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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082064
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 13/00 20060101AFI20240612BHJP
【FI】
B60C13/00 C
B60C13/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195780
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】中島 徳仁
(72)【発明者】
【氏名】石田 直輝
(72)【発明者】
【氏名】早苗 隆平
(72)【発明者】
【氏名】中島 翔
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BB01
3D131BB03
3D131BB06
3D131BC47
3D131GA01
3D131GA03
(57)【要約】
【課題】 バルジデント等の外観不良をより目立たなくしてサイドウォール部の外観性能をさらに向上する。
【解決手段】 サイドウォール部3の外表面3Aに、装飾領域9が形成された空気入りタイヤ1である。装飾領域9は、基準面部10と第1面部11とを含んでいる。基準面部10及び第1面部11は、第1段差15を介してステップ状に配置されている。基準面部10及び第1面部11には、それぞれ、同等の突出高さを有する複数の微小突起18が形成されている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気入りタイヤであって、
トレッド部と、前記トレッド部からタイヤ半径方向内側に延びる一対のサイドウォール部とを含み、
前記一対のサイドウォール部の少なくとも一方の外表面には、装飾領域が形成されており、
前記装飾領域は、少なくも1つの基準面部と、前記基準面部からタイヤ軸方向の外側に突出する少なくとも1つの第1面部とを含み、
前記基準面部及び前記第1面部は、第1段差を介してステップ状に配置されており、
前記基準面部及び前記第1面部には、それぞれ、同等の突出高さを有する複数の微小突起が形成される、
空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記装飾領域は、前記第1面部からタイヤ軸方向の外側に突出する少なくとも1つの第2面部をさらに含み、
前記第2面部及び前記第1面部は、第2段差を介してステップ状に配置されており、
前記第2面部には、前記基準面部の前記微小突起と同等の突出高さを有する複数の微小突起が形成される、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記基準面部、前記第1面部及び前記第2面部の少なくとも2つは、互いに同じ輪郭形状を有する、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記微小突起の突出高さは、前記第1段差の高さ、及び、前記第2段差の高さよりも大きい、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記第1段差の高さ、及び、前記第2段差の高さは、0.05~1.0mmである、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記微小突起は、円錐台状である、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記微小突起の頂部の直径は、0.05~0.5mmであり、
前記微小突起の突出高さは、0.1~1.0mmであり、
前記微小突起の母線と底面とのなす角度は、5~75度である、請求項6に記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記微小突起の突出高さは、前記第2面部と前記基準面部との間の第3段差の高さよりも大きい、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、サイドウォール部の表面に装飾帯を具えたタイヤが記載されている。前記装飾帯は、非途切れリッジと、途切れ部を有する途切れリッジとを含むリッジがタイヤ周方向に並列したセレーション領域を具えている。