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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082114
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】配車管理装置、及び配車管理方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20240612BHJP
   G01C 21/36 20060101ALI20240612BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240612BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240612BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20240612BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G01C21/36
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195848
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 奈都
(72)【発明者】
【氏名】藤田 晋
(72)【発明者】
【氏名】古城 直樹
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA04
2F129BB03
2F129EE57
2F129EE78
2F129EE79
2F129EE80
2F129EE84
2F129EE94
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF15
2F129FF20
2F129FF41
2F129FF62
2F129FF63
2F129FF64
2F129FF68
2F129FF71
5H181AA14
5H181BB04
5H181BB05
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181MA13
(57)【要約】
【課題】配車管理装置において、到着予想時刻の変化を考慮したサービスを提供する。
【解決手段】コントローラ12は、車両31が乗降地点に到着する当初の到着予想時刻Tv0を取得し、車両31が乗降地点に到着する更新された到着予想時刻Tv1を計算する。車両31がユーザを乗せて移動しているときに、次のユーザBを乗せる計画であるとする。コントローラ12は、当初の到着予想時刻Tv0よりも更新された到着予想時刻Tv1が早いときには、乗車中のユーザAに当初より到着が早まることを通知する。一方、当初の到着予想時刻Tv0よりも更新された到着予想時刻Tv1が遅いときには、乗車中のユーザA及び次のユーザBの双方に当初より到着が遅れることを通知する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が乗降地点に到着する当初の車両到着予想時刻を取得する処理と、
前記車両が前記乗降地点に到着する更新された車両到着予想時刻を計算する処理と、
前記車両がユーザを乗せて移動しているときに、次のユーザを乗せる計画である場合、前記当初の車両到着予想時刻よりも前記更新された車両到着予想時刻が早いときには、乗車中のユーザに当初より到着が早まることを通知し、前記当初の車両到着予想時刻よりも前記更新された車両到着予想時刻が遅いときには、乗車中のユーザ及び次のユーザの双方に当初より到着が遅れることを通知する処理と、を実行するコントローラを備えていることを特徴とする配車管理装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記更新された車両到着予想時刻までに次のユーザが前記乗降地点に到着できると判定したときに、次のユーザにも当初より到着が早まることを通知する請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項3】
