(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082096
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】包装体及び包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20240612BHJP
B65D 33/00 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
B65D81/34 Z
B65D33/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195815
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(72)【発明者】
【氏名】青木 和美
(72)【発明者】
【氏名】藤本 雄斗
【テーマコード(参考)】
3E013
3E064
【Fターム(参考)】
3E013BA02
3E013BA11
3E013BB13
3E013BC04
3E013BC12
3E013BC14
3E013BD11
3E013BD15
3E013BE01
3E013BF03
3E013BF27
3E013BF37
3E013BG15
3E013BG17
3E064AB25
3E064BA27
3E064BA30
3E064BA36
3E064BB03
3E064BC01
3E064BC08
3E064BC18
3E064EA07
3E064FA03
3E064GA01
3E064HN06
3E064HP01
(57)【要約】
【課題】落下等の衝撃が加わっても十分に密封性を維持することが可能な蒸気抜きシール部を有する包装体を提供すること。
【解決手段】包装袋100と収容部22に収容された内容物20とを備え、内容物20を収容する収容部22を有する包装体200であって、一対のシート10a,10bの両端部同士をヒートシールして形成されるサイドシール部34は、収容部22の中央に向かって突出するように設けられる蒸気抜きシール部50を有する。包装体200を蒸気抜きシール部50を有するサイドシール部34が下方となる状態で落下したときに、蒸気抜きシール部50の内縁51に沿って生じる最大主歪みのうち最大となる位置における最大主歪みのベクトルの方向を第1方向、及び、加熱時における蒸気抜きシール部50のシールの後退方向を第2方向としたときに、平面視における第1方向と第2方向とのなす角度θが50°~130°である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する収容部を有する包装体であって、
重ね合わせられた一対のシートの両端部同士をヒートシールして形成される一対のサイドシール部のうち、少なくとも一方の前記サイドシール部は、前記収容部の中央に向かって突出するように設けられる蒸気抜きシール部を有し、
前記蒸気抜きシール部を有する前記サイドシール部が下方となる状態で落下したときに、前記蒸気抜きシール部の内縁に沿って生じる最大主歪みのうち最大となる位置における最大主歪みのベクトルの方向を第1方向、及び、加熱時における前記蒸気抜きシール部のシールの後退方向を第2方向としたときに、
平面視における前記第1方向と前記第2方向とのなす角度θが50°~130°である、包装体。
【請求項2】
前記最大主歪みが最大となる前記位置は、前記蒸気抜きシール部のシールの後退によって形成される通蒸口からずれている、請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
平面視において、前記蒸気抜きシール部を上下に二分するように前記シートを横断する仮想直線に対して、前記蒸気抜きシール部は線対称となる形状を有する、請求項1に記載の包装体。
【請求項4】
前記最大主歪みの最大値が得られるタイミングにおける前記蒸気抜きシール部の内縁に沿う最大主歪みの分布が複数のピークを有する、請求項1に記載の包装体。
【請求項5】
前記蒸気抜きシール部の内縁に沿って測定される最大主歪みの標準偏差が、0.040以下である、請求項1に記載の包装体。
【請求項6】
前記内容物に含まれる液体成分の20℃における粘度が0.001~20Pa・sである、請求項1に記載の包装体。
【請求項7】
前記内容物の20℃における密度が0.8~3g/cm3である、請求項1に記載の包装体。
【請求項8】
前記収容部の内容積に対する前記内容物の体積の比率は15%以上である、請求項1に記載の包装体。
【請求項9】
