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特開2024-8206バンカー設備、バンカー船、バンカーシステム、及び液化ガスの供給方法
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  • 特開-バンカー設備、バンカー船、バンカーシステム、及び液化ガスの供給方法 図1
  • 特開-バンカー設備、バンカー船、バンカーシステム、及び液化ガスの供給方法 図2
  • 特開-バンカー設備、バンカー船、バンカーシステム、及び液化ガスの供給方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008206
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】バンカー設備、バンカー船、バンカーシステム、及び液化ガスの供給方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 27/30 20060101AFI20240112BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20240112BHJP
   B63H 21/38 20060101ALI20240112BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B63B27/30
B63B25/16 D
B63H21/38 C
B63B25/16 A
F17C13/00 302A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109885
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】奥田 恒一
(72)【発明者】
【氏名】上田 伸
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB05
3E172AB20
3E172BA06
3E172BB02
3E172BB03
3E172BB13
3E172BB17
3E172BD01
3E172EB10
3E172HA03
3E172HA13
3E172HA15
(57)【要約】
【課題】円滑なバンカリング作業及び小型化を達成できるバンカー設備、バンカー船、バンカーシステム、及び液化ガスの供給方法を提供する。
【解決手段】バンカー設備は、燃料船に供給する燃料としての液化ガスを貯留する第一タンクと、第一タンクよりも耐圧性の高い圧力容器構造とされている第二タンクと、第一タンクの液化ガスを燃料船の燃料タンクに供給可能な液ラインと、液化ガスの供給に応じて燃料タンクから排出されるガスを第二タンクに導入可能なガスラインと、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料船に供給する燃料としての液化ガスを貯留する第一タンクと、
前記第一タンクよりも耐圧性の高い圧力容器構造とされている第二タンクと、
前記第一タンクの前記液化ガスを前記燃料船の燃料タンクに供給可能な液ラインと、
前記液化ガスの供給に応じて前記燃料タンクから排出されるガスを前記第二タンクに導入可能なガスラインと、
を備えるバンカー設備。
【請求項2】
前記第二タンクの容積は、前記第一タンクの容積よりも小さい、請求項1に記載のバンカー設備。
【請求項3】
前記第二タンク内の前記ガスを冷却する冷却装置を備える、請求項1又は2に記載のバンカー設備。
【請求項4】
前記冷却装置は、前記第二タンク内に、前記第一タンク内の前記液化ガスを噴霧するスプレー部を有する請求項3に記載のバンカー設備。
【請求項5】
前記冷却装置は、前記第二タンクの外殻に、外部から水を供給する冷却水供給部を有する請求項3に記載のバンカー設備。
【請求項6】
前記冷却装置によって冷却された前記第二タンク内の前記ガスを液化し、前記第一タンクに前記液化ガスとして貯留させる再液化装置を備える、請求項3に記載のバンカー設備。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のバンカー設備を備える、バンカー船。
【請求項8】
請求項7に記載のバンカー船と、
前記第一タンクよりも耐圧性の高い圧力容器構造とされている前記燃料タンクを備える前記燃料船と、を備えるバンカーシステムであって、
前記燃料船は、
前記液ラインに接続されて、前記液ラインにより供給された前記液化ガスを前記燃料タンク内に導く供給ラインと、
前記ガスラインに接続されて、前記第一タンクから前記燃料タンクへの前記液化ガスの供給に応じて前記燃料タンクから排出された前記ガスを、前記ガスラインへ導くリターンラインと、
を備えるバンカーシステム。
【請求項9】
燃料船に燃料としての液化ガスを供給するバンカー設備を用いた液化ガスの供給方法であって、
前記バンカー設備は、
前記液化ガスを貯留する第一タンクと、
前記第一タンクよりも耐圧性の高い圧力容器構造とされている第二タンクと、
前記第一タンクの前記液化ガスを前記燃料船の燃料タンクに供給可能な液ラインと、
前記液化ガスの供給に応じて前記燃料タンクから排出されるガスを前記第二タンクに導入可能なガスラインと、
を備え、
前記燃料船は、
前記第一タンクよりも耐圧性の高い圧力容器構造とされている前記燃料タンクと、
前記液ラインにより供給された前記液化ガスを前記燃料タンク内に導く供給ラインと、
前記第一タンクから前記燃料タンクへの前記液化ガスの供給に応じて前記燃料タンクから排出された前記ガスを、前記ガスラインへ導くリターンラインと、
を備え、
前記液ラインと前記供給ラインとを接続するとともに、前記ガスラインと前記リターンラインとを接続するステップと、
