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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082084
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】粉粒体用エア搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 53/28 20060101AFI20240612BHJP
【FI】
B65G53/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195800
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】弁理士法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】則武 宏昭
(72)【発明者】
【氏名】前川 亘
(72)【発明者】
【氏名】井川 弘大
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大輝
(72)【発明者】
【氏名】田中 遥子
【テーマコード(参考)】
3F047
【Fターム(参考)】
3F047AA13
3F047DA07
(57)【要約】
【課題】ホッパ下部に連設されてホッパ内の粉粒体を強制排出するロータリバルブと、ロータリバルブから排出された粉粒体にブロワからの噴出エアを混合させる混相器とを備えたエア搬送装置において、ホッパに着脱可能な分離機本体をホッパに装着するか取外すかに応じて、ホッパ内への粉粒体の異なる2つの投入形態を容易に選択可能とする。
【解決手段】分離室33を内部に有してホッパHの上端部に着脱可能に結合される分離機本体31と、ホッパH内に粉粒体を投入可能な投入口Toを一端に有して分離機本体31に設けられる投入管Tと、投入口Toから投入された粉粒体の流入を抑制可能として分離室33に開口する排気口Doを有して分離機本体31に設けられる排気管Dと、投入管Tの他端に接続される導入管Iと、導入管Iを通して外部の粉粒体貯留部Cより投入管T側に粉粒体を流動させるエア流を発生可能なエア流発生装置ADとを備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を投入、収容可能なホッパ(H)と、前記ホッパ(H)の下部に連設されて該ホッパ(H)内の粉粒体を強制排出するロータリバルブ(R)と、粉粒体圧送用のエアを噴出可能なブロワ(3)と、前記ロータリバルブ(R)から排出された粉粒体に前記ブロワ(3)からの噴出エアを合流させて出口管(4)に向かわせる混相器(M)とを備え、前記噴出エアを利用して前記出口管(4)から、該出口管(4)に連なる粉粒体搬送先(Z)まで粉粒体をエア搬送できるようにした粉粒体用エア搬送装置において、
前記ホッパ(H)内に直接連通する分離室(33)を内部に有する中空の分離機本体(31)と、前記分離室(33)又は前記ホッパ(H)内に開口し且つ該ホッパ(H)内に粉粒体を投入可能な投入口(To)を一端に有して、前記分離機本体(31)に設けられる投入管(T)と、前記投入口(To)から投入された粉粒体の流入を抑制可能として前記分離室(33)に開口する排気口(Do)を有して、前記分離機本体(31)に設けられる排気管(D)と、前記投入管(T)の他端に接続されて外部の粉粒体貯留部(C)より粉粒体を該投入管(T)に導入可能な導入管(I)と、その導入管(I)を通して前記外部の粉粒体貯留部(C)より前記投入管(T)側に粉粒体を流動させるエア流を発生可能なエア流発生装置(AD)とを備え、
前記分離機本体(31)は、前記ホッパ(H)の上端部に着脱可能に結合されることを特徴とする、粉粒体用エア搬送装置。
【請求項2】
前記投入口(To)は、前記ホッパ(H)の開放上面に対向して下向きに配置され、また前記排気口(Do)は、前記投入口(To)より上方に間隔をおいて配置されることを特徴とする、請求項1に記載の粉粒体用エア搬送装置。
【請求項3】
