(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082130
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】保冷箱
(51)【国際特許分類】
B65D 45/24 20060101AFI20240612BHJP
B65D 81/38 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
B65D45/24
B65D81/38 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195877
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591025082
【氏名又は名称】日泉化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】平安 洋一郎
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 琢磨
【テーマコード(参考)】
3E067
3E084
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB01
3E067AB02
3E067AB26
3E067AC03
3E067BA01A
3E067BA05A
3E067BB14A
3E067BC07A
3E067CA04
3E067CA07
3E067CA18
3E067EA21
3E067EB27
3E067EE59
3E067FC01
3E067GA01
3E067GA11
3E067GD01
3E067GD02
3E084AA05
3E084AA14
3E084AA24
3E084AB10
3E084CA03
3E084CC03
3E084DA03
3E084DB14
3E084DC03
3E084FA07
3E084FC16
3E084GA08
3E084GB12
(57)【要約】
【課題】蓋体の開閉操作性の向上と密閉性の向上との両立を図る保冷箱を提供する。
【解決手段】保冷箱100は、箱本体1及び蓋体2を備える。箱本体1に設けられた被係合部12と、蓋体2に設けられ回動により被係合部12に係合することにより蓋体2の閉状態を保持する係合部34とを備える。係合部34は、箱本体1に蓋体2を閉じた状態で被係合部12に係合する第1の係合位置と、第1の係合位置における蓋体2の閉状態よりも密閉性の高い閉状態となるように被係合部12に係合する第2の係合位置とを採り得るように構成されている。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する箱本体と、
前記開口部を閉じる蓋体と、
前記箱本体に設けられた被係合部と、
前記蓋体に設けられ、回動により前記被係合部に係合することにより前記箱本体に対する前記蓋体の閉状態を保持する係合部と、を備え、
前記係合部は、前記箱本体に前記蓋体を閉じた状態で前記被係合部に係合する第1の係合位置と、前記第1の係合位置における前記蓋体の閉状態よりも密閉性の高い閉状態となるように前記被係合部に係合する第2の係合位置とを採り得るように構成されていることを特徴とする保冷箱。
【請求項2】
前記係合部における前記被係合部との係合面は、前記第1の係合位置に対応する第1係合面と前記第2の係合位置に対応する第2係合面とを備えており、
前記係合部の回動軸の中心から前記第1係合面までの距離をL1とし、
前記係合部の回動軸の中心から前記第2係合面までの距離をL2とした場合に、これらの関係が、L1>L2であることを特徴とする請求項1に記載の保冷箱。
【請求項3】
前記係合部における前記被係合部との係合面には、前記第1の係合位置及び前記第2の係合位置に対応する係合段部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の保冷箱。
【請求項4】
前記係合段部は、前記第1の係合位置に対応する第1係合面と前記第2の係合位置に対応する第2係合面とを備えており、
前記第1係合面及び前記第2係合面の少なくとも一方は、前記係合部の回動軸に直交する断面が凹状を呈していることを特徴とする請求項3に記載の保冷箱。
【請求項5】
前記蓋体には、前記第1の係合位置及び前記第2の係合位置に前記係合部を回動させるための操作部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の保冷箱。
【請求項6】
前記蓋体に設けられ、前記被係合部に係合する方向に前記係合部を付勢する付勢部材と、
前記係合部に設けられ、前記蓋体が閉じられる過程で前記被係合部に当接する当接部と、を備え、
前記係合部は、前記当接部の当接により前記付勢部材の付勢力に抗して前記被係合部に係合する方向と反対方向に一旦回動し、前記蓋体が閉じられた状態で前記付勢部材の付勢力により前記第1の係合位置に回動して前記被係合部に係合することを特徴とする請求項1に記載の保冷箱。
【請求項7】
前記蓋体に設けられた回動保持部材を備え、
前記回動保持部材は、前記当接部により前記被係合部に係合する方向と反対方向に一旦回動した状態の前記係合部を保持することを特徴とする請求項6に記載の保冷箱。
【請求項8】
前記蓋体は、前記第1の係合位置と前記第2の係合位置とに前記係合部を回動させるための操作部材を有しており、
前記操作部材に設けられた爪部と、
前記蓋体に設けられ、前記爪部に当接する突起部と、を含む抵抗力付与手段を備えており、
前記抵抗力付与手段は、前記第1の係合位置において、前記爪部が前記突起部に当接しており、前記操作部材の操作により前記第1の係合位置から前記第2の係合位置に前記係合部が回動された際に、前記爪部が前記突起部を乗り越える過程で前記操作部材の回動に節度のある抵抗力を付与することを特徴とする請求項1に記載の保冷箱。
【請求項9】
前記抵抗力付与手段は、前記操作部材の操作により前記第1の係合位置から前記第2の係合位置に前記係合部が回動された際に、前記爪部が前記突起部を乗り越える過程で発音することを特徴とする請求項8に記載の保冷箱。
【請求項10】
前記蓋体は、前記第1の係合位置と前記第2の係合位置とに前記係合部を回動させるための操作部材を有しており、
前記蓋体に設けられ、前記被係合部に係合する方向に前記係合部を付勢する付勢部材と、
前記操作部材に設けられた爪部と、
前記蓋体に設けられ、前記爪部に当接する突起部と、を備えており、
前記係合部は、前記付勢部材の付勢力によって前記爪部が前記突起部に当接することにより前記第1の係合位置に保持されていることを特徴とする請求項1に記載の保冷箱。
【請求項11】
前記蓋体は、前記第1の係合位置と前記第2の係合位置とに前記係合部を回動させるための操作部材を有しており、