前記第二タンクと前記燃料タンクとを均圧化するステップと、
前記第一タンク内の前記液化ガスを前記燃料タンク内に供給するステップと、
を含む、液化ガスの供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バンカー設備、バンカー船、バンカーシステム、及び液化ガスの供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液化ガスを燃料とする液化ガス燃料船に対して海上で燃料補給を行う、いわゆるバンカー船が開示されている。このバンカー船のように船舶への燃料補給を行うための設備には、液化ガス燃料船の燃料となる液化ガスを貯留する貯留タンクが設けられている。このような設備では、貯留タンクから液化ガスを供給するときに、燃料タンク内で発生したガスを貯留タンクに返送することが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2021-517878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コンテナ運搬船等の貨物として液化ガスを運搬しない液化ガス燃料船には、液化ガスの取り扱いに習熟した技術者が乗船しない場合が多いため、このような液化ガス燃料船の燃料タンクとしては、設計圧力が高く取扱いの容易なIMO(International Maritime Organizaition)基準の Type-Cタンク等のタンクが採用されることが多い。
一方で、上記のような液化ガス燃料船からバンカー船の貯留タンクにガスを返送する場合、バンカー船から燃料船へ液化ガスの供給を開始する前に、燃料タンクの内圧と貯留タンクの内圧とを均圧化する必要がある。しかし、バンカー船の貯留タンクが、液化ガス燃料船の燃料タンクよりも設計圧力の低いメンブレンタンクや方形タンクである場合、上記の均圧化の際に、例えば燃料タンク側の圧力を低下させる等の作業が必要となり、バンカリング作業に種々の制限が生じてしまうという課題がある。
また、Type-Cタンク等の設計圧力の高いタンクは、一般に、円筒形状や球形状等をなしている。そのため、貯留タンクと燃料タンクとの設計圧力を揃えるために上記の設計圧力の高いタンクを貯留タンクとして採用すると、メンブレンタンクや方形タンク等と比較して容積効率が悪化して、貯留タンクを含むバンカー船の設備全体が大型化してしまう可能性が有る。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、円滑なバンカリング作業及び小型化を達成できるバンカー設備、バンカー船、バンカーシステム、及び液化ガスの供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係るバンカー設備は、燃料船に供給する燃料としての液化ガスを貯留する第一タンクと、前記第一タンクよりも耐圧性の高い圧力容器構造とされている第二タンクと、前記第一タンクの前記液化ガスを前記燃料船の燃料タンクに供給可能な液ラインと、前記液化ガスの供給に応じて前記燃料タンクから排出されるガスを前記第二タンクに導入可能なガスラインと、を備える。
【0007】
本開示に係るバンカー船は、上記のバンカー設備を備える。
【0008】
本開示に係るバンカーシステムは、上記のバンカー船と、前記第一タンクよりも耐圧性の高い圧力容器構造とされている前記燃料タンクを備える前記燃料船と、を備えるバンカーシステムであって、前記燃料船は、前記液ラインに接続されて、前記液ラインにより供給された前記液化ガスを前記燃料タンク内に導く供給ラインと、前記ガスラインに接続されて、前記第一タンクから前記燃料タンクへの前記液化ガスの供給に応じて前記燃料タンクから排出された前記ガスを、前記ガスラインへ導くリターンラインと、を備える。
【0009】
本開示に係る液化ガスの供給方法は、燃料船に燃料としての液化ガスを供給するバンカー設備を用いた液化ガスの供給方法であって、前記バンカー設備は、前記液化ガスを貯留する第一タンクと、前記第一タンクよりも耐圧性の高い圧力容器構造とされている第二タンクと、前記第一タンクの前記液化ガスを前記燃料船の燃料タンクに供給可能な液ラインと、前記液化ガスの供給に応じて前記燃料タンクから排出されるガスを前記第二タンクに導入可能なガスラインと、を備え、前記燃料船は、前記第一タンクよりも耐圧性の高い圧力容器構造とされている前記燃料タンクと、前記液ラインにより供給された前記液化ガスを前記燃料タンク内に導く供給ラインと、前記第一タンクから前記燃料タンクへの前記液化ガスの供給に応じて前記燃料タンクから排出された前記ガスを、前記ガスラインへ導くリターンラインと、を備え、前記液ラインと前記供給ラインとを接続するとともに、前記ガスラインと前記リターンラインとを接続するステップと、前記第二タンクと前記燃料タンクとを均圧化するステップと、前記第一タンク内の前記液化ガスを前記燃料タンク内に供給するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示のバンカー設備、バンカー船、バンカーシステム、及び液化ガスの供給方法によれば、円滑なバンカリング作業及び小型化を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施形態に係るバンカー船の概略構成図である。
図2】本開示の実施形態に係る燃料船の概略構成図である。
図3】本開示の実施形態に係るバンカー船と燃料船とが接続された状態を説明する図である。
図4】本開示の実施形態に係る液化ガスの供給方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態に係るバンカー設備10、バンカー船1、バンカーシステム100、及び液化ガスG1の供給方法について、図1から図4を参照して説明する。
