(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082242
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】圧力センサ、圧力センサの着脱システム、および圧力センサの使用
(51)【国際特許分類】
G01L 19/14 20060101AFI20240612BHJP
G01L 19/00 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
G01L19/14
G01L19/00 101
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023193128
(22)【出願日】2023-11-13
(31)【優先権主張番号】22212009
(32)【優先日】2022-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】502281471
【氏名又は名称】キストラー ホールディング アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トーマス カドノー
(72)【発明者】
【氏名】スタニスワフ トマズイック
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA23
2F055FF38
2F055FF45
2F055GG25
(57)【要約】
【課題】流体媒体の圧力測定の圧力センサの提供。
【解決手段】 圧力センサは、取り付け装置、センサ装置およびシール要素を備え、取り付け装置はセンサ装置を保持し、壁部の取り付け穴内に取り付け可能であり、センサ装置は膜およびセンサ素子を備え、流体媒体は取り付け穴を介して取り付け穴に取り付けられた圧力センサの膜と直接接触し、圧力が取り付け穴に取り付けられた圧力センサの膜を介してセンサ素子に作用し、センサ素子は、膜の圧力に依存した変形に関する測定信号を生成し、取り付け穴に取り付けられた圧力センサのシール要素が、第1のシールにおいて、取り付け穴)をセンサ装置のセンサ装置面でシールし、取り付け穴に取り付けられた圧力センサのシール要素が、第2のシールにおいて、取り付け穴を壁部の壁面でシールし、シール部材はトラニオンを備え、センサ装置はソケットを備え、ソケットは形状嵌合によってトラニオンを恒久的に保持する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体媒体(M)の圧力(P)を測定するための圧力センサ(1)であって、
前記圧力センサ(1)は、取り付け装置(2)、センサ装置(3)、およびシール要素(5)を備え、
前記取り付け装置(2)は、前記センサ装置(3)を保持し、壁部(11)の取り付け穴(100)内に取り付け可能であり、
前記センサ装置(3)は、膜(31)およびセンサ素子(33)を備え、
前記流体媒体(M)は、前記取り付け穴(100)を介して前記取り付け穴(100)に取り付けられた前記圧力センサ(1)の前記膜(31)と直接接触し、
前記圧力(P)は、前記取り付け穴(100)に取り付けられた前記圧力センサ(1)の前記膜(31)を介して前記センサ素子(33)に作用し、
前記センサ素子(33)は、前記膜(31)の圧力に依存した変形に関する測定信号を生成し、
前記取り付け穴(100)に取り付けられた前記圧力センサ(1)のシール要素(5)が、第1のシール(5’)において、前記取り付け穴(100)を前記センサ装置(3)のセンサ装置面(32)でシールし、
前記取り付け穴(100)に取り付けられた前記圧力センサ(1)のシール要素(5)が、第2のシール(5’’)において、前記取り付け穴(100)を前記壁部(11)の壁面(106)でシールする、前記圧力センサ(1)において、
前記シール部材(5)は、トラニオン(54)を有し、
前記センサ装置(3)は、ソケット(34)を備え、
前記ソケット(34)は、形状嵌合によって前記トラニオン(54)を恒久的に保持するようになっていることを特徴とする、圧力センサ(1)。
【請求項2】
前記シール要素(5)は、第1のシール要素面(52)を備え、
前記第1のシール要素面(52)は、前記トラニオン(54)上に形成され、
センサ装置面(36)が、前記ソケット(34)内に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の圧力センサ(1)。
【請求項3】
前記圧力センサ(1)は、長手方向軸線(103)を備え、
前記トラニオン(54)は、前記ソケット(34)に軸線方向に挿入されることを特徴とする、請求項1に記載の圧力センサ(1)。
【請求項4】
前記ソケット(34)は、センサ装置設置部(37)を備え、
前記トラニオン(54)は、シール要素設置部(57)を備え、
前記シール要素設置部(57)および前記センサ装置設置部(37)は、前記トラニオン(54)を前記ソケット(34)に挿入するときのガイド手段であることを特徴とする、請求項3に記載の圧力センサ(1)。
【請求項5】
前記ソケット(34)は、ソケットベース(38)を備え、
前記トラニオン(54)は、変形可能であるトラニオンヘッド(58)を備え、
未変形のトラニオンヘッド(58)が前記ソケット(34)に挿入された状態では、前記未変形のトラニオンヘッド(58)と前記ソケットベース(38)との間にトラニオンヘッドオフセット(51)が存在し、
