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特開2024-82100タイヤ状態表示装置、端末装置、及びタイヤ状態表示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082100
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】タイヤ状態表示装置、端末装置、及びタイヤ状態表示方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/02 20060101AFI20240612BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
G01M17/02
B60C19/00 Z
B60C19/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195819
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100211395
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】有馬 正之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩平
(72)【発明者】
【氏名】坂井 嘉克
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BC33
3D131LA22
3D131LA34
(57)【要約】      (修正有)
【課題】タイヤの状態を評価する技術の有用性を向上させる、タイヤ状態表示装置、端末装置、及びタイヤ状態表示方法を提供することにある。
【解決手段】本開示に係るタイヤ状態表示装置は、車両に装着されたタイヤの1つ以上のタイヤ構成部位の各々に対して設定された基準値を取得し、前記タイヤに関する計測データを受信し、前記計測データに基づいて、前記タイヤの前記1つ以上のタイヤ構成部位の各々の状態特性値を算出し、前記1つ以上のタイヤ構成部位の各々の前記基準値に対する前記状態特性値に基づいて、前記タイヤの耐久性情報を表示させるように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ状態表示装置であって、
車両に装着されたタイヤの1つ以上のタイヤ構成部位の各々に対して設定された基準値を取得し、
前記タイヤに関する計測データを受信し、
前記計測データに基づいて、前記タイヤの前記1つ以上のタイヤ構成部位の各々の状態特性値を算出し、
前記1つ以上のタイヤ構成部位の各々の前記基準値に対する前記状態特性値に基づいて、前記タイヤの耐久性情報を表示させるように構成されている、タイヤ状態表示装置。
【請求項2】
前記計測データは、前記タイヤのタイヤ状態データと、前記車両の走行データとを含む、請求項1に記載のタイヤ状態表示装置。
【請求項3】
前記基準値は、前記タイヤが限界状態にあることを示す状態特性値である、請求項1又は2に記載のタイヤ状態表示装置。
【請求項4】
前記タイヤの前記耐久性情報を表示させることは、前記1つ以上のタイヤ構成部位の各々の前記基準値に対する前記状態特性値を、前記1つ以上のタイヤ構成部位の全てに共通する指標に換算することを含む、請求項1に記載のタイヤ状態表示装置。
【請求項5】
前記タイヤの前記耐久性情報を表示させることは、前記1つ以上のタイヤ構成部位の各々の前記基準値に対する前記状態特性値を並べて表示させることを含む、請求項1に記載のタイヤ状態表示装置。
【請求項6】
前記タイヤの前記耐久性情報を表示させることは、前記1つ以上のタイヤ構成部位の各々の前記基準値に対する前記状態特性値のうち、最も前記タイヤが限界状態に近いことを示す前記状態特性値を表示させることを含む、請求項1に記載のタイヤ状態表示装置。
【請求項7】
前記車両が複数のタイヤを装着している場合に、前記複数のタイヤの前記耐久性情報を並べて表示させるように構成されている、請求項1に記載のタイヤ状態表示装置。
【請求項8】
前記状態特性値が第1閾値範囲から外れた場合に、アラートを出力させるように構成されている、請求項1に記載のタイヤ状態表示装置。
【請求項9】
前記状態特性値の履歴を記憶し、前記状態特性値の変化量が第2閾値範囲から外れた場合に、アラートを出力させるように構成されている、請求項1に記載のタイヤ状態表示装置。
【請求項10】
請求項1に記載のタイヤ状態表示装置と通信可能に接続された端末装置であって、
前記タイヤ状態表示装置から受信した命令に基づいて、前記タイヤの前記耐久性情報を表示するように構成されている、端末装置。
【請求項11】
タイヤ状態表示方法であって、
1つ以上のコンピュータに、
車両に装着されたタイヤの1つ以上のタイヤ構成部位の各々に対して設定された基準値を取得することと、
前記タイヤに関する計測データを受信することと、
前記計測データに基づいて、前記タイヤの前記1つ以上のタイヤ構成部位の各々の状態特性値を算出することと、
前記1つ以上のタイヤ構成部位の各々の前記基準値に対する前記状態特性値に基づいて、前記タイヤの耐久性情報を表示させることと、
を実行させる、タイヤ状態表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タイヤ状態表示装置、端末装置、及びタイヤ状態表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤの状態を評価する技術が知られている。例えば、特許文献1には、タイヤの疲労度特性値及び走行パラメータを用いてタイヤの故障部位を予測するタイヤ故障部位予測システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/084376号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、タイヤの状態を評価する技術の有用性の更なる向上が求められている。例えば、ひとえにタイヤの状態といっても、タイヤの状態の評価において考慮されるタイヤの構成部位及び評価指標等は多岐にわたっており、評価結果からタイヤの状態を判断することが困難であった。そのため、タイヤの状態の評価結果を可視化して、評価結果の可読性を向上させることが求められている。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、タイヤの状態を評価する技術の有用性を向上させる、タイヤ状態表示装置、端末装置、及びタイヤ状態表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔1〕本開示の一実施形態に係るタイヤ状態表示装置は、車両に装着されたタイヤの1つ以上のタイヤ構成部位の各々に対して設定された基準値を取得し、前記タイヤに関する計測データを受信し、前記計測データに基づいて、前記タイヤの前記1つ以上のタイヤ構成部位の各々の状態特性値を算出し、前記1つ以上のタイヤ構成部位の各々の前記基準値に対する前記状態特性値に基づいて、前記タイヤの耐久性情報を表示させるように構成されている。