前記エア流発生装置(AD)は、前記排気管(D)を通して前記分離室(33)内のエアを吸引して外部に排出可能な吸引ブロワ(36)を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の粉粒体用エア搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エア搬送装置、特に粉粒体を投入、収容可能なホッパと、ホッパの下部に連設されてホッパ内の粉粒体を強制排出するロータリバルブと、粉粒体圧送用のエアを噴出可能なブロワと、ロータリバルブから排出された粉粒体にブロワからの噴出エアを合流させて出口管に向かわせる混相器とを備え、ブロワからの噴出エアを利用して出口管から、該出口管に連なる粉粒体搬送先まで粉粒体をエア搬送できるようにした粉粒体用エア搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記粉粒体用エア搬送装置は、例えば特許文献1に開示されるように従来公知であり、この公知のものでは、粉粒体を収納したフレキシブルコンテナバッグ等の袋を吊り上げてエア搬送装置のホッパ直上位置に置き、そこからホッパ内に粉粒体を直接落下、投入している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-75787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のエア搬送装置では、ホッパ内への粉粒体の投入形態が、上記したようにホッパ直上位置までフレキシブルコンテナバッグを吊るした状態で、同バッグからホッパ内に粉粒体を直接落下させるしかなく、投入形態が限られてしまう課題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、従来構造の課題を解決可能とした粉粒体用エア搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は、粉粒体を投入、収容可能なホッパと、前記ホッパの下部に連設されて該ホッパ内の粉粒体を強制排出するロータリバルブと、粉粒体圧送用のエアを噴出可能なブロワと、前記ロータリバルブから排出された粉粒体に前記ブロワからの噴出エアを合流させて出口管に向かわせる混相器とを備え、前記噴出エアを利用して前記出口管から、該出口管に連なる粉粒体搬送先まで粉粒体をエア搬送できるようにした粉粒体用エア搬送装置において、前記ホッパ内に直接連通する分離室を内部に有する中空の分離機本体と、前記分離室又は前記ホッパ内に開口し且つ該ホッパ内に粉粒体を投入可能な投入口を一端に有して、前記分離機本体に設けられる投入管と、前記投入口から投入された粉粒体の流入を抑制可能として前記分離室に開口する排気口を有して、前記分離機本体に設けられる排気管と、前記投入管の他端に接続されて外部の粉粒体貯留部より粉粒体を該投入管に導入可能な導入管と、その導入管を通して前記外部の粉粒体貯留部より前記投入管側に粉粒体を流動させるエア流を発生可能なエア流発生装置とを備え、前記分離機本体は、前記ホッパの上端部に着脱可能に結合されることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、前記第1の特徴に加えて、前記投入口は、前記ホッパの開放上面に対向して下向きに配置され、また前記排気口は、前記投入口より上方に間隔をおいて配置されることを第2の特徴とする。
【0008】
また本発明は、第1又は第2の特徴に加えて、前記エア流発生装置は、前記排気管を通して前記分離室内のエアを吸引して外部に排出可能な吸引ブロワを含むことを第3の特徴とする。
【0009】
