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特開2024-822313次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法、3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する装置、及びこれをコンピュータで実行させるためのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082231
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法、3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する装置、及びこれをコンピュータで実行させるためのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
   A61C 13/00 20060101AFI20240612BHJP
【FI】
A61C13/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023165236
(22)【出願日】2023-09-27
(31)【優先権主張番号】10-2022-0169727
(32)【優先日】2022-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】PCT/KR2022/021351
(32)【優先日】2022-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】WO
(71)【出願人】
【識別番号】523055651
【氏名又は名称】イマゴワークス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】IMAGOWORKS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】キム ウンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム ハンナ
(72)【発明者】
【氏名】チェ ジンヒョク
(72)【発明者】
【氏名】カム ドン ウク
(72)【発明者】
【氏名】イ テソク
(72)【発明者】
【氏名】シン ボンジュ
(57)【要約】
【課題】補綴物の中間面生成、補綴物の内面生成、補綴物の外面生成、及び補綴物の中間面と補綴物の外面を連結するステップにより、3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法を提供する。
【解決手段】3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法は、3次元スキャンデータ内の調製済み歯のマージンラインから歯牙の外部に向かって延在する補綴物の中間面を生成するステップと、前記調製済み歯の表面から間隔を設定して、前記補綴物の内面を生成するステップと、前記補綴物の外面を生成するステップと、前記補綴物の外面及び前記補綴物の中間面を連結するステップとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元スキャンデータ内の調製済み歯のマージンラインから歯牙の外部に向かって延在する補綴物の中間面を生成するステップと、
前記調製済み歯の表面から間隔を設定して、前記補綴物の内面を生成するステップと、
前記補綴物の外面を生成するステップと、
前記補綴物の外面及び前記補綴物の中間面を連結するステップと、
を含むことを特徴とする3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法。
【請求項2】
前記中間面は、所定の前記中間面の幅及び前記マージンラインから延在する中間面方向ベクトルにより決められることを特徴とする請求項1に記載の3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法。
【請求項3】
前記中間面は、前記マージンライン、前記補綴物の挿入方向、前記中間面の幅、及び角度条件を基に決められることを特徴とする、
請求項2に記載の3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法。
【請求項4】
前記中間面方向ベクトルは、第2の方向ベクトルを中心に、第1の方向ベクトルを前記角度条件により回転させて決められ、
前記第2の方向ベクトルは、前記挿入方向を現わす挿入方向ベクトルと、前記第1の方向ベクトルの外積であることを特徴とする、
請求項3に記載の3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法。
【請求項5】
前記マージンライン内のマージンラインポイントの前記第1の方向ベクトルは、前記マージンラインポイントを含む前記3次元スキャンデータのメッシュの法線ベクトルであることを特徴とする、
請求項4に記載の3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法。
【請求項6】
前記マージンラインが互いに隣接したk-1マージンラインポイント、kマージンラインポイント、及びk+1マージンラインポイントを含み、
前記k-1マージンラインポイントがPk-1であり、前記k+1マージンラインポイントがPk+1であり、前記kマージンラインポイントの前記第1の方向ベクトルがV1であり、前記挿入方向ベクトルがIであるとき、V=Pk+1-Pk-1、V1=I×Vを満たすことを特徴とする、
請求項4に記載の3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法。
【請求項7】
前記補綴物の中間面を生成するステップは、更に、前記マージンライン内のマージンラインポイントにおいて、rotation minimizing frames方法で、スレーブベクトル、接線ベクトル、及びリファレンスベクトルを取得するステップを含み、
前記マージンラインポイントの前記第1の方向ベクトルは、前記マージンラインポイントの前記リファレンスベクトルと決められることを特徴とする、
請求項4に記載の3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法。
【請求項8】
前記挿入方向がIであり、前記調製済み歯の調製済みメッシュデータの面の数がNであり、前記調製済みメッシュデータの面のノーマルベクトルが