前記コントローラは、次のユーザの位置情報を取得し、次のユーザが前記乗降地点に到着するユーザ到着予想時刻を計算する請求項2に記載の配車管理装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記位置情報の移動速度、又は次のユーザの過去の移動履歴情報から、次のユーザの移動速度を推定し、前記移動速度に応じて前記ユーザ到着予想時刻を計算することを特徴とする請求項3に記載の配車管理装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記更新された車両到着予想時刻までに次のユーザが前記乗降地点に到着できないと判定したときに、前記ユーザ到着予想時刻を前記更新された車両到着予想時刻として設定し、次のユーザに通知する請求項3に記載の配車管理装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記当初の車両到着予想時刻と前記更新された車両到着予想時刻との差分が予め定めた閾値以上であるときに、当初より到着がずれることを通知する請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記車両の位置情報を取得し、前記乗降地点までの距離が長いほど前記閾値を大きくする請求項6に記載の配車管理装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記当初の車両到着予想時刻よりも前記更新された車両到着予想時刻が遅いときには、ユーザのスケジュールを取得し、前記車両を降りた後の次のスケジュールまでの時間が短いほど前記閾値を小さくする請求項6に記載の配車管理装置。
【請求項9】
前記コントローラは、乗車中のユーザを降ろさずに次のユーザを乗せて合流させる計画である場合には、前記当初の車両到着予想時刻よりも前記更新された車両到着予想時刻が早いときでも、乗車中のユーザ及び次のユーザの双方に当初より到着が早まることを通知する請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項10】
前記コントローラは、次のユーザの位置情報を取得し、次のユーザが前記乗降地点に到着したタイミングで、次のユーザにも当初より到着が早まったことを通知する請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項11】
車両が乗降地点に到着する当初の車両到着予想時刻を取得する処理と、
前記車両が前記乗降地点に到着する更新された車両到着予想時刻を計算する処理と、
前記車両がユーザを乗せて移動しているときに、次のユーザを乗せる計画である場合、前記当初の車両到着予想時刻よりも前記更新された車両到着予想時刻が早いときには、乗車中のユーザに当初より到着が早まることを通知し、前記当初の車両到着予想時刻よりも前記更新された車両到着予想時刻が遅いときには、乗車中のユーザ及び次のユーザの双方に当初より到着が遅れることを通知する処理と、をコントローラに実行させることを特徴とする配車管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車管理装置、及び配車管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、乗合自動車の配車方法について記載されており、利用申込を受けたときに、運行中の経路に挿入できる既存の運行を選択し、利用申込をした利用者への配車を行なうことを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-20973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
交通状況によっては到着予想時刻が当初の計画とずれることがあるが、こうした到着予想時刻の変化を考慮したサービスが提供されていなかった。
本発明の課題は、配車管理装置において、到着予想時刻の変化を考慮したサービスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、コントローラは、車両が乗降地点に到着する当初の車両到着予想時刻を取得する処理と、車両が乗降地点に到着する更新された車両到着予想時刻を計算する処理と、を実行する。車両がユーザを乗せて移動しているときに、次のユーザを乗せる計画であるとする。コントローラは、当初の車両到着予想時刻よりも更新された車両到着予想時刻が早いときには、乗車中のユーザに当初より到着が早まることを通知する処理を実行する。コントローラは、当初の車両到着予想時刻よりも更新された車両到着予想時刻が遅いときには、乗車中のユーザ及び次のユーザの双方に当初より到着が遅れることを通知する処理を実行する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、到着予想時刻の変化を考慮したサービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】配車管理装置を示すブロック図である。
図2】第一実施形態の制御処理を示すフローチャートである。
図3】走行シーンの一例を示す図である。
図4】第二実施形態の制御処理を示すフローチャートである。