バンカーシステム100は、海上の燃料船2に燃料としての液化ガスG1を供給するシステムである。バンカーシステム100が供給する液化ガスG1として、例えば、LPG(Liquefied Petroleum Gas)や、液化アンモニア等が挙げられる。なお、バンカーシステム100は、燃料船2にLNG(Liquefied Natural Gas)を供給するために用いられてもよい。バンカーシステム100は、バンカー船1と、燃料船2と、を備える。
【0013】
(バンカー船)
まず、図1を参照して、バンカー船1の構成について説明する。バンカー船1は、燃料船2に液化ガスG1を供給する船である。図1に示すように、バンカー船1は、バンカー船体3と、バンカー設備10と、を備える。
【0014】
バンカー船体3は、一方向に延びて海洋上に浮かぶ、各種機器・装置を配置可能な内部空間を有する構造体である。バンカー船体3の内部には、後述する第一タンク11が収容されるスペースが形成されている。バンカー船体3は、上甲板4と、船尾3b側の上甲板4上に設けられた上部構造5と、を有する。上部構造5には、バンカー船1の乗組員の居住区等が設けられている。
【0015】
(バンカー設備)
バンカー設備10は、バンカー船1から燃料船2に液化ガスG1を供給するための設備であり、バンカー船体3に設けられている。バンカー設備10は、第一タンク11と、ポンプ12と、第二タンク13と、液ライン20と、ガスライン30と、冷却装置40と、再液化装置14と、再液化ライン15と、供給接続ライン16と、リターン接続ライン17と、を備える。
【0016】
(第一タンク)
第一タンク11は、燃料船2に供給する燃料としての液化ガスG1を貯留するカーゴタンクである。第一タンク11は、船首3a側のバンカー船体3内に複数(本実施形態では2個)配置されている。なお、第一タンク11は、バンカー船体3に1つのみ設けられていてもよく、3つ以上設けられていてもよい。本実施形態では、2つの第一タンク11は、上部構造5よりも船首3a側に設けられ、船首尾方向に並んでいる。
【0017】
第一タンク11は、後述する第二タンク13や燃料タンク60と比較して、設計圧力の低く容積効率の高いタンクである。第一タンク11として、例えばメンブレンタンクや方形タンク等が挙げられる。また、本実施形態の第一タンク11には、IMO基準でType-AやType-Bの型式のタンクが採用されている。
第一タンク11の最大設計圧力は、例えば約0.07MPaや0.025MPaである。
【0018】
(ポンプ)
ポンプ12は、第一タンク11内の液化ガスG1を燃料タンク60に圧送する。本実施形態では、ポンプ12は、第一タンク11に設けられている。なお、ポンプ12は、第一タンク11から延びる後述の液ライン20に設けられていてもよい。また、ポンプ12は、第一タンク11と液ライン20とにそれぞれ配置されていてもよい(二段式)。
【0019】
(第二タンク)
第二タンク13は、後述する燃料船2の燃料タンク60から返送されるガスG2を貯留するタンクである。本実施形態では、第二タンク13は、上甲板4上に配置されている。より具体的には、第二タンク13は、2つの第一タンク11のうち船首3a側の第一タンク11の上方に設けられている。なお、第二タンク13は、バンカー船体3の内部に載置されていてもよい。第二タンク13の容積は、第一タンク11の容積よりも小さい。
【0020】
第二タンク13は、第一タンク11よりも耐圧性の高い圧力容器構造とされている。第二タンク13は、少なくとも燃料船2の燃料タンク60と同定度の設計圧力を有するタンクである。第二タンク13として、例えば球形タンクや円筒タンク等が挙げられる。また、本実施形態の第二タンク13には、IMO基準でType-Cの型式のタンクが採用されている。
第二タンク13の最大設計圧力は、例えば0.4MPa以上2.0MPa以下である。
【0021】
第二タンク13は、様々な温度・圧力に適するように設定・設計することが可能である。例えば、第二タンク13を防熱施工することで低温状態を維持するようにし、第二タンク13の内圧を大気圧(フルレフ式)または中間圧(セミレフ式)とするようにしてもよい。第二タンク13のタンク容量は、想定される燃料船2の燃料タンク60のタンク容量や圧力設定、バンカー船1側の配置自由度等から決定される。
【0022】
(液ライン)
液ライン20は、第一タンク11の液化ガスG1を燃料船2の燃料タンク60に供給可能なラインである。液ライン20は、第一タンク11から延びている。第一タンク11に配置される液ライン20の端部は、第一タンク11に設置されたポンプ12に接続されている。液ライン20には、ポンプ12によって第一タンク11内から汲み出される液化ガスG1が流れる。液ライン20は、マニホールド配管21と、液ライン配管22と、を有する。
【0023】
マニホールド配管21は、船幅方向に延びる配管であり、船幅方向の一端にマニホールド23を有する。マニホールド配管21は、例えば上甲板4上に配置されている。本実施形態では、マニホールド配管21は、上部構造5よりも船首3a側に設けられている。
【0024】
液ライン配管22は、マニホールド配管21と第一タンク11とを接続し、連通させている。本実施形態では、液ライン配管22は、2つの第一タンク11のそれぞれに1本ずつ設けられている。液ライン配管22の一端は、第一タンク11のポンプ12に接続され、液ライン配管22の他端は、マニホールド配管21と接続されている。
【0025】
