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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082051
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】検知装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/07 20060101AFI20240612BHJP
   G06F 11/34 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
G06F11/07 151
G06F11/07 140R
G06F11/34 147
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195753
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100088959
【弁理士】
【氏名又は名称】境 廣巳
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【弁理士】
【氏名又は名称】桂木 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 淳
(72)【発明者】
【氏名】田家 克昭
(72)【発明者】
【氏名】佐野 太一朗
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042JJ29
5B042MA08
5B042MA14
5B042MC08
5B042MC35
(57)【要約】
【課題】多数の飛行物体を含む飛行物体群に生じる異常を検知することが難しい場合がある。
【解決手段】検知装置200は、飛行物体群に含まれる各飛行物体の状態を示す軌道データに基づいて、複数の軌道データの特徴を示す特徴量を生成する生成部221と、前記生成部221が生成した特徴量に基づいて、飛行物体群の状態に応じた値を取得する推論部222と、前記推論部222が取得した飛行物体群の状態に応じた値に基づいて飛行物体群に生じている異常を検知する検知部223と、を有する。
【選択図】図10

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行物体群に含まれる各飛行物体の状態を示す軌道データに基づいて、複数の軌道データの特徴を示す特徴量を生成する生成部と、
前記生成部が生成した特徴量に基づいて、飛行物体群の状態に応じた値を取得する推論部と、
前記推論部が取得した飛行物体群の状態に応じた値に基づいて飛行物体群に生じている異常を検知する検知部と、
を有する
検知装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検知装置であって、
前記推論部は、異常検知対象となる未知の状態における軌道データに基づいて生成した特徴量から飛行物体群の状態に応じた値を取得するとともに、比較対象となる特徴量から飛行物体群の状態に応じた値を取得し、
前記検知部は、前記推論部が取得した値の比較結果に応じて異常を検知する
検知装置。
【請求項3】
請求項2に記載の検知装置であって、
前記検知部は、前記推論部が取得した飛行物体群の状態に応じた値間の距離が所定閾値以上である場合に、異常が生じている旨を検知する
検知装置。
【請求項4】
請求項1に記載の検知装置であって、
前記生成部が生成した特徴量のうちの少なくとも一部を抽出する次元削減部を有し、
前記推論部は、前記次元削減部が抽出した特徴量に基づいて、飛行物体群の状態に応じた値を取得する
検知装置。
【請求項5】
請求項1に記載の検知装置であって、
異なる時刻に取得された飛行物体ごとの軌道データに対して、時刻で揃える処理である整形処理を行う整形部を有し、
前記生成部は、前記整形部による整形処理の結果に基づいて特徴量を生成する
検知装置。
【請求項6】
請求項1に記載の検知装置であって、
前記推論部は、特徴量の入力に応じて飛行物体群の状態に応じた値を出力するよう訓練されたモデルに対して前記生成部が生成した特徴量を入力することで、前記生成部が生成した特徴量に基づいて飛行物体群の状態に応じた値を取得する
検知装置。
【請求項7】
請求項1に記載の検知装置であって、
前記生成部は、所定時間単位で軌道データを抽出して、抽出した軌道データに基づいて抽出した軌道データ全体の特徴を示す特徴量を生成する
検知装置。
【請求項8】
情報処理装置が、
飛行物体群に含まれる各飛行物体の状態を示す軌道データに基づいて、複数の軌道データの特徴を示す特徴量を生成し、
生成した特徴量に基づいて、飛行物体群の状態に応じた値を取得し、
取得した飛行物体群の状態に応じた値に基づいて飛行物体群に生じている
検知方法。
【請求項9】
情報処理装置に、
飛行物体群に含まれる各飛行物体の状態を示す軌道データに基づいて、複数の軌道データの特徴を示す特徴量を生成し、
生成した特徴量に基づいて、飛行物体群の状態に応じた値を取得し、
取得した飛行物体群の状態に応じた値に基づいて飛行物体群に生じている
処理を実現するためのプログラム。
【請求項10】
飛行物体群に含まれる各飛行物体の状態を示す軌道データに基づいて、複数の軌道データの特徴を示す特徴量を生成する生成部と、
前記生成部が生成した特徴量に基づいて、特徴量の入力に応じて飛行物体群の状態に応じた値を出力するようにモデルを訓練する学習部と、
を有する
学習装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知装置、検知方法、プログラム、学習装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飛行物体に生じる異常を検知する際に用いられる技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、異常検出部を有する飛行装置が記載されている。特許文献1によると、異常検出部は、センサ部の検出結果と、バッテリの状態と、揚力発生部の動作状態とを監視することで、飛行装置が異常状態であるか否かを判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-126910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多数の衛星により衛星群を構成するメガコンステレーションなどのような複数の飛行物体を利用したサービスを運用する場合、飛行物体群を構成する各飛行物体が協調動作をとる必要がある。このような多数の飛行物体を利用したサービスを運用する場合、多数の飛行物体全体として非協調動作などの異常をとらえることが望ましい。しかしながら、特許文献1に記載のような技術では、飛行物体単体に着目して異常状態の検出を行っている。そのた、め、適切な監視を行うことが難しく、また、監視の際のコストが高くなっていた。このように、多数の飛行物体を含む飛行物体群に生じる非協調動作などの異常を検知することが難しい、とい課題が生じていた。