図5】第三実施形態の制御処理を示すフローチャートである。
図6】閾値Tthの設定に用いるマップを示す図である。
図7】第四実施形態の制御処理を示すフローチャートである。
図8】第五実施形態の制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものでない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
《第一実施形態》
《構成》
図1は、配車管理装置を示すブロック図である。
配車管理装置11は、ユーザからの予約を受けて配車サービスを提供するものであり、コントローラ12と、通信装置13と、予約情報データベース14と、走行履歴データベース15と、交通情報受信装置16と、を備えている。
コントローラ12は、例えばマイクロコンピュータであり、配車サービスの管理を行ないながら後述の制御処理を実行する。通信装置13は、インターネットを通じて複数のユーザ端末21、及び複数の車両31との通信を行なう。予約情報データベース14は、ユーザからの予約情報を格納している。予約情報には、ユーザの識別情報、予約時間、乗車する出発地点、他のユーザを乗車させて合流する経由地点、降車する到着地点、利用人数等が含まれている。走行履歴データベース15は、車両31の走行履歴情報を格納している。交通情報受信装置16は、交通規制情報、交通障害情報、渋滞情報、所要時間情報等の道路交通情報を受信する。
【0010】
ユーザ端末21は、例えばスマートフォンやタブレット端末であり、通信装置22と、入力装置23と、表示装置24と、測位装置25と、を備えている。通信装置22は、インターネットを通じて配車管理装置11との通信を行なう。入力装置23は、ユーザが指示入力を行なうときに操作される。表示装置24は、画像を表示する。測位装置25は、GPSによってユーザ端末21の位置情報を取得する。
車両31は、タクシーのような配車サービスに用いられる自動車であり、人間が運転するか自動運転であるかは問わない。車両31は、通信装置32、測位装置33と、を備えている。通信装置32は、インターネットを通じて配車管理装置11との通信を行なう。測位装置33は、GPSによって車両31の位置情報を取得する。
【0011】
コントローラ12は、取得部17と、再計算部18と、通知部19と、を備えている。取得部17は、車両31が乗降地点に到着する当初の到着予想時刻Tv0を取得する。到着予想時刻Tv0とは、例えばユーザが予約した時点で計算された到着予想時刻であり、乗降地点までのルート、距離、道路交通情報等に基づいて計算されている。再計算部18は、車両31が乗降地点に到着する最新の到着予想時刻Tv1を再計算する。到着予想時刻Tv1は、現時点における乗降地点までのルート、距離、道路交通情報等に基づいて計算される。通知部19は、当初の到着予想時刻Tv0と最新の到着予想時刻Tv1とを比較し、必要に応じてユーザに最新の到着予想時刻Tv1を通知する。
【0012】
次に、コントローラ12で実行する制御処理について説明する。
図2は、第一実施形態の制御処理を示すフローチャートである。
ステップS101では、車両31が乗降地点に向かって移動中であるか否かを判定する。車両31が乗降地点に向かって移動中であるときはステップ102に移行する。一方、車両31が乗降地点に向かって移動中でないときには、そのままメインプログラムに復帰する。
ステップS102では、車両31が乗降地点に到着する当初の到着予想時刻Tv0を取得する。到着予想時刻Tv0とは、例えばユーザが予約した時点で計算された到着予想時刻であり、乗降地点までのルート、距離、道路交通情報等に基づいて計算されている。
【0013】
続くステップS103では、車両31が乗降地点に到着する最新の到着予想時刻Tv1を再計算する。到着予想時刻Tv1は、現時点における乗降地点までのルート、距離、道路交通情報等に基づいて計算されている。
続くステップS104では、車両31にユーザAが乗車中であるか否かを判定する。ここでは、乗降地点に向かって移動しているときに車両31に乗車しているユーザを便宜的にAとしている。車両31にユーザAが乗車しているときにはステップS105に移行する。一方、車両31にユーザAが乗車していないときにはステップS112に移行する。
【0014】
ステップS105では、乗降地点でユーザAを降ろしてから次のユーザBを乗せる計画であるか否かを判定する。ここでは、乗降地点に向かって移動しているときに次に乗車させるユーザを便宜的にBとしている。乗降地点でユーザAを降ろしてから次のユーザBを乗せる計画であるときにはステップS106に移行する。一方、乗降地点でユーザAを降ろすだけで、次のユーザBを乗せる計画がないときにはステップS110に移行する。
