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特開2024-82237少なくとも1つの繊維機械の少なくとも1つのパラメータの設定におけるコンピュータによる支援のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082237
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】少なくとも1つの繊維機械の少なくとも1つのパラメータの設定におけるコンピュータによる支援のための方法
(51)【国際特許分類】
   D01H 13/00 20060101AFI20240612BHJP
   D01H 4/00 20060101ALI20240612BHJP
   D01H 4/08 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
D01H13/00 A
D01H4/00 Z
D01H4/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023190198
(22)【出願日】2023-11-07
(31)【優先権主張番号】503148
(32)【優先日】2022-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】518264859
【氏名又は名称】ザウラー スピニング ソリューションズ ゲー・エム・ベー・ハー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Saurer Spinning Solutions GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Carlstr. 60, 52531 Uebach-Palenberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガイス、ウルリッヒ
【テーマコード(参考)】
4L056
【Fターム(参考)】
4L056AA15
4L056EA04
4L056EA28
4L056EB27
4L056EC02
4L056EC03
4L056EC06
4L056EC36
4L056EC53
4L056EC55
4L056ED03
4L056ED07
4L056ED09
4L056ED11
4L056FB17
4L056FB18
4L056FB20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】繊維機械の少なくとも1つのパラメータの設定におけるコンピュータによる支援のための方法を提案する。
【解決手段】以下の工程を含み、各工程は、ユーザーの入力を検出101する工程であって、入力は、パラメータを設定するためのグラフィックユーザーインターフェースの操作から結果的に生じる工程であり、検出された入力に基づいて操作のコンテキストを検出102する工程であって、コンテキストは、少なくとも1つのパラメータについて操作の割り当てを指定する工程と、検出されたコンテキストに基づいて、サポート情報を検出103する工程であって、パラメータを設定するために、ユーザー支援のためのサポート情報が設けられている工程と、支援機能を実施104する工程であって、検出されたサポート情報の出力がユーザーのために開始される工程とを含んでいる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの繊維機械(1)の少なくとも1つのパラメータの設定におけるコンピュータによる支援のための方法(100)において、以下の工程、すなわち
-ユーザーの入力を検出(101)する工程であって、前記入力は、前記少なくとも1つのパラメータを設定するためのグラフィックユーザーインターフェース(200)の操作から結果的に生じる工程と、
-少なくとも前記検出された入力に基づいて前記操作のコンテキストを検出(102)する工程であって、前記コンテキストは、前記少なくとも1つのパラメータについて少なくとも1つの前記操作の割り当てを指定する工程と、
-少なくとも前記検出されたコンテキストに基づいて、サポート情報(220)を検出(103)する工程であって、前記少なくとも1つのパラメータを設定するために、ユーザー支援のための前記サポート情報(220)が設けられている工程と、
-支援機能を実施(104)する工程であって、前記検出されたサポート情報の出力がユーザーのために開始される工程と
を含んでいる方法(100)。
【請求項2】
前記コンテキストの前記検出(102)は、さらに、以下の工程、すなわち
-前記繊維機械(1)および/または前記繊維機械(1)の生産に関する機械仕様を特定する工程であって、前記機械仕様は、機械パラメータに、好ましくは前記繊維機械(1)の設定および/または構造に、および/または前記生産の生産パラメータに特有のものである工程と、
-状態仕様を検出する工程であって、前記状態仕様は前記繊維機械(1)および/または前記生産の現在の状態に特有のものであり、好ましくは前記繊維機械(1)のセンサ(40)による測定から結果的に生じる工程と
の少なくとも1つを含み、
前記コンテキストは、前記特定された機械仕様および/または前記検出された状態仕様に特有のものであり、好ましくは、前記機械仕様および/または前記状態仕様に応じて前記サポート情報(220)が生成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記入力は、前記少なくとも1つのパラメータに対する設定値を含み、以下の工程、すなわち
-前記設定値に従って、前記繊維機械(1)において前記少なくとも1つのパラメータの変更を開始することにより、前記少なくとも1つの変更されたパラメータを用いて、前記繊維機械(1)の生産を実行する工程
が設けられており、
前記操作は、前記設定値を入力するための前記グラフィカルユーザーインターフェース(200)の操作要素(210)、好ましくは入力要素または入力マスクの作動を含む、請求項1または2に記載の方法(100)。
【請求項4】
