(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082092
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】缶部材ユニット及び缶部材ユニットのスライダー
(51)【国際特許分類】
A44C 3/00 20060101AFI20240612BHJP
A44C 27/00 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
A44C3/00
A44C27/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195809
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古閑 雄二
(72)【発明者】
【氏名】竹内 健二
(72)【発明者】
【氏名】辻下 洋二
【テーマコード(参考)】
3B114
【Fターム(参考)】
3B114AA01
3B114AA11
3B114AA12
3B114BB05
3B114BB08
3B114JB01
(57)【要約】
【課題】缶部材に対して留め具の動きを低減することができる缶部材ユニットを提供する。
【解決手段】缶部材ユニット15は、装着面12cを有する缶部材12と、前記装着面12cに対して間隔を空けて配置された針13a、及び、前記針13aの先端を係止する係止部13bを有する留め具13と、前記針13aと前記装着面12cとの間に脱着可能に嵌められる嵌入部14bを有し且つ前記留め具13の動きを規制する規制部材14と、を備えている。
【選択図】
図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着面を有する缶部材と、
針、及び、前記針の先端を係止する係止部を有する留め具と、
前記針と前記装着面との間に脱着可能に嵌められる嵌入部を有し且つ前記留め具の動きを規制する規制部材と、を備えている、
缶部材ユニット。
【請求項2】
前記嵌入部は、前記針に対向する部分に前記針が嵌まる窪みを有している、
請求項1に記載の缶部材ユニット。
【請求項3】
前記窪みは、前記針が延びる延伸方向に間隔を空けて複数設けられている、
請求項2に記載の缶部材ユニット。
【請求項4】
前記窪みは、第1斜面と、前記第1斜面と鋭角をなす第2斜面と、から成る、
請求項2に記載の缶部材ユニット。
【請求項5】
前記規制部材は、
前記針が延びる延伸方向に対して交差する交差方向における第1端に設けられた回動支持部と、
前記交差方向における第2端に設けられた把持部と、を有し、
前記嵌入部が前記窪みで前記針に当接すると共に前記回動支持部が前記装着面に当接した状態で、前記把持部が前記装着面に近い近接位置と前記近接位置よりも前記装着面から遠い離隔位置との間で移動する、
請求項2又は4に記載の缶部材ユニット。
【請求項6】
前記把持部が前記離隔位置にあるとき、前記把持部と、前記交差方向において前記回動支持部よりも前記把持部に近い前記缶部材の端とは、当接面に当接して前記缶部材を前記当接面に対して起立状態で支持する脚部を成す、
請求項5に記載の缶部材ユニット。
【請求項7】
前記規制部材は、前記装着面に対して間隔を空けて平行に設けられ且つ前記針が延びる延伸方向に対して交差する交差方向に延びる押さえ部を有している、
請求項1に記載の缶部材ユニット。
【請求項8】
前記規制部材は、前記針が延びる延伸方向に対して交差する交差方向において互いに所定長さだけ離れた第1部及び第2部を有し、
前記所定長さは、前記缶部材ユニットを缶製品作製装置に装填するための装填治具が有する支持部の幅以上である、
請求項1に記載の缶部材ユニット。
【請求項9】
前記規制部材は、前記装着面に沿った方向において互いに所定長さだけ離れて前記装着面に配置された第1部及び第2部と、前記装着面に沿った方向に交差する方向において前記装着面の中心から一方へ離れた位置に設けられた第3部と、を有し、
前記第3部は、前記缶部材ユニットを缶製品作製装置に装填するための装填治具が有する支持部が前記第1部及び前記第2部の間に挿入されるときの挿入路の延長線と交差する、
請求項1に記載の缶部材ユニット。
【請求項10】
前記缶部材における前記装着面に交差する厚み方向の寸法よりも、前記規制部材における前記厚み方向の寸法が大きい、
請求項1に記載の缶部材ユニット。
【請求項11】
前記装着面に交差する厚み方向において、前記規制部材の端は前記留め具の端よりも前記装着面から離れて位置しており、
前記規制部材は、缶製品作製装置のストッカーに複数の前記缶部材ユニットが積層して収容された場合に、隣接する2つの前記缶部材ユニットのうち一方の前記缶部材ユニットが有する前記留め具と他方の前記缶部材ユニットが有する前記缶部材との間に所定の空間を形成するスペーサを成す、
請求項1に記載の缶部材ユニット。
【請求項12】
前記規制部材は、缶製品作製装置のスライダー上を前記缶部材が移動する場合に、前記スライダーの溝の縁に沿って案内されるガイド部を有している、
請求項1に記載の缶部材ユニット。
【請求項13】
前記ガイド部は、前記針が延びる延伸方向に対して交差する交差方向において両端にそれぞれ設けられた第1ガイド部及び第2ガイド部を有し、
前記第1ガイド部が回動支持部として前記装着面に当接した状態で、前記第2ガイド部が把持部として前記装着面に近い近接位置と前記近接位置よりも前記装着面から遠い離隔位置との間で移動する、
請求項12に記載の缶部材ユニット。
【請求項14】
前記規制部材は、前記缶部材ユニットが缶製品作製装置の下型に収容された場合に、前記下型の凹部の縁に沿って案内されるガイド部を有している、
請求項1に記載の缶部材ユニット。
【請求項15】
請求項12又は13の前記缶部材ユニットが移動するための缶製品作製装置のスライダーであって、
前記溝が、前記缶部材ユニットを収容するストッカーから前記缶部材ユニットを支持する下型へ延びている、
缶部材ユニットのスライダー。
【請求項16】
前記縁は、前記溝の延伸方向に対して交差する方向において互いの間に前記溝を挟み且つ前記溝の幅が前記ストッカーから前記下型に向かって小さくなるように傾斜する第1傾斜縁及び第2傾斜縁を有している、
請求項15に記載の缶部材ユニットのスライダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶部材ユニット及び缶部材ユニットのスライダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の缶部材ユニットの缶部材として、例えば、下記特許文献1の缶製品の部材が知られている。この缶製品は、所定の画像を印刷したフィルムを表蓋に被覆させて、フィルムのうち表蓋からはみ出した部分を表蓋と裏蓋との間に挟んで作成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、裏蓋に安全ピンが取り付けられている場合、裏蓋に対して安全ピンが動くと、音が発生してしまう課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、缶部材に対して留め具の動きを低減することができる缶部材ユニット及び缶部材ユニットのスライダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る缶部材ユニットは、装着面を有する缶部材と、前記装着面に対して間隔を空けて配置された針、及び、前記針の先端を係止する係止部を有する留め具と、前記針と前記装着面との間に脱着可能に嵌められる嵌入部を有し且つ前記留め具の動きを規制する規制部材と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、缶部材に対して留め具の動きを低減することができる缶部材ユニット及び缶部材ユニットのスライダーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る缶製品作製装置を示す斜視図である。
【
図3】缶製品作製装置の制御系統の構成を示すブロック図である。
【
図7A】缶部材ユニットを装着面側から見た図である。
【
図7B】装着面に対して直交する缶部材ユニットの断面図である。
【
図8A】装着面とは反対側の面から裏部材を見た図である。
【
図8B】第2部が把持部として兼用される缶部材ユニットの斜視図である。