ステップS106では、当初の到着予想時刻Tv0と最新の到着予想時刻Tv1との差分ΔT(=|Tv0-Tv1|)が予め定めた閾値Tth以上であるか否かを判定する。閾値Tthは、例えば5分程度の固定値である。差分ΔTが閾値Tth以上であるときにはステップS107に移行する。一方、差分ΔTが閾値Tth未満であるときには、そのままメインプログラムに復帰する。
【0015】
ステップS107では、当初の到着予想時刻Tv0よりも早まるか否かを判定する。当初の到着予想時刻Tv0よりも早まるときにはステップS108に移行する。一方、当初の到着予想時刻Tv0よりも遅れるときにはステップS109に移行する。
ステップS108では、乗車中のユーザAにだけ当初より到着が早まることを通知してから所定のメインプログラムに復帰する。具体的には、最新の車両到着予想時刻Tv1をユーザAにだけ通知し、ユーザBには通知しない。通知とは、ユーザ端末21に情報を送信するプッシュ通知だけでなく、ユーザが自分で問い合わせるプル型情報配信であってもよい。
ステップS109では、乗車中のユーザA及び次のユーザBの双方に当初より到着が遅れることを通知してから所定のメインプログラムに復帰する。具体的には、最新の車両到着予想時刻Tv1をユーザA及びユーザBの双方に通知する。
【0016】
ステップS110では、当初の到着予想時刻Tv0と最新の到着予想時刻Tv1との差分ΔTが閾値Tth以上であるか否かを判定する。差分ΔTが閾値Tth以上であるときにはステップS111に移行する。一方、差分ΔTが閾値Tth未満であるときには、そのままメインプログラムに復帰する。
ステップS111では、乗車中のユーザAに当初より到着時刻がずれることを通知してから所定のメインプログラムに通知する。具体的には、最新の車両到着予想時刻Tv1をユーザAに通知する。
【0017】
ステップS112では、当初の到着予想時刻Tv0と最新の到着予想時刻Tv1との差分ΔTが閾値Tth以上であるか否かを判定する。差分ΔTが閾値Tth以上であるときにはステップS113に移行する。一方、差分ΔTが閾値Tth未満であるときには、そのままメインプログラムに復帰する。
ステップS113では、当初の到着予想時刻Tv0よりも遅れるか否かを判定する。当初の到着予想時刻Tv0よりも遅れるときにはステップS114に移行する。一方、当初の到着予想時刻Tv0よりも早まるときには、そのままメインプログラムに復帰する。
上記が第一実施形態のコントローラ12で実行する制御処理である。そのうち、ステップS102の処理が取得部17に対応し、ステップS103の処理が再計算部18に対応し、ステップS104~S114の処理が通知部19に対応している。
【0018】
《動作》
次に、第一実施形態の主要な動作について説明する。
図3は、走行シーンの一例を示す図である。
図中の(a)に示すように、車両31がユーザAを乗せて乗降地点に向かって移動中であり(S104で“Yes”)、乗降地点でユーザAが降り、同じ乗降地点で次にユーザBが乗る計画であるとする(S105で“Yes”)。ユーザAのユーザ端末21A、及びユーザBのユーザ端末21Bには、夫々、当初の到着予想時刻Tv0として「9:00」が通知されている。なお、ユーザAの降車地点とユーザBの乗車地点が同じである乗降地点とは、例えば駅等のタクシー乗り場である。
【0019】
その後、図中の(b)に示すように、交通量が少なく順調に運行したことで最新の到着予想時刻Tv1が5分早まり「8:55」になったとする(S107で“Yes”)。このときは、乗車中のユーザAにだけ当初より到着が早まることを通知する(S108)。すなわち、ユーザAのユーザ端末21Aにだけ、最新の到着予想時刻Tv1として「8:55」が通知される。ユーザBのユーザ端末21Bは、当初の到着予想時刻Tv0が通知されたままである。これにより、乗降地点に向かっている次のユーザBを急かしてしまうことを避けられる。したがって、ユーザBに違和感を与えることがなくユーザビリティが向上する。
【0020】
また、図中の(c)に示すように、交通渋滞が発生したことで最新の到着予想時刻Tv1が10分遅れて「9:10」になったとする(S107で“No”)。このときは、乗車中のユーザA及び次のユーザBの双方に当初より到着が遅れることを通知する(S109)。すなわち、ユーザAのユーザ端末21A、及びユーザBのユーザ端末21Bの双方に、最新の到着予想時刻Tv1として「9:10」が通知される。当初より到着が遅れることは、乗車中のユーザAのみならず次のユーザBにとっても必要な情報であるため、双方に通知を行なうことによって配車サービスへの信頼度を高めることができる。
【0021】
