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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008212
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】ダミーカプラ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/60 20060101AFI20240112BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
H01R13/60
B60R16/02 621Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109899
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】林 孝哉
(72)【発明者】
【氏名】池端 惇一
(72)【発明者】
【氏名】堺 健
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FB20
5E021FB30
(57)【要約】
【課題】異なる形状を有する不使用カプラを良好に係止格納できるダミーカプラを提供する。
【解決手段】ダミーカプラ5は、基面51を有する基板50と、基面51との間でカプラ収納空間を作り出す周壁6と、周壁6の内周面に形成された規制部60と、第1カプラを係止するために周壁6に形成された第1係止孔63と、第2カプラを係止するために周壁6に形成された第2係止孔64とを備え、規制部60のカプラ収納空間の中央を向いた横側面がカプラ収納空間における第1カプラの横方向移動を規制する横規制面として機能し、規制部60のカプラ収納空間の開口を向いた縦側面がカプラ収納空間における第2カプラの基面方向移動を規制する縦規制面として機能する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状の異なる少なくとも第1カプラまたは第2カプラを係止収納するダミーカプラであって、
基面を有する基板と、前記基面に立設されるとともに前記基面との間でカプラ収納空間を作り出す周壁と、前記周壁の内周面に形成された規制部と、前記第1カプラを係止するために前記周壁に形成された第1係止孔と、前記第2カプラを係止するために前記周壁に形成された第2係止孔とを備え、
前記規制部の前記カプラ収納空間の中央を向いた横側面が前記カプラ収納空間における前記第1カプラの横方向移動を規制する横規制面として機能し、前記規制部の前記カプラ収納空間の開口を向いた縦側面が前記カプラ収納空間における前記第2カプラの基面方向移動を規制する縦規制面として機能するダミーカプラ。
【請求項2】
前記規制部は、少なくとも第1規制部と第2規制部とを含み、前記第1規制部と前記第2規制部とは、互いに異なる場所に配置されている請求項1に記載のダミーカプラ。
【請求項3】
前記第1規制部及び前記第2規制部は、それぞれ複数形成されている請求項2に記載のダミーカプラ。
【請求項4】
前記第1規制部の前記横側面の垂線と前記第2規制部の前記横側面の垂線は交わりの関係を示している請求項2に記載のダミーカプラ。
【請求項5】
前記第1規制部の前記縦側面の前記基面からの高さは、前記第2規制部の前記縦側面の前記基面からの高さと同じである請求項2に記載のダミーカプラ。
【請求項6】
前記ダミーカプラを固定するための固定部として、前記周壁を挟んで前記基面に立設された一対の係止部付き挟持アームが設けられている請求項1に記載のダミーカプラ。
【請求項7】
前記第1カプラの屈曲可能な係止アームに形成された係止突起が、前記横側面と前記第1カプラとの接当状態において、前記第1係止孔に係入し、前記第2カプラの屈曲可能な係止アームに形成された係止突起が、前記縦側面と前記第2カプラとの接当状態において前記第2係止孔に係入する請求項1から6のいずれか一項に記載のダミーカプラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インストルメントパネル等の裏側に残された未使用のカプラと連結して、このカプラを保持するダミーカプラに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の組立時において、インストルメントパネルの裏側に未使用のカプラが残されている場合、ワイヤーハーネスの動き等により、この未使用のカプラがインストルメントパネルなどと接触し、異音の発生や損傷といった不都合が生じる。