本発明及び本明細書において、「投入口から投入された粉粒体の流入を抑制可能」とは、投入口から投入された粉粒体の排気口への流入が確実に制限可能(即ち排気口への粉粒体の流入量がゼロ)である場合が含まれる事は元より、その流入が概ね制限可能(即ち上記流入量が僅少ないし少量)である場合も含まれる意味である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の特徴によれば、分離機本体をホッパの上端部に結合した状態では、エア流発生装置が、導入管を通して外部の粉粒体貯留部より投入管側に粉粒体を流動させるエア流を発生させることで、粉粒体貯留部の粉粒体を、導入管及び投入管を経て分離室側にエア流と共に強制流動させ得るので、投入管の投入口よりホッパ内に投入可能となる。このとき、排気管の排気口は、投入口から投入された粉粒体の流入を抑制可能として分離室に開口していて、粉粒体の排気管側への混入が抑制されるため、投入口からホッパに効率よく粉粒体を投入可能となる。一方、分離機本体をホッパより取り外して、ホッパの上面を開放した状態では、粉粒体が収容されたフレキシブルコンテナバッグ等の袋又は容器を支持してホッパの直上に配置することで、そこからホッパ内に粉粒体を直接、落下投入することができる。
【0011】
このように分離機本体をホッパの上端部に装着するか取り外すかに応じて、ホッパ内への粉粒体の異なる2つの投入形態を容易に選択可能となるため、使い勝手が頗る良好となる。
【0012】
また特に第2の特徴に加えて、投入口は、ホッパの開放上面に対向して下向きに配置され、また排気口は、投入口より上方に間隔をおいて配置されるので、排気口を下向きの投入口に対し単に上方に離して配置するだけの簡単な構造で、投入口から分離室に一緒に入った粉粒体及びエアを効率よく分離することができる。
【0013】
また第3の特徴によれば、エア流発生装置は、排気管を通して分離室内のエアを吸引して外部に排出可能な吸引ブロワを含むので、分離機本体をホッパの上端部に結合した状態では、吸引ブロワが分離室内のエアを排気管を通して吸引して外部に排出することで、粉粒体貯留部の粉粒体を導入管を通して投入管側に吸引流動させるエア流を発生させることができ、その投入管の投入口よりホッパ内に投入可能となる。またそのエア流を発生させるブロワは排気管側に配置できて、導入管側には配備不要であるため、導入管の配管構成を単純化できて、導入管を用いた粉粒体の吸引作業性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るエア搬送装置に吸引投入装置を付設した状態の一実施形態を示す全体概要図
図2】吸引投入装置付きエア搬送装置の、一部を切欠いた要部側面図(図3の2X矢視図)
図3】前記エア搬送装置の要部斜視図
図4図2と同じ向きから見たホッパ、ロータリバルブ及び混相器の要部縦断面図
図5図2の5X-5X線拡大断面図
図6図2の6X矢視部の拡大断面図
図7】吸引投入装置を取り外した状態のエア搬送装置の図3対応斜視図
図8】吸引投入装置を取り外した状態のエア搬送装置の使用例を示す図2対応側面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を、添付図面により以下に具体的に説明する。
【0016】
先ず、図1図6において、粉粒体搬送用のエア搬送装置Aは、粉粒体が集積、貯留される粉粒体貯留部C(例えば、図示例のようなコンテナ等の収容容器、フレキシブルコンテナバッグ等の袋)の粉粒体を粉粒体搬送先Z(例えばサイロ、貯留槽等の粉粒体収容設備)までエア搬送するために利用されるものであって、それは、設置面(例えば地面等)に定置、固定される中空且つ直方体状のハウジング1を主体とする。ハウジング1の少なくとも上壁1tは、他のハウジング要素(即ち四方の側壁1s)に対し従来周知の結合手段(図示せず)を以て着脱可能に結合される。
【0017】
ハウジング1内には、図2で明らかなように、粉粒体を上方より投入、収容可能なホッパHと、ホッパHの下部に接続されてホッパH内の粉粒体を強制排出するロータリバルブRと、粉粒体圧送用のエアを噴出可能な搬送用ブロワ3と、ロータリバルブRから排出された粉粒体に搬送用ブロワ3からの噴出エアを合流させて出口管4に向かわせる混相器Mとが少なくとも収容、固定される。
【0018】
出口管4の出口(下流端)は、ハウジング1の一側壁1sに設けた側部開口1iに臨んでおり、この出口には、側部開口1iを通してハウジング1内に延びる接続管5の一端部(上流端)が、従来周知のジョイントJ1を介して着脱可能に接続、連通される。その接続管5の他端部(下流端)は、上記粉粒体搬送先Zに直接に、又は延長接続管5′を介して通じている。尚、側部開口1iは、ハウジング1の一側壁1sに開閉可能に設けた不図示の開閉蓋により、エア搬送装置Aの非使用時には塞がれる。