電子レンジによる加熱用である、請求項1に記載の包装体。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の包装体に用いられる包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包装体及び包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料、及び食料品等の密封保存が可能であり、開封前に電子レンジ等で内容物を加熱できる包装体が知られている。このような包装体は、加熱によって破裂することを避けるために、内圧の上昇に伴って蒸気を逃がす通蒸口を形成する蒸気抜きシール部を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。蒸気抜きシール部の形状としては、包装体における側部シール部(サイドシール部)が収容部側に張り出した張出部分を有するものが知られている。内容物が加熱され蒸気が発生して包装体内の内圧が上昇すると、張出部分のシールが剥離して通蒸口が形成され、蒸気が包装体内部から外部に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蒸気抜き構造は、包装体の内圧が所定値以上に上昇した場合に円滑にシールが剥離して通蒸口を形成する必要がある。このため、蒸気抜き構造は、他のシール部に比べて剥離し易くなっている。ところで、包装体は、製造過程のみならず、搬送、保管、陳列、販売といった経路を経てユーザーに購入された後、加熱されて開封される。このように、加熱されて通蒸口を形成されるまでに、多くのプロセスを経ることになるため、加熱前に、落下等の衝撃が加わる場合がある。このような衝撃が加わった場合には、他のシール部に比べて剥離し易くなっている蒸気抜きシール部のシールが剥離して内容物が漏れてしまうことが懸念される。
【0005】
そこで、本開示は、蒸気抜きシール部を有しつつ、落下等の衝撃が加わっても十分に密封性を維持することが可能な蒸気抜きシール部を有する包装体を提供する。また、本開示は、そのような包装体に用いられる包装袋を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面は、内容物を収容する収容部を有する包装体であって、
重ね合わせられた一対のシートの両端部同士をヒートシールして形成される一対のサイドシール部のうち、少なくとも一方の前記サイドシール部は、前記収容部の中央に向かって突出するように設けられる蒸気抜きシール部を有し、
前記蒸気抜きシール部を有する前記サイドシール部が下方となる状態で落下したときに、前記蒸気抜きシール部の内縁に沿って生じる最大主歪みのうち最大となる位置における最大主歪みのベクトルの方向を第1方向、及び、加熱時における前記蒸気抜きシール部のシールの後退方向を第2方向としたときに、
平面視における前記第1方向と前記第2方向とのなす角度θが50°~130°である、包装体を提供する。
【0007】
蒸気抜きシール部を有する包装体は、加熱して収容部の内圧が上昇し収容部が所定の圧力に到達すると、蒸気抜きシール部の内縁から外縁に向かってシールが後退する。そして、剥離が蒸気抜きシール部の外縁に到達することによって通蒸口が形成されて蒸気が流通し、収容部の内部から外部に蒸気抜きがなされる。このため、通常、包装体の蒸気抜きシール部では、通蒸口が形成される蒸気抜きシール部の内縁におけるシールの後退方向(第2方向)に沿ってシールの剥離が進行し易くなっている。ここで、上記包装体は、蒸気抜きシール部を有するサイドシール部が下方となる状態で包装体を落下させたときに、最大主歪みが最大となる位置における最大主歪みのベクトルの方向を第1方向としたときに、平面視における第1方向と第2方向とのなす角度θが50°~130°である。このように、落下によって生じる最大の最大主歪みのベクトルの方向と、通蒸口が形成される際のシールの後退方向とが、互いに平行にならず、90°±40°の角度で交わっている。したがって、包装体に落下等の衝撃が加わったときに蒸気抜きシール部が剥離し難くなっており、十分に密封性を維持することできる。
【0008】
本開示の一側面は、上記包装体に用いられる包装袋を提供する。このような包装袋で構成される包装体は、落下等の衝撃が加わったときに蒸気抜きシール部が剥離し難くなっている。このため、この包装袋を用いて得られる包装体は、十分に密封性を維持することできる。
【発明の効果】
【0009】
本開示は、蒸気抜きシール部を有しつつ、落下等の衝撃が加わっても十分に密封性を維持することが可能な蒸気抜きシール部を有する包装体を提供することができる。また、そのような包装体に用いられる包装袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る包装袋を立体的に示す図である。
【
図3】
図1の包装袋における蒸気抜きシール部とその近傍を拡大して示す平面図である。
【
図5】(A)は積層シートの引張試験によって得られた公称応力-公称歪み曲線を示し、(B)はMD方向に沿って引張試験を行って得られた真応力-塑性歪み曲線を示す図である。
【
図6】実施例1の蒸気抜きシール部の内縁の要素において最大主歪みの最大値が得られるタイミングにおける最大主歪みの分布を示すコンター図である。
【
図7】蒸気抜きシール部の内縁の弧長を正規化して最大主歪みの分布を示す図である。
【
図8】実施例1の包装体を平面視したときの第1方向D1及び第2方向D2を示す図である。
【
図9】実施例2の包装体を平面視したときの第1方向D1及び第2方向D2を示す図である。
【
図10】実施例2の蒸気抜きシール部の内縁の要素において最大主歪みの最大値が得られるタイミングにおける最大主歪みの分布を示すコンター図である。
【
図11】比較例1の包装体を平面視したときの第1方向D1及び第2方向D2を示す図である。
【
図12】比較例1の蒸気抜きシール部の内縁の要素において最大主歪みの最大値が得られるタイミングにおける最大主歪みの分布を示すコンター図である。
