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特開2024-82240ドラフト機構とベルト張力調節プライヤとを有する、ドラフト機構の駆動ベルトをテンショニングするためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082240
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】ドラフト機構とベルト張力調節プライヤとを有する、ドラフト機構の駆動ベルトをテンショニングするためのシステム
(51)【国際特許分類】
   D01H 5/18 20060101AFI20240612BHJP
   D01H 5/56 20060101ALI20240612BHJP
   D01H 5/88 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
D01H5/18
D01H5/56
D01H5/88 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023191902
(22)【出願日】2023-11-10
(31)【優先権主張番号】503149
(32)【優先日】2022-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(71)【出願人】
【識別番号】518264859
【氏名又は名称】ザウラー スピニング ソリューションズ ゲー・エム・ベー・ハー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Saurer Spinning Solutions GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Carlstr. 60, 52531 Uebach-Palenberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライマン、ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】テプケ、ハイコ
【テーマコード(参考)】
4L056
【Fターム(参考)】
4L056BC01
4L056BC42
4L056BC48
4L056BC52
4L056DA16
4L056DA28
4L056DA52
4L056DA65
4L056DA67
4L056DA70
4L056FC06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ドラフト機構、ベルト張力調節プライヤ、並びに駆動ベルトテンションの簡易な調整を可能にするドラフト機構とベルト張力調節プライヤからなるシステムを提供する。
【解決手段】上部ローラ及び下部ローラ2a,2bを有する少なくとも2つのローラ対と、下部ローラのうちの少なくとも1つを駆動するための少なくとも1つの駆動モータ16aとを有し、少なくとも1つの駆動モータと、少なくとも1つの駆動モータにより駆動可能な下部ローラとは下部ローラ支持体1に支承されて配置され、駆動ベルトを介して下部ローラと結合された少なくとも1つの駆動モータは駆動ベルトテンションを調整するために下部ローラに対して間隔変更可能なように下部ローラ支持体に配置され、駆動モータは回動軸7a、7bを中心として旋回可能に、かつ調整された位置で固定可能に、下部ローラ支持体で支承されるドラフト機構。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ上部ローラ及び下部ローラ(2a、2b)を有する少なくとも2つのローラ対と、前記下部ローラ(2a、2b)のうちの少なくとも1つを駆動するための少なくとも1つの駆動モータ(16a;16b)とを有する、紡績機のためのドラフト機構(17)であって、少なくとも1つの前記駆動モータ(16;16b)と、少なくとも1つの前記駆動モータ(16;16b)により駆動可能な前記下部ローラ(2a;2b)とは下部ローラ支持体(1)に支承されて配置され、駆動ベルト(3a;3b)を介して前記下部ローラ(2a;3b)と結合された少なくとも1つの前記駆動モータ(16a;16b)は駆動ベルトテンションを調整するために前記下部ローラ(2a;2b)に対して間隔変更可能なように前記下部ローラ支持体(1)に配置されるドラフト機構において、
少なくとも1つの前記駆動モータ(16a;16b)は回動軸(7a;7b)を中心として旋回可能に、かつ調整された位置で固定可能に、前記下部ローラ支持体(1)で支承されることを特徴とするドラフト機構。
【請求項2】
少なくとも1つの前記駆動モータ(16a;16b)は、前記回動軸(7a;7b)、少なくとも1つの前記駆動モータ(16a;16b)の駆動シャフト軸(8a;8b)、及び付属の前記下部ローラ(2a;2b)の回転軸(6a;6b)が互いに平行に配置されるように、前記下部ローラ支持体(1)に旋回可能に支承されることを特徴とする、請求項1に記載のドラフト機構(17)。