この不都合を回避するため、特許文献1には、パネルのスイッチ取付孔にスイッチ取付孔カバーをはめ込むコネクタ固定構造が開示されている。このコネクタ固定構造では、取付孔カバーの蓋部に設けられたコネクタ保持部に、コネクタ(カプラ)が保持可能である。つまり、このコネクタ固定構造では、スイッチ取付孔にはめ込まれたスイッチ取付孔カバーに設けられたコネクタ保持部に未使用のコネクタ(カプラ)を保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-319460公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によるコネクタ固定構造では、大きさの異なるコネクタ(カプラ)を同じコネクタ保持部に挿入保持するため、コネクタ保持部の挿入口に、段階的に狭窄した切り欠き部が形成されている。しかしながら、この構造では、挿入されるカプラの本体部の形状がコネクタ保持部の収納空間と実質的に同じであることが前提とされているので、多様な形態を有するコネクタ(カプラ)に対応することは困難である。
【0005】
このことから、本発明の目的は、インストルメントパネル等に固定され、異なる形状を有する不使用カプラを良好に係止格納できるダミーカプラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるダミーカプラは、形状の異なる少なくとも第1カプラまたは第2カプラを係止収納するために、基面を有する基板と、前記基面に立設されるとともに前記基面との間でカプラ収納空間を作り出す周壁と、前記周壁の内周面に形成された規制部と、前記第1カプラを係止するために前記周壁に形成された第1係止孔と、前記第2カプラを係止するために前記周壁に形成された第2係止孔とを備え、前記規制部の前記カプラ収納空間の中央を向いた横側面が前記カプラ収納空間における前記第1カプラの横方向移動を規制する横規制面として機能し、前記規制部の前記カプラ収納空間の開口を向いた縦側面が前記カプラ収納空間における前記第2カプラの基面方向移動を規制する縦規制面として機能する。
【0007】
この構成によれば、第1の形状を有する第1カプラは、第1係止孔により周壁内のカプラ収納空間に係止収納され、第2の形状を有する第2カプラは、第2係止孔により周壁内のカプラ収納空間に係止収納される。その際、係止収納されるカプラが第1カプラであれば、その横方向移動は規制部のカプラ収納空間の中央を向いた横側面により規制され、係止収納されるカプラが第2カプラであれば、その基面方向移動は規制部のカプラ収納空間の開口を向いた縦側面により規制される。したがって、周壁内のカプラ収納空間に係止収納されるカプラが第1カプラであっても、あるいは第2カプラであっても、正確な位置で、かつ安定的にカプラ収納空間に収納される。なお、ここで、第1の形状とは、部分的に異なる形状を有する種々の第1カプラの共通形状を意味している。したがって、第1の形状を有する複数の種類の第1カプラ(つまり類似第1カプラ)が存在してもよい。同様に、第2の形状も第2カプラに完全一致する形状を示すものではなく、複数の種類の第2カプラの共通形状を意味しているので、第2の形状を有する複数の種類の第2カプラ(つまり類似第2カプラ)が存在してもよい。
【0008】
規制部は、横規制面及び縦規制面として機能するので、規制部が複数箇所に設けられると、横規制面または縦規制面の数が増加することになり、カプラ収納空間に係止収納される第1カプラまたは第2カプラにとって好都合である。このことから、本発明では、前記規制部は、少なくとも第1規制部と第2規制部とを含み、前記第1規制部と前記第2規制部とは、互いに異なる場所に配置されている。さらには、前記第1規制部及び前記第2規制部が、それぞれ複数形成されていると、規制効果がさらに向上する。
【0009】
本発明では、前記第1規制部の前記横側面の垂線と前記第2規制部の前記横側面の垂線は交わりの関係(直交を含む交差状態)を示すように構成されている。この構成により、カプラ収納空間に係止収納された第1カプラは、異なる2つの方向(例えば、互いに直交する方向)の横方向移動が規制され、第1カプラの収納状態が安定する。
【0010】
本発明では、前記第1規制部の前記縦側面の前記基面からの高さは、前記第2規制部の前記縦側面の前記基面からの高さと同じとなるように構成されている。これは、カプラの底面が一般に平坦であることを考慮すると、この構成は、そのような平坦な底面を有する第2カプラが、正確な姿勢で、カプラ収納空間に収納されることに貢献する。
【0011】
