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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082061
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】インクカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240612BHJP
【FI】
B41J2/175 169
B41J2/175 143
B41J2/175 313
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195774
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】上林 勇輝
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EA22
2C056EB50
2C056FA10
2C056HA29
2C056KC01
2C056KC04
2C056KC05
2C056KC10
2C056KC14
2C056KC30
(57)【要約】
【課題】光硬化性のインクが充填されたインクパックを収容しかつ取り扱いが容易なインクカートリッジを提供する。
【解決手段】インクカートリッジ70は、光硬化性のインクが充填された本体部62とインクを外部に供給する供給部64とを備えたインクパック60を収容し、プリンタ10に着脱可能に設けられ、インクパック60の供給部64を保持する樹脂製のアダプター80と、アダプター80に取り付けられ、かつ、インクパック60の本体部62を収容し、かつ、1枚の紙を折り曲げて形成した紙製の本体ケース100と、を備え、本体ケース100は、ユーザの指を挿入するための指かけ開口部124Hと、指かけ開口部124Hを介して外部と連通する第1空間100SAと、インクパック60を収容する第2空間100SBと、第1空間100SAと第2空間100SBとを仕切る仕切り壁113と、を有する。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光硬化性のインクが充填された本体部と前記本体部内のインクを外部に供給する供給部とを備えたインクパックを収容し、プリンタに着脱可能に設けられたインクカートリッジであって、
前記インクパックの前記供給部を保持する樹脂製のアダプターと、
前記アダプターに取り付けられ、かつ、前記インクパックの前記本体部を収容し、かつ、1枚の紙を折り曲げて形成した紙製の本体ケースと、を備え、
前記本体ケースは、
ユーザの指を挿入するための指かけ開口部と、
前記指かけ開口部を介して外部と連通する第1空間と、
前記インクパックを収容する第2空間と、
前記第1空間と前記第2空間とを仕切る仕切り壁と、を有する、インクカートリッジ。
【請求項2】
前記本体ケースは、段ボールから形成されている、請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項3】
前記アダプターと前記本体ケースとが並ぶ方向を前後方向とし、前記アダプターが前記本体ケースよりも後方に位置するとき、
前記第2空間は、前記第1空間より後方に位置し、
前記仕切り壁は、前記インクパックが配置される配置面を有し、
前記配置面は、前記本体ケースのうち前記配置面と対向する面との間隔が、前方から後方に向けて広くなるように傾斜している、請求項1または2に記載のインクカートリッジ。
【請求項4】
前記本体ケースは、突出片を有する板部材を収容するように構成され、かつ、前記本体部内に充填されたインクが所定の量を下回ったときに、前記突出片が前記本体ケースから外部に突出する開口部を有する、請求項1または2に記載のインクカートリッジ。
【請求項5】
前記指かけ開口部と前記開口部とは、前記本体ケースの同じ面に形成されている、請求項4に記載のインクカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、大型のインクジェット式のプリンタではインクを大量に消費するため、インクパックを収容したインクカートリッジの交換が頻繁に行われている。例えば、特許文献1には、インクパックに相当するインク収容部を紙製のインクカートリッジ本体に収容する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-232812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されたインクカートリッジ本体は、直方体形状に形成されており、プリンタに対して着脱する際の取り扱いがやや困難という問題がある。