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特開2024-82253リアルタイム可変機能を有する暗視野検査装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082253
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】リアルタイム可変機能を有する暗視野検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20240612BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
G01N21/956 A
G01N21/84 E
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023203147
(22)【出願日】2023-11-30
(31)【優先権主張番号】10-2022-0169291
(32)【優先日】2022-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523059936
【氏名又は名称】ネクスティン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク,テ フン
(72)【発明者】
【氏名】クォン,オ ヒョン
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA51
2G051AB07
2G051BA08
2G051BB05
2G051BB07
2G051BB11
2G051CA03
2G051CB05
2G051CC07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】照明光の波長が可変であり、散乱光の波長を選択的に受光し、照明光の照射領域を調節することができる暗視野検査装置を提供する。
【解決手段】照明部は、光源と、位置毎に互いに異なる波長帯域の光を通過させる可変帯域通過フィルタと、制御部と、を含み、前記制御部は、前記可変帯域通過フィルタの位置を調整し、前記光源から出射される光のうち、前記可変帯域通過フィルタの位置にマッチングする特定の波長帯域の光のみを通過させることにより、前記照明光の波長が可変であるように構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルに照明光を照射する照明部と、
前記照明光がサンプルに照射され、前記サンプルから散乱される散乱光を収集する受光部と、を含み、
前記照明部は、前記照明部から照射される照明光の波長を可変可能であるように構成される、暗視野検査装置。
【請求項2】
前記照明部は、光源と、位置毎に互いに異なる波長帯域の光を通過させる可変帯域通過フィルタと、制御部と、を含み、
前記制御部は、前記可変帯域通過フィルタの位置を調整し、
前記光源から出射される光のうち、前記可変帯域通過フィルタの位置にマッチングする特定の波長帯域の光のみを通過させることにより、前記照明光の波長が可変であるように構成される、請求項1に記載の暗視野検査装置。
【請求項3】
前記光源は、多重波長光源または白色光源である、請求項2に記載の暗視野検査装置。
【請求項4】
前記照明部は、それぞれが互いに異なる波長の光を放出する多数の光源と、前記多数の光源のうち何れか一つの光源から出射される光のみを通過させるか、2つ以上の光源から出射される光を混合して通過させる混合光学系と、制御部と、を含み、
前記制御部は、前記多数の光源のそれぞれの電源を個別に制御し、
前記多数の光源と前記混合光学系との相互作用により、前記照明光の波長が可変であるように構成される、請求項1に記載の暗視野検査装置。
【請求項5】
前記混合光学系は、少なくとも一つのダイクロイックミラーを含む、請求項4に記載の暗視野検査装置。
【請求項6】
前記受光部は、前記散乱光のうち特定の波長帯域の光を選択的に受光可能に構成される、請求項1に記載の暗視野検査装置。
【請求項7】
前記受光部は、位置毎に互いに異なる波長帯域の光を通過させる可変帯域通過フィルタと、制御部と、前記可変帯域通過フィルタを通過した光を収集するカメラと、を含み、
前記制御部は、前記可変帯域通過フィルタの位置を調整し、
