回クラッチレバーを操作して管理機を左旋回ないし右旋回させることができる。
また、中央に昇降動する第1揺動支持アームを設け、その先端に耕作地の地面と平行に配置される誘導輪を設けた場合には、該誘導輪が拡幅された誘導溝の側壁に摺接することで左右にぶれのない管理機の円滑な進行を実現することができる。
【0025】
また、第1揺動支持アームの先端に前方補助輪と該前方補助輪の向きを変える旋回ハンドルを設けた場合には、特に拡幅前の誘導溝に対する追従性が向上し、誘導溝からの前方補助輪の脱線を未然に防止することが可能になる。
また、昇降ハンドルを操作することで誘導輪と前方補助輪を誘導溝に作用する位置と作用しない位置とに切り替えることができるから、適宜必要に応じて誘導輪と前方補助輪を昇降動させて耕作地での耕耘、旋回エリアでの旋回あるいは耕作地以外での移動を円滑に切り替えることが可能になる。また、繰り返し行う耕耘作業によって徐々に深くなる誘導溝の深さ対応して第1揺動支持アームの昇降高さを最適な高さに調整することも可能になる。
【0026】
また、上記第1揺動支持アームの左右に第2揺動支持アームを設け、その先端に側方補助輪、その基端部に接地方向に付勢される付勢バネを設けた場合には、耕作地の地面の凹凸や起伏に応じて側方補助輪の接地高さを自動的に調整することが可能になる。
また、第2揺動支持アームの先端に管理機の進行方向前方を覆う前方ガード板を備えたガードフレームを取り付けた場合には、作業中に管理機が障害物等に衝突した時のダメージを小さくすることができ、作業中、管理機に人が近付いた時の不用意な衝突による怪我の発生等を未然に防止することが可能になる。
【0027】
また、本発明の圃場管理方法によると、植え付け溝・誘導溝形成・植え付け工程において、植え付け溝の形成と、誘導溝の形成と、苗の植え付けと、を同時に行うことができるから、従来別工程で行っていた植え付け溝の形成と苗の植え付けを単一の工程で同時に実行することが可能になり、作業時間の短縮と作業労力の大幅な軽減とが図られるようになる。
また、埋め戻し工程において、苗を植え付けた植え付け溝を埋め戻しながら誘導溝の幅を拡張することができるから、次に行う土揚げ工程からは拡幅した誘導溝の側壁に誘導輪を摺接させて左右にぶれのない円滑な管理機の進行を実行することができる。
【0028】
また、上記植え付け溝・誘導溝形成・植え付け工程において、耕耘列の終端に達したところで移植ユニットを上方に持ち上げた場合には、旋回エリアでは苗の植え付けを行わないで管理機の旋回のみを行うことが可能になる。
また、次の耕耘列の開始位置まで移動したときには、再び移植ユニットを下降させて、当該耕耘列での苗の植え付けに速やかに移行することが可能になる。
【0029】
また、上記埋め戻し工程と土揚げ工程において、旋回エリアでもロータリーユニットを駆動して誘導溝の拡幅と土揚げを連続して行うようにした場合には、直線的な耕耘列をアーチ状の曲線的な耕耘列でつなげた長大な一本の耕耘列とすることができるから、連続的な耕耘作業が可能になって、圃場管理作業の作業時間の大幅な短縮と一層の作業労力の軽減を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施の形態を示す図で、管理機を斜め前方から見た状態を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態を示す図で、管理機を斜め後方から見た状態を示す斜視図である。
図3】本発明の実施の形態を示す図で、管理機を示す右側面図である。
図4】本発明の実施の形態を示す図で、管理機を示す左側面図である。
図5】本発明の実施の形態を示す図で、管理機の操作ハンドル周辺を示す背面図である。
図6】本発明の実施の形態を示す図で、管理機本体に取り付ける移植ユニットを示す平面図である。
図7】本発明の実施の形態を示す図で、管理機本体に取り付ける移植ユニットを示す側面図である。
図8】本発明の実施の形態を示す図で、移植ユニット取付け構造を示す移植ユニットが植え付け位置のときの側面図である。
図9】本発明の実施の形態を示す図で、移植ユニット取付け構造を示す移植ユニットが退避位置のときの側面図である。
図10】本発明の実施の形態を示す図で、管理機の誘導溝形成部と第2動力伝達機構を示す斜視図である。
図11】本発明の実施の形態を示す図で、管理機の誘導溝形成部、第2動力伝達機構、前方補助輪、側方補助輪及びガードフレームを示す平面図である。
図12】本発明の実施の形態を示す図で、管理機の主クラッチレバーと安全停止バーを示す側面図である。
図13】本発明の実施の形態を示す図で、管理機のロータリークラッチレバーと補助ロータリークラッチレバーを示す側面図である。
図14】本発明の実施の形態を示す図で、管理機のドライブシャフトと左側動力切換えクラッチと右側動力切換えクラッチを分解した状態を示す背面図である。
図15】本発明の実施の形態を示す図で、管理機のドライブシャフトと左側動力切換えクラッチを示す側面図(a)と背面図(b)である。
図16】本発明の実施の形態を示す図で、管理機のエンジンを駆動源とする動力伝達経路を模式的に示す平面図である。
図17】本発明の実施の形態を示す図で、管理機の尾輪の高さ調整機構を示す側面図である。
図18】本発明の実施の形態を示す図で、管理機の鎮圧ホイールと叩き板の位置関係を示す背面図である。
図19】本発明の実施の形態を示す図で、誘導輪と前方補助輪と旋回ハンドルの組付け状態を示す側断面図(a)とハンドル座板の平面図(b)である。
図20】本発明の実施の形態を示す図で、管理機本体に取り付ける方向転換用の補助ハンドルの一例を示す平面図である。
図21】本発明の実施の形態を示す図で、白ネギを栽培する場合の一連の圃場管理作業を示す説明図である。
図22】本発明の実施の形態を示す図で、植え付け溝と誘導溝の形成レイアウトと土揚げ時の管理機の進行レイアウトの一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図示の実施の形態を例にとって、本発明の管理機の構成と、その作動態様に併せて本発明の圃場管理方法の内容について具体的に説明する。
尚、以下の説明では最初に本発明の管理機の全体構成について説明する。次に、本発明の管理機の要部の具体的構成について説明し、作動態様の説明が必要になる要部については対応する作動態様を併せて簡単に説明する。
【0032】
続いて、このようにして構成される管理機を使用することによって実行される本発明の圃場管理方法の内容を圃場管理作業に従って工程ごとに説明する。
更に、このようにして構成される管理機及び圃場管理方法の作用、効果について言及した後、最後に上記実施の形態とは部分的構成を異にする他の実施の形態の構成ないし内容について簡単に説明する。
【0033】
(1)管理機の全体構成(図1図4及び図16参照)
本発明の管理機1は、耕作地Gの地面GLに作用して所望の圃場管理作業を行う、進行方向Yの後方-Yに走行輪7、進行方向Yの前方+Yにロータリーユニット11が配置された自走式の管理機である。
尚、ロータリーユニット11としては、植え付け溝Dの形成、埋め戻し、土揚げ等の圃場管理作業が可能なロータリーユニットが使用される。
図示の管理機1では、植え付け溝Dの形成が可能な耕耘爪37が取り付けられた耕耘刃9を備えたロータリーユニット11が図示されており、このロータリーユニット11は、耕作地Gの地面GLを掘削して、掘削した土Mを前方+Yまたは左右の側方+X、-Xに跳ね上げて所定深さEの植え付け溝Dを形成する。
【0034】