【0019】
エア搬送装置Aは、搬送用ブロワ3からの噴出エアを利用して、出口管4や接続管5,5′内での粉粒体の排出流動を助勢し、粉粒体搬送先Zまで粉粒体をスムーズにエア搬送できるようにする。
【0020】
而して、エア搬送の対象となる粉粒体としては、エア搬送が可能な程度に流動性がある無数の粒状体(例えば木質チップ、飼料等)又は粉状体(例えばセメント、粉状化学剤,粉状食材等)が含まれる。
【0021】
ホッパHは、粉粒体を上方より投入可能な上向き且つ矩形状の入口Hiを上端に有したホッパ本体Hmを主要部としており、そのホッパ本体Hmは、下方が徐々に窄まる角筒状に形成され、これの開放下端が、後述するロータリバルブRの入口Riに従来周知のジョイントJ2を介して着脱可能に接続、連通される。またホッパHの開放下端には、粉粒体の通過は許容するが大きな異物の通過は阻止する網部材9が固定される。
【0022】
ハウジング1の上壁1tには、ホッパHの上端部が嵌合、支持される矩形状の上部開口1toが形成される。そして、この上部開口1toを縁取るように取り囲む平面視矩形状の取付板2が、これと上壁1tとの間にホッパHの上端部外周の外向きフランジHfを挟持した状態で、上壁1tの上面に重合、固定(例えば溶接、ボルト止め等)される。また取付板2及び上壁1tには、後述する複数の共締め用ボルトb1をそれぞれ貫通させる複数のボルト孔が、互いに周方向に間隔をおいて形成される。
【0023】
次にロータリバルブRの一例について具体的に説明すると、ロータリバルブRは、図2図4で明らかなように、上端に入口Riを、また下端に出口Roをそれぞれ有するバルブハウジングHrと、そのバルブハウジングHr内に回転自在に収容、支持されるロータ10と、このロータ10を回転駆動するバルブモータ11とを備える。上記出口Roは、矩形状に形成されていて、後述する混相器Mの矩形状の入口Miに従来周知のジョイントJ3を介して着脱可能に接続、連通される。
【0024】
尚、バルブハウジングHrは、ハウジング1の内壁に不図示の支持手段を介して固定、支持される。
【0025】
上記ロータ10は、バルブハウジングHrに回転自在に支持されてその中心部に横切る回転軸部10aと、回転軸部10aの外周に放射状に突設された複数の羽根板部10bとを一体に有する。そして、このロータ10をバルブモータ11で回転駆動すれば、そのモータ回転速度に応じた排出流量で、ホッパH内へ投入された粉粒体を出口Ro側(従って混相器M内)に強制的に排出可能である。
【0026】
混相器Mは、図2図4で明らかなように、ロータリバルブRの出口Roに臨む入口Miを上端に有する角筒状の混相器本体21と、その混相器本体21の下部に中央部が一体的に結合(例えば溶接)されて略水平な円管部22とを備える。混相器本体21は、下方に向かうにつれて互いに接近するよう傾斜した前・後側壁211,212と、前・後側壁211,212の左右両側縁間を一体に接続する略鉛直の左・右側壁213,214とを主要部としていて、下窄まりで且つ上下端開放のボックス状に形成される。
【0027】
それら前後左右の側壁211~214の下端部は、円管部22の中央部周壁の上部を切欠くように形成した平面視矩形状の上向きの開口22oの開口縁部にそれぞれ気密に接続(例えば溶接)される。そして、上記開口22o直下の円管部22内が、ロータリバルブRから排出された粉粒体と、搬送用ブロア3から噴出して円管部22内を流れるエアとの合流部となる。尚、混相器本体21及び円管部22のうち少なくとも一方は、ハウジング1の内壁に不図示の支持手段を介して固定、支持される。
【0028】
円管部22の一端(上流端)には、ハウジング1の内壁適所に固定した搬送用ブロワ3から延出するエア導入管23の下流端が従来周知のジョイントJ4を介して接続、連通される。一方、円管部22の他端(下流端)には、前述の出口管4の入口端が従来周知のジョイントJ5を介して着脱可能に接続、連通される。
