(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082093
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】缶部材の装填治具、缶部材、缶部材のユニット及び缶部材の装填方法
(51)【国際特許分類】
A44C 27/00 20060101AFI20240612BHJP
A44C 3/00 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
A44C27/00
A44C3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195810
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古閑 雄二
(72)【発明者】
【氏名】竹内 健二
(72)【発明者】
【氏名】辻下 洋二
【テーマコード(参考)】
3B114
【Fターム(参考)】
3B114AA01
3B114BB05
3B114BB08
3B114EC05
3B114EC13
3B114JA01
3B114JB01
(57)【要約】
【課題】缶製品の部材をストッカーに容易に装填することが可能な缶部材の装填治具を提供する。
【解決手段】缶部材の装填治具80は、第1方向に沿って延びる延伸部84と、前記第1方向に対して交差する第2方向へ前記延伸部84から突出し、前記第1方向に沿って間隔を空けながら並び、前記間隔における缶部材を支持するための複数の支持部81と、を備えている。
【選択図】
図9A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って延びる延伸部と、
前記第1方向に対して交差する第2方向へ前記延伸部から突出し、前記第1方向に沿って間隔を空けながら並び、前記間隔における缶部材を支持するための複数の支持部と、を備えている、
缶部材の装填治具。
【請求項2】
前記延伸部及び前記支持部が樹脂により一体的に形成されている、
請求項1に記載の缶部材の装填治具。
【請求項3】
前記延伸部は、第1幅広部分と、前記第1方向及び前記第2方向に対して交差する第3方向における幅が前記第1幅広部分の幅よりも小さい第1幅狭部分と、を有している、
請求項1に記載の缶部材の装填治具。
【請求項4】
前記第3方向における前記支持部の幅は前記第1幅広部分の幅よりも小さい、
請求項3に記載の缶部材の装填治具。
【請求項5】
前記第3方向における前記支持部の幅は前記第1幅狭部分の幅以下である、
請求項3に記載の缶部材の装填治具。
【請求項6】
前記支持部は、第2幅広部分と、前記第2方向において前記第2幅広部分よりも前記延伸部から離れて位置して且つ前記第1方向及び前記第2方向に対して交差する第3方向における幅が前記第2幅広部分の幅よりも小さい第2幅狭部分と、を有している、
請求項1に記載の缶部材の装填治具。
【請求項7】
前記缶部材は、前記間隔に充填されている、
請求項1に記載の缶部材の装填治具。
【請求項8】
前記延伸部から前記第2方向へ突出するハンドルを備え、
前記延伸部は、前記支持部と前記ハンドルとの間にある、
請求項1に記載の缶部材の装填治具。
【請求項9】
前記缶部材は、留め具が装着される装着面を有し、前記装着面に沿った方向に所定長さだけ互いに離れた第1部及び第2部が前記装着面に装着され、
前記支持部は、前記第1方向及び前記第2方向に対して交差する第3方向における幅が前記所定長さ以下であり、前記第1部と前記第2部との間に位置する、
請求項8に記載の缶部材の装填治具。
【請求項10】
前記缶部材の装填治具は、前記缶部材を用いて缶製品を作製する缶製品作製装置におけるストッカーに複数の前記缶部材を装填するための治具であって、
前記ストッカーは、円筒状の筒体を有し、
前記第2方向における前記支持部の長さは前記筒体の内径よりも短い、
請求項1に記載の缶部材の装填治具。
【請求項11】
前記缶部材の装填治具は、前記缶部材を用いて缶製品を作製する缶製品作製装置におけるストッカーに複数の前記缶部材を装填するための治具であって、
前記ストッカーは、円筒状の筒体、前記筒体の上端に設けられた開口、及び前記開口から中心軸に沿って延びて前記筒体に形成されたスリットを有し、
前記第1方向及び前記第2方向に対して交差する第3方向における前記支持部の幅は前記スリットの幅よりも小さい、
請求項1に記載の缶部材の装填治具。
【請求項12】
前記缶部材の装填治具は、前記缶部材を用いて缶製品を作製する缶製品作製装置におけるストッカーに複数の前記缶部材を装填するための治具であって、
前記ストッカーは、円筒状の筒体、前記筒体の上端に設けられた開口、及び前記開口から中心軸に沿って延びて前記筒体に形成されたスリットを有し、
前記第1方向及び前記第2方向に対して交差する第3方向における前記延伸部の幅は前記スリットの幅よりも小さい、
請求項1に記載の缶部材の装填治具。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の前記缶部材の装填治具に支持される缶部材であって、
前記第1方向における前記缶部材の厚みは前記間隔以下である、
缶部材。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載の前記缶部材の装填治具に支持される缶部材のユニットであって、
留め具が装着される装着面を有する前記缶部材と、
互いに前記装着面に沿った方向に所定長さだけ離れて配置された第1部及び第2部と、
前記第1部から前記第2部へ向かう方向に交差する交差方向において前記装着面の中心から一方へ離れた位置に設けられた第3部と、を有し、
前記第3部は、前記第1部及び前記第2部の間に前記支持部が挿入されるときの挿入路の延長線と交差する、
缶部材のユニット。
【請求項15】
請求項1~12のいずれか一項に記載の前記缶部材の装填治具に支持される缶部材のユニットであって、
留め具が装着される装着面を有する前記缶部材と、
前記装着面に沿った方向に所定長さだけ互いに離れて配置された第1部及び第2部と、を有し、