これにより、前記散乱光のうち、前記可変帯域通過フィルタの位置にマッチングする特定の波長帯域の光のみが通過して前記カメラに収集されるように構成される、請求項6に記載の暗視野検査装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記照明部から照射される照明光の波長にマッチングするように、前記可変帯域通過フィルタの位置を調整する、請求項7に記載の暗視野検査装置。
【請求項9】
前記受光部は、それぞれが互いに異なる波長の光を反射させるn個のダイクロイックミラーと、前記n個のダイクロイックミラーのそれぞれで反射した光を収集するように、各ダイクロイックミラーに個別にマッチングするn個の反射光収集カメラと、前記n個のダイクロイックミラーを全て通過した光を収集する通過光収集カメラと、を含み、
これにより、前記散乱光のうち、前記各ダイクロイックミラーの反射帯域にマッチングする波長帯域の光が反射され、前記各ダイクロイックミラーにマッチングする反射光収集カメラに収集されるように構成される(ここで、nは2以上の自然数)、請求項6に記載の暗視野検査装置。
【請求項10】
前記受光部は、それぞれが互いに異なる波長の光を反射させるn個のダイクロイックミラーを含み、タレット方式により回転駆動されるミラー板と、制御部と、前記ミラー板で反射した光を収集する反射光収集カメラと、前記ミラー板を通過した光を収集する通過光収集カメラと、を含み、
前記制御部は、前記ミラー板を回転させ、
これにより、前記散乱光のうち、前記ミラー板の何れか一つのダイクロイックミラーの反射帯域にマッチングする波長帯域の光が反射して前記反射光収集カメラに収集され、残りの帯域の光は通過して前記通過光収集カメラに収集されるように構成される(ここで、nは2以上の自然数)、請求項6に記載の暗視野検査装置。
【請求項11】
前記照明部は、光源と、前記光源から出射される光をライン状に成形するための多数のレンズからなるレンズ光学系と、を含み、
これにより、前記照明部は、一定の長さのライン光を照射する、請求項1に記載の暗視野検査装置。
【請求項12】
前記照明部が照射するライン光の長さを調節する光長さ調節部をさらに含む、請求項11に記載の暗視野検査装置。
【請求項13】
前記光長さ調節部は、前記光源とサンプルとの間の光経路の一位置に設けられ、開閉可能に構成されるシャッタと、前記シャッタの開閉を調節する制御部と、を含み、
前記シャッタの開閉程度によって前記ライン光の長さが調節される、請求項12に記載の暗視野検査装置。
【請求項14】
前記シャッタは、第1方向に開閉する第1シャッタ部と、第2方向に開閉する第2シャッタ部と、を含み、
前記制御部は、前記第1シャッタ部の開閉を調節する第1制御部と、前記第2シャッタ部の開閉を調節する第2制御部と、を含み、
前記第1制御部と前記第2制御部により、前記第1シャッタ部と前記第2シャッタ部のそれぞれが同時にまたは個別に制御される、請求項13に記載の暗視野検査装置。
【請求項15】
前記レンズ光学系の内部の一位置には、前記光源から出射された光がライン状に結像される結像面が形成され、
前記結像面上に前記シャッタが設けられる、請求項13に記載の暗視野検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗視野検査装置に関し、照明光の波長が可変であり、散乱光の波長を選択的に受光し、照明光の照射領域を調節することができる暗視野検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に暗視野とは、顕微鏡において、照明光が対物レンズに直接入らず、背景が暗い状態で観測対象にぶつかって形成された散乱光が対物レンズに入って来て得られる視野を意味する。ここで、照明光は、通常、観測対象の横の方から投射される。暗い部屋に光が入ると埃が輝いて見えるチンダル現象を利用したものであって、普通の顕微鏡では見られない小さい粒子も確認可能である。
【0003】
かかる暗視野の原理を利用して、半導体ウエハなどの欠陥検査分野で用いられる暗視野照明系は、観測対象を視る結像光学系レンズ(マクロレンズ、顕微鏡の対物レンズなどが含まれる)の外部干渉を避けて観測対象を照明する方式が必要であるが、この際、観測対象に均一な強度分布で照明を提供することが望ましい。
【0004】