前記入力は、前記少なくとも1つのパラメータに対する設定値を含み、前記支援機能の前記実施(104)は、以下の工程、すなわち
-少なくとも前記検出されたコンテキストに基づいて、前記繊維機械(1)の少なくとも1つのさらなるパラメータの前記設定値またはさらなる設定値を自動的に調整する、好ましくは修正する工程
を含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法(100)。
【請求項5】
前記サポート情報(220)は、前記少なくとも1つのパラメータの設定についての、好ましくは前記グラフィカルユーザーインターフェース(200)の操作要素(210)の使用についての少なくとも1つの指示および/または推奨事項を含み、好適には前記繊維機械(1)の現在の生産に関連する繊維技術的背景知識を含んでいることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記コンテキストの前記検出(102)は、以下の工程、すなわち
-タッチスクリーンの接触および/または前記グラフィカルユーザーインターフェース(200)上のマウスポインタの位置および/または作動位置での前記操作に関して、前記入力を評価する工程と、
-前記入力に先行する入力を検出および評価する工程と、
-前記少なくとも1つのパラメータの現在の設定を検出および評価する工程と、
-前記入力によって伝達された、前記少なくとも1つのパラメータの前記設定に対するユーザーの変更要求を検出および評価する工程と、
-前記繊維機械(1)の状態、好ましくは前記繊維機械(1)の運転状態および/または生産状態および/または生産進捗状況を検出および評価する工程と、
-前記繊維機械(1)の生産の品質パラメータを検出および評価する工程と、
-ユーザーパラメータ、好ましくはユーザーの経験および/または資格を検出および評価する工程であって、前記ユーザーパラメータが、好適には前記状態および/または前記品質パラメータに基づいて検出され、好適にはエラー率、特に生産時の糸切れ率に基づいて検出される工程と
の少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのパラメータが、以下のパラメータ、すなわち
-生産速度、
-引き取り速度、
-ロータ回転数、
-供給速度、
-精紡速度または精紡負圧、
の少なくとも1つを含んでいることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項8】
前記入力は、前記少なくとも1つのパラメータに対する設定値を含み、以下の工程、すなわち
-前記設定値に従って、前記少なくとも1つのパラメータの前記設定の影響を検出する、好ましくはシミュレーションする工程
が設けられており、
前記サポート情報(220)の前記検出(103)は、前記検出された影響に基づいて行われ、好ましくは前記サポート情報(220)が前記影響を指摘することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項9】
前記サポート情報(220)は、前記検出されたコンテキストに応じて、データ収集から、好ましくは電子データベースから、好ましくはネットワーク経由で呼び出されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項10】
以下の工程、すなわち
-ユーザーの経験および/または資格に特有のものであるユーザーパラメータを検出する工程
が設けられており、
前記検出されたユーザーパラメータに基づいて前記コンテキストの前記検出(102)が実行され、従って前記サポート情報(220)の範囲は、前記検出されたユーザーパラメータに依存していることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項11】
前記支援機能の前記実施(104)は、以下の工程、すなわち
-前記検出されたコンテキストに基づいて、設定案を特定する工程と、
-前記サポート情報(220)の前記出力を開始する工程であって、前記サポート情報(220)には前記設定案が含まれる工程と、
-ユーザーによって前記設定案の承認が入力されたことを検出し、前記設定案に従って前記設定を行う工程と
を含んでおり、
好ましくは、ユーザーが前記設定案の拒否を入力したことが検出されると、前記拒否の前記検出に基づいて、前記設定案が調整および/または破棄されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項12】
ユーザーのために前記検出されたサポート情報(220)の前記出力は、好ましくは操作要素(210)の周辺領域で、前記グラフィカルユーザーインターフェース(200)上に視覚化される形状の出力として開始されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項13】
-繊維機械(1)と、
-前記グラフィカルユーザーインターフェース(200)を表示するための表示装置(50)と、
-請求項1から12のいずれか一項に記載の前記方法(100)を実施するための手段を含む、データ処理のための装置(10)と
を有するシステム(2)。
【請求項14】
少なくとも1つのコンピュータ(10)がコンピュータプログラム(20)を実行する際に、請求項1から12のいずれか一項に記載の前記方法(100)を実行するように前記コンピュータ(10)に指示するコマンドを含むコンピュータプログラム(20)。
【請求項15】
請求項1から12のいずれか一項に記載の前記方法(100)を実施するための手段を含む、データ処理のための装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維機械の少なくとも1つのパラメータの設定におけるコンピュータによる支援のための方法に関する。さらに、本発明は、その目的のためのシステム、コンピュータプログラム、ならびに装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術から、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)の操作時にユーザーを支援するため、グラフィカルユーザーインターフェース上にヘルプテキストを出力できることが公知である。例えば、アプリケーションプログラムまたはウェブページに小さなポップアップウィンドウが表示されるツールチップが知られている。GUIの要素をタップした後、またはその要素上にマウスポインタがあるときに、要素に関する短い説明を表示することができる。さらに、コンテキスト依存ヘルプも知られており、この場合、トリガーとなり得るのは、メニュー項目(「?」など)のタップや選択、およびそれに続く希望する要素の選択である。