【
図9A】装着面に押さえ部が設けられた裏部材の斜視図である。
【
図9B】装着面に押さえ部が設けられた裏部材の斜視図である。
【
図10B】缶部材として裏部材が支持部の間隔に充填された装填治具の斜視図である。
【
図11A】支持部の前端が第3部の対向面に対向した装填治具の斜視図である。
【
図11B】支持部の前端が第3部の反対面に対向した装填治具の斜視図である。
【
図12A】装着面を下に向けた缶部材ユニットが支持部の間隔に充填された装填治具の斜視図である。
【
図12B】装着面を上に向けた缶部材ユニットが支持部の間隔に充填された装填治具の斜視図である。
【
図13】裏部材ストッカーの上方に配置されて且つ缶部材ユニットが支持部の間隔に充填された装填治具の斜視図である。
【
図14】缶部材ユニット及び缶部材ユニットを支持した支持部が裏部材ストッカー内に挿入された装填治具の斜視図である。
【
図15】支持部が裏部材ストッカー外に抜かれた装填治具の斜視図である。
【
図16】裏部材ストッカー及び裏部材スライダーの斜視図である。
【
図17】裏部材ストッカー及び裏部材スライダーを後方から見た図である。
【
図18】裏部材ストッカーの一部及び裏部材スライダーの斜視図である。
【
図19A】裏部材スライダーを下から見た図である。
【
図19B】裏部材スライダーを下から見た図である。
【
図20】裏部材ストッカー、裏部材スライダー及び第2下型を上から見た図である。
【
図21A】裏部材ストッカー、裏部材スライダー及び第2下型の断面図である。
【
図21B】裏部材ストッカー、裏部材スライダー及び第2下型の断面図である。
【
図22A】被印刷多媒体及び白色フィルムにより被覆される表部材が上型に保持され、缶部材ユニットが第2下型に支持されている図である。
【
図22B】表部材及び缶部材ユニットの裏部材により缶製品を作製した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<缶製品作製装置>
本発明の一実施形態に係る缶部材ユニット15(
図6A)を用いる缶製品作製装置100は、
図1及び
図5Bの例に示すように、白色フィルムF及び被印刷媒体Wが積層された表部材11と缶部材ユニット15の裏部材12との接続(かしめ)を行って缶製品10を作製する装置である。以下では、缶部材ユニット15の缶部材として裏部材12について説明するが、缶部材はこれに限定されず、例えば表部材11であってもよい。このような缶製品作製装置100は、印刷ユニット1、搬送ユニット2、型ユニット3、表部材供給ユニット4、裏部材供給ユニット5、押し付けユニット6、取り出しユニット7、回収ボックス8、缶製品収容器9及び制御装置110(
図3)を備える。
【0010】
図5A及び
図5Bの例に示すように、缶製品10は、例えば缶バッジであって、表部材11、裏部材12、白色フィルムF及び被印刷媒体Wにより作製される。表部材11及び裏部材12は例えば錫めっき鋼板等の磁性材料で形成される。表部材11は、上から見て円形状の表板部11a、及び、表板部11aの外周縁から下方に突出する円環状の表縁部11bを有している。裏部材12は、上から見て円形状の裏板部12a、及び、裏板部12aの外周縁から上方に突出する円環状の裏縁部12bを有している。なお、
図6Aの例では缶部材ユニット15は裏部材12に加えて、留め具13及び規制部材14を有しているが、
図5A及び
図5Bの例ではこのうち裏部材12のみを図示している。また、缶部材ユニット15の詳細については後述する。
【0011】
表部材11の表面上に白色フィルムFの被覆部分Fbが配置され、白色フィルムF上に被印刷媒体Wの被覆部分Wbが配置される。この被覆部分Wb、Fbのうち、表板部11aの表面からはみ出した部分は表板部11aの外周縁から下方に折り曲げられて表縁部11bの表面を覆い、さらに表縁部11bの表面からはみ出した部分は表縁部11bの下端から上方に折り曲げられて表縁部11bの裏面と裏部材12の裏縁部12bとの間に挟持される。そして、被覆部分Wb、Fbが、互いに対向する表縁部11bと裏縁部12bとの間に挟まれた状態で、表部材11及び裏部材12の少なくとも一方を変形させ(例えば、かしめ)、缶製品10が作製される。なお、缶製品10には白色フィルムFが用いられずに、被印刷媒体Wのみにより表部材11が被覆されてもよい。
【0012】
被印刷媒体Wは、
図4Aの例に示すように、矩形状の透明シートである。被印刷媒体Wは、搬送ユニット2により型ユニット3に向けて搬送されるときの第1搬送方向Dc1における下流端We1及び上流端We2を有する。被印刷媒体Wは、表部材11を被覆する被覆部分Wb、被覆部分Wbとは異なる残余部分Wa、被覆部分Wbと残余部分Waとを連結する連結部分Wc、及び、連結部分Wcから下流端We1に亘って直線状に延びる線状弱部Wdを含む。
図4A及び
図5Bの例に示すように、被覆部分Wbは、表部材11の表板部11aの表面を覆う第1表部分Wf1、表縁部11bの表面を覆う第2表部分Wf2、及び、表縁部11bの裏面と裏部材12の裏縁部12bとの間に挟持される被挟持部分Wgを有している。連結部分Wc及び線状弱部Wdは、ミシン目など、被覆部分Wb及び残余部分Waよりも強度が小さい弱部である。この連結部分Wc及び線状弱部Wdは、型ユニット3にて被覆部分Wbが押し付けユニット6により押し付けられた状態で残余部分Waを搬送ユニット2により、第1搬送方向Dc1とは反対向きの第2搬送方向Dc2に搬送することにより切断されて、被覆部分Wbと残余部分Waとは分離される。
【0013】
白色フィルムFの構成は被印刷媒体Wの構成と基本的に同じである。
図4Bの例に示すように、白色フィルムFは、被印刷媒体Wと同じ大きさであり、矩形状を成している。白色フィルムFは、第1搬送方向Dc1における下流端Fe1、上流端Fe2、被覆部分Fb、残余部分Fa、連結部分Fc及び線状弱部Fdを有している。この下流端Fe1は下流端We1に対応し、上流端Fe2は上流端We2に対応し、被覆部分Fbは被覆部分Wbに対応し、残余部分Faは残余部分Waに対応し、連結部分Fcは連結部分Wcに対応し、線状弱部Fdは線状弱部Wdに対応する。なお、白色フィルムFの色は白色に限定されない。
【0014】
図1~
図3の例に示すように、缶製品作製装置100の制御装置110は、外部装置114とデータを送受信するインターフェース111、データを処理するCPUなどの演算部112及びデータを記憶するメモリなどの記憶部113を備えている。制御装置110は駆動回路115~121を介して缶製品作製装置100の各部に接続されており、各部の動作を制御する。
【0015】
印刷ユニット1は、インクジェットプリンタ、レーザープリンタやサーマルプリンタ等のプリンタであって、被印刷媒体Wの被覆部分Wbに画像を印刷する。この画像は、被印刷媒体Wの面のうち画像が印刷された面とは反対側の面からユーザが画像を見たときに正像になるように、反転されている。このように、印刷ユニット1は、被印刷媒体Wに画像を印刷して搬送ユニット2に供給すると共に、白色フィルムFに画像を印刷せずに搬送ユニット2に供給する。
【0016】
表部材供給ユニット4は、表部材ストッカー40、表部材スライダー43、プッシャー45及びプッシャーモータ46を備える。表部材ストッカー40は、円筒状を有し、複数の表部材11を上下方向に積み上げられた状態で収容する。表部材スライダー43は、表部材ストッカー40の下方の位置から、型ユニット3にて第1型位置P1に配置された第1下型30へ延びている。プッシャー45はプッシャーモータ46により表部材スライダー43に沿って往復移動する。これにより、表部材11は、表部材ストッカー40から表部材スライダー43上に下降し、プッシャー45により第1下型30に向けて押されて、第1下型30に供給される。
【0017】
裏部材供給ユニット5は、裏部材ストッカー50、裏部材スライダー53、プッシャー55及びプッシャーモータ56を備える。裏部材ストッカー50は、円筒状の筒体51、筒体51の上端に設けられた開口である上開口51a、裏部材12が排出される排出口51b、上開口51aから筒体51の中心軸に沿って延びて筒体51に形成されたスリット51c、及び、スリット51cの両縁に設けられた一対のフランジ51dを有している。裏部材12は、上開口51aから筒体51内に装填され、排出口51bから排出される。裏部材スライダー53は、裏部材ストッカー50の下方の位置から、型ユニット3にて第1型位置P1に配置された第2下型31へ延びている。プッシャー55は、プッシャーモータ56により、裏部材スライダー53の上面上において裏部材スライダー53に沿って往復移動する。裏部材12は、裏部材ストッカー50から裏部材スライダー53上に下降し、プッシャー55により第2下型31に向けて押されて、第2下型31に供給される。なお、裏部材ストッカー50及び第2下型31の詳細は後述する。