図1は暗視野照明系を概略的に示した図であり、暗視野照明系20は、半導体ウエハなどのサンプル21に光22を斜めに照明する光源23と、サンプル21から散乱された光が入射される対物レンズ24と、対物レンズ24を通った光が入射されるチューブレンズ25と、チューブレンズ25で集められた光が収集されるカメラ26と、を含む。
【0005】
このような暗視野照明系は、次のような問題を有する。
1.サンプルの物性によって、照明光が透過される程度と浸透深さに差が生じることがある。
2.サンプルの表面を検査する時に、光の透過により光量の損失が発生することがあり、浸透深さによって内部反射による信号が混ざる恐れがある。
3.一般に、光源が単一波長から構成されるため、多様な種類のサンプルに対応して光源を最適化することが困難である。
4.照明光の照射領域がサンプルに比べて大きい場合、サンプルを除いた残りの部分で、意図しない乱反射信号が混ざる恐れがある。
【0006】
したがって、上記のような問題を解決する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国特許登録第10-1304615号(2013.08.30.登録)公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、本発明は、暗視野検査装置に関し、照明光の波長が可変であり、散乱光の波長を選択的に受光し、照明光の照射領域を調節することができる暗視野検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る暗視野検査装置は、サンプルに照明光を照射する照明部と、前記照明光がサンプルに照射され、前記サンプルから散乱される散乱光を収集する受光部と、を含み、前記照明部は、前記照明部から照射される照明光の波長を可変であるように構成されることができる。
【0010】
前記照明部は、光源と、位置毎に互いに異なる波長帯域の光を通過させる可変帯域通過フィルタと、制御部と、を含み、前記制御部は、前記可変帯域通過フィルタの位置を調整し、前記光源から出射される光のうち、前記可変帯域通過フィルタの位置にマッチングする特定の波長帯域の光のみを通過させることにより、前記照明光の波長が可変であるように構成されることができる。
【0011】
前記光源は、多重波長光源または白色光源であることができる。
【0012】
前記照明部は、それぞれが互いに異なる波長の光を放出する多数の光源と、前記多数の光源のうち何れか一つの光源から出射される光のみを通過させるか、2つ以上の光源から出射される光を混合して通過させる混合光学系と、制御部と、を含み、前記制御部は、前記多数の光源のそれぞれの電源を個別に制御し、前記多数の光源と前記混合光学系との相互作用により、前記照明光の波長が可変であるように構成されることができる。
【0013】
前記混合光学系は、少なくとも一つのダイクロイックミラーを含むことができる。
【0014】
前記受光部は、前記散乱光のうち特定の波長帯域の光を選択的に受光可能に構成されることができる。
【0015】
前記受光部は、位置毎に互いに異なる波長帯域の光を通過させる可変帯域通過フィルタと、制御部と、前記可変帯域通過フィルタを通過した光を収集するカメラと、を含み、前記制御部は、前記可変帯域通過フィルタの位置を調整し、これにより、前記散乱光のうち、前記可変帯域通過フィルタの位置にマッチングする特定の波長帯域の光のみが通過して前記カメラに収集されるように構成されることができる。
【0016】
前記制御部は、前記照明部から照射される照明光の波長にマッチングするように、前記可変帯域通過フィルタの位置を調整することができる。
【0017】
前記受光部は、それぞれが互いに異なる波長の光を反射させるn個のダイクロイックミラーと、前記n個のダイクロイックミラーのそれぞれで反射した光を収集するように、各ダイクロイックミラーに個別にマッチングするn個の反射光収集カメラと、前記n個のダイクロイックミラーを全て通過した光を収集する通過光収集カメラと、を含み、これにより、前記散乱光のうち、前記各ダイクロイックミラーの反射帯域にマッチングする波長帯域の光が反射され、前記各ダイクロイックミラーにマッチングする反射光収集カメラに収集されるように構成されることができる(ここで、nは2以上の自然数)。
【0018】