なお、特許文献1のインクカートリッジ本体の上面にはインク残量およびインク色確認用の窓部が形成されているため、窓部に指をかけることも可能ではあるが、充填されるインクが光硬化性のインクの場合には、窓部から入り込む光によってインクが劣化してしまう虞がある。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、光硬化性のインクが充填されたインクパックを収容するインクカートリッジであって、取り扱いが容易なインクカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るインクカートリッジは、光硬化性のインクが充填された本体部と前記本体部内のインクを外部に供給する供給部とを備えたインクパックを収容し、プリンタに着脱可能に設けられたインクカートリッジであって、前記インクパックの前記供給部を保持する樹脂製のアダプターと、前記アダプターに取り付けられ、かつ、前記インクパックの前記本体部を収容し、かつ、1枚の紙を折り曲げて形成した紙製の本体ケースと、を備え、前記本体ケースは、ユーザの指を挿入するための指かけ開口部と、前記指かけ開口部を介して外部と連通する第1空間と、前記インクパックを収容する第2空間と、前記第1空間と前記第2空間とを仕切る仕切り壁と、を有する。
【0007】
本発明に係るインクカートリッジによると、本体ケースは、ユーザの指を挿入するための指かけ開口部を備えている。このため、例えば、ユーザがプリンタに装着されたインクカートリッジを取り外す際に、指かけ開口部に指をひっかけることで容易にインクカートリッジをプリンタから取り外すことができる。ここで、指かけ開口部を介して外部と連通する第1空間と、インクパックを収容する第2空間とは仕切り壁によって仕切られている。このため、指かけ開口部を介して第1空間に入り込む光が第2空間に到達することが抑制される。即ち、第2空間に収容されたインクパックに光が到達しないため、インクパックに充填された光硬化性のインクが劣化することが抑制される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光硬化性のインクが充填されたインクパックを収容するインクカートリッジであって、取り扱いが容易なインクカートリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係るプリンタの正面図である。
図2図2は、カートリッジホルダーにインクカートリッジが装着された状態を示す斜視図である。
図3図3は、一実施形態に係るインクカートリッジの斜視図である。
図4図4は、一実施形態に係るインクカートリッジの平面図である。
図5A図5Aは、一実施形態に係る第1アダプターの斜視図である。
図5B図5Bは、一実施形態に係る第1アダプターの斜視図である。
図5C図5Cは、一実施形態に係る第1アダプターの斜視図である。
図5D図5Dは、一実施形態に係る第1アダプターの平面図である。
図6A図6Aは、一実施形態に係る第2アダプターの斜視図である。
図6B図6Bは、一実施形態に係る第2アダプターの斜視図である。
図6C図6Cは、一実施形態に係る第2アダプターの斜視図である。
図7図7は、一実施形態に係る本体ケースの展開図である。
図8図8は、一実施形態に係る本体ケースの一部を拡大した拡大平面図である。
図9図9は、一実施形態に係るインクカートリッジの一部を拡大した拡大平面図である。
図10図10は、一実施形態に係るインクカートリッジの一部を拡大した拡大平面図である。
図11図11は、一実施形態に係る本体ケースに第1アダプターおよびインクパックおよび板部材が取り付けられた状態を示す斜視図である。
図12図12は、一実施形態に係る本体ケースに第1アダプターおよびインクパックおよび板部材が取り付けられた状態を示す平面図である。
図13図13は、一実施形態に係る指かけ開口部の一部を示す断面斜視図である。
図14図14は、一実施形態に係る指かけ開口部およびその周辺の構成を示す断面図である。