前記第1部は、前記第2部との間に前記装着面の中心を挟み、前記第2部よりも前記装着面の中心に近い、
缶部材のユニット。
【請求項16】
缶部材を用いて缶製品を作製する缶製品作製装置におけるストッカーに、請求項1~12のいずれか一項に記載の装填治具を用いて複数の前記缶部材を装填する方法であって、
前記ストッカーは、円筒状の筒体、前記筒体の上端に設けられた開口、及び前記開口から中心軸に沿って延びて前記筒体に形成されたスリットを有し、
前記装填治具を、前記延伸部の前記第1方向の一端部を先にして前記開口から前記筒体内へ挿入することで、前記支持部に支持された前記缶部材は前記筒体内に位置すると共に前記延伸部は前記筒体外に位置する状態とし、
前記状態から前記装填治具を、前記スリットを介して前記支持部を前記筒体外へ向かわせるよう移動させることで、前記装填治具を前記筒体外へ取り出しつつ、前記缶部材を前記筒体内に残置させる、
缶部材の装填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶部材の装填治具、缶部材、缶部材のユニット及び缶部材の装填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の缶部材の装填治具を用いた缶製品作製装置として、例えば、下記特許文献1の缶製品作成装置が知られている。この缶製品作成装置は、所定の画像を印刷したフィルムを表蓋に被覆させて、フィルムのうち表蓋からはみ出した部分を表蓋と裏蓋との間に挟んで缶製品を作成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、表蓋及び裏蓋が交互に積層されて筒状のストッカーに収納されている。このため、表蓋及び裏蓋などの部材をストッカーに装填しなければならない課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、缶製品の部材をストッカーに容易に装填することが可能な缶部材の装填治具、缶部材、缶部材のユニット及び缶部材の装填方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る缶部材の装填治具は、第1方向に沿って延びる延伸部と、前記第1方向に対して交差する第2方向へ前記延伸部から突出し、前記第1方向に沿って間隔を空けながら並び、前記間隔における缶部材を支持するための複数の支持部と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、缶製品の部材をストッカーに容易に装填することが可能な缶部材の装填治具、缶部材、缶部材のユニット及び缶部材の装填方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る缶製品作製装置を示す斜視図である。
【
図3】缶製品作製装置の制御系統の構成を示すブロック図である。
【
図7A】缶部材ユニットを装着面側から見た図である。
【
図7B】装着面に対して直交する缶部材ユニットの断面図である。
【
図8A】装着面にフックが設けられた裏部材の斜視図である。
【
図8B】装着面にフックが設けられた裏部材の斜視図である。
【
図9B】缶部材として裏部材が支持部の間隔に充填された装填治具の斜視図である。
【
図10A】支持部の前端が第3部の対向面に対向した装填治具の斜視図である。
【
図10B】支持部の前端が第3部の反対面に対向した装填治具の斜視図である。
【
図11A】装着面を下に向けた裏部材が支持部の間隔に充填された装填治具の斜視図である。
【
図11B】装着面を上に向けた裏部材が支持部の間隔に充填された装填治具の斜視図である。
【
図12】裏部材ストッカーの上方に配置されて且つ裏部材が支持部の間隔に充填された装填治具の斜視図である。
【
図13】裏部材及び裏部材を支持した支持部が裏部材ストッカー内に挿入された装填治具の斜視図である。
【
図14】支持部が裏部材ストッカー外に抜かれた装填治具の斜視図である。
【
図15】裏部材ストッカー及び裏部材スライダーの斜視図である。
【
図16】裏部材ストッカーの一部及び裏部材スライダーを後から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<缶製品作製装置>
以下、本発明の一実施形態に係る缶部材の装填治具80(
図9A)が用いられる缶製品作製装置100について図面を参照して説明する。以下に説明する缶部材の装填治具80は本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除及び変更が可能である。
【0010】
缶製品作製装置100は、
図1及び
図5Bの例に示すように、白色フィルムF及び被印刷媒体Wが積層された表部材11と裏部材12との接続(かしめ)を行って缶製品10を作製する装置である。このような缶製品作製装置100は、印刷ユニット1、搬送ユニット2、型ユニット3、表部材供給ユニット4、裏部材供給ユニット5、押し付けユニット6、取り出しユニット7、回収ボックス8、缶製品収容器9及び制御装置110(
図3)を備える。
【0011】
図5A及び
図5Bの例に示すように、缶製品10は、例えば缶バッジであって、表部材11、裏部材12、白色フィルムF及び被印刷媒体Wにより作製される。表部材11及び裏部材12は例えば錫めっき鋼板等の磁性材料で形成される。表部材11は、上から見て円形状の表板部11a、及び、表板部11aの外周縁から下方に突出する円環状の表縁部11bを有している。裏部材12は、上から見て円形状の裏板部12a、及び、裏板部12aの外周縁から上方に突出する円環状の裏縁部12bを有している。なお、裏部材12の詳細については後述する。
【0012】
表部材11の表面上に白色フィルムFの被覆部分Fbが配置され、白色フィルムF上に被印刷媒体Wの被覆部分Wbが配置される。この被覆部分Wb、Fbのうち、表板部11aの表面からはみ出した部分は表板部11aの外周縁から下方に折り曲げられて表縁部11bの表面を覆い、さらに表縁部11bの表面からはみ出した部分は表縁部11bの下端から上方に折り曲げられて表縁部11bの裏面と裏部材12の裏縁部12bとの間に挟持される。そして、被覆部分Wb、Fbが、互いに対向する表縁部11bと裏縁部12bとの間に挟まれた状態で、表部材11及び裏部材12の少なくとも一方を変形させ(例えば、かしめ)、缶製品10が作製される。なお、缶製品10には白色フィルムFが用いられずに、被印刷媒体Wのみにより表部材11が被覆されてもよい。