【
図13】(A)は実施例1Aの包装体を平面視したときの第1方向D1及び第2方向D2を示す図である。(B)は、実施例1Bの包装体を平面視したときの第1方向D1及び第2方向D2を示す図である。
【
図14】(A)は実施例2Aの包装体を平面視したときの第1方向D1及び第2方向D2を示す図である。(B)は、実施例2Bの包装体を平面視したときの第1方向D1及び第2方向D2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、場合により図面を参照して、本開示の実施形態を説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合により重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す符号の向きを基準とする位置関係に基づくものとする。各要素の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0012】
図1の包装体200は、包装袋100と包装袋100の収容部22に収容された内容物20とを備える。包装袋100は、側面をなす一対のシート10a,10bと、底部をなすシート10c(ガゼットシート)とで構成される。包装袋100は、上端部に上端シール部31と、両方の側端部にサイドシール部33,34と、下端部に下端シール部35,36とを有する。天部をなす上端シール部31と一対のサイドシール部33,34は、シート10a,10bの最内層であるシーラント層同士を重ね合わせてヒートシールして形成されてよい。
【0013】
下端シール部35(ガゼットシール部)は、シート10a,10cの最内層であるシーラント層同士を重ね合わせてヒートシールして形成されてよい。下端シール部36(ガゼットシール部)は、シート10b,10cの最内層であるシーラント層同士を重ね合わせてヒートシールして形成されてよい。包装体200は、底部にマチを有するため、例えば、スタンディングパウチにすることができる。
【0014】
シート10a,10b,10cは、収容部22側からシーラント層、樹脂層、及び基材層をこの順に有する積層シート(積層体)であってよい。基材層は、例えば、PETフィルム等の樹脂層の上にバリア層(蒸着層)が形成された蒸着フィルム(透明蒸着フィルム)であってよい。バリア層としては、アルミナ蒸着膜及びガラス蒸着膜等の無機蒸着膜が挙げられる。シーラント層としては、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム、及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルムが挙げられる。樹脂層としては、ナイロンフィルム及び接着剤層が挙げられる。
【0015】
シート10a,10b,10cの最内層(シーラント層)同士は、上端シール部31、サイドシール部33,34及び下端シール部35,36においてヒートシールされている。すなわち、
図1にドットで示している部分はヒートシールによって形成されたシール部を示している。これらのシール部以外の部分においては、シート10a,10b,10cは、ヒートシールされていない(非シール部)。包装体200(包装袋100)における非シール部は、各シール部で封止され、内容物20を収容する内部空間(収容部22)を形成する。内容物20は、包装体200の収容部22に密封保管される。
【0016】
包装体200は、上端部がヒートシールされていない包装袋を用いて製造してもよい。すなわち、上端シール部31が形成される前の包装袋に、上端の開口から内容物20を入れて、その後、シート10a,10bの上端部をヒートシールする。このようにして、上端シール部31を形成すれば、
図1に示す、包装袋100、及び内容物20が包装袋100の収容部22に収容された包装体200を得ることができる。
【0017】
包装体200(包装袋100)のサイドシール部33,34には、一対のノッチ41,41が設けられている。一対のノッチ41,41を結ぶように図示しない切り取り予定線が設けられていてもよい。エンドユーザーは、包装体200を例えば電子レンジに入れて温めた後、一方のノッチ41から切り取り予定線に沿って包装体200を開封し、温められた内容物20を取り出すことができる。ノッチの形状はV字状のものに限定されない。
【0018】
内容物20は特に限定されず、液状物であってもよいし、固形物と液状物との混合物であってもよい。内容物20の一例は、カレー、シチュー、スープ、煮物、焼物等の食品が挙げられる。ただし、内容物20はこれらに限定されない。
【0019】
サイドシール部34は、包装体200の収容部22の圧力が上昇したときに収容部22と包装体200の外部とを連通する蒸気抜きシール部50を含む。蒸気抜きシール部50は、包装袋100の中心Cに向かって突出している。収容部22の内容物20が電子レンジによって加熱されて蒸気(例えば水蒸気)が発生すると、収容部22が膨らむ。膨張に伴って、上端シール部31、サイドシール部33,34及び下端シール部35,36に加わる力は、中心Cとの距離が短いほど大きくなる。このため、収容部22の中央に向かって突出している蒸気抜きシール部50には、内容物20の加熱に伴って大きな力がかかる。したがって、収容部22の圧力が所定値以上になると、蒸気抜きシール部50の内縁51からシールが剥離する。このようにして剥離が進行することを、「シールが後退する」という。そして、剥離が蒸気抜きシール部50の外縁52に到達すると、収容部22と包装体200の外部とが連通する。そうすると、蒸気抜きシール部50から蒸気が抜ける。このように蒸気抜きシール部50は、収容部22の圧力が上昇したときに、包装体200が破裂することを防止する機能を有する。