であり、xoptは、前記調製済みメッシュデータの点のノーマルベクトルが隠されない方向であり、Tは、行列の行と列を交換する入れ替え関数であるとき、

を満たすことを特徴とする、
請求項3に記載の3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法。
【請求項9】
前記補綴物の内面を生成するステップは、
前記調製済み歯の表面との間隔を設定しない無セメントギャップを決めるステップと、
前記調製済み歯の表面との第1の間隔を設定するセメントギャップを決めるステップと、
前記セメントギャップから更なる間隔を設定する付加セメントギャップを決めるステップと、を含むことを特徴とする、
請求項1に記載の3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法。
【請求項10】
前記無セメントギャップ及び前記セメントギャップは、前記マージンラインがなす平面からの測地的距離を基に決められることを特徴とする、
請求項9に記載の3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法。
【請求項11】
前記付加セメントギャップは、前記マージンラインがなす平面からの測地的距離、及び前記調製済み歯の曲率値を基に決められることを特徴とする、
請求項9に記載の3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法。
【請求項12】
前記曲率値が大きいほど、前記付加セメントギャップが大きく決められることを特徴とする、
請求項11に記載の3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法。
【請求項13】
前記補綴物の内面を生成するステップは、更に、
前記調製済み歯に対応する調製済みメッシュデータから、前記マージンラインがなす平面からの距離が負数である部分を除去するステップを含むことを特徴とする、
請求項9に記載の3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法。
【請求項14】
前記補綴物の内面を生成するステップは、更に、
前記補綴物の挿入方向と平行な直線を前記調製済み歯に会うように描いたとき、前記平行な直線のうち、最外郭にある2つの直線よりも内側に存在する領域のうち、前記調製済み歯が存在しない部分を、前記調製済み歯が存在する部分に変換するステップを含むことを特徴とする、
請求項9に記載の3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法。
【請求項15】
前記補綴物の外面を生成するステップは、
前記調製済み歯に対応する歯牙ライブラリモデルを、前記調製済み歯の位置に配置するステップと、
前記歯牙ライブラリモデルを、前記調製済み歯の調製済み前の状態を表わすオペ前(pre op)データに変形するステップと、を含むことを特徴とする、
請求項1に記載の3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法。
【請求項16】
前記補綴物の外面を生成するステップは、
前記調製済み歯に対応する歯牙ライブラリモデルを、前記調製済み歯の位置に配置するステップと、
前記歯牙ライブラリモデルを、人工知能神経網により得た補綴物外面データに変形するステップとを含むことを特徴とする、
請求項1に記載の3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法。
【請求項17】
更に、前記内面から前記外面までの距離が、前記内面からの最小厚さ値よりも小さい場合、前記内面から前記外面までの距離が、前記内面から前記最小厚さ値を有するように、前記外面を修正するステップを含むことを特徴とする、
請求項1に記載の3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法。
【請求項18】
更に、前記調製済み歯の隣接歯との第1の距離、及び前記調製済み歯の対合歯との第2の距離を用いて、前記外面を修正するステップを含むことを特徴とする、
請求項1に記載の3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法。
【請求項19】
前記補綴物の外面及び前記補綴物の中間面を連結するステップは、
前記中間面に一致しない前記外面の下部の座標を、前記中間面の座標に移動することを特徴とする、
請求項1に記載の3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法。
【請求項20】
3次元スキャンデータから調製済み歯の歯式を、第1の人工知能神経網を用いて判断するステップと、
前記調製済み歯のマージンラインを、第2の人工知能神経網を用いて判断するステップと、
前記調製済み歯の前記マージンラインから歯牙の外部に向かって延在する補綴物の中間面を生成するステップと、
前記調製済み歯の表面から間隔を設定して、前記補綴物の内面を生成するステップと、
第3の人工知能神経網を用いて、前記補綴物の外面を生成するステップと、
前記補綴物の外面及び前記補綴物の中間面を連結するステップと、
を含むことを特徴とする3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法。
【請求項21】
3次元スキャンデータ内の調製済み歯のマージンラインから歯牙の外部に向かって延在する補綴物の中間面を生成し、
前記調製済み歯の表面から間隔を設定して、前記補綴物の内面を生成し、
前記補綴物の外面を生成し、
前記補綴物の外面及び前記補綴物の中間面を連結することを特徴とする、
3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する装置。
【請求項22】