【0013】
被印刷媒体Wは、
図4Aの例に示すように、矩形状の透明シートである。被印刷媒体Wは、搬送ユニット2により型ユニット3に向けて搬送されるときの第1搬送方向Dc1における下流端We1及び上流端We2を有する。被印刷媒体Wは、表部材11を被覆する被覆部分Wb、被覆部分Wbとは異なる残余部分Wa、被覆部分Wbと残余部分Waとを連結する連結部分Wc、及び、連結部分Wcから下流端We1に亘って直線状に延びる線状弱部Wdを含む。
図4A及び
図5Bの例に示すように、被覆部分Wbは、表部材11の表板部11aの表面を覆う第1表部分Wf1、表縁部11bの表面を覆う第2表部分Wf2、及び、表縁部11bの裏面と裏部材12の裏縁部12bとの間に挟持される被挟持部分Wgを有している。連結部分Wc及び線状弱部Wdは、ミシン目など、被覆部分Wb及び残余部分Waよりも強度が小さい弱部である。この連結部分Wc及び線状弱部Wdは、型ユニット3にて被覆部分Wbが押し付けユニット6により押し付けられた状態で残余部分Waを搬送ユニット2により、第1搬送方向Dc1とは反対向きの第2搬送方向Dc2に搬送することにより切断されて、被覆部分Wbと残余部分Waとは分離される。
【0014】
白色フィルムFの構成は被印刷媒体Wの構成と基本的に同じである。
図4Bの例に示すように、白色フィルムFは、被印刷媒体Wと同じ大きさであり、矩形状を成している。白色フィルムFは、第1搬送方向Dc1における下流端Fe1、上流端Fe2、被覆部分Fb、残余部分Fa、連結部分Fc及び線状弱部Fdを有している。この下流端Fe1は下流端We1に対応し、上流端Fe2は上流端We2に対応し、被覆部分Fbは被覆部分Wbに対応し、残余部分Faは残余部分Waに対応し、連結部分Fcは連結部分Wcに対応し、線状弱部Fdは線状弱部Wdに対応する。なお、白色フィルムFの色は白色に限定されない。
【0015】
図1~
図3の例に示すように、缶製品作製装置100の制御装置110は、外部装置114とデータを送受信するインターフェース111、データを処理するCPUなどの演算部112及びデータを記憶するメモリなどの記憶部113を備えている。制御装置110は駆動回路115~121を介して缶製品作製装置100の各部に接続されており、各部の動作を制御する。
【0016】
印刷ユニット1は、インクジェットプリンタ、レーザープリンタやサーマルプリンタ等のプリンタであって、被印刷媒体Wの被覆部分Wbに画像を印刷する。この画像は、被印刷媒体Wの面のうち画像が印刷された面とは反対側の面からユーザが画像を見たときに正像になるように、反転されている。このように、印刷ユニット1は、被印刷媒体Wに画像を印刷して搬送ユニット2に供給すると共に、白色フィルムFに画像を印刷せずに搬送ユニット2に供給する。
【0017】
表部材供給ユニット4は、表部材ストッカー40、表部材スライダー43、プッシャー45及びプッシャーモータ46を備える。表部材ストッカー40は、円筒状を有し、複数の表部材11を上下方向に積み上げられた状態で収容する。表部材スライダー43は、表部材ストッカー40の下方の位置から、型ユニット3にて第1型位置P1に配置された第1下型30へ延びている。プッシャー45はプッシャーモータ46により表部材スライダー43に沿って往復移動する。これにより、表部材11は、表部材ストッカー40から表部材スライダー43上に下降し、プッシャー45により第1下型30に向けて押されて、第1下型30に供給される。
【0018】
裏部材供給ユニット5は、裏部材ストッカー50、裏部材スライダー53、プッシャー55及びプッシャーモータ56を備える。裏部材ストッカー50は、円筒状の筒体51、筒体51の上端に設けられた開口である上開口51a、裏部材12が排出される排出口51b、上開口51aから筒体51の中心軸に沿って延びて筒体51に形成されたスリット51c、及び、スリット51cの両縁に設けられた一対のフランジ51dを有している。裏部材12は、上開口51aから筒体51内に装填され、排出口51bから排出される。裏部材スライダー53は、裏部材ストッカー50の下方の位置から、型ユニット3にて第1型位置P1に配置された第2下型31へ延びている。プッシャー55は、プッシャーモータ56により、裏部材スライダー53の上面上において裏部材スライダー53に沿って往復移動する。裏部材12は、裏部材ストッカー50から裏部材スライダー53上に下降し、プッシャー55により第2下型31に向けて押されて、第2下型31に供給される。なお、裏部材ストッカー50の詳細は後述する。
【0019】
搬送ユニット2は、搬送モータ23、駆動ローラRk及び従動ローラRoを有している。駆動ローラRkは、従動ローラRoとの間に被印刷媒体W及び白色フィルムFを挟んで、搬送モータ23により正転することにより、被印刷媒体W及び白色フィルムFを第1搬送方向Dc1に沿って第1下型30に支持された表部材11の上方に搬送する。一方、駆動ローラRkは、搬送モータ23により逆転することにより、被印刷媒体Wの残余部分Wa及び白色フィルムFの残余部分Faを第2搬送方向Dc2に沿って回収ボックス8まで搬送する。そして、残余部分Wa、Faは廃棄部分として回収ボックス8に回収される。
【0020】
押し付けユニット6は、押し付けモータ60、残余部分押下ヘッド65及び押し付けヘッド66を有する。残余部分押下ヘッド65及び押し付けヘッド66は、押し付けモータ60により被印刷媒体Wを表部材11に押圧する。この状態で、被印刷媒体Wの残余部分Waを搬送ユニット2により第2搬送方向Dc2を搬送すると、被印刷媒体Wの連結部分Wc及び線状弱部Wdが切断され、被覆部分Wbと残余部分Waとが分離される。この被覆部分Wbが表部材11の上方に残り、残余部分Waが回収ボックス8に搬送されて回収される。また、白色フィルムFについても被印刷媒体Wと同様に、被覆部分Fbと残余部分Faとが分離されて、被覆部分Fbが表部材11の上方に残り、残余部分Faが回収ボックス8に搬送されて回収される。