【0006】
そこで、本発明は、上述した課題を解決することが可能な検知装置、検知方法、プログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため本開示の一形態である検知装置は、
飛行物体群に含まれる各飛行物体の状態を示す軌道データに基づいて、複数の軌道データの特徴を示す特徴量を生成する生成部と、
前記生成部が生成した特徴量に基づいて、飛行物体群の状態に応じた値を取得する推論部と、
前記推論部が取得した飛行物体群の状態に応じた値に基づいて飛行物体群に生じている異常を検知する検知部と、
を有する
という構成をとる。
【0008】
また、本開示の他の形態である検知方法は、
情報処理装置が、
飛行物体群に含まれる各飛行物体の状態を示す軌道データに基づいて、複数の軌道データの特徴を示す特徴量を生成し、
生成した特徴量に基づいて、飛行物体群の状態に応じた値を取得し、
取得した飛行物体群の状態に応じた値に基づいて飛行物体群に生じている異常を検知する
という構成をとる。
【0009】
また、本開示の他の形態であるプログラムは、
情報処理装置に、
飛行物体群に含まれる各飛行物体の状態を示す軌道データに基づいて、複数の軌道データの特徴を示す特徴量を生成し、
生成した特徴量に基づいて、飛行物体群の状態に応じた値を取得し、
取得した飛行物体群の状態に応じた値に基づいて飛行物体群に生じている異常を検知する
処理を実現するためのプログラムである。
【0010】
また、本開示の他の形態である学習装置は、
飛行物体群に含まれる各飛行物体の状態を示す軌道データに基づいて、複数の軌道データの特徴を示す特徴量を生成する生成部と、
前記生成部が生成した特徴量に基づいて、特徴量の入力に応じて飛行物体群の状態に応じた値を出力するようにモデルを訓練する学習部と、
を有する
という構成をとる。
【発明の効果】
【0011】
上述したような各構成によると、上述したような課題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の概要を説明するための図である。
図2】検知装置の構成例を示すブロック図である。
図3】軌道データ情報の一例を示す図である。
図4】整形済データ情報の一例を示す図である。
図5】特徴量情報の一例を示す図である。
図6】推論結果情報の一例を示す図である。
図7】学習時における検知装置の動作例を示すフローチャートである。
図8】異常検知時における検知装置の動作例を示すフローチャートである。
図9】本開示の第2の実施形態における検知装置のハードウェア構成例を示す図である。
図10】検知装置の構成例を示すブロック図である。
図11】学習装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
本開示の第1の実施形態について、図1から図8までを参照して説明する。図1は、本開示の概要を説明するための図である。図2は、検知装置100の構成例を示すブロック図である。図3は、軌道データ情報141の一例を示す図である。図4は、整形済データ情報142の一例を示す図である。図5は、特徴量情報143の一例を示す図である。図6は、推論結果情報145の一例を示す図である。図7図8は、検知装置100の動作例を示すフローチャートである。
【0014】
本開示の第1の実施形態においては、図1で示すように、複数の飛行物体を含む飛行物体群に生じた非協調動作などの異常を検知する検知装置100について説明する。後述するように、検知装置100は、飛行物体群に含まれる各飛行物体の状態を示す軌道データを飛行物体ごとに取得する。また、検知装置100は、飛行物体群に含まれる各飛行物体の軌道データに基づいて、複数の特徴量を生成する。そして、検知装置100は、生成した特徴量を用いてモデルを学習する。例えば、検知装置100は、異常が生じていない正常時における各飛行物体の軌道データに基づいて生成した特徴量を用いてディープニューラルネットワーク(DNN:Deep Neural Network)などを訓練することで、モデルを学習する。
【0015】
また、検知装置100は、学習したモデルを用いた異常の検知を行う。例えば、検知装置100は、正常な状態であるか異常な状態であるかが未知である軌道データを各飛行物体から取得すると、未知の軌道データに基づいて生成した特徴量をモデルに入力することで、
飛行物体群の状態に応じた、モデルからの出力を取得する。そして、検知装置100は、取得した出力に基づいて異常を検知する。例えば、検知装置100は、正常時における軌道データに基づく特徴量をモデルに入力した際の出力と、未知な軌道データに基づく特徴量をモデルに入力した際の出力と、を比較することで、異常を検知することが出来る。また、検知装置100は、検知した結果を外部装置などに対して出力してもよい。
【0016】
なお、本実施形態において、飛行物体とは、衛星などの所定軌道上を飛行する物体のことを指す。飛行物体は、上記例に限定されず、例えば、ドローンなどの無人航空機やそのほか飛行体などであってもよい。また、飛行物体群は、複数の飛行物体を含む。例えば、飛行物体群には、数百~数万単位の飛行物体が含まれる。飛行物体群には、上記例示した以外の数の飛行物体が含まれてもよい。
【0017】
検知装置100は、飛行物体群に生じた非協調動作などの異常を検知する情報処理装置である。例えば、検知装置100は、飛行物体やそのほか外部装置などから、飛行物体群に含まれる各飛行物体の状態を示す軌道データを取得する。そして、検知装置100は、取得した各飛行物体の軌道データに基づいて、正常な状態とは異なる状態である異常な状態が飛行物体群に生じているか否か確認する。
【0018】