また、ユーザAが乗車しておらず、ユーザBの乗車地点に向かって移動しているときにも(S104で“No”)、同じ考え方が適用される。すなわち、当初よりも到着が早まったときには(S113で“No”)、その旨をユーザBに通知することはしない。これにより、乗車地点に向かっているユーザBを急かしてしまうことを避けられる。したがって、ユーザBに違和感を与えることがなくユーザビリティが向上する。一方、当初より到着が遅れるときには(S113で“Yes”)、その旨をユーザBに通知する(S114)。当初より到着が遅れることは、ユーザBにとって必要な情報であるため、通知を行なうことによって配車サービスへの信頼度を高めることができる。
【0022】
《変形例》
第一実施形態では、説明を簡単にするためにユーザAの降車地点とユーザBの乗車地点が同じである状況について述べたが、これに限定されるものではなく、当然のことながらユーザAの降車地点とユーザBの乗車地点とが離れていてもよい。この場合は、当初の到着予想時刻Tv0、最新の到着予想時刻Tv1、及び差分ΔTを、ユーザAの降車地点、及びユーザBの乗車地点ごとに計算し、通知するか否かの判定を個別に扱えばよい。したがって、実際に生じ得る様々なシーンへの適用が可能である。
【0023】
第一実施形態では、乗車中のユーザAを降ろしてから、次のユーザBを乗せる計画について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、次のユーザBを乗せてからユーザAを降ろすことも考えられるため、乗車中のユーザAを降ろすタイミングについては、次のユーザBを乗せる前であっても後であってもよい。したがって、実際に生じる様々なシーンへの適用が可能である。
第一実施形態では、最新の車両到着予想時刻Tv1をユーザに通知する構成について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、ユーザに通知する情報は、常に最新の情報でなくてもよく、少なくとも当初の到着予想時刻Tv0から更新された情報であればよい。
【0024】
《効果》
次に、第一実施形態の主要な効果について説明する。
(1)配車管理装置11は、コントローラ12を備えている。コントローラ12は、車両31が乗降地点に到着する当初の到着予想時刻Tv0を取得する処理と、車両31が乗降地点に到着する更新された到着予想時刻Tv1を計算する処理と、を実行する。車両31がユーザを乗せて移動しているときに、次のユーザBを乗せる計画であるとする。コントローラ12は、当初の到着予想時刻Tv0よりも更新された到着予想時刻Tv1が早いときには、乗車中のユーザAに当初より到着が早まることを通知する処理を実行する。コントローラ12は、当初の到着予想時刻Tv0よりも更新された到着予想時刻Tv1が遅いときには、乗車中のユーザA及び次のユーザBの双方に当初より到着が遅れることを通知する処理を実行する。これにより、到着予想時刻の変化を考慮したサービスを提供することができる。当初より到着が早まるときには、乗車中のユーザAにだけ通知するため、乗降地点に向かっている次のユーザBを急かしてしまうことを避けられる。
(2)コントローラ12は、当初の到着予想時刻Tv0と更新された到着予想時刻Tv1との差分ΔTが予め定めた閾値Tth以上であるときに、当初より到着がずれることを通知する。これにより、ユーザへの通知頻度を減らすことができる。
【0025】
次に、比較例について説明する。
乗車中のユーザAを降ろしてから次のユーザBを乗せる計画であるときに、交通量が少なく順調に運行したことで更新された到着予想時刻Tv1が5分早まったとする。ここで、次のユーザBに注目すると、ユーザBは当初の到着予想時刻Tv0までに乗降地点に到着できるように行動している。そのため、乗車中のユーザAのみならず次のユーザBに対しても当初より到着が早まることを通知すると、当初の計画通りに行動していたユーザBを急かし、ユーザBに違和感を与えてしまう。
【0026】
《第二実施形態》
《構成》
第二実施形態は、次のユーザBが乗降地点に到着する到着予想時刻Tuを考慮するものであり、それ以外の構成については前述した第一実施形態と同様であるため、共通する部分については詳細な説明を省略する。
図4は、第二実施形態の制御処理を示すフローチャートである。
ここでは、ステップS108に続く処理として、新たなステップS201~S205を追加している。
【0027】
ステップS201では、次のユーザBが乗降地点に到着する到着予想時刻Tuを計算する。到着予想時刻Tuは、ユーザBの位置情報、乗降地点までのルート、距離、移動速度に基づいて計算される。ユーザBは、徒歩で移動することの他に、自転車やキックボードを利用している場合も考えられるため、移動速度については、位置情報の移動速度や過去の移動履歴情報から推定する。徒歩で移動している場合は、1分間で例えば80m進む程度の速さとなる。なお、移動手段に関し、ユーザBからの入力情報や、自転車やキックボードの利用情報を取得できるなら、夫々の基準となる移動速度を適用すればよい。