本開示の一実施形態に係るタイヤ状態表示装置によれば、可視化によりタイヤの耐久性情報の可読性を向上させることができる。したがって、タイヤの状態を評価する技術の有用性が向上する。
【0007】
〔2〕本開示の一実施形態に係るタイヤ状態表示装置は、上記〔1〕に記載のタイヤ状態表示装置であって、前記計測データは、前記タイヤのタイヤ状態データと、前記車両の走行データとを含むことが好ましい。かかる構成を有するタイヤ状態表示装置によれば、タイヤの状態の評価精度を向上させることができる。
【0008】
〔3〕本開示の一実施形態に係るタイヤ状態表示装置は、上記〔1〕又は〔2〕に記載のタイヤ状態表示装置であって、前記基準値は、前記タイヤが限界状態にあることを示す状態特性値であることが好ましい。かかる構成を有するタイヤ状態表示装置によれば、タイヤの耐久性情報の可読性を更に向上させることができる。
【0009】
〔4〕本開示の一実施形態に係るタイヤ状態表示装置は、上記〔1〕から〔3〕のいずれか一項に記載のタイヤ状態表示装置であって、前記タイヤの前記耐久性情報を表示させることは、前記1つ以上のタイヤ構成部位の各々の前記基準値に対する前記状態特性値を、前記1つ以上のタイヤ構成部位の全てに共通する指標に換算することを含むことが好ましい。かかる構成を有するタイヤ状態表示装置によれば、タイヤ構成部位ごとの状態を容易に比較することができる。
【0010】
〔5〕本開示の一実施形態に係るタイヤ状態表示装置は、上記〔1〕から〔4〕のいずれか一項に記載のタイヤ状態表示装置であって、前記タイヤの前記耐久性情報を表示させることは、前記1つ以上のタイヤ構成部位の各々の前記基準値に対する前記状態特性値を並べて表示させることを含むことが好ましい。かかる構成を有するタイヤ状態表示装置によれば、タイヤの耐久性情報の可読性を更に向上させることができる。
【0011】
〔6〕本開示の一実施形態に係るタイヤ状態表示装置は、上記〔1〕から〔4〕のいずれか一項に記載のタイヤ状態表示装置であって、前記タイヤの前記耐久性情報を表示させることは、前記1つ以上のタイヤ構成部位の各々の前記基準値に対する前記状態特性値のうち、最も前記タイヤが限界状態に近いことを示す前記状態特性値を表示させることを含むことが好ましい。かかる構成を有するタイヤ状態表示装置によれば、タイヤの耐久性情報の可読性を更に向上させることができる。
【0012】
〔7〕本開示の一実施形態に係るタイヤ状態表示装置は、上記〔1〕から〔6〕のいずれか一項に記載のタイヤ状態表示装置であって、前記車両が複数のタイヤを装着している場合に、前記複数のタイヤの前記耐久性情報を並べて表示させるように構成されていることが好ましい。かかる構成を有するタイヤ状態表示装置によれば、車両に装着された複数のタイヤの状態を容易に比較することができる。
【0013】
〔8〕本開示の一実施形態に係るタイヤ状態表示装置は、上記〔1〕から〔7〕のいずれか一項に記載のタイヤ状態表示装置であって、前記状態特性値が第1閾値範囲から外れた場合に、アラートを出力させるように構成されていることが好ましい。かかる構成を有するタイヤ状態表示装置によれば、タイヤの状態を評価する技術の有用性を更に向上させることができる。
【0014】
〔9〕本開示の一実施形態に係るタイヤ状態表示装置は、上記〔1〕から〔8〕のいずれか一項に記載のタイヤ状態表示装置であって、前記状態特性値の履歴を記憶し、前記状態特性値の変化量が第2閾値範囲から外れた場合に、アラートを出力させるように構成されていることが好ましい。かかる構成を有するタイヤ状態表示装置によれば、タイヤの状態を評価する技術の有用性を更に向上させることができる。
【0015】
〔10〕本開示の一実施形態に係る端末装置は、上記〔1〕から〔9〕のいずれか一項に記載のタイヤ状態表示装置と通信可能に接続された端末装置であって、前記タイヤ状態表示装置から受信した命令に基づいて、前記タイヤの前記耐久性情報を表示するように構成されている。
本開示の一実施形態に係る端末装置によれば、可視化によりタイヤの耐久性情報の可読性を向上させることができる。したがって、タイヤの状態を評価する技術の有用性が向上する。
【0016】
〔11〕本開示の一実施形態に係るタイヤ状態表示方法は、1つ以上のコンピュータに、車両に装着されたタイヤの1つ以上のタイヤ構成部位の各々に対して設定された基準値を取得することと、前記タイヤに関する計測データを受信することと、前記計測データに基づいて、前記タイヤの前記1つ以上のタイヤ構成部位の各々の状態特性値を算出することと、前記1つ以上のタイヤ構成部位の各々の前記基準値に対する前記状態特性値に基づいて、前記タイヤの耐久性情報を表示させることと、を実行させる。
本開示の一実施形態に係るタイヤ状態表示方法によれば、可視化によりタイヤの耐久性情報の可読性を向上させることができる。したがって、タイヤの状態を評価する技術の有用性が向上する。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、タイヤの状態を評価する技術の有用性を向上させる、タイヤ状態表示装置、端末装置、及びタイヤ状態表示方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の一実施形態に係るタイヤ状態表示システムの概略構成を示す図である。
図2】一般的なタイヤの、タイヤ幅方向における部分断面図である。
図3図1に示される計測装置の構成を示すブロック図である。
図4図1に示されるサーバ及び端末装置の構成を示すブロック図である。
図5図1に示されるタイヤ状態表示システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図6図1に示されるタイヤ状態表示システムにおける、タイヤの耐久性情報を表示した画面の一例を示す概略図である。