図15図15は、一実施形態に係る突出片がセンサのアーム部に接触した状態を下方から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るインクカートリッジおよびインクカートリッジが着脱されるインクジェットプリンタの実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下プリンタ10とする)の正面図である。プリンタ10は、記録媒体5に印刷を行う。以下の説明では、プリンタ10を正面から見たときに、プリンタ10から遠ざかる方を前方、プリンタ10に近づく方を後方とする。左、右、上、下とは、プリンタ10を正面から見たときの左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。また、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を意味するものとする。また、図面中の符号Yは主走査方向を示している。ここでは、主走査方向Yは左右方向である。符号Xは副走査方向を示している。ここでは、副走査方向Xは前後方向であり、平面視において主走査方向Yと直交している。符号Zは上下方向を示している。上下方向Zは、正面視において主走査方向Yと直交している。ただし、上記方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
【0012】
記録媒体5は、例えば、記録紙である。ただし、記録媒体5は、記録紙に限定されない。例えば、記録媒体5には、PVC、ポリエステルなどの樹脂材料から形成されたシート、アルミや鉄等から形成された金属板、ガラス板、木材板等の比較的厚みを有するものが含まれる。
【0013】
図1に示すように、プリンタ10は、装置本体12と、プラテン18と、脚19とを備えている。装置本体12は、ベース部材13と、ベース部材13に取り付けられた本体ケース15とを備えている。脚19はベース部材13の下部に取り付けられている。脚19は、ベース部材13を支持する。ベース部材13は、主走査方向Yに延びる。
【0014】
プラテン18は、記録媒体5への印刷の際、記録媒体5を支持する部材である。プラテン18には、記録媒体5が載置される。記録媒体5への印刷は、プラテン18上で行われる。プラテン18は、主走査方向Yに延びている。プラテン18は、ベース部材13に設けられている。プラテン18は、ベース部材13の主走査方向Yの中央部に位置する。
【0015】
図1に示すように、プリンタ10は、キャリッジ40と、ヘッド移動機構20とを備えている。キャリッジ40およびヘッド移動機構20は、本体ケース15に収容されている。ヘッド移動機構20は、キャリッジ40を主走査方向Yに移動させる機構である。ヘッド移動機構20は、ガイドレール21と、左側のプーリ22と、右側のプーリ23と、無端状のベルト24と、キャリッジモータ25とを備えている。ガイドレール21は、キャリッジ40の主走査方向Yへの移動をガイドする。ガイドレール21は、プラテン18の上方に配置されている。ガイドレール21は、ベース部材13に設けられている。ガイドレール21は主走査方向Yに延びている。左側のプーリ22は、ガイドレール21の左端より左方に設けられている。右側のプーリ23は、ガイドレール21の右端より右方に設けられている。ベルト24は、左側のプーリ22と右側のプーリ23とに巻き掛けられている。左側のプーリ22には、キャリッジモータ25が接続されている。ただし、キャリッジモータ25は、右側のプーリ23に接続されていてもよい。キャリッジモータ25が駆動して、左側のプーリ22が回転することで、左側のプーリ22と右側のプーリ23との間においてベルト24が走行する。キャリッジ40は、ベルト24に取り付けられている。キャリッジ40は、ガイドレール21に係合しており、ガイドレール21に摺動自在に設けられている。キャリッジモータ25の駆動によってベルト24が走行して、キャリッジ40が主走査方向Yに移動する。
【0016】
図1に示すように、プリンタ10は、キャリッジ40に搭載された複数のインクヘッド45を備えている。インクヘッド45は、キャリッジ40の移動に伴って主走査方向Yに移動する。複数のインクヘッド45は、主走査方向Yに並んでいる。複数のインクヘッド45は、ここでは、同じ形状かつ同じ大きさに形成されている。インクヘッド45は、インクを吐出する。インクヘッド45は、副走査方向Xに並びかつインクを吐出する複数のノズル(図示せず)から構成されたノズル列を有する。1つのインクヘッド45は、例えば、主走査方向Yに並ぶ複数の(例えば2つ)のノズル列を有する。インクヘッド45から吐出されるインクは、特に限定されない。インクヘッド45から吐出されるインクは、例えば、ソルベント系(溶剤系)の顔料インク、水性のインク、光硬化性のインク(例えば紫外線を受けて硬化する紫外線硬化型顔料インク、いわゆるUVインク)等であってもよい。複数のインクヘッド45から記録媒体5にそれぞれインクが吐出されることによって、記録媒体5に画像が形成される。