続くステップS202では、ユーザBの到着予想時刻Tuが最新の到着予想時刻Tv1以前であるか否かを判定する。ユーザBの到着予想時刻Tuが最新の到着予想時刻Tv1以前であるときにはステップS203に移行する。一方、ユーザBの到着予想時刻Tuが最新の到着予想時刻Tv1より後であるときにはステップS204に移行する。
【0028】
ステップS203では、次のユーザBにも当初より到着が早まることを通知してから所定のメインプログラムに復帰する。具体的には、最新の車両到着予想時刻Tv1をユーザBにも通知する。
ステップS204では、到着予想時刻Tuを最新の到着予想時刻Tv1として再設定する。
続くステップS205では、新たに再設定した到着予想時刻Tv1をユーザBに通知してから所定のメインプログラムに復帰する。
上記が第二実施形態のコントローラ12で実行する制御処理である。ステップS201~S205の処理が通知部19に含まれる。
【0029】
《動作》
次に、第二実施形態の主要な動作について説明する。
ユーザBが乗降地点に早めに到着できる場合もある。そこで、ユーザBの位置情報を取得し、乗降地点に到着する到着予想時刻Tuを計算する(S201)。これにより、乗降地点に到着できる到着予想時刻Tuを計算することができる。したがって、最新の到着予想時刻Tv1までに次のユーザBが乗降地点に到着できるか否かを精度よく判定することができる。そして、ユーザBが最新の到着予想時刻Tv1までに到着できると判定したときには(S202で“Yes”)、ユーザBにも当初より到着が早まることを通知する(S203)。これにより、ユーザBは予定よりも早く次の行動へ移ることができる。したがって、時間を有効に用いることができ、ユーザビリティが向上する。
【0030】
ユーザBが最新の到着予想時刻Tv1までに到着できないとしても、少なくとも当初の到着予想時刻Tv0までには到着できると考えられる。そこで、ユーザBが最新の到着予想時刻Tv1までに到着できないと判定したときには(S202で“No”)、ユーザBの到着予想時刻Tuを車両31の最新の到着予想時刻Tv1として再設定し(S204)、これを次のユーザBに通知する(S205)。これにより、ユーザBは少しでも早く次の行動へ移ることができる。したがって、少しでも時間を有効に用いることができ、ユーザビリティが向上する。
ここでは、説明を省略するが、ユーザAが乗車しておらず、ユーザBの乗車地点に向かって移動しているときにも(S104で“No”)、同じ考え方を適用してもよい。
【0031】
《効果》
次に、第二実施形態の主要な効果について説明する。
(1)コントローラ12は、更新された到着予想時刻Tv1までに次のユーザBが乗降地点に到着できると判定したときに、次のユーザBにも当初より到着が早まることを通知する。これにより、ユーザBは予定よりも早く次の行動へ移ることができる。
(2)コントローラ12は、次のユーザBの位置情報を取得し、次のユーザが乗降地点に到着する到着予想時刻Tuを計算する。これにより、乗降地点に到着できる到着予想時刻Tuを計算することができる。
【0032】
(3)コントローラは、ユーザBの位置情報の移動速度、又は次のユーザBの過去の移動履歴情報から、ユーザBの移動速度を推定し、移動速度に応じて到着予想時刻Tuを計算する。これにより、ユーザBを急かすことなく、乗降地点に到着できる到着予想時刻Tuを精度よく計算することができる。
(4)コントローラ12は、更新された到着予想時刻Tv1までに次のユーザBが乗降地点に到着できないと判定したときに、到着予想時刻Tuを更新された到着予想時刻Tv1として設定し、次のユーザBに通知する。これにより、ユーザBは少しでも早く次の行動へ移ることができる。
共通した構成によってもたらされる他の作用効果については、前述した第一実施形態と同様である。
【0033】
《第三実施形態》
《構成》
第三実施形態は、閾値Tthを可変にするものであり、それ以外の構成については前述した第一実施形態と同様であるため、共通する部分については詳細な説明を省略する。
図5は、第三実施形態の制御処理を示すフローチャートである。
ここでは、ステップS103に続く処理として、新たなステップS301を追加している。
ステップS301では、マップを参照し、閾値Tthを設定する。
【0034】
図6は、閾値Tthの設定に用いるマップを示す図である。
図中の(a)は、車両31の乗降地点までの距離Dに応じて閾値Tthを設定するマップである。距離Dは、車両31の位置情報、及び乗降地点までのルートから計算するものとする。マップは、横軸を距離Dとし、縦軸を閾値Tthにしてあり、距離Dが長いほど閾値Tthが大きくなるように設定されている。