図7図1に示されるタイヤ状態表示システムにおける、タイヤの耐久性情報を表示した画面の他の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の一実施形態に係るタイヤ状態表示システム1について、図面を参照して説明する。各図において共通する部材及び部位には同一の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合があることに留意されたい。
【0020】
(タイヤ状態表示システムの構成)
はじめに、図1参照して、本実施形態に係るタイヤ状態表示システム1の概要について説明する。図1は、タイヤ状態表示システム1の概略構成を示す図である。図1に示されるように、タイヤ状態表示システム1は、計測装置10と、サーバ20と、端末装置30とを含む。図1では、それぞれ1つの計測装置10、サーバ20、及び端末装置30が示されている。しかしながら、タイヤ状態表示システム1は、任意の数の計測装置10、サーバ20、及び端末装置30を含んでいてもよい。
【0021】
計測装置10は、デジタルタコグラフ、タイヤ空気圧監視システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)、ECU(Electronic Control Unit)、又はカーナビゲーション装置等の1つ以上のコンピュータで構成されている。計測装置10は、車両2に装着されたタイヤ50に関する計測データを計測する。そのために、計測装置10は、車両2又はタイヤ50に設置されていてもよい。
【0022】
車両2は、例えば、トラックである。しかしながら、車両2は、トラックに限られず、乗用車、建設車両、工事車両、バイク、自転車、又は飛行機等、タイヤ50を装着可能な任意の車両であってもよい。
【0023】
サーバ20は、1つ以上のコンピュータで構成されている。本実施形態では、サーバ20は、1つのコンピュータで構成されているものとして説明する。しかしながら、サーバ20は、クラウドコンピューティングシステム等、複数のコンピュータによって構成されていてもよい。サーバ20は、「タイヤ状態表示装置」とも称される。
【0024】
端末装置30は、例えばスマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等のコンピュータである。
【0025】
ネットワーク40は、計測装置10、サーバ20、及び端末装置30が相互に通信可能な、任意の通信網である。例えば、本実施形態におけるネットワーク40は、アドホックネットワーク、MAN(Metropolitan Area Network)、セルラーネットワーク、WPAN(Wireless Personal Area Network)、PSTN(Public Switched Telephone Network)、地上波無線ネットワーク(Terrestrial Wireless Network)、光ネットワークもしくは他のネットワーク又はこれらいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。
【0026】
タイヤ状態表示システム1は、1つ以上のタイヤ50の状態を視覚化するために用いられる。タイヤ状態表示システム1において、タイヤ状態表示装置であるサーバ20は、車両2に装着されたタイヤ50の1つ以上のタイヤ構成部位51の各々に対して設定された基準値を取得する。例えば、サーバ20は、基準値を予め記憶していてもよい。サーバ20は、計測装置10からタイヤ50に関する計測データを受信し、計測データに基づいて、タイヤ50の1つ以上のタイヤ構成部位51の各々の状態特性値を算出する。
【0027】
タイヤ構成部位51の「状態特性値」とは、タイヤ構成部位51における、タイヤ50の状態を表す指標である。タイヤ構成部位51の状態特性値は、例えば、タイヤ50を構成するゴムが耐え得る引張荷重である、破断応力R[N/mm]で表わされる。或いは、タイヤ構成部位51の状態特性値は、タイヤ50を構成するゴムに含まれる酸素の濃度である、酸素濃度ΔO[単位なし]で表わされる。ただし、状態特性値として用いられる指標は、破断応力及び酸素濃度に限られない。また、状態特性値として用いられる指標は、タイヤ構成部位51ごとに異なり得る。
【0028】
タイヤ構成部位51とは、タイヤ50の一部である。本開示では、タイヤ50の状態は、タイヤ50の1つ以上のタイヤ構成部位51ごとに評価される。図2を参照して、タイヤ50の状態の評価に用いられる1つ以上のタイヤ構成部位51の例を説明する。図2は、一般的なタイヤ50の、タイヤ幅方向における部分断面図である。
【0029】
タイヤ50は、一対のビード部52と、一対のサイドウォール部53と、トレッド部54とを有している。サイドウォール部53は、トレッド部54とビード部52との間に延在している。本実施形態では、タイヤ50は、タイヤ赤道面CLに対して対称な構成であるものとして説明する。しかしながら、タイヤ50は、タイヤ赤道面CLに対して非対称な構成とされていてもよい。
【0030】
タイヤ50は、ビード部52に配置された一対のビードコア55と、一対のビードコア55間にトロイダル状に延在する1枚以上のプライからなるカーカス56と、カーカス56のクラウン域のタイヤ径方向外側に配置された1層以上のベルト層57Aからなるベルト57と、を備えている。
【0031】
ビードコア55は、タイヤ周方向に延在する環状のケーブルビードからなっている。ビードコア55のタイヤ径方向外側には、ビードフィラー58が設けられている。ただし、タイヤ50は、ビードフィラー58を備えない構成とされてもよい。
【0032】
カーカス56は、一対のビードコア55間にトロイダル状に延在する1枚以上のプライ(図示例では1枚)からなる。カーカス56の端部側はビードコア55に係止されている。具体的には、カーカス56は、ビードコア55間に配置されたカーカス本体部56Aと、ビードコア55の周りにタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側へ折り返されているカーカス折返し部56Bと、を有している。ただし、カーカス56は、ビードコア55の周りにタイヤ幅方向外側からタイヤ幅方向内側へ折り返されているカーカス折返し部56Bを有する構造とされてもよい。