前記トラニオンヘッドオフセット(51)は、前記未変形のトラニオンヘッド(58)を変形させて、変形したトラニオンヘッド(58’)にすることにより解消し、前記変形したトラニオンヘッド(58’)は、前記ソケットベース(38)に平面状に当接し、前記ソケットベース(38)と恒久的な形状嵌合を形成することを特徴とする、請求項3に記載の圧力センサ(1)。
【請求項6】
前記変形したトラニオンヘッドは、塑性変形していることを特徴とする、請求項5に記載の圧力センサ(1)。
【請求項7】
前記第1のシール要素面(52)は、変形可能であり、
未変形の第1のシール要素面(52’)が前記ソケット(34)に挿入された状態では、前記未変形の第1のシール要素面(52’)と前記センサ装置面(32)との間に第1の角度オフセット(53)が存在し、
前記第1の角度オフセット(53)は、前記未変形の第1のシール要素面(52’)を変形させて変形した第1のシール要素面(52)にすることにより解消し、前記変形した第1のシール要素面(52)は、前記センサ装置面(32)に平面状に当接することを特徴とする、請求項3、5、または6のいずれか一項に記載の圧力センサ(1)。
【請求項8】
前記第2のシール要素面(56)は、変形可能であり、
未変形の第2のシール要素面(56)が前記壁面(106)に当接する状態では、前記未変形の第2のシール要素面(56)と前記壁面(106)との間に第2の角度オフセット(55)が存在し、
前記第2の角度オフセット(55)は、前記未変形の第2のシール要素面(56)を変形させて変形した第2のシール要素面(56’)にすることによって解消し、前記変形した第2のシール要素面(56’)は、前記壁面(106)に平面状に当接することを特徴とする、請求項3、5、6、または7のいずれか一項に記載の圧力センサ(1)。
【請求項9】
前記センサ装置(3)は、センサハウジング(35)を備え、
前記膜(31)は、接合部(39)を備え、前記接合部(39)によって前記膜(31)は変形可能になっており、
前記膜(31)は、フランジ(40)を備え、前記フランジ(40)は、前記センサハウジング(35)との材料結合を形成し、
前記ソケット(34)は、前記フランジ(40)に形成されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の圧力センサ(1)。
【請求項10】
前記膜(31)および前記センサハウジング(35)は、金属材料で作られ、
前記材料結合は、溶接線(41)として形成され、前記溶接線(41)は、前記第1のシール(5’)および前記第2のシール(5’’)の前記取り付け穴(100)とは反対側に配置されることを特徴とする、請求項9に記載の圧力センサ(1)。
【請求項11】
前記フランジ(40)は、前記圧力センサ(1)が前記取り付け穴(100)に取り付けられるときに生成されるクランプ力(K)を吸収し、前記クランプ力(K)は、前記壁部(11)から前記シール要素(5)に作用し、前記トラニオン(54)を介して前記フランジ(40)に作用することを特徴とする、請求項9に記載の圧力センサ(1)。
【請求項12】
前記取り付け穴(100)に取り付けられた前記圧力センサ(1)の前記膜(31)および前記シール要素(5)のみが、前記取り付け穴(100)を介して前記流体媒体(M)と直接接触していることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の圧力センサ(1)。
【請求項13】
前記流体媒体(M)は、容器(10)の内部に位置し、前記容器(10)は、壁部(11)を備え、前記壁部(11)は、前記容器(10)を閉鎖し、
前記取り付け穴(100)は、入口(101)を備え、前記入口(101)を介して流体媒体(M)が前記容器(10)の内部から前記取り付け穴(100)に入り、
前記取り付け穴(100)に取り付けられた前記圧力センサ(1)の前記膜(31)は、前記入口(101)に面した前記圧力センサ(1)の端部であることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の圧力センサ(1)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の圧力センサ(1)を着脱するためのシステム(1000)であって、
前記システム(1000)は、壁部(11)を有する容器(10)を備え、
前記壁部(11)は、前記容器(10)の内部を耐圧かつ気密に閉鎖し、
前記流体媒体(M)は、前記圧力(P)下で前記容器(10)の前記内部に位置し、
前記壁部(11)は、取り付け穴(100)を備え、
前記圧力センサ(1)は、前記壁部(11)の前記取り付け穴(100)に取り付けられており、取り外し可能になっていることを特徴とする、システム(1000)。
【請求項15】
前記流体媒体(M)が水素を含むことを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の圧力センサ(1)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の前文に記載の圧力センサに関するものである。本発明は、圧力センサの着脱システム、および圧力センサの使用にも関するものでもある。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、内燃機関内の燃料および空気などの流体媒体の圧力を測定するための圧力センサを提示している。燃料が大気中の酸素とともに燃焼すると、内燃機関の燃焼室内には、200MPa以上の圧力が発生する。内燃機関をできるだけ効率的に動作させるために、燃焼室内の圧力が測定され、大気中の酸素による燃料の燃焼を制御または調整するためのパラメータとして使用される。