図2は、検知装置100の構成例を示している。図2を参照すると、検知装置100は、主な構成要素として、例えば、操作入力部110と、画面表示部120と、通信I/F部130と、記憶部140と、演算処理部150と、を有している。
【0019】
なお、図2では、1台の情報処理装置を用いて検知装置100としての機能を実現する場合について例示している。しかしながら、検知装置100は、例えば、クラウド上に実現されるなど、複数台の情報処理装置を用いて実現されてもよい。例えば、検知装置100は、図2を参照して説明する構成のうちモデルを学習するための構成を有する学習装置と、学習したモデルを用いて異常の検知を行う検知装置と、から構成されてもよい。また、検知装置100は、操作入力部110や画面表示部120を有さないなど上記例示した構成の一部を含まなくてもよいし、上記例示した以外の構成を有してもよい。
【0020】
操作入力部110は、キーボード、マウスなどの操作入力装置からなる。操作入力部110は、検知装置100を操作する操作者の操作を検出して演算処理部150に出力する。
【0021】
画面表示部120は、LCD(Liquid Crystal Display、液晶ディスプレイ)などの画面表示装置からなる。画面表示部120は、演算処理部150からの指示に応じて、記憶部140に格納されている各種情報などを画面表示することができる。
【0022】
通信I/F部130は、データ通信回路などからなる。通信I/F部130は、通信回線を介して接続された外部装置との間でデータ通信を行う。
【0023】
記憶部140は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置である。記憶部140は、演算処理部150における各種処理に必要な処理情報やプログラム146を記憶する。プログラム146は、演算処理部150に読み込まれて実行されることにより各種処理部を実現する。プログラム146は、通信I/F部130などのデータ入出力機能を介して外部装置や記録媒体から予め読み込まれ、記憶部140に保存されている。記憶部140で記憶される主な情報としては、例えば、軌道データ情報141、整形済データ情報142、特徴量情報143、学習済みモデル情報144、推論結果情報145などがある。
【0024】
軌道データ情報141は、飛行物体群に含まれる各飛行物体の状態を示す軌道データを含んでいる。例えば、軌道データ情報141は、通信I/F部130を介して外部装置や飛行物体などから取得すること、操作入力部110を用いて入力すること、などの方法を用いて予め取得されており、記憶部140に格納されている。
【0025】
図3は、軌道データ情報141の一例を示している。図3を参照すると、軌道データ情報141では、時刻情報と、複数の軌道データと、が関連付けられている。ここで、時刻情報は、関連する軌道データを飛行物体やそのほか外部装置が取得した時刻を示している。例えば、図3の1行目では、時刻情報は「2018-02-12 1:32:44」に軌道データを取得した旨を示している。また、軌道データには、飛行物体の状態を示すデータが含まれる。例えば、軌道データには、飛行物体の位置を示す座標値などの位置情報や、飛行物体が移動する速度や加速度の飛行状況情報などが含まれてよい。また、軌道データには、軌道傾斜角、昇交点赤経、離心率、近地点引数、平均近点角、平均運動などの軌道要素を示す情報や、そのほか飛行物体の状態を示す情報などが含まれてもよい。
【0026】
なお、軌道データ情報141は、飛行物体群に含まれる各飛行物体について、時刻情報と軌道データとを対応付けた情報を含むことができる。例えば、図3で例示する場合、軌道データ情報141には、時刻情報と軌道データとを関連づけたテーブルが飛行物体ごとに用意されている。なお、飛行物体が衛星である場合など飛行物体の種類によっては、軌道データを取得する時刻が不均一になる場合がある。換言すると、飛行物体ごとに異なるタイミングで軌道データを取得することがある。そのため、軌道データ情報141においても、飛行物体ごとに時刻情報が示す時刻などは異なっていてよい。
【0027】
整形済データ情報142は、軌道データ情報141を均一なデータに整形することで生成される情報を含んでいる。例えば、整形済データ情報142は、後述するデータ整形部152が軌道データ情報141に含まれる個々のデータに対して時刻で揃える処理である整形処理を行うことなどに応じて更新される。
【0028】
図4は、整形済データ情報142の一例を示している。図4を参照すると、整形済データ情報142では、時刻情報と、軌道データ情報141に含まれる各飛行物体についての軌道データと、が関連付けられている。例えば、図4で例示するように、整形済データ情報142には、1時間ごとなど所定時刻ごとの軌道データが含まれている。
【0029】
特徴量情報143は、整形済データ情報142に含まれる複数の軌道データの特徴を示す特徴量のうちの少なくとも一部を含んでいる。例えば、特徴量情報143は、後述する次元削減部154が整形済データ情報142に基づいて生成される複数の特徴量のうちの少なくとも一部を抽出することなどに応じて更新される。
【0030】
図5は、特徴量情報143の一例を示している。図5を参照すると、特徴量情報143では、例えば、移動窓と、複数の特徴量と、が関連づけられている。ここで、移動窓は、特徴量を生成する主となる範囲を示している。例えば、図5の1行目「2018-02-12 1:00~2:59」は、整形済データ情報142のうち主に2018年2月12日1時から2時59分までの軌道データに基づいて、関連する特徴量が生成されたことを示している。また、特徴量は、飛行物体群を構成する各飛行物体の軌道データのうち移動窓が示す範囲内における軌道データ全体や少なくとも一部の軌道データにおける特徴を示す値である。例えば、特徴量情報143には、特徴量生成部153が生成した特徴量のうちの少なくとも一部の特徴量が含まれている。
【0031】
ここで、特徴量は、例えば、最大値、最小値、分散、平均、中央値、歪度、尖度、変化率、差分、ピーク値など、複数の軌道データから生成可能な統計値を含むことができる。また、特徴量は、生成した統計値などに対してフーリエ変換などの変換処理を行った値、各統計値の絶対の総和、共分散など統計値に対して所定の処理を施した値を含んでもよい。特徴量には、過去の関連する軌道データから生成される過去の統計値や傾向変動などに応じた値などが含まれてもよい。例えば、以上のように、特徴量は、統計値や統計値に応じた値などを含むことが出来る。特徴量は、上記例示した以外の軌道データの特徴を示す値を含んでもよい。