請求項1乃至20のいずれか一項の方法を、コンピュータで実行させるためのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法、3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する装置、及びこれをコンピュータで実行させるためのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関し、より詳しくは、補綴物の中間面生成、前記補綴物の内面生成、前記補綴物の外面生成、及び前記補綴物の前記中間面と前記補綴物の前記外面を連結するステップにより、3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法、3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する装置、及びこれをコンピュータで実行させるためのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元口腔スキャンデータとは、歯牙及び口腔又はそれを倣うか又は再構成した対象を、3次元スキャナでスキャンしたデータをいう。インレー(inlay)、オンレー(onlay)、クラウン(crown)などの補綴治療、インプラント(implant)、矯正などの歯科治療は、患者の口腔データを取得して、補綴物又はインプラントデザイン、矯正器製作などに用いられる。
【0003】
従来は、アルジネート(alginate)などを用いて、口腔を直接模した後、手作業で補綴物を製作する方式が主に利用されている。解剖学的に正しい補綴物を作るため、歯科医又は歯科技工士は、周辺歯の摩耗程度を把握し、歯牙の番号と対合歯の噛合情報を複合的に理解した後、結果物を生成する。従来の補綴物生成方法は、このような情報を考えて、一般の歯牙形状を基に、人が手作業で各患者の口腔状態に合わせて修正することができる。
【0004】
また、従来は、補綴物の生成過程が手作業で行われるので、歯科医又は歯科技工士の作業疲労度が増加し、結果物の正確度及び生産性が減少するという問題がある。また、作業者の熟練度によって、補綴物の品質と所要時間の偏差が大きいという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、補綴物の中間面生成、前記補綴物の内面生成、前記補綴物の外面生成、及び前記補綴物の前記中間面と前記補綴物の前記外面を連結するステップにより、3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する装置を提供することである。
【0007】
本発明の更に他の目的は、前記3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法を、コンピュータで実行させるためのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した本発明の目的を実現するための一実施形態に係る3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法は、3次元スキャンデータ内の調製済み(PREP)歯のマージンラインから歯牙の外部に向かって延在する補綴物の中間面を生成するステップと、前記調製済み歯の表面から間隔を設定して、前記補綴物の内面を生成するステップと、前記補綴物の外面を生成するステップと、前記補綴物の外面及び前記補綴物の中間面を連結するステップとを含むことを特徴とする。
【0009】
前記中間面は、所定の前記中間面の幅及び前記マージンラインから延在する中間面方向ベクトルにより決められる。
【0010】
前記中間面は、前記マージンライン、前記補綴物の挿入方向、前記中間面の幅、及び角度条件を基に決められる。
【0011】
前記中間面方向ベクトルは、第2の方向ベクトルを中心に、第1の方向ベクトルを前記角度条件により回転して決められる。前記第2の方向ベクトルは、前記挿入方向を現わす挿入方向ベクトルと、前記第1の方向ベクトルの外積である。
【0012】
前記マージンライン内のマージンラインポイントの前記第1の方向ベクトルは、前記マージンラインポイントを含む前記3次元スキャンデータのメッシュの法線ベクトルである。
【0013】
前記マージンラインが互いに隣接したk-1マージンラインポイント、kマージンラインポイント、及びk+1マージンラインポイントを含む。前記k-1マージンラインポイントがPk-1であり、前記k+1マージンラインポイントがPk+1であり、前記kマージンラインポイントの前記第1の方向ベクトルがV1であり、前記挿入方向ベクトルがIであるとき、V=Pk+1-Pk-1、V1=I×Vを満たす。
【0014】
前記補綴物の中間面を生成するステップは、更に、前記マージンライン内のマージンラインポイントにおいて、rotation minimizing frames方法で、スレーブ(slave)ベクトル、接線(tangent)ベクトル、及びリファレンス(reference)ベクトルを取得するステップを含む。前記マージンラインポイントの前記第1の方向ベクトルは、前記マージンラインポイントの前記リファレンスベクトルと決められる。
【0015】
前記挿入方向がIであり、前記調製済み歯の調製済みメッシュデータの面の数がNであり、前記調製済みメッシュデータの面のノーマルベクトルが

であり、xoptは、前記調製済みメッシュデータの点のノーマルベクトルが隠されない方向であり、Tは、行列の行と列を交換する入れ替え関数であるとき、

を満たす。
【0016】
前記補綴物の内面を生成するステップは、前記調製済み歯の表面との間隔を設定しない無セメントギャップ(no cement gap)を決めるステップと、前記調製済み歯の表面との第1の間隔を設定するセメントギャップ(cement gap)を決めるステップと、前記セメントギャップから更なる間隔を設定する付加セメントギャップ(additional cement gap)を決めるステップとを含む。
【0017】
前記無セメントギャップ及び前記セメントギャップは、前記マージンラインがなす平面からの測地的距離(geodesic distance)を基に決められる。
【0018】
前記付加セメントギャップは、前記マージンラインがなす平面からの測地的距離、及び前記調製済み歯の曲率値を基に決められる。
【0019】
前記曲率値が大きいほど、前記付加セメントギャップが大きく決められる。
【0020】
前記補綴物の内面を生成するステップは、更に、前記調製済み歯に対応する調製済みメッシュデータから、前記マージンラインがなす平面からの距離が負数である部分を除去するステップを含む。
【0021】
前記補綴物の内面を生成するステップは、更に、前記補綴物の挿入方向と平行な直線を前記調製済み歯と会うように描いた時、前記平行な直線のうち、最外郭にある2つの直線よりも内側に存在する領域のうち、前記調製済み歯が存在しない部分を、前記調製済み歯が存在する部分に変換するステップを含む。
【0022】
前記補綴物の外面を生成するステップは、前記調製済み歯に対応する歯牙ライブラリモデルを、前記調製済み歯の位置に配置するステップと、前記歯牙ライブラリモデルを、前記調製済み歯の調製済み前の状態を表わすオペ前(pre op)データに変形するステップとを含む。