【0003】
特許文献1の圧力センサを燃焼室に着脱するために、燃焼室の壁部は、雌ねじを有する取り付け穴を備えている。圧力センサは、中空の取り付けねじとセンサ装置を備えている。中空の取り付けねじは、センサ装置を保持するための空洞と、雌ねじにねじ込むための雄ねじを備えている。壁部の雌ねじに雄ねじを介してこのように取り付けられた圧力センサは、流体媒体と直接接触する。
【0004】
特許文献1のセンサ装置は、センサハウジング、膜、シール面、およびセンサ素子を備える。センサハウジング、膜、およびシール面は、一体的に形成される。センサハウジングは、センサハウジングの第1の端部と第2の端部との間で長手方向軸線に沿って延在するチャネルを備える中空の円筒形状である。取り付け穴に向かう第1の端部では、流体媒体がチャネルに入ることができるように、チャネルは開いている。取り付け穴とは反対側の第2の端部には、膜が配置されている。膜は、薄く変形可能である。チャネルとは反対側の膜の側に、センサ素子が配置される。センサ素子は、ひずみゲージである。流体媒体の圧力の影響下で膜が変形し、ひずみゲージは、圧力に依存した膜の変形の測定信号を生成する。
【0005】
流体媒体が取り付け穴を介して燃焼室から漏れるのを防ぐために、特許文献1の圧力センサは、第1および第2のシール要素面を有する円盤状のシール要素を有する。シール要素は、その第1のシール要素面により、取り付け穴のシール面上に載置される。圧力センサの取り付け状態では、第1のシール要素面が取り付け穴のシール面に押し付けられ、センサハウジングの第1の端部に配置されたセンサ装置のシール面が第2のシール要素面に押し付けられる。
【0006】
燃焼室内は高温であるため、特許文献1のセンサ素子は、温度が比較的低いチャネルの第2の端部の燃焼室からできるだけ遠くに配置されている。しかしながら、センサ装置のシール面は、燃焼室に近いチャネルの第1の端部に配置される。これの不利な点は、チャネル内の圧力により音響振動が発生し、測定信号が改ざんされる可能性があることである。
【0007】
特許文献1の圧力センサを取り付け穴に着脱するたびに、シール要素のシール要素面と、取り付け穴とセンサ装置のシール面との両方が損傷する危険性がある。これは、中空取り付けねじの雄ねじを壁部の雌ねじにねじ込んだり外したりするために中空取り付けねじに適用される工具が傾いて、シール面に過度に高いクランプ力が発生する可能性があるためである。過度に高いクランプ力は、次いでシール面の塑性変形を引き起こし、その結果、取り付け穴内の圧力センサのシールの気密性が不可逆的に損なわれることになる。
【0008】
特許文献1の圧力センサでは、センサハウジング、膜、およびセンサ装置のシール面、ならびに円盤状のシール要素は、流体媒体と直接接触しており、金属材料で作られている。流体媒体が水素を含有する場合、流体媒体からの水素が金属材料に浸透し、金属材料に水素脆化を引き起こす可能性がある。水素脆化は、金属材料の延性と強度の変化である。水素脆化は、脆性破壊による亀裂および圧力センサの故障につながる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、安価に製造でき、可能な限り正確に圧力を測定でき、取り付け穴への着脱が容易かつ迅速に行え、取り付け穴内のシールが着脱中に損傷する危険性が低減され、水素脆化に対する耐性が改善された圧力センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらの目的の少なくとも1つは、独立請求項の構成によって解決される。
【0012】
本発明は、流体媒体の圧力を測定するための圧力センサであって、圧力センサは、取り付け装置、センサ装置、およびシール要素を備え、取り付け装置は、センサ装置を保持し、壁部の取り付け穴内に取り付け可能であり、センサ装置は、膜およびセンサ素子を備え、流体媒体は、取り付け穴を介して取り付け穴に取り付けられた圧力センサの膜と直接接触し、圧力は、取り付け穴に取り付けられた圧力センサの膜を介してセンサ素子に作用し、センサ素子は、膜の圧力に依存した変形に関する測定信号を生成し、取り付け穴に取り付けられた圧力センサのシール要素が、第1のシールにおいて、取り付け穴をセンサ装置のセンサ装置面でシールし、取り付け穴に取り付けられた圧力センサのシール要素が、第2のシールにおいて、取り付け穴を壁部の壁面でシールし、シール部材は、トラニオンを有し、センサ装置は、ソケットを備え、ソケットは、形状嵌合によってトラニオンを恒久的に保持する、圧力センサに関するものである。
【0013】