【0029】
エア搬送装置Aのハウジング1には、図示はしないが、搬送用ブロワ3及びロータリバルブR(具体的にはブロワモータ31及びバルブモータ11)、並びに後述する集塵機S(具体的には吸引ブロワ36のモータ36a)を作動させるための電源装置及び制御装置が収納される。尚、それらモータ31,11,36aを油圧作動式のモータでそれぞれ構成してもよい。
【0030】
以上説明したエア搬送装置Aの構成は、粉粒体用エア搬送装置として従来周知であって、例えば前記特許文献1にも開示されているが、本発明は、このようなエア搬送装置Aに、次に説明する吸引投入装置KTを着脱可能に付設した点を技術的特徴としている。この吸引投入装置KTは、これをエア搬送装置Aにセットした状態では、粉粒体貯留部Cがエア搬送装置AのホッパHから離れていても、そこから粉粒体を吸引してホッパH内に難なく投入可能とするための装置である。次に、図1図3図5及び図6を主として参照して、吸引投入装置KTの一例を説明する。
【0031】
吸引投入装置KTは、粉粒体貯留部Cよりエアと共に吸引される粉粒体からエアを分離してホッパH内に投入するための分離機30と、その分離機30で粉粒体より分離したエアを吸引して外部に排出可能な吸引排気装置ADとを備える。而して、吸引排気装置ADは、導入管Iを通して外部の粉粒体貯留部Cより投入管T側に粉粒体を流動させるエア流を発生可能な本発明のエア流発生装置の一例である。
【0032】
分離機30は、ホッパH内に連通する分離室33を内部に有してホッパHの上端部に着脱可能に結合される中空のボックス状(実施形態は直方体状)の分離機本体31と、分離室33に開口し且つホッパHに粉粒体を投入可能な投入口Toを一端に有して、分離機本体31に設けられる投入管Tと、投入口Toから投入された粉粒体の吸引を抑制可能として分離室33に開口する排気口Doを有して分離機本体31に設けられる排気管Dとを備える。
【0033】
分離機本体31は、これの開放下端が矩形状に形成されていて、ホッパH上端の入口Hi(従ってハウジング1の上壁1tの上部開口1to)と略同一形状に形成される。分離機本体31の下端部外周には外向きフランジ31fが連設されており、これら外向きフランジ31fは、上壁1t及びこれに固定の前記取付板2に複数のボルトb1を介して着脱可能に結合される。この場合、上壁1tの下面には、ボルトb1を螺合させるナットn1が固定(例えば溶接)されている。
【0034】
投入管Tの一端に開口する投入口Toは、ホッパHの開放上面(即ち入口Hi)に対向して下向きに配置される。その下向き配置のために投入管Tの、分離室33を横切る中間部は、下側に滑らかに彎曲した円弧状に折り曲げ形成される。
【0035】
また投入管Tの他端部は、分離機本体31の一側壁31sを貫通して外方に延出し且つその一側壁31sに固定(例えば溶接、ねじ止め等)される。そして、その一側壁1sの外方に張出す投入管Tの開口端には、外部の粉粒体貯留部Cより粉粒体を投入管Tに吸引導入可能な導入管Iの下流端が、従来周知のジョイントJ6を介して着脱可能に接続、連通される。
【0036】
導入管Iの上流端は、これを粉粒体貯留部Cの粉粒体群に近接、対向させることで粉粒体を吸込み可能な吸込口として機能する。また導入管Iには、吸込み作業を無理なく行い得るように適度な可撓性が付与されることが望ましい。
【0037】
また前記した排気口Doは、分離機本体31において、投入口Toから投入された粉粒体の排気口Doへの吸引・混入を抑制し得るよう投入口Toから上方に十分離れた位置に配置される。その排気口Doは、例えば分離機本体31の他側壁31s′に固定されてその内外を貫通する排気筒34により形成される。この排気筒34の外端部には、可撓性を有した排気チューブ35の上流端が従来周知のジョイントJ7を介して接続、連通される。そして、排気チューブ35の下流側に連なる集塵機Sが、ハウジング1周辺の設置面(例えば地面等)に設置、固定される。
【0038】