上述した液ライン20を通じて、第一タンク11から燃料タンク60に液化ガスG1が供給されると、供給された液化ガスG1の体積に相当する分の気相のガスG2が燃料タンク60から排出される。燃料タンク60から排出されるガスG2は、第二タンク13に導かれる。
【0026】
(ガスライン)
ガスライン30は、液化ガスG1の供給に応じて燃料タンク60から排出されるガスG2を第二タンク13に導入可能なラインである。ガスライン30は、第二タンク13から延びている。ガスライン30は、マニホールド配管31と、ガスライン配管32と、を有する。
【0027】
マニホールド配管31は、船幅方向に延びる配管であり、船幅方向の一端にマニホールド33を有する。マニホールド配管31のマニホールド33は、マニホールド配管21のマニホールド23と船幅方向で同じ側に設けられている。本実施形態では、マニホールド配管31は、船首尾方向で上部構造5とマニホールド配管21との間に設けられている。
ガスライン配管32は、マニホールド配管31と第二タンク13とを接続し、連通させている。
【0028】
(冷却装置)
冷却装置40は、第二タンク13内のガスG2を冷却する。冷却装置40は、スプレー部41と、冷却水供給部42と、を有する。
【0029】
(スプレー部)
スプレー部41は、第二タンク13内に、第一タンク11内の液化ガスG1を噴霧する。本実施形態では、スプレー部41は、2本の液ライン配管22のうち船首3a側の液ライン配管22に設けられている。なお、スプレー部41は、2本の液ライン配管22のそれぞれに設けられていてもよい。スプレー部41は、スプレー配管43と、噴霧部44と、を有する。スプレー配管43は、液ライン配管22から分岐して、液ライン配管22と第二タンク13とを接続している。スプレー配管43は、液ライン配管22よりも小径に形成されている。スプレー配管43には、第一タンク11から燃料タンク60に向けて供給される液化ガスG1の一部が流れ込む。スプレー配管43の一端は、第二タンク13内に設けられており、この一端には噴霧部44が設けられている。噴霧部44は、スプレー配管43内に導かれた液化ガスG1を第二タンク13内に噴霧する。
【0030】
(冷却水供給部)
冷却水供給部42は、第二タンク13の外殻に、外部から水Wを供給する。本実施形態では、冷却水供給部42は、冷却水配管45と、冷却水ポンプ46と、を有する。冷却水配管45の一端は、バンカー船1の周囲の海水中に開口し、冷却水配管45の他端は、第二タンク13の外側に配置されて第二タンク13に向けて開口している。また、冷却水配管45の一端には、冷却水ポンプ46が設けられている。冷却水ポンプ46は、海水を汲み上げて冷却水配管45の一端から他端に向けて海水を圧送する。なお、冷却水ポンプ46は船内のどの場所にあっても構わない。冷却水ポンプ46によって圧送された海水は、第二タンク13の外殻に向けて噴霧される。なお、本実施形態では、冷却水供給部42が第二タンク13に海水を供給するとしたが、海水に限られない。冷却水供給部42は例えば淡水を第二タンク13に供給する構成であってもよい。この場合、バンカー船1は、第二タンク13の冷却用の淡水が貯留される貯留槽を備えてもよい。
なお、冷却装置40は、スプレー部41及び冷却水供給部42のうちいずれか一方のみを有していてもよい。
【0031】
(再液化装置)
再液化装置14は、冷却装置40によって冷却された第二タンク13内のガスG2を液化し、第一タンク11に液化ガスG1として貯留させる。本実施形態では、再液化装置14は、第一タンク11用の装置であり、第一タンク11内で気化したガスG2を再液化させるものである。なお、再液化装置14は、第一タンク11用の装置ではなく、第一タンク11とは別に設けられた装置であってもよい。
【0032】
(再液化ライン)
再液化ライン15は、再液化装置14と第二タンク13とを接続し、連通させている。再液化ライン15は、第二タンク13内の気相のガスG2を再液化装置14に供給する配管である。再液化装置14は、再液化ライン15を通じて第二タンク13から供給された気相のガスG2を液化し、第一タンク11内に送る。
【0033】
(供給接続ラインとリターン接続ライン)
また、バンカー船体3には、供給接続ライン16と、リターン接続ライン17とが設けられている(図3参照)。供給接続ライン16は、第一タンク11内の液化ガスG1を燃料船2に供給するために、液ライン20と後述する燃料船2の供給ライン70とを接続するラインである。また、リターン接続ライン17は、燃料船2から排出されるガスG2を第二タンク13内に導くために、ガスライン30と後述する燃料船2のリターンライン80とを接続するラインである。
【0034】
本実施形態の供給接続ライン16とリターン接続ライン17は、フレキシブルホースやローディングアーム等であり、バンカー船体3に搭載されている。
【0035】
(燃料船)
続いて、図2を参照して、上記バンカー船1により燃料供給される燃料船2の一例について説明する。燃料船2は、燃料船体50と、燃料タンク60と、供給ライン70と、リターンライン80と、を備える。
【0036】
燃料船体50は、一方向に延びて海洋上に浮かぶ、各種機器・装置を配置可能な内部空間を有する構造体である。燃料船体50は、上甲板51と、船尾50b側の上甲板51上に設けられた上部構造52と、を有する。上部構造52には、燃料船2の乗組員の居住区等が設けられている。
【0037】
(燃料タンク)
燃料タンク60は、燃料船2の燃料として使用される液化ガスG1を貯留するタンクである。燃料タンク60は、燃料船体50に積載されている。なお、燃料タンク60は、燃料船体50の内部に配置されてもよく、上甲板51上に配置されてもよい。本実施形態では、燃料タンク60は、上部構造52よりも船首50a側に設けられている。
【0038】
