(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082247
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】プラズマ支援を用いた液体金属ジェット印刷のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B22D 23/00 20060101AFI20240612BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240612BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240612BHJP
B22F 10/20 20210101ALI20240612BHJP
【FI】
B22D23/00 E
B33Y10/00
B33Y30/00
B22F10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】30
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023197906
(22)【出願日】2023-11-22
(31)【優先権主張番号】18/063,030
(32)【優先日】2022-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ブラード
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ワイ.マエダ
(72)【発明者】
【氏名】ウォーレン ジャクソン
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ケイ.ビーゲルセン
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018AA03
4K018AA06
4K018AA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】プラズマ支援を用いた液体金属ジェット3D印刷システムおよび方法を提供する。
【解決手段】3D印刷システム100は、造形材料を受け取るように構成されたエジェクタ110を含む。エジェクタ110は、ノズル114を含む。エジェクタ110は、造形材料120の複数の液滴124をノズル114を通して吐出するように構成されている。3D印刷システム110はまた、ノズル114の下方に配置された基材140を含む。滴は、ノズル114から吐出された後に基材140に向かって落下する。滴は、基材140上に3D物体126を形成する。3D印刷システム110はまた、交流電流を発生させるように構成された電源132を含む。3D印刷システム110はまた、交流電流を受け取ることに応答してプラズマを発生させるように構成された電極を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
造形材料を受け取るように構成されたエジェクタであって、ノズルを備え、かつ前記造形材料の複数の液滴を前記ノズルを通して吐出するように構成されている、エジェクタと、
前記ノズルの下方に配置された基材であって、前記液滴が、前記ノズルから吐出された後に前記基材に向かって落下し、かつ前記基材上に3D物体を形成する、基材と、
交流電流を発生させるように構成された電源と、
前記交流電流を受け取ることに応答してプラズマを発生させるように構成された電極と、
を備える3D印刷システムであって、前記液滴、前記3D物体、前記基材、又はこれらの組み合わせが、前記プラズマ内に少なくとも部分的に配置される、
3D印刷システム。
【請求項2】
前記造形材料が、約700℃以上の融点を有する金属を含む、請求項1に記載の3D印刷システム。
【請求項3】
前記造形材料が、銅、黄銅、チタン、ニッケル、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の3D印刷システム。
【請求項4】
前記プラズマが、前記3D物体を局所的に加熱して、前記3D物体の第1の部分の温度を約800℃~約1800℃に上昇させる、請求項1に記載の3D印刷システム。
【請求項5】
前記3D物体の第2の部分が、約20℃~約250℃の温度を有する、請求項4に記載の3D印刷システム。
【請求項6】
前記プラズマが、前記3D物体から酸化物を除去する、請求項1に記載の3D印刷システム。
【請求項7】
前記3D印刷システムが、前記エジェクタ及び前記基材の周囲にエンクロージャを備えない、請求項1に記載の3D印刷システム。
【請求項8】
前記液滴が前記ノズルから吐出されるときに、前記エジェクタ、前記基材、前記液滴、及び前記3D物体が真空環境内にない、請求項1に記載の3D印刷システム。
【請求項9】
前記液滴が前記ノズルから吐出されるときに、前記基材が、前記3D物体に熱を導入しない、請求項1に記載の3D印刷システム。
【請求項10】
前記液滴が前記ノズルから吐出されるときに、前記ノズル、前記液滴、前記3D物体、又はこれらの組み合わせの周囲に不活性ガスも窒素ガスも導入されない、請求項1に記載の3D印刷システム。
【請求項11】
造形材料を受け取るように構成されたエジェクタであって、前記造形材料が、金属を含み、前記金属が、銅、黄銅、チタン、ニッケル、又はこれらの組み合わせを含む、エジェクタと、
前記エジェクタの周囲に少なくとも部分的に配置された加熱要素であって、前記エジェクタ内で前記造形材料を固体状態から液体又は溶融状態に加熱するように構成されている、加熱要素と、
前記エジェクタの周囲に少なくとも部分的に配置されたコイルと、
