(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008210
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】温度管理用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 81/38 20060101AFI20240112BHJP
B65D 81/20 20060101ALI20240112BHJP
B65D 85/50 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B65D81/38 D
B65D81/20 C
B65D85/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109896
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】513104479
【氏名又は名称】パイクリスタル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】594112978
【氏名又は名称】ワコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086346
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 武信
(72)【発明者】
【氏名】車 溥相
(72)【発明者】
【氏名】小林 昭治
(72)【発明者】
【氏名】野沢 汎
(72)【発明者】
【氏名】宮田 景介
(72)【発明者】
【氏名】西田 耕平
【テーマコード(参考)】
3E035
3E067
【Fターム(参考)】
3E035AA20
3E035AB10
3E035BA05
3E035BD05
3E035CA02
3E035CA03
3E035DA01
3E067AA11
3E067AB83
3E067AC01
3E067BA03B
3E067BA03C
3E067BB14B
3E067BB14C
3E067BC03B
3E067BC03C
3E067CA18
3E067EA17
3E067EA32
3E067EB17
3E067EB22
3E067EC40
3E067EE28
3E067EE60
3E067FA04
3E067FB11
3E067FC01
3E067GA02
3E067GA13
3E067GD01
(57)【要約】
【課題】真に知りたい内容器内の温度情報を、保温性能の低下を抑制しつつ、外部に伝達して、表示や記録や送信などを行うことができる温度管理用容器の提供を図る。
【解決手段】外容器10とその内部の外容器収納部12に収納される内容器20とを備える。外容器10は外容器収納部12を備えた外容器本体11と、その開口を開閉可能に閉ざす外蓋体14とを備える。内容器20は、温度管理対象物Tが収納される内容器収納部22を備えた内容器本体21と、その開口を開閉可能に閉ざす内蓋体24とを備える。内容器本体21の内容器収納部22には温度センサー31が配置されている。温度センサー31によって検知された温度情報が、内容器本体21の開口端面25に配置された送信部42と外蓋体14の下面に配置された受信部43との間の非接触通信部41によって外容器10の外蓋体14の外部伝達部52へ伝達される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外容器と内容器とを備え、
前記外容器は、外容器収納部を備えた外容器本体と、前記外容器収納部の開口を開閉可能に閉ざす外蓋体とを備え、
前記内容器は、温度管理対象物が収納される内容器収納部を備えた内容器本体と、前記内容器収納部の開口を開閉可能に閉ざす内蓋体とを備えた温度管理用容器において、
前記内容器収納部内の温度情報が、前記内容器と前記外容器との互いに対応する位置に配置された非接触通信部によって前記外容器に伝達されるように構成されたことを特徴とする温度管理用容器。
【請求項2】
前記外容器は真空断熱構造を備え、
前記内容器本体は、前記外蓋体と対向する開口端に前記非接触通信部の送信部を備え、
前記外蓋体の下部に前記非接触通信部の受信部を備え、
前記外蓋体の前記下部は、前記外容器収納部の前記開口を閉ざした状態で、前記外容器収納部の内部に位置していることを特徴とする請求項1に記載の温度管理用容器。
【請求項3】
前記内容器本体は、前記外容器本体に対して着脱可能であり、その外部に回路基板を備え、前記内容器収納部の内部に温度センサーを備え、
前記回路基板と前記温度センサーとが有線式の内容器配線部を介して接続され、
前記内容器配線部は、前記内容器本体の前記開口を経て、前記内容器収納部の内外に配設され、