前記係合部は、前記操作部材に一体に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の保冷箱。
【請求項12】
前記蓋体は、前記箱本体における前記開口部の縁部に当接するシール部材を備えており、
前記シール部材は、前記第1の係合位置から前記第2の係合位置に前記係合部が回動することにより前記開口部の縁部に対して潰れるように変形することを特徴とする請求項1に記載の保冷箱。
【請求項13】
前記蓋体は、前記第1の係合位置と前記第2の係合位置とに前記係合部を回動させるための操作部材を有しており、
前記操作部材は、前記第1の係合位置と前記第2の係合位置とに対応して姿勢が変化するように構成されており、前記第2の係合位置に姿勢が変化することにより前記蓋体の外部から視認される露出部位を備えており、
前記露出部位には、装飾が施されていることを特徴とする請求項1に記載の保冷箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保冷箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
保冷箱には、保冷剤とともに釣った魚、飲み物又は食べ物等の収容品を収容できる収容空間が形成されている。この収容空間は、箱本体に設けられた蓋体を閉じることで、外気と遮断されており、外気により魚等の収容物が温まらないように保持することができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、箱本体に対して蓋体を閉じた状態でロックするロック機構が記載されている。ロック機構は、蓋体の操作部材の操作に連動して回動する係合部を備えており、箱本体に設けられた被係合部に係合部を係合させることで、箱本体に対して蓋体の閉状態が保持されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の保冷箱では、弾性を有するシール部材を介して箱本体に蓋体が閉じられており、シール部材の密着により収容空間の密閉性が確保されている。
ところで、箱本体に対する蓋体の開閉操作性を高めるためには、蓋体を開閉操作する際に被係合部に対して係合部が容易に係合することが望ましい。一方、シール部材の密着を高めるためには、箱本体に蓋体を強く押し付けつつ被係合部に係合部を係合する操作が必要であり、これらの相反する課題の解決が望まれていた。
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、蓋体の開閉操作性の向上と密閉性の向上との両立を図ることができる保冷箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る保冷箱は、開口部を有する箱本体と、前記開口部を閉じる蓋体と、前記箱本体に設けられた被係合部と、前記蓋体に設けられ、回動により前記被係合部に係合することにより前記箱本体に対する前記蓋体の閉状態を保持する係合部と、を備えている。前記係合部は、前記箱本体に前記蓋体を閉じた状態で前記被係合部に係合する第1の係合位置と、前記第1の係合位置における前記蓋体の閉状態よりも密閉性の高い閉状態となるように前記被係合部に係合する第2の係合位置とを採り得るように構成されている。
【0008】
この構成によれば、係合部が被係合部に係合する2つの第1の係合位置及び第2の係合位置を採り得るように構成されているので、箱本体に対して蓋体を段階的に閉じることができる。例えば、箱本体に対して蓋体を閉じた際に、第1の係合位置に係合部が回動して被係合部に係合するように構成することにより、蓋体を容易に閉じることができる。また、第1の係合位置における係合部の係合を解除することにより、蓋体を容易に開くことができる。また、箱本体に対して蓋体を閉じた後に、第1の係合位置から第2の係合位置に係合部が回動して被係合部に係合するように構成することにより、第1の係合位置における蓋体の閉状態よりも密閉性の高い閉状態で蓋体を閉じることができる。
したがって、本発明によれば、蓋体の開閉操作性の向上と密閉性の向上との両立を図ることができる。
【0009】
また、前記係合部における前記被係合部との係合面は、前記第1の係合位置に対応する第1係合面と前記第2の係合位置に対応する第2係合面とを備えていることが好ましい。この場合、前記係合部の回動軸の中心から前記第1係合面までの距離をL1とし、前記係合部の回動軸の中心から前記第2係合面までの距離をL2とした場合に、これらの関係が、L1>L2であることが好ましい。
【0010】
この構成では、第1の係合位置よりも第2の係合位置のほうが中心から係合位置までの距離が小さくなるので、第2の係合位置に係合部が回動して被係合部に係合することにより、第1の係合位置における蓋体の閉状態よりも密閉性の高い閉状態で蓋体を閉じることができる。
【0011】
また、前記係合部における前記被係合部との係合面に、前記第1の係合位置及び前記第2の係合位置に対応する係合段部が形成されていることが好ましい。
【0012】
この構成では、係合段部を係合部の係合面に形成するという簡単な構成により、第1の係合位置及び第2の係合位置にて係合部を被係合部に係合する構成を実現できるので、コストも安価である。
【0013】
また、前記係合段部は、前記第1の係合位置に対応する第1係合面と前記第2の係合位置に対応する第2係合面とを備えていることが好ましい。この場合、前記第1係合面及び前記第2係合面の少なくとも一方は、前記係合部の回動軸に直交する断面が凹状を呈していることが好ましい。
【0014】
この構成では、係合面の断面を凹状とすることで、係合面に対する被係合部の収まりがよくなる。これにより、被係合部に対する係合面の係合が好適に維持される。
【0015】
また、前記第1の係合位置及び前記第2の係合位置に前記係合部を回動させるための操作部材が前記蓋体に設けられていることが好ましい。
【0016】
この構成では、蓋体の開閉及び蓋体の段階的な密閉を操作部材の操作により容易に行うことができ、蓋体の開閉操作性の向上と密閉性の向上との両立を図ることができる。
【0017】
また、前記被係合部に係合する方向に前記係合部を付勢する付勢部材を前記蓋体に対して設けるとともに、前記蓋体が閉じられる過程で前記被係合部に当接する当接部を前記係合部に対して設けることが好ましい。この場合、前記係合部は、前記当接部の当接により前記付勢部材の付勢力に抗して前記被係合部に係合する方向と反対方向に一旦回動し、前記蓋体が閉じられた状態で前記付勢部材の付勢力により前記第1の係合位置に回動して前記被係合部に係合することが好ましい。
【0018】
この構成では、蓋体を閉じる際に、当接部と付勢部材との作用により第1の係合位置にて係合部を被係合部に自動的に係合させることができる。したがって、蓋体を閉じる際の操作が簡単である。