特許文献1とは対照的に、本発明によれば、シール要素は、センサ装置によって恒久的に保持される。「恒久的な」という形容詞は、一度形成された形状嵌合が圧力センサの寿命の間持続することを意味する。したがって、シール要素は、圧力センサとともに取り付け穴内に着脱可能であり、圧力センサの着脱が簡素化される。また、圧力センサの着脱中に、シール要素とセンサ装置の表面によって形成された第1のシールは取り外されず、これは第1のシールの時間的に一貫した品質を保証し、なぜなら、シールを元の状態に戻すたびに、シール面は損傷する可能性があり、シールの気密性が損なわれる可能性があるからである。圧力センサを使用して水素を含有する流体媒体の圧力を測定する場合、第1のシールが取り外されず、その結果として第1のシールの気密性が維持されることにより、水素を含有する流体媒体から水素が漏れるのを防ぐこともできる。
【0014】
本発明に係る圧力センサの有利な改良形態は、従属請求項に列挙されている。
【0015】
有利な一改良形態では、シール要素は、第1のシール要素面を有し、第1のシール要素面は、トラニオン上に形成され、センサ装置面が、ソケット内に形成される。
【0016】
これには、第1のシール要素の表面とセンサ装置の表面とによって形成される第1のシールが、シール要素とセンサ装置との間の形状嵌合の位置で生じ、この形状嵌合により、第1のシールの時間的に一貫した品質が保証されるという利点がある。
【0017】
有利な一改良形態では、圧力センサは、長手方向軸線を有し、トラニオンは、ソケットに軸線方向に挿入される。
【0018】
圧力センサと壁部は、長手方向軸線に対して回転対称である。トラニオンをソケットに軸線方向に挿入することで、ソケットとトラニオンとの間の形状嵌合の形成が容易になる。
【0019】
有利な一改良形態では、ソケットは、センサ装置設置部を備え、トラニオンは、シール要素設置部を備え、シール要素設置部およびセンサ装置設置部は、トラニオンをソケットに挿入する際のガイド手段である。
【0020】
これらのガイド手段は、ソケットとトラニオンとの間の形状嵌合の形成も容易にする。
【0021】
有利な一改良形態では、ソケットは、ソケットベースを備え、トラニオンは、変形可能なトラニオンヘッドを備え、未変形のトラニオンヘッドがソケットに挿入された状態では、未変形のトラニオンヘッドとソケットベースとの間にトラニオンヘッドオフセットが存在し、トラニオンヘッドオフセットは、未変形のトラニオンヘッドを変形させて変形したトラニオンヘッドにすることによって解消し、変形したトラニオンヘッドは、ソケットベースに平面状に当接し、ソケットベースと恒久的な形状嵌合を形成する。
【0022】
したがって、変形可能なトラニオンヘッドを変形させることによってソケットに挿入された変形可能なトラニオンヘッドによって形状嵌合が形成される。この目的に必要な力は、圧力センサの取り付け時に簡単に発生させることができる。この力は、取り付け装置の雄ねじを介して壁部の雌ねじに圧力センサをねじ込むことによって発生させることができる。
【0023】
有利な一改良形態では、変形したトラニオンヘッドは、塑性変形している。
【0024】
変形したトラニオンヘッドの塑性変形は可逆的ではない。つまり、変形したトラニオンヘッドとソケットベースの間の恒久的な形状嵌合は、トラニオンヘッドとソケットベースを損傷または破壊することによってのみ再び分離できる。したがって、恒久的な形状嵌合は、非常に耐久性があり、取り付け穴内での圧力センサの多数回の着脱が可能になる。
【0025】
有利な一改良形態では、第1のシール要素面は、変形可能であり、未変形の第1のシール要素面がソケットに挿入された状態では、未変形の第1のシール要素の表面とセンサ装置面との間に第1の角度オフセットが存在し、第1の角度オフセットは、未変形の第1のシール要素面を変形させて変形した第1のシール要素面にすることにより解消し、変形した第1のシール要素面は、センサ装置面に平面状に当接する。
【0026】
したがって、センサ装置面との第1のシール要素面の第1のシールは、変形可能な第1のシール要素面をセンサ装置面の形状に成形することによって変形可能な第1のシール要素面を変形させることによってその場で形成される。したがって、変形可能な第1のシール要素面は、センサ装置面の形状に正確に適合する。また、圧力センサを取り付けることで、これに必要な力を容易に発生させることができる。この力は、取り付け装置の雄ねじを介して壁部の雌ねじに圧力センサをねじ込むことによって発生させることができる。
【0027】
有利な一改良形態では、第2のシール要素面は、変形可能であり、未変形の第2のシール要素面が壁面に当接する状態では、未変形の第2のシール要素面と壁面との間に第2の角度オフセットが存在し、第2の角度オフセットは、未変形の第2のシール要素面を変形させて変形した第2のシール要素面にすることによって解消し、変形した第2のシール要素面は、壁面に平面状に当接する。
【0028】
また、シール要素と壁部との間の第2のシールの形成は、変形可能な第2のシール要素面を壁面の形状に形成することによって変形可能な第1のシール要素面を変形させることによってその場で形成される。したがって、変形可能な第2のシール要素面は、壁面の形状に正確に適合する。この目的に必要な力は、圧力センサを取り付けると簡単に発生させることができる。この力は、取り付け装置の雄ねじを介して壁部の雌ねじに圧力センサをねじ込むことによって発生させることができる。
【0029】
別の有利な一改良形態では、センサ装置は、センサハウジングを備え、膜は、ヒンジを備え、ヒンジによって膜は変形可能であり、膜は、フランジを備え、フランジは、センサハウジングとの材料結合を形成し、ソケットは、フランジに形成されている。
【0030】