【0033】
ベルト57は、カーカス56のクラウン域のタイヤ径方向外側に配置されている。ベルト57は、タイヤ赤道面CLにおいてタイヤ径方向に積層された1層以上(図示例では2層)のベルト層57Aによって構成されている。ベルト57は、トレッド部54において、カーカス56をタイヤ径方向外側から覆うように設けられている。ベルト57は、ベルト層57Aを補強する、1層以上(図示例では1層)のベルト補強層57Bを更に備えていてもよい。ベルト補強層57Bは、ベルト層57Aのタイヤ径方向外側及び/又はタイヤ幅方向外側に配置されている。ただし、ベルト57は、ベルト補強層57Bを備えていなくてもよい。
【0034】
タイヤ50の状態の評価に用いられる1つ以上のタイヤ構成部位51には、例えば、ベルト間51A、ベルト・プライ間51B、及びプライ端51Cが含まれる。図2では、ベルト間51A、ベルト・プライ間51B、及びプライ端51Cの各々の概略的な位置が、破線で囲んで示されている。ただし、ベルト間51A、ベルト・プライ間51B、及びプライ端51Cの各々は、図2中の破線の範囲に限定されるものではない。
【0035】
ベルト間51Aは、ベルト57を構成するベルト層57A又はベルト補強層57Bの間の位置である。ベルト・プライ間51Bは、ベルト57とカーカス56との間の位置である。プライ端51Cは、カーカス折返し部56Bの端部及びその近傍である。これらの位置では、タイヤ50の使用に伴い、例えば、ベルト57又はカーカス56を構成するスチールコード等のコードに沿ってゴムとコードとの間に亀裂が発生することがある。この亀裂が広がることで、タイヤ50が破損してしまう。このように、これらのタイヤ構成部位51の劣化又は損傷が、タイヤ50の故障の原因となり得るため、これらのタイヤ構成部位51をタイヤ50の状態の評価に用いることが好適である。ただし、タイヤ50の状態の評価に用いられる1つ以上のタイヤ構成部位51には、上述した例に限られず、タイヤ50の故障の原因となり得る任意のタイヤ構成部位51が含まれていてもよい。以下の説明において、ベルト間51A、ベルト・プライ間51B、及びプライ端51Cを特に区別しない場合、単に、タイヤ構成部位51と総称する。
【0036】
再び図1を参照して、サーバ20は、1つ以上のタイヤ構成部位51の各々の基準値に対する状態特性値に基づいて、例えば、端末装置30に、タイヤ50の耐久性情報を表示させる。例えば、端末装置30は、タイヤ50の耐久性情報として、タイヤ50のベルト間51A、ベルト・プライ間51B、及びプライ端51Cにおける基準値に対する状態特性値を並べて表示させてもよい。その結果、端末装置30の利用者は、タイヤ50の状態を把握しやすくなる。したがって、タイヤ状態表示システム1によれば、タイヤ50の状態を評価する技術の有用性が向上する。
【0037】
タイヤ50の耐久性情報は、タイヤ50の耐久性を示す情報である。そして、タイヤ50の「耐久性」とは、タイヤ50の使用に伴い変化するタイヤ50の状態を表す指標である。本開示において、タイヤ50の耐久性は、タイヤ50の使用に伴い減少する指標で表わされるものとする。タイヤ50の使用に伴い減少する指標は、例えば、タイヤ50の残存耐久性である。タイヤ50の「残存耐久性」とは、使用中のタイヤ50が所定の限界状態に至るまでの残期間を表す指標である。残存耐久性は、残存寿命ともいう。例えば、タイヤ50の残存耐久性は、タイヤ50の初期状態における値を100とし、タイヤ50の限界状態における値を0として、0~100の数値で表すことができる。ただし、タイヤ50の耐久性は、タイヤ50の使用に伴い増加する指標で表わされてもよい。タイヤ50の使用に伴い増加する指標は、例えば、タイヤ50の疲労度である。タイヤ50の「疲労度」とは、使用中のタイヤ50に蓄積された疲労の大きさを表す指標である。例えば、タイヤ50の疲労度は、タイヤ50の初期状態における値を0とし、タイヤ50の限界状態における値を100として、0~100の数値で表すことができる。
【0038】
次に、タイヤ状態表示システム1の計測装置10、サーバ20、及び端末装置30について、詳細に説明する。
【0039】
(計測装置の構成)
図3を参照して、本実施形態に係る計測装置10の構成を説明する。図3は、計測装置10の構成を示すブロック図である。図3に示されるように、計測装置10は、第1計測部11と、第2計測部12と、通信部13と、記憶部14と、制御部15と、を備える。計測装置10において、第1計測部11、第2計測部12、通信部13、記憶部14、及び制御部15は、例えば、CAN(Controller Area Network)等の車載ネットワーク又は専用線を介して、有線又は無線で互いに通信可能に接続されている。
【0040】
第1計測部11は、車両2に装着されたタイヤ50に関する計測データとして、タイヤ50のタイヤ状態データを計測可能な1つ以上のセンサを含む。例えば、センサは、圧力センサ、温度センサ、又は重量センサ等であってもよい。タイヤ50のタイヤ状態データは、例えば、タイヤ50の内圧(空気圧)又は温度を含む。ただし、タイヤ50のタイヤ状態データは、上述した例に限られず、タイヤ50の状態を示す任意のデータを含んでいてもよい。第1計測部11は、例えば、タイヤ50に設置されたTPMSであってもよい。
【0041】
第2計測部12は、車両2に装着されたタイヤ50に関する計測データとして、車両2の走行データを計測可能な1つ以上のセンサを含む。センサは、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、或いは、GPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムに対応する受信機であってもよい。車両2の走行データは、例えば、車両2の走行時間、走行距離、速度、加速度、又はタイヤ50の回転数を含む。ただし、車両2の走行データは、上述した例に限られず、車両2がタイヤ50を装着して走行した時間及び/又は距離に関する任意のデータを含んでいてもよい。第2計測部12は、例えば、車両2に設置されたデジタルタコグラフであってもよい。
【0042】
