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▶ 中央化学株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082129
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/36 20060101AFI20240612BHJP
   B65D 1/26 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
B65D1/36
B65D1/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195876
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】391011825
【氏名又は名称】中央化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】甲地 歩
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA10
3E033BA14
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA18
3E033BB08
3E033CA20
3E033DD20
3E033EA02
3E033EA04
3E033FA04
3E033GA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】一定の強度が付与され、弁当などの惣菜の種類によりその載置時の機能性及び見た目に配慮し、その機能を安定に持続できる包装用容器を提供する。
【解決手段】本発明の実施形態における一態様の包装用容器は、底面部と、底面部の縁に沿って連続して拡径しながら立ち上がる周壁部と、周壁部の上端全周に連続的に設けられたフランジ部と、を有し、周壁部の一部が周壁部に沿って内容物を収容する側に連続的に突出した支持部を含む容器本体を有する。本発明の実施形態における一態様の容器は、支持部の一端と支持部の他端とは、側面視で底面部に対する上方向の距離が異なる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部の外縁に設けられた溝部と、
前記溝部の縁に沿って連続して立ち上がる周壁部と、
前記周壁部の上端全周から外側に連続的に設けられたフランジ部と、
を有する容器本体を有し、
前記底面部は、一部又は全部において線状に形成されたリブを有する副食収容部と、
を有する、包装用容器。
【請求項2】
副食収容部に形成されたリブは、規則的に整列した複数の正多角形の辺を形成する、請求項1の包装用容器。
【請求項3】
前記容器本体は、前記底面部より立ち上がり対向する周壁部に直結する仕切り部により副食収容部と主食収容部に分割され、
前記仕切り部において主食収容部側への傾斜と副食収容部側への傾斜が異なる、
請求項2の包装用容器。
【請求項4】
前記フランジ部により形成される前記容器本体の開口を密閉する蓋体をさらに備え、
前記蓋体は、
閉蓋時に前記フランジ部と接する蓋体外周部と、
前記蓋体外周部に囲まれる蓋体上面部と、
前記蓋体外周部と前記蓋体上面部との間に、前記フランジ部と嵌合する蓋体嵌合部と、
を有する、請求項3に記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品などを収容する包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の小売店の弁当や惣菜等の食品販売では、食品を包装する際の状況、食品を販売する際の状態、食品を食すときの場面等を考慮して包装用容器が選択されてきた。
【0003】
弁当などの食品販売が主食と副食を含む場合、通常は容器本体に設けられる仕切りによって分割収容されることがある。これにより、副食であるおかずの汁などが主食である米飯と混ざらないまま保持され、購入者への見た目もよい状態に保つことができる。
【0004】
特許文献1には、主食と副食を区分けする包装用容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3935580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、主食である米飯に比べ、副食であるおかずは容器本体の傾きなどにより動きやすく、陳列棚や輸送時の傾きなどにより容器本体内の片側に寄りやすい。そのため異なるおかず同士の適切な距離が維持できず、見た目も悪くなり、購入者の購買意欲を低下させるという問題があった。