したがって、膜およびセンサハウジングは、特許文献1の圧力センサとは異なり、複数の部品で製造され、材料結合によって互いに接合され、これは、製造コストが安価である。
【0031】
別の有利な一改良形態では、フランジは、圧力センサが取り付け穴に取り付けられるときに生成されるクランプ力を吸収し、クランプ力は、壁部からシール要素に作用し、トラニオンを介してフランジに作用する。
【0032】
したがって、クランプ力は、膜のフランジによって吸収され、膜の接合部には到達しない。膜のフランジは、センサハウジングとの材料結合を形成するために、センサハウジングの厚さと同等の厚さを有する。一方、接合部は、フランジよりも薄い。通常、フランジは、接合部よりも1桁厚い。したがって、クランプ力は、センサ装置の機械的に安定した材料の太さによって吸収され、接合部の機械的に敏感な材料の薄さを損傷することはない。
【0033】
別の有利な一改良形態では、膜およびセンサハウジングは、金属材料で作られ、材料結合は、溶接線として形成され、溶接線は、第1のシールおよび第2のシールの取り付け穴とは反対側に配置される。
【0034】
センサハウジングおよび膜の金属材料の構造と比較して、流体媒体の水素は、溶接線を介して金属材料内に非常に迅速かつ容易に浸透し、水素脆化を引き起こす可能性がある。しかしながら、溶接線は、第1のシールおよび第2のシールの取り付け穴とは反対側に配置されているため、流体媒体の水素は、溶接線に到達することができず、したがって溶接線を介して金属材料に浸透する可能性はない。
【0035】
別の有利な一改良形態では、流体媒体は容器内に位置し、容器は、壁部を備え、壁部は、容器を閉鎖し、取り付け穴は、入口を備え、入口を介して流体媒体が容器の内部から取り付け穴に入り、取り付け穴に取り付けられた圧力センサの膜は、入口に面した圧力センサの端部である。
【0036】
特許文献1の圧力センサでは、膜がセンサハウジング内のチャネルの端部に配置されているが、本発明の膜は、圧力センサの最前端に位置する。したがって、チャネルが存在しないため、測定信号を改ざんする可能性のある音響振動はない。
【0037】
別の有利な改良形態では、取り付け穴に取り付けられた圧力センサの膜およびシール要素のみが、取り付け穴を介して流体媒体と直接接触する。
【0038】
したがって、圧力センサの2つの構成要素のみが流体媒体と直接接触しており、特にセンサハウジングは流体媒体と接触していない。これは、水素を含有する流体媒体にとって特に重要であり、なぜなら、膜およびシール要素の材料だけが耐水素性を備えている必要があるため、圧力センサを低コストで製造できるからである。
【0039】
以下に、本発明を、図面を参照して例としてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】壁部11内のセンサ装置3およびシール要素5を備える圧力センサ1の一部の縦断面図を示す。
【
図2】トラニオンヘッド58および第1のシール要素面52の変形前の、センサ装置3およびシール要素5の領域における
図1に係る圧力センサ1の拡大断面図を示す。
【
図3】トラニオンヘッド58および第1のシール要素面52の変形後の、センサ装置3およびシール要素5の領域における
図2に係る圧力センサ1の拡大断面図を示す。
【
図4】第2のシール要素面56の変形前の、シール要素5および壁部11の領域における
図1に係る圧力センサ1の拡大断面図を示す。
【
図5】第2のシール要素面56の変形後の、シール要素5および壁部11の領域における
図4に係る圧力センサ1の拡大断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図中、同一のものには、同一の符号が付されている。
【0042】
図1の縦断面図に示される圧力センサ1は、流体媒体Mの圧力Pを測定するために使用される。流体媒体Mは、気体または液体とすることができる。圧力Pは、最大1000barまで可能である。流体媒体Mは、水素を含有してもよい。以下において、水素を含有する流体媒体Mは、少なくとも1体積パーセント(vol%)の水素を含有する流体媒体Mであると理解される。
【0043】
流体媒体Mは、容器10内に位置する。容器10は、内燃機関の燃焼室、圧力容器等であってもよい。容器10は、壁部11を備える。この壁部11は、容器10を閉鎖する。壁部11は、耐圧性および気密性を有し、すなわち、容器10の耐用期間中および容器10の許容動作条件下では、壁部11は、圧力Pに対して耐久性があり、無視できる量の流体媒体Mしか漏れないことを可能にする。本発明の目的のために、気密性壁部11は、ヘリウムに関して10-6mbar・l/s未満の漏洩速度を有する。壁部11は、ステンレス鋼、繊維強化プラスチック等の耐久性のある材料で作られている。
【0044】
圧力センサ1および壁部11は、長手方向軸線103およびそれに垂直な横断面104に関して示されている。圧力センサ1および壁部11は、長手方向軸線103に関して回転対称である。以下では、圧力センサ1の構成要素を、長手方向軸線103に沿った軸線方向および長手方向軸線103に垂直な半径方向で説明する。
【0045】