ダミーカプラは、車両などでは、インストルメントパネルのような板材に取り外し可能に固定される。そのような板材にダミーカプラを簡単に取り外し可能に固定するためには、板材に形成された貫通孔に挿入される挟持アーム方式が好都合である。このことから、本発明では、前記ダミーカプラを固定するための固定部として、前記周壁を挟んで前記基面に立設された一対の係止部付き挟持アームが設けられている。
【0012】
ダミーカプラの周壁内に第1カプラまたは第2カプラをしっかりと格納するためには、第1カプラまたは第2カプラが、周壁の係止孔に何らかの付勢力を用いて係入保持される部材を有することが好適である。このことから、本発明では、前記第1カプラの屈曲可能な係止アームに形成された係止突起が、前記横側面と前記第1カプラとの接当状態において、前記第1係止孔に係入し、前記第2カプラの屈曲可能な係止アームに形成された係止突起が、前記縦側面と前記第2カプラとの接当状態において、前記第2係止孔に係入する。この構成では、屈曲可能な係止アームの復帰力が、周壁の係止孔からの屈曲可能な係止アームの離脱を防ぐ付勢力となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ダミーカプラが用いられた車両の一例としてのトラクタの左側面図である。
図2】運転部の平面図である。
図3】サイドインスツルメントパネルに設けられたスイッチパネルの拡大図である。
図4】ダミーカプラと未使用カプラとの関係を示す模式図である。
図5】ダミーカプラの斜視図である。
図6】ダミーカプラの平面図である。
図7】第1カプラを模式的に示す斜視図である。
図8】第2カプラを模式的に示す斜視図である。
図9】第3カプラを模式的に示す斜視図である。
図10】ダミーカプラに第1カプラが係止収納された状態を示す模式図である。
図11】ダミーカプラに第2カプラが係止収納された状態を示す模式図である。
図12】ダミーカプラに第3カプラが係止収納された状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施する1つの形態を、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、特に断りがない限り、図中の矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」として、矢印Lの方向を「左」、矢印Rの方向を「右」とする。図中の矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
【0015】
〔トラクタの全体構成〕
以下では、本発明に係るダミーカプラが用いられた車両の一例としてのトラクタについて説明する。図1に示すように、トラクタは、左右の前車輪10、左右の後車輪11、エンジンボンネット12を備えている。
【0016】
トラクタは、エンジン1を搭載しており、エンジン1の駆動力により、走行する。トラクタは、機体フレーム2及び運転部3を備えている。機体フレーム2は、左右の前車輪10及び左右の後車輪11に支持されている。前車輪10及び後車輪11は、エンジン1によって駆動される、エンジンボンネット12は、機体前部に配置されている。運転部3は、エンジンボンネット12の後方に設けられている。エンジン1からの動力は、トランスミッション13を経て、前車輪10及び後車輪11に伝達される。機体の後端には、ここでは図示されていないが、耕運装置などの作業装置が装着可能である。作業装置にも、エンジン1からの動力が伝達可能である。
【0017】
運転部3は、キャビン30、運転座席31、ステアリングホイール32を有している。運転部3に搭乗して運転座席31に着座した運転者によって操作可能にステアリングホイール32が設けられている。ステアリングホイール32の操作により左右の前車輪10は操向操作される。運転者は、運転部3において、各種の運転操作を行うことができる。
【0018】
図2に示すように、ステアリングホイール32の前方には、各種計器が取り付けられているフロントインスツルメントパネル14が形成され、運転座席31の側方には、各種操作デバイスが取り付けられるコンソールボックス状のサイドインスツルメントパネル15が形成されている。サイドインスツルメントパネル15には、右アームレスト16が組付けられている。
【0019】
図3には、サイドインスツルメントパネル15に設けられているスイッチパネル40が示されている。このスイッチパネル40には、各種スイッチ41a・・・41jからなるスイッチ群41と、各種ダイヤルからなるダイヤル群42と、制御スイッチ43が配置されている。スイッチ群41のうち、特にスイッチ41fからスイッチ41jは、オプション仕様となっている。図3の例では、スイッチ41gと41jとが非選択であり、以下に説明するダミーカプラ5が、スイッチ41gと41jとに代えて、はめ込まれている。