前記外蓋体は、その外部に前記温度センサーによる検知温度を表示する表示部を備え、
前記表示部と前記受信部とが有線式の外蓋体配線部を介して接続され、
前記外蓋体配線部は、前記外蓋体の外部又は内部を経て配設されていることを特徴とする請求項2に記載の温度管理用容器。
【請求項4】
前記回路基板とこれに電気を供給する電池とは、フレキシブルなフィルム状をなしており、
前記内容器本体は筒状の周壁を備え、
前記周壁の外面に、前記回路基板及び前記電池が前記周壁の外面に沿って固定されたことを特徴とする請求項3に記載の温度管理用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度管理用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
温度管理用容器は、例えば、所定温度に温度管理対象物の温度を保持した状態で輸送や保管を行う容器として、用いられている。再生医療の実用化に伴って、細胞や組織などの生体試料を所定の温度に維持して輸送したり、温度管理が必要な医薬品を所定の温度に維持して輸送したりする必要性が高まり、この種の温度管理用容器の開発改良が求められている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、「輸送用容器を内側容器及び外側容器の二層構造から形成し、且つ内側の容器には蓄熱および熱移動を緩衝させる機能を設けると共に、外側の容器には断熱機能及び加温機能を設けることにより、室温領域での輸送を容易にした。また、これにより人工培養皮膚など培養された細胞の生存率をできるだけ低下させることなく、確実に輸送することを可能」とした輸送用容器が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、「断熱容器と、この断熱容器を密閉可能にする蓋とを備え、前記断熱容器は内周面側に断熱部材が配置され、この断熱部材が形成する断熱容器内空間に熱伝導部材が配置され、この熱伝導部材は内部に固体と液体で相変化する蓄熱材と輸送品とを収容する複数の個装容器を積層して収容可能であるとともに、この複数の個装容器に接するように配置されており、前記複数の個装容器のうち一の個装容器の蓄熱材の熱を他の個装容器の蓄熱材に前記熱伝導部材を介して伝達可能にしたことを特徴とする恒温輸送容器」が開示されている。
さらに、特許文献2には、蓋の裏面に温度センサーを、蓋の表面にこの温度センサーが検出した温度を表示する表示部を設けることも記載されている。
【0005】
ところが、温度管理用容器の保温性能を高めるために、外容器と内容器との二重容器構造を採用すると共に、少なくとも外容器を真空断熱構造とした場合には、特許文献2の蓋の内外に温度センサーと温度の表示部を設けるという構造では、真に知りたい内容器内の温度情報を、保温性能を低下させることなく外部に伝達して、表示や記録や送信などを行うことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-217290号公報
【特許文献2】特許第5067431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、真に知りたい内容器内の温度情報を、保温性能の低下を抑制しつつ、外部に伝達して、表示や記録や送信などを行うことができる温度管理用容器の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、外容器と内容器とを備え、前記外容器は、外容器収納部を備えた外容器本体と、前記外容器収納部の開口を開閉可能に閉ざす外蓋体とを備え、前記内容器は、温度管理対象物が収納される内容器収納部を備えた内容器本体と、前記内容器収納部の開口を開閉可能に閉ざす内蓋体とを備えた温度管理用容器において、前記内容器収納部内の温度情報が、前記内容器と前記外容器との互いに対応する位置に配置された非接触通信部によって前記外容器に伝達されるように構成された温度管理用容器を提供して、上記の課題を解決した。
前記内容器本体を前記外容器本体に対して着脱可能とした場合にあっても、非接触通信部を採用したことによって、有線接続における両者間の通信線の断線のおそれは解消されると共に、非接触通信部の通信が可能な範囲内で前記内容器本体の位置決めの自由度を高めることができた。