【請求項3】
少なくとも1つの前記駆動モータ(16a;16b)は、前記下部ローラ(2a;2b)に対して最大の間隔を規定する最終位置と、前記下部ローラ(2a;2b)に対して最小の間隔を規定する初期位置との間で位置調節可能なように、前記下部ローラ支持体(1)に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のドラフト機構(17)。
【請求項4】
少なくとも1つの前記駆動モータ(16a;16b)は、前記初期位置と前記最終位置からの一致する間隔を有する中間位置にあるとき、前記回動軸(7a;7b)と付属の前記駆動シャフト軸(8a;8b)とを通って広がる平面が、付属の前記駆動シャフト軸(8a;8b)と付属の前記下部ローラ(2a;2b)の回転軸(6a;6b)とを通って広がる平面に対して垂直に延びるように、前記下部ローラ支持体(1)に旋回可能に配置されることを特徴とする、請求項1から3のうちいずれか1項又は複数項に記載のドラフト機構(17)。
【請求項5】
前記駆動モータ(16a;16b)は、前記下部ローラ支持体(1)で付属の保持ボルト(13)と平行に延びる差込ボルト(14)を有し、前記保持ボルト(13)と付属の前記差込ボルト(14)は、その間隔変更が前記初期位置と前記最終位置との間の前記駆動モータ(16a;16b)の位置調節を生じさせるように、互いに間隔をおいて配置されることを特徴とする、請求項1から4のうちいずれか1項又は複数項に記載のドラフト機構(17)。
【請求項6】
前記差込ボルト(14)は前記下部ローラ支持体(1)の切欠き(9a;9b;33)を通って延びることを特徴とする、請求項5に記載のドラフト機構(17)。
【請求項7】
前記切欠き(33)は前記下部ローラ支持体(1)の縁部側に成形されることを特徴とする、請求項6に記載のドラフト機構(17)。
【請求項8】
前記下部ローラ支持体(1)は上面(1b)と下面(1c)を有し、前記下部ローラ(2a;2b)は前記下部ローラ支持体(1)の前記上面(1b)に支承されて配置され、前記下面(1c)からこれに対して垂直に突出する支持部材(1a)が設けられ、この支持部材に少なくとも1つの前記駆動モータ(16a;16b)が支承され、前記駆動ベルト(3a;3b)は前記駆動モータ(16a;16b)から付属の前記下部ローラ(2a;2b)まで、前記下部ローラ支持体(1)の前記下面(1c)と前記上面(1b)を横切るように延びることを特徴とする、請求項1から7のうちいずれか1項又は複数項に記載のドラフト機構(17)。
【請求項9】
前記下部ローラ支持体(1)は少なくとも1つの貫通部(1e)を有し、この貫通部を通って前記駆動ベルト(3a;3b)が延びることを特徴とする、請求項8に記載のドラフト機構(17)。
【請求項10】
前記下部ローラ支持体(1)は、前記下部ローラ支持体(1)を通って延びる、少なくとも1つの前記駆動モータ(16a;16b)を調整された位置で固定する係止ねじ(15)を収容するための少なくとも1つの切欠き(10a;10b;22a;22b)を有することを特徴とする、請求項1から9のうちいずれか1項又は複数項に記載のドラフト機構(17)。
【請求項11】
特に請求項1から10のいずれか1項又は複数項に記載のドラフト機構(17)のための、ドラフト機構(17)の駆動ベルトテンションを調整するためのベルト張力調節プライヤ(24)であって、継手ボルト(25)を介して旋回可能なように互いに結合された2つのプライヤ半体(26a、26b)を有し、これらのプライヤ半体の一方の端部はハンドグリップ(27)として構成され、他方の端部は共同で機能部材対(31a、31b)を形成する機能部材(28a、28b)をそれぞれ有し、これらの機能部材は同一の運動平面に配置され、前記プライヤ半体(26a、26b)の操作によって互いに近づくように可動であるベルト張力調節プライヤにおいて、
保持ボルト(13)と差込ボルト(14)を収容するための差込ブッシュとして構成された、運動平面に対して垂直に延びる前記機能部材(28a、28b)に、定義された初期応力をもって互いに近づくように初期応力をかける初期応力部材(30)を有することを特徴とするベルト張力調節プライヤ。
【請求項12】
1つの機能部材対(31a、31b)の前記機能部材(28a、28b)は前記継手ボルト(25)から等しい間隔をおいて配置されることを特徴とする、請求項11に記載のベルト張力調節プライヤ(24)。
【請求項13】
前記継手ボルト(25)からそれぞれ異なる間隔をおいて前記プライヤ半体(26a、26b)の前記他方の端部に配置された少なくとも2つの機能部材対(31a、31b)を有することを特徴とする、請求項11又は12に記載のベルト張力調節プライヤ(24)。
【請求項14】
前記初期応力部材は、前記機能部材対(31a、31b)と前記継手ボルト(25)の間の領域で前記プライヤ半体(26a、26b)に配置された引張ばね(30)として構成されることを特徴とする、請求項11から13のいずれか1項又は複数項に記載のベルト張力調節プライヤ(24)。