【0018】
搬送ユニット2は、搬送モータ23、駆動ローラRk及び従動ローラRoを有している。駆動ローラRkは、従動ローラRoとの間に被印刷媒体W及び白色フィルムFを挟んで、搬送モータ23により正転することにより、被印刷媒体W及び白色フィルムFを第1搬送方向Dc1に沿って第1下型30に支持された表部材11の上方に搬送する。一方、駆動ローラRkは、搬送モータ23により逆転することにより、被印刷媒体Wの残余部分Wa及び白色フィルムFの残余部分Faを第2搬送方向Dc2に沿って回収ボックス8まで搬送する。そして、残余部分Wa、Faは廃棄部分として回収ボックス8に回収される。
【0019】
押し付けユニット6は、押し付けモータ60、残余部分押下ヘッド65及び押し付けヘッド66を有する。残余部分押下ヘッド65及び押し付けヘッド66は、押し付けモータ60により被印刷媒体Wを表部材11に押圧する。この状態で、被印刷媒体Wの残余部分Waを搬送ユニット2により第2搬送方向Dc2を搬送すると、被印刷媒体Wの連結部分Wc及び線状弱部Wdが切断され、被覆部分Wbと残余部分Waとが分離される。この被覆部分Wbが表部材11の上方に残り、残余部分Waが回収ボックス8に搬送されて回収される。また、白色フィルムFについても被印刷媒体Wと同様に、被覆部分Fbと残余部分Faとが分離されて、被覆部分Fbが表部材11の上方に残り、残余部分Faが回収ボックス8に搬送されて回収される。
【0020】
型ユニット3は、表部材11を支持する第1下型30、裏部材12を支持する第2下型31、回転支持テーブル32、上型昇降モータ34、下型移動モータ35及び上型33を有する。回転支持テーブル32は、第1下型30及び第2下型31を下型移動モータ35により回動させて、上型33に対向する第2型位置P2、又は、第2型位置P2以外の第1型位置P1に移動させる。上型33が上型昇降モータ34により上昇及び下降する。
【0021】
第1下型30は、第1型位置P1にて表部材11が表部材供給ユニット4により供給され、表部材11の上方に被覆部分Wb、Fbが搬送ユニット2により搬送される。それから、第1下型30が上型33の下方の第2型位置P2に移動し、上型33が第1下型30へ下降して被覆部分Wb、Fbを表部材11に押し付けてから、
図22Aの例のように上型33が上昇して被覆部分Wb、Fbにより被覆された表部材11を第1下型30から離間させる。また、第2下型31が第1型位置P1にて裏部材12が裏部材供給ユニット5により供給されてから、上型33の下方の第2型位置P2に移動する。
図22Bの例に示すように上型33が第2下型31へ下降し、被挟持部分Wg、Fgを間に挟むように表部材11と裏部材12とをかしめて、缶製品10を作製させる。
【0022】
図1~
図3の例に示すように、取り出しユニット7は、取り出しモータ70、スイングアーム71、磁石部材72及び座部73を有する。スイングアーム71は、その先端に磁石部材72が装着されており、磁石部材72が第2下型31と座部73との間を移動するように取り出しモータ70により回動する。このスイングアーム71の回動により、磁石部材72が、第2下型31に支持された缶製品10に付着してから、缶製品10を座部73に移動させる。この缶製品10は、下り勾配の座部73を缶製品収容器9へ滑り降り、缶製品収容器9内に収納される。
【0023】
<缶部材ユニット>
図6A~
図7Bの例に示すように、缶部材ユニット15は、裏部材12、留め具13及び規制部材14を有している。留め具13は、缶製品10を衣服及び鞄などの被留め部に留めるための針13aを有している。以下では、留め具13として安全ピンについて説明するが、留め具13はこれに限定されない。また、針13aが延びる延伸方向を横方向と称し、延伸方向に対して交差(例えば、直交)する交差方向を縦方向と称し、装着面12cに対して交差(例えば、直交)する方向を厚み方向と称している。但し、缶部材ユニット15の配置はこれに限定されない。
【0024】
裏部材12は、厚み方向に沿って見て円形状の裏板部12a、及び、裏板部12aの縁から突出する円環状の裏縁部12bを有している。例えば、裏縁部12bは、裏板部12aの縁に接続された基端、及び、基端の直径よりも直径が大きい先端を有している。裏板部12aは、その中央において円形状の平坦な平坦領域12a1、及び、平坦領域12a1の縁及び裏縁部12bの基端に接続された円環状の傾斜領域12a2を有している。平坦領域12a1に装着面12cが設けられている。装着面12cは裏部材12と同心に配置されている。傾斜領域12a2は、厚み方向において平坦領域12a1の延長面上に裏縁部12bの先端が位置するように傾斜している。この傾斜領域12a2により、裏部材12は、裏縁部12bの基端から平坦領域12a1の装着面12cに向かって窪んでいる。また、裏部材12の厚みは、厚み方向において、平坦領域12a1及び裏縁部12bの先端である上端と、裏縁部12bの基端である下端との間の寸法である。さらに、裏板部12aには、留め具13を装着面12cに装着するための2つの貫通孔12a3が開口している。2つの貫通孔12a3は、横方向において間隔を空けて配置され、貫通孔12a3は裏板部12aを貫通している。
【0025】
留め具13は、針13a、係止部13b、弾性部13c及び基部13dを有している。例えば、1本のワイヤは、その一端が係止部13bに接続され、その一端から横方向に延びて基部13dを成し、基部13dかららせん状に巻かれたコイルが弾性部13cを成し、弾性部13cから係止部13bへ向かって横方向に延びて針13aを成す。
図8Aの例に示すように、留め具13の一部、例えば、係止部13b及び弾性部13cが貫通孔12a3を通り、留め具13が装着面12cに装着される。基部13dは、裏部材12の装着面12cとは反対の面上において、この面に沿って縦方向に蛇行しながら横方向に延びている。これにより、基部13dを中心に回転する留め具13の動きを低減することができる。
【0026】
図6A~
図7Bの例に示すように、針13aは、厚み方向において装着面12cと間隔を空けて設けられ、その基端が接続された弾性部13cから横方向に延び、その先端が尖っている。弾性部13cは、厚み方向において装着面12cから離れる方向へ針13aを付勢する。係止部13bは、横方向に対して直交する断面がU字形状であって、装着面12cに向かって開口している。針13aの先端はこの係止部13bの開口から挿入されて、係止部13bに係止される。
【0027】
規制部材14は、裏部材12の装着面12cに装着されており、厚み方向において規制部材14の寸法が裏部材12の寸法よりも大きい。規制部材14は、基板14aを有している。基板14aは、装着面12cと同じ又はほぼ同じ大きさの円を、横方向に延びる直線により切断された形状を有している。基板14aは、平板状であって、その一方面が装着面12cに対向している。
【0028】
規制部材14は、針13aと装着面12cとの間に脱着可能に嵌められる1つ又は複数(この実施の形態では2つ)の嵌入部14bを有し且つ留め具13の動きを規制する。嵌入部14bは、横方向に直交する平板状であって、厚み方向におけるその基端が基板14aに接続されており、その先端上に留め具13の針13aが配置されている。基板14a及び嵌入部14bが、裏部材12の装着面12cと裏部材12に装着された留め具13の針13aとの間に挟持されることにより、規制部材14が裏部材12に取り付けられる。この状態で、嵌入部14bは、厚み方向において針13aを支持するため、厚み方向における針13aの動きを低減することができる。
【0029】
また、嵌入部14bは、厚み方向におけるその先端において針13aが対向する部分にV字状の窪み14b0が設けられている。この窪み14b0は、嵌入部14bの第1斜面14b1及び第2斜面14b2により形成される。第1斜面14b1は、縦方向において第2斜面14b2に近いほど厚み方向における嵌入部14bの寸法が小さく近くなるように一定の角度で直線状に傾斜する。第2斜面14b2は、縦方向において第1斜面14b1に近いほど厚み方向における嵌入部14bの寸法が小さくなるように一定の角度で直線状に傾斜する。このため、第1斜面14b1と第2斜面14b2とが接続された位置が、厚み方向における嵌入部14bの寸法が最も小さく、窪み14b0の底を成す。