【0017】
図1に示すように、プリンタ10は、媒体搬送機構30を備えている。媒体搬送機構30は、ベース部材13に設けられている。媒体搬送機構30は、プラテン18に載置された記録媒体5を副走査方向X(図2参照)に移動させる機構である。媒体搬送機構30は、グリットローラ31と、ピンチローラ32と、フィードモータ33とを備えている。グリットローラ31は、プラテン18に設けられている。ここでは、グリットローラ31の一部はプラテン18から突出している。ピンチローラ32は、グリットローラ31と上下方向で対向するように、グリットローラ31の上方に配置されている。ピンチローラ32は、記録媒体5を上から押え付ける部材である。フィードモータ33は、グリットローラ31に接続されている。グリットローラ31とピンチローラ32との間に記録媒体5が挟まれた状態で、フィードモータ33が駆動してグリットローラ31が回転すると、記録媒体5は副走査方向Xに搬送される。
【0018】
図1に示すように、プリンタ10は、カートリッジホルダー50を備えている。カートリッジホルダー50は、インクカートリッジ70(図2参照)を収容する収容部50Aを複数備えている。1つの収容部50Aには、1つのインクカートリッジ70が装着される。カートリッジホルダー50は、装置本体12の左上部分に配置されている。複数の収容部50Aは、主走査方向Yに並んで設けられている(図2も参照)。インクカートリッジ70は、前方から収容部50Aに挿入される。ただし、カートリッジホルダー50の位置は上記した位置には限定されない。また、インクカートリッジ70の挿入方向も特に限定されない。本実施形態では、収容部50Aの数は8であるが、収容部50Aの数は特に限定されない。
【0019】
インクヘッド45から吐出されるインクは、インクカートリッジ70に収容された後述するインクパック60(図11)から供給される。インクカートリッジ70は、カートリッジホルダー50の収容部50Aに着脱可能に装着される。図3および図4に示すように、インクカートリッジ70は、アダプター80と、本体ケース100とを備えている。アダプター80は、本体ケース100よりも後方に位置する。なお、以下の説明では、インクカートリッジ70の方向は、インクカートリッジ70が収容部50Aに装着された状態を基準にする。
【0020】
アダプター80は、樹脂製である。アダプター80は、例えば、ポリプロピレンから形成されている。アダプター80は、インクパック60の後述する供給部64(図12参照)を保持する。アダプター80は、第1アダプター82(図3参照)と、第2アダプター92(図4参照)と、を備えている。第2アダプター92は、第1アダプター82に取り付けられる。
【0021】
図5Aから図5Dに示すように、第1アダプター82は、ベース壁83Aと、ベース壁83Aの後端から左方に延びる後壁83Bと、ベース壁83Aの上端から左方に延びる上壁83Cと、ベース壁83Aの下端から左方に延びる下壁83Dとを備えている。第1アダプター82は、インクパック60の供給部64が挿入される挿入部84を備えている。挿入部84は、ベース壁83Aと後壁83Bとに亘って形成されている。挿入部84は、供給部64の外形にならって形成されている。
【0022】
図3に示すように、アダプター80は、複数の第1突起85を備えている。図5Cおよび図5Dに示すように、第1突起85は、第1アダプター82に設けられている。第1突起85は、上下方向Z(即ち第1突起85の幅方向)に並ぶ。第1突起85は、ベース壁83Aのうち挿入部84が形成された面とは反対側の面に形成されている。第1突起85は、略直方体形状に形成されている。第1突起85は、副走査方向X(即ち前後方向)に延びる。第1突起85は、前方から後方に行くに従って幅が広く(即ち上下方向Zの長さが長く)なるように形成されている。第1突起85は、後述する第1切り欠き部120の前縁120F(図9参照)から最も離れた部分の幅(即ち最も後方に位置する部分の幅)WD1は、第1切り欠き部120の幅WD2(図8参照)よりも大きい。図9に示すように、第1突起85は、本体ケース100の第1切り欠き部120と嵌合する。
【0023】