【請求項15】
請求項1から10のいずれか1項又は複数項に記載のドラフト機構(17)と、請求項11から14のいずれか1項又は複数項に記載のベルト張力調節プライヤ(24)とを有する、ドラフト機構(17)の駆動ベルト(3a;3b)をテンショニングするためのシステムにおいて、
前記ベルト張力調節プライヤ(24)に配置された差込ブッシュ(28a、28b)が前記ドラフト機構(17)の差込ボルト(14)と保持ボルト(13)に合わせて適合化されることを特徴とするシステム。
【請求項16】
前記保持ボルト(13)と前記差込ボルト(14)に配置された前記ベルト張力調節プライヤ(24)が、設定されたベルトテンションをもって前記駆動ベルト(3a、3b)に初期応力をかけるように、前記ベルト張力調節プライヤ(24)の初期応力部材(30)が構成されることを特徴とする、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記ドラフト機構(17)は、それぞれ下部ローラ(2a、2b)と結合された駆動モータ(16a、16b)を有する少なくとも2つのローラ対を有し、前記ベルト張力調節プライヤ(24)は、それぞれ異なるベルトテンションを調整するための2つの機能部材対(31a、31b)を有することを特徴とする、請求項15又は16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ上部ローラ及び下部ローラを有する少なくとも2つのローラ対と、下部ローラのうちの少なくとも1つを駆動するための少なくとも1つの駆動モータとを有する、紡績機のためのドラフト機構に関し、少なくとも1つの駆動モータと、少なくとも1つの駆動モータにより駆動可能な下部ローラとは下部ローラ支持体に支承されて配置され、駆動ベルトを介して下部ローラと結合された少なくとも1つの駆動モータは駆動ベルトテンションを調整するために下部ローラに対して間隔変更可能なように下部ローラ支持体に配置される。更に本発明は、ドラフト機構の駆動ベルトテンションを調整するためのベルト張力調節プライヤに関し、並びにドラフト機構とベルト張力調節プライヤとを有する、ドラフト機構の駆動ベルトをテンショニングするためのシステムに関する。
【0002】
紡績機のためのドラフト機構は、多様な実施形態で従来技術から知られている。これはスライバを延伸ないしドローイングするための役目を果たし、それによって繊維の断面縮小が生じる。このとき、均一な糸を製造するための前提条件である均一なスライバを実現するためには、ドローイング中に繊維ができる限り均一に相並んで搬送されなければならない。
【0003】
スライバを延伸するために、ドラフト機構は、通常、相並んで配置された複数のローラ対を有していて、これらが互いに並んで位置するように配置されて、これらの間に延びるスライバを挟み込む。このときローラ対は、通常、駆動される下部ローラと、下部ローラに当接する上側の押圧ローラとで構成される。スライバのドローイングは、ローラ対の回転方向によって規定されるスライバの搬送方向で、円周速度がローラ対からローラ対へと高くなっていくことによって実現される。
【0004】
ドラフト機構の下部ローラ支持体に回転可能に支承される下部ローラを駆動するために、駆動ベルトを介して下部ローラを駆動する、個々の下部ローラに付属する駆動モータを利用することが知られている。駆動モータから下部ローラへの確実な力伝達を保証するには、駆動モータと下部ローラを結合する駆動ベルトが、設定された駆動ベルトテンションを有することが必要である。
【0005】
駆動ベルトテンションを調整するために、周知のドラフト機構では、駆動モータが長手方向スライド可能なようにモータプレートの上に組み付けられる。このとき長手方向スライドが駆動モータと下部ローラの間の間隔変化を生じさせ、それを通じて駆動ベルトテンションを調整可能である。そのために駆動モータはモータプレートで、必要な駆動ベルトテンションについて設定された位置へとモータプレートでスライドし、そこで適当な取付手段によって固定される。
【0006】
駆動モータが固定されるときに位置不良が発生する可能性があり、したがって、各々の引張工程が終わるたびに駆動ベルトテンションをチェックすることが必要になり、そのためには、通常、高いコストのかかる周波数測定を行わなければならない。周波数測定は、特に個々の下部ローラがそれぞれ異なるベルト長さにわたって駆動モータと結合されているドラフト機構の場合、非常にコスト集約的かつ時間集約的である。
【0007】
以上を前提とする本発明の課題は、ドラフト機構、ベルト張力調節プライヤ、並びに駆動ベルトテンションの簡易な調整を可能にするドラフト機構とベルト張力調節プライヤからなるシステムを提供することにある。
【0008】