【0019】
また、前記蓋体に回動保持部材が設けられていることが好ましい。回動保持部材は、前記当接部により前記被係合部に係合する方向と反対方向に回動した状態の前記係合部を保持することが好ましい。
【0020】
この構成では、係合部が、被係合部に係合する方向と反対方向に一旦回動した状態で保持されるので、蓋体が自動的に閉じられることを防止できる。これにより、蓋体が自動的に閉じられることで生じるおそれのある、子供等の閉じ込め事象等を未然に防止できる。
【0021】
また、前記蓋体は、前記第1の係合位置と前記第2の係合位置とに前記係合部を回動させるための操作部材を有し、前記操作部材に設けられた爪部と、前記蓋体に設けられ、前記爪部に当接する突起部と、を含む抵抗力付与手段を備えていることが好ましい。この場合、前記抵抗力付与手段は、前記第1の係合位置において、前記爪部が前記突起部に当接しており、前記操作部材により前記第1の係合位置から前記第2の係合位置に前記係合部が回動された際に、前記爪部が前記突起部を乗り越える過程で前記操作部材の回動に節度のある抵抗力を付与することが好ましい。
【0022】
この構成では、操作部材により第1の係合位置と第2の係合位置とに係合部を容易に回動させることができる。また、第1の係合位置から第2の係合位置に係合部が回動された際に、操作部材に対して節度のある抵抗力を付与できる。つまり、第2の係合位置における密閉性の高い閉状態で蓋体が閉じられたことを、操作部材に伝わる節度感(クリック感)により使用者が認識できる。
【0023】
また、前記抵抗力付与手段は、前記操作部材の操作により前記第1の係合位置から前記第2の係合位置に前記係合部が回動された際に、前記爪部が前記突起部を乗り越える過程で発音することが好ましい。
【0024】
この構成では、第2の係合位置における密閉性の高い閉状態で蓋体が閉じられたことを、操作部材に伝わる節度感(クリック感)及び発音の両方により使用者が認識できる。
【0025】
また、前記蓋体は、前記第1の係合位置と前記第2の係合位置とに前記係合部を回動させるための操作部材を有し、前記蓋体に設けられ、前記被係合部に係合する方向に前記係合部を付勢する付勢部材と、前記操作部材に設けられた爪部と、前記蓋体に設けられ、前記爪部に当接する突起部と、を備えていることが好ましい。この場合、前記係合部は、前記付勢部材の付勢力によって前記爪部が前記突起部に当接することにより前記第1の係合位置に保持されていることが好ましい。
【0026】
この構成では、操作部材により第1の係合位置と第2の係合位置とに係合部を容易に回動させることができる。また、突起部に対する爪部の当接により第1の係合位置に係合部を保持できるので、箱本体に対する蓋体の段階的な閉状態を確実に実現することができる。
【0027】
また、前記蓋体が、前記第1の係合位置と前記第2の係合位置とに前記係合部を回動させるための操作部材を有する場合に、前記係合部が前記操作部材に一体に設けられていることで、構成の簡略化及び部品点数の増大を防ぐことができる。
【0028】
また、前記蓋体は、前記箱本体における前記開口部の縁部に当接するシール部材を備えていることが好ましい。前記シール部材は、前記係合部が前記第1の係合位置から前記第2の係合位置に回動することにより前記開口部の縁部に対して潰れるように変形することが好ましい。
【0029】
この構成では、第1の係合位置から第2の係合位置に係合部が回動することによりシール部材の密着度が高まるので、密閉性の向上を図ることができる。
【0030】
また、前記蓋体は、前記第1の係合位置と前記第2の係合位置とに前記係合部を回動させるための操作部材を有していることが好ましい。そして、前記操作部材は、前記第1の係合位置と前記第2の係合位置とに対応して姿勢が変化するように構成され、前記第2の係合位置に姿勢が変化することにより前記蓋体の外部から視認される露出部位を備えていることが好ましい。この場合、前記露出部位には、装飾が施されていることが好ましい。
【0031】
この構成では、操作部材により第1の係合位置と第2の係合位置とに係合部を容易に回動させることができる。そして、第2の係合位置に係合部があることを蓋体の外部から目視により容易に確認できる。これにより、蓋体の密閉状態を容易に把握でき、使い勝手が向上する。
【発明の効果】
【0032】
本発明の保冷箱によれば、蓋体の開閉操作性の向上と密閉性の向上との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る保冷箱を箱本体と蓋体とに分解して示した分解斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る保冷箱の操作部材とカバー部材とを離間配置して示した斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る保冷箱のカバー部材に対する操作部材の組み付け状態を示す図であり、カバー部材を内側からみた背面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る保冷箱の操作部材を示した図であり、(a)は要部を示した拡大斜視図、(b)は支軸から係合部の段状凹部までの距離を示した断面図である。
【
図5A】本発明の第1実施形態に係る保冷箱の蓋体が閉じられた状態を示した図であり、(a)は第1の係合位置における係合部の係合状態を示した断面図、(b)は同じく爪部と突起部との関係を示した断面図である。
【
図5B】本発明の第1実施形態に係る保冷箱の爪部と突起部とを示した拡大断面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る保冷箱の蓋体が閉じられた状態を示した図であり、(a)は第2の係合位置における係合部の係合状態を示した断面図、(b)は同じく爪部と突起部との関係を示した断面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る保冷箱の蓋体が閉じられた状態を示した図であり、(a)は係合部の係合を解除した状態を示した断面図、(b)は同じく爪部と突起部との関係を示した断面図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る保冷箱を示した図であり、(a)~(d)は蓋体が閉じられる際の被係合部に対する係合部の係合過程を示した模式断面図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る保冷箱の操作部材を示した図であり、(a)は要部を示した拡大斜視図、(b)は支軸から係合部の係合面までの距離を示した断面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る保冷箱の蓋体が閉じられた状態を示した図であり、(a)は第1の係合位置における係合部の係合状態を示した断面図、(b)は第2の係合位置における係合部の係合状態を示した断面図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る保冷箱の蓋体が閉じられた状態を示した図であり、係合部の係合を解除した状態を示した断面図である。