【0020】
フロントインスツルメントパネル14やサイドインスツルメントパネル15などのパネルには、この実施形態では、スイッチパネル40には、図4に示すように、本発明に係るダミーカプラ5が固定される。この実施形態では、第1カプラ7と第2カプラ8と第3カプラ9とは未使用とする。ダミーカプラ5は、第1カプラ7と第2カプラ8と第3カプラ9とのいずれかを係止収納する。第1カプラ7と第2カプラ8と第3カプラ9とは、それぞれ形状は異なるが、ダミーカプラ5に係止収納可能である。なお、以下の説明において、第1カプラ7と第2カプラ8と第3カプラ9とを総称する語句として、単にカプラという語句が用いられる。
【0021】
図5図6とに示すように、ダミーカプラ5は、基板50を備えている。基板50の表面である基面51に周壁6が立設されている。周壁6は略矩形管であり、周壁6は、第1壁部6aと第2壁部6bと第3壁部6cと第4壁部6dとからなる。周壁6は基面51と組み合わされ、基面51との間で基面51を底とするカプラ収納空間CSを作り出す。
【0022】
周壁6の内周面には、カプラ収納空間CSに収納されたカプラの動きを規制する規制部60が備えられている。さらに、周壁6には、カプラ収納空間CSに収納されるカプラを係止するための係止孔が形成されている。この実施形態では、第4壁部6dに第1係止孔63が形成され、第3壁部6cに第2係止孔64が形成されている。
【0023】
周壁6の内周面と基板50の基面51との間に、規制部60が形成されている。規制部60は、カプラ収納空間CSに収納されるカプラの動きを規制する。規制部60は、多面体片であり、この実施形態では、規制部60は、直方体片である。その1つの側面は基面51につながり、他の1つの側面が周壁6の内周面につながっている。規制部60のカプラ収納空間CSの中央を向いた側面(横側面)は、カプラ収納空間CSに収納されるカプラの横方向移動を規制する横規制面として機能可能であり、規制部60のカプラ収納空間CSの開口を向いた側面(縦側面)は、カプラ収納空間CSに収納されるカプラの基面方向移動を規制する縦規制面として機能可能である。
【0024】
この実施形態では、第1壁部6aの内周面と基面51との間に、互いに間隔をあけて、3つの第1規制部61が規制部60として形成されている。さらに、第2壁部6bの内周面と基面51との間にも、互いに間隔をあけて、2つの第2規制部62が規制部60として形成されている。第1規制部61及び第2規制部62のカプラ収納空間CSの中央を向いた横側面がカプラ収納空間CSにおける第1カプラ7及び第3カプラ9の横方向移動を規制する横規制面として機能する。第1規制部61の横側面の垂線と第2規制部62の前記横側面の垂線は、交わりの関係を示しており、好ましくは、各垂線は直角に交わっているので、矩形断面を有するカプラを、互いに90度をなす2方向から規制することができる。
【0025】
第1規制部61及び第2規制部62の基面51からの高さは同じである。このことから、第1規制部61及び第2規制部62のカプラ収納空間CSの開口を向いた縦側面は、第2カプラ8の基面方向移動を規制する縦規制面として機能する。なお、規制部60は、直方体片に限定されず、例えば、円柱、角柱、変形体であってもよい。
【0026】
図7で示すように、第1カプラ7の本体部70の外面には、屈曲可能な係止アーム71が設けられており、この係止アーム71の中間部に係止突起72が形成されている。図8で示すように、第2カプラ8の本体部80の外面には、屈曲可能な係止アーム81が設けられており、この係止アーム81の先端に係止突起82が形成されている。第3カプラ9は第1カプラ7と類似の形状を有し、図9で示すように、第3カプラ9の本体部90の外面には、屈曲可能な係止アーム91が設けられており、この係止アーム91の中間部に係止突起92が形成されている。なお、第1カプラ7と第2カプラ8と第3カプラ9との共通する構造は、本体部70、本体部80、本体部90が、略直方体であり、ダミーカプラ5のカプラ収納空間CSに差し込まれる側の面(以下、装着面と称する)にはコネクタ部材が配置されており、その反対方向の面からケーブルが延びていることである。本体部70と本体部90とは、ほぼ同じ横断面を有し、本体部80は、本体部70及び本体部90よりは小さな断面を有する。
【0027】
図10に示すように、第1カプラ7がダミーカプラ5に係止収納される場合、本体部70がカプラ収納空間CSに差し込まれると、係止アーム71の係止突起72が第1係止孔63に係入する。この係入状態において、本体部70の装着面が基板50の基面51に接当し(接当状態の一種)、本体部70の下部側面が、第1規制部61及び第2規制部62の横側面に接当する(接当状態の一種)。さらに、本体部70の側面が、少なくとも、第3壁部6c、第4壁部6dにほぼ接当する(接当状態の一種)。これにより、第1カプラ7は、正確な位置と姿勢とで、ダミーカプラ5に係止収納される。