本発明は、請求項1の構成要件を有するドラフト機構、請求項8の構成要件を有する、ドラフト機構の駆動ベルトテンションを調整するためのベルト張力調節プライヤ、並びに請求項12の構成要件を有する、ドラフト機構とベルト張力調節プライヤとを有する、ドラフト機構の駆動ベルトをテンショニングするためのシステムによって課題を解決する。本発明の好ましい発展形態は、従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明によるドラフト機構について特徴となるのは、下部ローラ支持体に回転可能に支承された少なくとも1つの下部ローラの少なくとも1つの駆動モータが、付属の下部ローラとの間隔の調整のために、回動軸を中心として旋回可能に、かつ調整された位置で固定可能に、下部ローラ支持体で支承されることである。それに応じて本発明では、駆動モータはその位置の調整中にも、回動軸を介して下部ローラ支持体と定置に結合されることが意図される。このとき回動軸は、回動軸を中心とする駆動モータの旋回によって、下部ローラからの駆動モータの間隔変化が、ないしは下部ローラの回動軸からの駆動モータの駆動シャフト軸の間隔変化が生じるように、下部ローラ支持体で延びている。このように、回動軸を介しての駆動モータの定置の配置は、下部ローラ支持体に対して旋回可能な駆動モータを、必要な駆動ベルトテンションのために必要な駆動モータと下部ローラとの間隔が生じる位置へと、快適に旋回させることを可能にする。このとき、回動軸を介して下部ローラ支持体と駆動モータの結合が恒常的に維持されることは、調整された位置での駆動ベルトテンションがそのために意図される駆動ベルトテンションと相違する結果となる、駆動モータの傾動を確実に防止する。駆動ベルトテンションの調整のために、たとえば駆動モータの相応の位置決めのもとで相応の駆動ベルトテンションに割り当てられるマーキングが、下部ローラ支持体に設けられていてよい。そのようにして、本発明によるドラフト機構は駆動ベルトテンションの特別に簡易で確実な調整を可能にし、そのようにしてドラフト機構の確実な動作を保証する。更に、それによってたとえば駆動ベルトのそれぞれ異なる製造ロットの間の円周許容差を補償することができる。
【0010】
原則として、駆動モータが下部ローラ支持体に支承される回動軸だけでなく、下部ローラ並びに駆動モータも、その駆動シャフト軸及び回転軸がそれぞれ異なるアライメントを有するように配置するという選択肢がある。しかしながら本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つの駆動モータは、回動軸、少なくとも1つの駆動モータの駆動シャフト軸、並びに付属の下部ローラの回転軸が互いに平行に配置されるように、下部ローラ支持体に旋回可能に支承されることが意図される。本発明のこの実施形態は、駆動ベルトテンションの簡易な調整可能性だけでなく、駆動モータから下部ローラへの確実な力伝達も保証する。これに加えて相応の実施形態は、旋回運動に依存して、回動軸を中心とする駆動モータの旋回に比例して駆動ベルトテンションが増大又は減少することを保証する。
【0011】
下部ローラ支持体での駆動モータの位置調節可能性の範囲、すなわち、回動軸を中心とする駆動モータの旋回可能性は、原則として任意の方式で構成されていてよい。しかしながら本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つの駆動モータは、下部ローラとの最大の間隔を規定する最終位置と、下部ローラとの最小の間隔を規定する初期位置との間で位置調節可能なように、下部ローラ支持体に配置されることが意図される。本発明の相応の実施形態は、駆動モータが初期位置の領域に配置されているとき、駆動ベルトを駆動モータ及び付属の下部ローラへ快適に配置することができることを保証する。これに加えて最終位置は、駆動ベルトテンションが最大テンションを超過しないことを保証する。これに加えて、駆動モータの限定された位置調節範囲により、駆動モータや、ドラフト機構の隣接する集成装置の損傷につながりかねない位置決め不良が確実に回避される。
【0012】
下部ローラ支持体での下部ローラに対する駆動モータの、特に回動軸の、アライメントは、駆動モータがその回動軸を中心として旋回運動したときに駆動モータと下部ローラの間の間隔変更が行われることが保証される限りにおいて、原則として任意の方式で行うことができる。本発明の好ましい実施形態では、駆動モータは、初期位置と最終位置からの一致する間隔を有する中間位置にあるとき、回動軸と付属の駆動シャフト軸とを通って広がる平面が、付属の駆動シャフト軸と付属の下部ローラの回転軸とを通って広がる平面に対して垂直に延びるように、下部ローラ支持体に旋回可能に配置されることが意図される。
【0013】
本発明のこの実施形態により、中間位置を起点として最終位置又は初期位置へと向かう方向への駆動モータの位置調節運動が、これと一致する形で駆動ベルトテンションを増大又は減少させることが保証される。どちらの位置調節方向へも位置調節経路は一致して、駆動ベルトテンションの増大又は減少に比例する。これに加えて相応の実施形態は、ドラフト機構の非常にコンパクトな構成、並びに駆動モータへの良好なアクセス性を保証し、それにより、駆動ベルトテンションを快適な方式で調整することができる。