前記受光部は、それぞれが互いに異なる波長の光を反射させるn個のダイクロイックミラーを含み、タレット方式により回転駆動されるミラー板と、制御部と、前記ミラー板で反射した光を収集する反射光収集カメラと、前記ミラー板を通過した光を収集する通過光収集カメラと、を含み、前記制御部は、前記ミラー板を回転させ、これにより、前記散乱光のうち、前記ミラー板の何れか一つのダイクロイックミラーの反射帯域にマッチングする波長帯域の光が反射して前記反射光収集カメラに収集され、残りの帯域の光は通過して前記通過光収集カメラに収集されるように構成されることができる(ここで、nは2以上の自然数)。
【0019】
前記照明部は、光源と、前記光源から出射される光をライン状に成形するための多数のレンズからなるレンズ光学系と、を含み、これにより、前記照明部は、一定の長さのライン光を照射することができる。
【0020】
前記照明部が照射するライン光の長さを調節する光長さ調節部をさらに含むことができる。
【0021】
前記光長さ調節部は、前記光源とサンプルとの間の光経路の一位置に設けられ、開閉可能に構成されるシャッタと、前記シャッタの開閉を調節する制御部と、を含み、前記シャッタの開閉程度によって前記ライン光の長さが調節されることができる。
【0022】
前記シャッタは、第1方向に開閉する第1シャッタ部と、第2方向に開閉する第2シャッタ部と、を含み、前記制御部は、前記第1シャッタ部の開閉を調節する第1制御部と、前記第2シャッタ部の開閉を調節する第2制御部と、を含み、前記第1制御部と前記第2制御部により、前記第1シャッタ部と前記第2シャッタ部のそれぞれが同時にまたは個別に制御されることができる。
【0023】
前記レンズ光学系の内部の一位置には、前記光源から出射された光がライン状に結像される結像面が形成され、前記結像面上に前記シャッタが設けられることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、照明光の波長が可変であるように構成することで、照明光のサンプル上における透過損失と浸透深さを最小化し、内部欠陥に対応する散乱信号を最小化することができ、散乱光の波長を選択的に受光するように構成することで、検出能力を向上させることができる。また、照明光の照射領域を調節し、サンプルのみに光が照射されるため、サンプル以外の領域で発生する乱反射信号の影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】暗視野照明系を概略的に示した図である。
図2】本発明の暗視野検査装置を概略的に示した図である。
図3】本発明の照明部の概略図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る照明部の概略図である。
図5】制御部による可変帯域通過フィルタの位置調整を概略的に示した図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る照明部の概略図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る受光部の概略図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る受光部の概略図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る受光部の概略図である。
図10】本発明の一例に係る光長さ調節部を概略的に示した図である。
図11】光長さ調節部の作動を概略的に示した図である。
図12】サンプルの位置毎に照射されるライン光を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して本発明について説明する。
【0027】
図2は本発明の暗視野検査装置を概略的に示した図である。本発明の暗視野検査装置10はサンプルを検査する装置であって、本装置10は、例えば、半導体ウエハのようなサンプルの表面を検査する表面検査装備に該当することができる。
【0028】
本装置10は、大きく、照明部100及び受光部200を含み、照明部100と受光部200との間の光経路に設けられる対物レンズ12とチューブレンズ13のような光学要素をさらに含んで構成されることができる。
【0029】
照明部100はサンプルに照明光L1を照射し、受光部200は、サンプルSに照射され、サンプルSから散乱される散乱光L2を収集する。サンプルから散乱された散乱光L2は、対物レンズ12とチューブレンズ13などを経て受光部200に入射されることができる。
【0030】