【0032】
学習済みモデル情報144は、飛行物体群の状態に応じた値を出力するように、特徴量情報143に含まれる特徴量を用いて訓練されたモデルを示す情報を含んでいる。言い換えると、学習済みモデル情報144は、飛行物体群に生じた異常を検知する際に用いることが可能な値を出力するように訓練されたモデルを示す情報を含んでいる。例えば、学習済みモデル情報144には、異常が生じていない正常時における軌道データに基づく特徴量を用いて訓練されたモデルを示す情報が含まれる。一例として、学習済みモデル情報144には、DNNに含まれる各種パラメータの値などが含まれてよい。例えば、学習済みモデル情報144は、後述する学習部155が特徴量情報143に含まれる特徴量に基づく訓練を行うことなどに応じて更新される。
【0033】
推論結果情報145は、特徴量を学習済みのモデルに対して入力することに応じてモデルが出力する、飛行物体群の状態に応じた値である異常値を含んでいる。換言すると、推論結果情報145には、飛行物体群に生じた異常を検知する際に用いることが可能な値である異常値が含まれる。推論結果情報145には、移動窓ごとの特徴量に応じた時系列の異常値が含まれてもよい。例えば、推論結果情報145は、後述する推論部156が特徴量を学習済みモデル情報144が示すモデルに入力して出力値である異常値を取得することなどに応じて更新される。
【0034】
演算処理部150は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置とその周辺回路を有する。演算処理部150は、記憶部140からプログラム146を読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラム146とを協働させて各種処理部を実現する。演算処理部150で実現される主な処理部としては、例えば、データ取得部151、データ整形部152、特徴量生成部153、次元削減部154、学習部155、推論部156、比較部157、出力部158などがある。
【0035】
なお、演算処理部150は、上述したCPUの代わりに、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、TPU(Tensor Processing Unit)、量子プロセッサ、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを有してもよい。
【0036】
データ取得部151は、飛行物体やそのほか外部装置などから、軌道データや軌道データの取得時刻を示す情報などを取得する。データ取得部151は、飛行物体群の状態が正常である旨を確認済みであることや飛行物体群の状態が未知であることなどを示す情報などとともに、軌道データなどを取得してもよい。また、データ取得部151は、取得した軌道データなどを軌道データ情報141として記憶部140に格納する。
【0037】
例えば、データ取得部151は、学習部155による学習用のデータなどとして、異常が生じていない正常時における軌道データなどを取得することができる。また、データ取得部151は、異常が生じているか否か未知な状態における軌道データなどを取得することができる。
【0038】
データ整形部152は、軌道データ情報141に含まれる個々のデータを時刻で揃える処理である整形処理を行う。例えば、データ整形部152は、予め定められた所定の間隔で整形処理を行うなど、任意のタイミングで整形処理を行うことができる。また、データ整形部152は、整形処理の結果を整形済データ情報142として記憶部140に格納する。
【0039】
上述したように、各飛行物体などが軌道データを取得する時刻は不均一である場合がある。例えば、図3で例示する場合、ある飛行物体の軌道データを取得した時刻は「1:32:44」の次が「4:13:00」であり、2時間40分程度の間が空いている。そこで、データ整形部152は、「1:00:00」、「2:00:00」、「3:00:00」など予め定められた時刻ごとに軌道データを揃える。例えば、図3で例示する場合、データ整形部152は、「1:00:00」に関連するある飛行物体の軌道データとして、「1:32:44」に取得した軌道データを採用する。
【0040】
また、飛行物体などが所定時間内に軌道データを取得できていない場合がある。例えば、上述した図3の例の場合、「2:00:00」及び「3:00:00」に関連する軌道データは取得されていない。このような欠損値が存在する場合、データ整形部152は、線形補間などの補間技術を用いることで欠損値を埋めることができる。データ整形部152は、任意の補間技術を用いて欠損値を埋めてよい。なお、データ整形部152は、欠損値をそのまま欠損値として扱うよう構成してもよい。
【0041】
また、「1:00:00」から「2:00:00」までの間に複数回軌道データを取得している場合など、飛行物体などが所定時間内に複数の軌道データを取得している場合がある。この場合、データ整形部152は、各軌道データの平均値や中央値を算出するなど任意の統計値を算出して算出した統計値を整形済みの軌道データとして採用することができる。データ整形部152は、統計値を算出する代わりに、任意の手法で選択した軌道データを採用してもよい。
【0042】
例えば、以上のように、欠損値を埋めたり重複している値を処理したりすることで、データ整形部152は、軌道データ情報141に含まれる個々のデータを所定の時刻で揃える。データ整形部152が整形処理を行うことで、例えば、図4で例示するように、飛行物体ごとのテーブルを一つのテーブルに結合してまとめることができる。
【0043】
特徴量生成部153は、整形済データ情報142に含まれる複数の軌道データの特徴を示す特徴量を生成する。例えば、特徴量生成部153は、1時間や2時間など所定の時間単位の移動窓を用いて整形済データ情報142から軌道データを抽出する。そして、特徴量生成部153は、抽出した軌道データに基づいて特徴量を生成する。特徴量生成部153は、1時間ずつなど所定の間隔で移動窓をずらしながらそれぞれ抽出した軌道データに基づく特徴量を生成することで、時系列の特徴量を生成してもよい。
【0044】