また前記外容器は真空断熱構造を備えたものとして実施することができる。特に、前記内容器本体は、前記外蓋体と対向する開口端に前記非接触通信部の送信部を備え、前記外蓋体の下部に前記非接触通信部の受信部を備え、前記外蓋体の前記下部は、前記外容器収納部の前記開口を閉ざした状態で、前記外容器収納部の内部に位置しているものとすることによって、前記外容器本体と前記内容器本体の素材や構造に関わらず、前記非接触通信部による情報伝達を円滑に行うことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、真に知りたい内容器内の温度情報を、外部に伝達して、表示や記録や送信などを行うことができる温度管理用容器を提供することができたものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る温度管理用容器の正面から見た内部構造説明図。
【
図2】同温度管理用容器の内容器の内部構造拡大説明図。
【
図3】同温度管理用容器にカバーを取り付けた状態の正面から見た内部構造説明図。
【
図4】本発明の他の実施の形態に係る温度管理用容器の正面から見た内部構造説明図。
【
図5】(A)は本発明の実施の形態に係る温度管理用容器における蓄冷体の配置構造の一例を示す平面から見た説明図、(B)は本発明の実施の形態に係る温度管理用容器における蓄冷体の配置構造の他の一例を示す平面から見た説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(温度管理用容器の概要)
図1に示す温度管理容器は、外容器10と、その内部に収納される内容器20との二重の容器構造を備える。
外容器10は、内部に外容器収納部12を備えた外容器本体11と、外容器収納部12の開口を開閉可能に閉ざす外蓋体14とを備える。この実施の形態では、外容器本体11は真空断熱構造を備えており、その開口を除く周壁と底部は、内外二重の壁に囲まれた密閉空間を備えるものであって、密閉空間が略真空状態に保たれていることによって高度な断熱構造を備えるものであるが、他の断熱構造を備えたものであっても構わないし、場合によっては容器自体には断熱構造を備えていないものであっても構わない。なお
図3において、略真空状態の密閉空間を薄墨で示す。
【0012】
内容器20は、
図1及び
図2に示すように、温度管理対象物が収納される内容器収納部22を備えた内容器本体21と、内容器収納部22の開口を開閉可能に閉ざす内蓋体24とを備える。この実施の形態では、内容器本体21は、外容器本体11と異なり真空断熱構造を備えていない。但し、外容器本体11と同様に、その開口を除く周壁と底部は、内外二重の壁に囲まれた密閉空間を備えるものであって、密閉空間が略真空状態に保たれていることによって高度な断熱構造を備えるものとしても構わないし、他の断熱構造を備えたものであっても構わないし、容器自体には断熱構造を備えていないものであっても構わない。
【0013】
(温度管理対象物Tについて)
温度管理容器に収納される温度管理対象物自体は、固液気体などその形態は問わないが、特に厳密な温度管理が必要な、細胞や組織などの生体試料、生体から摂取した検体、医薬品などを例示することができ、本発明の温度管理容器はこれらを保管したり運送したりするための容器として適するものである。
【0014】
温度管理対象物自体は通常は、摂取や製造の直後に内容物として専用の密閉容器内に収納され、使用されるまでは開封されない。そのため本発明においては、当該内容物(温度管理対象物自体)を含む上記密閉容器を、温度管理対象物Tとして説明する。
【0015】
(内容器20について)
内容器20は、
図2に示すように、温度管理対象物Tを内容器収納部22に収納して、必要に応じて内蓋体24で封するものである。なお、温度管理対象物Tと共に蓄冷体103を内容器収納部22に収納しても構わない。内容器本体21の内壁の内面には温度センサー31が配置されている。この温度センサー31は、内容器収納部22の内部温度を測定するためのもので、内容器本体21の開口近くに配置しても構わないが、底部近くに配置されている方が好ましい。前述の通り、温度管理対象物Tは、使用時にのみ開封されるべき密閉容器に温度管理対象物自体(内容物)が格納されたものであるため、内容器収納部22の内部温度を測定することが、現実的に可能な温度管理対象物自体(内容物)の直近温度の測定を行うことになる。
【0016】
(内容器配線部32について)
内容器本体21の外壁の外面には回路基板33及びフィルム電池34が配置されている。回路基板33に温度センサー31の検出情報を伝達するとともに、温度センサー31に電気を供給するため内容器配線部32が、内容器本体21の内外に渡って配置されている。
具体的には、内容器配線部32は、極細の通電線であり、内容器本体21の内壁の内面に沿って固定されており、内容器本体21の開口を経て、内容器本体21の外壁の外面に沿って固定されて回路基板33及びフィルム電池34に接続されている。
【0017】