具体的には本発明の管理機1は、走行輪7とロータリーユニット11を駆動する動力を生成するエンジン5と、エンジン5の出力軸6の回転を、所定の方向の所定の回転数の回転に変換して走行輪7とロータリーユニット11に伝達する第1動力伝達機構15と、第1動力伝達機構15によって伝達された動力を受けて所定の方向に所定の回転数で回転する左右一対の走行輪7L、7Rと、上記第1動力伝達機構15によって伝達された動力を受けて所望の圃場管理作業を直接実行する上述したロータリーユニット11と、ロータリーユニット11によって掘削された植え付け溝Dの所定ピッチAの側方に管理機1の進行方向Yを案内する誘導溝Vを形成する、管理機本体2に対して着脱可能に設けられる誘導溝形成部12と、誘導溝形成部12を駆動する動力を第1動力伝達機構15から分配して誘導溝形成部12に伝達する第2動力伝達機構16と、を備えることによって基本的に構成されている。
【0035】
また、本発明の特徴的構成として上記管理機1には、管理機本体2の進行方向Yの後方位置-Yと、該後方位置-Yに取り付けられる移植ユニット301との間には、着脱式の移植ユニット301を植え付け溝Dに作用させる植え付け位置303と植え付け溝Dの上方に持ち上げた退避位置305との間で切り替え可能な移植ユニット取付け構造307が設けられている。
【0036】
また、本実施の形態による管理機1には、上記ロータリーユニット11の進行方向Yの前方位置+Yにロータリーユニット11によって耕耘され跳ね上げられた土Mを管理機1の側方+X、-Xの外部に導く、ロータリーユニット11と同じ第1動力伝達機構15により動力が伝達される搬送ユニット14が設けられている。
また、管理機1の走行輪7の側部+X、-Xの外方位置には、周囲にスパイク突起18aが形成された合成樹脂製の傘状の鎮圧ホイール18が設けられている。
【0037】
また、上記操作ハンドル3の左右には、左旋回クラッチレバー133と右旋回クラッチレバー135がそれぞれ一対設けられている。尚、図面中では操作ハンドル3の左側に配置されている左旋回クラッチレバーを133L、右旋回クラッチレバーを135Lとし、操作ハンドル3の右側に配置されている左旋回クラッチレバーを133R、右旋回クラッチレバーを135Rとして区別している。
また、管理機本体2の進行方向Yの中央部には、該中央部に揺動支点J2を有する3本の揺動支持アーム93A、93B、93Cが進行方向Yの前方+Yに向けてアーチ状に延びている。そして、そのうち中央の第1揺動支持アーム93Aの先端93bには、耕作地Gの地面GLと平行に配置され、埋め戻し時と土揚げ時において誘導溝Vの側壁に当接して管理機1の進行を案内する誘導輪60と、誘導溝V底面の地面GLに接地して回転する前方補助輪61と、左旋回時、右旋回時、Uターン時に上記前方補助輪61の向きを変える旋回ハンドル64と、が設けられている。
【0038】
また、上記第1揺動支持アーム93Aを挟んで位置する左右2本の第2揺動支持アーム93B、93Cの先端93bには、誘導溝Vの左右の耕作地Gの地面GLに接地して回転する側方補助輪145L、145Rと、管理機1の進行方向Yの前方+Yを覆う前方ガード板139を備えたガードフレーム141と、が取り付けられている。
更に、上記第1揺動支持アーム93Aの基端部93aには、上記前方補助輪61の接地高さを調節する昇降ハンドル63が設けられており、上記第2揺動支持アーム93B、93Cの基端部93aには、上記側方補助輪145L、145Rの接地高さを地面GLの凹凸に合わせて自動的に調節するための設置方向-Zに付勢させる付勢バネ94が設けられている。
【0039】
また、管理機本体2の進行方向Yの後方位置-Yには、幅方向Xに水平に架け渡され支点22aを中心に上下に揺動自在に尾輪支持フレーム22が設けられており、この尾輪支持フレーム22の左右両端部には尾輪23L、23Rが着脱自在に取り付けられている。
また、上記尾輪23L、23Rの高さ調整は、管理機本体2側に設けられる高さ調整レバー20に設けられている一例として7つの係止爪20aの選択位置を変えることによって、上記尾輪23L、23Rの高さを一例として7段階に変えることができるようになっている。尚、尾輪23L、23Rの高さ調整は、複数回行われる後述する土揚げの際に行われる。
【0040】
この他、上記操作ハンドル3の側方+X、-Xには、高さ方向Zに延びるトレー支持フレーム66が設けられていて、苗箱69を載置する載置トレー68が片側3段ずつ左右両側で計6個、適宜補強板67等によって補強された状態で平行に設けられている。以下、これらの構成を更に具体的に説明して行く。
先ず、進行方向Yの後方位置-Yには、管理機本体2の支持フレーム2Aによって支持されているエンジン5と、該エンジン5の上部に燃料タンクTが配置されている。
また、上記支持フレーム2Aには、一例として円形断面のパイプ材を門型に折り曲げた操作ハンドル3が取り付けられており、該操作ハンドル3は、図2図3及び図4に示すように側面から見ると、支持フレーム2Aから後方の斜め上方に向けて延びた後、垂直方向上方に延び、更に前方の斜め上方に向けて延びるように折り曲げられている。そして、図示の実施の形態では、操作ハンドル3のグリップ4の位置は、エンジン5及び燃料タンクTの上方に位置するように設定されている。
【0041】
また、上記操作ハンドル3が設けられる進行方向Yの操作側には、運転、停止を切り替えるエンジンスイッチ73と、ロータリーユニット11の図示しないロータリークラッチの断接を切り換えるロータリークラッチレバー75と、エンジン5の出力を調整するスロットルレバー77と、走行輪7への動力の伝達と遮断を切り換える主クラッチレバー79と、ミッション17中でギヤの正逆転を切り替える正逆転切替えレバー81と、走行輪7の速度を低速、中速、高速等に段階的に切り替える主変速レバー83と、左旋回時に操作する上述した左旋回クラッチレバー133L、133Rと、右旋回時に操作する上述した右旋回クラッチレバー135L、135Rと、が配置されている。
また、上記操作ハンドル3のグリップ4の前方+Yには、上述した前方補助輪61の高さ調節用の調節ハンドル63が臨んでおり、前方補助輪61の高さを調節することで上記ロータリーユニット11の耕耘刃9の高さを調節している。
【0042】
上記操作ハンドル3が取り付けられている支持フレーム2Aには、エンジン5の進行方向Yの前方+Yにかけての部位に主動力伝達機構65と第1動力伝達機構15を備えたミッション17が配置されている。尚、ミッション17内に備えられている主動力伝達機構65と第1動力伝達機構15については後述する。
上記操作ハンドル3が取り付けられている支持フレーム2Aの左右には、エンジン5からの動力を受けて正転方向と逆転方向とに回転する左右一対の走行輪7L、7Rが配置されている。尚、これらの走行輪7L、7Rの上方位置には、図示を省略した泥除けカバーが各別に取り付けられている。
【0043】
上記ミッション17の下方には、単一の耕耘ロータリー112によって一例として構成されているロータリーユニット11が配置されており、この耕耘ロータリー112の左右の側方+X、-Xの上方位置には、掘削した土Mの飛散を防止する飛散防止カバー21L、21Rが取り付けられている。
ロータリーユニット11は、幅方向Xに水平に延びる、一例として断面6角形状をした回転軸13と、エンジン5から上記ミッション17に伝達された動力を回転軸13に伝達するためのチェーンボックス33と、上記回転軸13に対して取り付けられる耕耘刃9と、を備えることによって基本的に構成されている。
【0044】