この際、本発明の照明部100は、照明部100から照射される照明光L1の波長(すなわち、周波数または色相)を可変であるように構成される。すなわち、本発明は、サンプルによって変わるサンプルの物性に対応して、サンプルに照射される照明光の波長を変化させることができる。以下では、このような波長可変機能を行うことができる照明部100について、具体的な実施形態を挙げて述べる。
【0031】
先ず、本発明の照明部100はライン光を照射することができる。すなわち、照明部100から照射される照明光L1は、一定の長さを有するライン状の光であり、これをライン光という。
【0032】
図3は本発明の照明部の概略図であり、照明部100は、大きく、光源111を含む光源モジュール110と、光源111から出射される光L0をライン状に成形するための多数のレンズ121からなるレンズ光学系120と、を含む。これにより、本発明の照明部100は、一定の長さのライン光L1を照射することができる。
【0033】
かかるライン光を利用する場合、サンプルの検査時間を著しく短縮することができ、後述のように、ライン光の長さを調節し、サンプルのみに集中的に照明光を照射することができる利点がある。
【0034】
図4は本発明の第1実施形態に係る照明部の概略図である。本例では、多重帯域光源を活用する。
【0035】
図示されたように、本例の照明部100Aは、光源111Aと、可変帯域通過フィルタ112Aと、制御部113Aと、を含む。ここで、照明部100Aは、上述の図3の照明部100の光源モジュール110に該当し、照明部100Aの光源111Aは、上述の図3の光源モジュール110の光源111に該当することができる。
【0036】
光源111Aは、多重帯域光源、例えば、多重波長光源または白色光源から構成される。
【0037】
可変帯域通過フィルタ112Aは特定の波長帯域の光のみを通過させるフィルタであり、位置毎に互いに異なる波長帯域の光を通過させるように構成される。一例として、図4に図示されたように、可変帯域通過フィルタ112Aは長方形状の薄い直方体(まるでスライドガラス)の構造で形成され、各位置毎に互いに異なる帯域通過フィルタが連続して繋がっている構造からなることができる。
【0038】
制御部113Aは、可変帯域通過フィルタ112Aの位置を調整する。図5は制御部による可変帯域通過フィルタの位置調整を概略的に示した図である。図示されたように、制御部113Aは一種のアクチュエータであって、可変帯域通過フィルタ112Aを一方向に前進または後進させることができ、それに対応して、可変帯域通過フィルタ112Aが通過させる光の波長帯域を変更することができる。
【0039】
これにより、光源111Aから出射される光L0のうち可変帯域通過フィルタ112Aの位置にマッチングする特定の波長帯域の光のみが通過し、このような構成により、照明部100が照射する照明光L1の波長を可変とすることができる。
【0040】
図6は本発明の第2実施形態に係る照明部の概略図である。本例では、多数の波長光源の混合を活用する。
【0041】
図示されたように、本例の照明部100Bは、多数の光源111Bと、混合光学系112Bと、制御部113Bと、を含む。ここで、照明部100Bは、上述の図3の照明部100の光源モジュール110に該当し、照明部100Bの多数の光源111Bは、上述の図3の光源モジュール110の光源111に該当することができる。
【0042】
多数の光源111Bのそれぞれは、互いに異なる波長の光L0を放出する。すなわち、各光源(111B-1、111B-2など)は、互いに異なる色相の光を放出し、例えば、第1光源111B-1は第1波長の光L0_1を放出し、第2光源111B-2は第2波長の光L0_2を放出することができる。
【0043】
混合光学系112Bは、多数の光源111Bのうち何れか一つの光源から出射される光のみを通過させるか、2つ以上の光源から出射される光を混合して通過させる。例えば、図6に図示されたように、混合光学系112Bは少なくとも一つのダイクロイックミラー114Bを含み、ダイクロイックミラー114Bの一側には第1光源111B-1が配置され、他側には残りの光源のうち何れか一つの光源が配置されるように構成される。ダイクロイックミラー114Bは、第1光源111B-1を除いた残りの光源のそれぞれに個別にマッチングするように構成されることができる。ダイクロイックミラー114Bは、特定の波長の光を反射し、該当波長を除いた残りの波長の光は通過させる光学要素であって、第2光源111B-2にマッチングするダイクロイックミラー114Bは第2光源111B-2の波長を反射させ、第3光源111B-3にマッチングするダイクロイックミラー114Bは第3光源111B-3の波長を反射させて、このような規則性が一般化されて混合光学系112Bが構成されることができる。