【0023】
前記補綴物の外面を生成するステップは、前記調製済み歯に対応する歯牙ライブラリモデルを、前記調製済み歯の位置に配置するステップと、前記歯牙ライブラリモデルを、人工知能神経網により得た補綴物外面データに変形するステップとを含む。
【0024】
更に、前記内面から前記外面までの距離が、前記内面からの最小厚さ値よりも小さい場合、前記内面から前記外面までの距離が、前記内面から前記最小厚さ値を有するように、前記外面を修正するステップを含む。
【0025】
更に、前記調製済み歯の隣接歯との第1の距離、及び前記調製済み歯の対合歯との第2の距離を用いて、前記外面を修正するステップを含む。
【0026】
前記補綴物の外面及び前記補綴物の中間面を連結するステップは、前記中間面に一致しない前記外面の下部の座標を、前記中間面の座標に移動する。
【0027】
前述した本発明の目的を実現するための一実施形態に係る3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法は、3次元スキャンデータから調製済み歯の歯式を、第1の人工知能神経網を用いて判断するステップと、前記調製済み歯のマージンラインを、第2の人工知能神経網を用いて判断するステップと、前記調製済み歯の前記マージンラインから歯牙の外部に向かって延在する補綴物の中間面を生成するステップと、前記調製済み歯の表面から間隔を設定して、前記補綴物の内面を生成するステップと、第3の人工知能神経網を用いて、前記補綴物の外面を生成するステップと、前記補綴物の外面及び前記補綴物の中間面を連結するステップとを含むことを特徴とする。
【0028】
前述した本発明の目的を実現するための一実施形態に係る3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する装置は、3次元スキャンデータ内の調製済み歯のマージンラインから歯牙の外部に向かって延在する補綴物の中間面を生成し、前記調製済み歯の表面から間隔を設定して、前記補綴物の内面を生成し、前記補綴物の外面を生成し、前記補綴物の外面及び前記補綴物の中間面を連結することを特徴とする。
【0029】
本発明の一実施形態において、前記3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法を、コンピュータで実行させるためのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録される。
【発明の効果】
【0030】
本発明による3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法及び装置によると、補綴物の中間面生成、前記補綴物の内面生成、前記補綴物の外面生成、及び前記補綴物の前記中間面と前記補綴物の前記外面を連結するステップにより、補綴物を自動で生成することができる。
【0031】
従来のデンタルCADソフトウェアでは、使用者の熟練度により、前記補綴物の生成にかかる時間及び前記補綴物のクオリティに差が大きく生じる。手動で対合歯、隣接歯などを考えて、補綴物を生成する方式では、使用者の熟練度により、結果物の差が大きく生じることになる。本発明では、前記3次元スキャンデータ及び使用者パラメータを入力すると、前記3次元スキャンデータから補綴物が自動で生成されて、補綴物生成に上手でない使用者でも、高いクオリティの補綴物を早い時間内に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法を示すフローチャートである。
図2図2は、補綴物の外面及び補綴物の中間面を示す図である。
図3図3は、調製済み歯、及び前記調製済み歯に対応する補綴物の中間面を示す図である。
図4図4は、図1の中間面生成ステップで用いられる中間面方向ベクトルを示す図である。
図5図5は、図1の中間面生成ステップで用いられる第1の方向ベクトルを生成する一例を示す図である。
図6図6は、図1の中間面生成ステップで用いられる第1の方向ベクトルを生成する一例を示す図である。
図7図7は、図1の中間面生成ステップで用いられる第1の方向ベクトルを生成する一例を示す図である。
図8図8は、図1の内面生成ステップを示すフローチャートである。
図9図9は、図8のアンダーカット(undercut)領域除去ステップを示す図である。
図10図10は、図8の無メントギャップ(no cement gap)、セメントギャップ(cement gap)、及び付加セメントギャップ(additional cement gap)を生成するステップで用いられる測地的距離(geodesic distance)を示す図である。
図11図11は、図8の無セメントギャップ、セメントギャップ、及び付加セメントギャップを示す図である。
図12図12は、図1の外面生成ステップを示すフローチャートである。
図13図13は、図1の中間面及び外面連結ステップを示す図である。
図14図14は、図1の最小厚さ調節ステップで用いられる最小厚さを示す図である。
図15図15は、図1の最小厚さ調節ステップを示す図である。
図16図16は、図1の最小厚さ調節ステップを示す図である。
図17図17は、図1のコンタクト領域修正ステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本文に示されている本発明の実施形態に対して、特定の構造的乃至機能的説明は、単に、本発明の実施形態を説明するための目的として例示しており、本発明の実施形態例は、様々な形態で実施することができ、本文で説明された実施形態に限定されることと解析されてはいけない。
【0034】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができ、特定の実施形態を図面に例示し、本文で詳細に説明しようとする。しかし、これは、本発明を特定の開示形態について限定しようとすることではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むことと理解されなければいけない。
【0035】
第1、第2のなどの用語は、様々な構成要素を説明することに用いられるが、前記構成要素は、前記用語により限定されてはいけない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的として使われる。例えば、本発明の権利範囲から逸脱しない状態で、第1の構成要素は、第2の構成要素と指し示すことができ、同様に、第2の構成要素も第1の構成要素と指し示すことができる。