本実施形態で例示する燃料タンク60は、第一タンク11よりも耐圧性の高い圧力容器構造とされている。燃料タンク60として、例えば球形タンクや円筒タンク等が挙げられる。また、本実施形態の燃料タンク60には、IMO基準でType-Cの型式のタンクが採用されている。
この燃料タンク60の最大設計圧力は、例えば0.4MPa以上2.0MPa以下である。
【0039】
(供給ライン)
供給ライン70は、液ライン20に接続されて、液ライン20により供給された液化ガスG1を燃料タンク60内に導くラインである。供給ライン70は、燃料タンク60から延び、燃料タンク60と連通している。供給ライン70は、供給接続ライン16を介してバンカー船1の液ライン20と接続される。供給ライン70には、バンカー船1の第一タンク11から供給される液化ガスG1が流れる。供給ライン70は、マニホールド配管71と、供給ライン配管72と、を有する。
【0040】
マニホールド配管71は、船幅方向に延びる配管であり、船幅方向の両端にマニホールド73を有する。マニホールド配管71は、例えば上甲板51上に配置されている。本実施形態では、マニホールド配管71は、燃料タンク60よりも船首50a側に設けられている。
供給ライン配管72は、マニホールド配管71と燃料タンク60とを接続し、連通させている。
【0041】
(リターンライン)
リターンライン80は、ガスライン30に接続されて、第一タンク11から燃料タンク60への液化ガスG1の供給に応じて燃料タンク60から排出されたガスG2を、ガスライン30へ導くラインである。リターンライン80は、リターン接続ライン17を介してバンカー船1の液ライン20と接続される。リターンライン80には、燃料タンク60から排出される気相のガスG2が流れる。リターンライン80には、マニホールド配管81と、リターンライン配管82と、を有する。
【0042】
マニホールド配管81は、船幅方向に延びる配管であり、船幅方向の両端にマニホールド83を有する。マニホールド配管81は、例えば上甲板51上に配置されている。本実施形態では、マニホールド配管81は、船首尾方向で上部構造52とマニホールド配管71との間に設けられている。
リターンライン配管82は、マニホールド配管81と燃料タンク60とを接続し、連通させている。
【0043】
(バンカー船と燃料船との接続)
続いて、図3を参照して、バンカー船1と燃料船2との接続について説明する。
燃料船2の燃料が減少し、燃料タンク60に液化ガスG1を供給する必要が生じた際、図3に示すように、係留中の燃料船2の舷側に対してバンカー船1の舷側が近づくように、バンカー船1を移動させる。本実施形態では、バンカー船1の進行方向と燃料船2の進行方向とが揃うように、バンカー船1を移動して停止させる場合を例示している。この時、バンカー船1のマニホールド配管21のマニホールド23とマニホールド配管31のマニホールド33とが、燃料船2側に向くようにバンカー船1を配置する必要がある。また、この時、マニホールド配管21のマニホールド23とマニホールド配管71のマニホールド73とが船幅方向に並んで、かつ、マニホールド配管31のマニホールド33とマニホールド配管81のマニホールド83とが船幅方向に並ぶように、バンカー船1を移動させることが好ましい。
【0044】
この状態でバンカー船1を係留し、バンカー船1の液ライン20と燃料船2の供給ライン70とが供給接続ライン16によって接続される。より具体的には、マニホールド配管21のマニホールド23とマニホールド配管71のマニホールド73とが供給接続ライン16によって接続される。
また、バンカー船1のガスライン30と燃料船2のリターンライン80とがリターン接続ライン17によって接続されている。より具体的には、マニホールド配管31のマニホールド33とマニホールド配管81のマニホールド83とがリターン接続ライン17によって接続される。
【0045】
(液化ガスの供給方法)
続いて、図4を参照して、バンカー船1から燃料船2への液化ガスG1の供給方法について説明する。
【0046】
燃料タンク60に液化ガスG1を供給する必要が生じた時、燃料タンク60内は、液化ガスG1の残量が少ない。そして、この液化ガスG1の貯留された部分を除く燃料タンク60内の残部は、液化ガスG1が蒸発して生じた気相のガスG2で満たされている。このような状態になった時、燃料タンク60に液化ガスG1を供給するため、上述したように、燃料船2にバンカー船1を互いの舷側同士が接近するように移動させる(図3参照)。この状態で、液化ガスG1の供給が開始される。
【0047】
図4に示すように、まず、液ライン20と供給ライン70とを接続するとともに、ガスライン30とリターンライン80とを接続する(ステップS1)。ステップS1では、マニホールド配管21のマニホールド23とマニホールド配管71のマニホールド73とを供給接続ライン16によって接続する。また、ステップS1では、マニホールド配管31のマニホールド33とマニホールド配管81のマニホールド83とをリターン接続ライン17によって接続する。この時、液ライン20と供給ライン70との間、及びガスライン30とリターンライン80との間は、不図示のバルブ等によってそれぞれ閉塞されている。
【0048】
続いて、液ライン20と供給ライン70との間、及びガスライン30とリターンライン80との間をそれぞれ開放し、第二タンク13と燃料タンク60とを均圧化する(ステップS2)。
【0049】
第二タンク13と燃料タンク60との均圧化が完了した後、ポンプ12を稼動して第一タンク11内の液化ガスG1を燃料タンク60内に供給する(ステップS3)。ポンプ12の稼動中は、液ライン20及び供給ライン70を通じて第一タンク11から燃料タンク60に向けて液化ガスG1がスムーズに供給される。すると、燃料タンク60の内圧が第二タンク13の内圧よりも高くなり、燃料タンク60に供給された液化ガスG1の体積相当の気相のガスG2が、燃料タンク60から排出されようとする。燃料タンク60から排出されたガスG2は、リターンライン80及びガスライン30を通じて第二タンク13に導かれる。