【
図12】本発明の第3実施形態に係る保冷箱の蓋体が閉じられた状態を示した図であり、(a)は爪部と突起部との係合状態を示した断面図、(b)は同じく爪部と突起部との係合状態を示した拡大断面図である。
【
図13】本発明の第4実施形態に係る保冷箱の要部を示した図であり、(a)は係合部が第1の係合位置にあるときの操作部を示した拡大平面図、(b)は係合部が第2の係合位置にあるときの操作部を示した拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態の保冷箱について、適宜図面を参照して詳細に説明する。各実施形態において、同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る保冷箱を示した分解斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の保冷箱100は、前後方向よりも左右方向に長く形成された直方体状の箱である。
保冷箱100は、開口部10aが形成された箱本体1と、箱本体1の開口部10aを閉じる蓋体2と、蓋体2に設けられた操作部材3と、を備えている。
なお、本実施形態の保冷箱100は、前後対称な構造になっている。つまり、箱本体1と蓋体2とが前後対称に形成され、操作部材3が前側及び後側の両方に設けられている。よって、以下の操作部材3等の説明では、前側の構成を説明し、後側の構成の説明を省略する。
【0035】
操作部材3は、箱本体1に対して蓋体2を開閉する際に操作される部材である。本実施形態では、操作部材3の後記する作用により、箱本体1に対して蓋体2が閉じられると、蓋体2が閉じられた状態(第1閉状態)に自動的にロックされるようになっている。また、第1閉状態において操作部材3を操作することによって、第1閉状態よりも密閉性の高い第2閉状態で蓋体2がロックされるように構成されている。
操作部材3は、
図2に示すように、カバー部材4の内面(後面)に対向しており、カバー部材4の内面に対して取り付けられている(
図3参照)。
【0036】
(箱本体)
箱本体1は、
図1に示すように、開口部10aとその開口部10aから投入された収容物を収容する収容空間10とが形成された有底矩形筒状の樹脂製容器であり、底壁部、前壁部、後壁部、左壁部及び右壁部を備えている。各壁部は、樹脂製の外壁及び内壁と、その外壁と内壁との間に介在する断熱材(
図5A(a)参照、例えば、発泡ウレタン、発泡スチロールなど)5と、を備える3層構造であり、断熱性に優れている。
【0037】
図1に示すように、箱本体1の前壁部の上端部には、凹部11が形成されている。凹部11は、
図5A(a)に示すように、操作部材3の一部を収容する収容スペースとして機能する。凹部11内の左右には、
図1に示すように、被係合部12,12が設けられている。各被係合部12,12は、左右方向に延びる係合軸12aをそれぞれ備える金属製部品である。各被係合部12,12は、蓋体2が閉じられた状態(第1閉状態及び第2閉状態)に保持するロック機構の一部を構成している。
【0038】
(蓋体)
蓋体2は、
図1に示すように、上面視で略矩形状を呈している。蓋体2は、箱本体1と同様に、樹脂製の外壁及び内壁と、その外壁と内壁との間に介在する断熱材(
図5A(a)参照、例えば、発泡ウレタン、発泡スチロールなど)5と、を備える3層構造であり、断熱性に優れている。なお、特に図示しないが、蓋体2の断熱材5は、平面視で矩形状を呈し、箱本体1の開口部10aと相似形になって、開口部10aの全体を覆っている。
【0039】
蓋体2の上面前端において左右方向の中央部には、下方に窪む収容部2aが形成されている。収容部2a内には、操作部材3の操作部33の一部が収容されている。なお、収容部2aは、操作部33を操作する際の手指を挿入可能な容積を備えている。なお、蓋体2の上面は、中央部が上方に膨出している。このため、蓋体2の上面は、上方からの荷重を受けても変形し難くなっている。
【0040】
蓋体2の下面の凹部22には、
図5A(a)に示すように、箱本体1の開口部10aの縁部に当接する環状のシール部材23が取り付けられている。シール部材23は、開口部10aの縁部に対して潰れるように変形可能である。
【0041】
(カバー部材)
蓋体2の前部には、
図1に示すように、樹脂製のカバー部材4が取り付けられている。カバー部材4は、
図2に示すように、左右方向に延在する板状の部品であり、蓋体2の前部の一部を構成している。カバー部材4は、前板41と、前板41の上縁部に連続する上板42とを備えている。前板41は、蓋体2の前側面の一部を構成している。前板41の下部における左右方向の中央部には、後方に向けて窪む把持部43が形成されている。把持部43は、前面視で略台形状を呈している。把持部43は、後記するように、操作部材3の操作部33を手指で操作する際に、手指を添えたり掴んだりするスペースとして機能する。上板42は、蓋体2の上面の一部を構成しており、平らに形成されている。上板42は、操作部材3の操作部33を手指で操作する際に、手のひらを宛がうスペースとして機能する。
【0042】
カバー部材4の後面には、
図3に示すように、左右方向に間隔を開けて配置された4つの支持部41aが設けられており、各支持部41aに貫通された支軸46(回動軸46)を介して操作部材3が回動可能に取り付けられている。また、カバー部材4の後面の下部には、箱本体1の左右の被係合部12,12(
図1参照)に対応する位置に、保持部44,45がそれぞれ突設されている。各保持部44,45は、蓋体2を閉じる際に被係合部12に備わる係合軸12aに対して上側から当接してこれらを上側から保持するように構成されている。保持部44,45のうち、保持部45には、後記する抵抗力付与手段の突起部45aが形成されている。抵抗力付与手段の詳細は後記する。
【0043】
(操作部材)
操作部材3は、
図2に示すように、左右方向に延在する板状の基部31と、基部31の左右両側に連設された板状の係合基部32,32と、基部31の上端部に連設された操作部33とを備えている。基部31、係合基部32,32及び操作部33は、樹脂材により一体に形成されている。
基部31の上端部には、支軸46(
図3参照)が挿通される挿通部31aが形成されている。挿通部31aは、軸方向に間隔を空けて所々切り欠かれた部分を有しており、この切り欠かれた部分により、軽量化が図られているとともに、挿通部31a内に水分が貯留し難い構成となっている。