【0021】
型ユニット3は、表部材11を支持する第1下型30、裏部材12を支持する第2下型31、回転支持テーブル32、上型昇降モータ34、下型移動モータ35及び上型33を有する。回転支持テーブル32は、第1下型30及び第2下型31を下型移動モータ35により回動させて、上型33の下方の第2型位置P2、又は、第2型位置P2以外の第1型位置P1に移動させる。上型33が上型昇降モータ34により上昇及び下降する。
【0022】
第1下型30は、第1型位置P1にて表部材11が配置され、その上方に被覆部分Wb、Fbが配置されてから、上型33の下方の第2型位置P2に移動する。上型33は、第1下型30へ下降して被覆部分Wb、Fbを表部材11に押し付けてから、上昇して被覆部分Wb、Fbにより被覆された表部材11を第1下型30から離間させる。また、第2下型31は、第1型位置P1にて裏部材12が配置されてから、上型33の下方の第2型位置P2に移動する。上型33は、第2下型31へ下降し、被覆部分Wb、Fbの被挟持部分Wg、Fgを間に挟むように表部材11と裏部材12とをかしめて、缶製品10を作製させる。
【0023】
取り出しユニット7は、取り出しモータ70、スイングアーム71、磁石部材72及び座部73を有する。スイングアーム71は、その先端に磁石部材72が装着されており、磁石部材72が第2下型31と座部73との間を移動するように取り出しモータ70により回動する。このスイングアーム71の回動により、磁石部材72が、第2下型31に支持された缶製品10に付着してから、缶製品10を座部73に移動させる。この缶製品10は、下り勾配の座部73を缶製品収容器9へ滑り降り、缶製品収容器9内に収納される。
【0024】
<裏部材>
裏部材12は、
図12の例に示す缶部材の装填治具80の支持部81に支持されて、缶製品作製装置100の裏部材ストッカー50に装填される。このため、
図6A~
図7Bの例に示すように、裏部材12は、留め具13が装着される装着面12cにおいて、支持部81に支持されるための付属具14が装着されており、付属具14と共に缶部材ユニット15を構成している。なお、装着面12cに平行な方向であって、且つ、互いに交差(例えば、直交)する方向を縦方向及び横方向と称する。装着面12cに対して直交(例えば、直交)する方向を厚み方向と称する。但し、裏部材12の配置はこれに限定されない。また、缶部材として裏部材12について説明するが、缶部材はこれに限定されず、例えば表部材11であってもよい。
【0025】
裏部材12は、厚み方向に沿って見て円形状の裏板部12a、及び、裏板部12aの縁から突出する円環状の裏縁部12bを有している。例えば、裏縁部12bは、裏板部12aの縁に接続された基端、及び、基端の直径よりも直径が大きい先端を有している。裏板部12aは、その中央において円形状の平坦な平坦領域12a1、及び、平坦領域12a1の縁及び裏縁部12bの基端に接続された円環状の傾斜領域12a2を有している。平坦領域12a1に装着面12cが設けられ、装着面12cは裏部材12と同心に配置されている。傾斜領域12a2は、厚み方向において平坦領域12a1の延長面上に裏縁部12bの先端が位置するように傾斜している。これにより、裏部材12の厚みは、厚み方向において、平坦領域12a1及び裏縁部12bの先端と、裏縁部12bの基端との間の寸法である。
【0026】
留め具13は、缶製品10を衣服及び鞄などの被留め部に留めるための部材である。以下では、留め具13として安全ピンについて説明するが、留め具13はこれに限定されず、マグネットなどでもよい。留め具13としての安全ピンの針13aは、厚み方向において装着面12cと間隔を空けて設けられ、横方向に延びている。
【0027】
付属具14は、基板14aを有している。基板14aは、装着面12cと同じ又はほぼ同じ大きさの円を、横方向に延びる直線により切断された形状を有している。基板14aは、平板状であって、その一方面が装着面12cに対向している。
【0028】
付属具14は、嵌入部14bを有している。嵌入部14bは、横方向に直交する平板状であって、厚み方向におけるその基端が基板14aに接続されており、その先端にはV字状の窪みが設けられている。1つ又は複数(この実施の形態では2つ)の嵌入部14bが基板14aと留め具13の針13aとの間に嵌められている。これにより、基板14a及び嵌入部14bが、裏部材12の装着面12cと裏部材12に取り付けられた留め具13の針13aとの間に挟持されることにより、付属具14が裏部材12に装着される。また、針13aが嵌入部14bの窪みに嵌められていることにより、針13aの動きが嵌入部14bにより規制されるため、針13aの動きに起因した騒音及び裏部材12の損傷などを低減することができる。さらに、複数の嵌入部14bが横方向において針13aの中央を互いの間に挟んで間隔を空けて配置されることにより、針13aが複数個所で嵌入部14bにより安定的に支持される。
【0029】
付属具14は、回動支持部14c及び把持部14dを有している。回動支持部14c及び把持部14dは、横方向において基板14aの中央に配置されている。縦方向における基板14aの一端に回動支持部14cが接続され、基板14aの他端に把持部14dが接続されている。回動支持部14cは、横方向に沿って見たときに、縦方向において把持部14dから離れる方向に突出する屈曲面を有している。例えば、回動支持部14cは、基板14aに接続された傾斜部14c1、及び、傾斜部14c1に接続された端部14c2を有している。傾斜部14c1及び端部14c2は、横方向に延びた平板状である。横方向に沿って見たときに、端部14c2は基板14aに対して垂直に設けられ、傾斜部14c1は基板14aとの成す角のうち小さい方の角及び端部14c2との成す角のうち小さい方の角が鈍角になるように設けられている。嵌入部14bは、回動支持部14c、基板14a及び後述の第1部14fに囲まれた空間に配置され、これらに接続されている。これにより、回動支持部14c、第1部14f及び嵌入部14bの強度が高められる。