通信部13は、ネットワーク40に接続するための通信モジュールを含む。通信モジュールは、例えば4G(4th Generation)又は5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応した通信モジュールである。通信モジュールは、例えば有線LAN(Local Area Network)又は無線LAN等の規格に対応した通信モジュールであってもよい。通信モジュールは、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、又は赤外線通信等の近距離無線通信規格に対応した通信モジュールであってもよい。本実施形態において、計測装置10は、通信部13を介してネットワーク40に接続される。これによって、計測装置10は、サーバ20等と通信することができる。
【0043】
記憶部14は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等である。記憶部14は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部14は、計測装置10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部14は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、組み込みソフトウェア、又はデータベース等を記憶する。記憶部14に記憶された情報は、例えば通信部13を介してネットワーク40から取得される情報で更新可能であってもよい。例えば、記憶部14は、計測装置10の計測対象となる1つ以上のタイヤ50のタイヤ識別情報を記憶していてもよい。タイヤ識別情報は、例えば、サーバ20によって一意に払い出されたタイヤ50のID(Identifier)であるが、これに限られず、タイヤ50の製造番号などであってもよい。
【0044】
制御部15は、1つ以上のプロセッサを含む。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用のプロセッサ等であってもよい。制御部15は、プロセッサに限られず、1つ以上の専用回路を含んでもよい。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)であってもよい。制御部15は、上述した、第1計測部11、第2計測部12、通信部13及び記憶部14等の構成要素の機能を含む、計測装置10の機能を実現させるために、それぞれの構成要素を制御する。制御部15は、例えば、車両2に設置されたECUであってもよい。
【0045】
(サーバの構成)
図4を参照して、本実施形態に係るサーバ20の構成を説明する。図4は、サーバ20及び端末装置30の構成を示すブロック図である。図4にブロック図で示されるように、サーバ20は、通信部21と、表示部22と、入力部23と、記憶部24と、制御部25と、を備える。サーバ20において、通信部21、表示部22、入力部23、記憶部24、及び制御部25は、有線又は無線で互いに通信可能に接続されている。
【0046】
通信部21は、ネットワーク40に接続する通信モジュールを含む。通信モジュールは、例えば4G又は5G等の移動体通信規格に対応した通信モジュールである。通信モジュールは、例えば有線LAN又は無線LAN等の規格に対応した通信モジュールであってもよい。通信モジュールは、Wi-Fi、Bluetooth、又は赤外線通信等の近距離無線通信規格に対応した通信モジュールであってもよい。本実施形態において、サーバ20は、通信部21を介してネットワーク40に接続される。これによって、サーバ20は、計測装置10及び端末装置30等と通信することができる。
【0047】
表示部22は、1つ以上の表示装置を含む。例えば、表示装置は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等のディスプレイであってもよい。表示部22は、画像又は文字等により情報を表示する。表示部22は、ディスプレイに加え、音又は光等を出力するために、スピーカ又はランプ等を含んでいてもよい。
【0048】
入力部23は、1つ入力装置を含む。入力部23に含まれる入力装置は、例えばタッチパネル、カメラ、マイク、及びICカードリーダ等である。入力部23は、サーバ20の利用者による入力操作を受け付ける。
【0049】
記憶部24は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等である。記憶部24は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部24は、サーバ20の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部24は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、組み込みソフトウェア、又はデータベース等を記憶する。記憶部24に記憶された情報は、例えば通信部21を介してネットワーク40から取得される情報で更新可能であってもよい。
【0050】
制御部25は、1つ以上のプロセッサを含む。プロセッサは、例えば、CPU等の汎用のプロセッサ又は特定の処理に特化した専用のプロセッサ等であってもよい。制御部25は、プロセッサに限られず、1つ以上の専用回路を含んでもよい。専用回路は、例えば、FPGA又はASICであってもよい。制御部25は、上述した通信部21、表示部22、入力部23、及び記憶部24等の構成要素の機能を含む、サーバ20の機能を実現させるために、それぞれの機能を制御する。
【0051】
(端末装置の構成)
図4を参照して、本実施形態に係る端末装置30の構成を説明する。図4にブロック図で示されるように、端末装置30は、通信部31と、表示部32と、入力部33と、記憶部34と、制御部35と、を備える。端末装置30において、通信部31、表示部32、入力部33、記憶部34、及び制御部35は、有線又は無線で互いに通信可能に接続されている。
【0052】
通信部31は、ネットワーク40に接続する通信モジュールを含む。通信モジュールは、例えば4G又は5G等の移動体通信規格に対応した通信モジュールである。通信モジュールは、例えば有線LAN又は無線LAN等の規格に対応した通信モジュールであってもよい。通信モジュールは、Wi-Fi、Bluetooth、又は赤外線通信等の近距離無線通信規格に対応した通信モジュールであってもよい。本実施形態において、端末装置30は、通信部31を介してネットワーク40に接続される。これによって、端末装置30は、サーバ20等と通信することができる。
【0053】