図4に示すように、アダプター80は、第2突起87を備えている。図5Cおよび図5Dに示すように、第2突起87は、第1アダプター82に設けられている。第2突起87は、ベース壁83Aのうち挿入部84が形成された面とは反対側の面に形成されている。第2突起87は、上下方向Z(即ち第1突起85の幅方向)に関して、2つの第1突起85の間に位置する。第2突起87は、U字形状に形成されている。第2突起87は、主走査方向Yに突出する。第2突起87は、ベース壁83Aから右方に突出する。図9に示すように、第2突起87は、本体ケース100の後述する第1貫通孔121に挿入される。第2突起87は、第1貫通孔121に保持される。
【0024】
図5Aから図5Dに示すように、第1アダプター82は、第1係合穴86A、第2係合穴86B、第3係合穴86C、第4係合穴86Dおよび第5係合穴86Eと、を備えている。第1係合穴86A、第2係合穴86Bおよび第3係合穴86Cは、後壁83Bに形成されている。第1係合穴86Aは、上下方向Zに関して、第2係合穴86Bと第3係合穴86Cとの間に配置されている。第1係合穴86Aは、矩形状に形成されている。第2係合穴86Bおよび第3係合穴86Cは、円形状に形成されている。第4係合穴86Dは、上壁83Cに形成されている。第4係合穴86Dは、矩形状に形成されている。第5係合穴86Eは、下壁83Dに形成されている。第5係合穴86Eは、矩形状に形成されている。第1アダプター82は、貫通孔89を備えている。貫通孔89は、第1係合穴86Aの右方に配置されている。貫通孔89には、インクパック60の供給部64に挿入されるインク供給用針(図示せず)が挿入される。
【0025】
図5Cに示すように、第1アダプター82は、ベース壁83Aに形成された第1段差部88を備えている。第1段差部88には、本体ケース100の後述する第1部分101(図7参照)の後端部101Rrが突き当てられる。第1段差部88の厚みは、第1部分101の厚みと同じである。
【0026】
図6Aから図6Cに示すように、第2アダプター92は、ベース壁93Aと、ベース壁93Aの後端から右方に延びる後壁93Bと、ベース壁93Aの上端から右方に延びる上壁93Cと、ベース壁93Aの下端から右方に延びる下壁93Dとを備えている。第2アダプター92は、第1アダプター82と共に挿入部84に挿入されたインクパック60の供給部64を挟むことによって供給部64の脱落を抑制する。第2アダプター92は、供給部64が挿入部84から脱落することを抑止する抑制部98を備えている。抑制部98は、第1アダプター82と共に供給部64を挟む。抑制部98は、ベース壁93Aから右方に延びる壁である。
【0027】
図6Aおよび図6Bに示すように、第2突起87は、第2アダプター92に設けられている。第2突起87は、ベース壁93Aのうち抑制部98が形成された面とは反対側の面に形成されている。第2突起87は、ベース壁93Aから左方に突出する。図10に示すように、第2突起87は、本体ケース100の後述する第2貫通孔126に挿入される。第2突起87は、第2貫通孔126に保持される。
【0028】
図6Aから図6Cに示すように、第2アダプター92は、第1係合突起96A、第2係合突起96B、第3係合突起96C、第4係合突起96Dおよび第5係合突起96Eを備えている。第1係合突起96A、第2係合突起96Bおよび第3係合突起96Cは、後壁93Bに形成されている。第1係合突起96Aは、上下方向Zに関して、第2係合突起96Bと第3係合突起96Cとの間に配置されている。第1係合突起96A、第2係合突起96Bおよび第3係合突起96Cは、矩形状に形成されている。第1係合突起96Aは、第1係合穴86A(図5B参照)に挿入されて係合する。第2係合突起96Bは、第2係合穴86B(図5B参照)に挿入されて係合する。第3係合突起96Cは、第3係合穴86C(図5B参照)に挿入されて係合する。第4係合突起96Dは、上壁93Cに形成されている。第4係合突起96Dは、矩形状に形成されている。第4係合突起96Dは、第4係合穴86D(図5B参照)に挿入されて係合する。第5係合突起96Eは、下壁93Dに形成されている。第5係合突起96Eは、矩形状に形成されている。第5係合突起96Eは、第5係合穴86E(図5B参照)に挿入されて係合する。第1係合突起96A~第5係合突起96Eがそれぞれ第1係合穴86A~第5係合穴86Eに係合することによって、第1アダプター82と第2アダプター92とが相互に固定される。
【0029】
図6Aに示すように、第2アダプター92は、ベース壁93Aに形成された第2段差部99を備えている。第2段差部99には、本体ケース100の後述する第4部分104(図7参照)の後端部104Rrおよび第5部分105(図7参照)の後端部105Rrが突き当てられる。第2段差部99の厚みは、第4部分104の厚みと第5部分105の厚みの合計の厚みと同じである。第2段差部99の一部99Aは、前方に向けて突出している。