図中の(b)は、ユーザA及びユーザBにおける車両31を降りた後の次のスケジュールまでの時間Tsに応じて閾値Tthを設定するマップである。時間Tsは、各ユーザのユーザ端末21に記録されたスケジュールから取得するものとする。マップは、横軸を時間Tsとし、縦軸を閾値Tthにしてあり、時間Tsが短いほど閾値Tthが小さくなるように設定されている。
【0035】
ここでは、距離D及び時間Tsの何れか一方から閾値Tthを設定するものとするが、これに限定されるものではない。すなわち、距離Dから閾値Tth1を設定し、時間Tsから閾値Tth2を設定し、双方に重みづけをして最終的に一つの閾値Tthを設定してもよい。(b)のマップを参照する場合、ユーザA及びユーザBに対して個別に閾値Tthを設定することになる。したがって、以降の処理となるステップS106、S110、S112では、差分ΔTが閾値Tth以上であるか否かを、ユーザA及びユーザBに対して個別に判定する。
上記が第三実施形態のコントローラ12で実行する制御処理である。新たに追加したステップS301の処理が通知部19に含まれる。
【0036】
《動作》
次に、第三実施形態の主要な動作について説明する。
車両31の乗降地点までの距離Dが長いほど、不確定要素が増加することで到着予想時刻Tv1の計測精度が粗くなると考えられる。そこで、車両31の位置情報を取得し、乗降地点までの距離Dが長いほど閾値Tthを大きくする。閾値Tthを大きくすれば、差分ΔTが閾値Tth以上となりにくくなるため、当初よりも到着がずれると判定しにくくなる。このように、到着予想時刻Tv1の計測精度が粗い状況では、通知のための判定処理を鈍感にすることで、局所的な変化によって影響を受けることがない安定したシステムを実現できる。
【0037】
また、ユーザにとっては車両31を降りた後の次のスケジュールまでの時間Tsが気がかりであり、次のスケジュールまでの時間Tsが短いほど、最新の到着予想時刻Tv1を知りたがると考えられる。そこで、各ユーザのユーザ端末21に記録されたスケジュールからユーザA及びユーザBにおける車両31を降りた後の次のスケジュールまでの時間Tsを取得し、時間Tsが短いほど閾値Tthが小さくする。閾値Tthを小さくすれば、差分ΔTが閾値Tth以上となりやすくなるため、当初よりも到着がずれると判定しやすくなる。このように、ユーザが最新の到着予想時刻Tv1を知りたがる状況では、通知のための判定処理を敏感にすることで、局所的な変化に追従する高性能なシステムを実現できる。
【0038】
《効果》
次に、第三実施形態の主要な効果について説明する。
(1)コントローラ12は、車両31の位置情報を取得し、乗降地点までの距離Dが長いほど閾値Tthを大きくする。これにより、到着予想時刻Tv1の計測精度が粗い状況で、通知のための判定処理を鈍感にすることができる。
(2)コントローラ12は、当初の到着予想時刻Tv0よりも更新された到着予想時刻Tv1が遅いときには、ユーザのスケジュールを取得し、車両31を降りた後の次のスケジュールまでの時間Tsが短いほど閾値Tthを小さくする。これにより、ユーザが更新された到着予想時刻Tv1を知りたがる状況で、通知のための判定処理を敏感にすることができる。
共通した構成によってもたらされる他の作用効果については、前述した第一実施形態と同様である。
【0039】
《第四実施形態》
《構成》
第四実施形態は、乗車中のユーザAを降ろさずに次のユーザBを乗せて合流させる状況に対応するものであり、それ以外の構成については前述した第一実施形態と同様であるため、共通する部分については詳細な説明を省略する。
図7は、第四実施形態の制御処理を示すフローチャートである。
ここでは、ステップS105の処理を、新たなステップS401に変更し、ステップS107からステップS108へ移行する間の処理として、新たなステップS402を追加している。
【0040】
ステップS401では、次のユーザBを乗せる計画であるか否かを判定する。次のユーザBを乗せる計画であるときにはステップS106に移行する。一方、次のユーザBを乗せる計画がないときにはステップS110に移行する。
ステップS402では、乗車中のユーザAが乗降地点で降りるか否かを判定する。乗車中のユーザAが乗降地点で降りるときには、ユーザの入れ替えであると判断してステップS108に移行する。一方、乗車中のユーザAが乗降地点で降りないときには、次のユーザBを乗せて合流させる計画であると判断してステップS109に移行する。
上記が第四実施形態のコントローラ12で実行する制御処理である。ステップS401、S402の処理が通知部19に含まれる。
【0041】
《動作》
次に、第四実施形態の主要な動作について説明する。
