(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082199
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】アスパラガスの栽培方法
(51)【国際特許分類】
A01G 22/10 20180101AFI20240612BHJP
【FI】
A01G22/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022207586
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】501428855
【氏名又は名称】若林 春雄
(72)【発明者】
【氏名】若林 春雄
(57)【要約】
【課題】 アスパラガスに季節の錯覚を起こさせる方法として、冬季に根の部分だけをビニールハウスへ移し、定植させる方法があるが、寒冷地でなければできない、また、多年草なため、休眠期に追肥の手入れが必要であるが手入れが行えない。
【解決手段】 本発明は、アスパラガスへの光を遮光する遮光手段と、アスパラガスの根部を冷暖房する冷暖房手段とを具備し、アスパラガスに季節の錯覚を起こさせ、アスパラガスの成長および収穫時期を遅らせ、移植することなく、また、寒冷地でなくてもアスパラガスに季節の錯覚を起こさせ、成長および収穫時期を遅らせ晩秋から初冬季にかけて収穫できるようにしようとするものである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスパラガスへの光を遮光する遮光手段と、
アスパラガスの根部を冷暖房する冷暖房手段と、
を具備し、アスパラガスに季節の錯覚を起こさせ、アスパラガスの成長および収穫時期を遅らせることを特徴とするアスパラガスの栽培方法。
【請求項2】
前記遮光手段は、シート、ビニールトンネル、水耕栽培装置またはビニールハウスの少なくとも1つからなり、アスパラガスへの自然光または人工光を遮光、
前記冷暖房手段は、アスパラガス根部近くに設置したパイプ内を冷水、温水、冷風または温風を通し、アスパラガスの根部を冷暖房、
することを特徴とする請求項1記載のアスパラガスの栽培方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスパラガスへの光を遮光する遮光手段と、アスパラガスの根部を冷暖房する冷暖房手段とを設けて、アスパラガスに季節の錯覚を起こさせ、アスパラガスの成長および収穫時期を遅らせるアスパラガス栽培方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アスパラガスは、毎年春~夏にかけて出てくる若茎を食べる野菜で、1年目、2年目は収穫をせずに株を生長させ、3年目の春に出た芽から育った若茎の収穫を始め、毎年冬には枯れた茎葉を刈り取り、気温が下がって冬に向かうと、生育が一時的に停止して休眠に入り、萌芽には冬季に休眠し、十分な低温にあう必要があり、追肥を行う必要もある。
春になって気温が上昇してくると休眠が解かれ、芽が伸び始め若茎となり、10年間ほど収穫が可能な多年草野菜。
【0003】
アスパラガスを冬季に食する場合、メキシコ、オーストラリアおよびペルーからの輸入品か缶詰となる。
【0004】
または、アスパラガスに季節の錯覚を起こさせ、冬季に収穫する方法として、露地栽培で成長したアスパラガスの茎部分を刈り取り、そして、根の部分だけをビニールハウスへ移し、定植させ、ビニールハウスの暖房システムで根を温める方法で生育させ収穫したものを食する。
(青森県農林水産部総合販売戦略課HP 青うまレポート>産地めぐり>冬に獲れるアスパラガス記載より)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする問題点は、萌芽には冬季に休眠し、十分な低温に会う必要があるため、アスパラガスを露地栽培で成長させ、アスパラガスの茎部分を刈り取り、そして、冬季に根の部分だけをビニールハウスへ移し、定植させ、ビニールハウスの暖房システムで根を温め、成長させ冬季収穫、しかし、アスパラガスが冬を経験し、ビニールハウスの暖房システムで春になったと季節の錯覚を起こさせることができるということは寒冷地でなければできないという問題点があった。
【0006】
また、アスパラガスは多年草なため、休眠期に追肥を行うなどの手入れをしなければならないが、従来の方法では、一度成長させ、根の部分だけを移植、定植、成長、収穫となり、手入れが行えないために、多年草の利点を生かしきれないという問題点もあった。
【0007】
本発明は移植することなく、アスパラガスに季節の錯覚を起こさせ、成長および収穫時期を遅らせ晩秋から初冬季にかけて収穫できるようにしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、アスパラガスへの光を遮光する遮光手段と、アスパラガスの根部を冷暖房する冷暖房手段とを具備し、アスパラガスに季節の錯覚を起こさせ、アスパラガスの成長および収穫時期を遅らせることを特徴とするアスパラガスの栽培方法に関するものである。
【0009】
また、前記遮光手段は、シート、ビニールトンネル、水耕栽培装置またはビニールハウスの少なくとも1つからなり、アスパラガスへの自然光または人工光を遮光、前記冷暖房手段は、アスパラガス根部近くに設置したパイプ内を冷水、温水、冷風または温風を通し、アスパラガスの根部を冷暖房、することを特徴とするアスパラガスの栽培方法に関するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアスパラガスの栽培方法によれば、路地栽培でアスパラガスに季節の錯覚を起こさせ、毎年春~夏にかけて出てくる若芽が成長して若茎の成長および収穫時期を遅らせ晩秋から初冬季にかけて収穫できる。
【0011】
