(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008215
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】画像投影装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20240112BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109905
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 昌信
(72)【発明者】
【氏名】南 俊二
(72)【発明者】
【氏名】勝田 寛志
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199CA07
2H199CA29
2H199CA34
2H199CA42
2H199CA45
2H199CA66
2H199CA69
2H199CA86
2H199CA92
(57)【要約】
【課題】網膜投影方式でユーザに画像を視認させる装置において、ユーザに多くの情報を提供することが可能な画像投影装置を提供する。
【解決手段】画像投影装置1において、レーザモジュール20は、レーザ光を出射する。MEMSミラー30は、レーザモジュール20から出射されたレーザ光を走査する。導光リフレクタ60は、MEMSミラー30により第1範囲に走査されたレーザ光を第1入射方向から眼球EYに入射させて、網膜RE上の第1領域に第1画像を投影し、MEMSミラー30により第2範囲に走査されたレーザ光を第2入射方向から眼球EYに入射させて、網膜RE上の第2領域に第2画像を投影する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射する光源と、
前記光源から出射された前記レーザ光を走査する走査部と、
前記走査部により第1範囲に走査された前記レーザ光を第1入射方向から眼球に入射させて、網膜上の第1領域に第1画像を投影し、前記走査部により第2範囲に走査された前記レーザ光を第2入射方向から前記眼球に入射させて、前記網膜上の第2領域に第2画像を投影する導光部と、
を備えることを特徴とする画像投影装置。
【請求項2】
前記導光部は、前記走査部により前記第1範囲に走査された前記レーザ光を前記第1入射方向に反射する第1反射面と、前記走査部により前記第2範囲に走査された前記レーザ光を前記第2入射方向に反射する第2反射面と、を備え、
前記第1反射面は、前記眼球に対して正面方向に位置しており、前記正面方向に対して前記走査部の側に傾いており、
前記第2反射面は、前記正面方向に対して前記第1反射面とは異なる角度で傾いている、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像投影装置。
【請求項3】
前記導光部における前記第1反射面及び前記第2反射面のそれぞれに対応する部分の前記正面方向の厚みは、前記走査部の側ほど大きい、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像投影装置。
【請求項4】
前記第2反射面は、前記第1反射面に対して前記走査部とは反対側に位置しており、前記正面方向に対して前記走査部の側に、前記第1反射面よりも大きい角度で傾いている、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像投影装置。
【請求項5】
前記第2反射面は、前記第1反射面に対して前記走査部の側に位置しており、前記正面方向に対して前記走査部の側に、前記第1反射面よりも小さい角度で傾いている、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像投影装置。
【請求項6】
前記第2反射面は、前記第1反射面の下側に位置しており、前記正面方向に対して前記走査部の側に、且つ、前記正面方向に対して上側に傾いている、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像投影装置。
【請求項7】
前記第2反射面は、前記第1反射面の上側に位置しており、前記正面方向に対して前記走査部の側に、且つ、前記正面方向に対して下側に傾いている、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像投影装置。
【請求項8】
前記導光部は、前記走査部により走査された前記レーザ光を反射する複数の反射部を備え、
前記複数の反射部のうちの最も後段に位置する反射部は、前記走査部により前記第1範囲に走査された前記レーザ光を第1反射角で反射する前記第1反射面と、前記走査部により前記第2範囲に走査された前記レーザ光を第2反射角で反射する前記第2反射面と、を備える、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像投影装置。
【請求項9】
前記第1画像と前記第2画像とを並べた画像を示す画像データを生成する画像処理部、を更に備え、
前記光源は、前記画像処理部により生成された前記画像データに基づく前記レーザ光を出射し、
前記走査部は、前記光源から出射された前記レーザ光のうちの、前記第1画像に対応するレーザ光を前記第1範囲に走査し、前記第2画像に対応するレーザ光を前記第2範囲に走査する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像投影装置。
【請求項10】
レーザ光を出射する光源と、
前記光源から出射された前記レーザ光を走査する走査部と、
前記走査部により走査された前記レーザ光を異なる複数の入射方向から眼球に入射させて、網膜上の複数の領域のそれぞれに画像を投影する導光部と、
を備えることを特徴とする画像投影装置。
【請求項11】
前記複数の領域のうちの第1領域は、前記眼球が正面を向いているときに前記網膜の中心窩が位置する領域であり、
前記複数の領域のうちの第2領域は、前記眼球が前記正面以外の方向を向いているときに前記中心窩が位置する領域である、
ことを特徴とする請求項10に記載の画像投影装置。
【請求項12】
前記第2領域は、前記網膜上において前記第1領域の左側又は右側に位置する領域である、
ことを特徴とする請求項11に記載の画像投影装置。
【請求項13】
前記第2領域は、前記網膜上において前記第1領域の上側又は下側に位置する領域である、
ことを特徴とする請求項11に記載の画像投影装置。
【請求項14】
前記複数の領域は、3以上の領域であり、
前記複数の領域のうちの第1領域は、前記眼球が正面を向いているときに前記網膜の中心窩が位置する領域であり、
前記複数の領域のうちの第2領域及び第3領域は、それぞれ前記網膜上において前記第1領域の左側及び右側に位置する領域である、
ことを特徴とする請求項10に記載の画像投影装置。
【請求項15】
前記複数の領域は、3以上の領域であり、
前記複数の領域のうちの第1領域は、前記眼球が正面を向いているときに前記網膜の中心窩が位置する領域であり、
前記複数の領域のうちの第2領域及び第3領域は、それぞれ前記網膜上において前記第1領域の上側及び下側に位置する領域である、
ことを特徴とする請求項10に記載の画像投影装置。
【請求項16】
前記導光部は、
前記走査部により走査された前記レーザ光を反射及び集光する反射ミラーと、
前記反射ミラーにより反射された前記レーザ光を前記異なる複数の入射方向から前記眼球に入射させる導光リフレクタと、を含む、
ことを特徴とする請求項10から15のいずれか1項に記載の画像投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
網膜投影方式により網膜に画像を投影してユーザに画像を視認させる技術が知られている。例えば、特許文献1は、画像光を網膜上に走査することで画像を表示する画像表示装置を開示している。