支軸46には、
図3に示すように、付勢部材としてのコイルスプリング36,36が装着されている。コイルスプリング36,36により、操作部材3は、係合基部32,32の各下部側がカバー部材4の後面に向けて近づく方向に付勢されている。
【0044】
係合基部32,32は、左右対称に形成されているので、ここでは、左側の係合基部32について説明する。
図4(a)に示すように、係合基部32の左上端部には、支軸46(
図3参照)の左端部が挿通される挿通部32aが形成されている。係合基部32の下端部には、ロック機構の一部を構成する係合部34が一体に形成されている。
【0045】
(係合部)
係合部34は、
図4(a)に示すように、側面視で略三角形状を呈している。係合部34の上面(係合面)には、被係合部12の係合軸12a(
図3参照、以下同じ)に係合可能な段状の係合段部が形成されている。係合段部は、係合軸12aに近い側に配置される第1係合面34aと、係合軸12aから離れる側に配置される第2係合面34bとを備えている。第1係合面34a及び第2係合面34bは、被係合部12の係合軸12aに対応して左右方向に延在している。第1係合面34a及び第2係合面34b同士は、係合部34の上面の前後方向に隣接して設けられている。第1係合面34a及び第2係合面34bは、いずれも、下方に向けて湾曲凹状に窪む形状を呈しており、第1係合面34aと第2係合面34bとの境界部分には、上方へ向けて窄まるように突出する段差部34eが形成されている。
【0046】
なお、第1係合面34a及び第2係合面34bは、いずれも、下方に向けて湾曲凹状に窪む形状のものを示したが、これに限られることはなく、いずれか一方、又は両方を平坦面としてもよい。特に、コイルスプリング36により係合部34が係合軸12aに向けて付勢されているので、第2係合面34bが平坦面である場合にも、係合軸12aに対して第2係合面34bが滑ることなく係合が好適に維持される。
また、第1係合面34a及び第2係合面34bの少なくとも一方に対して、滑り止め用の表面処理等を施してもよい。
【0047】
第1係合面34a及び第2係合面34bは、操作部材3の回動により被係合部12の係合軸12aに対して段階的に下側から係合するように構成されている。つまり、係合軸12aに対して第1係合面34aが初めに係合し、その後、係合軸12aに対して第2係合面34bが係合するようになっている。なお、第1係合面34aによる係合状態から第2係合面34bによる係合状態への切り替えは、後記する操作部33の操作により行うことができる。以下では、係合軸12aに対して第1係合面34aが係合する係合部34の回動位置を「第1の係合位置」と称し、また、係合軸12aに対して第2係合面34bが係合する係合部34の回動位置を「第2の係合位置」と称する。第1の係合位置にて係合部34が係合軸12aに係合することにより、蓋体2の閉状態が第1閉状態となり、第2の係合位置にて係合部34が係合軸12aに係合することにより、蓋体2の閉状態が第2閉状態となる。
【0048】
図4(b)は、挿通部32aの中心O1(支軸46(
図3参照)の中心O1)から係合部34の段状凹部までの距離を模式的に示している。
図4(b)に示すように、挿通部32aの中心O1から第1係合面34aの底部までの距離(第1係合面34aにおける係合軸12aとの接点までの距離)をL1とし、挿通部32aの中心O1から第2係合面34bの底部までの距離(第2係合面34bにおける係合軸12aとの接点までの距離)をL2としたときに、本実施形態では、これらの関係がL1>L2となるように設定されている。つまり、第1の係合位置よりも第2の係合位置のほうが中心O1から係合位置までの距離が小さくなっており(第1係合面34a,第2係合面34bの深さが異なっており)、それに伴って箱本体1に対する蓋体2の密閉性が高くなるように構成されている。
【0049】
係合部34の下面34cは、後側から前側に向かうに従って下方に位置するように傾斜している。下面34cは、蓋体2が閉じられる過程で被係合部12の係合軸12aに当接する当接部として機能する。係合部34は、蓋体2が閉じられる過程で、係合軸12aに対する下面34cの当接により、コイルスプリング36(
図3参照)の付勢力に抗して被係合部12の係合軸12aに係合する方向と反対方向に一旦回動するように構成されている。
【0050】
操作部材3の操作部33は、
図2に示すように、基部31の上端部に連設された操作基部33aと、操作基部33aの後端部に連設された手掛け部33bと、手掛け部33bの後端部に連設された延在部33cとを備えている。操作基部33aの内側は、中空構造となっており、複数の縦リブ33dが設けられている。手掛け部33bは、操作基部33aの後端部から後方斜め上方に向けて延在しており、手指を宛がい易い形状となっている。延在部33cは、手掛け部33bの後端部から後方に延在しており、手掛け部33bに宛がった手指に対して引っ掛かり感(滑り止め感)を付与する。
操作部33(操作部材3)を回動操作することで、係合軸12aに対して係合部34が係脱するようになっている。
【0051】
操作部33は、係合部34が第1の係合位置(第1係合面34a)にあるときに、
図5A(a)に示すように、手掛け部33bの一部(上部)と、延在部33cとが蓋体2の上面の上方(収容部2aの上方)に突出している。
また、操作部33は、係合部34が第2の係合位置(第2係合面34b)にあるときに、
図6(a)に示すように、延在部33cが蓋体2の上面に略面一となるように配置される。つまり、係合部34が第2の係合位置(第2係合面34b)にあるときには、手掛け部33b及び延在部33cの略全体が収容部2a内に収容されるようになっている。
一方、操作部33は、ロックを解除した状態において、
図7(a)に示すように、手掛け部33b及び延在部33cの略全体が蓋体2の上面の上方(収容部2aの上方)に突出するようになっている。
【0052】
次に、抵抗力付与手段について説明する。抵抗力付与手段は、操作部材3の回動に節度のある抵抗力を付与するものである。抵抗力付与手段は、
図5Bに示すように、操作部材3に設けられた爪部35と、カバー部材4に設けられ、爪部35に当接する突起部45aと、を含んで構成されている。爪部35は、
図4(a)に示すように、基部31と係合基部32との間に形成された凹状の切欠き部31bに配置されている。爪部35は、切欠き部31bの下面から下方に突出しており、断面略半円形状(
図5B参照)を呈している。
爪部35は、後記するように、突起部45aに対して当接可能であり、また、操作部材3が操作された際に、突起部45aを乗り越えて前方に移動可能である。その際、爪部35及び爪部35に連続する部分(凹状の切欠き部31bに連続する部分)は、後記するように、弾性変形可能となっている。