表示部32は、1つ以上の表示装置を含む。例えば、表示装置は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等のディスプレイであってもよい。表示部32は、画像又は文字等により情報を表示する。表示部32は、ディスプレイに加え、音又は光等を出力するために、スピーカ又はランプ等を含んでいてもよい。
【0054】
入力部33は、1つ入力装置を含む。入力部33に含まれる入力装置は、例えばタッチパネル、カメラ、マイク、及びICカードリーダ等である。入力部33は、端末装置30の利用者による入力操作を受け付ける。
【0055】
記憶部34は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等である。記憶部34は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部34は、端末装置30の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部34は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、組み込みソフトウェア、又はデータベース等を記憶する。記憶部34に記憶された情報は、例えば通信部31を介してネットワーク40から取得される情報で更新可能であってもよい。
【0056】
制御部35は、1つ以上のプロセッサを含む。プロセッサは、例えば、CPU等の汎用のプロセッサ又は特定の処理に特化した専用のプロセッサ等であってもよい。制御部35は、プロセッサに限られず、1つ以上の専用回路を含んでもよい。専用回路は、例えば、FPGA又はASICであってもよい。制御部35は、上述した通信部31、表示部32、入力部33、及び記憶部34等の構成要素の機能を含む、端末装置30の機能を実現させるために、それぞれの機能を制御する。
【0057】
(タイヤ状態表示システムの動作)
図5図6及び図7を参照して、タイヤ状態表示システム1の動作を説明する。図5は、タイヤ状態表示システム1の動作の一例を示すフローチャートである。図6は、タイヤ状態表示システム1による、タイヤ50の耐久性情報を表示した画面の一例を示す概略図である。図7は、タイヤ状態表示システム1による、タイヤ50の耐久性情報を表示した画面の他の例を示す概略図である。図5に示されるフローチャートには、タイヤ状態表示システム1に含まれる計測装置10、サーバ20、及び端末装置30の動作が示されている。そのため、本動作の説明は、タイヤ状態表示システム1の制御方法に相当するとともに、タイヤ状態表示システム1に含まれる計測装置10、サーバ20、及び端末装置30のそれぞれの制御方法に相当する。
【0058】
本動作の説明において、車両2は、3つの車軸(F軸、D軸、及びR軸)を備え、それぞれのF軸には2つ、D軸及びR軸には4つのタイヤ50を装着しているものとする。ただし、車両2が備える車軸及びタイヤ50の数は、任意の数とされてもよい。また、本動作の説明において、タイヤ50の状態の評価に用いられるタイヤ構成部位51には、ベルト間51A、ベルト・プライ間51B、及びプライ端51Cが含まれているものとする。ただし、タイヤ構成部位51の数は、任意の数とされてもよい。
【0059】
ステップS101において、サーバ20の制御部25は、車両2に装着されたタイヤ50の1つ以上のタイヤ構成部位51の各々に対して設定された基準値を取得する。本実施形態では、制御部25は、当該基準値を記憶部24に予め記憶しておき、記憶部24から読み出すことで取得することができる。ただし、制御部25は、当該基準値を、通信部21を介して、他のコンピュータから取得してもよい。説明の簡便のため、各々の基準値は、複数のタイヤ50で共通するものとして説明するが、タイヤ50ごとに異なる値とされてもよい。
【0060】
基準値は、例えば、タイヤ50の1つ以上のタイヤ構成部位51の各々における、タイヤ50の耐久性が限界状態にあることを示す状態特性値である。これにより、タイヤ50の限界状態に対する現在の耐久性を可視化することができる。ただし、基準値は、上述した例に限られず、タイヤ50の交換時期を示す状態特性値、或いは、タイヤ50をリトレッドして使用するために最低限必要な耐久性を示す状態特性値等であってもよい。
【0061】
ステップS102において、計測装置10の制御部15は、第1計測部11又は第2計測部12を介して、タイヤ50に関する計測データを計測する。タイヤ50に関する計測データには、上述のとおり、タイヤ50のタイヤ状態データと、タイヤ50を装着した車両2の走行データとが含まれる。ただし、タイヤ50に関する計測データには、上述のデータ以外の任意のデータが含まれていてもよい。
【0062】
タイヤ50に関する計測データの計測には、任意の手法が採用可能である。例えば、計測装置10の制御部15は、第1計測部11を介して、1秒間隔など、所定のタイミングで、タイヤ50のタイヤ状態データを計測してもよい。タイヤ50のタイヤ状態データは、例えば、タイヤ50の内圧又は温度等を含む。制御部15は、タイヤ50のタイヤ状態データを、タイヤ50のタイヤ識別情報及び計測日時と関連付けて、タイヤ50に関する計測データとして記憶部14に記憶してもよい。或いは、制御部15は、第2計測部12を介して、1秒間隔など、所定のタイミングで、車両2の走行データを計測してもよい。車両2の走行データは、例えば、車両2の走行時間、走行距離、速度、加速度、又はタイヤ50の回転数などを含む。制御部15は、車両2の走行データを、タイヤ50のタイヤ識別情報及び計測日時と関連付けて、タイヤ50に関する計測データとして記憶部14に記憶してもよい。
【0063】
ステップS103において、計測装置10の制御部15は、通信部13を介して、タイヤ50に関する計測データをサーバ20に送信する。制御部15は、タイヤ50に関する計測データが計測されるたびに、当該タイヤ50に関する計測データをサーバ20に送信してもよく、或いは、所定の期間に計測されたタイヤ50に関する計測データをまとめてサーバ20に送信してもよい。
【0064】
ステップS104において、サーバ20の制御部25は、通信部21を介して、計測装置10からタイヤ50に関する計測データを受信する。制御部25は、受信したタイヤ50に関する計測データを記憶部24に記憶する。制御部25は、タイヤ50に関する計測データを時系列情報として管理してもよい。
【0065】