【0030】
この窪み14b0の底上に留め具13の針13aが配置される。これにより、針13aは、縦方向において第1斜面14b1と第2斜面14b2との間に挟まれる。この第1斜面14b1と第2斜面14b2との成す角は鋭角であるため、縦方向における第1斜面14b1と第2斜面14b2との間隔が小さい。よって、仮に針13aが縦方向に動いても第1斜面14b1又は第2斜面14b2に支持されることにより、縦方向における針13aの動きを低減することができる。さらに、複数の嵌入部14bが横方向において針13aの中央を互いの間に挟んで間隔を空けて配置されることにより、針13aが複数の窪み14b0に嵌まって、複数個所で嵌入部14bにより安定的に支持されるため、針13aの動きを低減することができる。
【0031】
規制部材14は、回動支持部14c及び把持部14dを有している。回動支持部14c及び把持部14dは、横方向において基板14aの中央に配置されている。縦方向における基板14aの一端である第1端に回動支持部14cが接続され、基板14aの他端である第2端に把持部14dが接続されている。回動支持部14cは、横方向に沿って見たときに、縦方向において把持部14dから離れる方向に突出する屈曲面を有している。例えば、回動支持部14cは、傾斜部14c1及び端部14c2を有している。傾斜部14c1の基端が基板14aに接続され、傾斜部14c1の先端が端部14c2の基端に接続されている。傾斜部14c1及び端部14c2は、横方向に延びた平板状である。横方向に沿って見たときに、端部14c2は基板14aに対して垂直に設けられ、傾斜部14c1は基板14aとの成す角のうち小さい方の角及び端部14c2との成す角のうち小さい方の角が鈍角になるように設けられている。嵌入部14bは、回動支持部14c、基板14a及び後述の第1部14fに囲まれた空間に配置され、これらに接続されている。これにより、回動支持部14c、第1部14f及び嵌入部14bの強度が高められる。
【0032】
把持部14dは、横方向に直線状に延びている。把持部14dは、縦方向において回動支持部14cから離れるほど、厚み方向において基板14aから離れる方向に傾斜している。把持部14dはユーザにより把持されて、規制部材14が装着面12cに対して回動可能である。この規制部材14の回動において、嵌入部14bが窪み14b0で針13aに当接すると共に回動支持部14cが装着面12cに当接した状態で、把持部14dが装着面12cに近い近接位置と近接位置よりも装着面12cから遠い離隔位置との間で移動する。近接位置は、基板14aが装着面12cに対して平行で且つ装着面12cに当接した状態における把持部14dの位置である。離隔位置は、基板14aが装着面12cに対して傾斜し装着面12cから離れた状態における把持部14dの位置であって、厚み方向において近接位置よりも装着面12cから離れている。
【0033】
この規制部材14の回動時には嵌入部14bが窪み14b0で針13aに当接している。窪み14b0において第1斜面14b1と第2斜面14b2との成す角が鋭角である。これにより、針13aが第1斜面14b1と第2斜面14b2と間で移動し難いため、嵌入部14bが針13aに当接する状態が維持された状態で、規制部材14が裏部材12から外れずに回動することができる。
【0034】
また、把持部14dが近接位置に位置するときには、回動支持部14cの傾斜部14c1の基端が装着面12cに当接した状態で、傾斜部14c1が装着面12cに対して傾斜する。また、端部14c2が装着面12cから離れた状態で装着面12cに対して垂直に設けられる。そして、把持部14dが近接位置から離隔位置に移動するに伴い、傾斜部14c1の基端が装着面12cに当接したまま装着面12cに対した傾く傾斜部14c1の角度が小さくなり、端部14c2が装着面12cに近づく。そして、把持部14dが離隔位置に位置すると、傾斜部14c1が装着面12cに平行になって装着面12cに当接し、端部14c2の基端が装着面12cに当接する。これにより、縦方向において把持部14dに近い裏部材12の端、及び、把持部14dは、床などの当接面Aに当接して、裏部材12を起立状態で当接面Aに対して支持する脚部を成す。このため、規制部材14は、裏部材12を用いた缶製品10のスタンドとして機能する。
【0035】
さらに、厚み方向においては把持部14dが離隔位置よりも装着面12cから離れるように、規制部材14が回動すると、回動支持部14cの端部14c2が装着面12cに対して平行になり装着面12cに当接する。これにより、嵌入部14bが装着面12cと針13aとの間から抜け、規制部材14が裏部材12から取り外される。反対に、規制部材14を回動しながら、嵌入部14bが装着面12cと針13aとの間に嵌めると、規制部材14が裏部材12から取りつけられる。このように、規制部材14は裏部材12に対して脱着可能である。
【0036】
また、把持部14dの両端は、一対の連結部14eに接続されている。連結部14eは、基板14aから厚み方向に突出し、横方向における把持部14dの端と後述の第2部14gとの間に延びている。この連結部14eにより把持部14dが基板14a及び第2部14gに連結されているため、把持部14dの強度が高められる。なお、厚み方向において連結部14e及び把持部14dの寸法は回動支持部14cの寸法よりも小さく、把持部14dが近接位置に位置するとき、傾斜領域12a2による裏部材12の窪みに連結部14e、把持部14d及び基板14aが収まる。この際、把持部14dは裏部材12の傾斜領域12a2に対向する。
【0037】
規制部材14は、第1部14f及び第2部14gを有している。第1部14f及び第2部14gは、横方向に延びる平板状であって、基板14aから厚み方向に突出している。縦方向において、回動支持部14c、第1部14f及び第2部14gは、互いに間隔を空けながら、この順で並んでいる。第1部14f及び第2部14gは、縦方向において所定長さだけ離れて配置され、互いに平行に配置されている。第1部14f及び第2部14gは、縦方向において装着面12cの中心12dを互いの間に挟み、第1部14fは第2部14gよりも中心12dに近い。このため、第1部14fと中心12dとの第1間隔L1は、第2部14gと中心12dとの第2間隔L2も小さい。これにより、縦方向における幅が所定長さ以下の支持部81が第1部14fと第2部14gとの間に挿入されるときに、裏部材12は縦方向において支持部81に対して偏って配置される。
【0038】
規制部材14は、第3部14hを有している。第3部14hは、縦方向に延びる平板状であって、基板14aから厚み方向に突出している。第1部14f及び第2部14gは、横方向において装着面12cの中央に配置されているのに対し、第3部14hは装着面12cの中心12dよりも横方向の一方に配置されている。
【0039】
第3部14hにおける縦方向の一端は第1部14fにおける横方向の一端に接続され、第3部14hの他端は第2部14gにおける横方向の一端に接続されている。このため、第1部14f、第2部14g及び第3部14hは、コの字状(Uの字状)に配置されている。この第1部14f、第2部14g及び第3部14hにより囲まれた空間は、装填治具80の支持部81が横方向に挿入される挿入空間として用いられる。挿入空間は、横方向における一方が第3部14hにより閉じられており、横方向における他方が開放されている。この開放された部分から第1部14f及び第2部14gの間に支持部81が挿入されるとき、この挿入路の延長線と第3部14hは交差する。
【0040】
なお、規制部材14は、
図9A及び
図9Bの例に示すように、押さえ部14iを有していてもよい。この場合、第1部14fは、L字形状である。第1部14fは、2つの嵌入部14bのうちの一方の嵌入部14bに接続され、嵌入部14bから縦方向に延び、さらに曲がって横方向において第3部14hから離れる方向へ延びる。この横方向に延びる部分は、縦方向において第2部14gから所定長さだけ離れて、第2部14gに対して平行に配置されている。また、第3部14hは、2つの嵌入部14bのうちの他方の嵌入部14bに接続され、その嵌入部14bから縦方向に延びて、第2部14gに接続される。裏部材12を装填治具80の支持部81により支持する際、互いに平行な第1部14fと第2部14gとの間に支持部81が挿入され、この挿入路の延長線と第3部14hは交差する。