例えば、特徴量生成部153は、抽出した軌道データの特徴量として、抽出した軌道データの最大値、最小値、分散、平均、中央値、歪度、尖度、変化率、差分、ピーク値など、複数の軌道データから生成可能な統計値のうちの少なくとも一部を生成する。また、特徴量生成部153は、フーリエ変換など生成した統計値に対して所定の処理を施した値などを生成することができる。特徴量生成部153は、抽出した軌道データから統計値を生成するとともに、過去の関連する軌道データから統計値などを生成してもよい。また、特徴量を生成する際、特徴量生成部153は、抽出した軌道データ全体の特徴を示す特徴量を生成するとともに、抽出した軌道データの一部についての特徴を示す特徴量を生成してもよい。例えば、特徴量生成部153は、抽出した軌道データ全体を対象とした統計値を生成することができる。また、特徴量生成部153は、抽出した軌道データを所定の基準に基づいて複数のカテゴリに分けるとともに、カテゴリごとに統計値を生成することができる。なお、カテゴリの分け方については本開示では特に限定しない。
【0045】
例えば、上記のような方法により、特徴量生成部153は、移動窓を用いて抽出した軌道データに基づいて複数の特徴量を抽出することができる。例えば、特徴量生成部153は、移動窓を用いて抽出した軌道データに基づいて10~100単位の特徴量を生成してよい。なお、特徴量生成部153は、上記例示した以外の方法で、抽出した軌道データの特徴を示す特徴量を生成してもよい。
【0046】
次元削減部154は、特徴量生成部153が生成した特徴量のうちの少なくとも一部を抽出する次元削減処理を行う。また、次元削減部154は、抽出した特徴量を特徴量情報143として記憶部140に格納することができる。
【0047】
例えば、次元削減部154は、主成分分析(PCA:principal component analysis)、t-SNE(T-distributed Stochastic Neighbor Embedding)、UMAP(Uniform Manifold Approximation and Projection)などの技術を用いて、次元削減処理を行うことができる。次元削減部154は、上記例示した以外の方法を用いて次元削減処理を行ってもよい。
【0048】
学習部155は、特徴量情報143に含まれる特徴量を用いた学習を行うことで、DNNなどを訓練する。例えば、学習部155は、異常が生じていないことが確認された正常時における軌道データに基づいて生成された特徴量を用いた学習を行う。また、学習部155は、学習の結果として生成されるモデルを、学習済みモデル情報144として記憶部140に格納する。
【0049】
例えば、学習部155は、移動窓単位での特徴量の入力に対して飛行物体群の状態に応じた値である異常値を出力するよう、移動窓単位での特徴量を用いてDNNなどの訓練を行う。学習部155は、複数の移動窓に関連する特徴量の入力に対して異常値を出力するようにDNNなどの訓練を行ってもよい。
【0050】
推論部156は、特徴量に基づいて飛行物体群の状態に応じた値である異常値を取得する。例えば、推論部156は、学習済みモデル情報144が示すモデルに対して次元削減部154が次元削減処理を行った特徴量を入力することで、モデルからの出力である異常値を取得する。推論部156は、各移動窓に関連する特徴量をそれぞれ入力することで時系列の異常値を取得してもよい。また、推論部156は、取得した異常値を推論結果情報145として記憶部140に格納する。
【0051】
本開示の場合、推論部156は、異常検知対象となる未知の状態における軌道データに基づいて生成された特徴量から異常値を取得するとともに、比較対象となる特徴量から異常値を取得する。例えば、推論部156は、異常が生じているか否か未知である軌道データに基づいて生成された特徴量をモデルに対して入力することで、未知な状態における異常値を取得する。また、推論部156は、比較対象として、異常が生じていない正常時における軌道データに基づいて生成された特徴量をモデルに対して入力することで、正常な状態における異常値を取得する。推論部156は、比較対象として、異常時における軌道データに基づいて生成された特徴量に基づく異常値を取得してもよい。
【0052】
なお、比較対象となる特徴量の生成元となる軌道データは、未知のデータと同じタイミングで取得したものであってもよいし、異なるタイミングで取得したものであってもよい。例えば、比較対象となる特徴量の生成元となる軌道データは、異常検知対象となる飛行物体群と同一の飛行物体群から過去に取得した軌道データである。一例として、比較対象となる特徴量の生成元となる軌道データは、異常検知対象となる飛行物体群と同一の飛行物体群から取得した、正常であることが確認済みの期間における軌道データなどであってよい。また、比較対象となる特徴量の生成元となる軌道データは、異常検知対象となる飛行物体群とは異なる飛行物体群から取得したデータであってもよい。例えば、比較対象となる特徴量の生成元となる軌道データは、異常検知対象となる飛行物体群と同様の飛行を行うと判断可能な異なる飛行物体群から取得した軌道データなどであってもよい。
【0053】
比較部157は、推論部156が取得した異常値に基づいて飛行物体群に生じている異常を検知する検知部として機能する。例えば、比較部157は、推論部156が取得した異常値を比較することで、検知対象となる飛行物体群に生じた異常を検知する。比較部157は、異常値自体の比較を行ってもよいし、時系列の異常値から算出した統計値などの比較を行ってもよい。
【0054】
例えば、比較部157は、未知な状態における異常値と、正常な状態における異常値と、の間の距離を算出して、算出した距離が予め定められた閾値以上であるか否かに基づいて異常の判断を行うことができる。例えば、比較部157は、算出した距離が閾値以上である場合に、飛行物体群に異常が生じていると判断することができる。なお、距離はユークリッド距離やハマラノビス距離などの一般的なものであってよい。
【0055】
また、比較部157は、時系列の異常値から算出した統計値などの間の距離が所定閾値以上であるか否か確認することで、異常が生じているか否か判断してもよい。例えば、図6で例示するように、推論部156は、未知の状態における時系列の異常値と、比較対象となる正常な状態における時系列の異常値と、を取得することができる。そこで、比較部157は、各時系列の異常値について、平均、標準偏差、最小値、最大値などの統計値を算出して、算出した統計値を比較することで異常が生じているか否か判断してもよい。例えば、比較部157は、算出した統計値間の距離が閾値以上である場合に、飛行物体群に異常が生じていると判断することができる。