【0003】
網膜投影方式は、瞳孔に光を通して網膜に画像を直接的に投影するマクスウェル視を利用する。そのため、網膜投影方式は、LCD(Liquid Crystal Display)やOLED(Organic Light Emitting Diode)を使用した仮想スクリーン投影方式に比べて、フリーフォーカスのメリットを有する。これにより、前眼部異常等のロービジョンのユーザにとっても画像を見ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された画像表示装置では、画像が表示される位置は、網膜で認識できる範囲である中心窩付近の1か所に限定されている。そのため、1度に1つの画像による情報しかユーザに提供することができず、ユーザに多くの情報を提供することが難しい。このような状況のもと、網膜投影方式でユーザに画像を視認させる装置において、ユーザにより多くの情報を提供することが求められている。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するためのものであり、網膜投影方式でユーザに画像を視認させる装置において、ユーザに多くの情報を提供することが可能な画像投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像投影装置は、
レーザ光を出射する光源と、
前記光源から出射された前記レーザ光を走査する走査部と、
前記走査部により第1範囲に走査された前記レーザ光を第1入射方向から眼球に入射させて、網膜上の第1領域に第1画像を投影し、前記走査部により第2範囲に走査された前記レーザ光を第2入射方向から前記眼球に入射させて、前記網膜上の第2領域に第2画像を投影する導光部と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、網膜投影方式でユーザに画像を視認させる装置において、ユーザに多くの情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1に係る画像投影装置の概略を示す模式図である。
【
図2】実施形態1に係る画像投影装置の制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【
図3】(a)は、実施形態1に係る画像投影装置により投影される第1画像の例を示す図である。(b)は、実施形態1に係る画像投影装置により投影される第2画像の例を示す図である。
【
図4】実施形態1において、レーザモジュールから出射されるレーザ光のもとになる画像の例を示す図である。
【
図5】実施形態1において、レーザ光として出射される画素の順序の例を示す図である。
【
図6】実施形態1に係る画像投影装置の投影ユニットの構成を示すブロック図である。
【
図7】実施形態1に係る画像投影装置におけるレーザ光の光路を示す図である。
【
図8】(a)及び(b)は、実施形態1において眼球が正面を向いているときに画像が投影される網膜上の領域を、それぞれ上及び正面から見た図である。
【
図9】(a)及び(b)は、実施形態1において眼球が左側を向いているときに画像が投影される網膜上の領域を、それぞれ上及び正面から見た図である。
【
図10】実施形態2において、レーザモジュールから出射されるレーザ光のもとになる画像の例を示す図である。
【
図11】実施形態2において、レーザ光として出射される画素の順序の例を示す図である。
【
図12】(a)及び(b)は、実施形態2に係る画像投影装置におけるレーザ光の光路、それぞれ横及び上から見た図である。
【
図13】(a)及び(b)は、実施形態2において眼球が正面を向いているときに画像が投影される網膜上の領域を、それぞれ左及び正面から見た図である。
【
図14】(a)及び(b)は、実施形態2において眼球が下側を向いているときに画像が投影される網膜上の領域を、それぞれ左及び正面から見た図である。
【
図15】変形例において、レーザ光の光路の第1の例を示す図である。
【
図16】変形例において、レーザ光の光路の第2の例を示す図である。
【
図17】変形例において、画像が投影される網膜上の領域の第1の例を示す図である。
【
図18】変形例において、画像が投影される網膜上の領域の第2の例を示す図である。
【
図19】変形例において、画像が投影される網膜上の領域の第3の例を示す図である。
【
図20】変形例において、画像が投影される網膜上の領域の第4の例を示す図である。
【
図21】変形例において、画像が投影される網膜上の領域の第5の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図中同一又は相当する部分には同一符号を付す。
【0011】
(実施形態1)
図1に、実施形態1に係る画像投影装置1の概略を示す。画像投影装置1は、マクスウェル視を利用してユーザUの網膜REに画像を投影する網膜投影方式の装置である。画像投影装置1は、ユーザUの頭部、メガネフレーム等に取り付けられて使用される。画像投影装置1は、スマートグラス、網膜走査ディスプレイ等とも呼ばれる。
【0012】
なお、理解を容易にするため、
図1では、ユーザUから見て前方向が+X方向であり、ユーザUから見て左方向が+Y方向であり、ユーザUから見て上方向が+Z方向であるとして説明する。以降の図でも同様である。
【0013】
また、
図1では、画像投影装置1はユーザUの右目に取り付けられており、右目の眼球EYにレーザ光を入射する構成を例として説明する。しかしながら、これに限定されるものではなく、画像投影装置1は、ユーザUの左目又は両目に取り付けられ、左目又は両目の眼球EYにレーザ光を入射する構成であっても良い。
【0014】
図1に示すように、画像投影装置1は、制御ユニット2と、投影ユニット3と、複合ケーブル4と、を備える。
【0015】
制御ユニット2は、画像投影装置1を制御するユニットである。制御ユニット2は、レーザモジュール20を備えており、画像データに基づいて強度変調されたレーザ光をレーザモジュール20から出射して、複合ケーブル4を通して投影ユニット3に出力する。制御ユニット2は、一例として、画像投影装置1がユーザUに装着されたときにユーザUの耳付近に位置するように、メガネフレーム等に設置される。
【0016】
より詳細には、制御ユニット2は、
図2に示すように、入出力インタフェース10と、画像処理部11と、メモリ12と、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)13と、充電回路18と、バッテリ19と、レーザモジュール20と、投影制御部21と、レーザドライバ23と、を備える。
【0017】
入出力インタフェース10は、外部装置との間でデータの入力及び出力するためのインタフェースである。外部装置は、例えば、カメラ、スマートフォン、PC(パーソナルコンピュータ)、SD(Secure Digital)カード等である。入出力インタフェース10は、例えば、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)、USB(Universal Serial Bus)等の規格の端子を備えており、外部装置と電気的に接続される。
【0018】
入出力インタフェース10は、外部装置から画像信号を形成するための画像データを受信し、画像処理部11に送信する。画像データは、網膜REに投影する画像を示すデータである。画像データは、例えば、カメラ又はスマートフォンで撮影された撮影データ、PCで生成された文字、図形、写真等を示すデータ等である。なお、画像は、静止画像であっても良いし、動画像であっても良い。
【0019】