このような装飾体は、タイヤの外観を低下させがちなバルジデントを目立たなくする効果がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-094008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、バルジデント等の外観不良をより目立たなくして、サイドウォール部の外観性能をさらに向上することが望まれていた。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出なされたもので、バルジデント等の外観不良をより目立たなくしてサイドウォール部の外観性能をさらに向上し得る空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、空気入りタイヤであって、トレッド部と、前記トレッド部からタイヤ半径方向内側に延びる一対のサイドウォール部とを含み、前記一対のサイドウォール部の少なくとも一方の外表面には、装飾領域が形成されており、前記装飾領域は、少なくも1つの基準面部と、前記基準面部からタイヤ軸方向の外側に突出する少なくとも1つの第1面部とを含み、前記基準面部及び前記第1面部は、第1段差を介してステップ状に配置されており、前記基準面部及び前記第1面部には、それぞれ、同等の突出高さを有する複数の微小突起が形成される、空気入りタイヤである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の空気入りタイヤは、上記の構成を採用することで、バルジデント等の外観不良をより目立たなくしてサイドウォール部の外観性能をさらに向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の空気入りタイヤの一実施例を示すタイヤ子午線断面図である。
図2図1のサイドウォール部の部分断面図である。
図3図1のサイドウォール部の正面図である。
図4】(A)は、基準面部、第1面部及び第2面部の部分断面図、(B)は、微小突起の斜視図である。
図5】(A)は、他の実施形態の装飾領域の正面図、(B)は、さらに他の実施形態の装飾領域の正面図である。
図6】(A)は、他の実施形態の微小突起の斜視図、(B)は、さらに他の実施形態の微小突起の斜視である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図面は、本発明の理解を助けるために、誇張表現や、実際の構造の寸法比とは異なる表現が含まれている。また、複数の実施形態がある場合、明細書を通して、同一又は共通する要素については同一の符号が付されており、重複する説明が省略される。
【0010】
図1は、本発明の空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」という場合がある)1の一実施形態のタイヤ子午線断面図である。図1には、好ましい態様として、乗用車用のタイヤ1が示される。但し、本発明は、例えば、自動二輪車用や重荷重用のタイヤ1に採用されても良い。
【0011】
本明細書では、特に断りがない限り、タイヤ1の各部の寸法等は、正規状態で測定されたものである。「正規状態」とは、タイヤ1が正規リム(図示省略)にリム組みされかつ正規内圧が充填され、しかも、無負荷の状態である。
【0012】
「正規リム」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めているリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" である。
【0013】
「正規内圧」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
【0014】
本実施形態のタイヤ1は、トレッド部2と、トレッド部2からタイヤ半径方向内側に延びる一対のサイドウォール部3、3とを含んでいる。また、タイヤ1は、例えば、各サイドウォール部3のタイヤ半径方向の内側に配され、かつ、ビードコア5が埋設されたビード部4を含んでいる。
【0015】
一対のサイドウォール部3、3の少なくとも一方の外表面3Aには、装飾領域9が形成されている。装飾領域9は、例えば、一対のサイドウォール部3、3の両方に形成されている。装飾領域9を含むサイドウォール部3は、カーボンブラックの配合により黒色に形成されている。
【0016】
図2は、装飾領域9を概念的に説明するためのサイドウォール部3の部分断面図である。図1及び図2に示されるように、装飾領域9は、少なくとも1つの基準面部10と、基準面部10からタイヤ軸方向の外側に突出する少なくとも1つの第1面部11とを含んでいる。また、本実施形態の装飾領域9は、第1面部11からタイヤ軸方向の外側に突出する少なくとも1つの第2面部12を含んでいる。
【0017】