【0041】
押さえ部14iは、固定部14jにより回動支持部14cに接続されている。固定部14jは、その一端が回動支持部14cに接続され、回動支持部14cから縦方向に延びて、留め具13の針13aと装着面12cとの間を通過する。それから、固定部14jは、厚み方向において装着面12cから離れる方向へ突出してから、その他端が押さえ部14iに接続されている。押さえ部14iは、平板状であって、装着面12cに対して平行な状態で第2部14gに向かって縦方向に延びている。押さえ部14iの端は、第2部14gに至らず、縦方向において第2部14gとの間に間隔を空けられている。押さえ部14iは、横方向において第1部14fと第3部14hとの間に配置されている。厚み方向において、押さえ部14iは、第1部14f及び第3部14hよりも装着面12cから離れて配置されているため、押さえ部14iと第1部14f及び第3部14hとの間に間隔が設けられる。この間隔に被留め部が挿入されると、被留め部は押さえ部14iと第1部14f及び第3部14hとの間に挟まれて、裏部材12を含む缶製品10が被留め部に装着される。また、裏部材12を装填治具80の支持部81により支持する際、第1部14f、第2部14g、第3部14h、押さえ部14i及び装着面12cにより取り囲まれる挿入空間に支持部81が挿入される。
【0042】
また、上記の規制部材14では第2部14gとは別に把持部14dが設けられていたが、
図8Bの例に示すように、第2部14gが把持部として用いられてもよい。この場合、基板14aは略矩形状であって、縦方向における基板14aの一端である第1端に回動支持部14cが接続され、基板14aの他端である第2端に把持部14dが接続されている。第2部14gは、縦方向において回動支持部14cから離れる方向に突出するように湾曲していてもよい。そして、嵌入部14bが窪み14b0で針13aに当接すると共に回動支持部14cが装着面12cに当接した状態で、第2部14gが近接位置と離隔位置との間で移動する。ユーザにより第2部14gが把持されて、第2部14gを遠隔位置よりもさらに装着面12cから離すように規制部材14を回動することにより、嵌入部14bが装着面12cと針13aとの間から抜かれて、規制部材14が裏部材12に取り外される。一方、嵌入部14bを装着面12cと針13aとの間に嵌めて、ユーザにより第2部14gが把持されて、第2部14gを装着面12cに近づけるように規制部材14を回動することにより、規制部材14が裏部材12に取り付けられる。
【0043】
また、上記の規制部材14では縦方向における第3部14hの寸法が第1部14fと第2部14gとの間隔と等しく、第3部14hが第1部14f及び第2部14gに接続されていた。ただし、
図8Bの例に示すように、縦方向における第3部14hの寸法が第1部14fと第2部14gとの間隔よりも小さく、第3部14hが第1部14f及び第2部14gに接続されていなくてもよい。
【0044】
<缶部材の装填治具>
缶部材の装填治具80は、
図10A~
図15の例に示すように、第1方向に沿って延びる延伸部84と、第1方向に対して交差する第2方向へ延伸部84から突出し、第1方向に沿って間隔を空けながら並び、間隔における缶部材ユニット15を支持するための複数の支持部81と、を備えている。また、缶部材の装填治具80は、延伸部84から第2方向へ突出するハンドル86を備えており、延伸部84は、支持部81とハンドル86との間にある。以下では、缶部材の装填治具80を、缶部材ユニット15の裏部材12を用いて缶製品10を作製する缶製品作製装置100における筒状の裏部材ストッカー50に複数の裏部材12を装填するための治具として説明する。ただし、装填治具80は、これに限定されず、裏部材ストッカー50以外の部材に缶部材ユニット15を装填してもよい。
【0045】
なお、延伸部84が延びる第1方向を上下方向と称する。第1方向に対して交差(例えば、直交)する第2方向を前後方向と称する。ここで延伸部84から支持部81が突出する方向を前と称し、第2方向において前と反対の方向を後と称する。第1方向及び第2方向に対して交差(例えば、直交)する第3方向を左右方向と称する。但し、缶部材の装填治具80の配置はこれに限定されない。また、この装填治具80の配置に合わせて、裏部材ストッカー50のスリット51c及び排出口51bが筒体51の後端に位置するように、以下では説明するが、裏部材ストッカー50の配置はこれに限定されない。さらに、裏部材ストッカー50の配置に合わせて、裏部材スライダー53は裏部材ストッカー50の下方の位置から後方に延びているように、以下では説明するが、裏部材スライダー53の配置はこれに限定されない。
【0046】
具体的には、装填治具80は、延伸部84及び、延伸部84から前方に突出する複数の支持部81を備えている。装填治具80は、支持部81により缶部材ユニット15を支持し、延伸部84を一対のフランジ51dの間に挟んだ状態で上開口51aから筒体51内に缶部材ユニット15を挿入してから、支持部81をスリット51cを介して筒体51外に抜き出すことにより、缶部材ユニット15を裏部材ストッカー50に装填する。この延伸部84及び支持部81は、ポリプロピレン及びポリエチレンなどの樹脂により一体的に形成されている。このため、複雑な形状の装填治具80を容易に製造することができる。
【0047】
延伸部84は、例えば略平板形状であって、上下方向に延びて、第1幅広部分84a及び第1幅狭部分84bを有している。左右方向において、第1幅広部分84aの幅は、上下方向において一定であって、裏部材ストッカー50においてスリット51cの幅、及び、スリット51cを互いの間に挟む一対のフランジ51dの間隔よりも小さい。裏部材ストッカー50に缶部材ユニット15を装填する際に、延伸部84が一対のフランジ51dの間においてフランジ51dに沿って移動するため、装填治具80を移動させ易い。
【0048】
第1幅狭部分84bは、第1幅広部分84aよりも下方に配置されており、その上端が第1幅広部分84aの下端に接続されている。第1幅狭部分84bは、第1幅広部分84aの幅よりも小さく、第1定幅部分84b1及び第1傾斜部分84b2を有している。第1傾斜部分84b2は、上下方向において第1幅広部分84aと第1定幅部分84b1との間に配置され、第1幅広部分84aから第1定幅部分84b1に向かって左右方向における幅が小さくなっている。第1定幅部分84b1は、左右方向における幅が上下方向において一定である。缶部材ユニット15を裏部材ストッカー50に装填する際に、第1幅狭部分84bを第1幅広部分84aよりも先に一対のフランジ51dの間に挿入するため、延伸部84を一対のフランジ51dの間に挿入し易い。また、第1傾斜部分84b2により尖った角が延伸部84に設けられないため、尖った角による装填治具80及び裏部材ストッカー50などの損傷を低減することができる。
【0049】
延伸部84は突出部85に接続されている。突出部85の上部は延伸部84の下端に接続されて延伸部84から後方に延び、突出部85の下部は下方に延びている。突出部85の下部は、前後方向に対して交差(例えば、直交)する平板状であって、上下方向において、突出部85の長さは、裏部材ストッカー50の排出口51bの長さと同じ又はそれよりも大きい。このため、延伸部84を一対のフランジ51dの間に挿入した状態で、突出部85は排出口51bに対向する。この突出部85には支持部81が設けられておらず、突出部85よりも上方の延伸部84に支持部81が設けられているため、支持部81により支持された缶部材ユニット15は排出口51bよりも上に配置される。これにより、支持部81をスリット51cから抜く際に、缶部材ユニット15が排出口51bから排出されずに、缶部材ユニット15の直径よりも幅が小さいスリット51cを間に挟む筒体51の両縁に係止され、筒体51内に残存する。
【0050】
ハンドル86は、上下方向に長い平板状であり、上下方向及び左右方向における延伸部84の中央に配置され、延伸部84の後面から後方に突出している。このようなハンドル86をユーザが把持することにより、装填治具80を移動させ易い。
【0051】