そして、上記耕耘刃9は、回転軸13に対して取り付けられるホルダ部35と、該ホルダ部35に対して放射状に一例として3枚ずつ取り付けられている湾曲した板状の耕耘爪37と、を備えることによって構成されており、上記ホルダ部35の回転軸13に対する幅方向Xの取付け位置は、ボルト、ナットによる締付け位置を可変することによって調整できるように構成されている。
【0045】
また、上記チェーンボックス33は、上記回転軸13の幅方向Xにおける中央付近の位置に接続されており、該チェーンボックス33を挟んでその左右の対称位置に上記構成の耕耘刃9が1組から3組程度設けられている。
そして、上記耕耘刃9の取付け位置を変えることによって耕耘刃9の幅方向Xにおける間隔が調整できるように構成されている。
尚、このようにして構成されるロータリーユニット11の耕耘刃9における掘削半径は約20cmである。従って、耕耘ロータリー112で掘削する土Mの作用深さEは、15cm~20cm程度となる。
【0046】
第1動力伝達機構15は、エンジン5の出力軸6の回転を、第1伝達軸41を経由して一例として螺旋翼10によって構成されている搬送ユニット14に伝達する1段目の動力伝達機構15Aと、上記第1伝達軸41の回転を、第2伝達軸43を経由して耕耘ロータリー112に伝達する2段目の動力伝達機構15Bと、を備えることによって基本的に構成されている。
そして、本実施の形態では1段目の動力伝達機構15Aによって伝達される搬送ユニット14の螺旋翼10の回転数が、2段目の動力伝達機構15Bによって伝達される耕耘ロータリー112の耕耘刃9の回転数より速くなるように一例として設定されている。
【0047】
具体的には、1段目の動力伝達機構15Aは、エンジン5の出力軸6に取り付けられる駆動プーリ45と、上記第1伝達軸41に取り付けられる第1従動プーリ47と、上記駆動プーリ45と第1従動プーリ47との間に巻回されている無端状のタイミングベルトによって構成されている第1駆動ベルト49と、を備えることによって基本的に構成されている。
また、本実施の形態では上記駆動プーリ45と第1従動プーリ47との間にテンションプーリとして機能する中間プーリ51が配置されており、該中間プーリ51は、揺動支点Oを中心にして揺動する揺動アーム53の先端部に自由回転可能な状態で取り付けられている。
【0048】
また、揺動アーム53は、ロータリーユニット11への動力伝達のON、OFFを切り替える上述したロータリークラッチレバー75の操作によって揺動アーム53の揺動位置を図3中、実線で示す動力伝達位置と、図3中、仮想線で示す動力解除位置と、に切り替えることができるように構成されている。
一方、2段目の動力伝達機構15Bは、上記第1従動プーリ47と対向する第1伝達軸41の他方の端部に取り付けられる所定の大きさの第2従動スプロケット55と、上記第2伝達軸43に取り付けられる所定の大きさの第3従動スプロケット57と、上記第2従動スプロケット55と第3従動スプロケット57との間に巻回されている無端状の第2駆動チェーン59と、を備えることによって基本的に構成されている。
【0049】
また、上記第3従動スプロケット57の有効径は、上記第2従動スプロケット55の有効径よりも幾分大きくなるように設定されており、該構成によって第1伝達軸41が一例として約500rpmで回転した時、第2伝達軸43は約400rpmで回転し得るように構成されている。
尚、上記第1伝達軸41の最大回転数は一例として約1500rpmであり、第1伝達軸41の回転数は1500rpmまでの範囲で適宜調整できるように構成されている。
【0050】
また、上記第2従動スプロケット55と第3従動スプロケット57との中間部には、第2駆動チェーン59のテンションスプロケットとして機能する中間スプロケット56が設けられている。この中間スプロケット56の有効径は、上記第2従動スプロケット55と第3従動スプロケット57の有効径よりも更に大きく、中間スプロケット56の外周寄りの部位に回転自在に接続されるリンクアーム58と共に、クランク機構を構成しており、後述する第2動力伝達機構16の構成部材の一部になっている。
【0051】
また、耕耘ロータリー112の耕耘刃9は、図3及び図4中、矢印で示すアッパーカット方向に回転するように構成されており、その耕耘刃9によって掘削された土Mが前方+Yに排出され、更に上述した搬送ユニット14の螺旋翼10によって効率良く側方+X、-Xの外部に向けて排出されて円滑に植え付け溝Dが形成でき、埋め戻しや土揚げ作業ができるように構成されている。
更に、上述した耕耘ロータリー112のチェーンボックス33の下端部には、掘削によって形成した植え付け溝Dの底部に残った残土を取り除く図示しない残土処理板が必要に応じて設けられている。
【0052】
そして、図16に示すように上記エンジン5を駆動源とする動力の一部は、動力伝達機構65を介して上述した走行駆動輪7Lと右走行輪7Rが取り付けられるドライブシャフト8に伝達されている。そして、操作ハンドル3の近傍に設けられているエンジンスイッチ73を操作することによってエンジン5の始動と停止が切り換えられ、ロータリークラッチレバー75を操作することによって図示しないロータリークラッチの断接が切り換えられるようになっている。
また、主クラッチレバー79を操作することによって中間プーリ51を第1駆動ベルト49に当接ないし離間させて出力軸6からの動力を第1伝達軸41に伝達し、あるいはその伝達を解除するようにしている。また、正逆転切替えレバー81を操作することによって管理機1の前進と後進を切り換え、主変速レバー83を操作することによって管理機1の進行速度を変えることができるように構成されている。
【0053】
また、ロータリーユニット11の進行方向Yの前方位置+Yには、上述したようにロータリーユニット11の地面GLに対する作用深さEを設定する前方補助輪61が設けられている。
この前方補助輪61は、ロータリーユニット11の上方を通って管理機本体2側に延びる上述した第1揺動支持アーム93Aによって支持されており、該第1揺動支持アーム93Aの基端部93aが作用深さ調節機構62に接続されていて、該作用深さ調節機構62の昇降ハンドル63が上述したように操作ハンドル3のグリップ4近傍の前方位置+Yに配置されている。
【0054】
前方補助輪61は、第1揺動支持アーム93Aの先端部93bに回転可能な状態で取り付けられており、後述する左右のガードフレーム141L、141Rに挟まれるように、その前方+Yの軌間中央部に接続されている。
第1揺動支持アーム93Aは、一例として円形断面のパイプ材によって構成されており、上記前方補助輪61が取り付けられる先端部93bから上方、斜め後方へと折り曲げられた後、進行方向Yの後方-Yに向けて略水平に延長形成されて上記基端部93aに至る形状を有している。
【0055】
作用深さ調節機構62は、ミッション17の上面を覆うように設けられる支持ベース95上に設けられる支点J1、J2を有する第1リンク部材97と、支点J3、J4を有する第2リンク部材99と、支点J2、J3で上記第1リンク部材97と第2リンク部材99に接続されている上述した第1揺動支持アーム93Aの基端部93aと、支点J1で上記第1リンク部材97と接続され、一端に上述した昇降ハンドル63、他端に図示しない雄ネジ部を有する操作ロッド101と、上記支点J4で上記第2リンク部材99と接続され、上記操作ロッド101の雄ネジ部と螺合する図示しない雌ネジ部が内周面に刻設されている従動スリーブ103と、を備えることによって一例として構成されている。
【0056】