【0028】
図11に示すように、第2カプラ8がダミーカプラ5に係止収納される場合、本体部80がカプラ収納空間CSに差し込まれると、係止アーム81の係止突起82が第2係止孔64に係入する。この係入状態において、本体部80の装着面が第1規制部61及び第2規制部62の縦側面に接当し(接当状態の一種)、本体部80の3つの側面が、それぞれ第1壁部6a、第2壁部6b、第4壁部6dにほぼ接当する(接当状態の一種)。これにより、第2カプラ8は、正確な位置と姿勢とで、ダミーカプラ5に係止収納される。
【0029】
図12に示すように、第3カプラ9がダミーカプラ5に係止収納される場合、本体部90がカプラ収納空間CSに差し込まれると、係止アーム91の係止突起92が第1係止孔63に係入する。この係入状態において、本体部90の装着面が基板50の基面51に接当し、本体部90の下部側面が、第1規制部61及び第2規制部62の横側面に接当する(接当状態の一種)。さらに、本体部90の側面が、少なくとも第3壁部6c、第4壁部6dにほぼ接当する(接当状態の一種)。これにより、第3カプラ9は、正確な位置と姿勢とで、ダミーカプラ5に係止収納される。
【0030】
スイッチパネル40にダミーカプラ5が取り外し自在に簡単に固定されるように、ダミーカプラ5には、一対の挟持アーム54が、スイッチパネル40への固定部として、設けられている。一対の挟持アーム54は、図5及び図6に示すように、周壁6を挟むように、かつ周壁6との間に隙間をあけて、基板50の基面51から立設されている。挟持アーム54の先端には、固定時において、スイッチパネル40に形成されたパネル係止孔に係入する係止部54aが形成されている。
【0031】
図6に示されているように、周壁6の断面は、第1壁部6aと第3壁部6cとを短辺とし、第2壁部6bと第4壁部6dとを長辺とする略長方形である。第2壁部6bは、中間で内側に入り込む段差を形成しており、第4壁部6dからの距離が長い第1部分と、第4壁部6dからの距離が短い第2部分とに区分けられる。第2規制部62は、第2壁部6bの第1部分に形成されている。さらに、第2壁部6bの第1部分の外面に2つのリブ52が形成され、第2壁部6bの第2部分の外面に2つのリブ52が形成され、第4壁部6dの外面に4つのリブ52が形成されている。
【0032】
〔別実施の形態〕
(1)上述した実施形態では、ダミーカプラ5は、第1カプラ7、第2カプラ8、第3カプラ9を係止収納する構造を備えていた。カプラ収納空間CSに収納可能で、規制部60によって規制可能な形状、及び、第1係止孔63または第2係止孔64に係入可能な部材を有するカプラであれば、このダミーカプラ5に係止収納が可能である。
(2)より多くのカプラを係止収容できるように、ダミーカプラ5に、さらなる係止孔や規制部60が形成されてもよい。
(3)上述した実施形態では、ダミーカプラ5は、スイッチパネル40を含むサイドインスツルメントパネル15やフロントインスツルメントパネル14などのパネルに形成された係止孔を通じて係止固定される。これに代えて、ダミーカプラ5は、その他の固定方法、例えばネジ固定、接着固定などによってパネルに、あるいはパネルだけでなく、他の部材に固定可能である。
(4)上述した実施形態では、ダミーカプラ5の適用先として、電動トラクタの配線空間が取り挙げられたが、他の車両の配線空間、さらには、一般的な装置における配線空間に本発明のダミーカプラ5は適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0034】
5 :ダミーカプラ
50 :基板
51 :基面
52 :リブ
54 :挟持アーム
54a :係止部
6 :周壁
6a :第1壁部
6b :第2壁部
6c :第3壁部
6d :第4壁部
60 :規制部
61 :第1規制部
62 :第2規制部
63 :第1係止孔
64 :第2係止孔
14 :フロントインスツルメントパネル
15 :サイドインスツルメントパネル
40 :スイッチパネル
7 :第1カプラ
70 :本体部
71 :係止アーム
72 :係止突起
8 :第2カプラ
80 :本体部
81 :係止アーム
82 :係止突起
9 :第3カプラ
90 :本体部
91 :係止アーム
92 :係止突起
CS :カプラ収納空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12