【0030】
把持部14dは、横方向に直線状に延びている。把持部14dは、縦方向において回動支持部14cから離れるほど、厚み方向において基板14aから離れる方向に傾斜しており、裏部材12の傾斜領域12a2に対向している。把持部14dは、ユーザにより把持されて、付属具14が装着面12cに対して回動可能である。この付属具14の回動において、嵌入部14bが窪みで針13aに当接すると共に回動支持部14cが装着面12cに当接した状態で、把持部14dが装着面12cに近い近接位置と近接位置よりも装着面12cから遠い離隔位置との間で移動する。近接位置は、基板14aが装着面12cに対して平行で且つ装着面12cに当接した状態における把持部14dの位置である。離隔位置は、基板14aが装着面12cに対して傾斜し装着面12cから離れた状態における把持部14dの位置であって、厚み方向において近接位置よりも装着面12cから離れている。
【0031】
嵌入部14bが装着面12cと針13aとの間に嵌められて付属具14が裏部材12に装着された状態において、把持部14dが近接位置と離隔位置との間で移動することにより、付属具14は回動支持部14cで装着面12cに対して支持されて回動する。ここで、把持部14dが近接位置に位置するときには、回動支持部14cの傾斜部14c1が装着面12cに対して傾斜し、端部14c2が装着面12cに対して垂直に設けられる。把持部14dが近接位置から離隔位置に移動するに伴い、付属具14が回動して、回動支持部14cの傾斜部14c1が装着面12cに対して平行になり装着面12cに当接する。これにより、裏部材12の端、及び、把持部14dは、床などの当接面Aに当接して、裏部材12を起立状態で当接面Aに対して支持する脚部を成す。このため、付属具14は、裏部材12を用いた缶製品10のスタンドとして機能する。
【0032】
さらに、厚み方向においては把持部14dが離隔位置よりも装着面12cから離れるように、付属具14が回動すると、回動支持部14cの端部14c2が装着面12cに対して平行になり装着面12cに当接する。これにより、嵌入部14bが装着面12cと針13aとの間から抜け、付属具14が裏部材12から取り外される。反対に、付属具14を回動しながら、嵌入部14bが装着面12cと針13aとの間に嵌めると、付属具14が裏部材12から取りつけられる。このように、付属具14は裏部材12に対して脱着可能である。なお、把持部14dの両端は、一対の連結部14eに接続されている。連結部14eは、基板14aから厚み方向に突出し、横方向における把持部14dの端と後述の第2部14gとの間に延びている。この連結部14eにより把持部14dが基板14a及び第2部14gに連結されているため、把持部14dの強度が高められる。
【0033】
付属具14は、第1部14f及び第2部14gを有している。第1部14f及び第2部14gは、横方向に延びる平板状であって、基板14aから厚み方向に突出している。縦方向において、回動支持部14c、第1部14f及び第2部14gは、互いに間隔を空けながら、この順で並んでいる。第1部14f及び第2部14gは、縦方向において所定長さだけ離れて配置され、互いに平行に配置されている。第1部14f及び第2部14gは、縦方向において装着面12cの中心12dを互いの間に挟み、第1部14fは第2部14gよりも中心12dに近い。このため、第1部14fと中心12dとの第1間隔L1は、第2部14gと中心12dとの第2間隔L2も小さい。これにより、縦方向における幅が所定長さ以下の支持部81が第1部14fと第2部14gとの間に挿入されるときに、裏部材12は縦方向において支持部81に対して偏って配置される。
【0034】
付属具14は、第3部14hを有している。第3部14hは、縦方向に延びる平板状であって、基板14aから厚み方向に突出している。第1部14f及び第2部14gは、横方向において装着面12cの中央に配置されているのに対し、第3部14hは装着面12cの中心12dよりも横方向の一方に配置されている。これにより、第3部14hは、第1部14fから第2部14gへ向かう方向に対して交差する交差方向において装着面12cの中心12dから一方へ離れた位置に設けられている。例えば、第1部14fから第2部14gへ向かう方向は、第1部14f及び第2部14gが延びる方向に対して交差(例えば、直交)する方向である。
【0035】
第3部14hにおける縦方向の一端は第1部14fにおける横方向の一端に接続され、第3部14hの他端は第2部14gにおける横方向の一端に接続されている。このため、第1部14f、第2部14g及び第3部14hは、コの字状(Uの字状)に配置されている。この第1部14f、第2部14g及び第3部14hにより囲まれた空間は、装填治具80の支持部81が横方向に挿入される挿入空間として用いられる。挿入空間は、横方向における一方が第3部14hにより閉じられており、横方向における他方が開放されている。この開放された部分から第1部14f及び第2部14gの間に支持部81が挿入されるとき、この挿入路の延長線と第3部14hは交差する。
【0036】
なお、付属具14は、
図8A及び
図8Bの例に示すように、フック14iを有していてもよい。この場合、第1部14fは、L字形状である。第1部14fは、2つの嵌入部14bのうちの一方の嵌入部14bに接続され、嵌入部14bから縦方向に延び、さらに曲がって横方向において第3部14hから離れる方向へ延びる。この横方向に延びる部分は、縦方向において所定長さだけ離れて、第2部14gと平行に配置されている。裏部材12を装填治具80の支持部81により支持する際、互いに平行に配置された第1部14fと第2部14gとの間に支持部81が挿入される。また、第3部14hは、2つの嵌入部14bのうちの他方の嵌入部14bに接続され、嵌入部14bから縦方向に延びて、第2部14gに接続される。互いに平行に配置された第1部14fと第2部14gとの間に支持部81が挿入されるとき、この挿入路の延長線と第3部14hは交差する。
【0037】