【0053】
突起部45aは、
図5Bに示すように、カバー部材4の保持部45に形成されている。保持部45は、カバー部材4の後面から後方に向けて一体に突設されており、枠状の断面を備えている。保持部45は、上部45eと、上部45eに連続する後部45fと、後部45fに連続する下部45gとを備えている。上部45eは、カバー部材4の後面を始端として後方に延び、その後、下方へ折り曲がる形状となっている。上部45eの始端部45e1は、上部45eの他の部分よりも肉薄に形成されている。後部45fは、上部45eの下端から後方の下方へ向けて弧状に延び、その後、下方に直線状に延在する形状となっている。下部45gは、後部45fの下端から前方に延び、終端がカバー部材4の後面に接続されている。下部45gは、途中部分に逆U字形状に形成された係止部45dを備えている。係止部45dの内面に対して、被係合部12の係合軸12aが保持されている。
【0054】
突起部45aは、後部45e2の弧状部分の上面に突設されている。突起部45aは、弧状の後面45bと、後面45bの前側に連続する傾斜状の前面45cとを有している。後面45bは、操作部材3の爪部35の回動軌跡上に位置しており、係合部34が第1の係合位置にある状態のときに、爪部35が当接するようになっている。この場合、後面45bに爪部35が当接した状態で、係合部34は、第1の係合位置に保持されるようになっている。後面45bに対する爪部35の当接状態は、コイルスプリング36,36の付勢力により維持されるようになっている。
【0055】
次に、箱本体1に対して蓋体2を閉じたときの係合部34の作用について説明する。
箱本体1に対して蓋体2を閉じると、
図5A(a)に示すように、操作部材3の係合部34が被係合部12の係合軸12aに向けて回動し、係合軸12aに対して係合部34の第1係合面34aが係合する。これにより、係合部34は第1の係合位置に保持される。
【0056】
この場合、蓋体2が閉じられる過程で、係合軸12aに対して係合部34の第1係合面34aが自動的に係合するように構成されている。操作部材3は、蓋体2が開かれた状態において、コイルスプリング36(
図3参照)の付勢力により係合部34がカバー部材4の後面に向けて回動している。この状態から蓋体2が閉じられると、
図8(a)に示すように、係合部34が被係合部12の係合軸12aに近づき、その後、
図8(b)に示すように、係合部34の下面34cが係合軸12aに対して上方斜め後方から当接する。
【0057】
その後、蓋体2がさらに閉じられることで、係合部34の下面34cと係合軸12aとの当接により係合部34が後方に向けて押され、コイルスプリング36の付勢力に抗して操作部材3がカバー部材4の後面から離れる方向に一旦回動する。その後、
図8(c)に示すように、係合部34は、コイルスプリング36の付勢力によって係合軸12aの後側から下側に回り込むように移動する。これにより、係合軸12aに対して下側から係合部34の第1係合面34aが係合し、係合部34(操作部材3)が第1の係合位置に保持される。
【0058】
この第1閉状態では、蓋体2のシール部材23が開口部10a(
図1参照)の縁部に密着しており、所定の密閉性を有して収容空間10が閉塞される。
一方、抵抗力付与手段の爪部35は、
図5A(b)に示すように、保持部45の突起部45aの後面45b(
図5B参照)に対して当接する位置にある。つまり、後面45bに爪部35が当接することによって、第1の係合位置に係合部34が保持されている。
【0059】
その後、操作部材3の操作部33を収容部2aに向けて上方から押し込む操作を行うと、係合部34がカバー部材4の後面に近づく方向に回動する。これにより、
図6(a)に示すように、係合軸12aに対して係合部34の第2係合面34bが係合し、係合部34(操作部材3)が第2の係合位置に保持される。
【0060】
この第2閉状態では、蓋体2のシール部材23が開口部10a(
図1参照)の縁部に対してさらに潰れるように変形して密着しており、これにより、第1の係合状態よりも密閉性の高い状態で収容空間10が閉塞される。
【0061】
一方、抵抗力付与手段の爪部35は、操作部材3の回動に伴って、
図6(b)に示すように、保持部45の突起部45aを乗り越えて前面45cに移動する。この移動の過程で、爪部35及び爪部35に連続する部分(凹状の切欠き部31bに連続する部分)が弾性変形し、節度のある抵抗力が爪部35を介して操作部材3に付与される。また、突起部45aを爪部35が乗り越える際に発音する(クリック音が発せられる)。
【0062】
係合部34が第1の係合位置又は第2の係合位置に保持されている各閉状態から、蓋体2を開く場合には、操作部材3の操作部33を手指で掴んで、操作部33を収容部2aから引き上げるように回動操作する。そうすると、コイルスプリング36(
図3参照)の付勢力に抗して操作部材3が回動し、
図7(a)に示すように、係合軸12aから係合部34が離脱した状態(ロックを解除した状態)となる。これにより、蓋体2の開操作が可能になる。なお、ロックを解除した状態において、爪部35は、
図7(b)に示すように、突起部45aの後方に間隔を空けて配置されている。
【0063】
以上説明した本実施形態の保冷箱100によれば、被係合部12に係合する2つの第1の係合位置及び第2の係合位置を採り得るように係合部34が構成されているので、箱本体1に対して蓋体2を段階的に閉じることができる。
また、箱本体1に対して蓋体2を閉じた際に、第1の係合位置に係合部34が回動して被係合部12の係合軸12aに係合するように構成されているので、蓋体2を容易に閉じることができる。また、第1の係合位置における係合部34の係合を操作部33の操作により解除することにより、蓋体2を容易に開くことができる。
【0064】
また、箱本体1に対して蓋体2を閉じた後に、第1の係合位置から第2の係合位置となるように操作部33を操作することにより、第1の係合位置における蓋体2の閉状態よりも密閉性の高い閉状態で蓋体2を閉じることができる。
したがって、本実施形態によれば、蓋体2の開閉操作性の向上と密閉性の向上との両立を図ることができる。
【0065】
また、第1係合面34a及び第2係合面34b(係合段部)を係合部34の係合面に形成するという簡単な構成により、第1の係合位置及び第2の係合位置にて係合部34が係合軸12aに係合する構成を実現できるので、コストも安価である。
【0066】
また、挿通部32aの中心O1(支軸46(
図3参照)の中心O1)から第1係合面34aまでの距離L1と、挿通部32aの中心O1から第2係合面34bまでの距離L2との関係がL1>L2である。これにより、第1の係合位置よりも第2の係合位置のほうが中心O1から係合位置までの距離が小さくなるので、第2の係合位置に係合部34が回動して係合軸12aに係合することにより、第1の係合位置における蓋体2の閉状態よりも密閉性の高い閉状態で蓋体2を閉じることができる。