ハンドル86の上端及び下端は延伸リブ87に接続されている。延伸リブ87は、左右方向における延伸部84の中央に配置されており、延伸部84及び突出部85の後面から後方に突出している。前後方向において延伸リブ87の長さはハンドル86の長さより短い。延伸リブ87は、ハンドル86の上端から延伸部84の上端まで延び、また、ハンドル86の下端から突出部85の下端まで延びる。このように、延伸リブ87及びハンドル86は、延伸部84及び突出部85において上下方向に延びるため、延伸部84及び突出部85の強度を向上することができる。
【0052】
複数の支持部81は、延伸部84に設けられており、上下方向に一定の間隔を空けながら、一列に並んでいる。支持部81は、延伸部84の前面から前方に突出し、支持部81は、平板状の支持板82及び支持リブ83を有している。支持リブ83は、左右方向における支持板82の中央において支持板82の下面から下方に突出し、支持板82の全長に亘って前後方向に延びている。この支持リブ83により支持板82の強度を向上することができる。
【0053】
上下方向において互いに隣接している支持部81の間隔は、支持板82の上面と、この上面に対向する支持リブ83の下面との間隔である。上下方向における裏部材12の厚みは支持部81の間隔以下である。缶部材ユニット15が支持部81の間隔に充填されると、下の支持部81の支持板82及び上の支持部81の支持リブ83により裏部材12が挟持され、上の支持部81及び下の支持部81により缶部材ユニット15が支持される。このように、支持部81の間隔に缶部材ユニット15を充填するだけで、缶部材ユニット15を装填治具80の支持部81により容易に支持される。
【0054】
支持板82は、第2幅広部分82a及び第2幅狭部分82bを有している。第2幅広部分82aは、前後方向において第2幅狭部分82bよりも延伸部84に近く、その前端が第2幅狭部分82bの後端に接続されている。左右方向における第2幅広部分82aの幅は、缶部材ユニット15の第1部14fと第2部14gとの間隔以下であって、支持部81は第1部14fと第2部14gとの間の挿入空間に挿入される。左右方向における第2幅狭部分82bの幅は、第2幅広部分82aよりも小さく、前方ほど小さくなっている。このため、缶部材ユニット15を支持部81の間隔に充填する際に、支持部81の第2幅広部分82aよりも先に第2幅狭部分82bを缶部材ユニット15の挿入空間に挿入するため、支持部81を挿入空間に挿入し易い。
【0055】
このように、缶部材ユニット15を支持部81の間隔に充填する際に、缶部材ユニット15の前後方向の誤りを抑制することができる。具体的には、
図11Aの例では、前後方向において缶部材ユニット15の第1部14f及び第2部14gが第3部14hよりも延伸部84に近い。この場合、第1部14fと第2部14gとの間から第3部14hに向かって支持部81を挿入空間に挿入すると、支持部81は第1部14fと第2部14gとの間に挟まれ、支持部81の前端は第3部14hの対向面に対向する。これに対し、
図11Bの例に示すように、前後方向において第1部14f及び第2部14gが第3部14hよりも延伸部84から遠い。この場合、支持部81は第1部14fと第2部14gとの間の挿入空間に挿入されずに、支持部81の前端は第3部14hの対向面とは反対の面に対向する。この第3部14hは、前後方向において裏部材12の装着面12cの中心12dから一方へ離れた位置に設けられ、中心12dは第1部14fと第2部14gとの間に配置されている。このため、
図11Aの場合に支持部81の前端から前方に突出している裏部材12の長さよりも、
図11Bの場合に支持部81の前端から前方に突出している裏部材12の長さの方が長い。このため、ユーザは缶部材ユニット15を前後方向に間違って装填治具80の間隔に充填されることを抑制することができる。
【0056】
また、缶部材ユニット15を支持部81の間隔に充填する際に、裏部材12の上下方向の誤りを抑制することができる。具体的には、
図11A及び
図12Aの例では、裏部材12の装着面12cを下にして支持部81を第1部14fと第2部14gとの間に挿入する。これに対し、
図12Bの例では、裏部材12の装着面12cを上にして支持部81を第1部14fと第2部14gとの間に挿入する。この第1部14fは、左右方向において第2部14gよりも装着面12cの中心12dに近いため、
図12Bのように装着面12cを上にした裏部材12は、
図12Aのように装着面12cを下にした裏部材12よりも、支持部81から左にずれている。このため、ユーザは缶部材ユニット15を上下方向に間違って装填治具80の間隔に充填されることを抑制することができる。
【0057】
前後方向における支持部81の長さは裏部材ストッカー50の筒体51の内径よりも短い。また、左右方向における支持部81の幅は、延伸部84の第1幅広部分84aの幅及び裏部材ストッカー50のスリット51cの幅よりも小さく、延伸部84の第1幅狭部分84bの幅以下である。これに対し、支持部81により支持された缶部材ユニット15の裏部材12の直径は裏部材ストッカー50のスリット51cの幅よりも大きい。このため、缶部材ユニット15を裏部材ストッカー50に装填する際に、延伸部84を筒体51の外に配置し、延伸部84から突出した支持部81をスリット51cに通して、支持部81により支持された缶部材ユニット15を筒体51内に挿入させることができる。それから、筒体51内に缶部材ユニット15を残したまま、支持部81をスリット51cに通して筒体51の外に抜き出すことができる。
【0058】
複数の支持部81のうち、延伸部84の上端に設けられた上端の支持部81は、これ以外の他の支持部81と形状が異なっていてもよい。すなわち、缶部材ユニット15を支持部81の間隔に充填する際に、他の支持部81は缶部材ユニット15の挿入空間に挿入されるが、上端の支持部81は挿入空間に挿入されない。このため、上端の支持部81は、左右方向における幅が前後方向に一定の矩形状であって、その幅が第1部14fと第2部14gとの間の挿入空間の幅よりも大きくてもよい。この場合も、上端の支持部81は、他の支持部81と同様に、裏部材ストッカー50のスリット51cの幅よりも小さい幅であるため、スリット51cから筒体51の外へ抜き出すことが可能である。なお、上端の支持部81は、他の支持部81と同様に、第2幅狭部分82bを有していてもよい。
【0059】
<裏部材ストッカー>
裏部材ストッカー50は、
図13~
図18の例に示すように、上下方向に延びる中心軸を有する円筒状の筒体51を備えている。筒体51は、上開口51a、排出口51b、スリット51c、一対のフランジ51d及びプッシャー口51eを有している。筒体51の内径及び上開口51aの直径は、裏部材12の直径よりも少し大きい。このため、筒体51の中心軸に対して裏部材12の装着面12cが直交するように、缶部材ユニット15が上開口51aから筒体51内に挿入されて、複数の缶部材ユニット15が積層されて筒体51内に収容される。
【0060】
筒体51内において、缶部材ユニット15の裏部材12よりも規制部材14が下に位置するように、複数の缶部材ユニット15が積層されている。規制部材14では、上下方向において、回動支持部14cの寸法及び第2部14gの寸法は、互いに等しく、第1部14f及び第3部14hなど他の部分の寸法よりも大きい。また、上下方向において、回動支持部14cの寸法及び第2部14gの寸法は、留め具13の寸法よりも大きい。このため、上の缶部材ユニット15の回動支持部14c及び第2部14gは、その裏部材12を下の裏部材12に対して支持する。
【0061】
また、上下方向において、規制部材14における回動支持部14cの下端及び第2部14gの下端は留め具13の下端よりも下方に位置しているため、規制部材14の下端は留め具13の下端よりも裏部材12の装着面12cから離れて位置している。よって、規制部材14は、缶製品作製装置100の裏部材ストッカー50に複数の缶部材ユニット15が積層して収容された場合に、隣接する2つの缶部材ユニット15のうち一方の缶部材ユニット15が有する留め具13と他方の缶部材ユニット15が有する裏部材12との間に所定の空間を形成するスペーサを成す。これにより、規制部材14は、筒体51内において裏部材12を互いに平行に積み重ねることができる。
【0062】
スリット51cは、筒体51の後端において上開口51aから下方に延びる開口である。一対のフランジ51dは、スリット51cを互いの間に挟む筒体51の両縁から後方へそれぞれ突出している。一対のフランジ51dは、互いに平行に設けられ、上下方向においてスリット51cの全長に亘って設けられている。このフランジ51dは、筒体51と一体的に形成されていることにより、筒体51の強度を向上することができる。
