(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082123
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】情報処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/42 20060101AFI20240612BHJP
H04M 3/56 20060101ALI20240612BHJP
H04M 1/72454 20210101ALI20240612BHJP
【FI】
H04M3/42 Z
H04M3/56 Z
H04M1/72454
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195864
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】胡 嘉毅
(72)【発明者】
【氏名】井上 礼菜
(72)【発明者】
【氏名】有江 修一
(72)【発明者】
【氏名】貴志 友彰
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 真結穂
(72)【発明者】
【氏名】原 将大
【テーマコード(参考)】
5K127
5K201
【Fターム(参考)】
5K127AA26
5K127BA03
5K127GB72
5K127HA11
5K127HA24
5K127JA14
5K127JA34
5K127JA43
5K127KA04
5K201AA07
5K201BB09
5K201CB05
5K201CB14
5K201CC04
5K201CC05
5K201CC10
5K201DC05
5K201EA05
5K201EC06
5K201ED04
5K201ED09
5K201EF08
(57)【要約】
【課題】 ユーザの端末の位置情報を利用することにより、被害を効果的に防止できる情報処理装置を提供する。
【解決手段】 端末におけるユーザと相手方との間の通話内容を解析する解析部と、解析部による解析に基づいて三者通話が必要か否かを判断する判断部と、端末の位置情報に基づいて、端末における三者通話の第三者として通話に参加させる候補者を決定する第三者決定部と、第三者決定部により決定された第三者を三者通話に参加させる通信制御部と、を備える。第三者決定部は、候補者が複数ある場合、距離のより近い候補者を第三者として優先してもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末におけるユーザと相手方との間の通話内容を解析する解析部と、
前記解析部による解析に基づいて三者通話が必要か否かを判断する判断部と、
前記端末の位置情報に基づいて、前記端末における三者通話の第三者として通話に参加させる候補者を決定する第三者決定部と、
前記第三者決定部により決定された前記第三者を三者通話に参加させる通信制御部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記第三者決定部は、前記候補者が複数ある場合、距離のより近い候補者を前記第三者として優先する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記通信制御部は、前記判断部により三者通話が必要であると判断された場合に、三者通話が行われることを相手方に認識できるように通知する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記通信制御部は、前記第三者決定部により決定された前記第三者を三者通話に招待する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
身体情報を受信する身体情報受信部を備え、
前記判断部は、前記解析部による解析に加えて、前記身体情報受信部により受信される前記身体情報に基づいて三者通話が必要か否かを判断する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記通信制御部は、前記第三者決定部により決定された者に対し、前記位置情報が示す位置に係る情報、または前記解析部による解析に係る情報を通知する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記解析部による解析に係る情報を前記端末の表示画面に表示させる表示制御部を備え、
前記表示制御部は、前記表示画面における表示が行われる際に、前記端末における通話をスピーカを介する通話状態に切り替える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
端末におけるユーザと相手方との間の通話内容を解析する解析ステップと、
前記解析ステップによる解析に基づいて三者通話が必要か否かを判断する判断ステップと、
前記端末の位置情報に基づいて、前記端末における三者通話に係る第三者を決定する第三者決定ステップと、
前記第三者決定ステップにより決定された者を前記第三者として三者通話に参加させる通信制御ステップと、