そして、このようにして構成される作用深さ調節機構62は、上記昇降ハンドル63を所定の方向に回すことによって上記操作ロッド101と従動スリーブ103とを相対的に接近方向あるいは離間方向に移動させ、これにより上記第1揺動支持アーム93Aを、支点J2を中心に揺動させることができ、該第1揺動支持アーム93Aの揺動によって第1揺動支持アーム93Aの先端部93bに取り付けられている前方補助輪61のロータリーユニット11に対する相対高さを可変してロータリーユニット11の地面GLに対する作用深さEを調節できるように構成されている。
【0057】
(2)管理機の要部の具体的構成(図1図19参照)
次に、本発明の管理機1の要部となる(A)誘導溝形成部と第2動力伝達機構の構成と、(B)移植ユニットと移植ユニット取付け構造の構成と、(C)鎮圧ホイールの構成と、 (D)旋回クラッチレバーの構成と、(E)誘導輪、前方補助輪及び旋回ハンドルの構成と、(F)各種クラッチレバーと安全停止バーの接続関係と、(G)旋回クラッチレバーと動力切換えクラッチの接続構造と、について具体的に説明する。
【0058】
(A)誘導溝形成部と第2動力伝達機構の構成(図1図4図10、11、16及び図21参照)
本発明の管理機1における特徴的構成として誘導溝形成部12と第2動力伝達機構16が設けられている。誘導溝形成部12は、ロータリーユニット11によって掘削して形成した植え付け溝Dの所定ピッチA側方+X、-Xに管理機1の進行を案内する誘導溝Vを形成するための部材である。
【0059】
具体的には、図10及び図11に示すように下部の幅が狭く上部の幅が広い正面視逆台形の箱状の部材によって誘導溝形成部12は一例として構成されている。
誘導溝形成部12の上面には連結ブラケット153が設けられており、この連結ブラケット153と、上述した中間スプロケット56との間に第2動力伝達機構16が配設されている。
【0060】
第2動力伝達機構16は、中間スプロケット56と、中間スプロケット56に接続されているリンクアーム58と、リンクアーム58の先端部に接続されて揺動する揺動軸165と、該揺動軸165に接続されて動作するリンク機構167と、該リンク機構167の終端に設けられる接続点159と、該接続点159に接続されて管理機本体2側に延びている連絡杆155と、接続点159で該連絡杆155の先端部に回転可能な状態で接続され管理機本体2の側面+X、-X外方に延びるリンクアーム157と、該リンクアーム157の先端部に回転可能な状態で接続され、管理機本体2の側面+X、-Xに延びる上述した連結ブラケット153と、を備えることによって一例として構成されている。
尚、上記連絡杆155の一端と、リンクアーム58、157の両端部には適宜、球面軸受等が内装されたロッドエンドが使用されている。
【0061】
また、図示の実施の形態では、上記揺動軸165から動力を受け、リンク機構167と接続点159を介して動力が伝達されて揺動する一例として断面コの字状の叩き板161が取り付けられている。この叩き板161は、ロータリーユニットで掘削した植え付け溝Dや拡幅した誘導溝Vの側壁を叩いて土を押し固めることで、植え付け溝Dや拡幅した誘導溝Vの形成を補助する役割を有している。
また、本実施の形態では、図11に示すように管理機本体2には、ロータリーユニット11の進行方向Yの前方+Yと側方+X、-Xの一部を覆う前方ガード板139L、139Rを備えたガードフレーム141L、141Rが取り付けられている。
そして、これらのガードフレーム141L、141Rには、側方補助輪145L、145Rがそれぞれ設けられており、側方補助輪145L、145Rが通る軌間幅Lは、一例として約900mmに設定されており、誘導溝形成部12によって形成される左右の誘導溝Vの間隔も約900mmに設定されている。
【0062】
また、耕耘列Bの終端位置や旋回エリアTAの適宜の位置には、図22に示すように上方に立ち上げられた停止ポール146とUターンガイド149が設けられており、管理機1の安全停止バー171が当接することによって安全停止バー171が作動し、主クラッチレバー79を作動させて自動的に管理機1の進行を停止し得るように構成されている。
また、このようにして構成される第2動力伝達機構16は、図11に示すように、上記揺動軸165との接続点147bと、管理機本体2のベースとの接続点147cと、の2点等、数ケ所の接続を解除することによって簡単に管理機本体2から取り外せるように構成されている。
【0063】
(B)移植ユニットと移植ユニット取付け構造の構成(図1図4図6図9参照)
移植ユニット301は、生分解性の(例えば玉ねぎの皮で作った)長尺な帯状部材により苗F0を植えるポット70aと隣接するポット70a間をつなぐ連結部70bとを交互に連続するように形成した連結ポット70に対応した移植ユニットである。
具体的には、上記連結ポット70を集合状態にして収容した苗箱69をセットする、進行方向Yの後方-Yに下り傾斜した傾斜トレー325と、集合状態の連結ポット70を始端側から順次引き出して植え付け位置303まで案内する案内経路309及び複数のガイドローラ311と、植え付け位置303に供給されたポット70a内の苗F0の側傍の地面GLを鎮圧して苗F0の根を定着させるための鎮圧ローラ313と、を基本的に備えることによって移植ユニット301は構成されている。
更に、本実施の形態では上記鎮圧ローラ313の外方の側傍に、外方の土Mを土寄せして上記鎮圧ローラ313にその土Mを供給する土寄せ板314が設けられている。土寄せ板314は一例として先端側を先すぼまり状に傾斜させることにより、土を中央側に寄せることができるようになっている。従って、植え付け位置303に供給された苗F0の根元に上記土寄せ板314によって供給された土Mが被さり、その土Mを上記鎮圧ローラ313によって押し固めることによって苗F0の植え付けが実行されるようになっている。
【0064】
また、本実施の形態では、上記案内経路309の中間部に樋状のシュート315を設け、該シュート315の上流位置に傾斜トレー325の底面と平行になるようにガイドローラ311の第1ローラ対311Aが、上流側が開くようにV字状に配置されている。
更に、上記シュート315の底面と傾斜トレー325ないし苗箱69の底面とを段差が生じないように連絡する案内スロープ317が設けられている。
因みに、このような第1ローラ対311Aと案内スロープ317を設けることによって、集合状態の連結ポット70から引き出されるポット70a内の苗F0が植え付け位置303に至るまで円滑に送られるようになる。
【0065】
また、移植ユニット取付け構造307は、一例として矩形断面の軸部319と、一例として角パイプ状のソケット部321とからなる嵌め合い手段323を備えている。このうち、軸部319は、上述した尾輪支持フレーム22に対して固定状態で2本所定の間隔を空けて取り付けられており、ソケット部321は、上述した移植ユニット301の案内経路309を構成する部材の一部であるコの字状断面の傾斜トレー325の背面に2本上記軸部319と同じ所定の間隔を空けて管理機本体2側に突出するように設けられている。
移植ユニット301を取り付ける場合は、ソケット部321を軸部319に嵌め込んでソケット部321側の係止ピンと軸部319側の係止ピンの間に連結部材として一例として連結バネ324を掛け渡して張設することにより弾性的な連結状態を保持するようにしており、連結バネ324の一方を外すことで、連結状態を解除することができるようになっている。
【0066】