前記コイルに複数のパルスを送るように構成された第1の電源であって、前記コイルが、各パルスに応答して前記造形材料の液滴を前記エジェクタのノズルから吐出させる、第1の電源と、
前記ノズルの下方に配置された基材であって、前記液滴が、前記ノズルから吐出された後に前記基材に向かって落下し、かつ前記基材上に3D物体の少なくとも一部を形成する、基材と、
前記エジェクタと前記基材との間に少なくとも部分的に配置された電極と、
前記電極に交流電流を送るように構成された第2の電源と、
を備える3D印刷システムであって、前記電極が、前記交流電流に応答してプラズマを発生させ、前記プラズマが、前記3D物体を局所的に加熱して、前記3D物体の第1の部分の温度を約800℃~約1800℃に上昇させ、前記3D物体の第2の部分が、約20℃~約250℃の温度を有し、前記第1の部分が、前記第2の部分よりも小さく、前記第1の部分が、前記第2の部分の上方にあり、かつ前記プラズマが、前記3D物体の前記第1の部分から酸化物を除去する、
3D印刷システム。
【請求項12】
前記電極が、
前記ノズルの第1の側に配置された第1の電極プローブと、
前記ノズルの第2の反対の側に配置された第2の電極プローブと、
を備え、
前記基材が、前記第1の電極プローブに向けて第1の方向に移動しているときに、前記交流電流が、前記第2の電極プローブではなく前記第1の電極プローブに送られ、前記基材が、前記第2の電極プローブに向けて第2の反対の方向に移動しているときに、前記交流電流が、前記第1の電極プローブではなく前記第2の電極プローブに送られる、
請求項11に記載の3D印刷システム。
【請求項13】
前記電極が、電極リングを備え、前記ノズルが、前記ノズルを通って延びている中心長手方向軸を有し、前記電極リングが、前記中心長手方向軸を中心に、かつ前記ノズルと前記3D物体との間に垂直に配置される、請求項11に記載の3D印刷システム。
【請求項14】
前記温度、前記酸化物のレベル、又はその両方を測定するように構成されたセンサを更に備える請求項11に記載の3D印刷システムであって、前記第2の電源が、測定値に応答して前記交流電流の波形を修正するように構成されている、請求項11に記載の3D印刷システム。
【請求項15】
前記液滴が溶接に使用されない、請求項11に記載の3D印刷システム。
【請求項16】
3D印刷システムを使用して3D物体を印刷するための方法であって、
造形材料の複数の液滴であって、前記液滴が、前記ノズルから吐出された後に基材に向かって落下し、かつ前記基材上に前記3D物体を形成する、複数の液滴をノズルを通して吐出することと、
電極を用いてプラズマを発生させることと、
を含み、前記プラズマが、前記液滴、前記3D物体、前記基材、又はこれらの組み合わせの周囲に少なくとも部分的に配置される、
方法。
【請求項17】
電源を用いて、交流電流を発生させ、前記交流電流が前記電極に提供され、これにより、前記電極が、前記プラズマを発生させることを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
パラメータであって、前記パラメータが、前記3D物体の温度、前記3D物体上の酸化物のレベル、又はその両方を含む、パラメータをセンサを用いて測定することと、
測定された前記パラメータに応答して、前記交流電流の波形を修正することと、
を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記波形を修正することが、前記波形の電子正(EP)モードを増加させて、前記酸化物の除去を増加させるか、又は前記波形の電子負(EN)モードを増加させて、前記3D物体の前記温度を上昇させるように、前記波形の振幅、周波数、及び/又は波長を修正することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記電極が、
前記ノズルの第1の側に配置された第1の電極プローブと、
前記ノズルの第2の反対の側に配置された第2の電極プローブと、
を備え、
前記基材が、前記第1の電極プローブに向けて第1の方向に移動しているときに、前記プラズマが、前記第2の電極プローブではなく前記第1の電極プローブを使用して発生し、前記基材が、前記第2の電極プローブに向けて第2の反対の方向に移動しているときに、前記プラズマが、前記第1の電極プローブではなく前記第2の電極プローブを使用して発生する、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
3D印刷システムを使用して3D物体を印刷するための方法であって、
造形材料の複数の液滴であって、前記液滴が、前記ノズルから吐出された後に基材に向かって落下し、かつ前記基材上に前記3D物体を形成する、複数の液滴をノズルを通して吐出することと、
電源を用いて交流電流を発生させ、これにより、電極が、前記液滴、前記3D物体、前記基材、又はこれらの組み合わせの周囲に少なくとも部分的にプラズマを発生させることと、
を含む、方法。
【請求項22】