基準面部10及び第1面部11は、第1段差15を介してステップ状に配置されている。そして、基準面部10及び第1面部11には、それぞれ、同等の突出高さhを有する複数の微小突起18が形成されている。このような装飾領域9では、微小突起18に当たった入射光は、反射角を変えて他の微小突起18に反射するとともに、この反射を繰り返しすることで吸収される。したがって、装飾領域9は、他の領域に比べて、相対的に低い光反射率を有するので、相対的に高い黒色度を有する。また、微小突起18が形成された基準面部10は、微小突起18が形成された第1面部11に対して相対的に暗く凹んでいるように見える。このような装飾領域9では、黒色度や明度に差が生じる。したがって、本発明のタイヤ1では、ユーザーは、装飾領域9の黒色度や明度の差に目が奪われ、バルジデントが目立たなくなることから、サイドウォール部3の外観性能がさらに向上する。
【0018】
第1面部11及び第2面部12は、第2段差16を介してステップ状に配置されている。第2面部12には、基準面部10の微小突起18と同等の突出高さを有する複数の微小突起18が形成される。微小突起18が形成された第2面部12は、微小突起18が形成された第1面部11に対して相対的に明るく浮き出るように見える。これにより、装飾領域9全体では、黒色度や明度にさらに差が生じる。したがって、バルジデントがさらに目立たなくなることから、サイドウォール部3の外観性能が、一層向上する。第2面部12及び基準面部10は、本実施形態では、第3段差17(図4(A)に示す)を介してステップ状に配置されている。
【0019】
前記「同等の突出高さh」は、各面部10~12の微小突起18の突出高さhが同一の場合は勿論、タイヤ製造時の精度誤差によって突出高さhが異なる微小突起18同士も「同等の突出高さh」に含まれる。また、突出高さhが異なる微小突起18において、最大の突出高さha(図示省略)と最小の突出高さhbとの差(ha-hb)が、最小の突出高さhbの10%以下の微小突起18同士も「同等の突出高さh」に含まれる。
【0020】
図1に示されるように、タイヤ1の内部には、カーカス6が配されている。カーカス6は、例えば、両側のビードコア5、5間を延びる本体部6aと、本体部6aに繋がりかつビードコア5でタイヤ軸方向の内側から外側に折り返される一対の折返し部6bとを含んでいる。折返し部6bのタイヤ半径方向の外端6eは、サイドウォール部3に位置している。本実施形態では、折返し部6bの外端6eは、装飾領域9とタイヤ半径方向で重複している。折返し部6bの外端6eは、タイヤ1の製造時に、バルジデントが生じやすい箇所である。このため、本実施形態のタイヤ1は、外端6eによって形成されるバルジデントを目立たなくすることができる。
【0021】
図3は、サイドウォール部3の部分正面図である。図3に示されるように、装飾領域9は、本実施形態では、タイヤ周方向で途切れるように形成されている。装飾領域9は、例えば、タイヤ周方向で連続するように形成されていても良い。装飾領域9は、例えば、ビードベースラインBL(図1に示す)からタイヤ半径方向の外側へタイヤ断面高さHBの10%~95%の位置に配されるのが望ましい。前記「ビードベースラインBL」は、本明細書では、タイヤ1が基づく規格で定まるリム径位置を通るタイヤ軸方向線である。
【0022】
基準面部10、第1面部11及び第2面部12の少なくとも2つは、互いに同じ輪郭形状を有している。これにより、黒色度や明度の差に形状による規則性が現れるので、ユーザーは、装飾領域9の黒色度や明度の差により目を奪われるため、バルジデントを目立たなくする効果が一層高められる。本実施形態では、基準面部10、第1面部11及び第2面部12の3つが同じ輪郭形状で形成されている。前記「同じ輪郭形状」は、本明細書では、輪郭形状が互いに合同であるのは勿論、互いに相似であって、各輪郭形状の面積の差が、面積の小さい方の輪郭形状の面積の20%以下のものを含む。また、前記「輪郭形状」は、第1段差15~第3段差17のエッジe(図2に示す)で画定される。なお、前記「輪郭形状」は、各面部10~12に形成される微小突起18の配置形状で画定されても良い。
【0023】
本実施形態の装飾領域9は、同じ六角形状の輪郭を有する基準面部10、第1面部11及び第2面部12を含んでいる。また、装飾領域9は、六角形状の一部を切り取って形成される四角形状や五角形状の輪郭形状で形成された基準面部10、第1面部11及び第2面部12を含んでも良い。
【0024】
基準面部10、第1面部11及び第2面部12のそれぞれの輪郭形状の面積Aは、1mm以上が望ましく、10mm以上がさらに望ましく、2000mm以下が望ましく、1000mm以下がさらに望ましい。面積Aが10mm以上及び1000mm以下であるので、より黒色度を高める部分やより黒色度を低くする部分が目立ちやすくなるという効果が発揮される。