フック14iは、固定部14jにより回動支持部14cに接続されている。固定部14jは、その一端が回動支持部14cに接続され、回動支持部14cから縦方向に延びて、留め具13の針13aと装着面12cとの間を通過する。それから、固定部14jは、厚み方向において装着面12cから離れる方向へ突出してから、その他端がフック14iに接続されている。フック14iは、平板状であって、装着面12cに対して平行な状態で第2部14gに向かって縦方向に延びている。フック14iの端は、第2部14gに至らず、縦方向において第2部14gとの間に間隔を空けられている。フック14iは、横方向において第1部14fと第3部14hとの間に配置されている。厚み方向において、フック14iは、第1部14f及び第3部14hよりも装着面12cから離れて配置されているため、フック14iと第1部14f及び第3部14hとの間に間隔が設けられる。この間隔に被留め部が挿入されると、被留め部はフック14iと第1部14f及び第3部14hとの間に挟まれて、裏部材12を含む缶製品10が被留め部に装着される。また、この場合、第1部14f、第2部14g、第3部14h、フック14i及び装着面12cにより取り囲まれる挿入空間に支持部81が挿入される。
【0038】
<缶部材の装填治具>
缶部材の装填治具80は、
図9A~
図14の例に示すように、第1方向に沿って延びる延伸部84と、第1方向に対して交差する第2方向へ延伸部84から突出し、第1方向に沿って間隔を空けながら並び、間隔における裏部材12を支持するための複数の支持部81と、を備えている。また、缶部材の装填治具80は、延伸部84から第2方向へ突出するハンドル86を備えており、延伸部84は、支持部81とハンドル86との間にある。以下では、缶部材の装填治具80を、裏部材12を用いて缶製品10を作製する缶製品作製装置100における筒状の裏部材ストッカー50に複数の裏部材12を装填するための治具として説明する。ただし、装填治具80は、これに限定されず、裏部材ストッカー50以外の部材に裏部材12を装填してもよい。
【0039】
なお、延伸部84が延びる第1方向を上下方向と称する。第1方向に対して交差(例えば、直交)する第2方向において延伸部84から支持部81が突出する方向を前と称し、第2方向において前と反対の方向を後と称する。つまり、第2方向を前後方向と称する。第1方向及び第2方向に対して交差(例えば、直交)する第3方向を左右方向と称する。但し、缶部材の装填治具80の配置はこれに限定されない。また、この装填治具80の配置に合わせて、裏部材ストッカー50のスリット51c及び排出口51bが筒体51の後端に位置するように、以下では説明するが、裏部材ストッカー50の配置はこれに限定されない。さらに、裏部材ストッカー50の配置に合わせて、裏部材スライダー53は裏部材ストッカー50の下方の位置から後方に延びているように、以下では説明するが、裏部材スライダー53の配置はこれに限定されない。
【0040】
具体的には、装填治具80は、延伸部84及び、延伸部84から前方に突出する複数の支持部81を備えている。装填治具80は、支持部81により裏部材12を支持し、延伸部84を一対のフランジ51dの間に挟んだ状態で上開口51aから筒体51内に裏部材12を挿入してから、支持部81をスリット51cを介して筒体51外に抜き出すことにより、裏部材12を裏部材ストッカー50に装填する。この延伸部84及び支持部81は、ポリプロピレン及びポリエチレンなどの樹脂により一体的に形成されている。このため、複雑な形状の装填治具80を容易に製造することができる。
【0041】
延伸部84は、例えば略平板形状であって、上下方向に延びて、第1幅広部分84a及び第1幅狭部分84bを有している。左右方向において、第1幅広部分84aの幅は、上下方向において一定であって、裏部材ストッカー50においてスリット51cの幅、及び、スリット51cを互いの間に挟む一対のフランジ51dの間隔よりも小さい。このため、裏部材ストッカー50に裏部材12を装填する際に、延伸部84が一対のフランジ51dの間においてフランジ51dに沿って移動するため、装填治具80を移動させ易い。
【0042】
第1幅狭部分84bは、第1幅広部分84aよりも下方に配置されており、その上端が第1幅広部分84aの下端に接続されている。左右方向において、第1幅狭部分84bの幅は、第1幅広部分84aの幅よりも小さい。第1幅狭部分84bは、第1定幅部分84b1及び第1傾斜部分84b2を有している。第1傾斜部分84b2は、上下方向において第1幅広部分84aと第1定幅部分84b1との間に配置され、第1幅広部分84aから第1定幅部分84b1に向かって左右方向における幅が小さくなっている。第1定幅部分84b1は、左右方向における幅が上下方向において一定である。裏部材12を裏部材ストッカー50に装填する際に、第1幅狭部分84bを第1幅広部分84aよりも先に一対のフランジ51dの間に挿入するため、延伸部84を一対のフランジ51dの間に挿入し易い。また、第1傾斜部分84b2により尖った角が延伸部84に設けられないため、尖った角による装填治具80及び裏部材ストッカー50などの損傷を低減することができる。
【0043】
延伸部84は突出部85に接続されている。突出部85の上部は延伸部84の下端に接続されて延伸部84から後方に延び、突出部85の下部は下方に延びている。突出部85の下部は、前後方向に対して交差(例えば、直交)する平板状であって、上下方向において、突出部85の長さは、裏部材ストッカー50の排出口51bの長さと同じ又はそれよりも大きい。このため、延伸部84を一対のフランジ51dの間に挿入した状態で、突出部85は排出口51bに対向する。この突出部85には支持部81が設けられておらず、突出部85よりも上方の延伸部84に支持部81が設けられているため、支持部81により支持された裏部材12は排出口51bよりも上に配置される。これにより、支持部81をスリット51cから抜く際に、裏部材12が排出口51bから排出されずに、裏部材12の直径よりも幅が狭いスリット51cを間に挟む筒体51の両縁に係止され、筒体51内に残存する。
【0044】
ハンドル86は、上下方向に長い平板状であり、上下方向及び左右方向における延伸部84の中央に配置され、延伸部84の後面から後方に突出している。このようなハンドル86をユーザが把持することにより、装填治具80を移動させ易い。