前記造形材料が、約700℃以上の融点を有する金属を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記造形材料が、銅、黄銅、チタン、ニッケル、又はこれらの組み合わせを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記交流電流が電子正モードであるときに、前記プラズマが、複数のアルゴンイオンを前記3D物体の表面に接触させ、かつ前記表面上の酸化物層を除去する、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記交流電流が電子負モードであるときに、前記3D物体の第1の部分が、前記プラズマで局所的に加熱される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記3D物体の前記表面に接触する前記アルゴンイオンの数は、前記電子負モードで低減され、前記3D物体の前記第1の部分の局所加熱は、前記電子正モードで低減される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の部分が、前記造形材料の次の液滴を受け取るように構成されている上面を備える、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の部分が、前記3D物体の50%未満を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記3D物体の第2の部分が、約20℃~約250℃の温度を有し、かつ前記3D物体の50%超を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記交流電流の周波数が、約70Hz~約300Hzである、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は、概して、三次元(3D)印刷に関し、より詳細には、プラズマ支援を用いた液体金属ジェット3D印刷に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気流体力学(magnetohydrodynamic、MHD)液体金属ジェット(liquid metal jet、LMJ)3D印刷などの金属ドロップオンデマンド(drop-on-demand、DOD)積層造形方法は、再溶融、合体、冶金学的接合/接着、冷却、及び固化を伴う複雑な熱流体プロセスを介して、溶融金属滴を用いて構造を形成することを伴う。このプロセスは、2つの潜在的な問題を経験することがある。1つの場合では、噴射された溶融滴が着地する先に堆積された材料の局所表面温度は、溶融滴からの熱による再溶融を受けるには低すぎる。第2の場合は、先に堆積された材料の表面上に、噴射された溶融滴との冶金学的接合を阻害する酸化物層が存在することを伴う。したがって、これらの問題の一方又は両方に対処するためのシステム及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
以下は、本教示の1つ以上の実施形態のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、簡略化された概要を提示する。この概要は、広範な概略ではなく、本教示の主要又は重要な要素を特定することも、本開示の範囲を明示することも意図していない。むしろ、その主な目的は、単に、後に提示される詳細な説明の前置きとして、1つ以上の概念を簡略化された形式で提示することにすぎない。
【0004】
3D印刷システムは、造形材料を受け取るように構成されたエジェクタを含む。エジェクタは、ノズルを含む。エジェクタは、造形材料の複数の液滴をノズルを通して吐出するように構成されている。3D印刷システムはまた、ノズルの下方に配置された基材を含む。液滴は、ノズルから吐出された後に基材に向かって落下する。液滴は、基材上に3D物体を形成する。3D印刷システムはまた、交流電流を発生させるように構成された電源を含む。3D印刷システムはまた、交流電流を受け取ることに応答してプラズマを発生させるように構成された電極を含む。液滴、3D物体、基材、又はこれらの組み合わせは、プラズマ内に少なくとも部分的に配置される。
【0005】
別の実施形態では、3D印刷システムは、造形材料を受け取るように構成されたエジェクタを含む。造形材料は、金属を含む。金属は、銅、黄銅、チタン、ニッケル、又はこれらの組み合わせを含む。3D印刷システムはまた、エジェクタの周囲に少なくとも部分的に配置された加熱要素を含む。加熱要素は、エジェクタ内で造形材料を固体状態から液体又は溶融状態に加熱するように構成されている。3D印刷システムは、エジェクタの周囲に少なくとも部分的に置配されたコイルを含む。3D印刷システムはまた、複数のパルスをコイルに送るように構成された第1の電源を含む。コイルは、各電圧パルスに応答して、造形材料の液滴をエジェクタのノズルを通して吐出させる。3D印刷システムはまた、ノズルの下方に配置された基材を含む。液滴は、ノズルから吐出された後に基材に向かって落下する。液滴は、基材上に3D物体の少なくとも一部を形成する。3D印刷システムはまた、エジェクタと基材との間に少なくとも部分的に配置された電極を含む。3D印刷システムはまた、交流電流を電極に送るように構成された第2の電源を含む。電極は、交流電流に応答してプラズマを発生させる。プラズマは、3D物体を局所的に加熱して、3D物体の第1の部分の温度を約800℃~約1800℃に上昇させる。3D物体の第2の部分は、約20℃~約250℃の温度を有する。第1部分は、第2部分よりも小さい。第1の部分は、第2の部分の上方にある。プラズマは、3D物体の第1の部分から酸化物を除去する。
【0006】
3D印刷システムを使用して3D物体を印刷するための方法も開示される。この方法は、造形材料の複数の液滴をノズルを通して吐出することを含む。滴は、ノズルから吐出された後に基材に向かって落下する。滴は、基材上に3D物体を形成する。方法はまた、電極を用いてプラズマを発生させることを含む。プラズマは、液滴、3D物体、基材、又はこれらの組み合わせの周囲に少なくとも部分的に配置される。
【0007】
別の実施形態では、方法は、造形材料の複数の液滴をノズルを通して吐出することを含む。滴は、ノズルから吐出された後に基材に向かって落下する。滴は、基材上に3D物体を形成する。この方法はまた、電源を用いて交流電流を発生させ、これにより、電極が、液滴、3D物体、基材、又はこれらの組み合わせの周囲に少なくとも部分的にプラズマを発生させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書の一部に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本教示の実施形態を示し、本明細書とともに本開示の原理を説明する役割を果たす。図は以下のとおりである。