【0020】
蒸気抜きシール部50では、サイドシール部34の外側に非シール部53が設けられている。これによって、蒸気抜きシール部50におけるサイドシール部34のシール幅は、蒸気抜きシール部50以外のサイドシール部34のシール幅よりも小さくなっている。このため、収容部22内の圧力が上昇したときに、収容部22と外部とを連通し蒸気が通過する通蒸口が蒸気抜きシール部50に円滑に形成される。収容部22から外部への蒸気抜き(排気)を十分円滑にするために、非シール部53には、シート10a,10bの厚さ方向に貫通する貫通孔が設けられていてもよい。
【0021】
図2は、包装体200の平面図であり、
図3は、蒸気抜きシール部50とその近傍を拡大して示す平面図である。包装体200(包装袋100)の全体高さh
1は80~250mmであってよく、100~200mmnであってもよい。包装体200(包装袋100)の全体幅w
1も、80~250mmであってよく、100~200mmnであってもよい。このような包装体200は取り扱い性に優れる。
【0022】
包装体200(包装袋100)の底部の高さh2は20~80mmであってよく、30~60mmnであってもよい。サイドシール部33,34及び上端シール部31におけるシール幅w2(蒸気抜きシール部50を除く)は2~10mmであってよく、4~8mmであってもよい。蒸気抜きシール部50におけるサイドシール部34のシール幅の最小値は1~5mmであってよく、2~4mmであってもよい。これによって、包装体200の良好な密封性を維持しつつ、電子レンジによる加熱時の蒸気抜きを円滑に行うことができる。
【0023】
蒸気抜きシール部50の形状及び位置は特に限定されない。変形例では、サイドシール部33に蒸気抜きシール部50を設けてもよい。いずれの形状及び位置であっても、蒸気抜きシール部50におけるシール幅の最小値は上述の数値範囲であってよい。蒸気抜きシール部50は複数設けられてもよい。
【0024】
蒸気抜きシール部50におけるシール幅は、他のシール部のシール幅よりも小さくてよい。これによって、蒸気抜きシール部50を、蒸気抜きシール部50以外のサイドシール部34よりも剥離し易くしてもよい。また、蒸気抜きシール部50と他のシール部とで、ヒートシール条件を変えて、蒸気抜きシール部50を剥離し易くしてもよい。このため、例えば、搬送、陳列及びエンドユーザーの使用時等において、落下等の衝撃が加わった場合に、蒸気抜きシール部50におけるシール剥離の発生を十分に抑制する必要がある。
【0025】
図3における第1方向D1は、サイドシール部34を下向きにして包装体200が自由落下し、サイドシール部34が床又は地面等に衝突したときに、蒸気抜きシール部50の内縁51に沿って生じる最大主歪みのうち、最大となる最大主歪みの平面視におけるベクトルの方向である。この第1方向D1は、落下シミュレーションによって求めることができる。
【0026】
落下シミュレーションは、市販の有限要素法解析ソフトを用いて行うことができる。落下シミュレーションでは、2次元のモデルに内圧を与えて3次元体(包装袋)にし、所定量の内容物20を充填して包装体モデルを作成する。このとき、内容物20の密度及び粘度を設定する。このようにして設定した包装体モデルをサイドシール部34が下方になるように落下させて剛体壁(床面)に衝突させる。このときの落下解析を行い、包装体モデルの変形及び蒸気抜きシール部50の応力状態を評価する。これによって、落下によって生じるサイドシール部34の内縁51に沿う最大主歪みの分布を予測することができる。蒸気抜きシール部50の内縁51に沿って、少なくとも、内縁51の上端56Aと下端56Bの間における最大主歪みの分布を予測する。
【0027】
局所的なシール剥離を抑制する観点から、最大主歪みの最大値は低い方が好ましい。最大主歪みの最大値は、0.30未満、0.2未満、0.16未満又は0.12未満であってもよい。最大主歪みの最大値が得られるタイミングにおける蒸気抜きシール部50の内縁51に沿う最大主歪みの上記分布は複数のピークを有することが好ましい。これによって、落下等による衝撃の際の局所的な応力集中を抑制することができる。したがって、落下等による衝撃によってシールの剥離が生じることを抑制できる。同様の観点から、最大主歪みの上記分布の標準偏差は、好ましくは0.040以下あり、より好ましくは0.035以下であり、さらに好ましくは0.030以下である。耐久性向上の観点から、最大主歪みの平均値は、好ましくは0.05以下であり、より好ましくは0.04以下であり、さらに好ましくは0.03以下である。
【0028】
最大主歪みのベクトルは、内縁51を基端として示される。最大主歪みのベクトルのうち、最大となる最大主歪みのベクトルは、
図3に示す平面図において位置51aを基端として下端シール部側に向かっている。この最大となる最大主歪みのベクトルの方向が第1方向D1である。すなわち、