【0067】
また、第1係合面34a及び第2係合面34bの断面が凹状であるので、係合時における係合軸12aの収まりがよい。これにより、係合軸12aに対する第1係合面34a及び第2係合面34bの係合が好適に維持される。
【0068】
また、蓋体2の開閉及び蓋体2の段階的な密閉を操作部材3の操作により容易に行うことができる。したがって、蓋体2の開閉操作性の向上と密閉性の向上との両立を図ることができる。
【0069】
また、抵抗力付与手段により、第1の係合位置から第2の係合位置に回動される際に、節度のある抵抗力を操作部材3に付与できる。つまり、第2の係合位置における密閉性の高い閉状態で蓋体2が閉じられたことを、操作部材3に伝わる節度感(クリック感)により使用者が認識できる。
【0070】
また、爪部35が突起部45aを乗り越える過程で発音するため、第2の係合位置における密閉性の高い閉状態で蓋体2が閉じられたことを、操作部材3に伝わる節度感(クリック感)及び発音の両方により使用者が認識できる。
【0071】
また、突起部45aに対する爪部35の当接により第1の係合位置に係合部34を保持できるので、箱本体1に対する蓋体2の段階的な閉状態を確実に実現することができる。
【0072】
また、係合部34が操作部材3に一体に設けられているので、構成の簡略化及び部品点数の増大を防ぐことができる。
【0073】
また、係合部34が第1の係合位置から第2の係合位置に回動することによりシール部材23の密着度が高まるので、密閉性の向上を図ることができる。
【0074】
(第2実施形態)
次に、
図9~
図11を参照して第2実施形態の保冷箱について説明する。
図9は、本発明の第2実施形態に係る保冷箱の操作部材を示した図であり、(a)は要部を示した拡大斜視図、(b)は支軸から係合部の係合面までの距離を示した断面図である。
図10は、保冷箱の蓋体が閉じられた状態を示した図であり、(a)は第1の係合位置における係合部の係合状態を示した断面図、(b)は第2の係合位置における係合部の係合状態を示した断面図である。また、
図11は、係合部の係合を解除した状態を示した断面図である。本実施形態が前記第1実施形態と異なるところは、係合部34の上面(係合面)を平らに形成した点にある。
【0075】
図9(a)(b)に示すように、係合部34の上面(係合面)は、係合軸12aに近い側に配置される第1係合面34a1と、係合軸12aから離れる側に配置される第2係合面34b1とを備えている。第1係合面34a1及び第2係合面34b1は、前記第1実施形態と同様に、被係合部12の係合軸12aに対応して左右方向に延在し、かつ、係合部34の上面の前後方向に隣接して設けられている。第1係合面34a1及び第2係合面34b1は、係合軸12aにそれぞれ接する平坦面とされており、前後方向の境界部34e1に向けて幾分傾斜している。これにより、第1係合面34a1と第2係合面34b1との間に緩やかな谷間が形成されている。
【0076】
なお、第1係合面34a1及び第2係合面34b1は、境界部34e1を設けることなく1つの連続する平坦面としてもよい。また、第1係合面34a1及び第2係合面34b1の少なくとも一方に対して、滑り止め用の表面処理等を施してもよい。
【0077】
図9(b)に示すように、挿通部32aの中心O1から第1係合面34a1及び第2係合面34b1までの距離の関係は、第1実施形態と同様に、L1>L2となるように設定されている。つまり、第1の係合位置よりも第2の係合位置のほうが中心O1から係合位置までの距離が小さくなっており(第1係合面34a1,第2係合面34b1の上下方向の位置が異なっており)、それに伴って箱本体1に対する蓋体2の密閉性が高くなるように構成されている。
なお、第1係合面34a1及び第2係合面34b1における距離の基準点となる位置(図中矢印部分が当接している位置)は、第1実施形態の第1係合面34aにおける係合軸12aとの接点に対応する位置、同じく第2係合面34bにおける係合軸12aとの接点に対応する位置(
図4(b)においてL1,L2の矢印先端部分がそれぞれ接している位置)である。
【0078】
本実施形態においても、操作部材3に設けられた爪部35は、第1の係合位置にある状態のときに、カバー部材4の突起部45aの後面45bに当接するようになっている。つまり、後面45bに爪部35が当接した状態で、係合部34は、第1の係合位置に保持されるようになっている。これにより、
図10(a)に示すように、第1係合面34a1上の所定位置(前記した距離がL1となる位置)に、被係合部12の係合軸12aが係合する(当接する)状態が維持される。
【0079】
一方、第2の係合位置にある状態のときに、爪部35は、突起部45aを乗り越えて前面45cに移動する。つまり、前面45cに爪部35が移動した状態で、係合部34は、第2の係合位置に保持されるようになっている。これにより、
図10(b)に示すように、第2係合面34b1上の所定位置(前記した距離がL2となる位置)に、被係合部12の係合軸12aが係合する(当接する)状態が維持される。
【0080】
また、蓋体2を開く場合には、操作部材3の操作部33を手指で掴んで操作部33を収容部2aから引き上げるように回動操作することで、
図11に示すように、係合軸12aから係合部34が離脱した状態(ロックを解除した状態)となる。
【0081】
以上説明した本実施形態の保冷箱100によれば、第1実施形態と同様に、被係合部12に係合する2つの第1の係合位置及び第2の係合位置を採り得るように係合部34が構成されているので、箱本体1に対して蓋体2を段階的に閉じることができる。
【0082】
また、第1係合面34a1及び第2係合面34b1が平ら(平坦面)であるので、係合面の成形性に優れる。また、第1係合面34a1及び第2係合面34b1が平らであるので、係合軸12aとの係合がスムーズになり、操作部材3の操作性に優れる。
【0083】
また、突起部45aの後面45b及び前面45cに対して爪部35が当接することにより、第1の係合位置及び第2の係合位置に係合部34を保持できるので、係合面が平らであるという簡単な構成であるにも関わらず、蓋体2の段階的な密閉状態を好適に維持することができる。
【0084】
(第3実施形態)
次に、
図12(a)(b)を参照して第3実施形態の保冷箱について説明する。
図12は、本発明の第2実施形態に係る保冷箱の蓋体が閉じられた状態を示した図であり、(a)は爪部と突起部との係合状態を示した断面図、(b)は同じく爪部と突起部との係合状態を示した拡大断面図である。本実施形態が前記第1実施形態と異なるところは、カバー部材4の保持部45に対して別形態の突起部45a1を設けた点にある。突起部45a1は、ロックを解除した状態の係合部34(操作部材3)を保持する回動保持部材として機能する。