を、コンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第三者によってクライアントを補助し、振り込め詐欺等に係る悪質な電話に対応することができるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のシステムでは、ユーザの端末の位置情報を利用する点の開示はない。
【0005】
そこで、1つの側面では、本発明は、ユーザの端末の位置情報を利用することにより、被害を効果的に防止できる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)1つの態様では、
情報処理装置において、
端末におけるユーザと相手方との間の通話内容を解析する解析部と、
前記解析部による解析に基づいて三者通話が必要か否かを判断する判断部と、
前記端末の位置情報に基づいて、前記端末における三者通話の第三者として通話に参加させる候補者を決定する第三者決定部と、
前記第三者決定部により決定された前記第三者を三者通話に参加させる通信制御部と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
(2)上記の態様において、好ましくは、
前記第三者決定部は、前記候補者が複数ある場合、距離のより近い候補者を前記第三者として優先することを特徴とする。
【0008】
(3)上記の態様において、好ましくは、
前記通信制御部は、前記判断部により三者通話が必要であると判断された場合に、三者通話が行われることを相手方に認識できるように通知することを特徴とする。
【0009】
(4)上記の態様において、好ましくは、
前記通信制御部は、前記第三者決定部により決定された前記第三者を三者通話に招待することを特徴とする。
【0010】
(5)上記の態様において、好ましくは、
身体情報を受信する身体情報受信部を備え、
前記判断部は、前記解析部による解析に加えて、前記身体情報受信部により受信される前記身体情報に基づいて三者通話が必要か否かを判断することを特徴とする。
【0011】
(6)上記の態様において、好ましくは、
前記通信制御部は、前記第三者決定部により決定された者に対し、前記位置情報が示す位置に係る情報、または前記解析部による解析に係る情報を通知することを特徴とする。
【0012】
(7)上記の態様において、好ましくは、
前記解析部による解析に係る情報を前記端末の表示画面に表示させる表示制御部を備え、
前記表示制御部は、前記表示画面における表示が行われる際に、前記端末における通話をスピーカを介する通話状態に切り替えることを特徴とする。
【0013】
(8)1つの態様では、
プログラムにおいて、
端末におけるユーザと相手方との間の通話内容を解析する解析ステップと、
前記解析ステップによる解析に基づいて三者通話が必要か否かを判断する判断ステップと、
前記端末の位置情報に基づいて、前記端末における三者通話に係る第三者を決定する第三者決定ステップと、
前記第三者決定ステップにより決定された者を前記第三者として三者通話に参加させる通信制御ステップと、
を、コンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
1つの側面では、本発明によれば、ユーザの端末の位置情報を利用することにより、被害を効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施例の情報処理装置の構成を示す図である。
【
図1A】情報処理装置を、端末と通信可能なサーバに設けた例を示す図である。
【
図2】情報処理装置における処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら実施例について詳細に説明する。
【0017】
図1および
図1Aは、本実施例の情報処理装置の構成を示す図である。
図1に示すように、本実施例の情報処理装置10は、例えば、通話(ビデオ通話を含む)が可能なスマートフォン等の端末100により構成される。この場合、情報処理装置10は、例えば、所定のアプリケーションソフトウェア(プログラム)を端末100に実装することで実現される。
【0018】
図1Aは、情報処理装置を、端末と通信可能なサーバに設けた例を示す図である。この例では、情報処理装置10がサーバ200に設けられ、端末100とサーバ200とは、例えば、インターネットを含んで構成される通信経路300を介して互いに接続可能とされている。
【0019】
また、端末100と、サーバ200とが協働して機能することにより、情報処理装置10を実現してもよい。例えば、情報処理装置10の一部の構成を端末100に設け、他の構成をサーバ200に設けてもよい。さらに、複数のサーバを用いて情報処理装置10を構成してもよい。
【0020】
図1に示すように、情報処理装置10は、端末100における高齢者などのユーザと相手方との間の通話内容を解析する解析部11と、解析部11による解析に基づいて三者通話が必要か否かを判断する判断部12と、端末100の位置情報に基づいて、端末100における三者通話の第三者として通話に参加させる候補者を決定する第三者決定部13と、第三者決定部13により決定された第三者を三者通話に参加させる通信制御部14と、身体情報を受信する身体情報受信部15と、解析部11による解析に係る情報を端末100の表示画面に表示させる表示制御部16と、を備える。
