(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082248
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】付加製造システム及びその方法
(51)【国際特許分類】
B22F 10/22 20210101AFI20240612BHJP
B23K 26/36 20140101ALI20240612BHJP
B22F 12/50 20210101ALI20240612BHJP
B22F 12/90 20210101ALI20240612BHJP
B22F 10/85 20210101ALI20240612BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240612BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240612BHJP
B22F 12/10 20210101ALI20240612BHJP
【FI】
B22F10/22
B23K26/36
B22F12/50
B22F12/90
B22F10/85
B33Y10/00
B33Y30/00
B22F12/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023197949
(22)【出願日】2023-11-22
(31)【優先権主張番号】18/063,024
(32)【優先日】2022-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ワイ.マエダ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ブラード
(72)【発明者】
【氏名】ドガン ティムシン
【テーマコード(参考)】
4E168
4K018
【Fターム(参考)】
4E168AD18
4E168CB07
4E168DA02
4E168DA03
4E168DA28
4E168DA29
4E168DA36
4E168DA38
4E168DA40
4E168DA45
4E168JA02
4E168JA03
4E168JA04
4E168JA05
4K018AA02
4K018AA03
4K018AA06
4K018AA07
4K018AA10
4K018AA14
4K018AA19
4K018AA21
4K018AA30
4K018AA33
4K018AA40
4K018BA01
4K018BA02
4K018BA03
4K018BA04
4K018BA08
4K018BA09
4K018BA16
4K018BA17
4K018BA20
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】 (修正有)
【課題】改善された液体金属ジェット印刷システム及び物品を作製するための方法を提供する。
【解決手段】付加製造デバイスは、基板116を支持するように構成されている、ステージ106と、前記ステージ106の上方に配置されたプリントヘッド104であって、前記プリントヘッド104は、構築材料を溶融構築材料に加熱し、前記溶融構築材料を液滴の形態で前記基板116上に堆積させて、物品を作製するように構成されている、プリントヘッド104と、前記プリントヘッド104の近位に配置された制御された加熱及びアブレーションシステムであって、前記制御された加熱及びアブレーションシステムは、前記基板116を加熱し、前記基板116の表面上の酸化物をアブレートするように構成された、制御された加熱及びアブレーションシステムと、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加製造デバイスであって、
基板を支持するように構成されている、ステージと、
前記ステージの上方に配置されたプリントヘッドであって、前記プリントヘッドは、構築材料を溶融構築材料に加熱し、前記溶融構築材料を液滴の形態で前記基板上に堆積させて、物品を作製するように構成されている、プリントヘッドと、
前記プリントヘッドの近位に配置された制御された加熱及びアブレーションシステムであって、前記制御された加熱及びアブレーションシステムは、前記基板を加熱し、前記基板の表面上の酸化物をアブレートするように構成された、制御された加熱及びアブレーションシステムと、
を備える、付加製造デバイス。
【請求項2】
前記制御された加熱及びアブレーションシステムは、レーザを備える、請求項1に記載の付加製造デバイス。
【請求項3】
前記レーザは、約40ワット(W)~約1500Wの出力電力を備える、請求項2に記載の付加製造デバイス。
【請求項4】
前記レーザは、約0.5ns~約100msのパルス幅を備える、請求項2に記載の付加製造デバイス。
【請求項5】
前記レーザは、約1マイクロジュール(μJ)~約50ミリジュール(mJ)のパルスエネルギー出力を備える、請求項2に記載の付加製造デバイス。
【請求項6】
前記レーザは、前記基板を加熱すると同時に、前記基板の前記表面上の前記酸化物をアブレートするのに十分な出力を送達するように構成されている、請求項2に記載の付加製造デバイス。
【請求項7】
前記レーザは、前記出力のビームプロファイルを調整するように構成される、請求項6に記載の付加製造デバイス。
【請求項8】
前記ビームプロファイルは、ガウスプロファイル、トップハットプロファイル、マルチモードドーナツプロファイル、又はそれらの組み合わせを含む、請求項7に記載の付加製造デバイス。
【請求項9】
前記レーザは、パルスレーザ、パルスファイバレーザ、パルスファイバ結合レーザ、又はそれらの組み合わせである、請求項2に記載の付加製造デバイス。
【請求項10】
前記付加製造デバイスの一部分を監視するように構成された監視システムと、
前記制御された加熱及びアブレーションシステム並びに前記監視システムと動作可能に結合されたコンピューティングシステムであって、前記コンピューティングシステムは、前記監視システムによって提供される信号に基づいて、前記制御された加熱及びアブレーションシステムを調整するように構成されている、コンピューティングシステムと、
を更に備える、請求項1に記載の付加製造デバイス。
【請求項11】
前記監視システムは、前記基板の温度を測定するように構成され、前記コンピューティングシステムは、前記監視システムによって提供される前記基板の前記温度に基づいて前記制御された加熱及びアブレーションシステムを調整するように構成されている、請求項10に記載の付加製造デバイス。
【請求項12】
前記制御された加熱及びアブレーションシステムは、一連のパルス出力を前記基板に方向付けることによって、前記基板を加熱し、前記基板の前記表面上の前記酸化物をアブレートするように構成されている、請求項1に記載の付加製造デバイス。
【請求項13】
前記一連のパルス出力は、第1のパルス出力及び第2のパルス出力を含み、前記第1のパルス出力のエネルギーは、前記第2のパルス出力のエネルギーに実質的に等しく、前記第1のパルス出力の持続時間は、前記第2のパルス出力の持続時間に実質的に等しい、請求項12に記載の付加製造デバイス。
【請求項14】
前記一連のパルス出力は、第1のパルス出力及び第2のパルス出力を含み、前記第1のパルス出力のエネルギーは、前記第2のパルス出力のエネルギーよりも相対的に大きく、前記第1のパルス出力の持続時間は、前記第2のパルス出力の持続時間よりも相対的に短い、請求項12に記載の付加製造デバイス。
【請求項15】
請求項1に記載の付加製造デバイスを用いて、物品を作製するための方法であって、
前記プリントヘッド内の前記構築材料を前記溶融構築材料に加熱することと、
前記プリントヘッドから前記基板に向かって前記溶融構築材料を射出することと、
前記溶融構築材料を前記基板上に堆積させることと、
前記制御された加熱及びアブレーションシステムを用いて前記基板を加熱することと、
前記制御された加熱及びアブレーションシステムを用いて、前記基板の前記表面上の前記酸化物をアブレートすることと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記制御された加熱及びアブレーションシステムは、前記基板を加熱すると同時に、前記基板の前記表面上の前記酸化物をアブレートする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記制御された加熱及びアブレーションシステムからの一連のパルス出力を前記基板に向けて方向付けて、前記基板を加熱すると同時に、前記基板の前記表面上の前記酸化物をアブレートすることを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記一連のパルス出力は、第1のパルス出力及び第2のパルス出力を含み、前記第1のパルス出力のエネルギーは、前記第2のパルス出力のエネルギーに実質的に等しく、前記第1のパルス出力の持続時間は、前記第2のパルス出力の持続時間に実質的に等しい、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記制御された加熱及びアブレーションシステムは、前記制御された加熱及びアブレーションシステムからの一連のパルス出力を前記基板に方向付けることによって、前記基板を加熱し、前記基板の前記表面上の前記酸化物をアブレートするように構成されている、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記一連のパルス出力は、第1のパルス出力及び第2のパルス出力を含み、前記第1のパルス出力のエネルギーは、前記第2のパルス出力のエネルギーよりも相対的に大きく、前記第1のパルス出力の持続時間は、前記第2のパルス出力の持続時間よりも相対的に短く、前記第1のパルス出力は、前記基板の前記表面上の前記酸化物をアブレートし、前記第2のパルス出力は、前記基板を加熱する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
付加製造デバイスであって、
基板を支持するように構成されている、ステージと、
前記ステージの上方に配置されたプリントヘッドであって、前記プリントヘッドは、構築材料を溶融構築材料に加熱し、前記溶融構築材料を液滴の形態で前記基板上に堆積させて、物品を作製するように構成されている、プリントヘッドと、