【0085】
図12(a)(b)に示すように、本実施形態の突起部45a1は、第1実施形態で説明した突起部45a(
図5B参照)を後方に向けて延長形成したものである。突起部45a1には、係合軸12aから係合部34が離脱した状態(ロックを解除した状態、
図7(a)参照)において、爪部35が当接するように構成されている。つまり、本実施形態では、ロックの解除位置に回動した係合部34(操作部材3)が、突起部45a1に対する爪部35の当接により保持されるように構成されている。
【0086】
なお、ロックを解除した状態(突起部45a1に爪部35が当接している状態)から操作部33(
図12(a)参照)を操作することにより、第1の係合位置又は第2の係合位置に係合部34を回動させることが可能である。
【0087】
本実施形態によれば、係合部34(操作部材3)が、ロックを解除した状態で保持されるので、蓋体2が自動的に閉じられることを防止できる。これにより、蓋体2が自動的に閉じられることで生じるおそれのある、子供等の閉じ込め事象等を未然に防止できる。
なお、突起部45a1は、第1実施形態で説明した突起部45a(
図5B参照)を後方に向けて延長形成したものを示したが、これに限られることはなく、ロックの解除位置に回動した係合部34(操作部材3)を保持できるものであれば、種々の形状のものを採用できる。
【0088】
(第4実施形態)
次に、
図13(a)(b)を参照して第4実施形態の保冷箱について説明する。
図13は、本発明の第4実施形態に係る保冷箱の要部を示した図であり、(a)は第1の係合位置にあるときの操作部を示した拡大平面図、(b)は第2の係合位置にあるときの操作部を示した拡大平面図である。本実施形態が前記第1~第3実施形態と異なるところは、第1の係合位置と第2の係合位置とにおける操作部33(操作部材3)の姿勢変化を利用して、第2の係合位置において露出する露出部位を設け、その露出部位に装飾を施した点にある。
【0089】
本実施形態では、
図13(b)に示すように、操作部33の操作基部33aの上面に、装飾としての色彩を付している(図中網掛け模様で表した部分)。操作基部33aの上面は、係合部34が第2の係合位置にある姿勢(
図6(a)参照)において平面視で目視可能に露出する露出部位である。そして、操作基部33aの上面は、
図13(a)に示すように、係合部34が第1の係合位置にある姿勢(
図5A(a)参照)において平面視でカバー部材4の内側に隠れるようになっている。
【0090】
なお、操作基部33aは、操作部33の他の部分と異なる色で彩色されていればよく、また、部分的に彩色が施されたものであってもよい。また、彩色の代わりに操作基部33aに対して、色調感のあるプレート等を取り付けたり、目立つ模様等を付したりしてもよく、係合部34が第2の係合位置にある姿勢(
図6(a)参照)であることを目視により確認できるものであれば種々のものを採用できる。また、操作基部33aから手掛け部33bの一部又は全部に亘って装飾を施すように構成してもよい。
【0091】
本実施形態によれば、第2の係合位置に係合部34があることを蓋体2の外部から目視により容易に確認できるので、蓋体2の密閉状態を容易に把握でき、使い勝手が向上する。
【0092】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は実施形態で説明した例に限定されない。
例えば、前記各実施形態では、操作部材3が一体に形成されたものを示したが、これに限られることはなく、複数の部材を組み合わせて構成されていてもよい。
【0093】
また、係合部34は、カバー部材4の後面に向けて回動することにより、第1の係合位置と第2の係合位置とを採り得るように構成したが、これに限られることはなく、カバー部材4の後面から離れる方向に向けて回動することにより、第1の係合位置と第2の係合位置とを採り得るように構成してもよい。
【0094】
また、抵抗力付与手段の形成位置は、実施形態のものに限られることはなく、適宜の位置に形成することができる。
【0095】
また、第1実施形態において、蓋体2を閉じる過程において第1の係合位置に係合部34が自動的に回動するように構成したが、これに限られることはなく、操作部33の操作により手動で回動するように構成してもよい。
【0096】
また、前記各実施形態において、抵抗力付与手段は、必ずしも設けなくてもよい。また、抵抗力付与手段を設けた場合には、保持部45の突起部45aを爪部35が乗り越えて前面45cに移動する際に、必ずしも発音しなくてもよい。
【0097】
また、蓋体2に対してシール部材押圧手段を設けてもよい。シール部材押圧手段は、蓋体2のシール部材23を箱本体1の開口部10aの縁部に対して押し付けるように構成されたものである。シール部材押圧手段は、例えば、蓋体2に対して上下方向移動可能に設け、開口部10aの縁部に向けてシール部材23を上方から押し付ける押圧部材を備えていることが好ましい。この場合、押圧部材は、例えば、上下移動によってシール部材23の上面に当接する状態で蓋体2に係合する第1の係合位置と、開口部10aの縁部に向けてシール部材23を押し付ける状態で蓋体2に係合する第2の係合位置とを採り得るように構成することが好ましい。なお、押圧部材の移動操作のための構造は、蓋体2の上面に一部を突出させ、その突出した部分を手指で押し込んだり引き上げたりする構成とすることによって、簡易に構成できる。
【0098】
このようなシール部材押圧手段により、シール部材23は、押圧部材が蓋体2に係合する第1の係合位置にある状態で開口部10aの縁部に当接し、開口部10aの縁部をシールする。また、シール部材23は、押圧部材が蓋体2に係合する第2の係合位置にある状態で、押圧部材が蓋体2に係合する第1の係合位置よりも箱本体1に対する蓋体2の密閉性が高くなるように開口部10aの縁部をシールする。
なお、押圧部材は、連動手段により、係合部34の回動(操作部33の操作)に連動して上下方向に移動するように設けてもよい。このように構成することによって、箱本体1に対する蓋体2の密閉性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0099】
1 箱本体
2 蓋体
3 操作部材
10a 開口部
12 被係合部
23 シール部材
33 操作部
33a 操作基部(露出部位)
34 係合部
34a,34a1 第1係合面
34b,34b1 第2係合面
34c 下面(当接部)
35 爪部(抵抗力付与手段)
36 コイルスプリング(付勢部材)
45a 突起部(抵抗力付与手段)
45a1 突起部(抵抗力付与手段、回動保持部材)
100 保冷箱