【0021】
解析部11は、例えば、通話の特徴を学習した学習済みモデルを用いて通話内容を解析することで、人工知能により詐欺などに係る電話(通話)を検出する機能を有する。
【0022】
次に、情報処理装置10の動作について説明する。
【0023】
図2は、情報処理装置における処理を示すフローチャート、
図3は、三者通話の状況を示す図である。
【0024】
図2に示す処理は、端末100のユーザ51(
図3)が、端末100を用いた通話を開始したときに、実行される。
【0025】
図2のステップS102では、判断部12は、通話の通話相手52(
図3)が登録された者であるか否か判断し、判断が肯定されれば処理を終了し、判断が肯定できなければ処理をステップS104へ進める。
【0026】
ここで、ユーザ51の普段の通話相手として想定される、親族等の音声パターンをあらかじめ情報処理装置10の記憶装置または他の記憶装置に登録することができる。ステップS102では、判断部12において、通話相手52の音声と、登録された音声パターンとを照合する。通話相手52の音声が登録された音声パターンに当てはまる場合には、判断部12は、通話相手52が親族等が通話相手であり、すなわち、通話相手52が悪意をもった者でないと判断することができる。通話相手52の音声と、登録された音声パターンとの照合結果は、表示制御部16により端末100の表示画面に表示することで、ユーザ51に通知してもよい。通話相手52の音声が登録された音声パターンに当てはまらないと判断される場合、または、現時点において、通話相手52の音声が登録された音声パターンに当てはまると判断できない場合には、ステップS104へ処理が進行する。
【0027】
ステップS104では、判断部12は、通話が終了したか否か判断し、判断が肯定されれば処理を終了し、判断が否定されれば処理をステップS106へ進める。
【0028】
ステップS106では、判断部12は、身体情報受信部15によりリアルタイムに受信されている身体情報を取得し、身体情報に基づいて三者通話が必要か否かを判断する。
【0029】
ステップS108では、判断部12は、ステップS106の判断が肯定されれば処理をステップS114へ進め、判断が否定されれば処理をステップS110へ進める。
【0030】
ここで、身体情報には、例えば、ユーザ51の脈拍数や発汗の状態が含まれ、脈拍数の急激な上昇などの身体的な異常、例えば、ユーザ51の緊張を示唆する状態が検出された場合、ステップS108において判断部12の判断が肯定される。身体情報は、例えば、ユーザ51が身に着けているウェアラブル端末としての端末100の機能として取得することができる。また、端末100以外のウェアラブル端末の動作と、情報処理装置10の動作とを連動させ、身体情報受信部15が無線通信を介して当該ウェアラブル端末から身体情報を取得してもよい。
【0031】
ステップS110では、解析部11は、リアルタイムに通話内容を解析し、判断部12は、解析部11の解析結果に基づいて、三者通話が必要か否かを判断する。ここでは、例えば、解析部11は、人工知能により通話に含まれるキーワードを音声から抽出し、通話のパターンのモデルに基づいて通話相手52が詐欺などの悪意のある者である可能性等を解析する。判断部12は、その解析結果に基づき三者通話が必要か否かを判断する。
【0032】
ステップS112では、判断部12は、ステップS110の判断が肯定されれば処理をステップS114へ進め、判断が否定されれば処理をステップS102へ進める。
【0033】
ステップS114では、第三者決定部13は、端末100の位置情報を取得する。位置情報は、例えば、端末100に搭載されたGPS装置から取得することができる。また、例えば、端末100が接続している基地局等に基づいて、位置情報を取得してもよい。
【0034】
ステップS116では、第三者決定部13は、ステップS114で取得された位置情報と、第三者決定部13に保存されている候補者テーブルとに基づき、三者通話に加えられる第三者53の候補者(すでに選択された候補者を除く)を1人選択する。候補者テーブルには、端末100の位置情報に対応付けられた第三者53の候補者の連絡先(電話番号)が規定されている。候補者テーブルにおいて、同一の位置情報に対応して複数の候補者を対応付けることもできる。この場合、候補者には、優先順位を付すことができ、ステップS116では、優先順位の高い順に、第三者53の候補者を選択する。候補者テーブルは、ユーザ51、ユーザ51の関係者または情報処理装置10によるサービスの提供者等により作成され、あらかじめ第三者決定部13に保存される。候補者は、例えば、交番(警察官)、銀行の支店、親族などが含まれる。優先順位は、位置情報が示す端末100の位置からの距離や、候補者の属性(警察官、銀行員、親族)に基づいて規定することができる。例えば、端末100の位置からの距離が近いほど優先順位を高く設定することにより、端末100のユーザ51がいる場所に、候補者(第三者)が迅速に駆けつけることも可能となる。また、候補者の属性に関しては、警察官や銀行員を優先することにより、犯罪の抑止効果等を高めることができる。なお、ユーザ51と第三者53との間でビデオ通話を行うようにすれば、よりユーザ51の被害を防止するうえで、より効果的である(