【0044】
制御部113Bは、多数の光源111Bのそれぞれの電源を個別に制御する。すなわち、制御部113Bは、第1光源111B-1~第4光源114B-4のそれぞれの電源を個別に制御し、少なくとも何れか一つの光源の電源をオンまたはオフさせることができる。
【0045】
これにより、多数の光源111Bと混合光学系112Bとの相互作用により、照明部100が照射する照明光L1の波長を可変とすることができる。例えば、第1光源111B-1の波長の光を照明光として利用しようとする場合、制御部113Bは、第1光源111B-1の電源のみをオンさせ、残りの光源の電源はオフさせることができ、これにより、照明光は、第1光源が放出する光LO_1の波長に形成されることができる。第1光源111B-1ではない残りの光源も、これと同様の原理が適用される。これと同時にまたは個別に、第1光源111B-1と第2光源111B-2との間の波長の光を照明光として利用しようとする場合、制御部113Aは、第1光源111B-1と第2光源111B-2の電源のみをオンさせ、残りの光源の電源はオフさせることができ、これにより、照明光は、第1光源111B-1が放出する光L0_1の波長と第2光源111B-2が放出する光L0_2の波長との間の波長に形成されることができる。第1、第2光源ではない残りの光源も、これと同様の原理が適用され、3つ以上または全ての光源を混合することができる。
【0046】
このように、本発明は、サンプルに照射される照明光の波長を可変させることができ、これにより、照明光のサンプルへの透過損失と浸透深さを最小化することができる利点がある。
【0047】
次に、本発明は、上述の照明部100の構成に加えて、受光部200が、サンプルから散乱された散乱光のうち特定の波長帯域の光を選択的に受光できるように構成されることができる。すなわち、本発明は、前述のように、照明部100により照射される照明光L1の波長が可変であり、受光部200は、それに対応して照明光L1の波長にマッチングする帯域の光のみを受光するように構成されてもよい。
【0048】
図7は本発明の第1実施形態に係る受光部の概略図である。本例では、可変帯域通過フィルタを活用する。
【0049】
図示されたように、本例の受光部200Aは、カメラ210Aと、可変帯域通過フィルタ220Aと、制御部230Aと、を含む。ここで、受光部200Aは、上述の図2の受光部200に該当することができる。
【0050】
先ず、可変帯域通過フィルタ220Aは、特定の波長帯域の光のみを通過させるフィルタであり、位置毎に互いに異なる波長帯域の光を通過させるように構成される。一例として、図7に図示されたように、可変帯域通過フィルタ220Aは長方形状の薄い直方体(まるでスライドガラス)の構造で形成され、各位置毎に互いに異なる帯域通過フィルタが連続して繋がっている構造からなることができる。
【0051】
制御部230Aは、可変帯域通過フィルタ220Aの位置を調整する。制御部230Aは一種のアクチュエータであって、可変帯域通過フィルタ220Aを一方向に前進または後進させることができ、それに対応して、可変帯域通過フィルタ220Aが通過させる光の波長帯域を変更することができる。
【0052】
そして、カメラ210Aは、可変帯域通過フィルタ220Aを通過した光を収集する。カメラ210Aはライン状の光を収集できるラインカメラであることができ、他の実施形態でのカメラも同様にラインカメラであることができる。
【0053】
このように受光部200Aが構成されることで、サンプルから散乱された散乱光L2のうち、可変帯域通過フィルタ220Aの位置にマッチングする特定の波長帯域の光のみを通過させてカメラ210Aに収集されることができる。
【0054】
さらに、制御部230Aは、照明部100から照射される照明光L1の波長にマッチングするように可変帯域通過フィルタ220Aの位置を調整することができる。このような構成により、本発明は、照明光L1の波長にマッチングする散乱光L2を選択的に収集することができる。
【0055】
図8は本発明の第2実施形態に係る受光部の概略図である。本例では、多数のダイクロイックミラーを活用する。