画像処理部11は、CPU(Central Processing Unit)等の制御回路を備える。CPUは、EPROM13に記憶されている制御プログラムを読み出して、メモリ12をワークメモリとして用いながら、画像処理部11及び制御ユニット2を制御する。なお、画像処理部11は、CPUの代わりに、SoC(System-on-a-Chip)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の集積回路を備えても良い。
【0020】
メモリ12は、例えばRAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリであって、制御ユニット2のワークメモリとして用いられる。
【0021】
EPROM13は、書き込み可能な不揮発性の半導体メモリである。EPROM13は、制御ユニット2によって実行されるプログラム及びデータを記憶している。なお、制御ユニット2は、EPROM13に限らず、不揮発性のメモリとしてフラッシュメモリ、ハードディスク等を備えていても良い。
【0022】
充電回路18は、AC/DC(Alternate Current/Direct Current)アダプタに接続される。AC/DCアダプタから供給された電力を、バッテリ19及び制御ユニット2の各部に供給する。
【0023】
画像処理部11は、入出力インタフェース10を介して外部装置から受信した画像データ、又は、EPROM13に予め記憶された画像データに対して画像処理を行う。これにより、画像処理部11は、レーザモジュール20から出射されるレーザ光のもとになる画像データを生成する。
【0024】
図3(a)及び
図3(b)に、それぞれ、外部装置から受信する画像データ、又は、EPROM13に予め記憶される画像データにより示される第1画像A1及び第2画像A2の例を示す。
図3(a)に示す第1画像A1は、一例として、カメラ又はスマートフォンにより撮影された、ユーザUの周囲の風景を示す画像である。
図3(b)に示す第2画像A2は、一例として、PCにより生成された、ユーザUの周囲の地図を示す画像である。第1画像A1及び第2画像A2は、横方向(u方向)にNu個のドット(例えば640ドット)及び縦方向(v方向)にNv個のドット(例えば720ドット)の画素を有する。
【0025】
画像処理部11は、このような第1画像A1及び第2画像A2を示す画像データを外部装置又はEPROM13から取得する。そして、画像処理部11は、第1画像A1と第2画像A2とを並べることで、
図4に示す画像A11を示す画像データを生成する。画像A11は、第1画像A1と第2画像A2とを横方向に並べた画像であって、横方向に2×Nu個及び縦方向にNv個の画素を有する。画像処理部11は、このような画像データを、レーザモジュール20から出射されるレーザ光のもとになる画像データとして生成し、投影制御部21に転送する。
【0026】
レーザモジュール20は、ユーザUの眼球EYに入射されるレーザ光を出射する。レーザモジュール20は、光源の一例である。
【0027】
より詳細には、レーザモジュール20は、図示しないR(赤色)レーザ光源、G(緑色)レーザ光源、及びB(青色)レーザ光源、を備えており、レーザ光を出射する。Rレーザ光源、Gレーザ光源及びBレーザ光源は、レーザドライバ23から送信された画像信号に応じてそれぞれ強度変調されたレーザ光を出射する。各レーザ光源は、例えば、半導体レーザ(レーザダイオード)、固体レーザ等である。
【0028】
各レーザ光源から出射されたレーザ光は、いずれも図示を省略するが、ダイクロイックミラー等の光学系により合波され、コリメートレンズ等の光学系により平行光化され、集光レンズ等の光学系により集光されて、複合ケーブル4へ出射される。
【0029】
投影制御部21は、レーザモジュール20によるレーザ光の出射とMEMSミラー30によるレーザ光の走査とを制御することにより、画像投影装置1による画像の投影を制御する。投影制御部21は、図示を省略するが、CPU、SoC、ASIC等の制御回路を備えており、画像投影装置1における画像投影処理を統括的に制御する。なお、CPU、SoC、ASIC等を総称して、「プロセッサ」と呼んでも良い。投影制御部21は、制御部の一例である。
【0030】
投影制御部21は、制御回路の機能により、画像処理部11から供給される画像データを画像信号に変換し、レーザドライバ23を通して画像信号をレーザモジュール20に供給する。例えば
図4に示した画像A11を示す画像データが画像処理部11から転送された場合、投影制御部21は、
図5に示す順番で1画素ずつ、各画素の画素値(RGB値)に対応する画像信号を生成し、レーザドライバ23に送信する。
【0031】
具体的に説明すると、投影制御部21は、画像A11の最も上の行(p_1行目)において右から左の順番に各画素の画素値を読み出し、画素値に対応する画像信号を生成してレーザドライバ23に送信する。次に、画像A11の上から2行目(p_2行目)において左から右の順番に各画素の画素値を読み出し、画素値に対応する画像信号を生成してレーザドライバ23に送信する。投影制御部21は、このような処理を最も下の行(p_Nv行目)まで実行する。このように、投影制御部21は、画像A11の各画素の画素値に対応する画像信号を、1画素ずつ順にレーザドライバ23に送信する。
【0032】
レーザドライバ23は、レーザモジュール20と電気的に接続される。レーザドライバ23は、投影制御部21から受信した画像信号に基づいて、レーザモジュール20を駆動する。具体的に説明すると、レーザドライバ23は、投影制御部21から受信した画像信号に対応する輝度で、Rレーザ光源、Gレーザ光源及びBレーザ光源のそれぞれを発光させる。これにより、レーザドライバ23は、受信した画像信号に対応する色のレーザ光をレーザモジュール20から出射させる。
【0033】
また、投影制御部21は、MEMSドライバ33を通してMEMSミラー30を制御する。具体的に説明すると、投影制御部21は、複合ケーブル4を通してMEMSドライバ33に制御信号を送信し、MEMSミラー30による走査範囲を制御する。これにより、投影制御部21は、レーザモジュール20から出射されたレーザ光を走査する方向を制御する。
【0034】
より詳細には、投影制御部21は、MEMSミラー30による走査をレーザモジュール20によるレーザ光の出射と同期させる。具体的に説明すると、投影制御部21は、画像A11における各座標(u,v)の画素の画素値に対応するレーザ光が、網膜RE上のその座標(u,v)に対応する位置に投射されるように、レーザモジュール20が各画素の画素値に対応するレーザ光を出射するタイミングと、そのタイミングにおいてMEMSミラー30がレーザ光を走査する方向と、を制御する。
【0035】
図1に戻って、複合ケーブル4は、制御ユニット2から出射されたレーザ光を伝送し、投影ユニット3に出射するケーブルである。複合ケーブル4は、制御ユニット2及び投影ユニット3と光学的に接続される。複合ケーブル4により伝送されたレーザ光は、図示しないコリメートレンズによって平行光化され、MEMSミラー30に出射される。また、複合ケーブル4は、投影制御部21からMEMSドライバ33に送信される制御信号を伝送する。
【0036】
投影ユニット3は、ユーザUの網膜RE上に画像を投影するユニットである。投影ユニット3は、画像投影装置1がユーザUに装着されたときに、ユーザUの眼球EYの正面に位置するように、メガネフレーム等に設置される。このような状態において、投影ユニット3は、複合ケーブル4によって伝送されたレーザ光をユーザUの瞳孔PUから眼球EY内に入射させる。
【0037】
より詳細には、
図6に示すように、投影ユニット3は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー30と、MEMSドライバ33と、反射ミラー50と、導光リフレクタ60と、を備える。
【0038】