【0050】
第二タンク13内にガスG2が供給されることにより、第二タンク13の圧力が上昇し、第二タンク13内の温度が上昇する。この対策として、冷却装置40が第二タンク13内のガスG2を冷却する(ステップS4)。具体的には、冷却装置40は、スプレー部41によって第一タンク11から燃料タンク60に移送される液化ガスG1の一部を第二タンク13内に噴霧して、第二タンク13内のガスG2を冷却する。または、冷却装置40は、冷却水供給部42によって第二タンク13の外殻に外部から水Wを供給して、第二タンク13内のガスG2を冷却してもよい。本実施形態では、冷却水供給部42が冷却水ポンプ46によって海水をくみ上げて第二タンク13の外殻に噴霧する。ステップS4では、スプレー部41と冷却水供給部42のいずれか一方を用いて第二タンク13内のガスG2を冷却してもよいし、スプレー部41と冷却水供給部42の両方を用いて第二タンク13内のガスG2を冷却してもよい。
【0051】
燃料タンク60に液化ガスG1が十分に供給されたことが確認できれば、液ライン20と供給ライン70との間、及びガスライン30とリターンライン80との間をそれぞれ閉塞した状態でポンプ12を停止し、燃料タンク60内への液化ガスG1の供給を停止する(ステップS5)。
【0052】
その後、供給接続ライン16、及びリターン接続ライン17を取り外し、液ライン20と供給ライン70、及びガスライン30とリターンライン80を切断する(ステップS6)。なお、供給接続ライン16内に残留した液化ガスG1、及びリターン接続ライン17内に残留したガスG2については、不図示の回収装置によってそれぞれ回収されるようにしてもよい。
【0053】
ステップS6の後、第二タンク13内のガスG2を再液化装置14で再液化する(ステップS7)。ステップS7では、再液化された液化ガスG1を第一タンク11に貯留させる。なお、ステップS7は、省略されてもよい。
このようにして、液化ガスG1の供給が完了する。
【0054】
(作用効果)
本実施形態のバンカー設備10によれば、以下の作用効果が発揮される。
本実施形態では、バンカー設備10は、第一タンク11と、第二タンク13と、液ライン20と、ガスライン30と、を備える。第一タンク11は、燃料船2に供給する燃料としての液化ガスG1を貯留する。第二タンク13は、第一タンク11よりも耐圧性の高い圧力容器構造とされている。液ライン20は、第一タンク11の液化ガスG1を燃料船2の燃料タンク60に供給可能とされている。ガスライン30は、液化ガスG1の供給に応じて燃料タンク60から排出されるガスG2を第二タンク13に導入可能とされている。
【0055】
これにより、バンカー設備10は、耐圧性の高い圧力容器構造とされている第二タンク13によって、燃料タンク60から排出されるガスG2を回収することができる。よって、燃料タンク60からのガスG2を回収する際、燃料タンク60と第一タンク11とを均圧化せずに、燃料タンク60と第二タンク13とを均圧化すればよいので、燃料タンク60の設計圧力に合わせて第一タンク11を選定する必要がなくなる。このため、第一タンク11として、メンブレンタンクや方形タンク等の容積効率の高いタンクを採用することができる。よって、第一タンク11から燃料タンク60への円滑なバンカリング作業を実現しつつ、バンカー設備10の小型化を達成できる。
【0056】
本実施形態では、第二タンク13の容積は、第一タンク11の容積よりも小さい。
【0057】
これにより、第二タンク13の容積が第一タンク11の容積以上である場合と比較して、第二タンク13を小型化できる。よって、バンカー設備10より一層小型に設計することができる。
【0058】
本実施形態では、バンカー設備10は、冷却装置40を備える。冷却装置40は、第二タンク13内のガスG2を冷却する。
【0059】
これにより、第二タンク13が燃料タンク60からガスG2を回収し、第二タンク13内のガスG2温度が上昇した際、バンカー設備10は、冷却装置40によって第二タンク13を冷却して、第二タンク13の内圧を低下させることができる。よって、バンカー設備10は、第二タンク13が燃料タンク60よりも高圧化することを抑制し、燃料タンク60から第二タンク13にガスG2を円滑に導くことができる。
【0060】
本実施形態では、冷却装置40は、スプレー部41を有する。スプレー部41は、第二タンク13内に、第一タンク11内の液化ガスG1を噴霧する。
【0061】
これにより、バンカー設備10は、第二タンク13内に噴霧された低温の液化ガスG1により、燃料タンク60から返送された第二タンク13内のガスG2を迅速に冷却することができる。したがって、バンカー設備10は、燃料タンク60から第二タンク13へのガスG2の返送をより一層円滑に行うことができる。
【0062】
本実施形態では、冷却装置40は、冷却水供給部42を有する。冷却水供給部42は、第二タンク13の外殻に、外部から水Wを供給する。
【0063】
これにより、バンカー設備10は、例えば周囲の海水等のWを第二タンク13の外殻に供給して、第二タンク13内のガスG2を冷却することができる。このように、簡易的な設備で、第二タンク13内のガスG2を冷却することができる。さらに、第二タンク13を冷却する水Wに海水を用いる場合、海水は燃料船2の周囲に膨大な量存在するため、バンカー設備10は第二タンク13に海水を無尽蔵に供給でき、第二タンク13内のガスG2を十分に冷却することができる。
【0064】