【0014】
駆動ベルトテンションを調整するための駆動モータの位置調節は、原則として任意の方式で行うことができる。本発明の好ましい実施形態では、駆動モータは、下部ローラ支持体で付属の保持ボルトと平行に延びる差込ボルトを有することが意図され、保持ボルト及び付属の差込ボルトは、その間隔変化が初期位置と最終位置の間での駆動モータの位置調節を生じさせるように、互いに間隔をおいて配置される。
【0015】
本発明のこの好ましい実施形態では、下部ローラ支持体で少なくとも1つの駆動モータ、ないし1つを超える駆動モータがある場合には好ましくは各々の駆動モータに、下部ローラ支持体に定置に配置された保持ボルトが付属する。更に、少なくとも1つの駆動モータ、ないし1つを超える駆動モータがある場合には好ましくは各々の駆動モータは、それぞれの保持ボルトと平行に延びる差込ボルトを有する。このようにして、保持ボルトに対する差込ボルトの間隔変更を通じて、駆動モータの位置決めを行うことができる。このように本発明のこの実施形態は、たとえば差込ボルトと保持ボルトのための開口部を備えるゲージを利用することを可能にする。このときそれぞれの開口部の間隔が、定義された駆動ベルトテンションに割り当てられ、それにより、駆動ベルトテンションの調整にも点検にもゲージを利用することができる。駆動ベルトテンションを調整するために必要なのは、差込ボルトを保持ボルトに対して、ゲージに配置されている開口部と一致するように配置することだけである。
【0016】
これに加えて、更に保持ボルトと差込ボルトは、これらに合わせて適合化された工具を、保持ボルトと差込ボルトの間隔の調整のために、及びそれに伴って駆動ベルトテンションの確実な調整のために利用することを可能にする。このとき好ましい実施形態では、差込ボルトは下部ローラ支持体にある切欠きを通って延び、この切欠きはたとえば長孔として構成され、これによって差込ボルトの確実な案内が快適な方式で保証されるばかりでなく、最終位置と初期位置を正確に規定することもできる。
【0017】
好ましい実施形態では、下部ローラ支持体は上面と下面を有し、下部ローラは下部ローラ支持体の上面の上で支承されて配置され、下面からこれに対して垂直に突出する支持部材が設けられ、これに少なくとも1つの駆動モータが支承される。このとき駆動ベルトは、駆動モータから付属の下部ローラまで、下部ローラ支持体の下面と上面を横切るように延びる。下部ローラ支持体と支持部材は、好ましい実施形態では、一体的に、又は多部分で成形されていてよい。多部分での構成の場合、下部ローラ支持体と支持部材は通常の結合部材及び/又は連結部材によって互いに結合ないし連結されるのが更に好ましい。
【0018】
好ましい実施形態では下部ローラ支持体は貫通部を有し、これを通って駆動ベルトが延びる。貫通部は、好ましくは、縁部によって部分的又は全面的に包囲される開口部として、下部ローラ支持体に形成されていてよい。縁部側で部分的に包囲される実施形態の場合、開口部を取り囲み、それに伴ってこれを区切る開口部縁部が、同時に、下部ローラ支持体の縁部側を形成するのが好ましい。それに伴い、下部ローラ支持体の縁部側からの貫通部の簡易なアクセス性が可能となる。これと等価な好ましい方式では、好ましくは差込ボルトが中に挿通される切欠きは、下部ローラ支持体ないしその支持部材に形成されていてよい。
【0019】
調整された位置での少なくとも1つの駆動モータの固定は、原則として任意の方式で行うことができる。本発明の好ましい実施形態によれば、そのために下部ローラ支持体は、下部ローラ支持体を通って延びる、少なくとも1つの駆動モータを調整された位置で固定する少なくとも1つの係止ねじを収容するための少なくとも1つの切欠きを有することが意図される。この実施形態では、調整された位置で駆動モータを固定するために、少なくとも1つのねじが下部ローラ支持体の切欠きを通過するように駆動モータとねじ止めされることが意図され、それにより、駆動モータを、ねじを通じて、調整された位置で下部ローラ支持体にクランプ式に固定することができる。このとき切欠きは、初期位置と最終位置の間で意図される駆動モータのどの位置決めでも駆動モータの固定を行えるように寸法決めされる。
【0020】
これに加えて、本発明の好ましい発展形態に基づいて意図される差込ボルトと保持ボルトの利用は、ドラフト機構の駆動ベルトテンションを調整するために、本発明によるベルト張力調節プライヤを利用することを可能にする。このときベルト張力調節プライヤは、継手ボルトを介して旋回可能に互いに結合された2つのプライヤ半体を有していて、これらの一方の端部はハンドグリップとして構成され、他方の端部は、共同で機能部材対を形成する機能部材をそれぞれ有する。これらの機能部材は同一の運動平面に配置され、プライヤ半体の操作によって互いに近づくように可動である。本発明によるベルト張力調節プライヤについて特徴となるのは、初期応力部材が、保持ボルトと差込ボルトを収容するための差込ブッシュとして構成される、運動平面に対して垂直に延びる機能部材に、定義された初期応力によって互いに近づくように初期応力をかけることである。