乗車中のユーザAを降ろさずに次のユーザBを乗せて合流させる計画であるなら、相乗りであったりユーザA及びユーザBが待ち合わせていたりすることが考えられ、このような状況では互いが最新の到着予想時刻Tv1を共有しておくことが有益である。そこで、乗降地点でユーザBを乗せ(S401で“Yes”)、且つ乗降地点でユーザAが降りないときには(S402で“No”)、乗車中のユーザA及び次のユーザBの双方に当初より到着が遅れることを通知する(S109)。これにより、相乗りであったりユーザA及びユーザBが待ち合わせていたりする状況で、互いに最新の到着予想時刻Tv1を共有することができる。一方、乗降地点でユーザAが降りるときには、乗車中のユーザAにだけ当初より到着が早まることを通知する(S108)。これにより、乗降地点に向かっている次のユーザBを急かしてしまうことを避けられる。
【0042】
《変形例》
第四実施形態では、ユーザA及びユーザBが相乗りであるか又は待ち合わせをしているかを、単純に乗降地点でユーザAが降りるか否かで判定しているが、これに限定されるものではない。ユーザA及びユーザBの目的地が同じであること、ユーザ端末21に互いの連絡先情報が記憶されていること、配車サービスにおける相乗りや待ち合わせの履歴があることのうち、少なくとも一つをアンド条件で追加してもよい。これにより、ユーザA及びユーザBが相乗りであるか又は待ち合わせをしているかを、より正確に判定することができる。
【0043】
《効果》
次に、第四実施形態の主要な効果について説明する。
(1)乗車中のユーザAを降ろさずに次のユーザBを乗せて合流させる計画であるとする。コントローラ12は、当初の到着予想時刻Tv0よりも更新された到着予想時刻Tv1が早いときでも、乗車中のユーザA及び次のユーザBの双方に当初より到着が早まることを通知する。これにより、相乗りであったりユーザA及びユーザBが待ち合わせていたりする状況で、互いに更新された到着予想時刻Tv1を共有することができる。
共通した構成によってもたらされる他の作用効果については、前述した第一実施形態と同様である。
【0044】
《第五実施形態》
《構成》
第五実施形態は、当初より到着が早まることをユーザBへ通知するタイミングを考慮するものであり、それ以外の構成については前述した第二実施形態と同様であるため、共通する部分については詳細な説明を省略する。
図8は、第五実施形態の制御処理を示すフローチャートである。
ここでは、ステップS205の処理を、新たなステップS501に変更している。
ステップS501では、新たに再設定した到着予想時刻Tv1を、到着予想時刻Tv1になった時点でユーザBに通知する設定をしてから所定のメインプログラムに復帰する。
上記が第五実施形態のコントローラ12で実行する制御処理である。ステップS501の処理が通知部19に含まれる。
【0045】
《動作》
次に、第五実施形態の主要な動作について説明する。
ユーザBにとって、到着予想時刻Tv0よりも前に到着できる状況であっても、当初より到着が早まることを事前に通知されると心理的に急かされてしまうことも考えられる。そこで、ユーザBの到着予想時刻Tuを車両31の最新の到着予想時刻Tv1として再設定したときには(S204)、新たに再設定した到着予想時刻Tv1を、到着予想時刻Tv1になった時点でユーザBに通知する(S205)。これにより、乗降地点に向かっている次のユーザBを急かしてしまうことを確実に避けられる。
ここでは、説明を省略するが、ユーザAが乗車しておらず、ユーザBの乗車地点に向かって移動しているときにも(S104で“No”)、同じ考え方を適用してもよい。
【0046】
《効果》
次に、第五実施形態の主要な効果について説明する。
(1)コントローラ12は、次のユーザBの位置情報を取得し、次のユーザBが乗降地点に到着したタイミングで、次のユーザBにも当初より到着が早まったことを通知する。これにより、乗降地点に向かっている次のユーザBを急かしてしまうことを確実に避けられる。
共通した構成によってもたらされる他の作用効果については、前述した第二実施形態と同様である。
【0047】
以上、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく実施形態の改変は、当業者にとって自明のことである。
【符号の説明】
【0048】
11…配車管理装置、12…コントローラ、13…通信装置、14…予約情報データベース、15…走行履歴データベース、16…交通情報受信装置、17…取得部、18…再計算部、19…通知部、21…ユーザ端末、22…通信装置、23…入力装置、24…表示装置、25…測位装置、31…車両、32…通信装置、33…測位装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8