壁部11は、取り付け穴100を備える。取り付け穴100は、貫通孔である。取り付け穴100は、流体媒体Mが容器10の内部から取り付け穴100に入る入口101を備える。入口101は、容器に近い取り付け穴100の領域内に位置する。取り付け穴100は、壁面106を有する。壁面106は、容器に近い取り付け穴100の領域内にも位置する。容器10からさらに離間すると、壁面106は、取り付けセクション105に入る。取り付けセクション105において、取り付け穴100は、雌ねじ107を備える。雌ねじ107は、圧力センサ1を取り付け穴100に取り付けるために使用される。したがって、取り付け穴100は、容器10の内部から取り付け穴100内に取り付けられた圧力センサ1まで軸線方向に延在する。圧力センサ1を取り付け穴100に取り付けることにより、取り付け穴100は、取り付けセクション105の領域内に取り付け間隙102を形成する。入口101に面する圧力センサ1の端部は、取り付け穴100内の流体媒体Mおよび圧力Pにさらされ、入口101とは反対側の圧力センサ1の端部は、容器10の環境0内にある。容器10の環境0では、大気圧が支配的である。容器10および取り付け穴100に取り付けられた圧力センサ1は、システム1000を形成する。
【0046】
圧力センサ1は、取り付け装置2とセンサ装置3を備えている。
【0047】
取り付け装置2は、中空の円筒形状であり、例えば、純金属、ニッケル合金、コバルト合金、鉄合金等の耐久性のある金属材料で作られている。取り付け装置2は、特許文献1から知られるように、中空の取り付けねじであってもよい。取り付け装置2は、センサ装置3を保持する。したがって、取り付け装置2は、形状嵌合を介してセンサ装置3を保持することができる。取り付け装置2は、雌ねじ107内に固定するための雄ねじ27を有する。圧力センサ1を取り付け穴100に取り付けるには、雄ねじ27を雌ねじ107にねじ込む。これにより、クランプ力が発生する。取り付け穴100内への圧力センサ1の取り付けは可逆的であり、すなわち、取り付けられた圧力センサ1を、雄ねじ27を介して雌ねじ107から取り外すことができる。
【0048】
センサ装置3は、膜31とセンサハウジング35とを備える。センサハウジング35は、中空円筒形状である。膜31は、円盤状である。膜31およびセンサハウジング35は、例えば、純金属、ニッケル合金、コバルト合金、鉄合金などの耐久性のある金属材料から作られる。好ましくは、膜31およびセンサハウジング35は、材料結合によって互いに接合される。
図1の縦断面図では、材料結合は、長手方向軸線103の周りに360°延在する溶接線41として形成されている。
【0049】
取り付け穴100に取り付けられる圧力センサ1の膜31は、入口101に面する圧力センサ1の端部である。したがって、膜31は、取り付け穴100の流体媒体Mと直接接触する。
【0050】
入口101に面する膜31の面は、横断面104内に位置する。横断面104は、取り付け穴100に取り付けられた圧力センサ1のセンサ装置3を入口101に向かう方向に限定する。
図1~
図3の縦断面図では、取り付け穴100は、軸線方向において横断面104の上方に位置し、センサ装置3の構成要素は、軸線方向において横断面104の下方に位置する。
【0051】
膜31およびセンサハウジング35は、凹部30を囲んでいる。センサハウジング35は、半径方向において膜31の外側に位置し、軸線方向において膜31の下方に位置する。膜31は、センサハウジング35上に支持されている。したがって、凹部30は、膜31およびセンサハウジング35によって取り付け穴100の流体媒体Mから分離される。
【0052】
センサ装置3は、センサ素子33を備える。センサ素子33は、測定すべき圧力Pに対する測定信号を生成する働きをする。センサ素子33は、凹部30内に配置されている。センサ素子33は、圧電センサ素子またはピエゾ抵抗センサ素子とすることができる。
【0053】
圧力Pは、膜31を介してセンサ素子33に作用する。膜31は、特定の領域で薄く、変形可能である。膜31は、パンチ36、接合部39、フランジ40を備える。長手方向軸線103の領域では、膜31は、パンチ36として形成される。このパンチ36は、測定すべき圧力5をセンサ素子33に均一に導入するために機能する。このため、パンチ36は、軸線方向に厚くなる材料を形成し、それによって、センサ素子33に向かう途中で膜31に局所的に作用する圧力ピークを補償する。半径方向では、パンチ36は、接合部39に入る。接合部39は、膜31の変形を許容する。したがって、接合部39は、軸線方向に薄肉に形成されている。接合部39は、軸線方向に200μm未満の厚さを有してもよい。接合部39は、長手方向軸線103から一定の半径方向距離に配置され、この半径方向距離でパンチ36の周りに360°延在する。半径方向では、接合部39は、パンチ36とは反対側の領域でフランジ40内に入る。フランジ40では、この溶接線41とセンサハウジング35とが溶接される。したがって、フランジ40は、軸線方向に肉厚となる材料を形成する。フランジ40は、軸線方向に2mmを超える厚さを有していてもよい。したがって、フランジ40は、接合部39よりも軸線方向に一桁厚い。結果として、フランジ40は、センサハウジング35の厚さと同等の厚さを有し、それにより、溶接線41を溶接するとき、フランジ40およびセンサハウジング35は等しい量の熱を吸収し、これらのいずれかが、溶接線41の寿命に有害な過剰加熱をされることはない。
【0054】