【0021】
保持ボルトと差込ボルトを収容するための差込ブッシュを有し、これらによってドラフト機構の駆動モータを付属の下部ローラに対して駆動ベルトテンショニングのために位置調節することができる、本発明によるベルト張力調節プライヤの実施形態は、ベルト張力調節プライヤによる駆動ベルトテンショニングの快適な調整を可能にする。
【0022】
このとき本発明によると、差込ブッシュに互いに近づくように初期応力をかける初期応力部材は、保持ボルトと差込ボルトの間隔、及びこれに伴って下部ローラ支持体での駆動モータの位置決めを規定する。初期応力部材が相応に選択されることで、差込ブッシュを有するベルト張力調節プライヤが付属の保持ボルトと差込ボルトに配置された後、初期応力部材により印加されて駆動ベルトに作用する初期応力に応じて、駆動ベルトテンションが確実な方式で自動式に調整される。ベルト張力調節プライヤが配置された後、プライヤ半体のそれ以外の手動式の位置調節なしに、ベルト張力調節プライヤによって設定される位置で駆動モータを固定することができ、それにより、設定された駆動ベルトテンションのもとで駆動モータの正確な位置決めが実現される。
【0023】
その際に、ベルト張力調節プライヤが保持ボルトと差込ボルトに対して、及びこれに伴って駆動ベルトに対して及ぼす応力と、これに伴う下部ローラ支持体での駆動モータの位置決めとは、初期応力部材により生成される初期応力と、ベルト張力調節プライヤの継手ボルトから差込ブッシュまでの間隔とに依存して規定される。このように、好ましくは初期応力部材の意図された交換可能性によって、ベルト張力調節プライヤにより生成される駆動ベルトテンションの適合化が可能になる。更に、本発明の好ましい実施形態では、機能部材対のそれぞれの機能部材は継手ボルトから等しい間隔をおいて配置されることが意図される。本発明のこの実施形態により、ベルト張力調節プライヤの誤操作に対して特別な方式で予防がなされ、それは、本発明のこの実施形態に基づき、保持ボルトと差込ボルトがどちらの差込ブッシュに配置されても問題ないからである。
【0024】
更に、本発明の別の実施形態では、プライヤ半体の他方の端部に、継手ボルトから少なくとも2つの異なる間隔をおいて、機能部材対が配置されることが意図される。継手ボルトから、少なくとも2つの機能部材対の差込ブッシュまでのそれぞれ異なる間隔に基づき、初期応力部材を交換することなく1つのベルト張力調節プライヤにより、機能部材対の個数に応じてそれぞれ異なる初期応力を保持ボルト及び付属の差込ボルトに伝達することができる。このようにベルト張力調節プライヤの相応の実施形態は、複数の駆動モータがそれぞれ異なる駆動ベルトテンションで作動するドラフト機構において、駆動ベルトテンションを調整するためにこれを単独で使用ことも可能にする。
【0025】
初期応力部材の実施形態は、差込ブッシュが互いに近づくように予め応力をかけられる初期応力を、初期応力部材が生じさせる限りにおいて、原則として自由に選択可能である。そのような初期応力は、たとえばハンドグリップの領域に配置される圧縮ばねによって生成することができる。しかしながら本発明の好ましい実施形態では、初期応力部材は、機能部材対と継手ボルトとの間の領域でプライヤ半体に配置された引張ばねとして構成されることが意図される。引張ばねの使用は、機能部材対の差込ブッシュの定義された初期応力を、特別に簡易かつ確実な方式で保証する。これに加えて、引張ばねは場合により特別に簡易に交換することができ、それにより、さまざまに異なるクランプ力を印加するためにベルト張力調節プライヤを利用することができる。
【0026】
更に本発明は、ドラフト機構の駆動ベルトをテンショニングするためのシステムによって課題を解決し、このシステムは、
-上で説明した本発明に基づく、又は発展形態に基づく、ドラフト機構と、
-上で説明した本発明に基づく、又は発展形態に基づく、ベルト張力調節プライヤと
を有し、
-ベルト張力調節プライヤに配置される差込ブッシュが差込ボルトと保持ボルトに合わせて適合化される。
【0027】
ドラフト機構とベルト張力調節プライヤからなる本発明によるシステムは、下部ローラを駆動モータと結合する駆動ベルトの駆動ベルトテンションの調整を、特別に簡易かつ快適な方式で可能にする。このとき、特に好ましくは、保持ボルトと差込ボルトに配置されるベルト張力調節プライヤが、設定されたベルトテンションで駆動ベルトに初期応力をかけるように、初期応力部材がベルト張力調節プライヤに構成されることが意図される。このようにドラフト機構とベルト張力調節プライヤからなる相応のシステムは、動作のために必要な駆動ベルトテンションを駆動ベルトに与えることを、特別に簡易かつ快適な方式で機械操作者に可能にする。このようにして、ベルト張力調節プライヤが確実なベルトテンションを保証するので、ドラフト機構のセットアップだけでなく、保守や整備も特別に簡易な方式で行うことができる。更にベルト張力調節プライヤは、追加の工具によるベルトテンションの事後的なチェックも不要にする。
【0028】