図3の例では、内縁51に沿って求められる最大主歪みのうち、位置51aにおいて最大主歪みが最大となっている。
【0029】
第2方向D2は、
図2及び
図3に示すような平面視において、蒸気抜きシール部50が収容部22の内圧の上昇によって剥離する際にシールが後退する方向である。この第2方向D2は、蒸気抜きシール部50におけるシール剥離が進行する方向ということもできる。第2方向D2は、内容物20を加熱して蒸気抜きシール部50に通蒸口を形成する実験を行うことによって確定することができる。シールが後退して形成される通蒸口が、位置51aを含んでもよい。この場合、最大となる最大主歪みのベクトル(第1方向D1を示す矢印)の基端と、第2方向D2を示す矢印の先端とが重なりあうように、第2方向D2を示す矢印を描く。これによって以下に説明する角度θを求めることができる。
【0030】
位置51aが、通蒸口が形成される部分からずれていれば、落下時におけるシール剥離の発生を一層抑制することができる。これによって、落下等の衝撃が加わったときの密封性を一層十分に維持することができる。この場合、第2方向D2を示す矢印は、その先端が位置51aに一致するように平行移動して、最大となる最大主歪みのベクトル(第1方向D1を示す矢印)の基端と、第2方向D2を示す矢印の先端とを重ね合わせれば、以下に説明する角度θを求めることができる。
【0031】
第1方向D1と第2方向D2とのなす角度θは、2つの矢印における線分がなす角度ということもできる。角度θは、第1方向D1と第2方向D2とが完全に逆向きになった場合に0°となり、第1方向D1と第2方向D2とが完全に同じ向きになった場合に180°となる。このため角度θは、0~180°の範囲内の数値を取り得る。
【0032】
蒸気抜きシール部50は第2方向D2に沿ってシールが剥離し易くなっている。角度θが0°又は180°に近づくと、最大主歪みが最大となる最大主歪みのベクトルの方向(第1方向D1)と、シール後退の方向(第2方向D2)とが平行に近づく。このため、落下等の衝撃によって蒸気抜きシール部50において剥離が発生し易くなる。一方、角度θが90°に近づくと、最大主歪みが最大となる最大主歪みのベクトルの方向(第1方向D1)とシールの後退の方向(第2方向D2)とが大きく異なることになる。このため、落下等の衝撃によって蒸気抜きシール部50においてシールの剥離が発生し難くなる。
【0033】
本実施形態の包装体200は、上記のとおり定義される角度θが50°~130°(90°±40°)である。したがって、包装体200は、落下等の衝撃が加わっても蒸気抜きシール部50においてシール剥離が生じ難く、十分に密封性を維持することができる。落下等の衝撃に伴い蒸気抜きシール部50におけるシールの剥離を一層抑制する観点から、角度θは、55°以上、60°以上、65°以上、70°以上、又は75°以上であってよい。同様の観点から、角度θは、125°以下、120°以下、115°以下、110°以下、又は105°以下であってよい。
【0034】
角度θは、例えば、内容物20に含まれる液状物の粘度、密度、充填割合等を変えることによって調整することができる。内容物20における液状物の20℃における粘度は、0.001~20Pa・sであってよく、0.01~10Pa・sであってよく、0.1~5Pa・sであってもよい。粘度を大きくすれば、落下等の衝撃が加わったときに内容物20が流動し難くなる。このため、最大主歪みのベクトルの方向(第1方向D1)がサイドシール部34寄りに変わり易い。これによって、角度θを90°に近づけることができる場合がある。内容物20の密度は、0.8~3g/cm3であってよく、0.8~2g/cm3であってよく、0.8~1.5g/cm3であってもよい。
【0035】
収容部22の内容積に対する内容物20の体積の比率(充填割合)は、15%以上であってよく、20%以上であってよく、30%以上であってもよい。充填割合を高くすれば、落下等の衝撃が加わったときに内容物20が流動し難くなる。このため、最大主歪みのベクトルの方向(第1方向D1)がサイドシール部34寄りに変わり易い。これによって、角度θを90°に近づけることができる。上記充填割合の上限は、60%であってよく、50%であってよく、45%であってもよい。
【0036】
図2に示すように、平面視において、蒸気抜きシール部50を上下に二分するように、シート10aを横断する仮想直線L1に対して、蒸気抜きシール部50は線対称となる形状を有する。このような形状であれば、角度θを90°に近づけやすくすることができる。これによって、落下等の衝撃による蒸気抜きシール部50におけるシールの剥離を十分に抑制することができる。なお、蒸気抜きシール部50は平面視において略三角形の形状を有しているが、これに限定されない。例えば、蒸気抜きシール部は平面視において略台形の形状を有していてもよい。この場合も、蒸気抜きシール部を上下に二分するように上底の中点と下底の中点を仮想直線に対して、蒸気抜きシール部は線対称の形状を有する。
【0037】
図4は、蒸気抜きシール部の変形例を示す平面図である。