【0007】
本発明においては、容器本体が多少傾いても、特に副食であるおかずどうしが適度な位置関係を維持することにより見た目に配慮し、かつ購入者の食べやすさにも配慮した包装用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態の一態様における包装用容器は、底面部の外縁に設けられた溝部と、溝部の縁に沿って連続して立ち上がる周壁部と、周壁部の上端全周から外側に連続的に設けられたフランジ部と、を有する容器本体を有し、底面部は、一部又は全部において線状に形成されたリブを有する副食収容部と、を有する。
【0009】
本発明の実施形態の一態様における包装用容器は、副食収容部に形成されたリブが、規則的に整列した複数の正多角形の辺を形成する。
【0010】
本発明の実施形態の一態様における包装用容器は、容器本体が底面部より立ち上がり対向する周壁部に直結する仕切り部により副食収容部と主食収容部に分割され、仕切り部において主食収容部側への傾斜と副食収容部側への傾斜が異なる。
【0011】
本発明の実施形態の一態様における包装用容器は、フランジ部により形成される容器本体の開口を密閉する蓋体をさらに備え、蓋体は、閉蓋時にフランジ部と接する蓋体外周部と、蓋体外周部に囲まれる蓋体上面部と、蓋体外周部と蓋体上面部との間にフランジ部と嵌合する蓋体嵌合部を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、副食であるおかずどうしが適度な位置関係を維持することにより見た目に配慮し、かつ購入者の食べやすさにも配慮した包装用容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】本発明の実施形態の一態様における包装用容器の容器本体を示す上面図である。
図1B図1Aの容器本体の断面図である。
図2A】本発明の実施形態の一態様における包装用容器の蓋体を示す上面図である。
図2B図2Aの蓋体の断面図である。
図3A】本発明の実施形態の一態様における包装用容器に形成されるバリエーションを示す上面図である
図3B】本発明の実施形態の一態様における包装用容器に形成されるバリエーションを示す上面図である
図3C】本発明の実施形態の一態様における包装用容器に形成されるバリエーションを示す上面図である。
図4】本発明の実施形態の一態様における包装用容器において、おかずの収容された状態の概略図である。
図5】本発明の実施形態の一態様における包装用容器に形成されるバリエーションを示す上面図である
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ要素には同じ符号を付して、説明が重複する場合にはその説明を省略する場合がある。また、図面においては、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示している。
【0015】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状などについて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0016】
本明細書において、容器が実際に底面部を下にして載置される際の鉛直上向方向又は鉛直上向きに近い方向を「上」又は「上方」とし、「下」又は「下方」とは、「上」又は「上方」の反対方向をいう。また、説明に図面を使用する場合において、図面上の上方又は下方であるものを、説明の便宜上「上方」又は「下方」と呼ぶ場合がある。
【0017】
本明細書において、説明に図面を使用する場合において、図面上の右方又は左方であるものを、説明の便宜上「右方」又は「左方」呼ぶ場合がある。
【0018】
本明細書において、容器本体上の部分から容器本体の重心に向かう方向を「容器内方」と呼ぶ。また「容器内方」と逆の方向であって容器本体の重心から容器の外に向かう方向を「容器外方」と呼ぶ。
【0019】
図1Aは本発明の実施形態における一態様の包装用容器を構成する容器本体を示す上面図である。図1Aに示すように、容器本体100は上面視で角が面取りされている矩形の全体形状を有する。
【0020】
容器本体100は、底面部110の外縁に設けられた溝部230、溝部230の縁に沿って上方に立ち上がる周壁部120、及び周壁部120の上端全周から外側に連続的に設けられたフランジ部135を有し、フランジ部135を外縁として容器本体100の最上方にて開口する。
【0021】