このとき本発明の好ましい実施形態では、ドラフト機構は、それぞれ下部ローラと結合された1つの駆動モータを有する少なくとも2つのローラ対を有し、ベルト張力調節プライヤは、それぞれ異なるベルトテンションを調整するための2つの機能部材対を有する。本発明のこの実施形態では、ベルト張力調節プライヤにより、継手ボルトからそれぞれ異なる間隔をおいて配置された差込ブッシュを有する両方の機能部材対を介して、それぞれ異なる初期応力を差込ボルトと保持ボルトに対して印加することができる。このことは、駆動ベルトを有するドラフト機構を、互いに相違する必要な駆動ベルトテンションをもって、ベルト張力調節プライヤにより調整することを可能にする。本発明のこの実施形態では、第2の駆動ベルトテンションを調整するために、別個のベルト張力調節プライヤを使用することを省略することができる。
【0029】
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】ドラフト機構の第1の実施形態の模式的な図面での斜視図を示す。
図2】ドラフト機構の第2の実施形態のドラフト機構下側部分の模式的な図面での斜視図を示す。
図3図2のドラフト機構下側部分の模式的な図面での別の斜視図を示す。
図4図2のドラフト機構下側部分の一部の模式的な図面での斜視図を示す。
図5図2のドラフト機構下側部分の第1の駆動モータの模式的な図面での斜視図を示す。
図6図2のドラフト機構下側部分の第2の駆動モータの模式的な図面での斜視図を示す。
図7】1つの実施例に基づくベルト張力調節プライヤの模式的な図面での斜視図を示す。
図8図7のベルト張力調節プライヤとの第1の相互作用における図2のドラフト機構下側部分の模式的な図面での斜視図を示す。
図9図7のベルト張力調節プライヤとの第2の相互作用における図2のドラフト機構下側部分の模式的な図面での斜視図を示す。
【0031】
図1には、ここには図示しない繊維機械の紡績ステーションに付属可能な、係止フック21を介して繊維機械に固定可能であるドラフト機構17が、模式的な斜視図で示されている。ここではドラフト機構17は、ドラフト機構下側部分18aと枢支結合されたドラフト機構上側部分19を有しており、ハンドグリップ20の操作を通じて旋回が行われる。
【0032】
図1に示す動作位置にあるとき、ドラフト機構上側部分19は、ここには図示しないスライバの延在方向にドラフト機構17を通るように相前後して配置された4つの上部ローラをもって、ドラフト機構下側部分18aの対応する従動下部ローラ2a、2bに当接する。
【0033】
ドラフト機構下側部分18bの第2の実施形態が、図2及び3に斜視図で示されている。ドラフト機構下側部分18bは、下部ローラ支持体1の下部ローラ軸受5を介して回転可能なように下部ローラ支持体1にその上面で支承された2つの上部ローラ2a、2bを有している。下部ローラ2a、2bを駆動するために、ドラフト機構下側部分18bは、それぞれ下部ローラ2a、2bに付属する2つの駆動モータ16a、16bを有している。ここでは駆動モータ16a、16bは、下部ローラ支持体1の支持部材1bにある軸受ブッシュ12a、12bを通って延びる継手ボルト11a、11bをそれぞれ介して、支持部材1bに旋回可能に支承されている。支持部材1bはプレート状に構成されており、下部ローラ支持体1の下面1cからこれに対して垂直に延びている。下部ローラ支持体1は、この好ましい実施例では支持部材1bと一体的に構成されており、換言すると、支持部材1bと一体の部品から構成されている。図示しない好ましい実施例では、下部ローラ支持体1と支持部材1bが多部分で構成されていてよく、通常の連結部材ないし結合部材を介して互いに結合ないし連結されていてよい。駆動モータ16a、16bの駆動運動を下部ローラ2a、2bへ伝達するために、それぞれ駆動モータ16a、16bと下部ローラ2a、2bのベルト車4に巻き付く駆動ベルト3a、3bが利用される。これらの駆動ベルトは、それぞれ下部ローラ支持体1の下面1cと上面1bを横切るように、下部ローラ支持体1のそれぞれの貫通部を通って延びる。
【0034】
駆動ベルト3a、3bの駆動ベルトテンションを調整するために、駆動モータ16a、16bは、継手ボルト11a、11bを介して設定される回動軸7a、7bの周りで旋回可能であり、それにより、下部ローラ2a、2bのベルト車4と駆動モータ16a、16bの付属のベルト車4との間隔を調整可能である。
【0035】