図4の蒸気抜きシール部50Aは、略四角形状を有する。また、蒸気抜きシール部50Aよりも上方のサイドシール部34aと、蒸気抜きシール部50Aよりも上方のサイドシール部34bは、シール幅が互いに異なっている。包装体200は、蒸気抜きシール部50に代わりに蒸気抜きシール部50Aを有していてもよい。蒸気抜きシール部50Aの内縁51に沿う最大主歪みの分布は、サイドシール部34の内縁51の上端56Aと下端56Bの間で求められる。
【0038】
蒸気抜きシール部50Aでは、収容部22における内容物20を加熱したときの蒸気抜きシール部50Aのシールの後退方向(第2方向D2)が、右斜め上に向かうように傾斜している。このため、第1方向D1と第2方向D2のなす角度θが、
図3の蒸気抜きシール部50よりも小さくなっている。このように、蒸気抜きシール部50Aの形状を変えることによって、角度θを調節することできる。なお、蒸気抜きシール部50Aは、蒸気抜きシール部50Aを上下に二分するように、シート10aを横断する仮想直線L1に対して、線対称とはなっていない。
【0039】
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、上述の包装体200は、底部にマチを有するガゼットタイプの包装袋を備えていたが、これに限定されない。蒸気抜きシール部の形状も上述の形状に限定されない。包装体は、包装袋として二方袋又は三方袋を備えるものであってもよい。
【0040】
本開示は、以下の[1]~[14]の内容を含む。
【0041】
[1]内容物を収容する収容部を有する包装体であって、
重ね合わせられた一対のシートの両端部同士をヒートシールして形成される一対のサイドシール部のうち、少なくとも一方の前記サイドシール部は、前記収容部の中央に向かって突出するように設けられる蒸気抜きシール部を有し、
前記蒸気抜きシール部を有する前記サイドシール部が下方となる状態で落下したときに、前記蒸気抜きシール部の内縁に沿って生じる最大主歪みのうち最大となる位置における最大主歪みのベクトルの方向を第1方向、及び、加熱時における前記蒸気抜きシール部のシールの後退方向を第2方向としたときに、
平面視における前記第1方向と前記第2方向とのなす角度θが50°~130°である、包装体。
[2]前記最大主歪みが最大となる前記位置は、前記蒸気抜きシール部のシールの後退によって形成される通蒸口からずれている、[1]に記載の包装体。
[3]平面視において、前記蒸気抜きシール部を上下に二分するように前記シートを横断する仮想直線に対して、前記蒸気抜きシール部は線対称となる形状を有する、[1]又は[2]に記載の包装体。
[4]前記最大主歪みの最大値が得られるタイミングにおける前記蒸気抜きシール部の内縁に沿う最大主歪みの分布が複数のピークを有する、[1]~[3]のいずれか一つに記載の包装体。
[5]前記蒸気抜きシール部の内縁に沿って測定される最大主歪みの標準偏差が、0.040以下である、[1]~[4]のいずれか一つに記載の包装体。
[6]前記内容物に含まれる液体成分の20℃における粘度が0.001~20Pa・sである、[1]~[5]のいずれか一つに記載の包装体。
[7]前記内容物の20℃における密度が0.8~3g/cm3である、[1]~[6]のいずれか一つに記載の包装体。
[8]前記収容部の内容積に対する前記内容物の体積の比率は15%以上である、[1]~[7]のいずれか一つに記載の包装体。
[9]電子レンジによる加熱用である、[1]~[8]のいずれか一つに記載の包装体。
[10]上記[1]~[9]のいずれか一つに記載の包装体に用いられる包装袋。
【実施例0042】
実施例及び比較例を参照して本開示の内容をより詳細に説明するが、本開示は下記の実施例に限定されるものではない。
【0043】
(実施例1)
[積層シートの作製]
基材として、透明蒸着層(アルミナ)を有する透明蒸着PETフィルム(凸版印刷株式会社製、商品名:GL-ARH、厚さ:12μm)、インク層、ナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製、商品名:ONMB-RT、厚さ:15μm)、無延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ:60μm)をこの順で有する積層シート(厚み:約85μm)を準備した。積層シートのダンベル試験片(JIS K6251 type3)を作製した。ダンベル試験片は、透明蒸着PETフィルムのPETフィルムのMD方向(縦方向)に沿って引張試験を行う試験片と、当該PETフィルムのTD方向(横方向)に沿って引張試験を行う試験片をそれぞれ3つずつ準備した(n=3)。引張試験装置を用いて、試験片の引張試験を行った。引張試験装置には、小型卓上試験機(株式会社島津製作所製、商品名:EZ-LX)と、接触式伸び計(株式会社島津製作所製、商品名:DSES-1000))を用いた。試験速度は1000m/minとした。
【0044】
[包装袋及び包装体の作製と蒸気抜き試験]
上述のとおり作製した積層シートを3枚用いて、
図1及び
図2に示すようにサイドシール部34に蒸気抜きシール部50を有する包装袋を作製した。具体的には、蒸気抜きシール部50以外のサイドシール部33,34と下端シール部35,36をインパルス方式(温度:190℃)でヒートシールした後、金型を用いて蒸気抜きシール部50を形成した。その後、収容部に20℃の水200mL(密度:1.0g/cm
3、粘度:0.001Pa・s)を収容し、上端部をインパルス方式(温度:190℃)でヒートシールして上端シール部31を形成した。