【0025】
図4(A)は、各面部10~12の部分断面図である。図4(A)に示されるように、基準面部10、第1面部11及び第2面部12のそれぞれは、例えば、タイヤ軸方向の外側を向き、かつ、微小突起18が取り付けられる外向面19を含んでいる。本実施形態の装飾領域9は、微小突起18、外向面19及び各段差15~17を形成する段差面22を含んでいる。本明細書では、第1段差15~第3段差17は、外向面19と段差面22との間の角度αが90~135度で形成されるものをいう。図4(A)は、本発明の理解を助けるために、外向面19が直線で示される。
【0026】
また、本実施形態では、基準面部10の外向面19Aは、タイヤ子午線断面(図1に示す)において、タイヤ1の断面幅(JATMA参照)を特定しうるサイドウォール部3の外表面3s(図1に示す)と一致する。なお、基準面部10の外向面19Aは、このような態様に限定されるものではなく、外表面3sからタイヤ軸方向の外側へステップ状に突出する面でもよい。
【0027】
図4(B)は、微小突起18の斜視図である。図4(B)に示されるように、微小突起18は、本実施形態では、円錐台状である。微小突起18は、例えば、突出高さ方向に対して傾斜する側面18aと、突出高さ方向の最も外側に位置する円形の頂部18bとを含んでいる。側面18aは、照射される光を多方向、かつ、より多くの微小突起18に反射及び吸収させるので、装飾領域9の黒色度をさらに高める。頂部18bは、本実施形態では、平らな面として形成される。このような頂部18bは、微小突起18の剛性を高めて、微小突起18の折れや欠けを抑制するので、外観性能を高く維持する。また、微小突起18は、側面18aと外向面19との境界で形成される底面18cを含んでいる。底面18cは、本実施形態では、頂部18bに平行とされる。前記「突出高さ」は、本明細書では、微小突起18の底面18cの法線n(図4(A)に示す)の方向の高さである。
【0028】
微小突起18は、基準面部10、第1面部11及び第2面部12のそれぞれ1つ当たり、7個以上が望ましく、10個以上がさらに望ましく、1000個以下が望ましく、800個以下がさらに望ましい。微小突起18が各面部の1つ当たり7個以上であるので、微小突起18同士の光の反射及び吸収効果が維持され黒色度が高められる。微小突起18が各面部10~12の1つ当たり1000個以下であるので、微小突起18の一つ当りの剛性が維持されるので、高い外観性能を長期間、発揮することができる。
【0029】
図4に示されるように、微小突起18の突出高さhは、第1段差15の高さH1及び第2段差16の高さH2よりも大きいのが望ましい。これにより、基準面部10の微小突起18の側面18aが、第1面部11の外向面19よりも突出高さ方向の外側に位置し、装飾領域9に照射された光の反射の機会を大きくする。また、第1面部11の微小突起18の側面18aが、第2面部12の外向面19よりも突出高さ方向の外側に位置し、装飾領域9に照射された光の反射の機会を大きくする。これにより、装飾領域9の全体として黒色度をさらに高めることができる。本実施形態では、微小突起18の突出高さhは、第1段差15の高さH1と第2段差16の高さH2との和(H1+H2)、換言すれば、第3段差17の高さH3よりも大きい。
【0030】
微小突起の突出高さhは、0.1mm以上が望ましく、0.2mm以上がさらに望ましく、1.0mm以下が望ましく、0.8mm以下がさらに望ましい。また、微小突起18の頂部18bの直径dは、0.05mm以上が望ましく、0.15mm以上がさらに望ましく、0.5mm以下が望ましく、0.35mm以下がさらに望ましい。さらに、微小突起18の縦断面において、微小突起18の母線(側面18aで形成される)mと底面18cとの間の角度θは、5度以上が望ましく、10度以上がさらに望ましく、75度以下が望ましく、65度以下がさらに望ましい。
【0031】
第1段差15の高さH1、及び、第2段差16の高さH2は、0.05mm以上が望ましく、0.1mm以上がさらに望ましく、1.0mm以下が望ましく、0.5mm以下がさらに望ましい。第1段差15の高さH1と第2段差16の高さH2とは、同等であるのが望ましい。前記「同等」は、高さH1と高さH2との差の絶対値|H1-H2|が0mmであるのは勿論、0.2mm以下である態様も含む。
【0032】