【0036】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるか、「接続されて」いるとしたときは、その他の構成要素に直接的に連結又は接続されていることもできるが、中間に他の構成要素が存在することもできると理解すべきである。一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるか、「直接接続されて」いるとしたときは、中間に他の構成要素が存在しないことと理解すべきである。構成要素間の関係を説明する他の表現、すなわち、「~間に」と「直ぐ~間に」、又は「~に隣接する」と「~に直接隣接する」なども同様に解析されるべきである。
【0037】
本出願で使用した用語は、単に、特定の実施形態を説明するために使われており、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上、明白に異なることを意味しない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、パーツ、又はこれらを組み合わせるものが存在することを指定しようとすることであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、パーツ、又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除しないことと理解すべきである。
【0038】
異なって定義しない限り、技術的や科学的な用語を含めて、ここで使われる全ての用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者にとって、一般に理解されることと同様な意味を有している。一般に使われる辞典に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解析されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解析されない。
【0039】
一方、ある実施形態が異なって具現可能な場合に、特定のブロック内に明記された機能又は動作がフローチャートに明記した手順と異なって起きることもできる。例えば、連続する2つのブロックが、実際には実質的に同時に行われることもでき、関連する機能又は動作によっては、前記ブロックが逆に行われることもできる。
【0040】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好適な実施形態をより詳細に説明する。図面上の同一の構成要素に対しては、同一の符号を付し、同一の構成要素に対して重複した説明は、省略する。
【0041】
図1は、本発明の一実施形態に係る3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法を示すフローチャートである。
【0042】
図1に示しているように、本発明の一実施形態に係る3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法は、3次元スキャンデータ内の調製済み歯のマージンラインから、歯牙の外部に向かって延在する補綴物の中間面を生成するステップ(S200)と、前記調製済み歯の表面から間隔を設定して、前記補綴物の内面を生成するステップ(S300)と、前記補綴物の外面を生成するステップ(S400)と、前記補綴物の外面及び前記補綴物の中間面を連結するステップ(S500)とを含む。
【0043】
本発明の一実施形態に係る3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する装置は、3次元スキャンデータ内の調製済み歯のマージンラインから歯牙の外部に向かって延在する補綴物の中間面を生成し、前記調製済み歯の表面から間隔を設定して、前記補綴物の内面を生成し、前記補綴物の外面を生成し、前記補綴物の外面及び前記補綴物の中間面を連結する。
【0044】
前記3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法は、前記3次元スキャンデータ及び使用者パラメータを入力されるステップ(ステップS100)を更に含む。
【0045】
前記3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法は、前記内面から前記外面までの距離が、前記内面からの最小厚さ値よりも小さい場合、前記内面から前記外面までの距離が、前記内面から前記最小厚さ値を有するように、前記外面を修正するステップを更に含む(ステップS600)。
【0046】
前記3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法は、前記調製済み歯の隣接歯との第1の距離、及び前記調製済み歯の対合歯との第2の距離を用いて、前記外面を修正するステップを更に含む(ステップS600)。
【0047】
ここで、前記3次元スキャンデータとは、歯牙及び口腔又はそれに倣うか再構成した対象を、3次元スキャナでスキャンしたデータをいう。例えば、前記3次元スキャンデータは、3次元点(vertex)と、前記点を連結して生成された三角形面(Triangle)又は四角形面(Rectangle)を含むメッシュ(Mesh)データである。前記3次元スキャンデータのファイル拡張子には制限がなく、例えば、ply、obj、stlのいずれか1つである。
【0048】
ここで、前記調製済み歯は、クラウンのために用意された歯牙を意味し、前記調製済み歯は、歯牙の一部を削った歯牙を意味する。具体的に、シングルクラウンを生成するために、全体的な自然歯を削り出して、補綴物を被せやすいように作る過程が必要であり、この過程を経た自然歯を、前記調製済み歯と称する。また、前記マージンラインとは、前記調製済み歯の縁部を意味する。前記マージンラインは、前記調製済み歯と歯茎の境界部を示す。
【0049】
前記3次元スキャンデータの場合、前処理が必要である。例えば、上顎スキャンデータと下顎スキャンデータが整合する。また、上顎スキャンデータ、下顎スキャンデータ、及びバイトスキャンデータが整合する。
【0050】
例えば、前記調製済み歯の調製済み前の状態を含むオペ前(pre op)スキャンデータが存在する場合、前記オペ前スキャンデータも、前記調製済み歯が存在するスキャンデータに整合される。
【0051】