前記プリントヘッドの近位に配置された制御された加熱及びアブレーションシステムであって、前記制御された加熱及びアブレーションシステムはレーザを備え、前記レーザからの出力は、
約40ワット(W)~約1500Wの電力と、
約1W/cm2~約10,000W/mm2の放射照度と、
約355nm~約1200nmの波長と、
約0.1J/cm2~約50J/cm2のフルエンス(F)と、
約1マイクロジュール(μJ)~約50ミリジュール(mJ)のパルスエネルギーと、
約5kHz~約250MHzのパルス繰り返し率と、
約0.5ns~約100msのパルス幅と、
前記基板の温度上昇を最小限に抑えるために、前記基板の熱緩和時間よりも短いパルス持続時間と、を有し、
前記出力は、前記基板を加熱すると同時に、前記基板の表面上の酸化物をアブレートするように構成され、前記出力によって加熱される前記表面上の領域は、約0.025mm~約2.0mmの直径を有する、制御された加熱及びアブレーションシステムと、
前記基板の温度を監視するように構成された監視システムと、
前記監視システムによって提供される前記基板の前記温度に基づいて、前記制御された加熱及びアブレーションシステムを調整するように構成されたコンピューティングシステムと、
を備える、付加製造デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態又は実施態様は、付加製造システム及びその方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
磁気流体力学(MHD)液体金属ジェット印刷などの液体金属ジェット印刷は、ワークピース又は物品を形成するために、液体又は溶融金属滴又は液滴をプリントヘッドから基板に射出することを含み、これは加熱基板又は予め堆積された金属であり得る。一般的に、液体金属ジェット印刷は、溶融金属滴を基板に向かって排出させるために、電磁コイルによって印加された直流パルスを利用することを含む。金属滴が基板に接触すると、金属滴は冷却されて物品を形成する。
【0003】
ワークピース又は物品をMHD液体金属ジェット印刷するプロセスは、部分的に、再溶融、合体、冶金結合/接着、冷却、及び固化を含む複雑な熱流体プロセスを伴う。これらの熱流体プロセスの各々は、満足な特性を有する物品を製造するために制御又は調節されなければならない。液体金属ジェット印刷は、これらのプロセスの各々を調節することにおいて進歩したが、下にある金属の低い表面温度及び/又は酸化物層若しくは他の汚染物質の存在は、これらのプロセスの1つ以上を妨害又は阻害し、それによって、不満足な特性を有する物品を製造する。例えば、金属滴又は液滴が堆積される表面の不十分な温度は、金属滴及び液滴の再溶融及び/又は合体を阻害する可能性がある。別の例では、製造中に形成される酸化物層は、基板又は先に堆積された金属と金属液滴との間の冶金結合を阻害し得る。
【0004】
次いで、必要とされるものは、改善された液体金属ジェット印刷システム及びその方法である。
【発明の概要】
【0005】
以下は、本教示の1つ以上の実施形態のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、簡略化された概要を提示する。この概要は、広範な概略ではなく、本教示の主要又は重要な要素を特定することも、本開示の範囲を明示することも意図していない。むしろ、その主な目的は、単に、後に提示される詳細な説明の前置きとして、1つ以上の概念を簡略化された形式で提示することにすぎない。
【0006】
付加製造デバイスが開示される。このデバイスは、基板を支持するように構成されたステージを含む。デバイスはまた、ステージの上方に配置されたプリントヘッドを含む。プリントヘッドは、構築材料を溶融構築材料に加熱し、溶融構築材料を液滴の形態で基板上に堆積させて、物品を作製するように構成される。デバイスはまた、プリントヘッドの近位に配置された制御された加熱及びアブレーションシステムを含む。制御された加熱及びアブレーションシステムは、基板を加熱し、基板の表面上の酸化物をアブレートするように構成されている。
【0007】
付加製造デバイスを使用して物品を製作するための方法も開示される。方法は、プリントヘッド内の構築材料を溶融構築材料に加熱することを含む。方法は、プリントヘッドから基板に向かって溶融構築材料を射出することを含む。方法はまた、溶融構築材料を基板上に堆積させることを含む。方法はまた、制御された加熱及びアブレーションシステムを用いて基板を加熱することを含む。方法はまた、制御された加熱及びアブレーションシステムを用いて、基板の表面上の酸化物をアブレートすることを含む。
【0008】
別の実施形態では、付加製造デバイスは、基板を支持するように構成されたステージを含む。デバイスはまた、ステージの上方に配置されたプリントヘッドを含む。プリントヘッドは、構築材料を溶融構築材料に加熱し、溶融構築材料を液滴の形態で基板上に堆積させて、物品を作製するように構成される。デバイスはまた、プリントヘッドの近位に配置された制御された加熱及びアブレーションシステムを含む。制御された加熱及びアブレーションシステムは、レーザを含む。レーザからの出力は、約40ワット(W)~約1500Wの電力を有する。出力はまた、約1W/cm2~約10,000W/mm2の放射照度を有する。出力はまた、約600nm~約1200nmの波長を有する。出力はまた、約0.1J/cm2~約50J/cm2のフルエンス(F)を有する。出力はまた、約1マイクロジュール(μJ)~約50ミリジュール(mJ)のパルスエネルギーを有する。出力はまた、約5kHz~約250MHzのパルス繰り返し率を有する。出力はまた、約0.5ns~約100msのパルス幅を有する。出力はまた、基板の温度上昇を最小限に抑えるために、基板の熱緩和時間よりも短いパルス持続時間と、を有する。出力は、基板を加熱すると同時に、基板の表面上の酸化物をアブレートするように構成されている。出力によって加熱される表面上の領域は、約0.025mm~約1.0mmの直径を有する。デバイスはまた、基板の温度を監視するように構成された監視システムを含む。デバイスはまた、監視システムによって提供される基板の温度に基づいて、制御された加熱及びアブレーションシステムを調整するように構成されたコンピューティングシステムと、を含む。
【0009】
本開示は、付加製造デバイスを用いて物品を作製するための方法を提供することができる。この方法は、プリントヘッド内の構築材料を溶融構築材料に加熱することと、前記プリントヘッドから前記基板に向かって前記溶融構築材料を射出することと、飛行経路内の液滴を少なくとも部分的に加熱することと、及び溶融構築材料を基板上に堆積させることを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、本教示の実施形態を例解する。本開示の実施形態におけるこれら及び/又は他の態様及び利点は、添付の図面と併せて以下の様々な実施形態の説明から明らかになり、より容易に理解されることになる。
【0011】
【
図1】開示される1つ以上の実施形態による、制御された加熱及びアブレーション支援金属印刷(CHAMP)システムを組み込んだ例示的な付加製造層化デバイス又は3Dプリンタの概略断面図を例解する。
【
図2】開示される1つ以上の実施形態による、例示的なCHAMPシステムを組み込んだ別の例示的な付加製造層化デバイス又は3Dプリンタの概略図を例解する。
【
図3】1つ以上の実施形態による、例示的なCHAMPシステムを組み込んだ別の例示的な付加製造層化デバイス又は3Dプリンタの概略図を例解する。
【
図4】開示される1つ以上の実施形態による、例示的なCHAMPシステムを組み込んだ別の例示的な付加製造デバイス又は3Dプリンタの概略図を例解する。
【
図5】開示される1つ以上の実施形態による、基板の上面上に配置された酸化物層を有する基板の断面図を示す。
【
図6】開示される1つ以上の実施形態による、基板を同時に加熱及び洗浄又はアブレートするための例示的なスキームを示す。
【
図7】1つ以上の実施形態による、基板を同時に加熱及び洗浄又はアブレートするための別の例示的なスキームを示す。
【
図8】一実施形態による、ナノ秒パルスレーザ熱機械効果の概略図を示す。
【
図9】一実施形態による、ナノ秒パルスレーザ熱機械効果の別の概略図を示す。
【
図10A】一実施形態による、ナノ秒パルスレーザ熱機械効果の別の追加の概略図を示す。
【
図10B】一実施形態による、ナノ秒パルスレーザ熱機械効果の別の追加の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
様々な典型的な態様の以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本開示、その用途、又は使用を限定することを意図するものではない。
【0013】
全体にわたって使用されるように、範囲は、その範囲内にあるそれぞれの値及び全ての値を説明するために、省略として使用される。範囲内の任意の値は、範囲の終点として選択され得る。更に、本明細書に引用される全ての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本開示における定義と引用された参考文献との間の矛盾の場合には、本開示が制御する。
【0014】
加えて、全ての数値は、示された値の「約」又は「およそ」であり、当業者によって予測されるであろう実験誤差及び変動を考慮する。本明細書に開示される全ての数値及び範囲は、「約」がそれと共に使用されるかどうかに関わらず、近似値及び範囲であることを理解されたい。「約」という用語は、本明細書で数字と共に使用される場合、その数字の±0.01%(境界値を含む)、±0.1%(境界値を含む)、±0.5%(境界値を含む)、その数字の±1%(境界値を含む)、その数字の±2%(境界値を含む)、その数字の±3%(境界値を含む)、その数字の±5%(境界値を含む)、その数字の±10%(境界値を含む)、又はその数字の±15%(境界値を含む)であり得る値を指すことも理解されたい。数値範囲が本明細書に開示されるとき、その範囲内に入る任意の数値もまた具体的に開示されることが更に理解されるべきである。
【0015】