【0030】
本体ケース100は、紙製である。図7に示すように、本体ケース100は、1枚の紙を折り曲げて形成されている。本体ケース100は、例えば、段ボールから形成されている。本体ケース100は、アダプター80に取り付けられている。本体ケース100は、インクパック60の後述する本体部62(図12参照)を収容する。
【0031】
図7に示すように、本体ケース100は、第1部分101と、第2部分102と、第3部分103と、第4部分104と、第5部分105とを含む。第1部分101は、右壁111(図3参照)と、前壁112(図3参照)と、仕切り壁113(図13参照)と、第1中間壁114(図13参照)と、を形成する。右壁111と、前壁112と、仕切り壁113と、第1中間壁114とは、第1部分101を折り曲げることによって形成されている。第2部分102は、上壁115(図2参照)を形成する。第3部分103は、下壁116(図3参照)を形成する。第4部分104は、左壁117(図4参照)を形成する。第5部分105は、第2中間壁118(図13参照)を形成する。図13に示すように、本体ケース100が組み立てられた状態では、第1中間壁114は、右壁111よりも内側(ここでは左方に位置する)。第2中間壁118は、左壁117よりも内側(ここでは右方に位置する)。
【0032】
図7に示すように、第1部分101には、第1切り欠き部120と、第1貫通孔121と、開口部122と、第1指かけ開口部123と、第2指かけ開口部124とが形成されている。
【0033】
図8に示すように、第1切り欠き部120は、第1部分101の後端部101Rrから前方に向けて凹む。第1切り欠き部120は、副走査方向X(即ち前後方向)に延びる。第1切り欠き部120は、一定の幅WD2を有する。第1切り欠き部120は、第1突起85と嵌合する(図9参照)。第1切り欠き部120と第1突起85とが嵌合することによって本体ケース100に対するアダプター80(ここでは第1アダプター82)の位置が決定される。第1切り欠き部120は、切り欠き部の一例である。
【0034】
図8に示すように、第1貫通孔121は、矩形状に形成されている。第1貫通孔121は、上下方向Zに関して、2つの第1切り欠き部120の間に形成されている。第1貫通孔121には、第1アダプター82の第2突起87が挿入される(図9参照)。第1貫通孔121は、第2突起87を保持する。第2突起87が第1貫通孔121に挿入されることによって、本体ケース100のアダプター80に対する位置ずれが抑制される。第1貫通孔121は、貫通孔の一例である。
【0035】
図3に示すように、開口部122は、矩形状に形成されている。開口部122は、右方に向けて開口する。開口部122は、右壁111の下端に位置する。開口部122は、後述する板部材130の突出片132が通過可能に構成されている。より詳細には、インクパック60の本体部62内に充填されたインクが所定の量を下回ったときに、突出片132が開口部122を介して本体ケース100から外部に突出するように構成されている。
【0036】
図13および図14に示すように、本体ケース100が組み立てられた状態では、第1指かけ開口部123と第2指かけ開口部124とは重なる。第1指かけ開口部123および第2指かけ開口部124は、ユーザの指を挿入するための開口部である。第1指かけ開口部123および第2指かけ開口部124は、右壁111の前端部分に位置する。第1指かけ開口部123および第2指かけ開口部124は、指かけ開口部の一例である。なお、以下の説明では、第1指かけ開口部123および第2指かけ開口部124を合わせて指かけ開口部124Hと称することがある。図3に示すように、指かけ開口部124Hと、開口部122とは、本体ケース100の同じ面(ここでは右壁111)に形成されている。
【0037】
図13および図14に示すように、仕切り壁113は、本体ケース100の内部空間10Sを第1空間100SAと第2空間100SBとに仕切る。第2空間100SBは、第1空間100SAよりも後方に位置する。第1空間100SAは、指かけ開口部124Hを介して外部と連通する空間である。指かけ開口部124Hに挿入されたユーザの指は、第1空間100SAに位置する。第2空間100SBは、インクパック60(図11参照)を収容する空間である。第1空間100SAには、指かけ開口部124Hを介して外部からの光が侵入するが、第1空間100SAと第2空間100SBとの間には仕切り壁113が設けられているため、第2空間100SBには外部からの光が侵入しない。仕切り壁113は、インクパック60が載置される配置面113Fを有している(図11も参照)。図14に示すように、配置面113Fは、本体ケース100のうち配置面113Fと対向する面(ここでは第2中間壁118の面118F)との間隔が、前方から後方に向けて広くなるように傾斜している。配置面113Fは、前方から後方に向けて右方に向かうように傾斜している。