MEMSミラー30は、レーザモジュール20から出射されたレーザ光を走査する。具体的に説明すると、MEMSミラー30は、レーザモジュール20から出射されたレーザ光を受光し、レーザ光を反射ミラー50に向けて反射する。MEMSミラー30は、反射面の角度を変化させることで、反射するレーザ光を2次元に走査させる。MEMSミラー30は、走査部の一例である。
【0039】
より詳細には、MEMSミラー30は、MEMS加工により形成されたミラーである。MEMSミラー30では、ミラー周辺に配置されたコイルに電流を流すことにより発生するローレンツ力により、ミラーの傾きを変更することができる。これにより、ミラー面に入射したレーザ光の光路を変更し、2次元に走査することができる。
【0040】
MEMSドライバ33は、MEMSミラー30と電気的に接続される。MEMSドライバ33は、投影制御部21から受信した制御信号に基づいて、MEMSミラー30に駆動信号を送信し、MEMSミラー30の傾きを変更する。これにより、MEMSドライバ33は、MEMSミラー30がレーザ光を走査する方向、言い換えると、MEMSミラー30がレーザ光を反射する方向を制御する。
【0041】
MEMSミラー30は、MEMSドライバ33から受信した駆動信号に基づいて、複合ケーブル4により伝送される平行光化されたレーザ光を2次元方向に走査する。これにより、MEMSミラー30は、レーザモジュール20から出射されたレーザ光を、拡散光として導光部40に入射させる。
【0042】
導光部40は、MEMSミラー30により走査されたレーザ光を導いて眼球EY内に入射させ、眼球EYの網膜RE上に画像を投影して結像させる。より詳細には、導光部40は、反射ミラー50と導光リフレクタ60とを備える。
【0043】
反射ミラー50は、レーザ光の光路におけるMEMSミラー30の後段に配置されており、MEMSミラー30により走査されたレーザ光を反射及び集光する。
【0044】
導光リフレクタ60は、レーザ光の光路における反射ミラー50の後段に配置されており、反射ミラー50により反射されたレーザ光を導き、眼球EYに入射させる。
【0045】
以下、
図7を参照して、導光部40におけるレーザ光の光路についてより詳細に説明する。なお、
図7では、理解を容易にするため、レーザ光の光路に直接関係しない構成要素は省いている。
【0046】
図7に示すように、MEMSミラー30は、レーザモジュール20から出射されたレーザ光を、第1範囲S1又は第2範囲S2の方向に走査する。第1範囲S1に走査されたレーザ光は、
図7において薄い色が付された範囲を通って網膜RE上に投射される。これに対して、第2範囲S2に走査されたレーザ光は、
図7において濃い色が付された範囲を通って網膜RE上に投射される。
【0047】
より詳細には、第1範囲S1に走査されたレーザ光は、反射ミラー50の鏡面を左右に2分割した一方の領域に入射する。これに対して、第2範囲S2に走査されたレーザ光は、反射ミラー50の鏡面を左右に2分割した他方の領域に入射する。
【0048】
反射ミラー50は、凹状に湾曲した鏡面を備える。反射ミラー50は、MEMSミラー30により第1範囲S1及び第2範囲S2に走査されたレーザ光を受光し、受光したレーザ光を凹状の鏡面により反射することで集光する。反射ミラー50により反射されたレーザ光は、導光リフレクタ60に入射され、ユーザUの眼球EY内の瞳孔PU付近で集束して、網膜RE上に投射される。
【0049】
導光リフレクタ60は、レーザ光を通す適宜の材質で形成されており、入射部63と、複数の反射部61と、出射部64と、を備える。入射部63は、レーザ光を透過する部材で形成された入射面を有し、入射面を通して、反射ミラー50で反射したレーザ光を導光リフレクタ60内に入射させる。
【0050】
複数の反射部61のそれぞれは、レーザ光を反射する部材で形成された反射面を有し、入射部63から入射したレーザ光を反射して、出射部64に導く。反射ミラー50で反射したレーザ光は、複数の反射部61で順に反射して導光リフレクタ60内を+Y方向に進行し、ユーザUの瞳孔PUから眼球EY内に入射可能な位置まで導かれる。複数の反射部61のうちの最終反射部61z以外の反射部61は、互いに斜めに向かい合うように配置されており、MEMSミラー30により第1範囲S1に走査されたレーザ光と第2範囲S2に走査されたレーザ光とを同じ反射角で反射する。
【0051】
複数の反射部61のうちの最も後段に位置する反射部である最終反射部61zは、眼球EYに対向する位置に配置されている。最終反射部61zは、2つの反射面62a,62bを備える。2つの反射面62a,62bは、A部を境界として不連続となっており、異なる反射角でレーザ光を反射する。具体的には、第1反射面62aは、MEMSミラー30により第1範囲S1に走査されたレーザ光を第1反射角で第1入射方向に反射する。第2反射面62bは、MEMSミラー30により第2範囲S2に走査されたレーザ光を、第1反射角とは異なる第2反射角で第2入射方向に反射する。ここで、第1入射方向は、レーザ光が眼球EYに対して正面から入射する方向、すなわち眼球EYの正面方向である。一方で、第2入射方向は、第1入射方向から傾斜した方向である。
【0052】
出射部64は、レーザ光を透過する部材で形成された出射面を有し、出射面を通して、最終反射部61zで反射したレーザ光を眼球EYに向けて出射させる。出射部64の出射面は、ユーザUが画像投影装置1を装着したときに、眼球EYのすぐ正面に位置する。
【0053】
最終反射部61zの第1反射面62aで反射したレーザ光は、出射部64から出射され、第1入射方向から瞳孔PUを通って眼球EY内に入射し、網膜RE上の第1領域R1に投射される。これに対して、最終反射部61zの第2反射面62bで反射したレーザ光は、出射部64から出射され、第2入射方向から瞳孔PUを通って眼球EY内に入射し、網膜RE上の第2領域R2に投射される。
【0054】
より詳細には、第1反射面62aは、眼球EYに対して正面方向に位置する。第1反射面62aは、Z方向に対して平行であるが、MEMSミラー30で第1範囲S1に走査されたレーザ光を第1入射方向に反射できるように、眼球EYの正面方向に対してMEMSミラー30の側(-Y方向)に傾いている。言い換えると、導光リフレクタ60における第1反射面62aに対応する部分のX方向の厚みd1、すなわち第1反射面62aと出射部64の出射面との距離は、-Y方向から+Y方向に向けて、徐々に小さくなる。
【0055】
一方で、第2反射面62bは、第1反射面62aに対してMEMSミラー30とは反対側(+Y方向)に位置する。第2反射面62bは、Z方向に対して平行であるが、眼球EYの正面方向に対して第1反射面62aとは異なる角度で傾いている。
【0056】
具体的には、第2反射面62bは、MEMSミラー30で第2範囲S2に走査されたレーザ光を第2入射方向に反射できるように、眼球EYの正面方向に対してMEMSミラー30の側(-Y方向)に、第1反射面62aよりも大きい角度で傾いている。言い換えると、導光リフレクタ60における第2反射面62bに対応する部分のX方向の厚みd2、すなわち第2反射面62bと出射部64の出射面との距離は、-Y方向から+Y方向に向けて、厚みd1よりも急激に小さくなる。
【0057】
このように、導光リフレクタ60のX方向の厚みは、最終反射部61zが設けられた部分以外では一定であるが、最終反射部61zが設けられた部分では、A部を境界として2段階の変化率で、+Y方向に向けて徐々に細くなっている。言い換えると、導光リフレクタ60における第1反射面62a及び第2反射面62bのそれぞれに対応する部分のX方向の厚みd1,d2は、MEMSミラー30の側(-Y方向)ほど大きくなっており、MEMSミラー30と反対側(+Y方向)ほど小さくなっている。また、第2反射面62bに対応する全ての部分の厚みd2は、第1反射面62aに対応する全ての部分の厚みd1よりも小さい。