集塵機Sは、排気チューブ35の下流端に従来周知のジョイントJ8を介して着脱可能に接続、連通される吸込口36iを有して分離室33内のエアを吸引可能な吸引ブロワ36と、この吸引ブロワ36の吐出口36oに従来周知のジョイントJ9を介して着脱可能に接続、連通される袋状の集塵フィルタ37とを備える。そして、吸引ブロワ36が分離室33より吸引したエアは、集塵フィルタ37で濾過・清浄化された上で大気に排出される。尚、使用に伴い集塵フィルタ37内に集められた粉塵等は、随時の清掃作業で除かれる。
【0039】
而して、吸引ブロワ36を含む集塵機Sと、排気チューブ35とは互いに協働して前記吸引排気装置ADを構成する。この場合、吸引排気装置ADは、後述するように吸引ブロワ36で分離室33内のエアを吸引することで、エア搬送装置Aから離れた粉粒体貯留部Cの粉粒体を導入管Iを経て投入管Tに吸引して投入口ToよりホッパHに投入可能とするためのものである。この吸引排気装置ADの機能用途を踏まえ、吸引ブロワ36は、粉粒体貯留部Cから導入管Iを経て投入管Tに粉粒体を吸引し得るに足る十分大きい容量(換言すれば吸引力)のブロワが使用される。
【0040】
尚、吸引ブロワ36の吸込口36iを排気筒34に直接(即ち排気チューブ35を介さずに)接続することで、排気筒34に集塵機Sを直結するようにしてもよい。
【0041】
次に前記実施形態の作用について説明する。
【0042】
エア搬送装置Aは、これに吸引投入装置KTを取付けて使用する場合(図1図3を参照)と、吸引投入装置KTを取り外して使用する場合(図7図8を参照)の2通りの使用態様を有する。
【0043】
そこで先ず、前者の場合の使用態様について図1図3を参照して説明する。この場合は、エア搬送装置Aの使用に際して、ハウジング1内の前記制御装置の操作部を操作して搬送用ブロワ3、ロータリバルブR及び集塵機Sをそれぞれ起動させる。
【0044】
特に集塵機S(具体的には吸引ブロワ36)の起動によれば、分離機本体31内の分離室33(延いては投入管T及び導入管I)内のエアが排気筒34及び排気チューブ35を経て吸引ブロワ36により吸引される。従って、導入管Iの外端開口を粉粒体貯留部Cの粉粒体群に近づけることで、吸引粉粒体貯留部Cの粉粒体を導入管Iを経て投入管Tに吸引できるため、その吸引された粉粒体が投入管Tの投入口ToよりホッパHに連続的に投入される。
【0045】
そして、ホッパH内に投入、収容された粉粒体は、ロータリバルブRにより混相器Mの入口Miまで強制排出され、混相器本体21内を流下する。
【0046】
一方、搬送用ブロワ3の起動に伴い、同ブロワ3から噴出するエアがエア導入管23を通して混相器Mの円管部22の一端に勢いよく流入し、このエアは、円管部22内を通過して出口管4に向かう。
【0047】
従って、ロータリバルブRから混相器本体21内に排出された粉粒体は、円管部22内で搬送用ブロワ3からのエアと合流して出口管4内に向かって流れ、このとき粉粒体がエアで助勢されて出口管4や接続管5,5′の内部をスムーズに流動するため、粉粒体供給先Zまでスムーズに供給される。
【0048】
次に、エア搬送装置Aより吸引投入装置KTを取り外した状態での使用態様を図7図8を参照して説明する。
【0049】
この場合は、吸引投入装置KTの分離機本体31をエア搬送装置Aのハウジング1より取外し、これにより、ホッパHの入口Hiが図7で明らかなように、開放状態となる。この状態より、図8に例示したように、粉粒体を収容した袋B(例えばフレキシブルコンテナバッグ等)下部の排出筒部Baを、上方よりホッパH内に差し入れる。その袋Bは、例えば運搬車両等でエア搬送装置Aの近くまで輸送し、支持手段CL(例えばクレーン等の吊り上げ装置)で吊り上げて、ホッパHの真上に移動させる。次いで、それまで閉じ紐等の閉塞具(図示せず)で縛って閉じていた排出筒部Baを開くと、袋B内の粉粒体を自重でホッパH内に落下投入することができる。
【0050】
それと並行して、エア搬送装置Aの搬送用ブロワ3やロータリバルブRを作動させておけば、ホッパH内に投入された粉粒体が、エア搬送装置Aによって前述と同様のエア助勢作用で出口管4及び接続管5,5′を経て粉粒体供給先Zまでスムーズに流動、供給される。
【0051】