図3参照)。
【0035】
ステップS118では、通信制御部14は、ステップS116において選択された候補者を三者通話に招待する。例えば、通信制御部14は、当該候補者に対して三者通話への参加を促すメッセージを伝えるとともに、位置情報が示す位置に係る情報(例えば、当該位置を示す地図情報、当該位置へのアクセス情報)と、解析部11による解析に係る情報(例えば、ユーザ51の通話状況に関する情報)を、電話による音声またはメール等を用いて通知する。これにより、当該候補者は、端末100のユーザ51の状況や、自分が三者通話へ招待された理由などを把握したうえで、三者通話へ参加することが可能となる。また、通信制御部14は、参加を受諾した当該候補者を三者通話に加えるために必要な処理を実行する。
【0036】
ステップS120では、第三者決定部13は、ステップS118の処理が開始されてから所定時間内に候補者が三者通話に参加した(三者通話への招待が成功した)か否か判断し、判断が肯定されれば処理を終了し、判断が否定されれば処理をステップS122へ進める。ここでは、候補者として選択された第三者53(
図3)が三者通話に加わった場合に、ステップS120の判断が肯定される。
【0037】
ステップS122では、第三者決定部13は、候補者テーブルに、現在の位置情報に対応付けられた三者通話の候補者であって、未だ招待していない候補者が残っているか否か判断する。第三者決定部13は、判断が肯定されれば処理をステップS116へ進め、判断が否定されれば処理をステップS124へ進める。
【0038】
ステップS124では、通信制御部14は、あらかじめ通信制御部14に録音されているメッセージを通話相手に向けて流すことで、メッセージを通話相手に通知し、処理を終了する。このメッセージは、犯罪を防止する効果があれば内容は任意である。例えば、通話に第三者が加わる旨のメッセージ、警察への連絡がなされた旨のメッセージ、通話内容が録音されている旨のメッセージが適用される。この場合、通話相手の着信電話番号が取得できる場合、通信制御部14は、通話相手を特定し、特定された相手へのメッセージとしてもよい。
【0039】
このように、本実施例の情報処理装置10では、端末100の位置情報に基づいて、端末100における三者通話の第三者53として通話に参加させる候補者を選択している。このため、三者通話の第三者53を決定するに際し、端末100の位置情報を有効に利用できる。例えば、端末100の近くにいる者を第三者53として決定することにより、ユーザ51のいる場所に迅速に駆けつけることが可能な者を通話に参加させることが可能となる。例えば、必要な場合には、端末100に最寄の場所にいる第三者53がユーザ51のもとに駆けつけることで、受け子を介した現金での受け渡しが行われる詐欺などにおけるユーザ51の被害も防止できる。本実施例の情報処理装置10は、通話を利用した、いわゆる、オレオレ詐欺、還付金詐欺、架空料金詐欺、クレジットカードを利用した詐欺などに対する被害を有効に防止できる。
【0040】
図2の例では、身体情報のみに基づいて三者通話が必要と判断される(ステップS106)例を示しているが、身体情報と通話内容の解析結果の両者を加味して、三者通話の必要性を判断してもよい。例えば、身体情報と通話内容の解析結果の両者がともに所定の条件を満たした場合に、判断部12において三者通話が必要と判断されてもよい。また、身体情報と通話内容の解析結果がそれぞれ点数化され、両者の点数の合計が所定の閾値を越えた場合に、判断部12において三者通話が必要と判断されてもよい。
【0041】
また、
図2の例では、解析部11において通話の継続中にリアルタイムで三者通話の必要性を判断(ステップS110)しているが、通話を録音し、録音された通話を解析部11により解析してもよい。
【0042】
解析部11は、通話から抽出されたワードに基づき、通話で説明されている(演じられている)通話相手52の立場や役割に関する情報、例えば、通話相手52が市町村や店舗の担当者であることを特定または推定することができる。通話内容から通話相手52の立場や役割が推定できる場合、解析部11は、当該立場や役割に関する情報を検索して、その電話番号を特定することができる。また、解析部11は、通話相手の着信電話番号と、上記対象の電話番号とを照合し、照合結果をユーザ51に通知することができる。例えば、照合結果は、表示制御部16により端末100の表示画面に表示される。ここで、電話番号が一致しない場合には、例えば、実際の市町村や店舗の担当者からの電話ではなく、詐欺などを目的とする電話である可能性がある。したがってこのような場合、端末100の表示画面に、電話番号の不一致を示すアラート等を表示することができ、その表示を見たユーザ51は、電話が詐欺を目的とするものである可能性を認識できる。また、このような照合結果は、判断部12によるステップS110の判断に用いることができる。例えば、電話番号が一致しない場合には、判断部12は、ステップS110において三者通話の必要性があると判断することができる。