【0003】
しかし、そのような支援は、操作者が意識的に選択する必要があり、通常、選択された要素の、キーワードによる簡単な説明しか含まれないのが、公知の解決策の欠点である。従って、そのような場合、支援と呼ぶことはできない。
【発明の概要】
【0004】
本発明の課題は、前述した先行技術の欠点を少なくとも部分的に解消することにある。特に、本発明の課題は、繊維機械の設定における、ユーザー支援のための改善された解決策および/または代替的の解決策を提案することである。
【0005】
本発明の対象は、請求項1の特徴を備える方法、請求項13の特徴を備えるシステム、請求項14の特徴を備えるコンピュータプログラム、ならびに請求項15の特徴を備える装置である。本発明のさらなる特徴および詳細は、それぞれの従属請求項、明細書および図面から明らかとなる。本発明に基づく方法に関連して説明されている特徴および詳細は、当然ながら、本発明に基づくシステム、本発明に基づくコンピュータプログラム、ならびに本発明に基づく装置にも適用され、それぞれその逆も同様であり、従って本開示に関して、常に個々の発明の態様が相互に参照されるか、または参照可能である。
【0006】
本発明の対象は、少なくとも1つまたは正確に1つの繊維機械の少なくとも1つまたは正確に1つのパラメータの設定におけるコンピュータによる支援のための方法である。この支援は、例えば紡績工場等において、複数の繊維機械の少なくとも1つのパラメータを設定する場合にも、任意で設けることができる。例えば、糸などの繊維生産には、複数の繊維機械を使用することが一般的である。また、少なくとも1つの繊維機械で複数のパラメータを、好ましくは異なるパラメータを設定する際に、支援が行われることも可能である。このようにして、多数のパラメータの設定により、繊維生産における品質と生産性を決定することができる。
【0007】
好ましくは順々に、および/または繰り返し実施される以下の工程、すなわち
-ユーザーの入力を検出する工程であって、入力は、少なくとも1つのパラメータを設定するためのグラフィックユーザーインターフェースの操作から生じ得る工程と、
-少なくとも検出された入力に基づいて操作のコンテキストを検出する工程であって、そのコンテキストは、例えば、少なくとも1つのパラメータに対してユーザーによって入力された設定値が検出されることにより、および/または機械仕様に基づいて設定値に対する少なくとも1つのパラメータが特定されることにより、少なくとも1つのパラメータについて少なくとも1つの操作の割り当てを指定することができる工程と、
-少なくとも検出されたコンテキストに基づいて、サポート情報を検出する工程であって、少なくとも1つのパラメータを設定するために、ユーザー支援のためのサポート情報が設けられている工程と、
-支援機能を実施する工程であって、ここで、検出されたサポート情報の出力がユーザーのために開始される工程と
が設けられていてよい。
【0008】
これにより、設定するパラメータを考慮したコンテキスト依存のサポート情報を出力することが可能になる。言い換えれば、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)のための操作指示(だけ)が出力されるのではなく、パラメータを設定するためのさらなる支援が提供される。このことは、サポート情報を使って少なくとも1つのパラメータを設定するために、ユーザーをガイドすることが可能であることを意味する。従って、この支援機能は、GUIの入力および表示についての推奨事項または指示をユーザーに伝達し、少なくとも1つのパラメータの入力および変更の影響を説明するための「アドバイザー」として理解することもできる。この場合、サポート情報は、技術的および/または繊維技術的な背景知識も含むことができる。これにより、経験の浅いユーザーによる繊維機械の確実な操作および設定も確保することが可能である。さらに、以下でさらに詳しく説明するように、ユーザーの経験に応じてサポートのレベルを変えることも可能になる。
【0009】
繊維機械は、例えば、ロータ式オープンエンド精紡機および/または半自動ロータ式精紡機などのロータ精紡機として、または空気精紡機として、またはドラフトシステムのような精紡プロセス用の機械として構成されていてよい。複数の、必要に応じて異なる繊維機械、つまり特に種類の異なる繊維機械を設けることも可能であり、それらのパラメータは、好ましくは唯一のGUIを介して設定される。また、少なくとも1つのパラメータが、異なるパラメータを含むことも可能であり、これらのパラメータも同様に唯一のGUIを介して設定することができる。本発明において、GUIとは、必要に応じて異なるビュー、および/またはメニュー、および/またはウィンドウ、および/または操作要素、および/またはフォームを有している、グラフィック表示され電子的に生成されているユーザーインターフェースであると理解することができ、それによってユーザーはGUIで少なくとも1つのパラメータの設定を行うことができる。そのために、GUIは、例えば、タッチスクリーンなどのディスプレイ上に表示することができる。このとき、ディスプレイは、コンピュータおよび本発明に基づく装置の一部であってよい。また任意で、ディスプレイは繊維機械の一部であってもよい。
【0010】
本発明において、コンテキストの検出は、以下の工程、すなわち
-繊維機械および/または繊維機械の生産に関する機械仕様を特定する工程であって、機械仕様は、機械パラメータに、好ましくは繊維機械の設定および/または構造に、および/または生産の生産パラメータに特有のものである工程と、