以上説明した実施形態において、エア搬送装置Aに付設される吸引投入装置KTは、分離室33を内部に有してホッパHの上端部に着脱可能に結合される分離機本体31と、分離室33に開口し且つホッパH内に粉粒体を投入可能な投入口Toを一端に有して分離機本体31に設けられる投入管Tと、投入口Toから投入された粉粒体の排気口Doへの吸引を抑制可能として分離室33に開口する排気口Doを有して分離機本体31に設けられる排気管Dと、排気管Dを通して分離室33内のエアを吸引して外部に排出可能な吸引排気装置ADとを備え、投入管Tの他端には、外部の粉粒体貯留部Cより粉粒体を投入管Tに吸引導入可能な導入管Iが接続される。
【0052】
これにより、分離機本体31を図1図3に例示したようハウジング1の上壁1t(従ってホッパHの上端部)に結合した状態では、吸引排気装置AD(吸気ブロワ36)が分離機本体31内の分離室33のエアを排気管Dから吸引して外部に排出することで、粉粒体貯留部Cの粉粒体を導入管Iを通して投入管T側に強制流動させるエア流が発生する。そして、このエア流によって、粉粒体貯留部Cの粉粒体を導入管I及び投入管Tを経て分離室33に吸引できるから、その吸引した粉粒体を投入管Tの投入口ToよりホッパH内に強制的に投入可能となる。
【0053】
このとき、排気管Dの排気口Doは、投入口ToからホッパH側へ投入された粉粒体の排気口Doへの吸引を抑制可能な、投入口Toから離れた位置に配置されていて、その粉粒体の排気管D側への吸引が抑制される。そのため、投入口Toから分離室33に入った粉粒体及びエアのうち、殆どエアのみを吸引排気装置ADで外部に吸引排出できるから、ホッパH内に粉粒体を効率よく投入可能となる。
【0054】
一方、図7図8に例示したように、分離機本体31をハウジング1の上壁1t(従ってホッパHの上端部)より取外してホッパHの上面を開放した状態では、フレキシブルコンテナバッグ等の袋Bを吊るしてホッパHの直上に配置することで、そこからホッパH内に粉粒体を直接、落下投入することができる。
【0055】
このように分離機本体31をハウジング1(従ってホッパH)の上端部に取付けるか取外すかに応じて、ホッパH内への粉粒体の異なる2つの投入形態を容易に選択可能となるため、使い勝手が頗る良好となる。
【0056】
また実施形態の分離機本体31は、中空の直方体状に形成され、投入口Toは、ホッパHの開放上面に対向して下向きに配置され、また排気管Dの排気口Doは、投入口Toより上方に間隔をおいて配置される。これにより、分離機本体31が単純構造のボックス状に形成されても、排気口Doを下向きの投入口Toに対し単に上方に離して配置するだけの簡単な構造で、投入口Toから分離室33に一緒に入った粉粒体及びエアを効率よく分離することができる。
【0057】
また実施形態では、導入管Iを通して外部の粉粒体貯留部Cより投入管T側に粉粒体を流動させるエア流を発生可能なエア流発生装置として、特に排気管Dを通して分離室33内のエアを吸引して外部に排出可能な吸引ブロワ36を主要部とするエア吸引排気装置ADが用いられる。これにより、上記エア流を発生させるブロワ(即ち吸引ブロワ36)は、排気管D側に配置できて、導入管I側には配備不要であるため、導入管Iの配管構成を頗る単純化できて、導入管Iを用いた粉粒体の吸引作業性が高められる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はその実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施形態を実施可能である。
【0059】
例えば、前記実施形態では、エア搬送装置Aが地面又は固定物(例えば建物等)の所定位置に固定的に設置される定置式のエア搬送装置Aであるものを例示したが、本発明のエア搬送装置は、定置式に限定されず、移動体(例えば車両)上に設置されて移動体と共に移動可能なものであってもよい。
【0060】
また前記実施形態では、吸引投入装置KTの吸引対象となる粉粒体が収容された粉粒体貯留部Cとしてコンテナを例示したが、粉粒体貯留部Cは、実施形態に限定されない。例えば、コンテナ以外の粉粒体貯留容器や、フレキシブルコンテナバッグ等の袋が粉粒体貯留部であってもよく、或いは、地面等に山積みされた粉粒体貯留場所が粉粒体貯留部であってもよい。