本明細書に使用される場合、「又は」という用語は、包括的な操作者であり、文脈上別段の明確な指示がない限り、「及び/又は」という用語と同等である。「に基づく」という用語は、排他的ではなく、文脈がそうでないことを明確に指示しない限り、記載されていない追加の要因に基づくことを可能にする。本明細書において、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」の記載は、A、B、若しくはC、A、B、若しくはCの複数の例、又はA/B、A/C、B/C、A/B/B/B/C、A/B/Cなどの組み合わせを含む実施形態を含む。加えて、本明細書全体を通して、「a」、「an」、及び「the」の意味は、複数の参考文献を含む。「in」の意味は、「in」及び「on」を含む。
【0016】
ここで、本教示の例示の実施形態を詳細に参照し、この実施例を添付図面に示す。可能な限り、同じ参照番号が、同じ、類似、又は同様の部分を指すように図面全体にわたって使用される。
【0017】
本開示は、付加製造デバイス又は3Dプリンタ及びその方法を対象とする。特に、本開示は、3Dプリンタのための加熱及びアブレーションシステム、又は制御された加熱及びアブレーション支援金属印刷(CHAMP)システム、並びにそのための方法を対象とする。本明細書に開示されるCHAMPシステムは、基板の表面上の酸化物層をアブレートする(例えば、部分的に蒸発させるか、又は機械的に破壊する)ことが可能であるか、又はそのように構成され、基板の制御された加熱を提供するか、又はそれらの組み合わせを行う。
【0018】
溶融金属液滴を用いて金属ワークピース、構造、又は物品を形成することは、部分的に、再溶融、合体、冶金結合及び/又は接着、冷却、並びに固化を含む、複雑な熱流体プロセスを伴う。上記で簡単に説明したように、これらの熱流体プロセスの各々は、満足のいく特性及び形状を有する物品を製造するために制御又は調節されなければならず、不適切な表面温度並びに/又は酸化物層及び/又は他の汚染物質の存在は、これらの熱流体プロセスをしばしば阻害し得る。例えば、不適切又は不十分な界面温度、又は溶融金属液滴と以前に堆積された材料若しくは基板(例えば、液滴)との間の界面における温度は、多くの場合、不十分な再溶融及び不十分な冶金結合又は合体をもたらし、それによって、製作されたワークピース又は物品内に空隙及びコールドラップ(融合の欠如)をもたらし得る。
【0019】
界面温度は、一般に、以前に堆積した材料又は基板の液滴温度及び表面温度によって決定される。正確な部品形状及びz高さを得て保持することは、溶融金属液滴と以前に堆積された材料又は基板(例えば、液滴)との間の界面温度によっても悪影響を受けることを理解されたい。界面温度が不十分であると、空隙及びコールドラップが形成されるが、界面温度が過剰であると、金属液滴が凝固前に先に堆積された材料又は基板から流れ去り、それによってワークピース形状の形成不良及び/又はz高さ誤差が生じる。
【0020】
界面温度は、初期液滴温度、構築部品表面温度、構築プレート温度、液滴周波数、及びワークピース若しくは物品のz高さ、又はそれらの組み合わせによって影響を受ける可能性がある。これは、プロセスパラメータの最適化によってある程度のレベルで制御することができるが、関与する複雑な熱プロセスは、許容できない界面温度をもたらす可能性がある3D印刷中に生じる変化及び力学により、過度に遅い場合がある。上記に加えて、堆積された金属が3D印刷中に酸化環境に曝露されると、金属液滴と基板との間の冶金結合を阻害する酸化物層が形成される。
【0021】
本明細書で更に説明するように、CHAMPシステムは、酸化物層及び他の汚染物質の除去を容易にすると共に、以前に堆積された材料又は基板の温度を調整又は制御することが可能であるか、又はそのように構成されてもよい。例えば、CHAMPシステムは、酸化物層を除去し、レーザのビームプロファイル、レーザのパルス幅、レーザパルスの振幅、レーザのパルスの周波数など、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上を調整することによって、以前に堆積された材料又は基板及び/又は基板の近位の面積の温度及び/又は温度勾配を制御することが可能であるか、又はそのように構成され得る。
【0022】
図1は、1つ以上の実施形態による、CHAMPシステム102を組み込んだ例示的な付加製造層化デバイス(例えば、3Dプリンタ)100の概略断面図を例解する。3Dプリンタ100は、磁気流体力学(MHD)プリンタなどの液体金属ジェット印刷システムであり得る。しかしながら、任意の付加製造デバイスが、CHAMPシステム102及び本明細書に開示される方法を利用し得ることを理解されたい。3Dプリンタ100は、例示的なCHAMPシステム102、プリントヘッド104、ステージ106、コンピューティングシステム108、又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0023】
コンピューティングシステム108は、3Dプリンタ100の構成要素のうちの任意の1つ以上に動作可能及び/又は通信可能に結合され得る。コンピューティングシステム108は、3Dプリンタ100の構成要素のうちの任意の1つ以上との間で動作、変調、指示、データの受信、データの送信などが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。例示的な実装形態では、コンピューティングシステム108は、CHAMPシステム102と動作可能及び/又は通信可能に結合される。
【0024】
プリントヘッド104は、本明細書でポンプチャンバ又はエジェクタとも称され得る本体110、1つ以上の加熱要素(1つは112で示される)、1つ以上の金属コイル114、又は互いに動作可能に結合された任意の組み合わせを含み得る。
図1に例解されるように、加熱要素112は、本体110の周囲に少なくとも部分的に配置され得、金属コイル114は、本体110及び/又は加熱要素112の周囲に少なくとも部分的に配置され得る。本明細書で使用するとき、基板116は、ステージ106の表面、以前に堆積された金属(例えば、金属液滴)、3Dプリンタ100若しくはその一部分から作製された物品118、ステージ106上に配置された加熱プラテン若しくは構築プレートなどのプラテン128、及び/又はそのそれぞれの表面を指し得る。
図1に例解されるように、基板116は、ステージ106の上又は上方に、かつ本体110の下方に配置され得る。本体110は、その内部容積122を画定する内側表面120を有し得る。本体110は、本体110の第1の端部に配置されたノズル124を画定し得る。
【0025】
図1を引き続き参照した3Dプリンタ100の例示的な動作では、ソース126からの構築材料(例えば、金属)は、本体110の内部容積122に方向付けられ得る。加熱要素112は、本体110の内部容積122内に収容されている構築材料を少なくとも部分的に溶融し得る。例えば、構築材料は、中実金属などの固体であってもよく、加熱要素112は本体110を加熱し、それによって、構築材料を固体から液体(例えば、溶融金属)に加熱し得る。金属コイル114は、基板116上への構築材料の堆積を容易にすることが可能な、又はそのように構成されている、電源(図示せず)と結合され得る。例えば、金属コイル114及びそれと結合された電源は、磁場を発生させることが可能であり得るか、又はそれを生成するように構成され得、これは本体110内に起電力を発生させ、それによって、本体110内に配置された溶融金属内に誘導電流を発生させ得る。溶融金属内の磁場及び誘導電流は、ローレンツ力として知られる、液体金属上の半径方向内向きの力を生成し得、これによりノズル124に圧力が生じる。ノズル124における圧力は、ノズル124から基板116及び/又はステージ106に向かって、1つ以上の滴の形態で溶融金属を排出し、それによって物品118の少なくとも一部分を形成し得る。
【0026】
少なくとも1つの実施形態において、3Dプリンタ100は、3Dプリンタ100の1つ以上の構成要素又は部分、物品118の形成、基板116の1つ以上の部分、基板116の近位の1つ以上の面積、及び/又は液滴の堆積を制御及び/又は監視することが可能であり得るか、又はそのように構成されている監視システム130を含み得る。例えば、監視システム130は、液滴、構築部品、構築プレート、及び基板温度を測定し、構築部品形状及びz高さを測定し、液滴サイズ及び速度を測定するなど、又はこれらの任意の組み合わせが可能であるか、又はそのように構成されている、1つ以上のイルミネータ(図示せず)を含み得る。例解的なイルミネータは、レーザ、LED、様々な種類のランプ、光ファイバ光源など、又はこれらの組み合わせであるか、又はこれらを含み得るが、これらに限定されない。別の例では、監視システム130は、3Dプリンタ100の1つ以上の構成要素又は部分の温度を測定することが可能であり得るか、又は測定するように構成されている、1つ以上のセンサ(図示せず)を含み得る。例解的なセンサは、熱計、サーミスタ、撮像カメラ、サーマルカメラ、フォトダイオードなど、又はこれらの組み合わせであるか、又はこれらを含み得るが、これらに限定されない。監視システム130はまた、フィードバックを提供するか、又はコンピューティングシステム108と通信することが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。
【0027】
少なくとも1つの実施形態において、3Dプリンタ100の任意の1つ以上の構成要素は、互いに対して独立して移動し得る。例えば、プリントヘッド104、ステージ106、及びそれと結合されたプラテン128のうちの任意の1つ以上、CHAMPシステム102、監視システム130、又はこれらの任意の組み合わせは、3Dプリンタ100の他の構成要素のうちの任意の1つ以上に対して、独立してx軸、y軸、及び/又はz軸に移動し得る。別の実施形態では、3Dプリンタ100の構成要素のうちの任意の2つ以上が互いに結合され得、したがって、互いに移動し得る。例えば、プリントヘッド104及びCHAMPシステム102は、x軸、y軸、及び/又はz軸におけるプリントヘッド104の移動又は並進が、それぞれx軸、y軸、及び/又はz軸におけるCHAMPシステム102の対応する移動をもたらすように、マウント(図示せず)を介して互いに結合され得る。同様に、CHAMPシステム102及びステージ106は、CHAMPシステム102のx軸、y軸、及び/又はz軸における移動が、それぞれx軸、y軸、及び/又はz軸のステージ106における対応する移動をもたらすように、マウント(図示せず)を介して互いに結合され得る。
【0028】