【0045】
ハンドル86の上端及び下端は延伸リブ87に接続されている。延伸リブ87は、左右方向における延伸部84の中央に配置されており、延伸部84及び突出部85の後面から後方に突出している。前後方向において延伸リブ87の長さはハンドル86の長さより短い。延伸リブ87は、ハンドル86の上端から延伸部84の上端まで延び、また、ハンドル86の下端から突出部85の下端まで延びる。このように、延伸リブ87及びハンドル86は、延伸部84及び突出部85において上下方向に延びるため、延伸部84及び突出部85の強度を向上することができる。
【0046】
複数の支持部81は、延伸部84に設けられており、上下方向に一定の間隔を空けながら、一列に並んでいる。支持部81は、延伸部84の前面から前方に突出し、支持部81は、平板状の支持板82及び支持リブ83を有している。支持リブ83は、左右方向における支持板82の中央において支持板82の下面から下方に突出し、支持板82の全長に亘って前後方向に延びている。この支持リブ83により支持板82の強度を向上することができる。
【0047】
上下方向において互いに隣接している支持部81の間隔は、支持板82の上面と、この上面に対向する支持リブ83の下面との間隔である。上下方向における裏部材12の厚みは支持部81の間隔以下である。裏部材12は、支持部81の間隔に充填されると、下の支持部81の支持板82及び上の支持部81の支持リブ83により挟持され、上の支持部81及び下の支持部81により支持される。このように、支持部81の間隔に裏部材12を充填するだけで、裏部材12を装填治具80の支持部81により容易に支持される。
【0048】
支持板82は、第2幅広部分82a及び第2幅狭部分82bを有している。第2幅広部分82aは、前後方向において第2幅狭部分82bよりも延伸部84に近く、その前端が第2幅狭部分82bの後端に接続されている。左右方向における第2幅広部分82aの幅は、缶部材ユニット15の第1部14fと第2部14gとの間隔以下であって、支持部81は第1部14fと第2部14gとの間の挿入空間に挿入される。左右方向における第2幅狭部分82bの幅は、第2幅広部分82aよりも小さく、前方ほど小さくなっている。このため、裏部材12を支持部81の間隔に充填する際に、支持部81の第2幅広部分82aよりも先に第2幅狭部分82bを缶部材ユニット15の挿入空間に挿入するため、支持部81を挿入空間に挿入し易い。
【0049】
このように、裏部材12を支持部81の間隔に充填する際に、裏部材12の前後方向の誤りを抑制することができる。具体的には、
図10Aの例では、前後方向において缶部材ユニット15の第1部14f及び第2部14gが第3部14hよりも延伸部84に近い。この場合、第1部14fと第2部14gとの間から第3部14hに向かって支持部81を挿入空間に挿入すると、支持部81は第1部14fと第2部14gとの間に位置し、支持部81の前端は第3部14hの対向面に対向する。これに対し、
図10Bの例に示すように、前後方向において第1部14f及び第2部14gが第3部14hよりも延伸部84から遠い。この場合、支持部81は第1部14fと第2部14gとの間の挿入空間に挿入されずに、支持部81の前端は第3部14hの対向面とは反対の面に対向する。この第3部14hは、前後方向において裏部材12の装着面12cの中心12dから一方へ離れた位置に設けられ、中心12dは第1部14fと第2部14gとの間に配置されている。このため、
図10Aの場合に支持部81の前端から前方に突出している裏部材12の長さよりも、
図10Bの場合に支持部81の前端から前方に突出している裏部材12の長さの方が長い。このため、ユーザは裏部材12を前後方向に間違って装填治具80の間隔に充填されることを抑制することができる。
【0050】
また、裏部材12を支持部81の間隔に充填する際に、裏部材12の上下方向の誤りを抑制することができる。具体的には、
図10A及び
図11Aの例では、裏部材12の装着面12cを下にして支持部81を第1部14fと第2部14gとの間に挿入する。これに対し、
図11Bの例では、裏部材12の装着面12cを上にして支持部81を第1部14fと第2部14gとの間に挿入する。この第1部14fは、左右方向において第2部14gよりも装着面12cの中心12dに近いため、
図11Bのように装着面12cを上にした裏部材12は、
図11Aのように装着面12cを下にした裏部材12よりも、支持部81から左にずれている。このため、ユーザは裏部材12を上下方向に間違って装填治具80の間隔に充填されることを抑制することができる。
【0051】
前後方向における支持部81の長さは裏部材ストッカー50の筒体51の内径よりも短い。また、左右方向における支持部81の幅は、延伸部84の第1幅広部分84aの幅及び裏部材ストッカー50のスリット51cの幅よりも小さく、延伸部84の第1幅狭部分84bの幅以下である。これに対し、支持部81により支持された裏部材12の直径は裏部材ストッカー50のスリット51cの幅よりも大きい。このため、裏部材12を裏部材ストッカー50に装填する際に、延伸部84を筒体51の外に配置し、延伸部84から突出した支持部81をスリット51cに通して、支持部81により支持された裏部材12を筒体51内に挿入させることができる。それから、筒体51内に裏部材12を残したまま、支持部81をスリット51cに通して筒体51の外に抜き出すことができる。
【0052】
複数の支持部81のうち、延伸部84の上端に設けられた上端の支持部81は、これ以外の他の支持部81と形状が異なっていてもよい。すなわち、裏部材12を支持部81の間隔に充填する際に、他の支持部81は缶部材ユニット15の挿入空間に挿入されるが、上端の支持部81は挿入空間に挿入されない。このため、上端の支持部81は、左右方向における幅が前後方向に一定の矩形状であって、その幅が第1部14fと第2部14gとの間の挿入空間の幅よりも大きくてもよい。この場合も、上端の支持部81は、他の支持部81と同様に、裏部材ストッカー50のスリット51cの幅よりも小さい幅であるため、スリット51cから筒体51の外へ抜き出すことが可能である。なお、上端の支持部81は、他の支持部81と同様に、第2幅狭部分82bを有していてもよい。