【0045】
このようにして、
図1及び
図2に示すような、収容部22に内容物20として水200mLが密封された包装袋及び包装体を得た。包装袋及び包装体のサイズは以下のとおりであった。なお、蒸気抜きシール部50以外のシール部(サイドシール部33,34、上端シール部31、下端シール部35,36)のシール幅は、いずれも同じにした。蒸気抜きシール部50の頂部(シール幅が最も細い部分)におけるシール幅は、2.5mmとした。収容部の内容積に対する水の体積の比率(充填割合)は表1に示すとおりであった。
全体幅w
1:150mm
全体高さh
1:150mm
底部の高さh
2:42.5mm
シール幅w
2:6mm
収容部の内容積:最大600cm
3
【0046】
電子レンジ(出力:500W)の庫内に包装体を入れて、約3分間加熱して蒸気抜きシール部50に通蒸口を形成し蒸気抜きを行った。通蒸口が形成される際のシールの後退方向を、第2方向D2とした。
【0047】
[包装体モデルの作成と落下シミュレーション]
上述の積層シートの引張試験によって得られた公称応力-公称歪み曲線は、
図5(A)に示すとおりであった。等方性の弾塑性体の前提で落下シミュレーションを行うため、MD方向に沿う引張試験の結果を落下シミュレーションに用いた。
図5(B)には、MD方向に沿う引張試験を行って得られた真応力-塑性歪み曲線を示した。この結果に基づいて、積層シートのヤング率は2230MPa、ポアソン比は0.35とした。また、積層シートの密度は、0.92g/cm
3とした。
【0048】
積層シートの上記性状に基づいて、実際に作製した包装体と同一形状、同一サイズ及び同一内容物を有する落下シミュレーション用の包装体モデルを作成した。落下シミュレーションは、有限要素解析ソフトウェア(商品名:ANSYS LS-DYNA R11.1、Ansys製)を用いて行った。落下シミュレーションの解析方法及び評価方法は以下のとおりとした。
【0049】
<解析方法>
要素サイズを約1mmとして有限の要素に分割した。要素には完全積分シェル要素を使用した。2次元の包装袋モデルに内圧を与えて3次元にした。3次元の包装袋に、内容物として水200mLが充填された包装体モデルの落下解析を行った。内容物のモデリングにはALE(Arbitrary Lagrangian-Eulerian)法を用いた。ALEのバックグラウンドメッシュの要素サイズは4mmのソリッド要素とした。落下解析では、落下高さ1mに相当する初速度4400mm/sを包装体に与えて、蒸気抜きシール部を有するサイドシール部が剛体壁(床面)に衝突したときの変形及び応力状態を評価した。
【0050】
<評価方法>
解析結果を0.1msごとに出力した。蒸気抜きシール部の内縁の要素において最大主歪みの最大値が得られるタイミングにおいて、内縁の要素ごと最大主歪みの分布と、当該最大値となる要素におけるベクトル(最大ベクトル)を特定し、当該ベクトルの方向(第1方向D1)を求めた。
図6は、当該タイミングにおける最大主歪みの分布を示すコンター図である。
図7は、蒸気抜きシール部の内縁の弧長を正規化して最大主歪みの分布を示す図である。すなわち、
図7の横軸は、蒸気抜きシール部の内縁の一端(
図3の上端56A)を「0」、他端(
図3の下端56B)を「1」に正規化して最大主歪みの分布を示している。
図7に示すとおり、実施例1の蒸気抜きシール部の内縁における最大主歪みの分布は、複数のピークを有していた。
図7に示す最大主歪みのデータから平均値と標準偏差を求めた。結果は、表1に示すとおりであった。
【0051】
落下シミュレーションで求めた衝撃時における第1方向D1(最大ベクトル)を、変形が生じる前の、
図3に示すような平面図に描いた。この平面図に第2方向D2も描いて、第1方向D1と第2方向D2がなす角度θを求めた。結果は、
図8及び表1に示すとおりであった。
図8には、蒸気抜きシール部の内縁において最大主歪みが最大となる最大主歪みのベクトルの方向(第1方向D1)を実線で示し、蒸気抜き試験でシールが後退する方向(第2方向D2)を破線で示している。第1方向D1と第2方向D2とのなす角度θは97°であった。
【0052】
(実施例2)
実施例1で用いた積層シートと同じものを用いて、
図9に示すような蒸気抜きシール部を有する包装袋及び包装体を作製した。蒸気抜きシール部のうち、シール幅が最も細い部分のシール幅は、3.0mmであった。この包装体を用いて、実施例1と同じ手順で蒸気抜き試験を行った。
【0053】
実施例1と同様にして、実際に作製した包装体と同一形状、同一サイズ及び同一内容物を有する落下シミュレーション用の包装体モデルを作成し、落下シミュレーションを行った。
図10は、蒸気抜きシール部の内縁の要素における最大主歪みの最大値が得られるタイミングにおける、当該内縁の最大主歪みの分布を3次元で示すコンター図である。
図7は蒸気抜きシール部の内縁の弧長を正規化して最大主歪みの分布を示した。
図7に示すとおり、実施例2の蒸気抜きシール部の内縁における最大主歪みの分布も、複数のピークを有していた。
図7に示す最大主歪みのデータから平均値と標準偏差を求めた。結果は、表1に示すとおりであった。
【0054】
実施例1と同様に平面図において、第1方向D1及び第2方向D2を描き、第1方向D1と第2方向D2がなす角度θを求めた。結果は、