【0009】
【
図1】一実施形態による、3D印刷システムの側断面図を示す。
【
図2】一実施形態による、1つ以上の電極プローブを含むプラズマシステムを有する3D印刷システムの一部の側断面図を示す。
【
図3】一実施形態による、電極リングを含むプラズマシステムを有する3D印刷システムの一部の側断面図を示す。
【
図4A】一実施形態による、電極に提供されている交流電流を示すグラフを示す。
【
図4B】一実施形態による、交流電流に応答した電子の移動を示す3D印刷システムの一部の概略図を示す。
【
図5】一実施形態による、(例えば、3D印刷システムを使用して)3D物体を印刷するための方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、本教示の例示の実施形態を詳細に参照し、この実施例を添付図面に示す。可能な限り、同じ参照番号が、同じ、類似、又は同様の部分を指すように図面全体にわたって使用される。
【0011】
本開示は、ノズルから溶融金属滴を基材上に吐出して、3D物体を形成する金属ドロップオンデマンド(DOD)3D印刷システム(3Dプリンタとも呼ばれる)を含む。3D印刷システムは、3D印刷システムの少なくとも一部が、800℃、1000℃、1200℃、1400℃、1600℃、又は1800℃を超える温度に達することを可能にして、高温金属を印刷するときに合体及び/又は冶金学的接合を阻害する問題に対処するプラズマシステム(プラズマ支援システムとも呼ばれる)を含む。上述したように、これらの問題は、(1)3D物体の下地金属(例えば、先に堆積された層)の低い表面温度、及び/又は(2)3D物体の下地金属(例えば、先に堆積された層)上の酸化物層の存在を含み得る。
【0012】
図1は、一実施形態による、3D印刷システム100の概略側断面図を示す。3D印刷システム100は、エジェクタ(印刷ヘッド又はポンプ室とも呼ばれる)110を含み得る。本明細書で使用される場合、エジェクタ110は、造形材料120をノズル114から吐出させるように選択的に作動させることができる構造体を指す。本明細書で使用される場合、ノズル114は、そこから造形材料120が飛出すことを開始する物理的構造を指す。
【0013】
造形材料120は、金属、ポリマーなどであってもよく、又はそれらを含んでもよい。例えば、造形材料120は、アルミニウム、銅、黄銅、チタン、ニッケル、又はこれらの組み合わせであってもよく、又はこれらを含んでもよい。造形材料120は、約600℃よりも高い、約700℃よりも高い、約800℃よりも高い、約1000℃よりも高い、約1200℃よりも高い、約1400℃よりも高い、又は約1600℃よりも高い融点を有してもよい。例えば、アルミニウムの融点は約660℃であり、銅の融点は約1085℃であり、黄銅の融点は約900℃であり、チタンの融点は約1670℃であり、ニッケルの融点は約1453℃である。
【0014】
3D印刷システム100はまた、1つ以上の加熱要素130を含み得る。加熱要素130は、エジェクタ110の内部容積部内で造形材料120を溶融させるように構成されており、それにより、造形材料120を、エジェクタ110の内部容積部内で固体状態から液体(例えば、溶融)状態に変換する。
【0015】
3D印刷システム100はまた、電源132及び1つ以上の金属コイル134を含み得る。金属コイル134は、エジェクタ110及び/又は加熱要素130の周囲に少なくとも部分的に巻き付けられている。電源132は、コイル134に結合され、それに電力を提供するように構成され得る。一実施形態では、電源132は、ステップ関数直流(direct current、DC)電圧プロファイル(例えば、電圧パルス)をコイル134に提供するように構成されてもよく、コイル134は、増加する磁場を作り出すことができる。増加する磁場は、エジェクタ110内に起電力を生じさせ得、これは、ひいては造形材料120内に誘導電流を生じさせる。造形材料120内の磁場及び誘導電流は、ローレンツ力として知られる半径方向内向きの力を造形材料120上に作り出すことができる。ローレンツ力は、エジェクタ110のノズル114の入口に圧力を作り出する。この圧力は、造形材料120を1つ以上の液滴124の形態でノズル114を通して噴射させる。
【0016】
3D印刷システム100はまた、ノズル114の下方に配置された基材(ビルドプレートとも呼ばれる)140を含み得る。基材140は、基材140の温度を上昇させるように構成されているヒータ142をその中に含み得る。別の実施形態では、ヒータ142は省略されてもよく、又は印刷中に使用されなくてもよい。基材140はまた、液滴124が噴射されているとき(すなわち、印刷プロセス中)に基材140を移動させるように構成されている基材制御モータ144を含み得る。
【0017】
ノズル114を通して吐出される液滴124は、基材140上に着地し、3D物体126の少なくとも一部を生成し得る。例えば、液滴124は、基材140上に着地し、冷却及び固化して、3D物体126の(例えば、第1の)層を生成し得る。第1の層が冷却及び/又は固化されると、ノズル114は、次いで、第1の層上に追加の液滴124を吐出して、別の(例えば、第2の)層を形成し得る。追加の液滴124は、第1の層と再溶融、合体、及び/又は接合/接着し得る。次いで、追加の液滴124を冷却及び/又は固化させて、第1の層上に第2の層を形成してもよい。このプロセスは、3D物体126を印刷/造形するために繰り返され得る。一実施形態では、3D印刷システム100及び/又は液滴124は、溶接(例えば、タングステン不活性ガス溶接)に使用されなくてもよい。