図5(A)は、他の実施形態の装飾領域9の正面図である。図5(A)に示されるように、この実施形態の装飾領域9は、第2面部12からタイヤ軸方向の外側に突出する第3面部13と、第3面部13からタイヤ軸方向の外側に突出する第4面部14とを含んでいる。第3面部13及び第4面部14には、それぞれ、基準面部10の微小突起18と同等の突出高さhを有する複数の微小突起18(図示省略)が形成されている。これにより、微小突起18の形成された第3面部13は、微小突起18が形成された第2面部12に対して浮き出るように一層明るく見える。また、微小突起18の形成された第4面部14は、微小突起18が形成された第3面部13に対して浮き出るようにより明るく見える。これにより、装飾領域9全体では、黒色度や明度にさらに差が生じるため、サイドウォール部3の外観性能が、一層向上する。
【0033】
図5(B)は、さらに他の実施形態の装飾領域9の正面図である。図5(B)に示されるように、この実施形態の装飾領域9は、それぞれ正三角形状の輪郭を有する基準面部10、第1面部11及び第2面部12を含んでいる。このような装飾領域9を有するタイヤ1においても、ユーザーは、装飾領域9の黒色度や明度の差に目が奪われ、バルジデントが目立たなくなることから、サイドウォール部3の外観性能がさらに向上する。基準面部10、第1面部11及び第2面部12の輪郭形状は、例えば、正方形状を含む正多角形状が望ましい。
【0034】
図6(A)は、他の実施形態の微小突起18の斜視図である。図6(A)に示されるように、この実施形態の微小突起18は、六角錐台状で形成されている。このような微小突起18も、本発明の効果を奏し得る。なお、微小突起18は、三角錐台を含む多角錐台状で形成されても良い。
【0035】
図6(B)は、さらに他の実施形態の微小突起18の斜視図である。図6(B)に示されるように、この実施形態の微小突起18は、頂部18bから突出高さ方向の下方に延びる凹部24を含んでいる。これにより、凹部24内に照射された光は、凹部24内での反射を繰り返しつつ吸収されるので、装飾領域9の黒色度が高められる。
【0036】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0037】
[付記]
本発明は以下の態様を含む。
【0038】
[本発明1]
空気入りタイヤであって、
トレッド部と、前記トレッド部からタイヤ半径方向内側に延びる一対のサイドウォール部とを含み、
前記一対のサイドウォール部の少なくとも一方の外表面には、装飾領域が形成されており、
前記装飾領域は、少なくも1つの基準面部と、前記基準面部からタイヤ軸方向の外側に突出する少なくとも1つの第1面部とを含み、
前記基準面部及び前記第1面部は、第1段差を介してステップ状に配置されており、
前記基準面部及び前記第1面部には、それぞれ、同等の突出高さを有する複数の微小突起が形成される、
空気入りタイヤ。
[本発明2]
前記装飾領域は、前記第1面部からタイヤ軸方向の外側に突出する少なくとも1つの第2面部をさらに含み、
前記第2面部及び前記第1面部は、第2段差を介してステップ状に配置されており、
前記第2面部には、前記基準面部の前記微小突起と同等の突出高さを有する複数の微小突起が形成される、本発明1に記載の空気入りタイヤ。
[本発明3]
前記基準面部、前記第1面部及び前記第2面部の少なくとも2つは、互いに同じ輪郭形状を有する、本発明2に記載の空気入りタイヤ。
[本発明4]
前記微小突起の突出高さは、前記第1段差の高さ、及び、前記第2段差の高さよりも大きい、本発明2又は3に記載の空気入りタイヤ。
[本発明5]
前記第1段差の高さ、及び、前記第2段差の高さは、0.05~1.0mmである、本発明2ないし4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
[本発明6]
前記微小突起は、円錐台状である、本発明2ないし5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
[本発明7]
前記微小突起の頂部の直径は、0.05~0.5mmであり、
前記微小突起の突出高さは、0.1~1.0mmであり、
前記微小突起の母線と底面とのなす角度は、5~75度である、本発明6に記載の空気入りタイヤ。
[本発明8]
前記微小突起の突出高さは、前記第2面部と前記基準面部との間の第3段差の高さよりも大きい、本発明2ないし7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【符号の説明】
【0039】
1 空気入りタイヤ
3 サイドウォール部
3A 外表面
9 装飾領域
10 基準面部
11 第1面部
15 第1段差
18 微小突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6