図9及び表1に示すとおりであった。
図9には、蒸気抜きシール部の内縁において最大主歪みが最大となる最大主歪みのベクトルの方向(第1方向D1)を実線で示し、蒸気抜き試験でシールが後退する方向(第2方向D2)を破線で示している。第1方向D1と第2方向D2とのなす角度θは52°であった。
【0055】
(比較例1)
実施例1で用いた積層シートと同じものを用いて、
図11に示すような蒸気抜きシール部を有する包装袋及び包装体を作製した。蒸気抜きシール部のうち、シール幅が最も細い部分のシール幅は、3.0mmであった。この包装体を用いて、実施例1と同じ手順で蒸気抜き試験を行った。
【0056】
実施例1と同様にして、実際に作製した包装体と同一形状、同一サイズ及び同一内容物を有する落下シミュレーション用の包装体モデルを作成し、落下シミュレーションを行った。
図12は、蒸気抜きシール部の内縁の要素における最大主歪みの最大値が得られるタイミングにおける、当該内縁の最大主歪みの分布を3次元で示すコンター図である。
図7は蒸気抜きシール部の内縁の弧長を正規化して最大主歪みの分布を示した。
図7に示す最大主歪みのデータから平均値と標準偏差を求めた。結果は、表1に示すとおりであった。
【0057】
実施例1と同様に平面図において、第1方向D1及び第2方向D2を描き、第1方向D1と第2方向D2がなす角度θを求めた。結果は、
図11及び表1に示すとおりであった。
図11には、蒸気抜きシール部の内縁において最大主歪みが最大となる最大主歪みのベクトルの方向(第1方向D1)を実線で示し、蒸気抜き試験でシールが後退する方向(第2方向D2)を破線で示している。第1方向D1と第2方向D2とのなす角度θは40°であった。
【0058】
(実施例1A)
内容物である水の量を100mLにしたこと以外は、実施例1と同様にして蒸気抜き試験及び落下シミュレーションを行った。最大主歪みの平均値と標準偏差は表1に示すとおりであった。実施例1と同様に
図13(A)に、第1方向D1及び第2方向D2を描き、第1方向D1と第2方向D2がなす角度θを求めた。結果は、
図13(A)及び表1に示すとおりであった。第1方向D1と第2方向D2とのなす角度θは92°であった。
【0059】
(実施例1B)
内容物である水の量を50mLにしたこと以外は、実施例1と同様にして蒸気抜き試験及び落下シミュレーションを行った。最大主歪みの平均値と標準偏差は表1に示すとおりであった。実施例1と同様に
図13(B)に、第1方向D1及び第2方向D2を描き、第1方向D1と第2方向D2がなす角度θを求めた。結果は、
図13(B)及び表1に示すとおりであった。第1方向D1と第2方向D2とのなす角度θは72°であった。
【0060】
(実施例2A)
内容物である水の量を100mLにしたこと以外は、実施例2と同様にして蒸気抜き試験及び落下シミュレーションを行った。最大主歪みの平均値と標準偏差は表1に示すとおりであった。実施例1と同様に
図14(A)に、第1方向D1及び第2方向D2を描き、第1方向D1と第2方向D2がなす角度θを求めた。結果は、
図14(A)及び表1に示すとおりであった。第1方向D1と第2方向D2とのなす角度θは51°であった。
【0061】
(実施例2B)
内容物を、水から20℃における粘度が3Pa・sである流体に変更したこと以外は、実施例2と同様にして蒸気抜き試験及び落下シミュレーションを行った。最大主歪みの平均値と標準偏差は表1に示すとおりであった。実施例1と同様に
図14(B)に、第1方向D1及び第2方向D2を描き、第1方向D1と第2方向D2がなす角度θを求めた。結果は、
図14(B)及び表1に示すとおりであった。第1方向D1と第2方向D2とのなす角度θは65°であった。
【0062】
[落下試験]
実施例1で作製した3個の包装体のレトルト処理(121℃、30分間)を行った後、3つを積み重ねて、ビニールテープで帯状に巻いて結束した。これを5℃環境下で24時間冷却した後、80cmの高さから落下させた。3つの包装体のうち、いずれか1つの包装体の蒸気抜きシール部が破れるまでの落下回数をカウントした。5回同様の試験を行って、当該落下回数の平均値を求めた。その結果は、表1に示すとおりであった。比較例1で作製した包装体についても同様の試験を行い、落下回数の平均値を求めた。その結果は、表1に示すとおりであった。
【0063】
【0064】
表1に示すとおり、θが90°に近い実施例1の方が、比較例1よりも落下試験に対する耐久性に優れていた。その他の実施例も、角度θが比較例1よりも90°に近いため、落下等の衝撃が加わっても十分に密封性を維持することができる。
本開示は、蒸気抜きシール部を有しつつ、落下等の衝撃が加わっても十分に密封性を維持することが可能な蒸気抜きシール部を有する包装体を提供することができる。また、そのような包装体を得ることが可能な包装袋を提供することができる。
10a,10b,10c…シート(積層シート)、20…内容物、22…収容部、31…上端シール部、33,34,34a,34b…サイドシール部、35,36…下端シール部、41…ノッチ、50,50A…蒸気抜きシール部、51…内縁、51a…位置、52…外縁、53…非シール部、56A…上端、56B…下端、100…包装袋、200…包装体、D1…第1方向、D2…第2方向。