【0056】
出力部158は、比較部157による比較の結果などを出力する。例えば、出力部158は、比較の結果などを通信I/F部130を介して外部装置へと送信したり、画面表示部120に表示させたりする。出力部158は、異常が生じている旨を比較部157が判断した際に、異常が生じている旨の出力を行うよう構成してもよい。
【0057】
なお、出力部158が出力する情報は上記例示した場合に限定されない。例えば、出力部158は、比較の結果などとともに、図6で例示するような時系列の推論結果情報145などを出力するよう構成してもよい。
【0058】
以上が、検知装置100の構成例である。続いて、図7図8を参照して、検知装置100の動作例について説明する。
【0059】
図7は、モデル学習時における検知装置100の動作例を示すフローチャートである。図7を参照すると、データ取得部151は、飛行物体やそのほか外部装置などから、軌道データや軌道データの取得時刻を示す情報などを取得する(ステップS101)。例えば、データ取得部151は、学習用のデータとして、異常が生じていない正常時における軌道データなどを取得する。
【0060】
データ整形部152は、データ取得部151が取得した個々のデータに対して、時刻で揃える処理である整形処理を行う(ステップS102)。例えば、データ整形部152は、欠損値を埋めたり重複している値を処理したりしてもよい。
【0061】
特徴量生成部153は、整形済データ情報142に含まれる軌道データの特徴を示す特徴量を生成する(ステップS103)。例えば、特徴量生成部153は、1時間や2時間など所定の時間単位の移動窓を用いて整形済データ情報142から軌道データを抽出する。そして、特徴量生成部153は、抽出した軌道データに基づいて特徴量を生成する。特徴量生成部153は、1時間ずつなど所定の間隔で移動窓をずらしながらそれぞれ抽出した軌道データに基づく特徴量を生成することで、時系列の特徴量を生成してもよい。
【0062】
次元削減部154は、特徴量生成部153が生成した特徴量のうちの少なくとも一部を抽出する次元削減処理を行う(ステップS104)。次元削減部154は、主成分分析などの技術を用いて次元削減処理を行ってよい。
【0063】
学習部155は、次元削減部154が次元削減処理を行った特徴量を用いた学習を行うことで、DNNなどを訓練する(ステップS105)。例えば、学習部155は、移動窓単位での特徴量の入力に対して飛行物体群に生じた異常を検知する際に用いることが可能な値である異常値を出力するよう、DNNなどの訓練を行う。
【0064】
以上が、学習時の動作例である。続いて、異常検知時の動作例について図8を参照して説明する。
【0065】
図8は、異常検知時における検知装置100の動作例を示すフローチャートである。図8を参照すると、データ取得部151は、飛行物体やそのほか外部装置などから、軌道データや軌道データの取得時刻を示す情報などを取得する(ステップS201)。例えば、データ取得部151は、未知の状態における軌道データなどを取得する。データ取得部151は、未知の状態における軌道データのほか、異常が生じていない正常時における軌道データなどを取得してもよい。
【0066】
データ整形部152は、データ取得部151が取得した個々のデータに対して、時刻で揃える処理である整形処理を行う(ステップS202)。例えば、データ整形部152は、欠損値を埋めたり重複している値を処理したりしてもよい。
【0067】
特徴量生成部153は、整形済データ情報142に含まれる軌道データの特徴を示す特徴量を生成する(ステップS203)。例えば、特徴量生成部153は、1時間や2時間など所定の時間単位の移動窓を用いて整形済データ情報142から軌道データを抽出する。そして、特徴量生成部153は、抽出した軌道データに基づいて特徴量を生成する。特徴量生成部153は、1時間ずつなど所定の間隔で移動窓をずらしながらそれぞれ抽出した軌道データに基づく特徴量を生成することで、時系列の特徴量を生成してもよい。
【0068】
次元削減部154は、特徴量生成部153が生成した特徴量のうちの少なくとも一部を抽出する次元削減処理を行う(ステップS204)。次元削減部154は、主成分分析などの技術を用いて次元削減処理を行ってよい。
【0069】
推論部156は、学習済みモデル情報144が示すモデルに対して次元削減部154が次元削減処理を行った特徴量を入力することで、モデルからの出力である異常値を取得する(ステップS205)。推論部156は、各移動窓に関連する特徴量をそれぞれ入力することで時系列の異常値を取得してもよい。例えば、推論部156は、異常検知対象となる未知の状態における軌道データに基づいて生成された特徴量から異常値を取得するとともに、比較対象となる特徴量から異常値を取得する。
【0070】
比較部157は、推論部156が取得した異常値を比較することで検知対象となる飛行物体に生じた異常を検知する(ステップS206)。例えば、比較部157は、未知な状態における異常値と、正常な状態における異常値と、の間の距離を算出して、算出した距離が予め定められた閾値以上であるか否かに基づいて異常の判断を行うことができる比較部157は、異常値自体の比較を行ってもよいし、時系列の異常値から算出した統計値などの比較を行ってもよい。
【0071】
なお、比較部157が異常を検知した場合、出力部158が異常を検知した旨の出力を行ってもよい。
【0072】
以上が、異常検知時における検知装置100の動作例である。
【0073】
このように、検知装置100は、特徴量生成部153と、学習部155と、を有している。このような構成によると、学習部155は、特徴量生成部153が軌道データに基づいて生成した特徴量を用いて、飛行物体群に生じた異常を検知する際に用いることが可能な値である異常値を出力するモデルを訓練することができる。その結果、訓練されたモデルを用いることで、飛行物体群に生じた異常を容易に検知することができる。
【0074】
また、検知装置100は、次元削減部154を有している。このような構成によると、学習部155は、特徴量生成部153が軌道データに基づいて生成した特徴量のうちの一部を用いてモデルの学習を行うことができる。これにより、多くの特徴量を生成した後に次元削減を行った結果を用いてモデルの学習を行うことができ、モデルの学習により適した特徴量を用いた学習を行うことができる。