【0038】
図7に示すように、第4部分104および第5部分105には、第2切り欠き部125と、第2貫通孔126とがそれぞれ形成されている。本体ケース100が組み立てられた状態(即ち左壁117と第2中間壁118とが重なった状態)では、第4部分104の第2切り欠き部125と第5部分105の第2切り欠き部125とは重なり、第4部分104の第2貫通孔126と第5部分105の第2貫通孔126とは重なる。第4部分104には、2つの係止片104Aが形成されている。第5部分105には、2つの係止片104Aが挿入される係止穴105Aが形成されている。係止片104Aが係止穴105Aに挿入されて係止することによって、本体ケース100が組み立てられている。
【0039】
図7に示すように、第2切り欠き部125は、第4部分104の後端部104Rrおよび第5部分105の後端部105Rrから前方に向けて凹む。第2切り欠き部125は、副走査方向X(即ち前後方向)に延びる。第2切り欠き部125の幅WD3(図10参照)は、第1切り欠き部120の幅WD2(図8参照)より大きい。第2切り欠き部125は、第2段差部99の一部99Aと嵌合する(図10参照)。
【0040】
図7に示すように、第2貫通孔126は、矩形状に形成されている。第2貫通孔126には、第2アダプター92の第2突起87が挿入される(図10参照)。第2貫通孔126は、第2突起87を保持する。第2突起87が第2貫通孔126に挿入されることによって、本体ケース100のアダプター80に対する位置ずれが抑制される。第2貫通孔126は、貫通孔の一例である。
【0041】
図11および図12に示すように、インクパック60は、インクを貯留する。本実施形態では、インクパック60は、光硬化性のインクを貯留する。インクパック60は、インクが充填された本体部62と、本体部62内のインクを外部に供給する供給部64とを備えている。本体部62は、可撓性を有する材料から形成されている。本体部62は、例えば、複数の樹脂フィルムを互いに熱溶着させることにより形成されている。本体部62は、内部にインクが充填されると膨らみ、内部のインクが消費されると萎む。本体部62は、例えば、両面テープによって本体ケース100に貼り付けられている。供給部64は、本体部62の後端部分に取り付けられている。供給部64は、インクカートリッジ70がカートリッジホルダー50の収容部50Aに装着された状態で、インクカートリッジ70の後端部に位置する。供給部64には、収容部50Aに設けられたインク供給用針(図示せず)が挿入される。インクパック60の本体部62内に充填されたインクが消費されると、そのインクパック60は交換される。なお、図11および図12では、本体部62内にインクが充填されていない状態を示す。
【0042】
図11および図12に示すように、インクカートリッジ70は、板部材130を備えている。板部材130は、本体ケース100に収容される。板部材130は、板状に形成された本体131と、本体131の一部から右方に延びる突出片132とを備えている。本体131は、インクパック60の本体部62に取り付けられる。本体部62は、板部材130と右壁111とに挟まれている。このため、板部材130は、本体部62内のインクの減少に伴い右方に移動する。突出片132は、本体部62内のインクが所定の量を下回ったときに開口部122から外部に突出するように構成されている。
【0043】
図2に示すように、カートリッジホルダー50は、インクカートリッジ70に収容されたインクパック60内のインクの量を検出するセンサ55を備えている。センサ55は、1つの収容部50Aに対して1つ設けられている。センサ55は、インクカートリッジ70が収容部50Aに装着された状態において、インクカートリッジ70の開口部122の側方に配置される。図15に示すように、センサ55は、板部材130の突出片132に接触可能なアーム部56を備えている。アーム部56は、インクパック60の本体部62内のインクが減少して突出片132が開口部122から外部に突出することによって、突出片132に押圧されて回動する。これにより、センサ55は、インクパック60の本体部62内のインクの量がなくなったか、ほぼなくなったことを検出する。プリンタ10は、センサ55からの信号を受信することで、例えば表示パネル等を通じてユーザにインクパック60の交換が必要であることを通知する。なお、図15において、二点鎖線で示すアーム部56は、突出片132に押圧されていないときの位置を示す。即ち、インクパック60の本体部62内には十分な量のインクが充填されている状態を示す。このとき、突出片132は、アーム部56に接触していない。一方、実線で示すアーム部56は、突出片132に押圧されたときの位置を示す。即ち、インクパック60の本体部62内には十分な量のインクが充填されておらず、交換が必要な状態を示す。