【0061】
また前記実施形態では、エア搬送装置Aから出口管4や接続管5を経て搬出される粉粒体搬送先Zとしてサイロ、貯留槽等の粉粒体収容設備を例示したが、粉粒体収容設備は、少なくとも粉粒体を一時的に収容して外部に取出し可能な設備であればよく、実施形態に限定されない。またこのような粉粒体収容設備を用いずに地面に野積み状態で粉粒体を仮置きしてもよく、この場合は、当該地面が粉粒体搬送先Zとなる。
【0062】
また前記実施形態では、ハウジング1の上壁1t(従ってホッパHの上端部)に着脱可能な分離機本体31として直方体状の中空ボックス体で構成したものを例示したが、本発明の分離機本体は、その内部で少なくとも粉粒体とエアとを分離してホッパHの開放上面に投入可能な構造であればよく、例えば従来周知のサイクロン式分離機のように円筒状の分離機本体を有した分離機構造であってもよい。
【0063】
また前記実施形態では、分離機本体31内に仕切り板やフィルタが設けられない例を示したが、本発明では、投入口Toから投入される粉粒体とエアとを分離し易くするために、分離機本体31内に、投入口Toと排気口Do間のエア流通は許容する仕切り板やフィルタを配設してもよい。
【0064】
また前記実施形態では、投入管Tの投入口Toを分離室33内に開口させて、その投入口Toより分離室33を経てホッパH内に粉粒体が投入されるものを示したが、本発明では、投入管Tの、投入口Toが開口した内端を実施形態の構造より下方に延ばして、投入口ToをホッパH内に直接開口させることで、投入口ToからホッパH内に粉粒体を投入してもよい。
【0065】
また前記実施形態では、ホッパHの上端部が固定される、エア搬送装置Aのハウジング1(具体的には上壁1t)に分離機本体31を着脱可能に結合して、そのハウジング1を介して分離機本体31をホッパHの上端部に結合したものを示したが、本発明では、分離機本体31をホッパHの上端部に着脱可能に直接、結合してもよい。
【0066】
また前記実施形態では、導入管Iを通して外部の粉粒体貯留部Cより投入管T側に粉粒体を流動させるエア流を発生可能な「エア流発生装置」として、排気管Dを通して分離室33内のエアを吸引して外部に排出可能な吸引ブロワ36を主要部とする吸引排気装置ADを例示したが、本発明のエア流発生装置は、実施形態のように排気管D側に配設しないで、導入管I側に配設してもよい。この場合、図示はしないが、例えば、導入管Iの途中に、導入管I内に投入管T側に向かうエア流を発生させるブロワを直列に介設し、このブロワ内に、粉粒体貯留部Cからの粉粒体及びエアを一緒に流動させるようにしてもよい。或いはまた、導入管Iの途中に、粉粒体貯留部Cから投入管T側に向かうエア流を導入管I内に発生させるブロワと、そのブロワの吸引力を利用して粉粒体貯留部Cから導入管I内に吸引した粉粒体及びエアを分離し且つ粉粒体を投入管T側に誘導するサイクロン式分離機とを互いに並列に介設してもよい。
【0067】
また特にエア流発生装置のブロワを上記の如く導入管Iに介設する場合には、前記実施形態のように排気管Dに吸引ブロワ36を設ける必要はなくなるが、排気管Dから外気に排気されるエア中に混じる粉塵や少量の粉粒体が周囲に飛散しないよう、前記実施形態と同様の集塵フィルタ37を排気管Dの大気開放口に接続しておくことが望ましい。
【符号の説明】
【0068】
A・・・・・・粉粒体用エア搬送装置
AD・・・・・エア流発生装置としての吸引排気装置
C・・・・・・外部の粉粒体貯留部としてのコンテナ
D・・・・・・排気管
Do・・・・・排気口
H・・・・・・ホッパ
I・・・・・・導入管
M・・・・・・混相器
R・・・・・・ロータリバルブ
T・・・・・・投入管
To・・・・・投入口
Z・・・・・・粉粒体搬送先
3・・・・・・ブロワとしての搬送用ブロワ
4・・・・・・出口管
31・・・・・分離機本体
33・・・・・分離室
36・・・・・吸引ブロワ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8