図2は、1つ以上の実施形態による、例示的なCHAMPシステム102を組み込んだ別の例示的な付加製造層化デバイス(例えば、3Dプリンタ)200の概略図を例解する。
図2に例解される3Dプリンタ200は、いくつかの点で上で説明される3Dプリンタ100と同様であってもよく、したがって、
図1の説明を参照して最良に理解され得、同様の数字は同様の構成要素を示しており、詳細には説明されない。
【0029】
図2に例解されるように、3Dプリンタ100のCHAMPシステム102は、1つ以上のレーザ(2つが202で示されている)を含み得る。レーザ202は、所望の放射照度レベル、放射照度パターン(すなわち、円形、楕円形など)及び/又は照射プロファイル(すなわち、ガウス、トップハット、ドーナツモード、マルチモードなど)を達成するために、フィルタ、コリメート光学系、集束光学系、及びビーム成形光学系のような外部光学構成要素を含み得る。
図2に更に例解されるように、レーザ202は、マウント204を介してプリントヘッド104と結合され得る。
図2は、プリントヘッド104に結合されたCHAMPシステム102のレーザ202を示しているが、CHAMPシステム102又はそのレーザ202は、互いに独立していてもよく、3Dプリンタ200の任意の他の構成要素に結合されてもよいことを理解されたい。
図2に例解されるように、レーザ202のうちの任意の1つ以上は、基板116上又は基板116の近位にレーザビームを方向付けることが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。
【0030】
CHAMPシステム102のレーザ202は、基板116及び/若しくは基板116の近位の面積を十分に加熱することが可能であり得るか、又はそのように構成されている、任意の好適なレーザであるか、又はこれを含み得る。CHAMPシステム102のレーザ202はまた、基板116の表面から酸化物を除去又はアブレートすることができる、又は除去又はアブレートするように構成された任意の適切なレーザであってもよく、又はそれを含んでもよい。少なくとも1つの実施形態において、利用されるレーザ202の種類は、物品118を作製するために堆積される金属の種類などの構築材料に少なくとも部分的に依存し得る。別の実施形態では、利用されるレーザ202の種類は、基板116上に滴が堆積される速度、又は堆積速度に少なくとも部分的に依存し得る。
【0031】
レーザ202は、限定はしないが、高出力パルスレーザ、高出力パルスファイバレーザ、高出力パルスファイバ結合レーザ、インライン高出力レーザイメージャなど、又はそれらの組み合わせであってもよく、又はそれらを含んでもよい。インライン高出力レーザイメージなどのレーザ202は、基板116及び/又は基板116の近位の面積に標的高出力レーザエネルギーを送達することが可能であり得るか、又はそのように構成されていてもよい。高出力レーザイメージャは、スポットイメージャ、1Dイメージャ又は2Dイメージャであり得る。インライン高出力レーザイメージャは、高出力レーザ、独立してアドレス可能なダイオードレーザ又は垂直共振器表面発光レーザ(VCSEL)、照明光学システム、空間光変調器、画素化空間光変調器、投射光学系、又はこれらの組み合わせのうちの1つ以上を利用し得る。照明光学システムは、レーザ発光を成形し、空間光変調器上に送達することが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。投射光学系は、空間光変調器を基板116及び/又は基板116の近位の面積上に画像化することが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。画素化されたライン画像又は1D画像は、直線空間光変調器、又はダイオードレーザ若しくはVCSELの直線アレイで生成され得る。
【0032】
例解的な直線空間光変調器は、ガレーティングライト弁(GLV)、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、反射型液晶(LCOS)空間光変調器など、又はこれらの組み合わせであるか、又はこれらを含み得るが、これらに限定されない。画素化された面積画像又は2D画像は、VCSELの空間光変調器又は2Dアレイで生成され得る。2D画像を生成するための例解的な空間光変調器は、2Dデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、2D反射型液晶(LCOS)空間光変調器など、又はこれらの組み合わせであるか、又はこれらを含み得る。1D又は2Dイメージャは、基板116上の2つ以上の液滴場所及び/又は基板116の近位の面積に標的レーザエネルギーを送達するために、線又は面積の上にパターン形成することが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。1D又は2Dイメージャは、1つ以上の液滴場所内でレーザビームプロファイルを成形して、基板116における及び/又は基板116の領域の近位の1つ以上の液滴の溶融プール内の局所熱勾配を、変更することが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。これは、より迅速な構築部品の作製及びより高いスループットのための並列印刷を可能にする複数の独立したエジェクタを有するプリントヘッドを用いるシステムにとって特に重要である。
【0033】
例示的な実施形態において、レーザ202は、約1W/cm2~約10,000W/mm2の放射照度を有し得る。例えば、レーザ202のうちの任意の1つ以上は、約1W/cm2~最大1,000W/cm2、約2,000W/cm2、約3,000W/cm2、約4,000W/cm2、又は約4,500W/cm2~約5,500W/cm2、約6,000W/cm2、約7,000W/cm2、約8,000W/cm2、約9,000W/cm2、約10,000W/cm2又は最大約1,000,000W/cm2の放射照度を有し得る。用途、金属、構成、及びスポットサイズ又はそれらの組み合わせに応じて、はるかに低い電力レーザ又はレーザアレイを使用することもできることを理解されたい。レーザ202のうちの任意の1つ以上は、所望の放射照度を達成し得るコリメート及び非コリメートレーザを含む、電力及び光学構成の組み合わせを含み得ることを更に理解されたい。
【0034】
図2に更に例解されるように、監視システム130は、基板116の温度、又は基板116の近く若しくは近位の面積を測定することが可能であり得るか、又はそのように構成されている、高温計206を含み得る。例えば、高温計206は、CHAMPシステム102のレーザ202によって加熱された基板116における及び/若しくは又は基板116の近位の面積を測定することが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。別の例では、高温計206は、プリントヘッド104又は3Dプリンタ200の任意の他の構成要素からの液滴の温度を測定することが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。
【0035】
図3は、1つ以上の実施形態による、例示的なCHAMPシステム102を組み込んだ別の例示的な付加製造層化デバイス(例えば、3Dプリンタ)300の概略図を例解する。
図3に例解される3Dプリンタ300は、いくつかの点で上で説明される3Dプリンタ100、200と同様であってもよく、したがって、
図1又は2の説明を参照して最良に理解され得、同様の数字は同様の構成要素を示し、詳細には説明されない。
【0036】
図3に例解されるように、CHAMPシステム102は、ファイバ結合レーザなどの1つ以上のファイバレーザ302を含み得る。
図3に更に例解されるように、ファイバレーザ302は、マウント204を介してプリントヘッド104と結合され得る。CHAMPシステム102のファイバレーザ302は、基板の表面をアブレートする、並びに/又は基板116及び/又は基板116の近位の面積を十分に加熱することが可能であり得るか、又はそのように構成されている、任意の好適なファイバレーザ302であるか、又はこれを含み得る。少なくとも一実施形態では、利用されるファイバレーザ302は、構築材料及び/又は構築材料上に形成された酸化物に少なくとも部分的に依存し得る。別の実施形態では、利用されるファイバレーザ302は、基板116上に滴が堆積される速度、又は堆積速度に少なくとも部分的に依存し得る。
【0037】
本明細書に開示されたレーザ202及び/又はファイバレーザ302は、連続波(CW)を出力することが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。レーザ202及び/又はファイバレーザ302はまた、パルス波ビームを出力することが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。レーザ202及び/又はファイバレーザ302は、偏光又は非偏光であってもよい。レーザ202及び/又はファイバレーザ302の出力光は、光学単一モード又は光学マルチモード出力ファイバによって送達され得る。レーザ202及び/又はファイバレーザ302の出力光は、外部光学システムでコリメート及び/又は成形され得る。レーザ202及び/又はファイバレーザ302は、本明細書に記載される3Dプリンタの温度など、高い周囲温度で動作することが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。少なくとも1つの実施形態において、レーザ202及び/又はファイバレーザ302の少なくとも一部分は、水冷などで冷却され得る。更に別の実施形態では、レーザ202及び/又はファイバレーザ302の少なくとも一部分は、本明細書に記載の3Dプリンタの高温面積の外側に位置し得る。例えば、レーザ202及び/又はファイバレーザ302の少なくとも一部分は、550℃未満、400℃未満、300℃未満、又は200℃未満の温度を有する面積に配置され得る。3Dプリンタの動作温度は、堆積される金属に少なくとも部分的に依存し得ることを理解されたい。
【0038】
レーザ202及び/又はファイバレーザ302は、約600nm~約1200nmの波長を有するレーザ又は出力を提供又は形成し得る。しかしながら、レーザ供給業者及び製造業者から市販されているように、他の波長を使用することができることを理解されたい。例えば、レーザ202及び/又はファイバレーザ302からの出力の波長は、約355nm、450nm、532nm、600nm、約700nm、約750nm、約780nm、又は約800nm~約880nm、約900nm、約950nm、約1000nm、約1050nm、約1070nm、約1100nm、約1150nm、又は約1200nmであり得る。