前記3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成するためには、複数の基礎データが必要である。前記基礎データは、対象歯牙の歯式、前記対象歯牙のマージンライン、前記補綴物の挿入方向、前記対象歯牙の隣接歯情報、噛合面情報、対合歯情報などを含む。前記基礎データは、前記3次元スキャンデータから、人工知能により自動で判断される。これとは異なり、前記基礎データは、プログラム内で判断可能である。前記人工知能又はプログラム内で判断された前記基礎データは、前記使用者により修正可能である。
【0052】
前記調製済み歯に補綴物モデルが挿入される方向である前記補綴物の前記挿入方向は、前記調製済み歯の調製済みメッシュデータの面のノーマルベクトルを用いて決められる。
【0053】
例えば、前記挿入方向がIであり、前記調製済みメッシュデータの面の数がNであり、前記ノーマルベクトルが

であり、xoptは、前記調製済みメッシュデータの点のノーマルベクトルが隠されない方向であり、Tは、行列の行と列を交換する入れ替え関数であるとき、

を満たす。
【0054】
方向xにおいて、ノーマルベクトルnが隠されないということを式で表すと、xn>0であり、xとnの間の角度が鋭角という意味である。xとnの間の角度が鋭角であると、xn>0であり、xとnの間の角度が直角であると、xn=0であり、xとnの間の角度が鈍角であると、xn<0になる。そのため、xoptは、各調製済みメッシュデータの面におけるノーマルベクトルとの角の平均値が最も低い方向という。
【0055】
本発明の一実施形態に係る3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法は、3次元スキャンデータから、調製済み歯の歯式を、第1の人工知能神経網を用いて判断するステップと、前記調製済み歯のマージンラインを、第2の人工知能神経網を用いて判断するステップと、前記調製済み歯の前記マージンラインから歯牙の外部に向かって延在する補綴物の中間面を生成するステップと、前記調製済み歯の表面から間隔を設定して、前記補綴物の内面を生成するステップと、第3の人工知能神経網を用いて、前記補綴物の外面を生成するステップと、前記補綴物の外面及び前記補綴物の中間面を連結するステップとを含む。本実施形態では、前記調製済み歯の歯式が、前記第1の人工知能神経網を用いて自動で判断され、前記調製済み歯のマージンラインが、前記第2の人工知能神経網を用いて自動で判断され、前記補綴物の外面が、前記第3の人工知能神経網を用いて自動で生成される。
【0056】
本発明の3次元スキャンデータから補綴物を自動生成する方法は、コンピューティング装置により行われる。
【0057】
図2は、補綴物の外面及び補綴物の中間面を示す図である。図3は、調製済み歯、及び前記調製済み歯に対応する補綴物の中間面を示す図である。
【0058】
図1乃至図3を参照すると、前記中間面(intermediate surface)は、前記3次元スキャンデータ内の調製済み歯のマージンラインから、歯牙の外部に向かって延在する部分を意味する。前記中間面は、前記外面(outer surface)と前記内面を連結する面を意味し、前記補綴物の面のうち、患者の歯茎と最も近い箇所である。
【0059】
例えば、前記中間面は、所定の前記中間面の幅、及び前記マージンラインから延在する中間面方向ベクトルにより決められる。前記中間面は、前記マージンライン、前記補綴物の挿入方向、前記中間面の幅、及び角度条件を基に決められる。
【0060】
ここで、前記中間面の幅は、使用者が適切に調節可能な使用者パラメータである。また、前記角度条件も、前記使用者パラメータである。これとは異なり、前記中間面の幅及び前記角度条件は、所定の値である。
【0061】
例えば、前記角度条件は、前記補綴物の前記中間面が患者の歯茎を突かないように、前記補綴物の中間面を延在する角度を現わす。
【0062】
図4は、図1の中間面生成ステップで用いられる中間面方向ベクトルを示す図である。
【0063】
図1乃至図4を参照すると、前記中間面方向ベクトルは、第2の方向ベクトル(V2)を中心に、第1の方向ベクトル(V1)を、前記角度条件(図4のBottom angle)により回転させて、決められる。
【0064】
前記第2の方向ベクトル(V2)は、前記挿入方向を表す挿入方向ベクトル(I)と、前記第1の方向ベクトル(V1)の外積である。

ここで、前記第1の方向ベクトル(V1)は、前記マージンラインがなす平面と略平行なベクトルを意味し、様々な方法により得られる。
【0065】
図5は、図1の中間面生成ステップで用いられる第1の方向ベクトルを生成する一例を示す図である。
【0066】
図1乃至図5を参照すると、前記マージンライン内のマージンラインポイントの前記第1の方向ベクトルは、前記マージンラインポイントを含む前記3次元スキャンデータのメッシュ(Prep mesh)の法線ベクトルである。
【0067】
図6は、図1の中間面生成ステップで用いられる第1の方向ベクトルを生成する一例を示す図である。
【0068】
図1乃至図4及び図6を参照すると、前記マージンラインが互いに隣接したk-1マージンラインポイント(Pk-1)と、kマージンラインポイント(Pk)と、k+1マージンラインポイント(Pk+1)とを含む。前記k-1マージンラインポイントがPk-1であり、前記k+1マージンラインポイントがPk+1であり、前記kマージンラインポイント(Pk)の前記第1の方向ベクトルがV1であり、前記挿入方向ベクトルが1であるとき、V=Pk+1-Pk-1、V1=I×Vを満たす。
【0069】
図7は、図1の中間面生成ステップで用いられる第1の方向ベクトルを生成する一例を示す図である。
【0070】
図1乃至図4及び図7を参照すると、前記補綴物の中間面を生成するステップ(S200)は、前記マージンライン内のマージンラインポイントで、rotation minimizing frames方法で、スレーブ(slave)ベクトル(s)、接線(tangent)ベクトル(t)、及びリファレンス(reference)ベクトル(r)を取得するステップを更に含む。前記マージンラインポイントの前記第1の方向ベクトルは、前記マージンラインポイントの前記リファレンスベクトルと決められる。
【0071】
前記マージンラインが互いに隣接したk-1マージンラインポイント(Pk-1)と、kマージンラインポイント(Pk)と、k+1マージンラインポイント(Pk+1)とを含む。前記k-1マージンラインポイント(Pk-1)の前記第1の方向ベクトルは、図7のrk-1である。前記kマージンラインポイント(Pk)の前記第1の方向ベクトルは、図7のrである。前記k+1マージンラインポイント(Pk+1)の前記第1の方向ベクトルは、図7のrk+1である。
【0072】