【0058】
なお、最終反射部61zの2つの反射面62a,62bの反射角がA部で不連続に変化しているため、第1入射方向と第2入射方向との間で角度差がつき、第1領域R1と第2領域R2との間にはギャップが生じる。2つの反射面62a,62bの反射角は、第2入射方向が第1入射方向に対して眼球EYが動作可能な角度である±25°程度の角度差を有するように、調整されている。このように、第1反射面62aで反射したレーザ光と第2反射面62bで反射したレーザ光とが互いに異なる入射方向から眼球EYに入射して、離れた2つの領域R1,R2に投射される。
【0059】
投影制御部21は、このような光路を通るレーザ光の走査範囲を制御することにより、第1領域R1に第1画像A1を投影し、第2領域R2に第2画像A2を投影する。ここで、レーザ光の走査範囲は、レーザモジュール20から出射されたレーザ光をMEMSミラー30が反射ミラー50に向けて反射する方向の範囲である。
【0060】
具体的に説明すると、投影制御部21は、画像A11のうちの第1画像A1に相当する座標(0,0)から座標(Nu,Nv)の範囲の画像データに基づくレーザ光がレーザモジュール20から出射されているタイミングでは、そのレーザ光を第1範囲S1の方向に向けて反射するように、MEMSミラー30を制御する。これに対して、投影制御部21は、画像A11のうちの第2画像A2に相当する座標(Nu,0)から座標(2×Nu,Nv)の範囲の画像データに基づくレーザ光がレーザモジュール20から出射されているタイミングでは、そのレーザ光を第2範囲S2の方向に向けて反射するように、MEMSミラー30を制御する。
【0061】
このような走査範囲の制御により、MEMSミラー30は、レーザモジュール20から出射されたレーザ光のうちの、第1画像A1に対応するレーザ光を第1範囲S1の方向に走査し、第2画像A2に対応する画像光を第2範囲S2の方向に走査する。
【0062】
導光部40は、MEMSミラー30により第1範囲S1に走査されたレーザ光を第1入射方向から眼球EYに入射させて、網膜RE上の第1領域R1に第1画像A1を投影する。また、導光部40は、MEMSミラー30により第2範囲S2に走査されたレーザ光を第2入射方向から眼球EYに入射させて、網膜RE上の第2領域R2に第2画像A2を投影する。
【0063】
ここで、第1領域R1は、眼球EYが正面を向いているときに網膜REの中心窩が位置する領域である。中心窩は、網膜REの黄斑部の中心に位置し、周辺領域よりも視覚の感度が高い部位である。これに対して、第2領域R2は、眼球EYが正面以外の方向を向いているときに網膜REの中心窩が位置する領域である。正面以外の方向は、ユーザUが頭部を固定したまま眼球EYを動かすことが可能な範囲内(具体的には正面を基準として±25°程度)の方向であって、一例として実施形態1ではユーザUにとって左側(+Y方向)の方向である。
【0064】
具体的には、
図8(a)に示すように、眼球EYが正面を向いている場合、第1領域R1は、眼球EYに対して正面から真っ直ぐ(-X方向に)レーザ光が入射した場合に投射される網膜RE上の領域に相当する。これに対して、第2領域R2は、第1領域R1の右側(
図8(a)の例では-Y方向)に位置する領域であって、眼球EYに対して斜めに(
図8(a)の例では+Y方向から)レーザ光が入射した場合に投射される網膜RE上の領域に相当する。
【0065】
このようにレーザ光が入射した結果、第1画像A1及び第2画像A2は、
図8(b)に示すように、網膜RE上に同時に投影される。具体的には、第1画像A1は、網膜RE上における中心窩が位置する領域であって、視野の中心に投影される。一方で、第2画像A2は、第1画像A1に対して、レーザ光の入射側から見て左側(-Y方向)であって、中心窩から外れた領域に投影される。そのため、ユーザUは、第1画像A1を視認することはできるが、第2画像A2を視認することはできない、又は明確には視認することが難しい。
【0066】
なお、
図8(b)では、網膜RE上においてユーザUが明確に視認可能な領域R0を破線で示しており、破線の中心が視野の中心、すなわち中心窩が存在する領域に相当する。後述する
図9(b)でも同様である。
【0067】
一方で、
図9(a)に示すように、眼球EYが正面以外の方向である左側(+Y方向)を向いている場合、第2領域R2は、眼球EYに対して正面から真っ直ぐレーザ光が入射した場合に投射される網膜RE上の領域に相当する。これに対して、第1領域R1は、第2領域R2の左側(
図9(a)の例では+Y方向)に位置する領域であって、眼球EYに対して斜めにレーザ光が入射した場合に投射される網膜RE上の領域に相当する。
【0068】
このようにレーザ光が入射した結果、第1画像A1及び第2画像A2は、
図9(b)に示すように、網膜RE上に同時に投影される。眼球EYが左側(+Y方向)を向いている場合、
図9(b)において破線で示す視認可能な領域R0は、レーザ光の入射側から見て左側(-Y方向)に移動する。そのため、第2画像A2は、網膜RE上における中心窩が位置する領域であって、視野の中心に投影される。一方で、第1画像A1は、第2領域R2に対して右側(+Y方向)であって、中心窩から外れた領域に投影される。そのため、ユーザUは、第2画像A2を視認することはできるが、第1画像A1を視認することはできない、又は明確には視認することが難しい。
【0069】
このように、ユーザUは、2つの画像A1,A2を同時に見ることはできないが、正面視しているときは第1画像A1を見ることができ、眼球EYを左側に動かすことで第2画像A2を見ることができる。そのため、ユーザUは必要に応じて眼球EYを動かすことで、2つの画像A1,A2から情報を得ることができる。
【0070】
以上説明したように、実施形態1に係る画像投影装置1は、レーザモジュール20から出射されたレーザ光を、MEMSミラー30により第1範囲S1及び第2範囲S2に走査させる。そして、実施形態1に係る画像投影装置1は、第1範囲S1に走査されたレーザ光を第1入射方向から眼球EYに入射させて、網膜RE上の第1領域R1に第1画像A1を投影し、第2範囲S2に走査されたレーザ光を第2入射方向から眼球EYに入射させて、網膜RE上の第2領域R2に第2画像A2を投影する。これにより、2つの画像A1,A2を網膜RE上に表示することができるため、網膜RE上に同時に1つの画像のみ表示する場合に比べて、ユーザUにより多くの情報を提供することができる。
【0071】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について説明する。実施形態1と同様の構成及び機能については、適宜説明を省略する。
【0072】
上記実施形態1では、第2画像A2が投影される第2領域R2は、網膜RE上において第1画像A1が投影される第1領域R1の左側に位置していた。これに対して、実施形態2では、第2領域R2は、網膜RE上において第1領域R1の上側に位置する。以下、説明する。
【0073】
実施形態2において、画像処理部11は、網膜RE上に投影する対象となる第1画像A1と第2画像A2とを並べることで、
図10に示す画像A12を示す画像データを生成する。画像A12は、第1画像A1と第2画像A2とを縦方向に並べた画像であって、横方向にNu個及び縦方向に2×Nv個の画素を有する。画像処理部11は、このような画像データを、レーザモジュール20から出射されるレーザ光のもとになる画像データとして生成し、投影制御部21に転送する。
【0074】
画像A12を示す画像データが画像処理部11から転送された場合、投影制御部21は、
図11に示す順番で1画素ずつ、各画素の画素値(RGB値)に対応する画像信号を生成し、レーザドライバ23に送信する。具体的に説明すると、投影制御部21は、実施形態1と同様に、画像A12の最も上の行から最も下の行までの順番に、画像A12の各画素の画素値に対応する画像信号を、1画素ずつ順にレーザドライバ23に送信する。