本実施形態では、バンカー設備10は、再液化装置14を備える。再液化装置14は、冷却装置40によって冷却された第二タンク13内のガスG2を液化し、第一タンク11に液化ガスG1として貯留させる。
【0065】
これにより、バンカー設備10は、第二タンク13内のガスG2を再液化装置14によって液化することができる。したがって、燃料タンク60から第二タンク13に返送されたガスG2を燃料として再利用することができる。よって、液化ガスG1の使用量を削減することができる。
【0066】
本実施形態では、バンカー船1は、バンカー設備10を備える。
【0067】
これにより、バンカー船1に搭載される第一タンク11の容積効率を向上できるため、船体の大型化を抑制できる。
【0068】
本実施形態では、バンカーシステム100は、バンカー船1と、第一タンク11よりも耐圧性の高い圧力容器構造とされている燃料タンク60を備える燃料船2と、を備える。燃料船2は、供給ライン70と、リターンライン80と、を備える。供給ライン70は、液ライン20に接続されて、液ライン20により供給された液化ガスG1を燃料タンク60内に導く。リターンライン80は、ガスライン30に接続されて、第一タンク11から燃料タンク60への液化ガスG1の供給に応じて燃料タンク60から排出されたガスG2を、ガスライン30へ導く。
【0069】
このように第一タンク11と第二タンク13とを備えるバンカー船1により、第一タンク11よりも耐圧性の高い圧力容器構造とされた燃料タンク60を備える燃料船2の燃料補給を行うことで、バンカー船1の大型化を抑制しつつ、円滑に燃料補給を行うことができる。
【0070】
本実施形態では、液化ガスG1の供給方法は、液ライン20と供給ライン70とを接続するとともに、ガスライン30とリターンライン80とを接続するステップS1と、第二タンク13と燃料タンク60とを均圧化するステップS2と、第一タンク11内の液化ガスG1を燃料タンク60内に供給するステップS3と、を含む。
【0071】
これにより、耐圧性の高い圧力容器構造とされている第二タンク13によって、燃料タンク60から排出されるガスG2を回収することができる。よって、燃料タンク60からのガスG2を回収する際、燃料タンク60と第一タンク11とを均圧化せずに、燃料タンク60と第二タンク13とを均圧化すればよいので、燃料タンク60の設計圧力に合わせて第一タンク11を選定する必要がなくなる。このため、第一タンク11として、メンブレンタンクや方形タンク等の容積効率の高いタンクを採用することができる。よって、第一タンク11から燃料タンク60への円滑なバンカリング作業を実現しつつ、バンカー設備10の小型化を達成できる。
【0072】
本実施形態では、第二タンク13は、第一タンク11の上方に設けられている。
【0073】
これにより、バンカー設備10内の空いたスペースを有効に活用することができる。すなわち、バンカー設備10内の配置効率を向上させることができる。
【0074】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0075】
上記実施形態では、バンカー設備10がバンカー船1に設けられる場合について説明したが、これに限るものではない。バンカー設備10は、例えば岸壁に係留中の燃料船2に対して、岸壁に駐車した液化ガスG1供給用のタンクローリに設けられてもよい。また、バンカー設備10は、例えば岸壁または桟橋に係留中の燃料船2に対して液化ガスG1を供給する、液化ガスG1供給用の陸上ターミナルであってもよい。
【0076】
上記実施形態では、冷却装置40は、スプレー部41及び冷却水供給部42の少なくともいずれか一方を有するとしたが、これに限るものではない。冷却装置40は、第二タンク13内に液化ガスG1を供給する方法及び第二タンク13の外殻に水Wを供給する方法以外の方法で、第二タンク13内のガスG2を冷却するものであってもよい。
【0077】
<付記>
各実施形態に記載のバンカー設備10、バンカー船1、バンカーシステム100、及び液化ガスG1の供給方法は、例えば以下のように把握される。
【0078】
(1)第1の態様に係るバンカー設備10は、燃料船2に供給する燃料としての液化ガスG1を貯留する第一タンク11と、前記第一タンク11よりも耐圧性の高い圧力容器構造とされている第二タンク13と、前記第一タンク11の前記液化ガスG1を前記燃料船2の燃料タンク60に供給可能な液ライン20と、前記液化ガスG1の供給に応じて前記燃料タンク60から排出されるガスG2を前記第二タンク13に導入可能なガスライン30と、を備える。
【0079】
これにより、バンカー設備10は、耐圧性の高い圧力容器構造とされている第二タンク13によって、燃料タンク60から排出されるガスG2を回収することができる。よって、燃料タンク60からのガスG2を回収する際、燃料タンク60と第一タンク11とを均圧化せずに、燃料タンク60と第二タンク13とを均圧化すればよいので、燃料タンク60の設計圧力に合わせて第一タンク11を選定する必要がなくなる。このため、第一タンク11として、メンブレンタンクや方形タンク等の容積効率の高いタンクを採用することができる。
【0080】
(2)第2の態様のバンカー設備10は、(1)のバンカー設備10であって、前記第二タンク13の容積は、前記第一タンク11の容積よりも小さくてもよい。
【0081】
これにより、第二タンク13の容積が第一タンク11の容積以上である場合と比較して、第二タンク13を小型化できる。
【0082】
(3)第3の態様のバンカー設備10は、(1)又は(2)のバンカー設備10であって、前記第二タンク13内の前記ガスG2を冷却する冷却装置40を備えてもよい。
【0083】