極細の通電線であるとは言っても、内容器本体21の開口には内容器配線部32が配置されるため、内蓋体24には、内容器本体21との密着性の高い弾性のある篏合部材が内容器本体21との接触部分に用いることが好ましいが、開閉可能であれば剛体など他の素材で形成しても構わないし、内蓋体24を省略して実施しても構わない。またこの実施の形態では、内容器本体21の開口の形状は、内蓋体24及び温度管理対象物Tの周面と底面とに接触する凹部とすることによって、両者の密着性を向上させているが、その形態も適宜変更して実施することができる。
またこの例では、温度管理対象物Tは、その頭部が上記の内容器本体21の凹部に係合して、内容器収納部22内に配置されている。
なお、内蓋体24は、温度管理対象物T(即ち、前記密閉容器(図示せず))の上端の蓋体と兼用しても構わない。
【0018】
(回路基板33及びフィルム電池34について)
回路基板33は、温度センサー31からの温度情報を含む信号を、次に述べる非接触通信部41の信号に変換して送出するもので、柔軟なフィルム状の回路基板として実施されている。
フィルム電池34は、温度センサー31、回路基板33及び非接触通信部41に電気を供給するもので柔軟なフィルム状をなす。
回路基板33とフィルム電池34とは一体化されていても構わないし別体であっても構わない。
【0019】
内容器本体21を真空断熱構造の容器として実施する場合などでは、内容器本体21の周壁は断面円形などの筒状とすることが適当である。そのため、内容器本体21の外周壁の外面は曲面になるため、回路基板33及びフィルム電池34は柔軟なフィルム体として実施することが、その曲面に合わせて貼り付けることができる点で有利である。
【0020】
(非接触通信部41について)
非接触通信部41は交信距離の短い無線通信を行う手段で、様々な規格のものが提供されているが、これらを適宜選択して用いることができる。
内容器本体21には、送信用アンテナを含む送信部42が配置されている。回路基板33と送信部42とは、内容器本体21の外壁の外周面に配置された内容器配線部32で接続されている。内容器配線部32は、前述の温度センサー31と回路基板33との間をつなぐものと、回路基板33と送信部42との間をつなぐものとの2種類が存在することになるが、図示の関係上、まとめて内容器配線部32として図示説明する。
【0021】
この実施の形態では、送信部42に対応する受信部43は外蓋体14に配置されているが、それとの距離を近づけるために、送信部42は内容器本体21の開口近くに配置することが好ましい。
この例では、外蓋体14と対向する内容器本体21の開口端面25に、送信部42が配置されている。具体的には、内容器本体21は、前述のように内壁と外壁とを備えているが、両壁の端部は環状面をなす開口端面25を介して一体化されている。この開口端面25の外周側は内容器本体21の外壁につながっており、開口端面25の内周側は、前述の内容器本体21の開口の凹部を介して内容器本体21の内壁につながっている。この開口端面25の外面(上面)に送信部42が貼り付け固定されている。なお、内容器本体21が真空断熱構造などの通信に妨げとなる構造等を備えていない場合などでは、内容器本体21開口端の内部に送信部42を配置しても構わない。
【0022】
受信部43は、外蓋体14の下部の内側端面15に配置されている。この外蓋体14の内側端面15は、外容器収納部12の開口を閉ざした状態で、外容器収納部12の内部に位置している。この外蓋体14の内側端面15など、外容器収納部12の内部に位置している部分に受信部43を配置する一方、送信部42を内容器本体21の開口端面25などの容器上部に配置することにより、内容器20を外容器10に対して着脱しても、送信部42と受信部43との位置関係が大きく変化してしまうことを抑制することができる。なお、受信部43は、外蓋体14の内側端面15に露出している必要はなく、外蓋体14の下部の内部に配置して実施しても構わない。
【0023】
(外容器本体11について)
外容器本体11は、内容器20を着脱可能に収容する外容器収納部12を備えた容器本体であり、この実施形態では、内外2重の金属製壁の間が略真空となった真空断熱構造を備えている。勿論、外容器本体11は、他の断熱構造を備えたものであっても構わないし、場合によっては容器自体には断熱構造を備えていないものであっても構わない。この外容器本体11について、金属製の真空断熱構造などの非接触通信部41よる通信に対して干渉性の有る容器本体(電磁波透過性の低い容器本体)で実施した場合にあっても、この温度管理用容器の構造により非接触通信部41などを介して外容器10外部に内容器20内の温度情報を伝達することができる。
【0024】
(外蓋体14について)
外蓋体14は、この実施の形態では外容器本体11に対してネジ構造で開閉可能となっている。外蓋体14の外端面(上面)には外部伝達部52が配置されている。外部伝達部52としては、温度センサー31の検知温度を表示するデジタル式などの表示部であっても構わないし、外部への情報送信機能を備えた送信部であっても構わないし、情報の記録部を備えたものであっても構わない。いずれにしても外蓋体14の上面は、容器内部と比べて大きなスペースがあるため、様々な手段を配置することができる。