-状態仕様を検出する工程であって、状態仕様は繊維機械および/または生産の現在の状態に特有のものであり、好ましくは繊維機械のセンサによる測定から結果的に生じる工程と
の少なくとも1つを含む場合は、さらなる利点を得ることができる。
【0011】
このようにして、コンテキストは、特定された機械仕様および/または検出された状態仕様に特有のものであることができ、好ましくは、機械仕様および/または状態仕様に応じてサポート情報が生成される。
【0012】
繊維機械または生産は、例えば糸を生産するために実施されてよい。ロータ精紡では、例えば精紡ロータのロータ溝で糸形成を行うことができる。ここで、回転する糸端のねじりモーメントの結果として、置かれている繊維に撚りを付与することができる。この撚りにより、糸の引き取りに必要な糸強度を生成することができる。糸をロータ溝から引き取る際、糸は、特に、ロータ内での糸の循環によって発生する遠心力よりも大きな強度を有していなければならない。そうでない場合、糸はロータの領域ですでに切れる可能性がある。このとき、引裂強さがほぼ一定の場合、回転する糸端の遠心力はロータ回転数の増加とともに二次関数的に増加することができる。これにより、ロータ回転数が2倍になると、ロータ領域における糸張力は4倍になる。従って、ロータ領域における糸切れの危険は、ロータ回転数の上昇とともに増加する可能性がある。糸が生産される速度、従ってロータ式オープンエンド精紡機の生産性は、ロータ回転数の増加とともに上昇する。そのため、精紡ロータは、多くの場合、最大可能な回転数で作動させることが望ましい。このとき、支援機能は、繊維機械の運転に最適なパラメータを選択する際にサポートすることができる。
【0013】
状態仕様が、例えば糸番手や糸撚りといった糸特性など、生産要件を含むことも考えられる。品質パラメータは、例えば所定の糸特性からの偏差を記述するものである。
【0014】
さらに、ロータ式オープンエンド精紡機の運転時に受け入れ可能な糸切れ率は、糸切れ解消に使用可能な手段の数に依存し得る。このとき、糸切れ率は、特に、繊維機械、好ましくはロータ式オープンエンド精紡機または作業ステーションの運転時間に関連する糸切れの数である。糸切れは、糸継ぎ機によって解消することができる。糸継ぎは半自動で行うことができる。つまり、糸継ぎのために作業員が必要となる。また、糸継ぎは糸継台車によって自動的に行うことができる。糸継ぎが自律的に作業ステーションにおいて自動で実行できる機械も知られている。最初のケースでは、受け入れ可能な糸切れ数が、作業可能な作業員の数に依存している。第2のケースでは、許容糸切れ率が糸継ぎ台車の数によって決まる。作業ステーションにおける自律的糸継ぎの場合、十分な負圧供給が阻害されることなく、どれだけの数の糸継ぎ機を同時に実行できるかが特に重要である。説明した条件に基づいて、最大許容糸切れ数を決定することができる。
【0015】
受け入れ可能な糸切れ率および/または最大許容糸切れ数は、例えば機械仕様の中で指定されていてよい。また、糸切れ解消に使用可能な手段の数も、機械仕様によって指定されていてよい。
【0016】
センサは、例えばヤーンクリアラとして構成することができる。ヤーンクリアラにより、糸の生産中に、測定可能な糸特性を検知することが可能になる。このようにして、糸の欠陥を検出することができる。
【0017】
さらに、本発明において、コンテキストの検出は、以下の工程、すなわち
-タッチスクリーンの接触および/またはグラフィカルユーザーインターフェース上のマウスポインタの位置および/または作動位置という形での操作に関して、入力を評価する工程と、
-入力に先行する入力、言い換えれば、ユーザーの入力の入力履歴および/または時間経過を検出および評価する工程と、
-少なくとも1つのパラメータの現在の設定を検出および評価する工程と、
-入力によって伝達された、少なくとも1つのパラメータの設定に対するユーザーの変更要求を検出および評価する工程と、
-繊維機械の状態、好ましくは繊維機械の運転状態および/または生産状態および/または生産進捗状況を検出および評価する工程と、
-繊維機械の生産の品質パラメータを検出および評価する工程と、
-ユーザーパラメータ、好ましくはユーザーの経験および/または資格を検出および評価する工程であって、ユーザーパラメータが、好適には状態および/または品質パラメータに基づいて、好ましくは自動的に検出され、好適には、特に測定されたエラー率、特に生産時の糸切れ率に基づいて検出される工程と
の少なくとも1つを含むことが利点となり得る。
【0018】
これにより、コンテキストの検出、従って必要に応じてサポート情報の生成もまた、繊維機械での操作および生産時の操作の現在のコンテキストを表す多数の要素に基づいて行うことが可能である。従って、コンテキストは、特にGUIでの操作に(のみ)関係するのではなく、繊維機械の生産の現在の状態についてのコンテキストに関係している。
【0019】
任意で、少なくとも1つのパラメータは、以下のパラメータ、すなわち
-生産速度、
-引き取り速度、
-ロータ回転数、
-供給速度、
-精紡速度または精紡負圧、
の少なくとも1つ、または複数を含んでいることも可能である。
【0020】
従って、生産に不可欠な多数の設定をGUIによって行うことができる。
【0021】
少なくとも1つの(設定する)パラメータは、例えば糸特性を含んでいてよい、および/または糸特性に影響するものであってよい。糸特性は、例えば糸番手および糸撚りなどである。さらに、使用する原料も糸特性に影響を与える。糸特性は、好ましくは機械パラメータおよび/または生産パラメータによって規定することもできる。機械パラメータおよび/または生産パラメータには、特に、精紡ロータ、コーミングローラ、ネーブルまたは精紡ノズルなどの精紡手段が含まれる。さらに、精紡負圧または精紡圧力、精紡装置によって付与されるドラフト、および付与される撚りも役割を果たしている。ロータ式オープンエンド精紡機では、引き取り速度とスライバー供給とロータ回転数の比が重要である。空気ノズル精紡機では、精紡圧力と送り速度の比が重要である。
【0022】