これにより、第二タンク13が燃料タンク60からガスG2を回収し、第二タンク13内のガスG2温度が上昇した際、バンカー設備10は、冷却装置40によって第二タンク13を冷却して、第二タンク13の内圧を低下させることができる。
【0084】
(4)第4の態様のバンカー設備10は、(3)のバンカー設備10であって、前記冷却装置40は、前記第二タンク13内に、前記第一タンク11内の前記液化ガスG1を噴霧するスプレー部41を有してもよい。
【0085】
これにより、バンカー設備10は、第二タンク13内に噴霧された低温の液化ガスG1により、燃料タンク60から返送された第二タンク13内のガスG2を迅速に冷却することができる。
【0086】
(5)第5の態様のバンカー設備10は、(3)又は(4)のバンカー設備10であって、前記冷却装置40は、前記第二タンク13の外殻に、外部から水Wを供給する冷却水供給部42を有してもよい。
【0087】
これにより、バンカー設備10は、例えば周囲の海水等の水Wを第二タンク13の外殻に供給して、第二タンク13内のガスG2を冷却することができる。
【0088】
(6)第6の態様のバンカー設備10は、(3)から(5)のいずれかのバンカー設備10であって、前記冷却装置40によって冷却された前記第二タンク13内の前記ガスG2を液化し、前記第一タンク11に前記液化ガスG1として貯留させる再液化装置14を備えてもよい。
【0089】
これにより、バンカー設備10は、第二タンク13内のガスG2を再液化装置14によって液化することができる。したがって、燃料タンク60から第二タンク13に返送されたガスG2を燃料として再利用することができる。
【0090】
(7)第7の態様のバンカー船1は、(1)から(6)のいずれかのバンカー設備10を備える。
【0091】
これにより、バンカー船1に搭載される第一タンク11の容積効率を向上できるため、船体の大型化を抑制できる。
【0092】
(8)第8の態様のバンカーシステム100は、(7)のバンカー船1と、前記第一タンク11よりも耐圧性の高い圧力容器構造とされている前記燃料タンク60を備える前記燃料船2と、を備えるバンカーシステム100であって、前記燃料船2は、前記液ライン20に接続されて、前記液ライン20により供給された前記液化ガスG1を前記燃料タンク60内に導く供給ライン70と、前記ガスライン30に接続されて、前記第一タンク11から前記燃料タンク60への前記液化ガスG1の供給に応じて前記燃料タンク60から排出された前記ガスG2を、前記ガスライン30へ導くリターンライン80と、を備える。
【0093】
このように第一タンク11と第二タンク13とを備えるバンカー船1により、第一タンク11よりも耐圧性の高い圧力容器構造とされた燃料タンク60を備える燃料船2の燃料補給を行うことで、バンカー船1の大型化を抑制しつつ、円滑に燃料補給を行うことができる。
【0094】
(9)第9の態様の液化ガスG1の供給方法は、燃料船2に燃料としての液化ガスG1を供給するバンカー設備10を用いた液化ガスG1の供給方法であって、前記バンカー設備10は、前記液化ガスG1を貯留する第一タンク11と、前記第一タンク11よりも耐圧性の高い圧力容器構造とされている第二タンク13と、前記第一タンク11の前記液化ガスG1を前記燃料船2の燃料タンク60に供給可能な液ライン20と、前記液化ガスG1の供給に応じて前記燃料タンク60から排出されるガスG2を前記第二タンク13に導入可能なガスライン30と、を備え、前記燃料船2は、前記第一タンク11よりも耐圧性の高い圧力容器構造とされている前記燃料タンク60と、前記液ライン20により供給された前記液化ガスG1を前記燃料タンク60内に導く供給ライン70と、前記第一タンク11から前記燃料タンク60への前記液化ガスG1の供給に応じて前記燃料タンク60から排出された前記ガスG2を、前記ガスライン30へ導くリターンライン80と、を備え、前記液ライン20と前記供給ライン70とを接続するとともに、前記ガスライン30と前記リターンライン80とを接続するステップS1と、前記第二タンク13と前記燃料タンク60とを均圧化するステップS2と、前記第一タンク11内の前記液化ガスG1を前記燃料タンク60内に供給するステップS3と、を含む。
【0095】
これにより、耐圧性の高い圧力容器構造とされている第二タンク13によって、燃料タンク60から排出されるガスG2を回収することができる。よって、燃料タンク60からのガスG2を回収する際、燃料タンク60と第一タンク11とを均圧化せずに、燃料タンク60と第二タンク13とを均圧化すればよいので、燃料タンク60の設計圧力に合わせて第一タンク11を選定する必要がなくなる。このため、第一タンク11として、メンブレンタンクや方形タンク等の容積効率の高いタンクを採用することができる。
【符号の説明】
【0096】
1…バンカー船 2…燃料船 3…バンカー船体 3a…船首 3b…船尾 4…上甲板 5…上部構造 10…バンカー設備 11…第一タンク 12…ポンプ 13…第二タンク 14…再液化装置 15…再液化ライン 16…供給接続ライン 17…リターン接続ライン 20…液ライン 21…マニホールド配管 22…液ライン配管 23…マニホールド 30…ガスライン 31…マニホールド配管 32…ガスライン配管 33…マニホールド 40…冷却装置 41…スプレー部 42…冷却水供給部 43…スプレー配管 44…噴霧部 45…冷却水配管 46…冷却水ポンプ 50…燃料船体 50a…船首 50b…船尾 51…上甲板 52…上部構造 60…燃料タンク 70…供給ライン 71…マニホールド配管 72…供給ライン配管 73…マニホールド 80…リターンライン 81…マニホールド配管 82…リターンライン配管 83…マニホールド 100…バンカーシステム G1…液化ガス G2…ガス W…水
図1
図2
図3
図4