図8は、図1の内面生成ステップを示すフローチャートである。図9は、図8のアンダーカット(undercut)領域除去ステップを示す図である。図10は、図8における無セメントギャップ(no cement gap)、セメントギャップ(cement gap)、及び付加セメントギャップ(additional cement gap)を生成するステップで用いられる測地的距離を示す図である。図11は、図8における無セメントギャップ、セメントギャップ、及び付加セメントギャップを示す図である。
【0073】
図1乃至図11を参照すると、前記補綴物の内面を生成するステップは、前記マージンラインを基に、調製済み領域を生成するステップ(S310)と、アンダーカット領域を除去するステップ(S320)と、無セメントギャップ、セメントギャップ、及び付加セメントギャップを判断するステップ(S330)と、調製済み領域の表面に、無セメントギャップ、セメントギャップ、及び付加セメントギャップを適用して、前記補綴物の内面を生成するステップ(S340)とを含む。
【0074】
例えば、前記マージンラインを基に、前記調製済み領域を生成するステップ(S310)では、前記調製済み歯に対応する調製済みメッシュデータから、前記マージンラインがなす平面からの距離が負数である部分を除去することができる。
【0075】
例えば、前記アンダーカット領域を除去するステップ(S320)では、前記補綴物の挿入方向と平行な直線を、前記調製済み歯に会うように描いたとき、前記平行な直線のうち、最外郭にある2つの直線よりも内側に存在する領域のうち、前記調製済み歯が存在しない部分を、前記調製済み歯が存在する部分に変換することができる。
【0076】
図9の上図において、アンダーカット領域と示した部分が、前記平行な直線のうち、最外郭にある2つの直線よりも内側に存在する領域のうち、前記調製済み歯が存在しない部分であり、この部分を、図9の下図のように、前記調製済み歯が存在する部分に変換することができる。
前記無セメントギャップは、前記調製済み歯の表面との間隔を有さない領域を意味する。図11に示しているように、無セメントギャップ高さ(No cement gap height)に該当する領域は、前記内面が無セメントギャップを有する。前記無セメントギャップにより、前記セメントギャップ及び前記付加セメントギャップに満たされた接着剤が外に流出しなくなる。
【0077】
前記セメントギャップは、前記調製済み歯の表面と第1の間隔を有する領域を意味する。前記セメントギャップには、接着剤が満たされて、前記調製済み歯と前記補綴物が接着される。
【0078】
前記無セメントギャップ及び前記セメントギャップは、前記マージンラインがなす平面からの測地的距離を基に決められる。前記マージンラインがなす平面からの測地的距離は、図10に示している。
【0079】
例えば、前記調製済み領域のうち、前記測地的距離がしきい値距離よりも小さい領域は、前記無セメントギャップと決められる。前記調製済み領域のうち、前記測地的距離がしきい値距離よりも大きい又は同一の領域は、前記セメントギャップと決められる。
【0080】
前記付加セメントギャップは、セメントギャップから更なる間隔を有する領域を意味する。前記付加セメントギャップには、接着剤が満たされて、前記調製済み歯と前記補綴物が接着される。前記付加セメントギャップは、前記セメントギャップだけでは、前記調製済み歯と前記補綴物が十分接着されないと判断される部分に設定される。
【0081】
例えば、前記付加セメントギャップは、前記マージンラインがなす平面からの測地的距離、及び前記調製済み歯の曲率値を基に決められる。
【0082】
前記曲率値が大きいほど、前記付加セメントギャップが大きく決められる。前記曲率値が大きい箇所は、相対的に前記接着剤が流下する可能性が高い領域である。そこで、付加セメントギャップを更に設定して、前記調製済み歯と前記補綴物の接着性を高めることができる。
【0083】
例えば、前記調製済み領域のうち、前記測地的距離がしきい値距離よりも大きい又は同一であり、且つ、前記調製済み歯の曲率値がしきい値曲率値よりも大きい又は同一の領域は、前記付加セメントギャップと決められる。
【0084】
図11のbottomは、前記中間面の幅を意味し、bottom angleは、前記角度条件によって決められた前記中間面方向ベクトルを意味する。
【0085】
図12は、図1における外面生成ステップを示すフローチャートである。
【0086】
図1乃至図12を参照すると、例えば、前記補綴物の外面を生成するステップは、前記調製済み歯に対応する歯牙ライブラリモデルを、前記調製済み歯の位置に配置するステップ(ステップS410)と、前記歯牙ライブラリモデルを、前記調製済み歯の調製済み前の状態を表わすオペ前(pre op)データに変形するステップ(ステップS420)とを含む。
【0087】
これとは異なり、前記補綴物の外面を生成するステップは、前記調製済み歯に対応する歯牙ライブラリモデルを、前記調製済み歯の位置に配置するステップ(ステップS410)と、前記歯牙ライブラリモデルを人工知能神経網により得た補綴物外面データに変形するステップ(ステップS420)とを含むこともできる。
【0088】
前記歯牙ライブラリモデルは、補綴物、インプラント、矯正器などを製造するために用いられる一種のサンプル歯牙(標準歯牙)であり、典型的な歯牙形状を有する。前記歯牙ライブラリモデルは、各歯牙番号別に1つのサンプル歯牙(標準歯牙)を有する。前記3次元口腔スキャンデータは、スキャナにより撮影されたもので、メッシュの完成度が多少低く、前記メッシュの完成度が低いと、3Dプリンティングで、補綴物、インプラント、矯正器などを製造することに適していない。これとは逆に、前記3次元歯牙ライブラリモデルは、メッシュの完成度が高い歯牙モデルである。そこで、前記3次元歯牙ライブラリモデルを変形して、補綴物、インプラント、矯正器などを製造する場合、3Dプリンティング方式を用いることに非常に適している。そこで、前記3次元歯牙ライブラリモデルを、患者の前記口腔スキャンデータに整列する場合、デジタル方式で、補綴物、インプラント、矯正器などを製造することに適切な中間モデルとなり得る。
【0089】
前記歯牙ライブラリモデルを、前記調製済み歯の位置に配置するステップでは、ランドマークを用いることができる。前記3次元スキャンデータのランドマーク、及び前記歯牙ライブラリモデルのランドマークを抽出し、前記3次元スキャンデータのランドマーク、及び前記歯牙ライブラリモデルのランドマークが一致するように、前記歯牙ライブラリモデルを、前記3次元スキャンデータ上に配置することができる。
【0090】
図13は、図1の中間面及び外面連結ステップを示す図である。