また、移植ユニット取付け構造307には、ロックピン327と係合凹部329とを有するロック手段331と、当接部333とロック解除片335とを有するロック解除手段337と、が備えられている。このうち、ロックピン327は、上述した尾輪支持フレーム22の中央部から上方に立ち上げた支持ブラケット339に対して一例として左方+Xに向けて水平に突出するように設けられている。
一方、係合凹部329は、上記傾斜トレー325の背面上部に設けた揺動支点341を中心に揺動する揺動アーム343の対向面側を一例としてU字状に凹陥させることによって形成されている。
【0067】
また、上記揺動アーム343の揺動支点341と係合凹部329の中間位置と、上記傾斜トレー325の背面側の中間位置には、常時揺動アーム343をロック側に付勢する付勢バネ345が張設されている。
また、揺動アーム343の揺動自由端側の先端部が当接部333になっており、上記尾輪支持フレーム22の上面に設けた軸受によって回動自在に支持された幅方向Xに沿って延びる回動軸347に対して固定状態で上記ロック解除片335が取り付けられている。
また、このロック解除片335は、回動軸347に固定される基部がスリーブ状の部材によって構成されており、この基部から片持ち梁上に延びる板状片とから構成されている。また、上記回動軸347には、ロック解除レバー349が固定状態で取り付けられている。
【0068】
そして、このような構成のロック手段331とロック解除手段337を採用することによって、上記揺動アーム343が付勢バネ345の付勢力によりロックピン327側に付勢されることで上記係合凹部329にロックピン327が係合する図9に示す退避位置、即ち移植ユニット301の下端を地面GLの上方に持ち上げた位置でロック状態が維持されるようになっている。
一方、上記ロック解除片335がロック解除レバー349の操作により上記当接部333を押し上げることによって、上記揺動アーム343が揺動支点341を中心にロックピン327から離れる方向に揺動することで、図8に示すように上記係合凹部329とロックピン327との係合ロック状態が解除され、移植ユニット301の下端が地面GLに接地した植え付け位置303に移行するようになっている。
【0069】
(C)鎮圧ホイールの構成(図1図4及び図18参照)
本実施の形態では、上述したように左右の走行輪7L、7Rが取り付けられているドライブシャフト8の側部Xの外方位置に鎮圧ホイール18が設けられている。鎮圧ホイール18は、合成樹脂製の扇形の羽根351を一例として8枚、傘状に組み合わせた弾性のあるホイールで、その周囲には、地面GLに食い込んで土Mが逃げないようにする一例として8個の矩形板状のスパイク突起18aが周方向に等間隔で設けられている。
そして、この鎮圧ホイール18は、ロータリーユニット11が耕耘した土Mを側部Xの外方に押し付けて鎮圧するために設けられている。従って、この鎮圧ホイール18の進行方向Yの前方位置+Yに設けられている叩き板161よりも外方に張り出した状態で鎮圧ホイール18は設けられている。
【0070】
(D)旋回クラッチレバーの構成(図1図5参照)
上述したように操作ハンドル3の左右には、左旋回クラッチレバー133L及び右旋回クラッチレバー135Lと、左旋回クラッチレバー133R及び右旋回クラッチレバー135Rと、がそれぞれ一対ずつ設けられている。
そして、これらの旋回クラッチレバー133L及び135Lと133R及び135Rは、左右どちらの左旋回クラッチレバー133L、133Rを操作しても左に旋回でき、左右どちらの右旋回クラッチレバー135L、135Rを操作しても右に旋回できるように構成されている。従って、圃場管理作業を行っている管理機1の近傍に位置している作業者が管理機1の左方+Xに位置しているのか、右方-Xに位置しているのかによって近い方の旋回クラッチレバー133L及び135Lあるいは133R及び135Rを操作して左右に旋回できるように構成されている。
【0071】
(E)誘導輪、前方補助輪及び旋回ハンドルの構成(図1~4及び図19参照)
誘導輪60と前方補助輪61と旋回ハンドル64は、図19(a)に示すように組付けられている。即ち、上述した第1揺動支持アーム93Aの先端部93bには、高さ方向Zに延びる支持ステー353が取り付けられていて、該支持ステー353の第1揺動支持アーム93A側が折り曲げられている上部には、一例として図19(b)に示すような表記がなされた円板状をしたハンドル座板355が取り付けられている。
【0072】
上記ハンドル座板355の上面の中心には、上記旋回ハンドル64が取り付けられていて、該旋回ハンドル64の回転は、上記ハンドル座板355の底面から下方に延びるように形成されている円管状の案内ロッド357に直接伝達されるようになっている。
また、上記案内ロッド357の下部には、丸棒状の延長ロッド359が固定状態で取り付けられており、延長ロッド359の下端に取付けブラケット361を介して上述した前方補助輪61が取り付けられている。
【0073】
また、上記延長ロッド359には、軸受363を介して上述した誘導輪60が回転自在に取り付けられている。誘導輪60は前方補助輪61に比べて径の大きな一例として直径300mm程度のゴムタイヤを水平に配置して使用しており、後述する埋め戻し時に拡幅された誘導溝Vの内壁面に摺接することで管理機1の進行が案内されるように構成されている。
従って、埋め戻し時には、V字状の誘導溝Vの上方に誘導輪60は位置しており、該誘導溝Vには、前方補助輪61が進入することで管理機1の進行が案内されるようになっている。一方、土揚げ時には、上記誘導輪60が拡幅された誘導溝Vの内壁面に摺接して管理機1の進行が案内されるようになっている。
【0074】
(F)各種クラッチレバーと安全停止バーの接続関係(図12及び図13参照)
次に、主クラッチレバー79と安全停止バー171及びロータリークラッチレバー75と補助ロータリークラッチレバー173の接続関係について図12、13及び図3に基づいて説明する。即ち、操作ハンドル3が設けられる進行方向Yの後方-Yにおける操作側には、作業者が手動で操作する時に使用する主クラッチ切換え用の主クラッチレバー79と、ロータリークラッチ切換用のロータリークラッチレバー173と、が設けられている。
一方、進行方向Yの前方+Yにおける管理機1の機体先端側には、人や障害物あるいは停止部材等に当接することで自動的に主クラッチをOFFにする安全停止バー171と、作業者が機体先端側に移動したときに手動で操作する補助ロータリークラッチレバー173と、が設けられている。
【0075】
そして、上記主クラッチレバー79と安全停止バー171及び上記ロータリークラッチレバー75と補助ロータリークラッチレバー173は、それぞれワイヤー175、177で連結されていて、いずれか一方を操作すると他方が連動して対応する方向に移動するように構成されている。
具体的には、図12に示すように回動支点179を中心に回動する主クラッチレバー79の基部には、回動支点179の上方に1つと回動支点179の下方に2つの計3個の接続点181a、181cが設けられており、上部の接続点181aにはワイヤー175aの一端が接続されていて、中間部の接続点181bには一例としてアーチ状の連結アーム183を介してワイヤー175bの一端が接続されている。また、下部の接続点181cにはワイヤー175cの一端が接続されている。
【0076】
これに対して、回動支点185を中心に回動する回動支持レバー187の基部には回動支点185の上方に1つと回動支点185の下方に1つの計2個の接続点189a、189cが設けられており、上部の接続点189aに上述したワイヤー175aの他端が接続され、下部の接続点189cに上述したワイヤー175cの他端が接続されている。