【0075】
レーザドライバ23は、投影制御部21から受信した画像信号に基づいてレーザモジュール20を駆動し、画像信号に対応する色のレーザ光をレーザモジュール20から出射させる。MEMSミラー30は、レーザモジュール20から出射されたレーザ光を、第1範囲S1又は第2範囲S2の方向に走査する。
【0076】
投影制御部21は、画像A12のうちの第1画像A1に相当する座標(0,0)から座標(Nu,Nv)の範囲の画像データに基づくレーザ光がレーザモジュール20から出射されているタイミングでは、そのレーザ光を第1範囲S1の方向に向けて反射するように、MEMSミラー30を制御する。これに対して、投影制御部21は、画像A12のうちの第2画像A2に相当する座標(0,Nv)から座標(Nu,2×Nv)の範囲の画像データに基づくレーザ光がレーザモジュール20から出射されているタイミングでは、そのレーザ光を第2範囲S2の方向に向けて反射するように、MEMSミラー30を制御する。
【0077】
このような走査範囲の制御により、MEMSミラー30は、レーザモジュール20から出射されたレーザ光のうちの、第1画像A1に対応するレーザ光を第1範囲S1の方向に走査し、第2画像A2に対応する画像光を第2範囲S2の方向に走査する。
【0078】
第1範囲S1に走査されたレーザ光は、図示を省略するが、反射ミラー50の鏡面を上下に2分割した一方の領域に入射する。これに対して、第2範囲S2に走査されたレーザ光は、反射ミラー50の鏡面を上下に2分割した他方の領域に入射する。
【0079】
第1範囲S1に走査されたレーザ光は、反射ミラー50により反射及び集光され、導光リフレクタ60内の複数の反射部61により反射して、最終反射部61zの第1反射面62aに導かれる。これに対して、第2範囲S2に走査されたレーザ光は、反射ミラー50により反射及び集光され、導光リフレクタ60内の複数の反射部61により反射して、最終反射部61zの第2反射面62bに導かれる。
【0080】
図12(a)及び
図12(b)に、実施形態2において最終反射部61zから眼球EYに入射するレーザ光の光路を示す。
図12(a)は、2つの反射面62a,62bの位置においてY方向に垂直な面(XZ平面)で切った場合におけるレーザ光の光路を表しており、
図12(b)は、第1反射面62aの高さにおいて水平面(XY平面)で切った場合におけるレーザ光の光路を表している。
【0081】
実施形態2において、第1反射面62aは、実施形態1と同様に、眼球EYに対して正面方向に位置する。そして、
図12(b)に示すように、第1反射面62aは、Z方向に対して平行であるが、MEMSミラー30で第1範囲S1に走査されたレーザ光を第1入射方向に反射できるように、眼球EYの正面方向に対してMEMSミラー30の側(-Y方向)に傾いている。言い換えると、導光リフレクタ60における第1反射面62aに対応する部分のX方向の厚みd1、すなわち第1反射面62aと出射部64の出射面との距離は、-Y方向から+Y方向に向けて、徐々に小さくなる。
【0082】
一方で、
図12(a)に示すように、第2反射面62bは、第1反射面62aの下側(-Z方向)に位置する。第2反射面62bは、MEMSミラー30で第2範囲S2に走査されたレーザ光を第2入射方向に反射できるように、眼球EYの正面方向に対して-Y方向及び+Z方向の両方に傾いている。
【0083】
具体的には、第2反射面62bは、
図12(b)に示すように、眼球EYの正面方向に対してMEMSミラー30の側(-Y方向)に傾いていると共に、
図12(a)に示すように、レーザ光を下側から眼球EYに入射できるように、眼球EYの正面方向に対して上側(+Z方向)に傾いている。言い換えると、導光リフレクタ60における第2反射面62bに対応する部分のX方向の厚みd2、すなわち第2反射面62bと出射部64の出射面との距離は、-Y方向から+Y方向に向けて小さくなると共に、+Z方向から-Z方向に向けて小さくなる。このように、同じ水平面(XY平面)内で比較した場合、第2反射面62bに対応する部分の厚みd2は、MEMSミラー30の側(-Y方向)ほど大きくなっており、MEMSミラー30と反対側(+Y方向)ほど小さくなっている。且つ、同じXZ平面内で比較した場合、第2反射面62bに対応する部分の厚みd2は、上側(+Z方向)ほど大きくなっており、下側(-Z方向)ほど小さくなっている。
【0084】
最終反射部61zの第1反射面62aで反射したレーザ光は、第1入射方向から瞳孔PUを通って眼球EY内に入射し、網膜RE上の第1領域R1に投射される。これに対して、最終反射部61zの第2反射面62bで反射したレーザ光は、第2入射方向から瞳孔PUを通って眼球EY内に入射し、網膜RE上の第2領域R2に投射される。
【0085】
より詳細には、実施形態1では、最終反射部61zの2つの反射面62a,62bは、レーザ光を左右(Y方向)に分離して、異なる2つの入射方向から眼球EYに入射させた。これに対して、実施形態2では、最終反射部61zの2つの反射面62a,62bは、レーザ光を上下(Z方向)に分離して、異なる2つの入射方向から眼球EYに入射させる。
【0086】
このようにして、導光部40は、MEMSミラー30により第1範囲S1に走査されたレーザ光を第1入射方向から眼球EYに入射させて、網膜RE上の第1領域R1に第1画像A1を投影する。また、導光部40は、MEMSミラー30により第2範囲S2に走査されたレーザ光を第2入射方向から眼球EYに入射させて、網膜RE上の第2領域R2に第2画像A2を投影する。
【0087】
ここで、第1領域R1は、眼球EYが正面を向いているときに網膜REの中心窩が位置する領域である。これに対して、第2領域R2は、眼球EYが正面以外の方向である下側の方向を向いているときに網膜REの中心窩が位置する領域である。
【0088】
具体的には、
図13(a)に示すように、眼球EYが正面を向いている場合、第1領域R1は、眼球EYに対して正面から真っ直ぐ(-X方向に)レーザ光が入射した場合に投射される網膜RE上の領域に相当する。これに対して、第2領域R2は、第1領域R1の上側に位置する領域であって、眼球EYに対して下側から斜めにレーザ光が入射した場合に投射される網膜RE上の領域に相当する。
【0089】
このようにレーザ光が入射した結果、第1画像A1及び第2画像A2は、
図13(b)に示すように、網膜RE上に同時に投影される。具体的には、第1画像A1は、網膜RE上における中心窩が位置する領域であって、視野の中心に投影される。一方で、第2画像A2は、第1画像A1に対して上側であって、中心窩から外れた領域に投影される。そのため、ユーザUは、第1画像A1を視認することはできるが、第2画像A2を視認することはできない、又は明確には視認することが難しい。
【0090】
一方で、
図14(a)に示すように、眼球EYが下側を向いている場合、第2領域R2は、眼球EYに対して正面から真っ直ぐレーザ光が入射した場合に投射される網膜RE上の領域に相当する。これに対して、第1領域R1は、第2領域R2の下側に位置する領域であって、眼球EYに対して上側から斜めにレーザ光が入射した場合に投射される網膜RE上の領域に相当する。
【0091】
このようにレーザ光が入射した結果、第1画像A1及び第2画像A2は、
図14(b)に示すように、網膜RE上に同時に投影される。眼球EYが下側を向いている場合、
図14(b)において破線で示す視認可能な領域R0は、上側に移動する。そのため、第2画像A2は、網膜RE上における中心窩が位置する領域であって、視野の中心に投影される。一方で、第1画像A1は、第2領域R2に対して下側であって、中心窩から外れた領域に投影される。そのため、ユーザUは、第2画像A2を視認することはできるが、第1画像A1を視認することはできない、又は明確には視認することが難しい。