【0075】
また、検知装置100は、データ整形部152を有している。上述したように、飛行物体ごとに異なるタイミングで軌道データを取得することがある。データ整形部152が整形処理を行った結果を用いて特徴量を生成することで、軌道データの取得タイミングにバラツキがある場合でも、より適切に特徴量を生成することができる。
【0076】
また、検知装置100は、推論部156と比較部157とを有している。このような構成によると、比較部157は、推論部156が取得した異常値を比較することで、検知対象となる飛行物体に生じた異常を検知することができる。つまり、上記構成によると、学習部155が学習したモデルを用いて容易に異常の検知を行うことができる。
【0077】
なお、本開示では検知装置100の構成の一例について説明した。しかしながら、検知装置100の構成は、本開示で例示した場合に限定されない。例えば、検知装置100は、データ整形部152を有さなくてもよい。また、検知装置100は、次元削減部154を有さなくてもよい。例えば、以上のように、検知装置100は、本開示で説明した構成のうちの一部から構成されてもよい。
【0078】
また、本開示では、検知装置100が比較部157による比較の結果に基づいて異常を検知する場合について例示した。しかしながら、検知装置100は、例えば、推論部156が取得した異常値が予め定められた閾値以上であるか否か確認することなどにより、異常であるか否か判断するよう構成してもよい。例えば、以上のように、検知装置100は本開示で例示した以外の方法で、特徴量に基づく異常の検知を行ってもよい。
【0079】
[第2の実施形態]
次に、本開示の第2の実施形態について、図9から図11までを参照して説明する。図9は、検知装置200のハードウェア構成例を示す図である。図10は、検知装置200の構成例を示すブロック図である。図11は、学習装置300の構成例を示すブロック図である。
【0080】
本開示の第2の実施形態においては、飛行物体群に含まれる各飛行物体の状態を示す軌道データに基づいて飛行物体群に生じている異常を検知する情報処理装置である検知装置200の構成例について説明する。また、飛行物体群に含まれる各飛行物体の状態を示す軌道データに基づいてモデルの訓練を行う学習装置300の構成例について説明する。図9は、検知装置200のハードウェア構成例を示している。図9を参照すると、検知装置200は、一例として、以下のようなハードウェア構成を有している。
・CPU(Central Processing Unit)201(演算装置)
・ROM(Read Only Memory)202(記憶装置)
・RAM(Random Access Memory)203(記憶装置)
・RAM203にロードされるプログラム群204
・プログラム群204を格納する記憶装置205
・情報処理装置外部の記録媒体210の読み書きを行うドライブ装置206
・情報処理装置外部の通信ネットワーク211と接続する通信インタフェース207
・データの入出力を行う入出力インタフェース208
・各構成要素を接続するバス209
【0081】
また、検知装置200は、プログラム群204をCPU201が取得して当該CPU201が実行することで、図10に示す生成部221、推論部222、検知部223としての機能を実現することができる。なお、プログラム群204は、例えば、予め記憶装置205やROM202に格納されており、必要に応じてCPU201がRAM203などにロードして実行する。また、プログラム群204は、通信ネットワーク211を介してCPU201に供給されてもよいし、予め記録媒体210に格納されており、ドライブ装置206が該プログラムを読み出してCPU201に供給してもよい。
【0082】
なお、図9は、検知装置200のハードウェア構成例を示している。検知装置200のハードウェア構成は上述した場合に限定されない。例えば、検知装置200は、ドライブ装置206を有さないなど、上述した構成の一部から構成されてもよい。また、CPU201は、第1の実施形態で例示したGPUなどであってもよい。
【0083】
生成部221は、飛行物体群に含まれる各飛行物体の状態を示す軌道データに基づいて、複数の軌道データの特徴を示す特徴量を生成する。
【0084】
推論部222は、生成部221が生成した特徴量に基づいて、飛行物体群の状態に応じた値を取得する。
【0085】
検知部223は、推論部222が取得した飛行物体群の状態に応じた値に基づいて飛行物体群に生じている異常を検知する。
【0086】
このように、検知装置200は、生成部221と推論部222と検知部223とを有している。このような構成によると、検知部223は、生成部221が生成した特徴量に基づいて推論部222が取得した飛行物体群の状態に応じた値に基づいて飛行物体群に生じている異常を検知することができる。その結果、飛行物体群に生じている異常を容易に検知することができる。
【0087】
なお、上述した検知装置200は、当該検知装置200などの情報処理装置に所定のプログラムが組み込まれることで実現できる。具体的に、本発明の他の形態であるプログラムは、検知装置200などの情報処理装置に、飛行物体群に含まれる各飛行物体の状態を示す軌道データに基づいて、複数の軌道データの特徴を示す特徴量を生成し、生成した特徴量に基づいて、飛行物体群の状態に応じた値を取得し、取得した飛行物体群の状態に応じた値に基づいて飛行物体群に生じている異常を検知する、処理を実現するためのプログラムである。
【0088】
また、上述した検知装置200などの情報処理装置により実行される処理方法は、飛行物体群に含まれる各飛行物体の状態を示す軌道データに基づいて、複数の軌道データの特徴を示す特徴量を生成し、生成した特徴量に基づいて、飛行物体群の状態に応じた値を取得し、取得した飛行物体群の状態に応じた値に基づいて飛行物体群に生じている異常を検知する、という方法である。
【0089】
上述した構成を有する、プログラム、又は、プログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体、又は、処理方法、の発明であっても、上述した検知装置200と同様の作用・効果を奏するために、上述した本開示の目的を達成することができる。