【0063】
排出口51bは、筒体51の後端においてスリット51cに連通した開口である。上下方向における排出口51bの高さが缶部材ユニット15の高さ以上であり、左右方向における排出口51bの幅が裏部材12の直径以上である。また、プッシャー口51eは、筒体51の前端において排出口51bに対向した開口である。プッシャー55はプッシャー口51eを通過して筒体51の内外を往復移動する。プッシャー55は、後方に移動して、筒体51内の缶部材ユニット15を押して排出口51bから排出させる。一方、プッシャー55は、前方に移動して筒体51外に後退することにより、筒体51内において缶部材ユニット15が排出口51bとプッシャー口51eとの間に下降する。
【0064】
このような筒体51の下端に取り付け部51fが接続されている。取り付け部51fは、排出口51bとプッシャー口51eとの間の筒体51から下方に延びている。取り付け部51fが裏部材スライダー53の取り付け孔53aに挿入されることにより、筒体51は裏部材スライダー53に取り付けられて、筒体51は裏部材スライダー53の上面上に配置される。
【0065】
なお、
図21Aの例に示すように、裏部材ストッカー50は、缶部材ユニット15に収容されている最下位の缶部材ユニット15を検出するセンサ57を備えていてもよい。センサ57は、裏部材スライダー53よりも下方に配置された本体57a、及び、本体57aに接続されたアーム57bを有している。アーム57bは、本体57aから、後述の裏部材スライダー53の溝53b、及び、筒体51の下開口を通過して、筒体51内に延びる。
【0066】
筒体51内に缶部材ユニット15が収容されている状態では、その最下位の缶部材ユニット15によりアーム57bが下方に押されることにより、センサ57は缶部材ユニット15を検知する。一方、筒体51内に缶部材ユニット15が収容されていないと、アーム57bが缶部材ユニット15により下方に押されないことにより、センサ57は缶部材ユニット15を検知しない。センサ57は、制御装置110(
図3)に接続されており、缶部材ユニット15の検知信号を制御装置110に出力する。制御装置110は、センサ57により缶部材ユニット15が検知されないと、表示装置やランプなどの報知部により缶部材ユニット15が筒体51に収容されていないことを報知する。ユーザはこの報知に応じて、筒体51に缶部材ユニット15を補充することができる。
【0067】
<缶部材の装填方法>
図13の例に示すように、ユーザは、複数の缶部材ユニット15を装填治具80における支持部81の間隔に充填し、装填治具80のハンドル86を把持して、延伸部84の第1幅広部分84aよりも第1幅狭部分84bを下にする。そして、ユーザは、延伸部84が筒体51の外に配置され、延伸部84から突出する支持部81がスリット51cを通過するように、支持部81により支持された缶部材ユニット15を上開口51aから筒体51内に挿入する。
【0068】
それから、
図14の例に示すように、ユーザは、延伸部84を一対のフランジ51dの間に配置し、延伸部84をスリット51cに沿わせて、装填治具80を下方に移動させる。これにより、延伸部84よりも下の突出部85が床などに当接し、ユーザは装填治具80の下方への移動を停止する。ここで、装填治具80における最上位の支持部81が筒体51の上端よりも下方に配置されるため、支持部81により支持されている缶部材ユニット15は筒体51内に収容される。また、突出部85は、裏部材ストッカー50の排出口51bに対向する。この突出部85よりも上に配置された延伸部84に支持部81が設けられているため、支持部81により支持されている缶部材ユニット15は、排出口51bよりも上においてその周囲が筒体51に囲まれる。
【0069】
ここで、
図15の例に示すように、ユーザが装填治具80を後方に移動させると、支持部81はスリット51cを通り筒体51の外に抜かれる。これに対し、缶部材ユニット15は筒体51の内面に係止されて筒体51内に残る。このようにして、缶部材ユニット15が裏部材ストッカー50に装填される。
【0070】
<裏部材スライダー>
裏部材スライダー53は、
図17~
図20の例に示すように、裏部材ストッカー50の筒体51の下方に配置され、筒体51の下方の位置から型ユニット3の第1型位置P1(
図2)に配置された第2下型31へ延びている。裏部材スライダー53は、略平板形状であって、取り付け孔53a及び溝53bが設けられている。この取り付け孔53aには筒体51から下方に突出する取り付け部51fが挿入されており、筒体51が裏部材スライダー53の上面から上方に延びている。筒体51の排出口51bが裏部材スライダー53の上面上に配置され、筒体51から排出口51bを通って裏部材スライダー53の上面上に缶部材ユニット15が排出される。
【0071】
溝53bは、筒体51の下方の位置から第2下型31に向かって後方に延びて、裏部材スライダー53の後端に開口している。裏部材スライダー53は、左右方向において互いの間に溝53bを挟む左のスライダー片54及び右のスライダー片54を有している。この左のスライダー片54及び右のスライダー片54は、左右方向における裏部材スライダー53の中心を通って前後方向に延びる直線について対称な形状を有している。
【0072】
スライダー片54は、筒体51の下方では略扇形状であり、筒体51よりも後方では左右方向よりも前後方向に長い矩形状である。筒体51の下方では、左のスライダー片54の左端及び右のスライダー片54の右端との間隔は筒体51の直径よりも大きく、左のスライダー片54及び右のスライダー片54は筒体51を支持する。筒体51から後方では左のスライダー片54の左端及び右のスライダー片54の右端との間隔は筒体51の直径及び缶部材ユニット15の裏部材12の直径よりも小さい。
【0073】
スライダー片54は上段54a、及び、上段54aから下方に窪む下段54bを有している。左のスライダー片54の上段54aは左のスライダー片54の左端に沿って延び、右のスライダー片54の上段54aは右のスライダー片54の右端に沿って延びている。左の上段54aと右の上段54aとの間には缶部材ユニット15の規制部材14が配置され、左の上段54aは裏部材12のうち規制部材14よりも左の部分を支持し、右の上段54aは裏部材12のうち規制部材14よりも右の部分を支持している。
【0074】
左のスライダー片54では下段54bが上段54aの右に配置され、右のスライダー片54では下段54bが上段54aの左に配置されている。裏部材12が上段54aにより支持されている状態において、規制部材14の把持部14d及び連結部14eが左の下段54bの上面上に位置し、左の下段54bの右端と右の下段54bの左端との間の溝53bに、留め具13、並びに、規制部材14の第1部14f、第2部14g、第3部14h及び回動支持部14cが嵌まる。これにより、留め具13及び規制部材14が下段54bや床などに当たることなく、缶部材ユニット15はスライダー片54に沿って移動することができる。
【0075】
左の下段54bの右端は、後方に向かって右斜めに直線状に傾斜する傾斜縁54b1、及び、傾斜縁54b1から後方に直線状に延びる平行端54b2を有している。右の下段54bの左端は、後方に向かって左斜めに直線状に傾斜する傾斜縁54b1、及び、傾斜縁54b1から後方に直線状に延びる平行端54b2を有している。この左の傾斜縁54b1及び右の傾斜縁54b1は、溝53bの延伸方向である前後方向に対して交差する左右方向において互いの間に溝53bを挟み且つ溝53bの幅が裏部材ストッカー50から第2下型31に向かって小さくなるように傾斜する第1傾斜縁及び第2傾斜縁である。このため、左の下段54bの右端及び右の下段54bの左端は、傾斜縁54b1によって後方に向かって互いの間隔が小さくなってから、平行端54b2によって互いに平行に後方へ延びて互いの間隔が前後方向において一定になっている。
【0076】