【0039】
レーザ202及び/又はファイバレーザ302は、約40ワット(W)~約1,500Wの出力電力を有してもよい。しかし、レーザ供給業者及び製造業者から市販されているように、他のワット数を使用することができることを理解されたい。
【0040】
レーザ202及び/又はファイバレーザ302は、約0.5ns~約100msのパルス幅を有してもよい。しかしながら、レーザ供給業者及び製造業者から市販されているように、他のパルス幅を使用することができることを理解されたい。例えば、レーザ202及び/又はファイバレーザ302からの出力のパルス幅は、約0.1ms~約4.5msであってもよい。いくつかの用途では、CW(すなわち、連続波、長いオン期間)又は準CWが同様に採用され得る。
【0041】
レーザ202及び/又はファイバレーザ302は、約1μJ(マイクロジュール)~約50mJ(ミリジュール)のパルスエネルギー出力を有することができる。しかしながら、レーザ供給業者及び製造業者から市販されているように、他のパルスエネルギー出力を使用することができることを理解されたい。例えば、ファイバレーザ302のパルスエネルギー出力は、約0.05mJ~100mJであってもよい。
【0042】
レーザ202及び/又はファイバレーザ302は、最大2.5メガヘルツ(MHz)のパルス繰り返し率を有してもよい。しかしながら、レーザ供給業者及び製造業者から市販されているように、より高いパルス繰り返し率を使用することができることを理解されたい。例えば、ファイバレーザ302からの出力のパルス繰り返し率は、約5kHz~250MHzであってもよい。
【0043】
レーザ202又はファイバレーザ302は、基板116の表面をアブレート又は洗浄するのに十分に高いフルエンス(F)、及び/又は基板116の下地の過熱を防止するのに十分に低いフルエンス(F)を有することができる。本明細書で使用される場合、フルエンス(F)は、エネルギー密度を指し得、F=E/Aによって定義され得、式中、Eは、レーザパルスのエネルギーであり、Aは、レーザパルスの面積又はスポットサイズ面積である。レーザ202又はファイバレーザ302は、約0.1J/cm2~約50J/cm2のフルエンス(F)を有してもよい。
【0044】
本明細書に記載されるレーザのうちの任意の1つ以上は、ガスレーザ、ダイオードレーザ、VCSEL、ダイオードレーザアレイ、VCSELアレイ、ダイオード励起ソリッドステートレーザ、近紫外波長範囲(すなわち、紫及び青色)のレーザ、又は可視波長範囲のレーザ、又はこれらの組み合わせなどの他の種類のレーザと組み合わせて置換又は使用され得ることを理解されたい。
【0045】
図4は、1つ以上の実施形態による、例示的なCHAMPシステム102を組み込んだ別の例示的な付加製造デバイス(例えば、3Dプリンタ)400の概略図を例解する。
図4に例解される3Dプリンタ400は、いくつかの点で上で説明される3Dプリンタ100、200、300と同様であってもよく、したがって、それぞれの図の説明を参照して最良に理解され得、同様の数字は同様の構成要素を示し、詳細には説明されない。
【0046】
図4に例解されるように、CHAMPシステム102は、1つ以上のモノゴンシステム(1つが402で示されている)を含み得る。モノゴンシステム402は、基板116の表面をアブレートする、並びに/又は基板116及び/又は基板116の近位の面積を十分に加熱することが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。少なくとも1つの実施形態では、利用されるモノゴンシステム402及び/又はその構成要素は、物品118を作製するために堆積される金属の種類などの構築材料に少なくとも部分的に依存し得る。別の実施形態では、使用されるモノゴンシステム402及び/又はその構成要素は、液滴が基板116上に堆積される速度、又は堆積速度に少なくとも部分的に依存し得る。
【0047】
モノゴンシステム402は、1つ以上のモノゴンスキャナ(1つが404で示されている)、1つ以上のミラー(1つが408で示されている)、又はこれらの組み合わせを含み得る。ミラー408は、本明細書に開示されたレーザのいずれか1つ以上から高出力レーザビームなどの出力源を受容し、出力源をモノゴンスキャナ404に反射又はリダイレクトすることが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。モノゴンスキャナ404は、ミラー又は別の光源から出力源を受容し、出力源を基板116及び/若しくは基板116の近位の面積に反射若しくはリダイレクトすることが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。
【0048】
任意の好適なモノゴンスキャナ404が利用され得る。
図4に例解される少なくとも1つの実施形態では、モノゴンスキャナ404は、その軸(例えば、垂直軸)を中心に回転することが可能な、又はそのように構成されている、回転モノゴン全内部反射(TIR)スキャナであるか、又はこれを含み得る。モノゴンスキャナ404は、基板116上、及び/又は基板116の近位の面積上の出力ビームの位置を方向付けるか、又は制御するために、軸を中心に回転され得る。例解的なモノゴンスキャナ404は、溶融シリカモノゴン光学スキャナなどであるか、又はこれらを含み得るが、これらに限定されない。モノゴンスキャナ404は、モノゴンスキャナ404の軸方向回転によって、360°を超える配向でスキャンすることが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。モノゴンスキャナ404はまた、ミラー408(例えば、ガルバノミラー)と共に利用されるとき、高度で約20°をスキャンすることが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。モノゴンスキャナ404は、約300℃又は500℃~約1200℃、又は約600℃~約1000℃の高周囲温度下で動作することが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。モノゴンスキャナ404は、高レーザパワー(例えば、1W~数kW)で動作することが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。
【0049】
少なくとも1つの実施形態において、モノゴンスキャナ404は、反射性コーティング又は反射防止コーティングなどのコーティングを含まないか、又は実質的に含まなくてもよい。更に、モノゴンシステム402は、3Dプリンタ400の高温面積の外側の出力源(例えば、レーザ源又は光学ビーム)を利用し得ることを更に理解されたい。
図4は単一のモノゴンシステム402を例解しているが、複数のモノゴンシステム402は、基板116及び/又は基板116の近位の面積を加熱するように独立して動作され得ることを理解されたい。1つ以上のガルバノメータスキャナが使用されてもよい。
【0050】
本明細書に開示されるCHAMPシステム102は、基板116の表面からの酸化物若しくは酸化物層及び/又は他の汚染物質の除去を容易にすることと、基板116(例えば、以前に堆積された材料、基板、及び/又は基板の近位の面積)の温度及び/又は温度勾配を制御することとの両方が可能であるか、又はそのように構成され得る。上で簡単に論じたように、金属の3D印刷中に、酸化環境に曝露された基板の表面上に酸化物層が形成され得る。例えば、アルミニウム(Al)は、酸化環境に曝されると、酸化アルミニウムの不動態酸化膜(Al2O2)を容易に形成する。アルミニウム及び他の金属の酸化は、本明細書に開示される3Dプリンタ100、200、300、400で経験される温度などの比較的高い温度に曝露されることによって更に加速される。上記に加えて、他の汚染物質もまた、様々なソースから基板116上に存在し得る。基板116の表面上の酸化物層及び/又は他の汚染物質の存在は、金属滴の合体を阻害し、及び/又は基板116と金属滴との間の冶金結合を阻害する。
【0051】
図5は、基板116の上面504上に配置された酸化物層502を有する基板116の断面図を示す。
図5は、酸化物層504上に配置された他の汚染物質506の層を更に示す。
図5は、酸化物層502の上に配置された他の汚染物質506を示すが、基板は、他の汚染物質506又は酸化物層502のいずれかのみを含んでもよいことを理解されたい。
【0052】
図5に示されるように、本明細書に開示されるCHAMPシステム102は、本明細書に開示されるレーザ202、302のうちの1つ以上からの出力などの出力508を基板116の上面504に方向付け、それによってその表面504上に配置された酸化物層502及び/又は他の汚染物質506を除去又は排除することによって、基板116の上面504を洗浄することが可能であるか、又はそのように構成されてもよい。CHAMPシステム102は、基板116を加熱すると同時に、酸化物層502及び/又は他の汚染物質506を除去することができることを理解されたい。CHAMPシステム102を用いた基板116の洗浄は、化学的洗浄及び/又は機械的研削などの従来の洗浄技術と比較して、比較的環境に優しく、比較的速く、自動化されている。一実施形態では、レーザ202、302が使用されるとき、液体金属噴射(LMJ)は、保護大気シールドガス(例えば、ノズル124、液滴、物品118、又はそれらの組み合わせの周囲)を用いて、又は用いずに行うことができる。
【0053】
CHAMPシステム102を用いて酸化物層502又は他の汚染物質506をアブレート又は除去する機構又はプロセスは、熱的及び/又は機械的アブレーションに少なくとも部分的に依存してもよく、これは、レーザ波長、パルス幅、処理パラメータ、酸化物層の特性(例えば、厚さ、化学組成など)、基板116のタイプ(例えば、金属のタイプ)、又はそれらの組み合わせなどのいくつかのパラメータに少なくとも部分的に依存してもよい。したがって、基板116の表面504を洗浄する方法は、CHAMPシステム102からの出力508のビームプロファイル、CHAMPシステム102からの出力508のパルス幅、CHAMPシステム102からの出力508の振幅、CHAMPシステム102からの出力508のフルエンス(F)、CHAMPシステム102からの出力508のパルスの周波数(例えば、繰り返し率及び/又はパルス数)、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上を変調、規制、調整、又は他の方法で制御することを含むことができる。