また、上述した中間部の接続点181bから連結アーム183を介して延びるワイヤー175bの他端は、図3に示す中間プーリ51を先端に備える揺動アーム53に接続されている。
【0077】
また、安全停止バー171は、一例として機体内方に水平に延びる丸棒状の部材によって構成されており、安全停止バー171の基端部は、上述した回動支持レバー187の回動自由端に固定されている。
そして、図示の管理機1では、主クラッチレバー79を進行方向Yの前方+Y、即ち図12中、反時計方向に回動させると、安全停止バー171も同方向に回動して主クラッチがON状態になり、主クラッチレバー79を図12中、時計方向に回動させると、安全停止バー171も同方向に回動して主クラッチがOFF状態になるように一例として構成されている。
【0078】
一方、図13に示すように回動支点191を中心に回動するロータリークラッチレバー75の基部には、回動支点191の下方に2つ接続点193a、193bが設けられており、上部の接続点193aには一例としてアーチ状の連結アーム195を介してワイヤー177aの一端が接続されていて、下部の接続点193bにはワイヤー177bの一端が接続されている。
これに対して、一例として下部に設けられる回動支点197を中心に回動する補助ロータリークラッチレバー173の一例として中間部には接続点199が設けられており、この接続点199には、上述した接続点193aから連結アーム195を介して延びるワイヤー177aの他端が一例として接続されている。また、ロータリークラッチレバー75の下部の接続点193bから延びるワイヤー177bの他端は、図示しないロータリークラッチに接続されている。
【0079】
そして、図示の管理機1では、ロータリークラッチレバー75を進行方向Yの前方+Y、即ち図13中、反時計方向に回動させると、補助ロータリークラッチレバー173は図12中、時計方向に回動してロータリークラッチがON状態になり、ロータリークラッチレバー75を図13中、時計方向に回動させると、補助ロータリークラッチレバー173は図12中、反時計方向に回動してロータリークラッチがOFF状態になるように一例として構成されている。
因みに、補助ロータリークラッチレバー173は、安全停止バー171が作動して主クラッチがOFF状態になってもロータリークラッチは引き続きON状態のままであるから、ロータリークラッチをOFF状態にしてロータリーユニット11Aの回転を停止させたい場合等に使用する。
【0080】
(G)旋回クラッチレバーと動力切換えクラッチの接続構造(図5及び図14、15参照)
次に、作業者が手動操作で管理機1を旋回させる場合に使用する左旋回クラッチレバー133及び右旋回クラッチレバー135と、ドライブシャフト8に設けられる左側動力切換えクラッチ203L及び右側動力切換えクラッチ203Rと、接続構造について図5及び図14、15に基づいて説明する。
即ち、操作ハンドル3が設けられる進行方向Yの後方-Yの操作側には、作業者が機体旋回時に手動で操作する左旋回クラッチレバー133と右旋回クラッチレバー135が上述したように設けられている。
【0081】
一方、左右一対の走行輪7L、7Rを軸支するドライブシャフト8には、左走行輪7Lへの動力伝達のON、OFFを切り換える左側動力切換えクラッチ203Lと、右走行輪7Rへの動力伝達のON、OFFを切り換える右側動力切換えクラッチ203Rと、が設けられている。
そして、上記左旋回クラッチレバー133と左側動力切換えクラッチ203Lはワイヤー205Lで連結されていて、左旋回時に左旋回クラッチレバー133を所定の方向に操作することによって左側動力切換えクラッチ203LをOFF状態にして左走行輪7Lへの動力伝達を停止するように構成されている。
【0082】
同様に、右旋回時に右旋回クラッチレバー135を所定の方向に操作することによって右側動力切換えクラッチ203RをOFF状態にして右走行輪7Rへの動力伝達を停止するように構成されている。
具体的には、ボス209によって支持された駆動スプロケット211が中央に配置され、外周にスプラインが刻設されているドライブシャフト8に対して、駆動スプロケット211の左右から幅方向Xに摺動可能に左右の動力切換えクラッチ203L、203Rを配置している。左右の動力切換えクラッチ203L、203Rは、外周に円環状の係合凹部213が形成され、上記ボス209の左右の端面に形成された係合爪215と係合する係合爪217を対向する端面に有するリブ状の部材である。
【0083】
また、左右の動力切換えクラッチ203L、203Rの外方には、軸受219L、219Rが外嵌されていて、左側動力切換えクラッチ203Lと軸受219Lの間と、右側動力切換えクラッチ203Rと軸受219Rの間には、左右の動力切換えクラッチ203L、203Rを接続方向となる内方に付勢する付勢部材として、一例として圧縮コイルばね221が挿嵌されている。
また、上記円環状の係合凹部213には、図15に示すように門型をした揺動アーム223の先端に取付けられた係合凸部225が係合しており、該揺動アーム223が揺動軸227を中心に揺動することで、左右の動力切換えクラッチ203L、203Rの断接ができるように構成されている。
【0084】
そして、上記揺動アーム223の揺動は、上述した左旋回クラッチレバー133に一端が接続され、他端が連結ブラケット229を介して上記揺動軸227に連結されているワイヤー205L、205Rによって左旋回クラッチレバー133ないし右旋回クラッチレバー135の操作に基づいて実行される。
【0085】
(3)圃場管理方法の内容(図21及び図22
本発明の圃場管理方法は、耕作地Gの地面GLに作用して所望の圃場管理作業を行う、進行方向Yの後方-Yに走行輪7、進行方向Yの前方+Yにロータリーユニット11が配置された自走式の管理機、即ち、上述した本発明の管理機1を使用することによって実行される圃場管理方法であって、例えば白ネギや長根の野菜Fの栽培に使用される。
具体的には、植え付け溝・誘導溝形成・植え付け工程N1と、埋め戻し工程N2と、土揚げ工程N3と、の三つの工程を備えることによって本発明の圃場管理方法は、基本的に構成されている。以下、これらの工程を工程別に具体的に説明して行く。
【0086】
(A)植え付け溝・誘導溝形成・植え付け工程
植え付け溝・誘導溝形成・植え付け工程N1は、平らに耕して整地した耕作地Gの地面GLに対して、栽培する野菜Fの苗F0を植え付けるための植え付け溝Dと、次工程で使用する管理機1の進行方向Yを案内するための誘導溝Vと、を同時に形成しながら、形成した植え付け溝Dに苗F0を植え付けて行く工程である。
本工程に先立って平面耕工程N0が実施される。平面耕工程N0は、トラクター等を使用して当該圃場管理作業を実行する耕作地Gの地面GLを耕耘して平らに整地する工程で、時期としては例えば5月~6月にかけて実施される。
【0087】
平面耕工程N0の終了後、例えば6月に植え付け溝・誘導溝形成・植え付け工程N1は実行される。本工程N1では、植え付け溝Dの形成にロータリーユニット11が使用される。
管理機本体2には、誘導溝形成部12と第2動力伝達機構16とを取り付け、更に、尾輪支持フレーム22の左右両端部に尾輪23L、23Rを取り付ける。
【0088】
次に、管理機1を耕作地Gの作業開始位置となる最初の耕耘列B1の開始端に移動させ、上述した移植ユニット取付け構造307により移植ユニット301を管理機本体2に取り付け、移植ユニット301の位置は、ロック解除手段337により、ロックピン327と係合凹部329との係合状態を解除して移植ユニット301下端の鎮圧ローラ313が地面GLに設置する植え付け位置にする。