【0043】
また、判断部12は、解析部11により音声から抽出されたワードに含まれる口座番号と、あらかじめ登録されたユーザや親族の口座番号とを照合し、その照合結果を、三者通話の必要性の判断に用いることができる(ステップS110)。例えば、音声から抽出された振込先の口座番号がユーザ51や親族の口座番号に一致する場合には、判断部12は、その通話は詐欺などの電話ではなく、三者通話は不要であると判断することができる。
【0044】
さらに、解析部11は、端末100により取得される周囲の音声や環境音に基づいた解析を行うこともできる。例えば、ユーザ51が通話ではなく、直接、他者(例えば、受け子)と会話している場合に、解析部11は、その音声が示す会話内容や環境音が示す場所(例えば、金融機関)を解析し、その解析結果に基づいて端末100に係る所定の処理を実行させてもよい。例えば、表示制御部16を介してユーザ51に対してアラートを通知してもよく、あるいは、通信制御部14を介して三者通話における第三者53の候補者に端末100から電話をかける処理を実行してもよい。
【0045】
通信制御部14は、判断部12により三者通話が必要であると判断された場合に、三者通話が行われることを通話相手に認識できるように通知してもよい。例えば、通話相手からの着信電話番号を用いて通話相手を特定し、通話相手を特定した直接的なメッセージを通知してもよい。また、ユーザ51と通話相手との間の通話の中に、録音された音声(メッセージなど)を挿入し、通話相手にメッセージなどを通知してもよい。この場合、通話に第三者が加わったような印象、あるいはユーザ51の近くに関係者がいるような印象を通話相手に与えることができる。また、ユーザ51自身も音声が挿入されたことを認識できるため、通話中の電話が詐欺を目的としたものである可能性を認識できる。
【0046】
なお、メッセージを流すタイミングや音声を挿入するタイミングは、任意であり、例えば、通信制御部14は、第三者通話が必要であると判断された直後に、これらの処理を実行してもよい。すなわち、これらの処理は、三者通話が成立しなかった場合に限定されず、任意のタイミングで実行されてよい。
【0047】
通信制御部14は、判断部12による判断結果に応じて、メールや電話により所定の情報を銀行に通知することができる。例えば、判断部12により第三者通話が必要と判断された場合、ユーザ51の口座番号を銀行に通知することにより、当該口座からの出金(振込)に先立って、その出金が適切かどうか、例えば、詐欺に係る出金でないかどうかをチェックする機会を銀行側に与えることができる。この場合、端末100の位置情報を口座番号と併せて通知することにより、出金の対象となる口座のある支店を予測することができる。また、ユーザ51が出金予約をしてから銀行に行った場合、銀行の担当者は、ユーザ51が振込詐欺などに合わないように対応することができる。
【0048】
表示制御部16は、通話中に、解析部11による解析に係る情報、とくにユーザ51に通知すべきアラートを端末100の表示画面に表示することができる。例えば、解析部11において、三者通話が必要と判断された場合、あるいは三者通話が必要と判断されなくても通話相手の悪意の可能性が検出された場合に、表示制御部16は通話中にアラート等を表示画面に表示することができる。この場合、表示制御部16は、表示画面における表示が行われる際に、端末100における通話をスピーカを介する通話状態に切り替えてもよい。このような通話状態の切り替えにより、ユーザ51は、自然と端末100を耳から離すことになるため、表示画面の表示を確認することができる。また、端末100における通話をスピーカを介する通話状態に切り替えることにより、その場(端末100の場所)に立ち会った他者が、通話に加わることも可能となる。
【0049】
以上説明したように、本実施例の情報処理装置によれば、端末100におけるユーザ51と相手方との間の通話内容を解析し、その解析結果に基づいて三者通話が必要か否かを判断している。また、端末100の位置情報に基づいて、端末100における三者通話の第三者53として通話に参加させる候補者を決定している。このため、三者通話の第三者53を決定するに際し、端末100の位置情報を有効に利用できる。例えば、端末100の近くにいる者を第三者53として決定することにより、ユーザ51のいる場所に迅速に駆けつけることが可能な者を第三者53として通話に参加させることが可能となる。したがって、現金の受け渡しを用いた詐欺(受け子を用いた詐欺)なども阻止できるので、ユーザ51の被害を効果的に防止できる。
【0050】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 情報処理処置
11 解析部
12 判断部
13 第三者決定部
14 通信制御部
15 身体情報受信部
16 表示制御部
51 ユーザ
52 通話相手
53 第三者
100 端末
200 サーバ
300 通信経路