センサ素子33は、パンチ36の長手方向軸線103上の入口101とは反対側の膜31の面に配置されている。圧力Pの影響下で、膜31は、接合部39の領域で変形し、それによってパンチ36がセンサ素子33を軸線方向に押す。この変形中、接合部39は、フランジ40を介してセンサハウジング35に支持されている。
【0055】
センサ素子33は、膜31の圧力に依存した変形に関する測定信号を生成する。測定信号は、作用圧力Pに比例する。圧電センサ素子は、測定信号として電荷量を生成する。ピエゾ抵抗センサ素子は、測定信号として電圧を生成する。
【0056】
圧力センサ1は、中空円筒形のシール要素5を備える。取り付け穴100に取り付けられた圧力センサ1のシール要素5は、流体媒体Mが容器10から取り付け穴100を介して容器10の環境0に漏れるのを防ぐように機能する。シール要素5は、センサ装置3と壁部11との間の長手方向軸線103上の入口101に面する膜31の側に配置される。シール要素5は、長手方向軸線103の領域に供給部50を備える。この供給部50は、貫通孔である。供給部50は、入口101から膜31まで軸線方向に延在する。流体媒体Mは、入口101から供給部50を介して膜31へと通過する。シール要素5は、例えば、純金属、ニッケル合金、コバルト合金、鉄合金等の耐久性のある金属材料から作られる。
【0057】
センサ装置3は、形状嵌合によってシール要素5を恒久的に保持する。この目的のために、センサ装置3は、ソケット34を備え、シール要素5は、トラニオン(差込部)54を備える。トラニオン54は、シール要素5をセンサ装置3の方向に閉じ込める。トラニオン54は、ソケット34に軸線方向に挿入される。
【0058】
好ましくは、このソケット34は、フランジ40に形成される。半径方向において、ソケット34は、パンチ36の外側のフランジ40に形成される。軸線方向において、ソケット34は、横断面104の下方に形成される。このソケット34は、長手方向軸線103から一定の半径方向距離でフランジ40内に配置され、この半径方向距離で膜31の周りに360°延在する。
【0059】
好ましくは、ソケット34は、溝状であり、センサ装置設置部37、ソケットベース38、およびセンサ装置面32を備える。ソケットベース38は、センサ装置設置部37の半径方向外側に形成されており、このセンサ装置面32は、ソケットベース38の半径方向外側に形成されている。
図1~
図3の縦断面図において、ソケットベース38は、135°±10°の円弧の形状を有する。長手方向軸線103に関して半径方向内方にあるソケットベース38の端部は、センサ装置設置部37に入り、長手方向軸線103に関して半径方向外方にあるソケットベース38の端部は、センサ装置面32に入る。センサ装置設置部37は、長手方向軸線103と実質的に平行に延在し、センサ装置面32は、円錐形である。センサ装置面32は、長手方向軸線103に対して45°±10°の角度で延在する。
【0060】
トラニオン54は、供給部50の径方向外側のシール要素5上に形成されている。このトラニオン54は、長手方向軸線103から一定の半径方向距離に配置され、好ましくは、この半径方向距離で供給部50の周りに360°延在する。
【0061】
トラニオン54は、好ましくは、シール要素設置部57、トラニオンヘッド58、および第1のシール要素面52を備える。トラニオンヘッド58は、シール要素設置部57の半径方向外側に形成され、第1のシール要素面52は、トラニオンヘッド58の半径方向外側に形成されている。
図1~
図3の縦断面図において、トラニオンヘッド58は、135°±10°の円弧の形状を有する。長手方向軸線103に関して半径方向内方にあるトラニオンヘッド58の端部は、シール要素設置部57に入り、長手方向軸線103に関して半径方向外方にあるトラニオンヘッド58の端部は、第1のシール要素面52に入る。シール要素設置部57は、長手方向軸線103と実質的に平行に延在し、第1のシール要素面52は、円錐形である。第1のシール要素面52は、長手方向軸線103に対して45°±10°の角度で延在する。
【0062】
シール要素設置部57およびセンサ装置設置部37は、トラニオン54をソケット34に挿入する際のガイド手段として機能する。この目的のために、シール要素設置部57およびセンサ装置設置部37は、
図1~
図3の縦断面図において平面状に互いに当接する。
【0063】
シール要素5の材料は、膜31の材料と比較して、圧縮強度が低い。また、シール要素5および膜31の相互作用する構成要素の形状は、トラニオンヘッド58の形状がソケットベース38の形状よりも変形に抵抗しにくく、かつ第1のシール要素面52の形状がセンサ装置面32の形状よりも変形に抵抗しにくくなるように選択される。
【0064】
したがって、このトラニオンヘッド58は、変形可能である。
図1および
図2の縦断面図では、未変形のトラニオンヘッド58がソケット34に挿入されており、
図2によれば、トラニオンヘッド58とソケットベース38との間にトラニオンヘッドオフセット51が存在する。ソケット34に挿入されたトラニオン54のトラニオンヘッド58は、軸線方向において横断面104よりも下方に位置する。トラニオンヘッドオフセット51は、変形前のトラニオンヘッド58がソケットベース38に平面状に当接していない間隙である。未変形のトラニオンヘッド58を変形させて、