【0092】
このように、実施形態2に係る画像投影装置1は、第2画像A2を第1画像A1に対して網膜RE上における上側の領域に投影する。そのため、ユーザUは、正面視しているときは第1画像A1を見ることができ、眼球EYを下側に動かすことで第2画像A2を見ることができる。
【0093】
(変形例)
以上に本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は一例であり、本発明の適用範囲はこれに限られない。すなわち、本発明の実施形態は種々の応用が可能であり、あらゆる実施の形態が本発明の範囲に含まれる。
【0094】
(1)例えば、上記実施形態1では、第2領域R2は、レーザ光の入射側から見て、網膜RE上において第1領域R1の左側(-Y方向)に位置していた。しかしながら、第2領域R2は、レーザ光の入射側から見て、網膜RE上において第1領域R1の右側(+Y方向)に位置していても良い。この場合、眼球EYが右側を向いているときにユーザUが第2画像A2を視認できるように、実施形態1で説明した導光部40の構成の左右を入れ替えることで同様に説明することができる。具体的には、実施形態1における第2入射方向は、眼球EYが正面を向いているときに眼球EYに対して右側(+Y方向)から斜めに入射する方向であったが、第2入射方向が眼球EYに対して左側(-Y方向)から斜めに入射する方向となるように、反射面62a,62bの反射角を調整すれば良い。
【0095】
図15に、第2反射面62bが第1反射面62aに対してMEMSミラー30と同じ側(-Y方向)に位置する場合における導光リフレクタ60の構成を示す。第2反射面62bは、MEMSミラー30で第2範囲S2に走査されたレーザ光を-Y方向から+Y方向に斜めに反射できるように、眼球EYの正面方向に対してMEMSミラー30の側(-Y方向)に、第1反射面62aよりも小さい角度で傾いている。言い換えると、第2反射面62bに対応する部分の厚みd2は、-Y方向から+Y方向に向けて、第1反射面62aに対応する部分の厚みd1よりも緩やかに小さくなる。
【0096】
(2)また、上記実施形態2では、第2領域R2は、網膜RE上において第1領域R1の上側に位置していた。しかしながら、第2領域R2は、網膜RE上において第1領域R1の下側に位置していても良い。この場合、眼球EYが上側を向いているときにユーザUが第2画像A2を視認できるように、実施形態2で説明した導光部40の構成の上下を入れ替えることで同様に説明することができる。具体的には、実施形態2における第2入射方向は、眼球EYが正面を向いているときに眼球EYに対して下側から斜めに入射する方向であったが、第2入射方向が眼球EYに対して上側から斜めに入射する方向となるように、反射面62a,62bの反射角を調整すれば良い。
【0097】
図16に、第2反射面62bが第1反射面62aの上側(+Z方向)に位置する場合における導光リフレクタ60の構成を示す。第2反射面62bは、MEMSミラー30で第2範囲S2に走査されたレーザ光を上側から下側に斜めに反射できるように、眼球EYの正面方向に対してMEMSミラー30の側(-Y方向)に傾いていると共に、眼球EYの正面方向に対して下側(-Z方向)に傾いている。言い換えると、第2反射面62bに対応する部分の厚みd2は、-Y方向から+Y方向に向けて小さくなると共に、-Z方向から+Z方向に向けて小さくなる。
【0098】
また、上記実施形態では、画像投影装置1は、ユーザUの右目の眼球EYにレーザ光を入射させた。しかしながら、画像投影装置1は、ユーザUの左目の眼球EYにレーザ光を入射させても良い。この場合、
図7、
図12(a)、
図12(b)、
図15及び
図16に示した構成の左右を入れ替えることで、同様に説明することができる。
【0099】
(3)更には、第2領域R2は、第1領域R1に対して右上、右下、左上、左下等の斜めの方向に位置しても良い。この場合、眼球EYが斜めの方向を向いているときにユーザUが第2画像A2を視認できるように、実施形態1,2で説明した導光部40の構成を組み合わせることで実現することができる。
【0100】
一例として、
図17に、第2領域R2が第1領域R1の左上に位置している場合において、眼球EYが正面を向いているときに網膜RE上に投影される画像A1,A2を示す。この場合、第2入射方向は、眼球EYが正面を向いているときに眼球EYに対して右下から斜めに入射する方向となるように、反射面62a,62bの反射角が調整される。
【0101】
(4)上記実施形態では、第1画像A1が投影される第1領域R1は、眼球EYが正面を向いているときに中心窩が位置する領域であった。しかしながら、第1領域R1は、眼球EYが正面を向いているときに中心窩から外れた領域であっても良い。
【0102】
一例として、
図18に、第1領域R1と第2領域R2とが、共に中心窩から外れた領域である場合において、眼球EYが正面を向いているときに網膜RE上に投影される画像A1,A2を示す。この場合、ユーザUは、眼球EYが正面を向いているときには画像A1,A2を視認できず、眼球EYが正面以外の方向に向いているときに限って画像A1,A2を視認することができる。そのため、ユーザUは、眼球EYが正面を向いているときには画像A1,A2により視界を妨げられずに前方を見ることができ、必要に応じて眼球EYを動かすことで、画像A1,A2を見ることができる。
【0103】
(5)上記実施形態では、導光部40は、MEMSミラー30により走査されたレーザ光を異なる2つの入射方向から眼球EYに入射させて、網膜RE上の2つの領域R1,R2のそれぞれに画像A1,A2を投影した。しかしながら、画像が投影される網膜RE上の領域は2つであることに限らず、3以上であっても良い。
【0104】
例えば、
図19及び
図20に示すように、導光部40は、網膜RE上の3つの領域R1~R3に画像A1~A3を投影しても良い。
図19の例では、第1領域R1は、眼球EYが正面を向いているときに中心窩が位置する領域である。そして、第2領域R2及び第3領域R3は、それぞれ網膜RE上において第1領域R1の左側及び右側に位置する領域である。
図20の例では、第1領域R1は、眼球EYが正面を向いているときに中心窩が位置する領域である。そして、第2領域R2及び第3領域R3は、それぞれ網膜RE上において第1領域R1の上側及び下側に位置する領域である。
【0105】
或いは、
図21に示すように、導光部40は、網膜RE上の4つの領域R1~R4に画像A1~A4を投影しても良い。
図21の例では、4つの領域R1~R4は、いずれも眼球EYが正面を向いているときに中心窩から外れた領域であって、中心窩が位置する領域の周囲の4方向に位置している。
【0106】
このように網膜RE上における3以上の領域に画像を投影する場合、MEMSミラー30は、レーザモジュール20から出射したレーザ光を、3以上の範囲に走査する。そして、導光部40は、MEMSミラー30により走査されたレーザ光を、互いに異なる反射角を有する3以上の反射面により反射させることで異なる3以上の入射方向から眼球EYに入射させて、網膜RE上の3以上の領域のそれぞれに画像を投影する。
【0107】
上記実施形態では、レーザモジュール20は、画像A11,A12の各画素の画素値に対応するレーザ光を、画像A11,A12の右上から順番に出射した。そして、MEMSミラー30は、レーザモジュール20と同期して、同じ順番でレーザ光を走査した。しかしながら、レーザ光の出射及び走査の順番は、
図5に示した例に限らず、レーザモジュール20とMEMSミラー30とが正しく同期することができれば、どのような順番であっても良い。
【0108】