図1Aに示す容器本体100において、対向する周壁部120は略平行の関係にあるが、底面部110より立ち上がり対向する周壁部120に直結する仕切り部130により副食収容部210と主食収容部210に分割されることができる。図1Aにおいて、右側の破線で示される区画が米飯などの主食を収容する主食収容部210であり、左側の破線で示される区画はおかずなどの副食を収容する副食収容部200である。
【0022】
副食収容部200の一部はさらに仕切りによって分割され、主菜を収容する主菜収容部と漬物などの副菜を収容するための副菜収容部に分割されていてもよい(図示せず)。
【0023】
主食収容部210及び副食収容部200並びに主菜収容部及び副菜収容部の容積の比率は、特に限定されるものではない。収容される総菜のバリエーションにより、それらの容積比率は適宜変更することができる。
【0024】
図1Aにおいて、副食収容部200の底面110には正六角形を形成するリブ220が、周壁部120及び仕切り部130付近まで平面的に連続するように設けられている。ここで、副食収容部200の底面110に形成されるリブ220は連続する形状であることが好ましく、連続する正多角形状であることがより好ましい。図3A~Cはそれぞれリブが正方形、正六角形、正三角形を形成する場合を示す。このように例えば正多角形の単位形状が連続するものであれば、その単位形状の詳細は収容するおかずの形状によって適宜変更することができる。しかし、載置されるおかずどうしの隙間を最小限に留めておかずを効率よく配置する観点から、正六角形状であることが最も好ましい。
【0025】
副食収容部200に配置されるおかずは、リブ220により形成される正多角形の単位形状ごとに配置されることが好ましい。図4は、リブ220により形成された単位形状の場所におかずを載置する場合を示す模式図である。一般的に、人間が食べやすいとされる大きさは、概ね直径40mm程度であると言われている(図4中、dに相当)。したがって、リブ220が形成する単位形状は、それぞれが、概ね直径40mm程度の塊を安定して配置できる程度の大きさであることが好ましい。具体的には、リブの形成する単位形状の外接円の直径(図4中、aに相当)が10mm~35mmの範囲であることが好ましく15mm~30mmの範囲であることがより好ましい。
【0026】
リブ220の高さ(図4中のbに相当)は、リブ220内に配置されるおかずの形状により適宜変更することができる。しかし、前述のように、リブ220が形成する多角形の単位形状は、概ね直径40mm程度の塊を安定して配置できる程度の大きさを想定しているため、それらが引っ掛かりやすい高さであることが好ましい。具体的には概ね1.0mm~6.0mmの範囲の高さであることが好ましく、1.5mm~5.0mmの範囲の高さであることがより好ましい。
【0027】
副食収容部200の底面部110の外縁には、連続的に溝部230が形成されている。溝部230の役割は、副食収容部200に収容されるおかずなどのうち比較的外側に配置されるものと、周壁部120までの間隔を調整するものである。ここで溝部230の幅が小さく副食収容部200の底部110の外縁と周壁部120との距離が著しく小さい場合、若しくは溝部230が無い場合、外側のおかずが周壁部120にぶつかってしまい安定して配置できず、副食収容部200全体のおかずどうしの適切な位置関係が保てなくなってしまう。
【0028】
前述のようにリブ220が形成する正多角形の単位形状がおかずの安定的な配置を念頭に設計されていることから、溝部230の幅は、リブ220が形成する正多角形の単位形状重心から辺までの距離より大きく、正多角形の単位形状の重心から頂点までの距離の2倍より小さいことが好ましい。
【0029】
上述の通り、溝部230は副食収容部200に収容されるおかずの配置の適正化のために設けられるものであるため、米飯などを収容する主食収容部210は設けられなくともよい。ただし、包装用容器自体の外観や強度維持の観点から、或いは包装用容器を縦に積み重ねた際の荷崩れ崩れ防止の機能を担っている場合などには、主食収容部210にも溝部を設けても差し支えない。
【0030】
溝部230には、容器全体の強度補強のため、溝の外周方向と垂直な方向にリブを設けてもよい。リブの数は特に限定するものではないが、効率的に強度を増強するためには、容器の四隅付近に形成させることが好ましい。
【0031】
図1Bは、容器本体100をA-A線で切断した場合の断面図を表す。図1Bにおいて、仕切り部130の形状は、主食収容部210側の傾斜に比べ副食収容部200側の傾斜が緩くなっている。これは前述の溝部230と同様、副食収容部200の外側に配置されるおかずと仕切り部130との位置関係を調整するものであり、仕切り部130近傍に配置されるおかずが仕切り部130からの影響を受けにくい構造としたものである。他方、主食収容部210に収容される米飯は仕切り部130からの影響は問題になりにくい。したがって米飯をできるだけ多く収容できるように、傾斜が急であってもよい。