移植ユニット301の傾斜トレー325上に一つと、操作ハンドル3の左右に設けられている計6個の載置トレー68上に一つずつの計7個の苗箱69を載置し、このうち傾斜トレー325上の苗箱69から連結ポット70の始端を引き出して、当該耕耘列B1の開始端の地面GLに固定する。
【0089】
このような準備作業の終了後、エンジンスイッチ73を操作してエンジン5を始動させ、主クラッチレバー79と、ロータリークラッチレバー75をON状態にして耕耘作業を開始する。
当該耕耘列B1の地面GLにロータリーユニット11が作用し、例えば300mm幅の植え付け溝Dが形成される。また、植え付け溝Dの所定ピッチA、例えばA=450mm側方+X、-Xには、第2動力伝達機構16によって一例として揺動する誘導溝形成部12によって誘導溝Vが形成される。
【0090】
また、管理機1の進行方向Yへの移動に伴って、傾斜トレー325上の苗箱69に収容されている集合状態の連結ポット70は、順次先端側から直線的に引き出され、案内スロープ317と第1ローラ対311Aとによりシュート315内に導かれ、更に後続の二組のガイドローラ311を経て植え付け位置303に位置している鎮圧ローラ313に達して地面GLに対して鎮圧されながら順次植え付けられて行く。
具体的には、上記鎮圧ローラ313の外方の側傍に、外方の土Mを土寄せして上記鎮圧ローラ313にその土Mを供給する土寄せ板314が設けられているから、植え付け位置303に供給された苗F0の根元には、上記土寄せ板314によって供給された土Mが被さるようになる。そして、その土Mを上記鎮圧ローラ313によって押し固めることによって苗F0の植え付けが実行されるようになっている。
【0091】
管理機1が当該耕耘列B1の終端に達すると、図22に示す停止ポール146Aに管理機1の安全停止バー171が当接することで管理機1の進行が自動的に停止される。
次に、尾輪支持フレーム22を、支点22aを中心にして揺動させるように上方の退避位置305まで持ち上げ、高さ調整レバー20を操作して、上記退避位置305の係止爪20aにロックピン22bを係止させて尾輪23を当該退避位置305で固定する。
更に、移植ユニット301を上方に持ち上げると、ロックピン327は、揺動アーム343の下面を摺接しながら相対的の上方に移動するようになり、上方の係合凹部329と係合してロック状態になる。この状態では移植ユニット301の下端の鎮圧ローラ313が地面GLから浮いた退避位置305になっている。
【0092】
また、引き出された連結ポット70を植え付けが終了したポット70aの上流の連結部70bで切断する。この状態で主クラッチレバー79をON状態にし、左に旋回する場合には左旋回クラッチレバー133を操作し、旋回ハンドル64を左旋回方向に回して左に90°管理機1を旋回させる。
管理機1の安全停止バー171がUターンガイド149Aに当接したタイミングで更に90°左に旋回させて進行方向Yを逆向きにし、2列目の耕耘列B2の開始端に到達したところで一旦管理機1の進行を停止する。以下、最初の耕耘列B1のときと同様、尾輪23L、23Rを地面Glに接地する位置まで下げ、ロック解除手段337によりロックを解除して移植ユニット301を植え付け位置303にする。また、上記切断した連結ポット70の始端を2列目の耕耘列B2の開始端に固定する。
【0093】
尚、2列目の耕耘列B2は、1列目の耕耘列B1の位置から軌間幅Lである約900mmオフセットされた位置になる。2列目の耕耘列B2に進入する場合には、1列目の耕耘列B1の耕耘作業で形成した誘導溝Vの1本、例えば左側の誘導溝Vに左側の側方補助輪145Lが位置するように位置合わせして管理機1を2列目の耕耘列B2に進入させる。
上記準備作業の終了後、主クラッチレバー79とロータリークラッチレバー75をON状態にして1列目の耕耘列B1と同様の耕耘作業を実施する。以下同様の作業を繰り返して、すべての耕耘列Bを耕耘して所定の植え付け溝Dと誘導溝Vを形成しながら、苗F0の植え付けを同時に実行して行く。
【0094】
また、上記植え付け作業を行っているときに傾斜トレー325上の苗箱69内の連結ポット70の引き出しが進んで交換のタイミングになってきた場合には、載置トレー68上の苗箱69を一つ取り出して、苗箱69を交換して植え付け作業を継続する。
そして、このとき最初の連結ポット70の終端の連結部70bを次の連結ポット70の始端の連結部70bにステープラの針等を使用して連結する。
【0095】
(B)埋め戻し工程
埋め戻し工程N2は、移植ユニット301と誘導溝形成部12と第2動力伝達機構16とを管理機本体2から取り外し、隣接する植え付け溝Dの間に形成した誘導溝Vに機体2の前方+Yの軌間幅L中央に設けられている前方補助輪61を位置合わせして進入させることによって左右の植え付け溝Dを埋め戻しながら誘導溝Vの幅を拡張して行く工程である。
上記植え付け溝・誘導溝形成・植え付け工程N1の終了後、例えば7月に管理機1を使用して埋め戻し工程N2を実行する。尚、各耕耘列Bでの管理機1の進行及び停止と旋回時の操作は上述した植え付け溝・誘導溝形成・植え付け工程N1と同様である。
【0096】
埋め戻し工程N2では、前工程N1で形成した誘導溝Vの地面GLを耕耘して、跳ね上げられた土Mを搬送ユニット14による螺旋翼10によって側部Xの外方に搬送し、苗F0が植え付けられた植え付け溝Dを埋め戻して行く。ここで、叩き板161の揺動によって拡幅された誘導溝Vの内壁面を鎮圧して押し付けて行く。また、これと同時にその下流に位置する走行輪7L、7Rの側部Xの外方に位置する鎮圧ホイール18によって拡幅された誘導溝Vの内壁面を鎮圧して押し固めて行く。
尚、拡幅された誘導溝Vの幅は約300mmであり、次工程の土揚げ工程N3では、この拡幅された誘導溝Vの内壁面に摺接する直径が約300mmの上述した誘導輪60を進行の案内として使用する。
【0097】
(C)土揚げ工程
土揚げ工程N3は、拡幅した誘導溝Vに機体2の前方+Yの軌間幅L中央に設けられる誘導輪60と前方補助輪61とを位置合わせして進入させることによって、埋め戻された左右の植え付け溝D上に土揚げして畝Wを形成し畝Wを段階的に高くして行く工程である。
埋め戻し工程N2の終了後、例えば8月~10月の間に3回程度、管理機1を使用して土揚げ工程N3を実行する。
【0098】
土揚げ工程N3では、前工程の埋め戻し工程N2で形成した拡幅された誘導溝Vに誘導輪60を進入させてその内壁面に摺接させることで機体2の進行を安定させながら土揚げ作業を実施する。
本工程N3でも前工程N2と同様、ロータリーユニット11で耕耘し跳ね上げられた土Mを搬送ユニット14で側部Xの外方に搬送して土揚げに利用する。また、土揚げを繰り返すことにより誘導溝Vの深さが段階的に深くなるから、その深さに合わせて尾輪23L、23Rの高さを選択する係止爪20aの位置を変えることで調整する。
【0099】
本工程N3では、誘導溝Vを形成しようとする部位に苗F0が植え付けられた畝Wが来るから誘導溝Vの形成は不要である。従って、本工程N3でも前工程N2と同様、誘導溝形成部12と第2動力伝達機構16とを管理機本体2から取り外した状態で土揚げ作業を行う。
また、各耕耘列Bでの管理機1の進行及び停止と旋回時の操作は、上述した植え付け溝・誘導溝形成・植え付け工程N1と同様である。
【0100】
そして、このようにして構成される本実施の形態による管理機及び圃場管理方法によれば、その多くが同じ作業の繰り返しであり、常に操作ハンドル3を握って長時間作業しなければならなかった作業者の多大な労力を軽減することが可能になる。