また、外蓋体14は、外容器10の保温機能を高めるために、真空断熱構造や断熱材を用いた断熱構造を備えたものであることが好ましい。
【0025】
受信部43と外部伝達部52とは外蓋体配線部51と回路基板53を介して接続されている。外蓋体配線部51は、極細の通電線であり、外蓋体14の内部又は外部に沿って固定されている。この実施の形態では、外蓋体14と外容器10とは、図で示すように、下側のネジ部17で、螺合されている。また回路基板53は、外蓋体14の内部に上下複数段にて立体的に配置されているが、平面的に並べて配置しても構わない。
【0026】
(蓄冷体について)
この実施の形態では、蓄冷体101,102及び103が外容器収納部12と内容器収納部22に配置されている。これら蓄冷体101,102及び103は、温度管理対象物Tを低温に保つ必要がある場合に好適に用いられるもので、ポリアクリル酸ナトリウム等の高吸水性高分子を含む等して所定の温度変化によって固液2相間の相変化をなす保冷剤を軟質または硬質の容器内に封入したもので実施することができる。
【0027】
蓄冷体101は、外容器収納部12に配置されたもので、パウチなどの軟質または硬質容器(周囲容器)
図5(A)に示すように内容器本体21の周囲に分割して均等配置することもできるし、
図5(B)に示すように偏在して配置することもできる。
図5(B)の例では、内容器本体21と蓄冷体101とを外容器収納部12の比較的狭隘な口をそれぞれ通過させた後、比較的広い外容器収納部12内にて内容器本体21と蓄冷体101を偏らせて配置したものである。
図5(A)(B)において、32は、開口端面25を跨いでいる内容器配線部を示す。この例では蓄冷体101は、外容器収納部12の全長にわたって配置されているが、その長さは適宜変更して実施することができる。
【0028】
蓄冷体102は、外容器収納部12の下部に配置されたもので、硬質のケース(下部容器)を備えたものとして実施することによって、内容器20の位置決めのためのスペーサーの機能を果たすものとすることもできる。
【0029】
蓄冷体103は、内容器収納部22に配置されたもので、温度管理対象物Tの周囲と底に配置されている。
図1~
図3に示す実施の形態では、内容器20の上下長さは、外容器収納部12の上下長さに比べて半分程度の短いものとされているが、
図4に示す実施の形態のように、内容器20の上下長さを外容器収納部12の全長程度の長いものとして実施した場合には、蓄冷体103の底部の長さをそれに合わせて長くすることができる。
これらの蓄冷体101,102及び103は、温度管理対象物Tの温度条件に合わせて適宜に選択採用することができるものであり、蓄冷体を用いずに実施しても構わないし、他の断熱材に変更して実施しても構わない。
【0030】
上述のように、この温度管理用容器では、真に知りたい温度管理対象物Tの直近の温度情報が、非接触通信部41を介して外容器収納部12の外部に伝達されるため、非接触通信部41の送信部42と受信部43は通信可能な所定の近距離を安定的に保っている必要がある。具体的には、内容器20を外容器収納部12の内部で所定の位置に配しておくことが好ましいため、図示は省略するが、内容器20をスペーサーと共に外容器収納部12に収納しても構わないし、外容器収納部12に固定手段を設けて実施してもかまわない。内容器20の着脱に際しては、通信可能な所定の近距離に送信部42と受信部43とが配置されればよいため、有線の端子接触による接続に比して厳密な位置決めは要求されないし、接触不良や使用に伴う劣化のおそれも抑制される。
【0031】
また、
図3に示すように、外蓋体14を含む外容器10の外側に、外容器カバー16を付加して実施しても構わない。この例では外容器カバー16も、その天部と周壁部に真空断熱構造を備えたもので実施されているが、断熱構造のないもので実施しても構わない。また、外容器カバー16の周壁部と外蓋体14とはネジ部18で螺合する構造となっているが、その固定構造も適宜変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0032】
10 外容器
11 外容器本体
12 外容器収納部
14 外蓋体
15 外蓋体の内側端面
16 外容器カバー
17 ネジ部
20 内容器
21 内容器本体
22 内容器収納部
24 内蓋体
25 開口端面
31 温度センサー
32 内容器配線部
33 回路基板
34 フィルム電池
41 非接触通信部
42 送信部
43 受信部
51 外蓋体配線部
52 外部伝達部
53 回路基板
T 温度管理対象物