品質パラメータは、好ましくは所定の糸特性からの偏差を記述するものである。糸の製造を最適化するため、特に好ましくはCV値および/またはIPI値が品質パラメータとして使用される。このとき、CV値は糸の均質性の尺度であり、糸が不均質であるほど、CV値が高くなる。IPI値は、個別に見れば障害とは判定されない、いわゆる頻繁な糸欠陥(不完全さ)である。これらの欠陥は、その大部分が、いわゆる短欠陥マトリックス(Kurzfehler-Matrix)の中で有効になっている除去領域の下方にある。厚部、薄部、ネップに対しては、IPI値で示すことができる。
【0023】
さらに、入力は、少なくとも1つのパラメータに対する設定値を含むことも可能であり、以下の工程、すなわち
-設定値に従って、少なくとも1つのパラメータまたはさらなるパラメータの変更、好ましくは調整を繊維機械において開始することにより、少なくとも1つの変更されたパラメータを用いて、繊維機械の生産を実行する工程
が設けられている。
【0024】
このとき、操作は、設定値を入力するためのグラフィカルユーザーインターフェースの操作要素、好ましくは入力要素または入力マスクの作動を含むことができる。また、操作は、GUIの事前に定義された領域へのマウスポインタの移動または挿入を含むこともできる。マウスポインタの移動および/または挿入の形での操作、および/またはその他のアクション、例えば操作要素の作動という形での操作は、入力を作動させるためにソフトウェアによって検知することができる。事前に定義された領域におけるマウスポインタのクリックおよび/または滞留、および/またはキーボード等による設定値の入力などの操作が、入力の開始をもたらすこともできる。さらに、入力により、自動的に支援機能が実施されるようにすることもできる。例えば、このようにして、追加のユーザーアクションがなくても、サポート情報が出力される。これにより、ユーザーによる意図的な作動なしに、支援を可能にすることができる。さらに、どのような種類の操作が作動を引き起こしたかという情報も、入力に含めることができる。
【0025】
本発明においては、入力が、少なくとも1つのパラメータに対する設定値を含むように設けられていてよい。このとき、支援機能の実施は、以下の工程、すなわち
-少なくとも検出されたコンテキストに基づいて、繊維機械の少なくとも1つのさらなるパラメータの設定値および/またはさらなる設定値を自動的に調整する、好ましくは修正する工程
を含むことができる。
【0026】
少なくとも1つのパラメータは、例えば生産速度および/またはそれに対する固有のパラメータ、例えばロータ速度であり、これは設定値を用いて決定することができる。ロータ式オープンエンド精紡機において生産速度を設定するための固有のパラメータとしては、特にロータ回転数が考慮される。糸特性を維持するため、特に供給速度と引き取り速度(少なくとも1つのさらなるパラメータとして)は、適宜調整されなければならない。空気精紡機では、生産速度を設定するための固有のパラメータとして、送り速度を選択することができる。精紡圧力(少なくとも1つのさらなるパラメータとして)は、糸特性を維持するために、必要に応じて送り速度に合わせて適宜適合される。いずれの場合も、支援機能は、例えば自動的に調整を実行することによって、および/またはサポート情報を使って調整を指導するための適切な指示を出力することによって、必要に応じて適切なサポートを実行することができる。自動調整のために、支援機能は、例えば事前に定義された規則セットを使用することができる。
【0027】
本発明におけるさらなる利点は、サポート情報が、少なくとも1つのパラメータの設定についての、好ましくはグラフィカルユーザーインターフェースの操作要素の使用についての少なくとも1つの指示および/または推奨事項を含み、好適には繊維機械の現在の生産に関連する繊維技術的背景知識を含む場合に達成可能である。例えば、このようにして、設定が生産にどのような影響を及ぼすかを示すことができる。
【0028】
さらに、任意で、入力は、少なくとも1つのパラメータに対する設定値を含むように設けられており、以下の工程、すなわち
-設定値に従って、少なくとも1つのパラメータの設定の影響を検出する、好ましくはシミュレーションする工程
が設けられており、サポート情報の検出は、検出された影響に基づいて行うことができ、好ましくはサポート情報がその影響を指摘する。これにより、設定が実際に実行される前に、まず、その設定がどのような影響を生産に与えるか試験することができる。
【0029】
本発明において、サポート情報が、検出されたコンテキストに応じて、データ収集から、好ましくは電子データベースおよび/または知識データベースから、好ましくはネットワークを介して呼び出される場合は、さらなる利点を得ることができる。例えば、サポート情報だけでなく、必要に応じて機械仕様および/またはユーザーパラメータも、インターネットなどのネットワークを介して呼び出すことができる。
【0030】
さらに、本発明においては、以下の工程、すなわち
-(GUIの)ユーザーの経験および/または資格に特有のものであるユーザーパラメータを検出する工程
が設けられていることも考えられ、検出されたユーザーパラメータに基づいてコンテキストの検出が実行可能であり、従ってサポート情報の範囲は、検出されたユーザーパラメータに依存している。従って、自動的に、および/または事前に定義された状態で、ユーザーパラメータを決定し、それによって支援機能によるサポートをユーザーパラメータに応じて定義することができる。任意で、ユーザーパラメータは、ユーザーによる操作に基づいて、およびその操作の結果、例えばエラー率(糸切れ数など)を検出することによって、自動的に検出することもできる。
【0031】
さらに、本発明において、支援機能の実施は、以下の工程、すなわち
-検出されたコンテキストに基づいて、設定案を特定する工程と、
-サポート情報の出力を開始する工程であって、サポート情報には設定案が含まれる工程と、
-ユーザーによって設定案の承認が入力されたことを検出し、その設定案に従って設定を行う工程と
を含んでいる。
【0032】