【0054】
少なくとも1つの実施形態では、CHAMPシステム102からの出力508のパルス持続時間は、熱損傷を最小限に抑えるために、基板116の材料の熱緩和時間よりも比較的短く維持してもよい。例えば、CHAMPシステム102からのレーザ出力508は、基板116及び基板116の近位の面積を少なくとも部分的に加熱してもよい。熱膨張差による亀裂を回避又は防止するために、CHAMPシステム102からのレーザ出力508のパルス持続時間は、基板116の温度上昇を最小限に抑えるために、基板116の熱緩和時間よりも比較的短く維持することができる。
【0055】
少なくとも1つの実施形態では、CHAMPシステム102からの出力508は、出力508のエネルギーが浸透する深さを最小化又は低減し、それによって基板116の近位の面積への放熱を低減するように調整することができる。
【0056】
本明細書で使用される場合、「アブレーション閾値」という用語又は表現は、アブレーションプロセスによる材料除去に必要な又は要求される最小エネルギー(例えば、レーザエネルギー密度又はフルエンス)を指し得る。少なくとも1つの実施形態において、CHAMPシステム102からのエネルギー又は出力508は、基板116上に配置された酸化物層502及び/又は他の汚染物質506のアブレーション閾値よりも大きく、基板116の材料のアブレーション閾値よりも小さくてもよい。したがって、CHAMPシステム102からの出力508は、基板116の材料(例えば、金属)を損傷することなく、酸化物層502及び他の汚染物質506を除去するのに十分であり得る。
【0057】
図6は、1つ以上の実施形態による、基板116を同時に加熱及び洗浄又はアブレートするための例示的なスキーム600を示す。スキーム600は、基板116上への金属の液滴606、608の堆積の前、後、及び/又は間に、CHAMPシステム102から1つ以上のパルス602、604を出力することを含むことができる。例えば、
図6に示すように、スキーム600は、第1の液滴606の前の第1の一連のパルス602(4つが示されている)と、第1の液滴606の後であって第2の液滴608の前の第2の一連のパルス604(4つが示されている)とを含むことができる。
図6に更に示すように、パルス602、604の各々は、パルス602、604の各々のそれぞれの高さ及び幅によってそれぞれ示されるように、等しいエネルギー出力及び等しい持続時間を有することができる。
図6は、4つのパルス602、604を有する連続を示すが、パルス602、604の任意のパターンが利用され得ることを理解されたい。例えば、スキーム600は、第1の液滴606の前の単一パルス602と、第1の液滴606に続き、第2の液滴608の前の一連のパルス604とを含んでもよい。少なくとも1つの実施形態では、実質的に等しいエネルギー出力及び持続時間を有する一連のパルス602、604を出力することは、基板116上の酸化物層702のアブレーション及び基板116の加熱の両方を提供し得る。
【0058】
図7は、1つ以上の実施形態による、基板116を同時に加熱及び洗浄又はアブレートするための別の例示的なスキーム700を示す。スキーム600と同様に、スキーム700は、基板116上への金属の液滴704、712の堆積の前、後、及び/又は間に、CHAMPシステム102から1つ以上のパルス702、704、708、710を出力することを含むことができる。例えば、
図7に示すように、スキーム700は、第1の液滴706の前の一連のパルス702、704と、第1の液滴706の後かつ第2の液滴712の前の一連のパルス708、710とを含むことができる。スキーム700は、残りのパルス702、704、708、710のうちの1つ以上とは異なるエネルギー出力及び/又はパルス持続時間を有し得るパルス702、704、708、710のうちの1つ以上を含み得る。例えば、
図7に示すように、パルス704、710は、残りのパルス702、708よりも比較的低いエネルギー出力及び長いパルス持続時間を有することができる。比較的短いパルス持続時間及び比較的高いエネルギー出力を有するパルス702、708は、基板116の表面504から酸化物層502及び/又は他の汚染物質506を少なくとも部分的にアブレートすることが可能であるか、又はそのように構成され得る。比較的長いパルス持続時間及び比較的低いエネルギー出力を有するパルス704は、基板116を少なくとも部分的に加熱することが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。レーザは、液滴着地期間又はその何らかの部分を通してオンのままであってもよく、液滴が着地する前にオフにされる必要はない。パルス持続時間及び/又はパルスエネルギー出力の任意の組み合わせを利用することができ、当業者であれば、存在する酸化物層502又は汚染物質506のタイプ、基板116に利用される金属、CHAMPシステム102に利用されるレーザ又は出力508のタイプなど、又はそれらの組み合わせなどの要因に基づいてパラメータを最適化することができることを理解されたい。
【0059】
図6及び
図7にそれぞれ示されるスキーム600、700は、CHAMPシステム102からの出力508のエネルギー出力及びパルス持続時間を考慮するが、本明細書に開示される他のパラメータも修正され得ることを理解されたい。例えば、レーザビームプロファイル、周波数などは、CHAMPシステム102を最適化するために修正されてもよい。
【0060】
CHAMPシステム102は、基板116の少なくとも一部分及び/又は基板116の近位の面積を加熱することが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。例えば、CHAMPシステム102は、プラテン128の少なくとも一部分で、物品118の一部分、そのそれぞれの表面、及び/又はその近位の面積を加熱することが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。CHAMPシステム102は、基板116上の溶融金属の1つ以上の滴又は液滴の堆積前、堆積中、及び/又は堆積後に、基板116の一部分、及び/又は基板116の近位の面積を加熱し得る。例示的な実施形態では、CHAMPシステム102は、基板116上の滴の堆積前及び/又は堆積中に、基板116の一部分を加熱する。例えば、CHAMPシステム102は、基板116上に堆積された連続する液滴の間の基板116の部分を加熱することができる。基板116上の滴の堆積は、基板116上に溶融プールを生成又は形成し得、CHAMPシステム102は、溶融プールの界面温度又は温度勾配を少なくとも部分的に変調(例えば、増加、減少、変更など)させ、それによって、物品118を形成する得られた中実金属の1つ以上の特性を制御することが可能であり得るか、又はそのように構成され得ることを理解されたい。例えば、溶融プールの温度勾配を変調させることにより、3Dプリンタ100が、物品118を形成する得られた固体金属の粒径、粒成長、粒構造、粒配向、及び/又は粒界を制御することを可能にし得る。金属粒子形成、構造、及び/又は特性(例えば、サイズ、成長、配向、境界など)は、物品118の得られた部分の1つ以上の機械的特性を少なくとも部分的に決定し得ることもまた理解されたい。例えば、粒子形成及び/又は構造は、物品118を形成する得られた中実金属の降伏応力、延性、硬度、疲労寿命、又はこれらの組み合わせを少なくとも部分的に決定し得る。したがって、CHAMPシステム102は、基板116の部分を少なくとも部分的に加熱し、それによって、物品118を形成する中実金属の1つ以上の特性を制御することが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。
【0061】
CHAMPシステム102はまた、物品118の以前に堆積された滴又は区分を再熱又は再溶融して、溶融金属滴及び以前に堆積された金属が合体し、それによって物品118の機械的及び/若しくは構築品質を改善するため、溶融プールの界面温度及び/若しくは温度勾配を制御することが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。溶融プールの温度勾配を十分に制御するために必要な熱量又は熱エネルギーの量は、物品118及び/又は溶融プールの温度として最小であり得るか、又はその溶融プール又はその合体領域は、比較的高い温度で既に維持されていることを理解されたい。したがって、CHAMPシステム102は、費用効果的に動作され、溶融プールの温度勾配を制御するのに十分な熱エネルギーを提供し得る。更に、CHAMPシステム102は、生産性が低下しないようにインライン方式で動作され得ることを理解されたい。例えば、CHAMPシステム102は、3Dプリンタ100の他の構成要素に沿って動作されて、改善された特性を有し、オフライン二次又は後印刷プロセスなしに物品118を提供し得る。
【0062】
前述に加えて、CHAMPシステム102は、滴の堆積及び/又は溶融プールの近く若しくは近位に基板116の一部分を少なくとも部分的に加熱することが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。例えば、CHAMPシステム102は、滴及び/又は溶融プールの堆積に隣接して又はその外側で、基板116の一部分を少なくとも部分的に加熱することが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。滴及び/又は溶融プールの堆積の近く、近位、又は隣接する基板116の一部分を加熱することは、表面粗さを低減することができ、かつ/又は、CHAMPシステム102から加熱されていない表面と比較して改善された表面仕上げ能力を提供し得ることを理解されたい。
【0063】