【0018】
3D印刷システム100はまた、プラズマシステム150を含み得る。以下でより詳細に説明するように、プラズマシステム150は、ノズル114、液滴124、3D物体126、基材140、又はこれらの組み合わせの周囲にプラズマを発生させ得る。プラズマシステム150の追加的な詳細が以下に提供される。プラズマシステム150の代わりに、又はそれに加えて、3D印刷システム100は、1つ以上のレーザ、誘導ジュール加熱コイル、電子ビーム、熱エンクロージャ、又はこれらの組み合わせを更に又は代わりに含み得る。
【0019】
一実施形態では、3D印刷システム100は、エンクロージャ160を含み得る。エンクロージャ160は、エジェクタ110、ノズル114、液滴124、3D物体126、加熱要素130、コイル134、基材140、プラズマシステム150、又はこれらの組み合わせの周囲に少なくとも部分的に配置され得る。一実施形態では、エンクロージャ160は、印刷中に3D物体126上に酸化物層が形成されるのを防止するために真空環境を提供するように気密封止され得る。別の実施形態では、プラズマシステム150が3D物体126上の酸化物層を除去(例えば、アブレーション)するのに役立ち得るため、エンクロージャ160は気密封止されなくてもよい。更に別の実施形態では、エンクロージャ160は、省略され得る。
【0020】
一実施形態では、3D印刷システム100はまた、1つ以上のガス源(1つが170として示されている)を含み得る。ガス源170は、エンクロージャ160の外側に配置され、エンクロージャ160内にガスを導入するように構成され得る。ガス源170は、エジェクタ110、ノズル114、液滴124、3D物体126、基材140、又はこれらの組み合わせの周囲に(下流に)流れるガスを導入するように構成され得る。エジェクタ110にはガスを導入しなくてもよい。ガスは、不活性ガス(例えば、アルゴン)、窒素、又はこれらの組み合わせであってもよく、又はそれらを含んでもよい。ガスは、印刷中に3D物体126上に酸化物層が形成されるのを防止するのに役立ち得る。別の実施形態では、プラズマシステム150が3D物体126上の酸化物層を除去(例えば、アブレーション)するのに役立ち得るため、ガス源170は省略されてもよく、又はオフにされてもよい。
【0021】
3D印刷システム100はまた、ガスセンサ172を含み得る。ガスセンサ172は、エンクロージャ160内に配置され得る。加えて又は代わりに、ガスセンサ172は、液滴124、3D物体126、及び/又は基材140に近接して(例えば、これらから5cm以内に)配置され得る(例えば、エンクロージャ160が省略される実施形態において)。ガスセンサ172は、ガス源170によって導入されるガスの濃度、酸素の濃度、又はこれらの組み合わせを測定するように構成され得る。
【0022】
3D印刷システム100はまた、コンピューティングシステム180を含み得る。コンピューティングシステム180は、造形材料120のエジェクタ110への導入、加熱要素130、電源132、基材制御モータ144、プラズマシステム150、ガス源170、ガスセンサ172、又はこれらの組み合わせを制御するように構成され得る。例えば、コンピューティングシステム180は、プラズマシステム150によって使用される交流電流の波形を修正するように構成され得る。
【0023】
図2は、一実施形態による、1つ以上の電極プローブ(200A、200Bの2つが示されている)を含むプラズマシステム150を示す3D印刷システム100の一部の側断面図を示す。一例では、電極プローブ200A、200Bは、タングステン電極プローブであってもよく、又はタングステン電極プローブを含んでもよい。電極プローブ200A、200Bは各々、ノズル114と基材140との間に(例えば、垂直に)、及び/又はノズル114と3D物体126との間に(例えば、垂直に)配置された下側(例えば、放電)端部202A、202Bを含み得る。
【0024】
プラズマシステム150はまた、電源210を含み得る。電源210は、交流電流(例えば、AC電力)を電極プローブ200A、200Bに提供するように構成され得、これにより、電極プローブ200A、200Bは、ノズル114、液滴124、3D物体126、基材140、又はこれらの組み合わせの周囲に少なくとも部分的にプラズマ220を発生させ得る。
【0025】
従来の液体金属ジェット印刷は、3D物体126を全体的に加熱して、その上に落下する次の液滴124との接着を提供することを伴う。例えば、アルミニウム造形材料を用い、プラズマシステムを用いない液体金属ジェット印刷の間、3D物体126の全体温度は、約300℃~450℃に(例えば、加熱を介して)維持され得る。本明細書で使用される場合、「全体的に」は、3D物体126の大部分(例えば、体積の50%超)を指す。しかしながら、3D物体126の全体的な加熱は、3D物体126の内部応力及び/又は歪みにつながることがある。
【0026】
プラズマシステム150(例えば、プラズマ220)は、液滴124、3D物体126、基材140、又はこれらの組み合わせを加熱し得る。一実施形態では、プラズマシステム150(例えば、プラズマ220)は、3D物体126を局所的に加熱して、その上に落下する次の液滴124との接着を提供する一方で、3D物体126を全体的に可能な限り加熱しなくてもよい。例えば、プラズマシステム150(例えば、プラズマ220)は、次の液滴124が着地する3D物体126の先に堆積された(例えば、上部)層を加熱し得る。これは、3D物体126の内部応力及び/又は歪みを最小限に抑えながら接着を提供し得る。本明細書で使用される場合、「局所的に」とは、3D物体126の小部分(例えば、体積の50%未満)を指す。