言い換えると、ユーザーは、例えば具体的な設定値など、少なくとも1つのパラメータに対する設定案を受け入れ、それによって繊維機械において該当する設定を開始するように促されることができる。さらに、ユーザーが設定案の拒否を入力したことが検出されると、拒否の検出に基づいて、設定案を調整および/または破棄することもできる。これにより、ユーザー制御による支援を実行することが可能になる。
【0033】
さらに、ユーザーのために検出されたサポート情報の出力は、好ましくは操作要素の周辺領域で、グラフィカルユーザーインターフェース上に視覚化される形状の出力として開始されることも考えられる。これにより、GUIを介して、明確に認識可能かつ確実なユーザー支援が可能になる。
【0034】
同様に、本発明の対象は、繊維機械の他に、グラフィカルユーザーインターフェースの表示、好ましくは操作のための表示装置を含むシステムである。さらに、データ処理のための装置も、システムの一部であってよい。この装置は、本発明に基づく方法を実施するための手段を含むことができる。これにより、本発明に基づくシステムは、本発明に基づく方法に関して詳細に説明されているものと同様の利点をもたらす。
【0035】
同じく、本発明の対象は、本発明に基づく方法の工程を実施するための手段を含む、データ処理のための装置である。これにより、本発明に基づく装置は、本発明に基づく方法に関して詳細に説明されているものと同様の利点をもたらす。この装置は、少なくとも1つの繊維機械の一部であってよい。
【0036】
同様に、本発明の対象は、少なくとも1つのコンピュータによってコンピュータプログラムが実行される際に、そのコンピュータに、本発明に基づく方法を実行するよう指示するコマンドを含むコンピュータプログラム、特にコンピュータプログラム製品である。これにより、本発明に基づくコンピュータプログラムは、本発明に基づく方法に関して詳細に説明されているものと同様の利点をもたらす。
【0037】
少なくとも1つのコンピュータとして、データ処理装置、例えば、コンピュータプログラムを実行する本発明に基づく装置が設けられていてよい。少なくとも1つのコンピュータは、コンピュータプログラムを実行するための少なくとも1つのプロセッサを有することができる。また、不揮発性データメモリが設けられていてよく、このメモリの中にコンピュータプログラムを保存し、実行するためにプロセッサがデータメモリからコンピュータプログラムを読み取ることができる。
【0038】
同様に、少なくとも1つのコンピュータが、少なくとも1つの集積回路、例えばマイクロプロセッサまたは特定用途向け集積回路(ASIC)または特定用途向け標準製品(ASSP)またはデジタル信号プロセッサ(DSP)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等を含むことも考えられる。少なくとも1つのコンピュータは、さらに、少なくとも1つのデータ交換用インターフェース、例えばイーサネットインターフェース、あるいはLAN(ローカルエリアネットワーク)またはWLAN(ワイヤレスローカルエリアネットワーク)またはシステムオンチップ(SoC)用のインターフェース、あるいはBluetoothまたは近距離無線通信(NFC)のようなその他の無線インターフェースを有していてもよい。さらに、少なくとも1つのコンピュータは、1つまたは複数の制御装置として、すなわち制御装置からなるシステムとしても実施されていてよい。少なくとも1つのコンピュータは、インターフェースを介してローカルアプリケーションのためにデータ処理を提供するため、例えば少なくとも部分的にクラウド内に、および/またはサーバーとして設けられていてもよい。少なくとも1つのコンピュータが、スマートフォンなどのモバイルデバイスを含むことも可能である。
【0039】
同様に、本発明の対象は、本発明に基づくコンピュータプログラムを含む、コンピュータで読取り可能なメモリ媒体でもあってよい。このメモリ媒体は、例えばハードディスクおよび/または不揮発性メモリおよび/またはメモリカードなどのデータメモリとして構成されている。このメモリ媒体は、例えば少なくとも1つのコンピュータに組み込まれていてよい。
【0040】
さらに、本発明に基づく方法は、コンピュータ実装方法としても実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明のさらなる利点、特徴および詳細は、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明している以下の説明から明らかになる。このとき、特許請求の範囲および明細書の中で言及されている特徴は、それぞれ個々にそれ自体でも、または任意の組み合わせでも本発明の不可欠な特徴であり得る。
【0042】
図1】本発明の実施例による方法の概要図である。
図2】本発明の実施例のさらなる詳細の概要図である。
【0043】
以下の図において、異なる実施例でも技術的特徴が同じものには同一の参照符号が使用される。
【0044】
図1には、繊維機械1の少なくとも1つのパラメータを設定する際にコンピュータによる支援を行うための、本発明の実施例による方法100が視覚化されている。方法100は、例えば図2に概要が示されているコンピュータプログラム20によって提供され、このコンピュータプログラム20は、方法100を実施するために少なくとも1つのコンピュータ10によって実行される。このとき、少なくとも1つのコンピュータ10は、本発明に基づく装置10として構成されていてよい。さらに、少なくとも1つのコンピュータ10は、定置式サーバーおよび/またはパーソナルコンピュータ(PC)および/またはモバイルコンピュータ、例えばラップトップやタブレットなどを含むことができる。さらに、コンピュータ10またはコンピュータ10の少なくとも1つがクラウド上に設けられており、それによって方法100を少なくとも部分的にインターネットからクラウドベースで提供することも可能である。少なくとも1つのコンピュータ10は、さらに、ディスプレイやタッチスクリーンなどの表示装置、および/またはタッチスクリーンなどの入力装置、および/またはマウス、および/またはキーボードを有することができ、ユーザーに対し入力および出力を可能にする。図2に示されている実施例では、表示装置および入力装置が、タッチスクリーンのような複合装置50として示されている。