【0044】
以上のように、本実施形態のインクカートリッジ70によると、本体ケース100は、ユーザの指を挿入するための指かけ開口部124Hを備えている。このため、例えば、ユーザがプリンタ10に装着されたインクカートリッジ70を取り外す際に、指かけ開口部124Hに指をひっかけることで容易にインクカートリッジ70をプリンタ10から取り外すことができる。ここで、指かけ開口部124Hを介して外部と連通する第1空間100SAと、インクパック60を収容する第2空間100SBとは仕切り壁113によって仕切られている。このため、指かけ開口部124Hを介して第1空間100SAに入り込む光が第2空間100SBに到達することが抑制される。即ち、第2空間100SBに収容されたインクパックに光が到達しないため、インクパックに充填された光硬化性のインクが劣化することが抑制される。
【0045】
本実施形態のインクカートリッジ70では、本体ケース100は、段ボールから形成されている。上記態様によれば、より耐久性に優れたインクカートリッジ70が実現される。
【0046】
本実施形態のインクカートリッジ70では、アダプター80が本体ケース100よりも後方に位置するとき、第2空間100SBは、第1空間100SAより後方に位置し、仕切り壁113は、インクパック60が配置される配置面113Fを有し、配置面113Fは、本体ケース100のうち配置面113Fと対向する第2中間壁118の面118Fとの間隔が、前方から後方に向けて広くなるように傾斜している。上記態様によれば、インクパック60に充填された光硬化性のインクは、後方、即ちアダプター80側に流れやすくなる。
【0047】
本実施形態のインクカートリッジ70では、本体ケース100は、突出片132を有する板部材130を収容するように構成され、かつ、本体部62内に充填されたインクが所定の量を下回ったときに、突出片132が本体ケース100から外部に突出する開口部122を有する。上記態様によれば、例えば、突出片132が開口部122を介して本体ケース100から外部に突出することで、本体ケース100の外部に設けたセンサ55によりインクが所定の量を下回ったことを検出することができる。
【0048】
本実施形態のインクカートリッジ70では、指かけ開口部124Hと開口部122とは、本体ケース100の右壁111に形成されている。上記態様によれば、指かけ開口部124Hと開口部122とが本体ケース100の右壁111に形成されているため、本体ケース100の右側のスペースを、突出片132が本体ケース100から外部に突出したときのスペースと、指かけ開口部124Hに指をひっかけるときに手を配置するときのスペースとで共通して有効活用することができる。
【0049】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0050】
上述した実施形態では、指かけ開口部124Hが右方に向けて開口するようにインクカートリッジ70は収容部50Aに装着されているが、インクカートリッジ70を装着するときの向きは限定されない。例えば、指かけ開口部124Hが上方、下方、または、左方に向けて開口するようにインクカートリッジ70を収容部50Aに装着してもよい。
【0051】
上述した実施形態では、センサ55は、接触型のセンサであったが、非接触型のセンサであってもよい。
【符号の説明】
【0052】
10 プリンタ
50 カートリッジホルダー
60 インクパック
62 本体部
64 供給部
70 インクカートリッジ
80 アダプター
100 本体ケース
100SA 第1空間
100SB 第2空間
113 仕切り壁
113F 配置面
118 第2中間壁
118F 面
122 開口部
123 第1指かけ開口部(指かけ開口部)
124 第2指かけ開口部(指かけ開口部)
124H 指かけ開口部
130 板部材
132 突出片
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15