【0027】
一実施形態では、プラズマシステム150(例えば、プラズマ220)は、3D物体126を局所的に約800℃~約1000℃、約1000℃~約1200℃、約1200℃~約1400℃、約1400℃~約1600℃、又は約1600℃~約1800℃の温度に加熱し得る。3D物体126が局所的に加熱される温度は、印刷される金属の種類及び/又はその融点に基づいて変化し得る。しかしながら、3D物体126の残りの部分(例えば、3D物体126の下側)の温度は、約20℃~約50℃、約50℃~約100℃、又は約100℃~約250℃に維持され得る。本明細書で使用される場合、「残りの部分」は、次の液滴124が上に着地しない3D物体126の大部分(例えば、体積の50%超)を指す。
【0028】
加えて、プラズマ220は、3D物体126の先に堆積された(例えば、上部)層から、液滴124がその上に着地する前に、酸化物層の少なくとも一部を除去(例えば、アブレーション)し得る。温度を上昇させること及び/又は酸化物層を除去することは、(例えば、金属の)液滴124と3D物体126の先に堆積された(例えば、上部)層との間の合体及び/又は冶金学的接着/接合を促進し得る。
【0029】
プラズマシステム150はまた、1つ以上のセンサ(230の1つが示されている)を含み得る。センサ230は、ノズル114、液滴124、3D物体126、基材140、プラズマ220、又はこれらの組み合わせの温度を測定するように構成され得る。例えば、センサ230は、次の液滴124が着地する3D物体126の先に堆積された(例えば、上部)層の第1の(例えば、局所的な)温度と、3D物体126の残りの部分(例えば、上部層の下)の第2の(例えば、全体的な)温度とを測定するように構成され得る。センサ230は、パイロメータ、熱電対、カメラなどであってもよく、又はこれらを含んでもよい。
【0030】
センサ230は、更に又は代わりに、3D物体126の先に堆積された(例えば、上部)層上の酸化物の量/レベルを測定するように構成されてもよい。センサ230は、更に又は代わりに、液滴124、3D物体126、プラズマ220、又はこれらの組み合わせの化学分析を測定/提供し得る。例えば、センサ230は、グロー放電発光分光器(glow discharge optical emission spectroscope、GDOES)であってもよく、又はそれを含んでもよい。プラズマの高い電子エネルギーを使用して、元素の放出特性を生成することができる。
【0031】
センサ230によって測定された特性は、コンピューティングシステム180(
図1)に送られ得る。上述のように、コンピューティングシステム180は、測定された特性に少なくとも部分的に基づいて、電源210によって発生した交流電流の波形を修正するように構成され得る。例えば、コンピューティングシステム180は、測定された特性に少なくとも部分的に基づいて、電極プローブ200A、200Bに提供される交流電流の振幅、周波数、波長、波形、及び/又はパルスレートを修正し得る。波形はまた、全体的又は部分的に、構築部品機械設計のマルチフィジックスモデリング、印刷プロセスの知識、所定の造形経路、及び関与する造形材料に基づいて、先験的に決定され得る。
【0032】
コンピューティングシステム180は、更に又は代わりに、所定の量/レベルの酸化物が存在することをOESタイプの放出が示す場合、波形を修正し得る。この例では、波形は、より電極が負なるように動的に修正され得、逆もまた同様である。コンピューティングシステム180は、更に又は代わりに、3D物体126上の空間位置に基づいて波形を修正し得る。この例では、波形が、より多くの熱を3D物体126に注入して冷却速度を遅らせるために、3D物体126の先に堆積された(例えば、上部)層で/その近くでより電極が正となるように動的に修正され得、これにより3D物体126の微細構造を変更し得る。
【0033】
示されるように、第1の電極プローブ200Aは、ノズル114の第1の側に配置され得、第2の電極プローブ200Bは、ノズル114の第2の反対の側に配置され得る。より具体的には、ノズル114は、ノズル114を通って延びる中心長手方向軸116を有し得る。第1の電極プローブ200Aの下側端部202Aは、軸116の第1の側に配置され得、第2の電極プローブ200Bの下側端部202Bは、軸116の第2の側に配置され得る。電気プローブ200A、200Bの下側端部202A、202Bと軸116との間の(例えば、水平方向の)距離は、約1mm~約1cm、約1cm~約3cm、約3cm~約5cm、又はそれ以上であり得る。電気プローブ200A、200Bの下側端部202A、202Bと、基材140及び/又は3D物体126の先に堆積された(例えば、上部)層との間の(例えば、垂直)距離は、約1mm~約1cm、約1cm~約3cm、約3cm~約5cm、又はそれ以上であり得る。したがって、電気プローブ200A、200Bは、3D物体126が印刷/造形されるときに(例えば、上方に)移動し得る。
【0034】