【0045】
第1の方法工程101によれば、ユーザーの入力の検出が行われる。そのために、入力は、少なくとも1つのパラメータを設定するためのグラフィカルユーザーインターフェース200(GUI)の操作から結果的に生じるものであってよい。GUI200は、図2に概略的に示されており、ディスプレイ装置50によって出力される。操作には、例えばタッチスクリーンのタッチ、および/またはコンピュータマウスによるマウスポインタの移動、および/またはキー入力、および/または同様のものが含まれてよい。また、操作は、GUI200の操作要素210の作動、例えばグラフィック表示されたボタンおよび/またはテキスト要素のタップおよび/またはクリックを含むことが考えられる。GUI200には、繊維機械1の少なくとも1つのパラメータに対する設定値を入力するために、さまざまなフォームフィールド等が設けられてよい。操作は、例えば、GUI200を介する設定値の入力および/または支援機能の有効化を含むことができる。GUIは、例えば、少なくとも部分的にHTML(ハイパーテキストマークアップ言語)コードおよび/またはPHPやPythonスクリプトを実行することによって提供されるウェブサイトを介して、必要に応じて表示することもできる。制御要素210の入力、好ましくは作動によって、繊維機械1のための少なくとも1つの制御コマンドが、装置10のハードウェアインターフェース60を介して出力されることが考えられる。ハードウェアインターフェース60は、繊維機械1とデータ接続することにより(図2に破線で表示)、制御コマンドを繊維機械1に送信することができる。制御コマンドにより、例えば、繊維機械1の少なくとも1つのパラメータを設定値に従って変更することが可能である。少なくとも1つのパラメータは、例えば生産速度、引き取り速度、ロータ回転数、供給速度および/または精紡圧力または精紡負圧を含んでいる。
【0046】
さらに、第2の方法工程102が設けられていてよく、この工程では、少なくとも検出された入力に基づいて操作のコンテキストが検出される。コンテキストは、少なくとも1つのパラメータについて少なくとも1つの操作の割り当てを規定することができる。従って、コンテキストは割り当て情報とも呼ぶことができる。コンテキストを検出するには、操作に関する情報だけでなく、さらに、繊維機械1について、好ましくはその生産について、および/または少なくとも1つのパラメータについての情報があることも必要であってよい。コンテキストは、例えば、操作が評価されることにより、GUI200のどの領域で操作が行われたか、および/またはGUI200のどの操作要素210が作動したかを検出することによって検出可能である。例えば、領域および/または操作要素210を指定するための入力は識別子を有することができ、コンテキストを検出する際に、この識別子を照会することができる。さらに、コンテキストを検出するために、操作、好ましくは識別子が、表などの事前に定義された割り当て基準と比較されることも考えられる。割り当て基準においては、操作、好ましくは識別子の割り当てが、少なくとも1つのパラメータに対して、および/またはさらなる要素に対して設けられていてよい。さらなる要素は、例えば、異なる機械仕様および/または状態仕様を含むことができ、従って操作の割り当ては、パラメータに対してだけでなく、繊維機械1および/または生産の現在の状態に対しても行うことができる。例えば、現在の状態には、パラメータの現在の設定、および/または望ましい生産速度などの目標値、および/または例えば現在の糸切れ率などの品質パラメータ、および/またはユーザーパラメータが含まれていてよい。これにより、割り当ては、現在の生産状態を表現するものとしてコンテキストを提供することが可能になる。
【0047】
引き続き、第3の方法工程103によれば、少なくとも検出されたコンテキストに基づいて、サポート情報220を検出することができる。例えば、そのために、あらかじめ操作に割り当てられた要素の具体的な組み合わせに、具体的なサポート情報を割り当てることができる。そのために、同様に、表などの割り当て基準を事前に定義しておき、評価することもできる。サポート情報220は、少なくとも1つのパラメータの設定に対してユーザーを支援するために設けられてよく、そのために、例えば、繊維機械1および/または生産の状態に応じて、指示または説明を含むことができる。従って、従来の解決策とは反対に、サポート情報220の検出の際にコンテキストを考慮することによって支援を提供することができ、この支援は、操作に対する静的情報を含むだけではなく、繊維機械1および/または生産の現在の情報に合わせて動的に調整される。
【0048】
次に、第4の方法工程104によれば、支援機能を実施することができ、そこではユーザーのために検出されたサポート情報220の出力が開始される。これにより、ユーザーによる繊維機械1のより安全かつ確実な操作を確保することが可能になる。
【0049】
コンテキストを検出するため、機械仕様が特定されるように、および/または状態仕様が検出されるように設けられていてよい。機械仕様は、機械パラメータに、好ましくは繊維機械1の設定および/または構造に、および/または生産の生産パラメータに特有のものであってよい。例えば、機械仕様は、繊維機械1のパラメータの具体的な設定を指定することができ、および/または生産パラメータ、例えば生産結果および/または生産速度の目標値を指定することができる。状態仕様は、繊維機械1および/または生産の現在の状態に特有のものであってよい。そのために、例えば、繊維機械1の少なくとも1つのセンサ40によって測定を実施し、現在の状態を検出することができる。例えば、糸切れ等を測定することができる。続いて、機械仕様および/または状態仕様に応じて、サポート情報220を生成することができる。例えば糸切れ率が高すぎる場合、糸切れ率を再び減少させるには、少なくとも1つのパラメータをどのように設定すればよいかという指示を、ユーザーのためにサポ-ト情報220に含めることができる。
【0050】