【0053】
<裏部材ストッカー>
裏部材ストッカー50は、
図12~
図16の例に示すように、上下方向に延びる中心軸を有する円筒状の筒体51を備えている。筒体51は、上開口51a、排出口51b、スリット51c、一対のフランジ51d及びプッシャー口51eを有している。筒体51の内径及び上開口51aの直径は、裏部材12の直径よりも少し大きい。このため、筒体51の中心軸に対して裏部材12の装着面12cが直交するように、裏部材12が上開口51aから筒体51内に挿入されて、複数の裏部材12が積層されて筒体51内に収容される。
【0054】
筒体51内において、
図16の例に示すように、裏部材12よりも付属具14が下に位置するように、複数の缶部材ユニット15が積層されている。付属具14では、上下方向において、回動支持部14cの寸法及び第2部14gの寸法は、互いに等しく、第1部14f及び第3部14hなど他の部分の寸法よりも大きい。また、上下方向において、回動支持部14cの寸法及び第2部14gの寸法は、留め具13の寸法よりも大きい。このため、上の缶部材ユニット15の回動支持部14c及び第2部14gは、その裏部材12を下の裏部材12に対して支持する。このように、上下方向において互いに隣接する裏部材12同士の間において付属具14はスペーサを成し、筒体51内において裏部材12を互いに平行に積み重ねることができる。
【0055】
スリット51cは、
図12~
図16の例に示すように、筒体51の後端において上開口51aから下方に延びる開口である。一対のフランジ51dは、スリット51cを互いの間に挟む筒体51の両縁から後方へそれぞれ突出している。一対のフランジ51dは、互いに平行に設けられ、上下方向においてスリット51cの全長に亘って設けられている。このフランジ51dは、筒体51と一体的に形成されていることにより、筒体51の強度を向上することができる。
【0056】
排出口51bは、筒体51の後端においてスリット51cに連通した開口である。上下方向における排出口51bの高さが裏部材12の高さ以上であり、左右方向における排出口51bの幅が裏部材12の直径以上である。また、プッシャー口51eは、筒体51の前端において排出口51bに対向した開口である。プッシャー55はプッシャー口51eを通過して筒体51の内外を往復移動する。プッシャー55は、後方に移動して、筒体51内の裏部材12を押して排出口51bから排出させる。一方、プッシャー55は、前方に移動して筒体51外に後退することにより、筒体51内において裏部材12が排出口51bとプッシャー口51eとの間に下降する。
【0057】
このような筒体51の下端に取り付け部51fが接続されている。取り付け部51fは、排出口51bとプッシャー口51eとの間の筒体51から下方に延びている。取り付け部51fが裏部材スライダー53の取り付け孔53aに挿入されることにより、筒体51は裏部材スライダー53に取り付けられて、裏部材スライダー53の上面上に配置される。
【0058】
<缶部材の装填方法>
缶部材の装填方法は、裏部材12を用いて缶製品10を作製する缶製品作製装置100における筒状の裏部材ストッカー50に、装填治具80を用いて複数の裏部材12を装填する方法である。裏部材ストッカー50は、円筒状の筒体51、筒体51の上端に設けられた上開口51a、及び上開口51aから中心軸に沿って延びて筒体51に形成されたスリット51cを有している。装填治具80を、延伸部84の第1方向の一端部を先にして上開口51aから筒体51内へ挿入することで、支持部81に支持された裏部材12は筒体51内に位置すると共に延伸部84は筒体51外に位置する状態とする。そして、この状態から装填治具80を、スリット51cを介して支持部81を筒体51外へ向かわせるよう移動させることで、装填治具80を筒体51外へ取り出しつつ、裏部材12を筒体51内に残置させる。
【0059】
具体的には、
図12の例に示すように、ユーザは、複数の裏部材12を装填治具80の間隔に充填し、装填治具80のハンドル86を把持して、延伸部84の第1幅広部分84aよりも第1幅狭部分84bを下にする。そして、ユーザは、延伸部84が筒体51の外に配置され、延伸部84から突出する支持部81がスリット51cを通過するように、支持部81により支持された裏部材12を上開口51aから筒体51内に挿入する。
【0060】
それから、
図13の例に示すように、ユーザは、延伸部84を一対のフランジ51dの間に配置し、延伸部84をスリット51cに沿わせて、装填治具80を下方に移動させる。これにより、延伸部84よりも下の突出部85が床などに当接し、ユーザは装填治具80の下方への移動を停止する。ここで、装填治具80における最上位の支持部81が筒体51の上端よりも下方に配置されるため、支持部81により支持されている裏部材12は筒体51内に収容される。また、突出部85は、裏部材ストッカー50の排出口51bに対向する。この突出部85よりも上に配置された延伸部84に支持部81が設けられているため、支持部81により支持されている裏部材12は、排出口51bよりも上においてその周囲が筒体51に囲まれる。
【0061】
ここで、
図14の例に示すように、ユーザが装填治具80を後方に移動させると、支持部81はスリット51cを通り筒体51の外に抜かれる。これに対し、裏部材12は筒体51の内面に係止されて筒体51内に残る。このようにして、裏部材12が裏部材ストッカー50に装填される。
【符号の説明】
【0062】
10 :缶製品
12c :装着面
12d :中心
13 :留め具
14c2 :端部
14f :第1部
14g :第2部
14h :第3部
31 :第2下型(下型)
50 :裏部材ストッカー(ストッカー)
51 :筒体
51c :スリット
80 :装填治具
81 :支持部
82a :第2幅広部分
82b :第2幅狭部分
84 :延伸部
84a :第1幅広部分
84b :第1幅狭部分
86 :ハンドル
100 :缶製品作製装置