一実施形態では、電気プローブ200A、200Bは、印刷中に連続的にオンであり得る(すなわち、交流電流を受け取り、プラズマ220を生成する)。別の実施形態では、交流電流は、離散パルスで電気プローブ200A、200Bに提供され得る。例えば、パルスは、液滴吐出及び/又は液滴着地に少なくとも部分的に基づいて(例えば、液滴吐出及び/又は液滴着地の間に)タイミングを合わせられ得る。別の実施形態では、基材140が第1の電気プローブ200Aに向けて第1の方向240Aに移動しているときに、第1の電極プローブ200Aはオンであり得、かつ第2の電極プローブ200Bはオフであり得る(すなわち、交流電流を受け取らず、プラズマ220を生成しない)。同様に、基材140が第2の電気プローブ200Bに向けて第2の反対方向240Bに移動しているときに、第2の電極プローブ200Bはオンであり得、かつ第1の電極プローブ200Aはオフであり得る。これは、次の液滴124がまさに着地しようとしている場所において、加熱を提供し、かつ/又は酸化物層を除去し得る。更に別の実施形態では、プラズマを交互にすることを使用して、3D物体126の冷却速度を修正し得、これは、3D物体126の微細構造を修正し得る。冷却速度は、(例えば、表面をより硬く及び/又はより耐摩耗性にするために)表面において増加され得、又は3D物体126の残りの部分においてより強靭にするために減速され得る。
【0035】
システム100はまた、熱アーム250を含み得る。熱シールド250は、ノズル114と基材140及び/又は3D物体126との間に(例えば、垂直に)配置され得る。示された例では、熱シールド250は、電極プローブ200A、200Bの上方にあり得る。熱シールド250は、液滴124が落下し得る開口部を含み得る。熱シールド250は、エジェクタ110及び/又はコイル134を、基材140から放出される熱から、並びに溶融造形材料の任意の飛散から絶縁し得る。熱シールド250は、熱を反射/遮蔽するために高反射性の上面及び/又は下面を有し得る。
【0036】
図3は、一実施形態による、電極リング300を含むプラズマシステム150を示す3D印刷システム100の一部の側断面図を示す。電極リング300は、電極プローブ200A、200Bの代わりに又はそれに加えて、使用され得る。電極リング300は、ノズル114と基材140との間に(例えば、垂直に)、及び/又はノズル114と3D物体126との間に(例えば、垂直に)配置され得る。電極リング300は、更に又は代わりに、ノズル114、軸116、液滴124、3D物体126、又はこれらの組み合わせの周囲に少なくとも部分的に配置されてもよい。
【0037】
電源210は、電極リング300に交流電流を提供するように構成されてもよく、これにより、電極リング300は、ノズル114、液滴124、3D物体126、基材140、又はこれらの組み合わせの周囲に少なくとも部分的にプラズマ220を発生させ得る。一実施形態では、電極リング300全体(例えば、周囲360度)が同時にオンであり得る。別の実施形態では、電極リング300の第1の円周部分(例えば、180度)がオンであり得る一方で、別の第2の円周部分(例えば、他の180度)はオフである。例えば、基材140が第1の円周部分に向けて第1の方向240Aに移動しているときに、第1の円周部分はオンであり得、かつ第2の円周部分はオフであり得る。同様に、基材140が第2の円周部分に向けて第2の反対方向240Bに移動しているとき、第2の円周部分はオンであり得、第1の円周部分はオフであり得る。
【0038】
図4Aは、電極200A、200B、300に提供されている、電源210からの交流電流を示すグラフ400を示し、
図4Bは、一実施形態による、交流電流に応答した電子の移動を示す3D印刷システム100の一部の概略図を示す。プラズマシステム150(例えば、電源210)は、電子正(electron positive、EP)モード及び/又は電子負(electron negative、EN)モードで動作し得る。EPモードでは、複数のイオン(例えば、アルゴンイオン)が、3D物体126の先に堆積された(例えば、上部)層に接触して、その上の酸化物層を除去(例えば、アブレーション)し得る。ENモードでは、3D物体126の先に堆積された(例えば、上部)層を(例えば、約800℃~約1800℃になるように)加熱し得る。
【0039】
上述したように、電源210からの波形(例えば、振幅、周波数、波長、波形、及び/又はパルスレート)は、センサ230によって測定された特性に少なくとも部分的に基づいて修正され得る。波形の修正は、EPモード中の酸化物層の除去を改善し、及び/又はENモード中の加熱を改善し得る。一実施形態では、波形は不平衡であり得る。例えば、波形の正の部分(例えば、EPモードの間)は、波形の負の部分(例えば、ENモードの間)よりも大きくても小さくてもよい。(例えば、正弦)波形の周波数は、特に液滴124の周波数と対にされる場合、溶接で使用される周波数(例えば、60Hz)よりも高くてもよい。例えば、波形の周波数は、約70Hz~約100Hz、約100Hz~約150Hz、約150Hz~約300Hz、又はそれ以上であり得る。
【0040】
図4に示されるように、電源210から電極200A、200B、300への波形は、湾曲したAC波形(例えば、正弦又は余弦波形に類似する)であり得る。これは、非湾曲(例えば、正方形又は長方形)波形であり得る、電源132からコイル134へのDC波形とは対照的であり得る。
【0041】
図5は、一実施形態による、3Dプリンタ100を動作させて3D物体126を印刷するための方法500のフローチャートを示す。上述したように、方法500は、溶接に(例えば、2つの既存の構成要素を互いに溶接するために)使用されなくてもよい。方法500の例示的な順序が以下に提供されているが、しかしながら、方法500の1つ以上のステップは、異なる順序で実行されてもよく、組み合わされてもよく、繰り返されてもよく、又は省略されてもよい。
【0042】
方法500はまた、502におけるように、エジェクタ110内の造形材料120を加熱することを含み得る。造形材料120は、加熱要素130を使用して加熱され得る。造形材料120を加熱して、造形材料120を固体状態から液体状態及び/又は溶融状態に変換し得る。
【0043】
方法500はまた、504におけるように、造形材料124の1つ以上の液滴124を吐出することを含み得る。これは、電源132を用いて1つ以上のパルスを発生させることを含み得る。パルスは、エジェクタ110の周囲のコイル134に送られ得る。1つの液滴124は、各吐出パルスに応答してノズル114から吐出され得る。