上記実施形態では、導光部40は、凹状の鏡面を備える反射ミラー50を備えていた。しかしながら、導光部40は、凹状の鏡面を備える反射ミラー50に限らず、レーザ光を眼球EY内で集光できるものであれば、例えば、凸レンズ、メニスカスレンズ等を用いても良い。また、導光リフレクタ60は、上述した構成に限らず、走査部により走査されたレーザ光を異なる複数の入射方向から眼球EYに入射させることが可能な構成であれば、どのような光学系を用いても良い。また、レーザ光を走査する走査部としてMEMSミラー30を例にとって説明したが、MEMSミラー30以外の光学系を用いても良い。
【0109】
本発明に係る機能を実現するための構成を予め備えた画像投影装置1として提供できることはもとより、プログラムの適用により、既存の情報処理装置等を、本発明に係る画像投影装置1として機能させることもできる。すなわち、上記実施形態で例示した画像投影装置1における画像処理部11及び投影制御部21の各機能構成を実現させるためのプログラムを、既存の情報処理装置等を制御するCPU等が実行できるように適用することで、本発明に係る画像投影装置1として機能させることができる。
【0110】
また、このようなプログラムの適用方法は任意である。プログラムを、例えば、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納して適用できる。さらに、プログラムを搬送波に重畳し、インターネットなどの通信媒体を介して適用することもできる。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)にプログラムを掲示して配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、OS(Operating System)の制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0111】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲とが含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記1)
レーザ光を出射する光源と、
前記光源から出射された前記レーザ光を走査する走査部と、
前記走査部により第1範囲に走査された前記レーザ光を第1入射方向から眼球に入射させて、網膜上の第1領域に第1画像を投影し、前記走査部により第2範囲に走査された前記レーザ光を第2入射方向から前記眼球に入射させて、前記網膜上の第2領域に第2画像を投影する導光部と、
を備えることを特徴とする画像投影装置。
(付記2)
前記導光部は、前記走査部により前記第1範囲に走査された前記レーザ光を前記第1入射方向に反射する第1反射面と、前記走査部により前記第2範囲に走査された前記レーザ光を前記第2入射方向に反射する第2反射面と、を備え、
前記第1反射面は、前記眼球に対して正面方向に位置しており、前記正面方向に対して前記走査部の側に傾いており、
前記第2反射面は、前記正面方向に対して前記第1反射面とは異なる角度で傾いている、
ことを特徴とする付記1に記載の画像投影装置。
(付記3)
前記導光部における前記第1反射面及び前記第2反射面のそれぞれに対応する部分の前記正面方向の厚みは、前記走査部の側ほど大きい、
ことを特徴とする付記2に記載の画像投影装置。
(付記4)
前記第2反射面は、前記第1反射面に対して前記走査部とは反対側に位置しており、前記正面方向に対して前記走査部の側に、前記第1反射面よりも大きい角度で傾いている、
ことを特徴とする付記2又は3に記載の画像投影装置。
(付記5)
前記第2反射面は、前記第1反射面に対して前記走査部の側に位置しており、前記正面方向に対して前記走査部の側に、前記第1反射面よりも小さい角度で傾いている、
ことを特徴とする付記2又は3に記載の画像投影装置。
(付記6)
前記第2反射面は、前記第1反射面の下側に位置しており、前記正面方向に対して前記走査部の側に、且つ、前記正面方向に対して上側に傾いている、
ことを特徴とする付記2又は3に記載の画像投影装置。
(付記7)
前記第2反射面は、前記第1反射面の上側に位置しており、前記正面方向に対して前記走査部の側に、且つ、前記正面方向に対して下側に傾いている、
ことを特徴とする付記2又は3に記載の画像投影装置。
(付記8)
前記導光部は、前記走査部により走査された前記レーザ光を反射する複数の反射部を備え、
前記複数の反射部のうちの最も後段に位置する反射部は、前記走査部により前記第1範囲に走査された前記レーザ光を第1反射角で反射する前記第1反射面と、前記走査部により前記第2範囲に走査された前記レーザ光を第2反射角で反射する前記第2反射面と、を備える、
ことを特徴とする付記1から3のいずれか1つに記載の画像投影装置。
(付記9)
前記第1画像と前記第2画像とを並べた画像を示す画像データを生成する画像処理部、を更に備え、
前記光源は、前記画像処理部により生成された前記画像データに基づく前記レーザ光を出射し、
前記走査部は、前記光源から出射された前記レーザ光のうちの、前記第1画像に対応するレーザ光を前記第1範囲に走査し、前記第2画像に対応するレーザ光を前記第2範囲に走査する、
ことを特徴とする付記1から3のいずれか1つに記載の画像投影装置。
(付記10)
レーザ光を出射する光源と、
前記光源から出射された前記レーザ光を走査する走査部と、
前記走査部により走査された前記レーザ光を異なる複数の入射方向から眼球に入射させて、網膜上の複数の領域のそれぞれに画像を投影する導光部と、
を備えることを特徴とする画像投影装置。
(付記11)
前記複数の領域のうちの第1領域は、前記眼球が正面を向いているときに前記網膜の中心窩が位置する領域であり、
前記複数の領域のうちの第2領域は、前記眼球が前記正面以外の方向を向いているときに前記中心窩が位置する領域である、
ことを特徴とする付記10に記載の画像投影装置。
(付記12)
前記第2領域は、前記網膜上において前記第1領域の左側又は右側に位置する領域である、
ことを特徴とする付記11に記載の画像投影装置。
(付記13)
前記第2領域は、前記網膜上において前記第1領域の上側又は下側に位置する領域である、
ことを特徴とする付記11に記載の画像投影装置。
(付記14)
前記複数の領域は、3以上の領域であり、
前記複数の領域のうちの第1領域は、前記眼球が正面を向いているときに前記網膜の中心窩が位置する領域であり、
前記複数の領域のうちの第2領域及び第3領域は、それぞれ前記網膜上において前記第1領域の左側及び右側に位置する領域である、
ことを特徴とする付記10に記載の画像投影装置。
(付記15)
前記複数の領域は、3以上の領域であり、
前記複数の領域のうちの第1領域は、前記眼球が正面を向いているときに前記網膜の中心窩が位置する領域であり、
前記複数の領域のうちの第2領域及び第3領域は、それぞれ前記網膜上において前記第1領域の上側及び下側に位置する領域である、
ことを特徴とする付記10に記載の画像投影装置。
(付記16)
前記導光部は、
前記走査部により走査された前記レーザ光を反射及び集光する反射ミラーと、
前記反射ミラーにより反射された前記レーザ光を前記異なる複数の入射方向から前記眼球に入射させる導光リフレクタと、を含む、
ことを特徴とする付記10から15のいずれか1つに記載の画像投影装置。
【符号の説明】
【0112】
1…画像投影装置、2…制御ユニット、3…投影ユニット、4…複合ケーブル、10…入出力インタフェース、11…画像処理部、12…メモリ、13…EPROM、18…充電回路、19…バッテリ、20…レーザモジュール、21…投影制御部、23…レーザドライバ、30…MEMSミラー、33…MEMSドライバ、35…6軸センサ、40…導光部、50…反射ミラー、60…導光リフレクタ、61,61z…反射部、62a,62b…反射面、63…入射部、64…出射部、A1,A2,A3,A4,A11,A12…画像、EY…眼球、PU…瞳孔、RE…網膜、R0,R1,R2,R3,R4…領域、S1,S2…範囲、U…ユーザ