このとき下部ローラ支持体1で下部ローラ2a、2bに対する駆動モータ16a、16bの位置を調整するために、支持部材1bに定置に配置された保持ボルト13、並びにそれぞれの保持ボルト13に付属する差込ボルト14が、駆動モータ16a、16bにそれぞれ設けられている。ここでは差込ボルト14が、図2及び3に示す実施例では、長孔9bないし切欠き33を通して、及び図4に示す実施例では支持部材1bの長孔9a、9bを通して突き出しており、保持ボルト13と差込ボルト14が1つの平面に配置されて、互いに平行にアライメントされるようになっている。このとき切欠き33が長孔9bないし長孔9a、9bと相違するのは、切欠き33が支持部材1bの縁部側まで達し、それに伴って支持部材1bないし下部ローラ支持体1の縁部側を構成して、縁部側を介してアクセスを可能にすることによる。このとき駆動モータ16a、16bの位置調節運動は、長孔9a、9bないし切欠き33の長さによって制限される。このとき、保持ボルト13から差込ボルト14までの間隔は、下部ローラ支持体1の支持部材1bにおける駆動モータ16a、16bの位置を定義し、調整された駆動モータ16a、16bの位置は、別の長孔10a、10b、22a、22bを通って突き出してそれぞれの駆動モータ16a、16bの開口部23にねじ込まれる係止ねじ15を通じてそのつど固定され、それにより、駆動モータ16a,16bを調整された位置で支持部材1bにクランプ式に固定することができる(図5及び6を参照)。
【0036】
差込ボルト14が、図4に関して、長孔9a、9bの両方の端部に対して等しい間隔で配置される、図2から4に示す中間位置にあるとき、回動軸7a、7bは付属の駆動モータ16a、16bのそれぞれの駆動シャフト軸8a、8bとともに1つの平面を通って広がり、それにより、駆動シャフト軸8a、8b及び付属の下部ローラ2a、2bの回転軸6a、6bを通って広がる平面に対しては垂直に延び、駆動シャフト軸8a、8bと、回転軸6a、6bと、回動軸7a、7bとが互いに平行に延びる。
【0037】
駆動ベルト3a、3bのベルトテンションを調節するために、図7に斜視図で示すベルト張力調節プライヤ24が利用される。このベルト張力調節プライヤは、継手ボルト25を介して互いに枢着結合された2つのプライヤ半体26a、26bを有している。継手ボルト25の一方では、プライヤ半体26a、26bがそれぞれハンドグリップ27を形成し、それに対して、プライヤ半体26a、26bはハンドグリップ27に向かい合う側では、互いに間隔をおいて配置された、差込ブッシュ28a、28bとして構成される2つの機能部材を有している。機能部材28a、28bは、引張ばね30として構成される初期応力部材によって定義された初期応力で互いに近づくように初期応力をかけられた機能部材対31a、31bをそれぞれ形成する。継手ボルト25から、機能部材対31a、31bの機能部材28a、28bまでのそれぞれ異なる間隔に基づき、機能部材対31a、31bは、差込ボルト28a、28bを介してそれぞれ異なる初期応力を伝達する。
【0038】
差込ブッシュ28a、28bは、ドラフト機構下側部分18bの差込ボルト14と保持ボルト13に合わせて適合化されており、それによりベルト張力調節プライヤ24を、図8及び9に示すように、駆動ベルト3a、3bのベルトテンションの調整のために利用することができる。図8に示す実施例では機能部材対31bが、第2の下部ローラ2bを駆動モータ16bと結合する駆動ベルト3bのベルトテンションを調整するための役目を果たす。第2の駆動ベルト3bのベルト長さとは相違する、第1の駆動ベルト3aのベルト長さに基づき、必要な駆動ベルトテンションをベルト張力調節プライヤ24によって調整するには、それぞれ相違する初期応力が駆動モータ16aの調整のために差込ボルト14と保持ボルト13へ印加されなければならない。この目的のためにベルト張力調節プライヤ24が、機能部材対31aの差込ブッシュ28aをもって、駆動モータ16aに付属する保持ボルト13と差込ボルト14に配置される。
【0039】
初期応力は、継手ボルト25と機能部材対31a、31bとの間の領域でプライヤ半体26a、26bのホルダ32に配置された引張ばね30によって規定される。このとき引張ばね30が交換可能なようにホルダ32に取り付けられ、それにより、引張ばね30の交換を通じて、相違する初期応力を調整するためにベルト張力調節プライヤ24を利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 下部ローラ支持体
1a 支持部材
1b 上面
1c 下面
1d 縁部側
1e 貫通部
2a 第1の下部ローラ
2b 第2の下部ローラ
3a 第1の駆動ベルト
3b 第2の駆動ベルト
4 ベルト縁部
5 下部ローラ軸受
6a、6b 回転軸(下部ローラ)
7a、7b 回動軸
8a、8b 駆動シャフト軸
9a、9b 長孔
10a、10b 別の長孔
11a、11b 継手ボルト
12a、12b 軸受ブッシュ
13 保持ボルト
14 差込ボルト
15 係止ねじ
16a、16b 駆動モータ
17 ドラフト機構
18a、18b ドラフト機構下側部分
19 ドラフト機構上側部分
20 ハンドグリップ
21 係止フック
22a、22b 別の長孔
23 開口部
24 ベルト張力調節プライヤ
25 継手ボルト
26a 第1のプライヤ半体
26b 第2のプライヤ半体
27 ハンドグリップ
28a、28b 機能部材(差込ブッシュ)
30 初期応力部材(引張ばね)
31a、31b 機能部材対
32 ホルダ
33 切欠き
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9