コンテキストおよび/または機械仕様および/または状態仕様に応じてサポート情報220を生成するため、知識データベースにアクセスするように設けられていてよい。知識データベースは、エキスパートシステムとして実施されており、コンテキストに応じたパラメータ設定のための提案を提供することができる。例えば、関連するサポート情報に対するコンテキストのさまざまな状態の割り当てを、知識データベースに事前に定義しておくことができるため、検出されたコンテキストを使って、適合するサポート情報を読み出すことができる。データベースの提供には、多くの電子的解決策が知られている。さらに、読み出しは、SQLなどの言語によって実施することができる。
【0051】
入力が、少なくとも1つのパラメータに対する設定値を含む場合、ユーザーによる入力後に、繊維機械1において少なくとも1つのパラメータの変更の開始が設定値に従って設けられていてよい。これにより、その設定値によって変更された少なくとも1つのパラメータを用いて、繊維機械1の生産を実施することが可能になる。同時に、ユーザーは、支援機能を介して、この変更の影響について通知されることができる。支援機能は、通知するだけではなく、少なくとも1つのパラメータの変更に積極的に介入することも可能である。従って、支援機能の実施104は、少なくとも検出されたコンテキストに基づく設定値の自動調整、好ましくは修正を含むことができる。従って、繊維機械1でパラメータを変更することにより、支援機能は繊維機械1の物理的動作に直接影響を与えることが可能である。
【0052】
サポート情報220は、少なくとも1つのパラメータの設定についての、好ましくはグラフィカルユーザーインターフェース200の操作要素210の使用についての少なくとも1つの指示および/または推奨事項を含むことができ、好適には繊維機械の現在の生産に関連する繊維技術的背景知識を含んでいる。そのために、入力マスクのGUI200の操作要素および好ましくは入力要素の作動時に、またはGUI200の表示要素のタップまたはクリック後に、サポート情報220を、例えば視覚化された状態で仮想コンサルタントによって自動的にポップアップで出力することができる。サポート情報220は、パラメータの現在の機能またはそのコンテキストに対する包括的な説明を与えることができ、このとき、技術的または繊維技術的背景も説明されてよい。データの計算および該当するパラメータの変更の影響に関する情報も検出することができる。このことは、一般的な形で行うか、あるいはこれまでの設定、機械の状態、および/または生産または製品のコンテキストの中で行うか、いずれかで行うことができる。サポート情報220は、コンテキストにおけるパラメータ変更の推奨事項および設定案を提示して、例えば生産量を向上させたり、品質を改善したりすることができる。また、入力の終了時に、サポート情報220を出力するために、必要に応じてコンサルタントが自動的に表示され、例えば後から、作動したパラメータ変更について説明したり、修正したり、場合よっては推奨事項を与えたりすることもできる。
【0053】
さらに、支援機能が有効になっている、つまり、例えばサポート情報220を出力するためのコンサルタントが表示される、いわゆる「ルーキーモード」がサポートされてもよい。このモードは、例えばいつでも手動でオン/オフに切り替えることができる。また、ルーキーモードは、特定のユーザーに対して作動および非作動にすることもできる。コンサルタントをユーザーにとってより魅力的に、よりカスタマイズ化するため、コンサルタントに名前や形状を付けてもよい。
【0054】
コンテキストの検出102は、さらにユーザーパラメータ、好ましくはユーザーの経験および/または資格の検出および評価を含むことができる。このとき、ユーザーパラメータは、好適には状態および/または品質パラメータに基づいて、好適には生産中のエラー率、特に糸切れ率に基づいて検出することができる。このプロセスには、支援機能によるサポートの範囲が、ユーザーの経験および資格に依存してよいという認識に基づいている。そのために、ユーザーパラメータには、例えば所定のカテゴリーへの具合的なユーザーの分類が含まれてよい。この分類は、手動で入力してもよいが、任意で、例えばエラー率に比例して自動的に検出することもできる。さまざまな分類に対して、例えばさまざまな範囲の情報が存在することによって、異なるサポート情報220を設けることができる。
【0055】
さらに、サポート情報220は、少なくとも1つのパラメータの設定の影響を、設定値に応じて示すことも可能である。そのために、例えば、繊維機械1および/または生産のモデルなどを使ってシミュレーションを実行することができる。代替的または追加的に、例えばエキスパートシステムによって、さまざまな設定値について影響が事前に定義されるように設けることもできる。そのために、検出されたコンテキストに応じて、データ収集から、好ましくは電子データベースから、好ましくはネットワーク経由で、サポート情報220を呼び出すことができる。
【0056】
さらに、図2には、繊維機械1と、グラフィカルユーザーインターフェース200を表示するためのタッチスクリーン50などの表示装置と、方法100を実施するための手段を含む、データ処理のための装置10とを有する、本発明の実施例によるシステム2が示されている。さらに、コンピュータプログラム20は、装置10またはコンピュータ10がコンピュータプログラム20を実行する際に、方法100を実行するように装置10またはコンピュータ10に指示するコマンドを含むこともできる。
【0057】
上述した実施形態の説明は、もっぱら実施例の中で本発明を記述している。もちろん、実施形態の個々の特徴は、技術的に意味がある場合、本発明の範囲を逸脱することなく、互いに自由に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 繊維機械
2 システム
10 装置、コンピュータ
20 コンピュータプログラム
40 センサ
50 表示装置
60 インターフェース
100 方法
101 第1の方法工程
102 第2の方法工程
103 第3の方法工程
104 第4の方法工程
200 グラフィカルユーザーインターフェース
210 操作要素
220 サポート情報
図1
図2