【0091】
図1乃至図13を参照すると、前記補綴物の外面及び前記補綴物の中間面を連結するステップは、前記中間面に一致しない前記外面の下部の座標を、前記中間面の座標に移動する。
【0092】
例えば、前記対象歯牙位置に生成された前記補綴物の外面モデル(変形したライブラリモデル)と、前記中間面の最外郭ラインの対(pair)を探して、前記外面モデルが、前記中間面の最外郭ラインに合うように、前記外面モデルを変形することができる。
【0093】
図14は、図1の最小厚さ調節ステップで用いられる最小厚さを示す図である。図15は、図1の最小厚さ調節ステップを示す図である。図16は、図1の最小厚さ調節ステップを示す図である。
【0094】
図1乃至図16を参照すると、3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法は、前記内面から前記外面までの距離が、前記内面からの最小厚さ値よりも小さい場合、前記内面から前記外面までの距離が、前記内面から前記最小厚さ値を有するように、前記外面を修正するステップを更に含む(ステップS600)。
【0095】
図14の左図に示しているように、前記最小厚さ値が、前記補綴物の内面(inner surface)から定義される。前記最小厚さ値は、3Dプリンティング又はミリングなどにより、前記補綴物を安定的に生成するために必要な厚さ値を意味する。
【0096】
図14の右図は、前記補綴物の内面から最小厚さ(minimal thickness)分だけ拡張して生成した最小厚さモデル(minimal thickness model)を現わす。
【0097】
前記補綴物の外面が、前記最小厚さモデルの外面よりも外側に位置するように、前記補綴物の外面を変形することができる。
【0098】
図15に示しているように、前記補綴物の外面が、全体として前記最小厚さモデル(minimal thickness model)の外面よりも外側に位置するので、前記補綴物の外面を変形しなくてもよい。
【0099】
これに対して、図16に示しているように、前記補綴物の外面の一部が、前記最小厚さモデルの外面より内側に位置するので、前記最小厚さモデルの外面よりも内側に位置する前記補綴物の外面は、前記最小厚さモデルと一致するように変形することができる。
【0100】
図17は、図1のコンタクト領域修正ステップを示す図である。
【0101】
図1乃至図17を参照すると、3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法は、前記調製済み歯の隣接歯との第1の距離、及び前記調製済み歯の対合歯との第2の距離を用いて、前記外面を修正するステップを更に含む(ステップS600)。
【0102】
ここで、前記隣接歯との第1の距離及び前記対合歯との第2の距離は、使用者が入力した使用者パラメータである。
【0103】
本実施例によると、補綴物の中間面生成、前記補綴物の内面生成、前記補綴物の外面生成、及び前記補綴物の前記中間面と前記補綴物の前記外面を連結するステップにより、補綴物を自動で生成することができる。
【0104】
従来のデンタルCADソフトウェアでは、使用者の熟練度によって、前記補綴物の生成にかかる時間及び前記補綴物のクオリティに差が大きく生じる。手動で対合歯、隣接歯などを考えて、補綴物を生成する方式では、使用者の熟練度によって、結果物の差が大きく発生する。本発明では、前記3次元スキャンデータ及び使用者パラメータを入力すると、前記3次元スキャンデータから補綴物が自動で生成されて、補綴物生成に上手でない使用者でも、高いクオリティの補綴物を、早い時間内に生成することができる。
【0105】
本発明の一実施形態によると、前記実施形態による3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法を、コンピュータで実行させるためのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。前記方法は、コンピュータで実行されるプログラムで作成可能であり、コンピュータ読取り可能媒体を用いて、前記プログラムを動作させる汎用デジタルコンピュータで具現可能である。また、前記方法で用いられたデータの構造は、コンピュータ読取り可能媒体に、複数の手段により記録される。前記コンピュータ読取り可能媒体は、プロラム命令、データファイル、データ構造などを、単独又は組み合わせて含むことができる。前記媒体に記録されるプログラム命令は、本発明のために特に設計され構成されたものや、コンピュータソフトウェア分野の通常の技術者に公知されて使用可能なものである。コンピュータ読取り可能な記録媒体としては、ハードディスク、フロッピーディスク、及び磁気テープのような磁気媒体、CD-ROM、DVDのような光記録媒体、プロプティカルディスクのような磁気-光媒体、及びROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を格納し、実行するように特に構成されたハードウェア装置が含まれる。プログラム命令としては、コンパイラーにより作られるような機械語コードだけでなく、インタプリターなどを用いて、コンピュータにより実行される高級言語コードを含む。前述したハードウェア装置は、本発明の動作を行うために、1つ以上のソフトウェアモジュールとして作動するように構成される。
【0106】
また、前述した3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法は、記録媒体に格納されるコンピュータにより実行されるコンピュータプログラム、又は、アプリケーションの形態にも具現可能である。
[産業上利用可能性]
【0107】
本発明は、3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する方法、3次元スキャンデータから補綴物を自動で生成する装置、及びこれをコンピュータで実行させるためのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関し、補綴物の製作のための努力と時間を減らすことができ、補綴物の正確度及び生産性を向上することができる。
【0108】
前記では、本発明の好適な実施形態を参照して説明したが、該当技術分野における熟練した当業者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で、本発明を様々に修正及び変更できることを理解するだろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17