【0044】
方法500はまた、506におけるように、基材140を移動させることを含み得る。基材140は、一次元、二次元、又は三次元で移動され得る。基材140は、連続的に移動させてもよいし、離散的に移動させてもよい。基材140は、パルス、ノズル114からの液滴124の吐出、3D物体126の層の完成、又はこれらの組み合わせに応答して移動させ得る。基材140の移動は、3D物体126のサイズ及び/又は形状を決定し得る。
【0045】
方法500はまた、508におけるように、電源210から電極200A、200B、300に交流電流を提供することを含み得る。これにより、電極200A、200B、300は、ノズル114、液滴124、3D物体126、基材140、又はこれらの組み合わせの周囲に少なくとも部分的にプラズマ220を発生させ得る。上述したように、プラズマ220は、3D物体126を全体的にではなく局所的に加熱し得る。プラズマ220は、更に又は代わりに、3D物体126の先に堆積された(例えば、上部)層から、液滴124がその上に着地する前に、酸化物層の少なくとも一部を除去(例えば、アブレーション)し得る。
【0046】
方法500はまた、510におけるように、センサ230を使用して1つ以上の特性を測定することを含み得る。特性は、液滴124、3D物体126の先に堆積された(例えば、上部)層、3D物体126の残りの部分、基材140、プラズマ220、又はこれらの組み合わせの温度であってもよく、又はこれらを含んでもよい。特性は、更に又は代わりに、3D物体126上の酸化物の量/レベルであり得る。
【0047】
方法500はまた、512におけるように、交流電流の波形を修正することを含み得る。波形は、測定された特性に応じて少なくとも部分的に修正され得る。波形は、(例えば、ENモード中に)加熱を修正するように、及び/又は(例えば、EPモード中に)酸化物の除去を修正するように修正され得る。
【0048】
本教示の広い範囲を記載する数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、いかなる数値も、それぞれの試験測定において見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。更に、本明細書に開示される全ての範囲は、その中に含まれる任意及び全てのサブ範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、「10未満」の範囲は、0の最小値と10の最大値との間の(0の最小値と10の最大値とを含む)ありとあらゆるサブ範囲、すなわち、0以上の最小値及び10以下の最大値を有するありとあらゆるサブ範囲、例えば、1~5を含み得る。
【0049】
本教示は、1つ以上の実装形態に関して示されているが、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、示された例に対して変更及び/又は修正が行われ得る。例えば、プロセスが一連の行為又は事象として説明されているが、本教示は、かかる行為又は事象の順序によって限定されないことが理解され得る。一部の行為は、異なる順序で、及び/又は本明細書に記載されているものとは別の他の行為若しくは事象と同時に発生する可能性がある。また、全てのプロセス段階が、本教示の1つ以上の態様又は実施形態に従う方法論を実装するために必要とされ得るわけではない。構造的物体及び/若しくは処理段階が追加され得るか、又は既存の構造的物体及び/若しくは処理段階が除去若しくは修正され得ることが理解され得る。更に、本明細書に示される行為のうちの1つ以上は、1つ以上の別個の行為及び/又は段階で実行され得る。更に、「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」という用語、又はそれらの変形が、発明を実施するための形態及び特許請求の範囲のいずれかで使用される限りにおいて、かかる用語は、「含む(comprising)」という用語と同様の方法で包括的であることが意図されている。「少なくとも1つの」という用語は、列挙された項目のうちの1つ以上が選択され得ることを意味するように使用される。更に、本明細書における考察及び特許請求の範囲において、2つの材料に対して使用される「上(on)」という用語、他方「上」の一方は、材料間の少なくとも一部の接触を意味し、一方、「の上(over)」は、材料が、場合によっては、接触が可能であるが必要とされないように、1つ以上の追加の介在材料に近接していることを意味する。「上(on)」又は「の上(over)」のいずれも、本明細書で使用される場合にいかなる指向性も暗示しない。「共形」という用語は、下にある材料の角度が共形材料によって保持されるコーティング材料を記述する。「約」という用語は、変更が、示された実施形態に対してプロセス又は構造の不適合とならない限り、列挙される値が少し変更され得ることを示す。「結合する」、「結合される」、「接続する」、「接続」、「接続される」、「と接続して」、及び「接続している」という用語は、「と直接接続する」又は「1つ以上の中間要素又は部材を介して接続する」ことを指す。最後に、「例示の」又は「例証的な」という用語は、説明が理想的であることを意味するのではなく一例として使用されることを示す。本教示の他の実施形態は、本明細書の検討及び本明細書での本開示の実施を考慮して当業者に明らかであり得る。本明細書及び実施例は、単なる例示としてみなされることが意図され、本教示の真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【外国語明細書】