また、従来、自走式の管理機を使用して行うことができなかった植え付け作業を本実施の形態による自走式の管理機を使用すれば行うことができるようになり、しかも植え付け溝Dの形成と誘導溝Vの形成と苗F0の植え付けとを単一の工程で同時に実施することができるようになる。これにより、一連の圃場管理作業の連続性と効率性を向上させて圃場管理作業の作業時間を大幅に短縮することが可能になる。
【0101】
[他の実施の形態]
本発明の管理機1及び圃場管理方法は、以上述べた実施の形態のものに限定されず、その発明の要旨の範囲内での変更が可能である。
例えば、本発明の管理機1及び圃場管理方法は、白ネギ等の長根の野菜Fの栽培に限らず、同様の圃場管理作業を行う他の野菜Fの栽培、具体的には、大豆等の栽培にも利用することが可能である。
また、適宜のアタッチメント等を設けることによって本発明の管理機1の移植ユニット取付け構造307を使用して取り付けることが可能な、手で引きながら苗F0を植え付けて行く手動の移植ユニットが存在する場合には、そのような手動の移植ユニットを本発明の管理機1に取り付けて使用することも可能である。
【0102】
また、図20に示すように管理機1が方向転換する際、その方向転換を助ける補助ハンドル365を管理機本体2に対して取り付けることも可能である。
また、本発明の圃場管理方法については、上述した実施の形態では、最初の耕耘列B1の終端に達したところで、移植ユニット301を上方に持ち上げた退避位置305に移動させ、機体2を旋回させ、隣接する次の耕耘列B2の開始位置に移動させたところで、移植ユニットを下方に降ろした植え付け位置303に移動させて当該耕耘列B2に進入させるようにしたが、すべての工程でこのような旋回方法を採らなくてもよい。
【0103】
具体的には、植え付け溝・誘導溝形成・植え付け工程N1において、上記態様の旋回方法を採り、埋め戻し工程N2と土揚げ工程N3では、図22の左端に図示したように、耕耘列B1の終端から隣接する次の耕耘列B2の開始位置に至る旋回エリアTAでも、ロータリーユニット11を駆動して誘導溝Vの拡幅と土揚げを連続して行うようにすることも可能である。
また、条件が許せば、植え付け溝・誘導溝形成・植え付け工程n1においても上述したような、耕耘列Bに旋回エリアTAを含めた領域で連続的な圃場管理作業を行うことも可能である。
また、ロータリーユニット11は、本実施の形態において1種類のものを使用した例を示したが、各工程毎にその作業目的に応じて異なる構成のものに変えて使用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明の管理機及び圃場管理方法は、耕作地の地面に作用して植え付け溝の形成、誘導溝の形成、苗の植え付け、埋め戻し、土揚げ等の複数の圃場管理作業を行っている作業現場等で利用でき、特に作業者の労力を軽減し、効率的で操作性と安全性に優れた圃場管理作業を同一の管理機を使用して実行したい場合に利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0105】
1 管理機
2 管理機本体(機体)
2A 支持フレーム
3 操作ハンドル
4 グリップ
5 エンジン
6 出力軸
7 走行輪
8 ドライブシャフト
9 耕耘刃
10 螺旋翼
11 ロータリーユニット
12 誘導溝形成部
13 回転軸
14 搬送ユニット
15 第1動力伝達機構
16 第2動力伝達機構
17 ミッション
18 鎮圧ホイール
18a スパイク突起
20 高さ調整レバー
20a 係止爪
21 飛散防止カバー
22 尾輪支持フレーム
22a 支点
22b ロックピン
23 尾輪
24 軸部
25 取付けブラケット
33 チェーンボックス
35 ホルダ部
37 耕耘爪
41 第1伝達軸
43 第2伝達軸
45 駆動プーリ
47 第1従動プーリ
49 第1駆動ベルト
51 中間プーリ
53 揺動アーム
55 第2従動スプロケット
56 中間スプロケット
57 第3従動スプロケット
58 リンクアーム
59 第2駆動チェーン
60 誘導輪
61 前方補助輪
62 作用深さ調節機構
63 昇降ハンドル
64 旋回ハンドル
65 主動力伝達機構
66 トレー支持フレーム
67 補強板
68 載置トレー
69 苗箱
70 連結ポット
70a ポット
70b 連結部
73 エンジンスイッチ
75 ロータリークラッチレバー
77 スロットルレバー
79 主クラッチレバー
81 正逆転切替えレバー
83 主変速レバー
93 揺動支持アーム
93A 第1揺動支持アーム
93B 第2揺動支持アーム
93a 基端部
93b 先端部
94 付勢バネ
95 支持ベース
97 第1リンク部材
99 第2リンク部材
101 操作ロッド
103 従動スリーブ
112 耕耘ロータリー
133 左旋回クラッチレバー
135 右旋回クラッチレバー
139 前方ガード板
141 ガードフレーム
145 側方補助輪
146 停止ポール
147 接続点
149 Uターンガイド
153 連結ブラケット
155 連絡杆
157 リンクアーム
159 接続支点
161 叩き板
165 揺動軸
167 リンク機構
171 安全停止バー
173 補助ロータリークラッチレバー
175 ワイヤー
177 ワイヤー
179 回動支点
181 接続点
183 連結アーム
185 回動支点
187 回動支持レバー
189 接続点
191 回動支点
193 接続点
195 連結アーム
197 回動支点
199 接続点
201 旋回レバー
203 動力切換えクラッチ
205 ワイヤー
209 ボス
211 駆動スプロケット
213 係合凹部
215 係合爪
217 係合爪
219 軸受
221 圧縮コイルばね
223 揺動アーム
225 係合凸部
227 揺動軸
229 連結ブラケット
301 移植ユニット
303 植え付け位置
305 退避位置
307 移植ユニット取付け構造
309 案内経路
311 ガイドローラ
311A 第1ローラ対
313 鎮圧ローラ
314 土寄せ板
315 シュート
317 案内スロープ
319 軸部
321 ソケット部
323 嵌め合い手段
324 連結バネ(連結手段)
325 傾斜トレー
327 ロックピン
329 係合凹部
331 ロック手段
333 当接部
335 ロック解除片
337 ロック解除手段
339 支持ブラケット
341 揺動支点
343 揺動アーム
345 付勢バネ
347 回動軸
349 ロック解除レバー
351 羽根
353 支持ステー
355 ハンドル座板
357 案内ロッド
359 延長ロッド
361 取付けブラケット
363 軸受
365 補助ハンドル
G 耕作地(圃場)
GL 地面
M 土
D 植え付け溝
V 誘導溝
W 畝
+Y 前方位置(前方)
-Y 後方位置(後方)
Y 進行方向
+X 左方(左側、側方、側部)
-X 右方(右側、側方、側部)
X 幅方向(溝幅方向)
Z 高さ方向
-Z 接地方向
C 深さ
T 燃料タンク
E 作用深さ
O 揺動支点
P 作業位置
Q 旋回位置
U 接地点
J 支点
J2 揺動支点
K 揺動支点
A ピッチ
B 耕耘列
L 軌間幅
S 作用長
R 旋回半径
F 野菜
F0 苗
TA 旋回エリア
N0 平面耕工程
N1 植え付け溝・誘導溝形成・植え付け工程
N2 埋め戻し工程
N3 土揚げ工程
図1
図2
図3
図4
図5
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