ステップS105において、サーバ20の制御部25は、タイヤ50に関する計測データに基づいて、タイヤ50の1つ以上のタイヤ構成部位51の各々の状態特性値を算出する。
【0066】
タイヤ構成部位51の状態特性値の算出には、任意の手法が採用可能である。サーバ20の制御部25は、タイヤ50に関する計測データとタイヤ構成部位51の状態特性値との対応付けアルゴリズムを記憶部24に予め記憶していてもよい。制御部25は、対応付けアルゴリズムを用いて、タイヤ50に関する計測データに基づいて、タイヤ構成部位51の状態特性値を判定する。例えば、制御部25は、タイヤ50に関する計測データに基づいて、タイヤ構成部位51ごとの変形量、温度を算出してもよい。さらに、制御部25は、タイヤ構成部位51ごとの変形量、温度の時系列分析を行い、タイヤ構成部位51ごとの状態特性値を算出してもよい。算出される状態特性値は、タイヤ構成部位51ごとに異なっていてもよい。例えば、ベルト間51A、ベルト・プライ間51B、又はプライ端51Cのいずれか1つ以上では、状態特性値として、破断応力又は酸素濃度のいずれか一方が算出されてもよい。また例えば、ベルト間51A、ベルト・プライ間51B、又はプライ端51Cのいずれか1つ以上では、状態特性値が、破断応力及び酸素濃度の双方に基づいて算出されてもよい。タイヤ構成部位51ごとの状態特性値が破断応力及び酸素濃度の双方に基づいて算出される場合、破断応力と酸素濃度との重みづけが、タイヤ構成部位51ごとに異なっていてもよい。制御部25は、算出されたタイヤ構成部位51の状態特性値を、タイヤ50のタイヤ識別情報と関連付けて、記憶部24に記憶してもよい。
【0067】
対応付けアルゴリズムは、機械学習又はディープラーニング等の統計的手法により設定されてもよい。例えば、対応付けアルゴリズムは、過去の1つ以上のタイヤ50に関する計測データと、人間等によるタイヤ構成部位51の状態特性値の評価結果とに基づいて、統計的手法により設定されてもよい。これにより、計測データの蓄積により、タイヤ50の状態の判定精度を向上させることができる。ただし、対応付けアルゴリズムは、所定の関係式により表わされていてもよい。
【0068】
ステップS106において、サーバ20の制御部25は、タイヤ50の1つ以上のタイヤ構成部位51の各々の基準値に対する状態特性値に基づいて、タイヤ50の耐久性情報を表示させる。制御部25は、表示部22を介して、図6に示されるような、タイヤ50の耐久性情報を表示させてもよい。或いは、制御部25は、通信部21を介して、タイヤ50の耐久性情報を表示させる命令を、端末装置30に送信してもよい。かかる場合、端末装置30の制御部35が、サーバ20から受信した命令に基づいて、ディスプレイ等の表示部32を介して、図6に示されるような、タイヤ50の耐久性情報を表示することができる。その結果、タイヤ状態表示システム1の利用者は、可視化されたタイヤ50の耐久性情報を閲覧することができる。このように、タイヤ状態表示システム1によれば、タイヤ50の状態の評価結果の可読性を向上させることができる。したがって、本開示に係るタイヤ状態表示システム1によれば、タイヤの状態を評価する技術の有用性が向上する。
【0069】
図6において、タイヤ50の耐久性情報として、タイヤ50の3つのタイヤ構成部位51(ベルト間51A、ベルト・プライ間51B、及びプライ端51C)の基準値に対する状態特性値が並べて表示されている。具体的には、3つのタイヤ構成部位51の各々の状態特性値が、基準値として、各々のタイヤ50の限界状態における状態特性値を下端とし、各々のタイヤ50の初期状態における状態特性値を上端とした棒グラフで表わされている。これにより、各々のタイヤ構成部位51が、タイヤ50の限界状態にどの程度近づいているのかを容易に把握することができる。
【0070】
図6に示されるように、サーバ20の制御部25は、ステップS106において、更に、タイヤ50の1つ以上のタイヤ構成部位51の各々の基準値に対する状態特性値を、1つ以上のタイヤ構成部位の全てに共通する指標に換算してもよい。指標は、タイヤ50の残存耐久性である。具体的には、3つのタイヤ構成部位51の状態特性値の各々が、タイヤ50の初期状態における値を100とし、タイヤ50の限界状態における値を0として、0~100の数値で表される。このように、1つ以上のタイヤ構成部位51が各々異なる状態特性値で評価されていても、共通する指標に換算されることにより、タイヤ構成部位51ごとの状態が把握しやすくなる。
【0071】
ステップS106において、更に、サーバ20の制御部25は、タイヤ50の1つ以上のタイヤ構成部位51の各々の基準値に対する状態特性値を並べて表示させてもよい。図6では、タイヤ50の3つのタイヤ構成部位51の基準値に対する状態特性値が並べて表示されている。これにより、タイヤ構成部位51ごとの状態を容易に比較することができる。図示例では、3つのタイヤ構成部位51の基準値に対する状態特性値を、共通する指標に換算された上で、並べて表示されているが、これに限られない。例えば、制御部25は、3つのタイヤ構成部位51の基準値に対する状態特性値を、共通する指標に換算せずに、例えば棒グラフの上端及び下端を揃えて、対比可能に表示させてもよい。
【0072】
或いは、ステップS106において、サーバ20の制御部25は、図7に示されるように、タイヤ50の1つ以上のタイヤ構成部位51の各々の基準値に対する状態特性値のうち、最もタイヤ50が限界状態に近いことを示す状態特性値を表示させてもよい。図7では、図6に示されるタイヤ50の3つのタイヤ構成部位51の状態特性値のうち、残存耐久性が最も小さく、タイヤ50の故障に最も直結し得るもののみが表示されている。これにより、タイヤ50の耐久性情報がより直感的にわかりやすく把握しやすくなる。
【0073】
再び図6を参照して、サーバ20の制御部25は、ステップS106において、更に、車両2が複数のタイヤ50を装着している場合に、複数のタイヤ50の耐久性情報を並べて表示させてもよい。図6では、車両2のF軸、D軸外側、D軸内側、R軸外側、R軸内側のタイヤ50の耐久性情報が並べて表示されている。これにより、車両2に装着された複数のタイヤ50の状態を容易に比較することができる。例えば、図6に示されるように、制御部25は、車両2が装着している複数のタイヤ50を、タイヤ50の装着位置に関連付けて表示してもよい。当該情報を参照することにより、車両2に装着させるタイヤ50をローテーションする際に、耐久性が最も低いものを、車両2からの負荷が最も少ない位置に装着させることができる。