CHAMPシステム102は、約0.025mm~約2.0mmの直径を有する面積を直接加熱し得る。例えば、CHAMPシステム102の出力708(例えば、レーザビーム)は、約0.025mm~約2.0mmの直径又は主軸を有し得る。少なくとも1つの実施形態において、CHAMPシステム102の出力708は、約0.025mm、約0.03mm、約0.04mm、約0.05mm、約0.1mm、約0.2mm、約0.3mm、又は約0.4mm~約0.5mm、約0.6mm、約0.7mm、約0.8mm、約0.9mm、約0.95mm、約1.0mm、約1.1mm、約1.2mm、約1.3mm、約1.4mm、又は約1.5mm、最大2.0mmの直径又は主軸を有し得る。
【0064】
基板116は、基板116の近位かつ/又は作製された物品118の近くの面積は、約100℃~約600℃の温度に維持され得る。例えば、温度は、約100℃以上、約200℃以上、約300℃以上、約350℃以上、約400℃以上、約450℃以上、約500℃以上、又は約550℃以上、約600℃以下であり得る。別の実施例では、温度は、約100℃以上、又は約300℃以上~約350℃以下、約400℃以下、約450℃以下、約500℃以下、約550℃以下、又は約600℃以下であり得る。CHAMPシステム102の全て又は実質的に全ての構成要素は、基板116の温度、基板116の近位及び/又は物品118付近の面積で動作することが可能であり得るか、又はそのように構成され得ることを理解されたい。
【0065】
CHAMPシステム102は、基板116及び/又は基板116の近位の面積を、構築材料の融点の少なくとも60%~約100%の温度まで加熱することが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。例えば、CHAMPシステム102は、基板116及び/又は基板116の近位の面積を、構築材料の融点の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%~約100%の温度まで加熱することが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。別の実施形態では、CHAMPシステム102は、基板116の温度及び/又は基板116の近位の面積(例えば、合体領域又は溶融プール)の温度を、構築材料の融点の約±10%、±15%、±20%、±25%、±30%、±35%、±40%、±45%又は±50%上昇させることが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。
【0066】
上述したように、CHAMPシステム102の1つ以上のパラメータは、少なくとも部分的に、基板116の材料又は構築材料によって決定することができる。例えば、アブレーション及び加熱の両方に必要なパルスエネルギー及び/又はパルス持続時間は、構築材料に依存し得る。少なくとも1つの実施形態では、構築材料は、1つ以上の金属及び/又はこれらの合金であるか、又はこれらを含み得る。例解的な構築材料は、アルミニウム、アルミニウム合金、真鍮、青銅、クロム、コバルトクロム合金、銅、銅合金、鉄合金(インバー)、ニッケル、ニッケル合金(インコネル)、ニッケルチタン合金(ニチノール)、ステンレス鋼、スズ、チタン、チタン合金、金、銀、モリブデン、タングステンなど、若しくはこれらの合金、又はこれらの任意の組み合わせであるか、又はこれらを含み得るが、これらに限定されない。
【0067】
図1、
図2、
図3、
図6、及び
図7を引き続き参照した3Dプリンタ100、200、300、600の例示的な動作では、ステージ106及び基板116は、x軸、y軸、及び/又はz軸のプリントヘッド104に対して互いに移動するように構成され得る。例えば、ステージ106及び基板116は、プリントヘッド104が静止したままで、x軸、y軸、及びz軸内で互いに移動するように構成され得る。別の例では、プリントヘッド104は、ステージ106及び基板116が静止している間、x軸、y軸、及びz軸内で移動するように構成され得る。更に別の実施例では、プリントヘッド104はz軸内で移動し得、ステージ106及び基板116はx軸及びy軸内で移動し得る。同様に、ステージ106及び基板116は、プリントヘッド104がx軸及びy軸内で移動し得る間、z軸内で移動し得る。
【0068】
プリントヘッド104は、構築材料の液滴をプラテン128又は基板116上の構築経路に沿って方向付けて、層内で液滴によって物品118を層状に一滴ずつ形成し得る。現在の噴射された滴は、以前に噴射された滴に方向付けられ得るが、これは、様々な量の予め噴射された材料(例えば、下方及び/又は隣接する)によって包囲され得る。したがって、現在及び/又は以前に噴射された滴は、様々な温度で維持され得ることを理解されたい。例えば、熱伝導経路は、物品118の形状及び/又は設計に少なくとも部分的に依存し得る。したがって、以前に噴射された滴及び/又は現在噴射された滴の温度は、異なる温度又は異なる界面温度に維持され得る。更に、噴射された液滴は、堆積時にその表面に酸化物を形成することがある。動作中、CHAMPシステム102は、基板116及び/又は基板116の近位の面積の温度を調整することが可能であり得るか、又はそのように構成され得る。CHAMPシステム102はまた、続いて噴射される液滴の堆積の前に、基板116の表面上に形成された酸化物をアブレートすることができるか、又はアブレートするように構成することができる。CHAMPシステム102は、構築材料の以前の液滴と現在の液滴との間の時間差、基板116上の酸化物及び/又は他の汚染物質、物品118の様々な部分に沿った熱伝導差、構築経路、利用される構築材料のタイプ(例えば、ポリマー、金属など)、CHAMPシステム102からの出力508のビームプロファイル、CHAMPシステム102からの出力508のパルス幅、CHAMPシステム102からの出力508の振幅、CHAMPシステム102からの出力508のフルエンス(F)、CHAMPシステム102からの出力508のパルスの周波数(例えば、繰り返し率及び/又はパルス数)、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上に少なくとも部分的に依存するように動作することができる。
【0069】
システム設計の考慮事項
【0070】
酸化アルミニウム(Al2O3)層は、アルゴンシュラウドに起因して数十nmの厚さであり得る。いくつかの実施形態では、構築部品スキャンがいくつかの構築部品セクションを空気に曝露するので、層はより厚くてもよい。Al2O3は、近UV、VIS、及びNIRにおいて透明である。AlのCTEは、Al2O3のCTEよりも約3倍大きい。表面酸化物は、下にある金属の急速な過渡的熱膨張からの衝撃波によって引き起こされる応力からの物理的破断によって除去され得る。
【0071】
形成される酸化銅は、酸化第二銅(CuO)及び酸化第一銅(Cu2O)であり得る。CuO及びCu2O吸収は、355nm、450nm、及び532nmで約80%~90%である。CuOの融点は約1336℃、Cu2Oの融点は約1242℃、Cuの融点は約1083℃である。CuのCTEは、CuOのCTEよりも約3倍大きく、Cu2OのCTEよりも約9倍大きい。表面酸化物は、急速な過渡的な熱膨張差からの衝撃波によって引き起こされる応力による物理的破断によって除去され得る。
【0072】
パルス持続時間は、熱緩和時間未満である(例えば、基板への熱影響を最小にするため)。レーザエネルギーは、周囲領域に放散される熱エネルギーがより少ない状態で、薄い深さに制限することができる。熱緩和時間はピコ秒(ps)で測定することができる。したがって、ナノ秒(ns)及びマイクロ秒(μs)μs)パルスは、熱アブレーションを伴う/生成することがある。したがって、熱酸化は酸化環境で可能であり得る。不活性ガスシュラウド又は環境は、アブレーション後の即時の再酸化を防止することができる。
【0073】
ファイバ結合レーザ(例えば、コア直径105μmの出力ファイバを用いる)は、60W~100Wの出力電力、105μmのコア、0.22NA、20μs~1000μsのパルス幅、1.2mJ~100mJ、及び最大20kHzの繰り返し率を有することができる。別の実施形態では、ファイバ結合レーザは、200Wの出力電力、200μmコア、0.22NA、20μs~1000μsのパルス幅、1.2mJ~200mJ、及び最大20kHzの繰り返し率を有してもよい。ファイバ結合レーザはまた、808nm、980nm波長及びトップハットビームプロファイルを有してもよい。
【0074】
青色高出力ファイバ結合レーザは、450nmの波長、200μmのコア、0.22NA、200Wの出力電力、20μs~1000μsのパルス幅、1.2mJ~200mJ、及び最大20kHzの繰り返し率を有してもよい。別の実施形態では、青色高出力ファイバ結合レーザは、450nmの波長、330μmのコア、0.22NA、500Wの出力電力、20μs~1000μsのパルス幅、1.2mJ~500mJ、及び最大5kHzの繰り返し率を有してもよい。青色高出力ファイバ結合レーザは、トップハットビームプロファイルを有してもよい。
【0075】
ファイバレーザは、1070nmの波長、100Wの出力電力、10μs~100μsのパルス幅、1mJ~10mJ、及び最大50kHzの繰り返し率を有してもよい。別の実施形態では、ファイバレーザは、532nmの波長、100Wの出力電力、及び現在利用可能なCWを有してもよい。ファイバレーザは、ガウスビームプロファイル、又はビーム成形光学系で利用可能な他のプロファイルを有してもよい。ファイバレーザは、鉄/非鉄金属から酸化物を除去するために使用されてもよい。
【0076】
ナノ秒パルスファイバレーザは、355nm、532nm、1064nmの波長、最大200Wの出力電力、1ns~1.5μsのパルス幅、0.1mJ~10mJ、及び最大2MHzの繰り返し率を有してもよい。ナノ秒パルスファイバレーザは、ガウスビームプロファイル、又はビーム成形光学系で利用可能な他のプロファイルを有してもよい。ナノ秒パルスファイバレーザは、鉄/非鉄金属から酸化物を除去するために使用され得る。
【0077】
他の実施形態は、TRUMPFピコ秒及びフェムト秒パルス緑色ディスクレーザ(例えば、515nm)を使用してもよい。1.0mm未満のスポット直径が、1J/cm2~10J/cm2のアブレーション閾値に到達するために使用されてもよい。
【0078】
図8は、一実施形態による、ナノ秒パルスレーザ熱機械効果の概略図を示す。レーザエネルギーは、表面温度を上昇させてアブレーションをもたらす非透明層の場合には、酸化物表面で吸収され得る。しかしながら、その後の熱効果も導入される。