図3に係る変形したトラニオンヘッド58’にした後にのみ、変形したトラニオンヘッド58’は、ソケットベース38に平面状に当接する。変形したトラニオンヘッド58’を形成するために必要な力は、圧力センサ1の取り付け中に発生する。有利には、この力は、雄ねじ27を介して圧力センサ1を雌ねじ107にねじ込むことによって生成される。変形したトラニオンヘッド58’は、塑性変形している、すなわち、その変形は可逆的ではなく、圧力センサ1が外されるとき、変形したトラニオンヘッド58’の変形は持続する。変形したトラニオンヘッド58’は、ソケットベース38と恒久的な形状嵌合を形成し、この形状嵌合は、トラニオンヘッド58およびソケットベース38を損傷または破壊することによってのみ再び分離することができる。
【0065】
第1のシール要素面52およびセンサ装置面32は、取り付け間隙102に対して取り付け穴100の第1のシール5’を形成し、流体媒体Mが取り付け穴100から供給ライン50を通って取り付け間隙102へ漏れて容器10の環境0に入るのを防止する。第1のシール要素面52も、変形可能である。
図1および
図2の縦断面図では、未変形の第1のシール要素面52とセンサ装置面32は、互いに接触しており、
図2によれば、未変形の第1のシール要素面52とセンサ装置面32との間に第1の角度オフセット53が存在する。第1の角度オフセット53は、未変形の第1のシール要素面52が平面状にセンサ装置面32に当接していない間隙である。未変形の第1のシール要素面52を変形させて
図3に係る変形した第1のシール面52’にした後のみ、変形した第1のシール要素面52’は、センサ装置面32に平面状に当接し、第1のシール5’が形成される。未変形の第1のシール要素面52の変形はその場で起こり、したがって、変形可能な第1のシール要素面52は、センサ装置面32の形状に正確に適合する。変形した第1のシール要素面52’を形成するのに必要な力は、圧力センサ1の取り付け中に発生する。有利には、この力は、雄ねじ27を介して圧力センサ1を雌ねじ107にねじ込むことによって生成される。変形した第1のシール要素面52’は、塑性変形している、すなわち、その変形は可逆的ではなく、圧力センサ1が雄ねじ27を介して雌ねじ107から外されるとき、変形した第1のシール要素面52’の変形は持続する。
【0066】
シール要素5は、第2のシール要素面56を備える。第2のシール要素面56は、シール要素5を壁部11に向かう方向に閉じ込める。第2のシール要素面56は、壁面106と協働する。第2のシール要素面56および壁面106は、円錐形である。第2のシール要素面56および壁面106は、取り付け間隙102に対して取り付け穴100の第2のシール5’’を形成し、流体媒体Mが取り付け穴100から取り付け間隙102へ漏れて容器10の環境0に入るのを防止する。
【0067】
第2のシール要素面56もまた、変形可能である。
図1および
図4の縦断面図において、未変形の第2のシール要素面56と壁面106は、互いに当接しており、
図4によれば、未変形の第2のシール要素面56と壁面106との間に第2の角度オフセット55が存在する。第2の角度オフセット55は、変形されていない第2のシール要素面56が壁面106に平面状に当接していない間隙である。未変形の第2のシール要素面56を変形させて
図5に係る変形した第2のシール要素面56’にした後にのみ、変形した第2のシール要素面56’は、壁面106に平面状に当接し、第2のシール5’’が形成される。未変形の第2のシール要素面56の変形は、その場で起こり、したがって、変形可能な第2のシール要素面56は、壁面106の形状に正確に適合する。変形した第2のシール要素面56’を形成するのに必要な力は、圧力センサ1の取り付け中に生成される。有利には、この力は、雄ねじ21を介して雌ねじ107に圧力センサ1をねじ込むことによって生成される。変形した第2のシール要素面56’は、塑性変形している、すなわち、その変形は可逆的ではなく、雄ねじ27を介して圧力センサ1が雌ねじ107から外された後も、変形した第2のシール要素面56’の変形は持続する。
【0068】
フランジ40はまた、圧力センサ1が取り付け穴100に取り付けられるときに生成され、トラニオン54を介してフランジ40に作用するクランプ力Kを吸収する。
図1の縦断面図において、クランプ力は、壁部11の壁面106からシール要素5の第2のシール要素面56に作用し、シール要素5内でトラニオン54に伝達される。
【符号の説明】
【0069】
0 環境
1 圧力センサ
2 取り付け装置
27 雄ねじ
3 センサ装置
30 凹部
31 膜
32 センサ装置面
33 センサ素子
34 ソケット
35 センサハウジング
36 パンチ
37 センサ装置設置部
38 ソケットベース
39 接合部
40 フランジ
41 溶接線
5 シール要素
5’ 第1のシール
5’’ 第2のシール
50 供給部
51 トラニオンヘッドオフセット
52 未変形の第1のシール要素面
52’ 変形した第1のシール要素面
53 第1の角度オフセット
54 トラニオン
55 第2の角度オフセット
56 未変形の第2のシール要素面
56’ 変形した第2のシール要素面
57 シール要素設置部
58 未変形のトラニオンヘッド
58’ 変形したトラニオンヘッド
10 容器
11 壁部
100 取り付け穴
101 入口
102 取り付け間隙
103 長手方向軸線
104 横断面
105 取り付け部
106 壁面
107 雌ねじ
1000 システム
K クランプ力
M 流体媒体
P 圧力
【外国語明細書】