【0074】
再び図5を参照して、ステップS107において、サーバ20の制御部25は、タイヤ50の1つ以上のタイヤ構成部位51の状態特性値が第1閾値範囲から外れた場合に、アラートを出力させてもよい。第1閾値範囲は、例えば、タイヤ50の耐久性が許容範囲にあることを示す範囲であってもよい。或いは、第1閾値範囲は、タイヤ50の交換せずに走行可能な範囲、或いは、タイヤ50をリトレッドして再使用可能な範囲であってもよい。
【0075】
アラートの出力には、任意の手法が採用可能である。サーバ20の制御部25は、表示部22を介して、情報の表示、音又は光の出力を行ってもよい。或いは、制御部25は、通信部21を介して、アラートを出力させる命令を、端末装置30に送信してもよい。かかる場合、端末装置30の制御部35が、サーバ20から受信した命令に基づいて、ディスプレイ等の表示部32を介して、アラートを出力することができる。その結果、タイヤ状態表示システム1の利用者に、タイヤ50の交換、リトレッド、或いはローテーション等の行動を促すことができる。
【0076】
ステップS108において、サーバ20の制御部25は、タイヤ50の1つ以上のタイヤ構成部位51の状態特性値の履歴を記憶し、状態特性値の変化量が第2閾値範囲から外れた場合に、アラートを出力させてもよい。第2閾値範囲は、例えば、タイヤ50の時系列変化が許容範囲にあることを示す範囲であってもよい。制御部25は、状態特性値の時系列情報の中から、異なる2点以上の時点における状態特性値の平均変化率を算出し、第2閾値範囲内にあるか否かを判定してもよい。これにより、タイヤ50又はタイヤ50を装着している車両2の状態が通常とは異なることを、タイヤ状態表示システム1の利用者に注意喚起することができる。
【0077】
以上述べたように、本実施形態において、タイヤ状態表示装置であるサーバ20は、車両2に装着されたタイヤ50の1つ以上のタイヤ構成部位51の各々に対して設定された基準値を取得する。サーバ20は、タイヤ50に関する計測データを受信し、計測データに基づいて、タイヤ50の1つ以上のタイヤ構成部位51の各々の状態特性値を算出する。サーバ20は、1つ以上のタイヤ構成部位51の各々の基準値に対する状態特性値に基づいて、タイヤ50の耐久性情報を表示させる。
【0078】
かかる構成によれば、タイヤ状態表示システム1の利用者は、可視化されたタイヤ50の耐久性情報を閲覧することができ、タイヤ50の状態を把握しやすくなる。したがって、本実施形態によれば、タイヤ50の状態を評価する技術の有用性が向上する。
【0079】
本開示を諸図面及び実施形態に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが可能であることに注意されたい。したがって、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各実施形態に含まれる構成又は機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能である。また、各実施形態に含まれる構成又は機能等は、他の実施形態に組み合わせて用いることができ、複数の構成又は機能等を1つに組み合わせたり、分割したり、或いは一部を省略したりすることが可能である。
【0080】
例えば、上述した実施形態において、サーバ20の機能又は処理として説明された機能又は処理の全部又は一部が、計測装置10又は端末装置30の機能又は処理として実現されてもよい。具体的には、実施形態に係るサーバ20の機能又は処理の全部又は一部を実現する処理内容を記述したプログラムを、計測装置10の記憶部14に記憶し、制御部15によって当該プログラムを読み出して実行させてもよい。或いは、実施形態に係るサーバ20の機能又は処理の全部又は一部を実現する処理内容を記述したプログラムを、端末装置30の記憶部34に記憶し、制御部35によって当該プログラムを読み出して実行させてもよい。同様に、計測装置10の機能又は処理として説明された機能又は処理の全部又は一部が、サーバ20又は端末装置30の機能又は処理として実現されてもよく、端末装置30の機能又は処理として説明された機能又は処理の全部又は一部が、計測装置10又はサーバ20の機能又は処理として実現されてもよい。
【0081】
また例えば、汎用のコンピュータを、上述した実施形態に係る計測装置10、サーバ20、端末装置30として機能させる実施形態も可能である。具体的には、上述した実施形態に係る計測装置10、サーバ20、端末装置30の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、汎用のコンピュータのメモリに格納し、プロセッサによって当該プログラムを読み出して実行させる。したがって、本開示は、プロセッサが実行可能なプログラム、又は当該プログラムを記憶する非一時的なコンピュータ読取可能な媒体としても実現可能である。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本開示はタイヤ状態表示装置、端末装置、及びタイヤ状態表示方法に関する。
【0083】
[国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
持続可能な社会の実現に向けて、SDGsが提唱されている。本発明の一実施形態は「No.9_産業と技術革新の基盤を作ろう」などに貢献する技術となり得ると考えられる。
【符号の説明】
【0084】
1:タイヤ状態表示システム、 2:車両、 10:計測装置、 11:第1計測部、 12:第2計測部、 13:通信部、 14:記憶部、 15:制御部、 20:サーバ、 21:通信部、 22:表示部、 23:入力部、 24:記憶部、 25:制御部、 30:端末装置、 31:通信部、 32:表示部、 33:入力部、 34:記憶部、 35:制御部、 40:ネットワーク、 50:タイヤ、 51:構成部位(51A:ビード間、51B:ビード・プライ間、51C:プライ端)、 52:ビード部、 53:サイドウォール部、 54:トレッド部、 55:ビードコア、 56:カーカス(56A:カーカス本体部、56B:カーカス折返し部)、 57:ベルト(57A:ベルト層、57B:ベルト補強層)、 58:ビードフィラー、 CL:タイヤ赤道面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7