傾斜縁54b1は筒体51の下方に配置され、平行端54b2は筒体51の後端から後方に延びている。前後方向において、傾斜縁54b1及び平行端54b2の長さは回動支持部14c及び第2部14gの長さよりも長い。左右方向において、左の平行端54b2と右の平行端54b2との間隔は、左の傾斜縁54b1と右の傾斜縁54b1との間隔以下であって、回動支持部14cの右端と第2部14gの左端との間の寸法と同じ又は少し大きい。この回動支持部14cの右端が右の傾斜縁54b1及び右の平行端54b2に対向し、第2部14gの左端が左の傾斜縁54b1及び左の平行端54b2に対向する。このため、回動支持部14c及び第2部14gが傾斜縁54b1から平行端54b2に沿いながら缶部材ユニット15が後方に移動することにより、回動支持部14c及び第2部14gが前後方向に延びるように缶部材ユニット15の向きが調整される。このように、回動支持部14c及び第2部14gは、缶製品作製装置100の裏部材スライダー53上を缶部材ユニット15が移動する場合に、裏部材スライダー53の溝53bの縁、つまり傾斜縁54b1及び平行端54b2に沿って案内されるガイド部を成す。このガイド部は、針13aが延びる延伸方向に対して交差する交差方向において両端にそれぞれ設けられた第1ガイド部及び第2ガイド部として、回動支持部14c及び第2部14gを有している。
【0077】
従って、缶部材ユニット15は装填治具80により向きが揃えられて裏部材ストッカー50に装填されるため、裏部材ストッカー50に収容されている缶部材ユニット15の向きは第1部14f及び第2部14gが前後方向に延びるように揃えられている。しかしながら、裏部材ストッカー50において缶部材ユニット15が下降するに伴い、缶部材ユニット15の向きがずれる場合がある。このような場合であっても、回動支持部14cが右の下段54bの傾斜縁54b1から平行端54b2に沿い、第2部14gが左の下段54bの傾斜縁54b1から平行端54b2に沿いながら缶部材ユニット15が移動することにより、回動支持部14c及び第2部14gが前後方向に延びるように缶部材ユニット15の向きが所定の向きに補正される。
【0078】
<第2下型>
第2下型31は、
図20~
図22Bの例に示すように、第2台座31a、第2スライド型31b及び第2バネ31sを有する。第2台座31aは、その上面から下方に窪む凹部31a1、凹部31a1よりも下方の円柱状の下部31a2、及び、凹部31a1の周囲を取り囲む円環状の環部31a3を有している。下部31a2の直径は、環部31a3の内周縁の直径よりも大きく、環部31a3の外周縁の直径よりも小さい。環部31a3の外周縁は下部31a2よりも外側に突出している。
【0079】
凹部31a1には、2つの段部36が設けられている。2つの段部36は、上下方向に延びる第2台座31aの軸を通り左右方向に対して直交する面について対称の形状を有している。段部36は、裏部材スライダー53のスライダー片54の後方に配置され、凹部31a1の底面よりも上方に突出しており、上面、円弧面36a、上流端面36b及び対向面36cを有している。上面の縁は、円弧面36aの上端、上流端面36bの上端及び対向面36cの上端により接続されている。円弧面36aは、環部31a3の内周縁に対して間隔を空けて内周縁に平行に配置され、その前端から後端に向かって内周縁に沿って湾曲した曲面であり、その前端が上流端面36bの前端に接続され、その後端が対向面36cの後端に接続されている。上流端面36bの後端は対向面36cの前端に接続されている。
【0080】
左の上流端面36b及び右の上流端面36bは互いの間隔が後方ほど小さくなるように、左の上流端面36bは右斜め後ろに傾斜し、右の上流端面36bは左斜め後ろに傾斜している。右の対向面36cと左の対向面36cとは互いに対向し、各対向面36cは前後方向に延び、互いの間隔は前後方向に一定である。また、上流端面36b及び対向面36cのそれぞれは、平面状であって、上下方向に直交する段部36の断面が下方に向かうほど大きくなるように傾斜しており、下り勾配である。このため左の上流端面36bと右の上流端面36bとの間隔は下方ほど小さく、右の対向面36cと左の対向面36cとの間隔は下方ほど小さくなる。
【0081】
第2スライド型31bは、略円筒状であって、第2台座31aの周囲を取り囲んでいる。第2スライド型31bは、上筒部31b1、傾斜筒部31b2、中筒部31b3及び下筒部31b4を有している。これらはこの順に下方へ並び、この順で内径が小さくなっている。上筒部31b1、中筒部31b3及び下筒部31b4は上下方向において内径が一定であるのに対し、傾斜筒部31b2は下方ほど内径が小さくなるように内周面が傾斜している。
【0082】
図22Aの例に示すように、下筒部31b4内に第2台座31aの下部31a2が挿入され、中筒部31b3内に第2台座31aの環部31a3が挿入される。第2スライド型31bの下端に第2バネ31sが接続され、第2スライド型31bを上方に付勢する。これにより、第2スライド型31bは第2台座31aに対して上方にスライドして、中筒部31b3の下端の内周縁と下筒部31b4の上端の内周縁との間の下筒部31b4の上面が、環部31a3の下端に係止されて、第2スライド型31bの上方へのスライドが停止する。一方、
図22Bの例に示すように、上型33が第2下型31へ下降すると、第2スライド型31bは上型33により下方に押されて、第2台座31aに対して下方にスライドする。
【0083】
このような第2下型31には、
図20~
図22Bの例に示すように、上述の通り、裏部材スライダー53を介して裏部材ストッカー50から缶部材ユニット15が供給される。この裏部材スライダー53では缶部材ユニット15の向きが所定の向きにスライダー片54により補正されている。しかしながら、第2下型31は裏部材スライダー53のスライダー片54よりも低いため、缶部材ユニット15が後斜め下に傾いてスライダー片54上から第2スライド型31b内に移る際に缶部材ユニット15の向きが所定の向きがずれることがある。このような場合であっても、2つの段部36における上流端面36b同士の間隔が後方ほど小さくなり、2つの対向面36c同士の間隔は回動支持部14cの右端と第2部14gの左端との間の寸法と同じ又は少し大きい。
【0084】
このため、回動支持部14c及び第2部14gは、凹部31a1における2つの段部36の間に嵌り、上流端面36b及び対向面36cに沿って移動する。つまり、規制部材14の回動支持部14c及び第2部14gは、缶部材ユニット15が第2下型31に収容された場合に、第2下型31の凹部31a1の縁である上流端面36b及び対向面36cに沿って案内されるガイド部として機能する。これにより、回動支持部14c及び第2部14gが前後方向に延びるように缶部材ユニット15の向きが所定の向きに補正される。よって、缶部材ユニット15の裏部材12が第2下型31において第2スライド型31bの中筒部31b3内において第2台座31aの環部31a3上に載り、缶部材ユニット15の規制部材14は環部31a3内の凹部31a1に収容される。
【0085】
また、段部36の面積が下方ほど大きくなるように上流端面36b及び対向面36cが傾斜していることにより、段部36の下方ほど上流端面36b同士の間隔及び対向面36c同士の間隔が小さくなっている。このため、仮に缶部材ユニット15がスライダー片54上から第2スライド型31b内に移る際に回動支持部14c又は第2部14gが2つの段部36の間に嵌まらずに段部36上に載ったとしても、このように傾斜する上流端面36b又は対向面36cに沿って回動支持部14c又は第2部14gが下方に移動して2つの対向面36cの間に嵌まり、缶部材ユニット15の向きが所定の向きに補正される。このように缶部材ユニット15の向きが所定の向きになることによって、缶部材ユニット15の裏部材12の向きと被印刷媒体W(
図4B)に印刷された画像の向きを合わせることができる。
【0086】
なお、上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良及び他の実施の形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更することができる。
【符号の説明】
【0087】
10 :缶製品
12c :装着面
12d :中心
13 :留め具
13a :針
13b :係止部
14 :規制部材
14b :嵌入部
14b0 :窪み
14b1 :第1斜面
14b2 :第2斜面
14c :回動支持部
14c2 :端部
14d :把持部
14f :第1部
14g :第2部
14h :第3部
14i :押さえ部
15 :缶部材ユニット
53b :溝
80 :装填治具
81 :支持部
100 :缶製品作製装置