また、シート、ビニールトンネル、水耕栽培装置またはビニールハウスの少なくとも1つからなるもので、アスパラガスへの自然光または人工光を遮光し、アスパラガス根部近くに設置したパイプ内を冷水、温水、冷風または温風を通し、アスパラガスの根部を冷暖房するアスパラガスの栽培方法のため、従来の路地栽培で、毎年春~夏にかけて出てくる若芽が成長して若茎を収穫するビニールトンネル栽培に加え、アスパラガス根部近くにパイプを設置し、パイプ内を冷水、温水、冷風または温風を通すことでアスパラガスに季節の錯覚を起こさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】 ビニールトンネルを使用した従来のアスパラガス路地栽培の一実施例を示す斜視図である。
【
図2】 本発明の一実施例(ビニールトンネル使用)のアスパラガスの栽培方法の構成を示す斜視図である。
【
図3】 本発明の一実施例(ビニールハウス使用)のアスパラガスの栽培方法の構成を示す斜視図である。
【
図4】 本発明の一実施例(水耕栽培装置使用)のアスパラガスの栽培方法の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
従来の露地栽培を、
図1を参照して説明する。複数のアーチパイプ1を連結棒2で連結し、これらをビニール3で覆ったビニールトンネル4内に畝5が作られ、地表には前々年の茎の跡6、前年の茎の跡7、そして、本年の芽8が、地中には地下茎の太い根の貯蔵根9が年々進行、そして、毎年若茎が出て、アスパラガスとして収穫される3年経過のアスパラガス栽培を示したものである。
【0014】
本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
図2に示す本発明によるアスパラガスの栽培方法は、複数のアーチパイプ1を連結棒2で連結し、これらをビニール3で覆ったビニールトンネル4内に畝5が作られ、地表には芽8が出て、地中には貯蔵根9があり、地表では畝5と芽8を遮光シート10で覆い、地中には水用パイプ11、空気用パイプ12が埋設されている。
【0015】
ビニール3を遮光シート10に替えビニールトンネル4にすることで、二重の遮光が出来、遮光効果が増すようにしてもよい、または、ビニール3を遮光シート10に替えることで、遮光シート10で畝5と芽8を直接覆わないようにしてもよい。
【0016】
芽8は遮光されている間、冬季と錯覚し、芽から茎へとの生育がとまる、そこで、初秋になった時期に遮光シート10を取り除き日光に当てると芽から茎へとの生育が始まる。
【0017】
畝5の地中に埋設された水用パイプ11に湧き水または地下水等の冷水を初秋まで通し、初秋からは水槽等に貯めて温かくした温水、または、人工的に熱した温水を通し、貯蔵根9を冷却または温めることでアスパラガスに季節の錯覚を起こさせることができる。
【0018】
畝5の地中に埋設された空気用パイプ12には、湧き水または地下水等で冷却した空気を初秋まで通し、初秋からは温かい外気または、人工的に熱した空気を通し、貯蔵根9を冷却または温めることでアスパラガスに季節の錯覚を起こさせることができる。
【0019】
図3に示す本発明によるアスパラガスの栽培方法は、ビニール13で覆ったビニールハウス14内に畝5が作られ、地表には芽8が出て、地中には貯蔵根9があり、地表では畝5と芽8を遮光シート10で覆い、地中には水用パイプ11、空気用パイプ12が埋設されている。
【0020】
ビニール13を遮光シート10に替えビニールハウス14にすることで、二重の遮光が出来、遮光効果が増すようにしてもよい、または、ビニール13を遮光シート10に替えることで、遮光シート10で畝5と芽8を直接覆わないようにしてもよい。
【0021】
芽8は遮光されている間、冬季と錯覚し、芽から茎へとの生育がとまる、そこで、初秋になった時期に遮光シート10を取り除き日光に当てると芽から茎へとの生育が始まる。
【0022】
畝5の地中に埋設された水用パイプ11に湧き水または地下水等の冷水を初秋まで通し、初秋からは水槽等に貯めて温かくした温水、または、人工的に熱した温水を通し、貯蔵根9を冷却または温めることでアスパラガスに季節の錯覚を起こさせることができ、畝5の地中に埋設された空気用パイプ12には、湧き水または地下水等で冷却した空気を初秋まで通し、初秋からは温かい外気または、人工的に熱した空気を通し、貯蔵根9を冷却または温めることでアスパラガスに季節の錯覚を起こさせる、または、初秋からビニールハウス14内を暖房することで水用パイプ11および空気用パイプ12を使用せずにアスパラガスに季節の錯覚を起こさせることもできる。
【0023】
図4に示す本発明によるアスパラガスの栽培方法は、水耕栽培装置15を用い、棚17上に芽8が出て、養液22中には貯蔵根9があり、水耕栽培装置15を覆うカバー16で芽8が遮光され、養液22中には水用パイプ11、空気用パイプ12が通されている。
【0024】
芽8は遮光されている間、冬季と錯覚し、芽から茎へとの生育がとまる、そこで、初秋になった時期にカバー16を取り除き日光に当てると芽から茎へとの生育が始まる。
【0025】
養液22中に通された水用パイプ11に湧き水または地下水等の冷水を初秋まで通し、初秋からは水槽等に貯めて温かくした温水、または、人工的に熱した温水を通し、貯蔵根9を冷却または温めることでアスパラガスに季節の錯覚を起こさせることができる、養液22中に通されたされた空気用パイプ12には、湧き水または地下水等で冷却した空気を初秋まで通し、初秋からは温かい外気または、人工的に熱した空気を通し、貯蔵根9を冷却または温めることでアスパラガスに季節の錯覚を起こさせる。
【0026】
水耕栽培装置15のタンク19内に溜まる養液22を冷却、または加熱することで、水用パイプ11および空気用パイプ12を使用せずにアスパラガスに季節の錯覚を起こさせることもできる。
【符号の説明】
【0027】
アーチパイプ1、連結棒2、ビニール3、ビニールトンネル4、畝5、前々年の茎の跡6、前年の茎の跡7、芽8、貯蔵根9、遮光シート10、水用パイプ11、空気用パイプ12、ビニール13、ビニールハウス14、水耕栽培装置15、カバー16、棚17、ポンプ18、タンク19、養液注入口20、養液排出口21、養液22