【0056】
図示されたように、本例の受光部200Bは、カメラ210Bと、ダイクロイックミラー220Bと、を含む。ここで、受光部200Bは、上述の図2の受光部200に該当することができる。
【0057】
より具体的に、本例の受光部200Bは、それぞれが互いに異なる波長の光を反射させるn個のダイクロイックミラー220Bと、n個のダイクロイックミラー220Bのそれぞれで反射した光を収集するように、各ダイクロイックミラー(220B-1、220B-2など)に個別にマッチングするn個の反射光収集カメラ(212B-1、212B-2など)と、n個のダイクロイックミラー220Bを通過した光を収集する通過光収集カメラ211Bと、を含んで構成されることができる。ここで、nは2以上の自然数に該当する。
【0058】
このように構成されることで、散乱光L2のうち、前記各ダイクロイックミラー220Bの反射帯域にマッチングする波長帯域の光が反射し、それにマッチングする反射光収集カメラ212Bに収集され、残りの帯域の光は通過して通過光収集カメラ211Bに収集されることができる。
【0059】
例えば、図8を参照すると、サンプルから散乱された散乱光L2は下部から上部に進行するが、この際、散乱光L2の波長は、上述の照明部100から照射された照明光L1の波長と同一にマッチングすることができる。散乱光L2が第1波長に形成され、第1ダイクロイックミラー220B-1が第1波長の光を反射させるように構成される場合、第1波長の散乱光L2は、第2ダイクロイックミラー220B-2を通過して第1ダイクロイックミラー220B-1で反射し、第1反射光収集カメラ212B-1で収集されることができる。このような構成により、本発明は、照明光L1の波長にマッチングする散乱光L2を選択的に収集することができる。
【0060】
図9は本発明の第3実施形態に係る受光部の概略図である。本例では、多数のマイクロイックミラーのタレット方式の駆動を活用する。
【0061】
図示されたように、本例の受光部200Cは、カメラ210Cと、ミラー板220Cと、制御部230Cと、を含む。ここで、受光部200Cは、上述の図2の受光部200に該当することができる。
【0062】
より具体的に、本例の受光部200Cは、それぞれが互いに異なる波長の光を反射させるn個のダイクロイックミラー221Cを含み、タレット方式により回転駆動されるミラー板220Cと、ミラー板220Cの回転を制御する制御部230Cと、ミラー板220Cの何れか一つのダイクロイックミラー221Cで反射された光を収集する反射光収集カメラ212Cと、ミラー板220Cの何れか一つのダイクロイックミラー221Cを通過した光を収集する通過光収集カメラ211Cと、を含んで構成されることができる。ここで、nは2以上の自然数に該当する。
【0063】
このような構造を有する受光部200Cにおいて、制御部230Cは、照明部100から照射される照明光L1の波長にマッチングするようにミラー板220Cを回転させることができる。図9を参照すると、サンプルから散乱された散乱光L2は下部から上部に進行するが、この際、散乱光L2の波長は、上述の照明部100から照射された照明光L1の波長と同一にマッチングすることができる。例えば、散乱光L2が第1波長に形成され、ミラー板220Cの第1ダイクロイックミラー221-1Cが第1波長の光を反射させるように構成される場合、制御部230Cは、散乱光L2の光経路上に第1ダイクロイックミラー221-1Cが位置するようにミラー板220Cを回転させ、これにより、第1波長の散乱光L2は、第1ダイクロイックミラー221-1Cで反射して反射光収集カメラ212Cで収集されることができる。このような構成により、本発明は、照明光L1の波長にマッチングする散乱光L2を選択的に収集することができる。
【0064】
このように、本発明は、照明部が照射する照明光の波長にマッチングするように散乱光を選択的に受光することができ、これにより、検出能力が全体的に向上することができる。
【0065】
次に、本発明は、照明部100が照射するライン光L1の長さを調節することができる。図3をさらに参照すると、前述のように、本発明の照明部100は、光源111から出射される光L0をライン状に成形するための多数のレンズ121からなるレンズ光学系120を含み、これにより、照明部100から照射される照明光L1がライン光から構成されることができる。この際、本発明は、該当ライン光L1の長さを調節することができる。