【0079】
図9は、一実施形態による、ナノ秒パルスレーザ熱機械効果の別の概略図を示す。透明酸化物上へのレーザ照射は、酸化物-金属界面に垂直な機械的応力を誘発し得る。これは、基板への熱損傷を最小限に抑えて(例えば、全く伴わずに)酸化物層の破砕をもたらし得る。
【0080】
図10A及び
図10Bは、一実施形態による、ナノ秒パルスレーザ熱機械効果の別の追加の概略図を示す。レーザエネルギーは、非透明層の場合、酸化物表面で吸収され得、これは表面温度を上昇させる。この洗浄は、アブレーションによって行われてもよい。しかしながら、酸化物の再固化のような後続の熱効果を導入することができる。
【0081】
完全に吸収性の酸化物の場合、反射されないレーザエネルギーは、酸化物の表面近傍領域で吸収され、その局所的な熱膨張をもたらす。第1の臨界値(例えば、E0)までのエネルギーでは、熱入力も、発生した応力場も、照射されたシステムにいかなる損傷(例えば、熱弾性相互干渉)も引き起こすことができない。E0<E<E1の範囲のエネルギーでは、温度上昇中の酸化物の軟化、及び温度低下中の照射領域の境界での亀裂開始が、レーザ照射の主な影響である。第2の臨界値(例えば、E1)よりも高いエネルギーでは、照射領域の境界におけるスケール内亀裂の急速な伝播、並びに表面層内の剪断応力が、照射された酸化物の断片化をもたらし得る。しかしながら、高温では、酸化物は粘性挙動を示し、これは、酸化物の断片化中に応力緩和を変化させて、その完全な排除をもたらすには不十分である。更に、熱伝達が一次元ではないので、形成されたクレータの周りの粘性熱の影響を受けた酸化物が流れて、クレータの境界を覆う。
【0082】
完全に透明な酸化物の場合、金属の界面近傍領域で吸収される反射されないレーザエネルギーは、金属の局所的熱膨張及び酸化物の連続的な強制変形をもたらす。酸化物の機械的負荷は、従来の曲げ試験と同等であると考えることができる。第1の臨界値(E0)までのエネルギーについては、照射されたシステムの損傷は起こらない。E0<E<E1の範囲のエネルギーに対して、金属の熱膨張は、ほとんど負荷を受けない照射領域の境界において「危険な」平面応力をもたらす曲げ矢印に対応する。酸化物及び金属の熱膨張及び収縮の差は、界面に剪断応力を誘起する。この混合装填の効果は、界面近傍領域に位置し、コーティング内及び酸化物/金属界面に沿って亀裂の開始をもたらす。第2の臨界値(E1)よりも高いエネルギーの場合、照射された酸化物の境界におけるスケール内亀裂の急速な伝播、並びに界面の急速な破壊は、分離した酸化物の排除をもたらすのに十分な応力緩和をもたらす。
【0083】
下にあるアルミニウムよりも低いアブレーション閾値を有する酸化物層をアブレートするために、集束高出力レーザビームを使用することができる。アブレーション閾値は、アブレーションプロセスによる材料除去に必要な最小レーザエネルギーを表す。金属のアブレーション閾値フルエンスは、1~10J/cm2の範囲である。アブレーション深さは、レーザエネルギーに依存する。アブレーション速度は、レーザフルエンス、パルス持続時間、パルス数、パルス繰り返し率(例えば、パルス数が多くなりパルス繰り返し率が高くなるにつれて増加する)、又はそれらの組み合わせによって制御され得る。
【0084】
熱緩和時間よりも短いパルス持続時間を有する短いパルスが、最小の熱損傷のために必要とされる。レーザエネルギーは薄い深さに制限され、周囲領域に放散される熱エネルギーはより少ない。
【0085】
汚染物質層の十分な吸収係数が気化温度に達するために必要とされる一方で、基板の吸収係数は、溶融又は亀裂をもたらす熱膨張差を回避するために、温度の上昇を制限するように最小化される。レーザ照射は熱に変換されるので、酸化物層の形成は、レーザ照射中又は元の酸化物を除去した後であっても起こり得る。熱酸化は、レーザパルス時間がアルミニウムの熱緩和時間よりも長い場合に予想することができる。
【0086】
アルミニウムの重要な特性の1つは、通常アルミニウムを覆う接着性酸化膜である。アルミニウムの酸化物は、アルミニウムの融点よりも1400℃高い2060℃で溶融する。表面に酸化膜が存在すると、アルミニウムは耐久性があり、非常に頑強であり、自己修復するので、アルミニウムに耐食性が与えられる。酸化物は、近UV、VIS、及びNIRにおいて透明であってもよい。不動態酸化膜(Al2O3)の形成反応は以下の通りであり、
4Al+3O2→2Al2O3
2Al(s)+3H2O(l)→Al2O3(s)+6H+(aq)+6e-
【0087】
酸化物は、酸化環境において1ミリ秒以内に形成することができる。酸化アルミニウム膜は、典型的には、内側及び外側の酸化物層の2つの層を有する。アモルファス構造を有する内側層は、外側の水和酸化物層よりも薄く、安定性が低い。外側酸化物層の厚さは、酸素圧及び溶液温度に依存する。不動態酸化膜は、粗さ並びに亀裂及び腐食感受性をもたらす、細孔、亀裂、及び傷を含む汚染物質及び欠陥を含有する可能性がある。これは、外層が外部環境と反応するためである。それは大気中の水分並びに汚染物質を吸収する。酸化物層は、水との長時間の接触により成長する傾向がある。それは高温でバイヤライト及びベーマイトに変換することができる。
【0088】
アルミナは、高い融点、高い硬度、適度な引張及び曲げ抵抗を有し、アルミナの機械的特性の主な欠点である脆性破断挙動を示す。アルミナは、金属及び合金のように荷重下で降伏しないイオン共有結合固体である。脆性は、表面欠陥、切欠き、内部傷、又は熱衝撃の発生などの高い引張応力の場所で、事前の塑性変形なしにアルミナを破損させる可能性がある。アルミナはまた、低い電気伝導率(高い抵抗率)及び低い熱伝導率を有する。
【0089】
形成された酸化銅は、酸化第二銅(CuO)及び酸化第一銅(Cu2O)から構成される。CuOの融点は1336℃、Cu2Oの融点は1242℃、Cuの融点は1083℃である。パルスファイバレーザは、355nm及び532nmで利用可能である。
【0090】
単一パルス照射戦略を使用することができる(例えば、355nm波長及び50nsのパルス持続時間)。この目的は、基板を損傷することなく酸化物層をできるだけ完全に除去することである。厚さ1μmの酸化銅を有する試料に関して、2.5×107W/cm2の強度は、溶融することなく酸化膜を引き剥がす。これは、レーザパルスによって誘起される材料の急速な熱膨張によって生成される衝撃波に起因する可能性がある。強度が3.7×107W/cm2に上昇すると、酸化銅が溶融し始める。強度が8×107W/cm2に達すると、銅の基板が溶融し始める。したがって、レーザ強度閾値は、7.5×107W/cm2と決定される。2.5μm厚の酸化銅を有する試料については、対応する強度閾値は2×108W/cm2である。レーザ強度閾値が酸化物層の厚さと共に増加することが明確に示されている。1μm厚の酸化銅は、7.5×107W/cm2の強度を有する1つのパルスによって完全に除去されない。しかしながら、少し高い強度は基板の損傷につながる。これは、この戦略の下で安全なレーザ強度閾値を実験的に決定することが困難であることを示す。
【0091】
複数パルス照射戦略も使用することができる(例えば、355nm波長及び50nsのパルス持続時間)。より低い強度を有する複数パルスを使用することは、基板に対する損傷回避に対するより容易な制御を提供する。しかしながら、それはより長い時間を要し、パルス繰り返し率が役割を果たす。複数パルス戦略の下では、基板に損傷を与えることなく酸化物層を除去するために複数のパルスが必要であり、一方、レーザ強度ははるかに大きな動作ウィンドウを有する。少し低いレーザ強度では、酸化物を除去するためにより多くのパルスを要するが、数個の余分なパルスは基板を損傷しない可能性があり、したがって、より大きな安全マージンを与える。レーザ繰り返し率が高いほど、必要とされるレーザパルス数は少なくなる。複数パルス戦略下でのレーザ強度は、CuOの蒸発閾値よりも高く、Cu基板の溶融閾値よりも低くてもよい。前者は1.19×107W/cm2であり、後者は6.5×107W/cm2である。5.5×107W/cm2の強度では、3個のパルスは酸化膜を完全に除去することができず、4個のパルスは基板に損傷を与える。3×107W/cm2の強度に対して、第7のパルスによって生成されたクレータは、第6のパルスによって残された非常に薄い酸化物層が除去された後に深くなるのが終わり、第8のパルスによってCu表面が溶融し始める。1.25×107W/cm2の強度では、15個のパルスの照射後に酸化層が完全に除去される。裸のCu基板上に直接照射する第16、第17及び第18のパルスは、Cu表面に損傷を与えない。2kHzの場合のより激しい熱蓄積のために、第5のパルスによって誘導される温度は、1kHz未満の温度よりも著しく高い。これは、より高い繰り返し率が、同一レーザ強度下で酸化物層を除去するために必要とされるパルス数を低減することができる理由である。
【0092】
上述したように、パルスレーザアブレーションのメカニズムには、フォトケミカルモデル、フォトサーマルモデル、及びフォトメカニカルモデルが含まれる。光化学モデルにおいて、光子の吸収は、光アブレーション分解による分子結合の直接的な解離をもたらす。フォトサーマルモデルにおいて、アブレーションは、レーザが蒸発を引き起こすのに十分なエネルギーを材料内に堆積するときに生じる。フォトメカニカルモデルでは、レーザ誘起応力が材料の引張強度を超えたときにアブレーションが開始される。一例は、光破砕である。熱アブレーションによるAl2O3の除去は、Al2O3の透明性に起因するAl基板への熱効果を伴う場合がある。代わりに、ナノ秒レーザを使用する膜層の機械的破壊/破砕によって除去されるAl2O3が行われてもよい。CuO及びCu2Oは、ナノ秒パルスレーザを使用する場合、機械的破砕によって除去することができる。CuO及びCu2Oは、ピコ秒又はフェムト秒レーザを使用する場合、熱アブレーションによって除去することができる。
【0093】
本開示を、例示的な実装形態を参照して説明してきた。限定された数の実装形態が図示及び説明されてきたが、当業者は、前述の発明を実施するための形態の原理及び趣旨から逸脱することなく、これらの実装形態において変更がなされ得ることが理解されるであろう。本開示は、添付の特許請求の範囲又はその均等物の範囲内にあるような、そのような修正及び変更の全てを含むものとして解釈されることが意図される。
【外国語明細書】