【0032】
周壁部120は、惣菜用として使用しやすくするため、上方に向かうにつれて上面視における断面積が大きくなるように、外側に拡がっていてもよい。
【0033】
フランジ部135の形状は特に限定されるものではないが、容器本体100の強度補強や、蓋体と密着させることにより惣菜の汁が漏れるのを防ぐため、容器100の外方に向けて延長された平面部分又は曲面部分を備えることもできる。
【0034】
図1Bにおいては、フランジ部135の外縁を、上に凸形状の断面となるような本体嵌合部を設け、後述の蓋体に設けられた蓋体嵌合部と嵌合するようになっている。このように、フランジ部135の形状は蓋体と嵌合する形状により適宜形状を設定できる。例えば、図1Bではフランジ部135の最外縁が外側に伸びている、この部分が後述の図2Bにおける蓋体300の蓋体嵌合部360の容器内方へ向かって凸の構造内に引っ掛かることにより、容器本体100を閉蓋することができる。
【0035】
図2Aは、本発明の実施形態における一態様の装用容器に使用される蓋体300の上面図である。本発明の包装用容器に使用される蓋体300は、その外縁形状を形成する蓋体外周部320を有する。蓋体300が容器本体100に載せられて閉蓋される際には、蓋体外周部320と容器本体100のフランジ部135が接触し、蓋体外周部320と容器本体100のフランジ部135の形状が適切に組み合わさるように構成される。
【0036】
蓋体300は、蓋体外周部320により囲まれる蓋体上面部330を有する。蓋体上面部330は外部から包装用容器に収容された内容物を購買者に見せる部分であり、収容される惣菜などの種類により、平面又は曲面状に形成されてよい。
【0037】
蓋体300は、通常は透明のプラスチックなどにより薄く成形されている。そのため、蓋体300の一部に蓋体リブ350を設けて強度補強を行ってもよい。また、蓋体300を取り外す際の把手(図示せず)などを適宜設けることができる。
また、図2Aのように、蓋体300の四隅にコーナーリブ370を設けてもよい。
【0038】
図2Bは蓋体のB-B面で切断した断面図である。図2Bにおいて蓋体200は蓋体外周部320に容器内方に凸の蓋体嵌合部360を有する。蓋体嵌合部360は、前述のフランジ部135の最外縁が、この蓋体嵌合部360の内側に入り込んで固定されることにより、容器本体100と嵌合し、安定的に閉蓋することができる。
【0039】
容器本体100と蓋体300との嵌合時において、蓋体外周部720は、容器本体100のフランジ部135に密着しており、包装用容器の持ち運び時に多少傾いても内容物の汁漏れを防ぐようになっている。
【0040】
本発明の実施形態における一態様の容器本体100は、例えば真空成型、熱板圧空成型、真空圧空成型、両面真空成型等のシート成型で、合成樹脂シートを熱成型することにより形成されることができる。合成樹脂シートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂で、単層や多層のシートを使用してもよく、有色又は無色透明でも、不透明であってもよく、非発泡樹脂製であってもよい。さらに、シートの表面または裏面を合成樹脂フィルムで覆ってもよく、表面を覆った場合は印刷を施してもよい。本発明においては、発泡することにより強度が得られる発泡樹脂製合成樹脂シートよりも非発泡樹脂製合成樹脂シートを選択したほうが効果を得やすい。
【0041】
(変形例)
本発明の包装用容器における容器本体100底部に形成されるリブは、上面視で正多角形に限定されない。例えば図5に示すような円形又は楕円形であってもよい。
【0042】
本発明の包装用容器における容器本体100底部に形成されるリブは、図3A~C及び図5に示すように、前述のとおり主食収容部210を設けなくともよい。
【0043】
以上のように本発明の実施形態を説明したが、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。そして、この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
100:容器本体、110:底面部、120:周壁部、130:仕切り部、135:フランジ部、200:副食収容部、210:主食収容部、220:リブ、230:溝部、300:蓋体、320:蓋体外周部、330:蓋体上面部、350:蓋体リブ、360:蓋体嵌合部、370:コーナーリブ。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5