【0090】
また、検知装置200で活用可能なモデルを学習する学習装置300や学習装置300が実行する学習方法、プログラムであっても、同様の目的を達成することができる。例えば、学習装置300は、飛行物体群に含まれる各飛行物体の状態を示す軌道データに基づいて、複数の軌道データの特徴を示す特徴量を生成する生成部321と、生成部321が生成した特徴量に基づいて、特徴量の入力に応じて飛行物体群の状態に応じた値を出力するようにモデルを訓練する学習部322と、を有する。なお、学習装置300のハードウェア構成は、図9を参照して説明した検知装置200が有する構成と同様であってよい。
【0091】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明における検知装置などの概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
【0092】
(付記1)
飛行物体群に含まれる各飛行物体の状態を示す軌道データに基づいて、複数の軌道データの特徴を示す特徴量を生成する生成部と、
前記生成部が生成した特徴量に基づいて、飛行物体群の状態に応じた値を取得する推論部と、
前記推論部が取得した飛行物体群の状態に応じた値に基づいて飛行物体群に生じている異常を検知する検知部と、
を有する
検知装置。
(付記2)
付記1に記載の検知装置であって、
前記推論部は、異常検知対象となる未知の状態における軌道データに基づいて生成した特徴量から飛行物体群の状態に応じた値を取得するとともに、比較対象となる特徴量から飛行物体群の状態に応じた値を取得し、
前記検知部は、前記推論部が取得した値の比較結果に応じて異常を検知する
検知装置。
(付記3)
付記2に記載の検知装置であって、
前記検知部は、前記推論部が取得した飛行物体群の状態に応じた値間の距離が所定閾値以上である場合に、異常が生じている旨を検知する
検知装置。
(付記4)
付記1から付記3までのうちのいずれか1項に記載の検知装置であって、
前記生成部が生成した特徴量のうちの少なくとも一部を抽出する次元削減部を有し、
前記推論部は、前記次元削減部が抽出した特徴量に基づいて、飛行物体群の状態に応じた値を取得する
検知装置。
(付記5)
付記1から付記4までのうちのいずれか1項に記載の検知装置であって、
異なる時刻に取得された飛行物体ごとの軌道データに対して、時刻で揃える処理である整形処理を行う整形部を有し、
前記生成部は、前記整形部による整形処理の結果に基づいて特徴量を生成する
検知装置。
(付記6)
付記1から付記5までのうちのいずれか1項に記載の検知装置であって、
前記推論部は、特徴量の入力に応じて飛行物体群の状態に応じた値を出力するよう訓練されたモデルに対して前記生成部が生成した特徴量を入力することで、前記生成部が生成した特徴量に基づいて飛行物体群の状態に応じた値を取得する
検知装置。
(付記7)
付記1から付記6までのうちのいずれか1項に記載の検知装置であって、
前記生成部は、所定時間単位で軌道データを抽出して、抽出した軌道データに基づいて抽出した軌道データ全体の特徴を示す特徴量を生成する
検知装置。
(付記8)
情報処理装置が、
飛行物体群に含まれる各飛行物体の状態を示す軌道データに基づいて、複数の軌道データの特徴を示す特徴量を生成し、
生成した特徴量に基づいて、飛行物体群の状態に応じた値を取得し、
取得した飛行物体群の状態に応じた値に基づいて飛行物体群に生じている
検知方法。
(付記9)
情報処理装置に、
飛行物体群に含まれる各飛行物体の状態を示す軌道データに基づいて、複数の軌道データの特徴を示す特徴量を生成し、
生成した特徴量に基づいて、飛行物体群の状態に応じた値を取得し、
取得した飛行物体群の状態に応じた値に基づいて飛行物体群に生じている
処理を実現するためのプログラム。
(付記10)
飛行物体群に含まれる各飛行物体の状態を示す軌道データに基づいて、複数の軌道データの特徴を示す特徴量を生成する生成部と、
前記生成部が生成した特徴量に基づいて、特徴量の入力に応じて飛行物体群の状態に応じた値を出力するようにモデルを訓練する学習部と、
を有する
学習装置。
(付記11)
情報処理装置が、
飛行物体群に含まれる各飛行物体の状態を示す軌道データに基づいて、複数の軌道データの特徴を示す特徴量を生成し、
生成した特徴量に基づいて、特徴量の入力に応じて飛行物体群の状態に応じた値を出力するようにモデルを訓練する
学習方法。
(付記12)
情報処理装置に、
飛行物体群に含まれる各飛行物体の状態を示す軌道データに基づいて、複数の軌道データの特徴を示す特徴量を生成し、
生成した特徴量に基づいて、特徴量の入力に応じて飛行物体群の状態に応じた値を出力するようにモデルを訓練する
処理を実現するためのプログラム。
【0093】
なお、上記各実施形態及び付記において記載したプログラムは、記憶装置に記憶されていたり、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されていたりする。例えば、記録媒体は、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、及び、半導体メモリ等の可搬性を有する媒体である。
【0094】
以上、上記各実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0095】
100 検知装置
110 操作入力部
120 画面表示部
130 通信I/F部
140 記憶部
141 軌道データ情報
142 整形済データ情報
143 特徴量情報
144 学習済みモデル情報
145 推論結果情報
146 プログラム
150 演算処理部
151 データ取得部
152 データ整形部
153 特徴量生成部
154 次元削減部
155 学習部
156 推論部
157 比較部
158 出力部
200 検知装置
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 プログラム群
205 記憶装置
206 ドライブ装置
207 通信インタフェース
208 入出力インタフェース
209 バス
210 記録媒体
211 通信ネットワーク
221 生成部
222 推論部
223 検知部
300 学習装置
321 生成部
322 学習部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11