【0066】
図10は本発明の一実施形態に係る光長さ調節部を概略的に示した図であり、光長さ調節部300は、照明部100が照射するライン光L1の長さを調節することができる。光長さ調節部300は、例えば、上述のレンズ光学系120の内部に位置することができ、これにより、最終的に照明部100から長さが調節されたライン光L1が照射されることができる。
【0067】
光長さ調節部300は、光源111とサンプルとの間の光経路の一位置に設けられ、開閉可能に構成されるシャッタ310と、シャッタ310の開閉を調節する制御部320と、を含んで構成されることができる。図11は光長さ調節部の作動を概略的に示した図であり、最も左側の図はシャッタ310が全て閉鎖された場合を示し、中央の図はシャッタ310が一部開放または一部閉鎖された場合を示し、最も右側の図はシャッタ310が全て開放された場合を示す。図示されたように、制御部320によりシャッタ310の開閉の程度が調節され、シャッタ310の開放された部分のみで光が通過され、閉鎖された部分では光が遮断されることで、シャッタ310を通る光の長さが調節されることができる。
【0068】
図12はサンプルの位置毎に照射されるライン光を示した図であり、図示されたように、ライン光が照射されるサンプルにマッチングするようにライン光の長さが調節されることで、サンプルのみにライン光が照射され、サンプル以外の領域は照明されない。このように、本発明によると、サンプルのみに照明光が照射されるように照射領域が調節されることで、サンプル以外の領域での乱反射が最小化されることができ、これにより、ノイズ成分を低減し、映像の品質を向上させることができる。
【0069】
図10図11をさらに参照すると、シャッタ310は、第1方向に開閉する第1シャッタ部311と、第2方向に開閉する第2シャッタ部312と、を含み、制御部320は、第1シャッタ部311の開閉を調節する第1制御部321と、第2シャッタ部312の開閉を調節する第2制御部322と、を含み、第1制御部321と第2制御部322により、第1シャッタ部311と第2シャッタ部312のそれぞれは同時または個別に制御(駆動)されることができる。このように構成されることで、ライン光の長さを調節するとともに、ライン光がサンプル上に照射される位置も調節することができるため、さらに高精度にサンプルのみに照明光が照射されることができる。
【0070】
さらに、図10をさらに参照すると、シャッタ310は結像面IS上に設けられることができる。より具体的に、本発明は、レンズ光学系120の多数のレンズ121を適宜設計することで、レンズ光学系120の内部の一位置に、光源111から出射された光がライン状に結像される結像面ISが形成されることができる。すなわち、光源111から出射された光は、結像面ISで平行光の形態で進行されることができる。かかる結像面IS上にシャッタ310を位置させることで、シャッタ310の開閉の程度を調節し、簡便で且つ直観的にライン光L1の長さを調節することが可能であり、結像面ISを経て長さが調節されたライン光を安定にサンプルまでリレーさせることができる。
【0071】
以上で説明したように、本発明は、暗視野照明系の問題を解決するための手段を提供し、具体的に、照明光の波長を可変であるように構成することで、照明光のサンプル上における透過損失と浸透深さを最小化することができ、散乱光を選択的に受光するように構成することで、検出能力を向上させることができる。また、ライン光の長さを調節するように構成することで、サンプルのみに光が照射され、サンプル以外の領域で発生する乱反射を低減することができる。
【0072】
以上、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施できるということを理解することができるであろう。したがって、以上で述べた実施形態は全ての面で例示的なものであり、限定的ではないと理解すべきである。
【符号の説明】
【0073】
10 暗視野検査装置
100、100A、100B 照明部
110 光源モジュール
120 レンズ光学系
200、200A、200B、200C 受光部
300 光長さ調節部
L0 光源から出射される光
L1 照明光
L2 散乱光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12