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特開2024-82255デジタル印刷される装飾的表面製造及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082255
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】デジタル印刷される装飾的表面製造及びその方法
(51)【国際特許分類】
   B41M 3/00 20060101AFI20240612BHJP
   B41J 3/407 20060101ALI20240612BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
B41M3/00 Z
B41J3/407
B41J2/01 129
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023203583
(22)【出願日】2023-12-01
(31)【優先権主張番号】18/063,009
(32)【優先日】2022-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ドレクスラー, ジェーソン ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ウーマック, ロイド レイトン, ザ セカンド
(72)【発明者】
【氏名】メッティング, ステファニー アイリス
(72)【発明者】
【氏名】ワイルド, ジョン クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ブラーテン, ネイサン ティー.
(72)【発明者】
【氏名】グリーン, エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ラーソン-スミス, ケルスタ
【テーマコード(参考)】
2C056
2H113
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056FB01
2C056FC06
2C056HA44
2H113AA01
2H113BB08
2H113BB09
2H113BB12
2H113BB22
2H113CA05
2H113FA43
2H113FA48
(57)【要約】      (修正有)
【課題】装飾的表面材料をデジタル印刷するための方法が開示される。
【解決手段】該方法は、基材をデジタルプリンターに提供すること、印刷基材の上面に印刷材料を印刷すること、及び印刷材料を硬化させることを含む。該方法はまた、装飾的印刷の裏面に接着剤を付加すること、及び装飾的印刷を内装パネルに貼り付けることも含む。印刷材料は、可視若しくは可変画像、又は質感を持つ表面を含む。装飾的表面材料は、壁装材などの航空宇宙輸送体用の装飾的内装パネルを提供し得る。基材は、火炎バリア材料、アルミニウム、又は繊維ガラスを含み得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾的表面材料をデジタル印刷するための方法であって、
基材(122)をデジタルプリンター(308)に提供すること、
前記印刷基材(122)の上面(120)に印刷材料を印刷すること、
前記印刷材料を硬化させること、
前記装飾的印刷の裏面(120)に接着剤(108、116、124)を付加すること、及び
前記装飾的印刷を内装パネル(102、118、126、212、216)に貼り付けることを含む、方法。
【請求項2】
前記印刷材料は可視画像を含む、請求項1に記載の装飾的表面材料をデジタル印刷するための方法。
【請求項3】
前記印刷材料は質感を持つ表面(120)を含む、請求項1に記載の装飾的表面材料をデジタル印刷するための方法。
【請求項4】
前記装飾的表面(120)材料は、航空宇宙輸送体用の装飾的内装パネル(102、118、126、212、216)を含む、請求項1に記載の装飾的表面材料をデジタル印刷するための方法。
【請求項5】
前記印刷材料を硬化させることは、前記印刷材料を紫外線放射源に曝露することを更に含む、請求項1に記載の装飾的表面材料をデジタル印刷するための方法。
【請求項6】
前記接着剤(108、116、124)は、感圧接着剤(108、116、124)を含む、請求項1に記載の装飾的表面材料をデジタル印刷するための方法。
【請求項7】
前記装飾的表面(120)材料は壁装材を含む、請求項1に記載の装飾的表面材料をデジタル印刷するための方法。
【請求項8】
前記基材(122)は火炎バリア材料を含む、請求項1に記載の装飾的表面材料をデジタル印刷するための方法。
【請求項9】
前記基材(122)はアルミニウムを含む、請求項1に記載の装飾的表面材料をデジタル印刷するための方法。
【請求項10】
前記基材(122)は繊維ガラスを含む、請求項1に記載の装飾的表面材料をデジタル印刷するための方法。
【請求項11】
装飾的表面材料をデジタル印刷するための方法であって、
パネル(102、118、126、212、216)基材(122)を提供すること、
印刷材料を受け入れるように前記パネル(102、118、126、212、216)基材(122)を準備すること、
準備された前記パネル(102、118、126、212、216)基材(122)の上面(120)に印刷材料を印刷すること、及び
前記印刷材料を硬化させることを含む、方法。
【請求項12】
前記印刷材料は可視画像を含む、請求項11に記載の装飾的表面材料をデジタル印刷するための方法。
【請求項13】
前記印刷材料は質感を持つ表面(120)を含む、請求項11に記載の装飾的表面材料をデジタル印刷するための方法。
【請求項14】
前記装飾的表面(120)材料は、航空宇宙輸送体用の装飾的内部パネル(102、118、126、212、216)を含む、請求項11に記載の装飾的表面材料をデジタル印刷するための方法。
【請求項15】
前記印刷材料を硬化させることは、前記印刷材料を紫外線放射源に曝露することを更に含む、請求項11に記載の装飾的表面材料をデジタル印刷するための方法。
【請求項16】
前記パネル(102、118、126、212、216)基材(122)を準備することは、前記パネル(102、118、126、212、216)基材(122)の前記上面(120)に接着剤(108、116、124)を付加することを含む、請求項11に記載の装飾的表面材料をデジタル印刷するための方法。
【請求項17】
前記パネル(102、118、126、212、216)基材(122)を準備することは、前記パネル(102、118、126、212、216)基材(122)の前記上面(120)を高温に曝露することを含む、請求項11に記載の装飾的表面材料をデジタル印刷するための方法。
【請求項18】
前記パネル(102、118、126、212、216)基材(122)は火炎バリア材料を含む、請求項11に記載の装飾的表面材料をデジタル印刷するための方法。
【請求項19】
前記パネル(102、118、126、212、216)基材(122)はアルミニウムを含む、請求項11に記載の装飾的表面材料をデジタル印刷するための方法。
【請求項20】
前記パネル(102、118、126、212、216)基材(122)は繊維ガラスを含む、請求項11に記載の装飾的表面材料をデジタル印刷するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本教示は、広くは、装飾的表面又は化粧板に関し、特に、航空機の内装に使用されるデジタル印刷される化粧板に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 現在、航空機の内装の壁をカバーする方法として、化粧板を貼り付ける方法と表面を塗装する方法との2つが認識されている。塗料は、典型的にはスプレーで噴霧され、航空機の内装向けには通常一色で付加される。塗料の質感は非常に限られており、一般的にはランダムな質感としてしか付加されない。化粧板は、質感のある複雑な画像を含み得る。しかし、化粧板の製造は、多額の設備投資を必要とする複雑な多段階工程を含む。更に、現在製造されているものでは、独特な質感を持つ化粧板を製造することは非常に困難であり、印刷された画像に質感を位置合わせすることも難しい可能性がある。
【0003】
[0003] 現在の製造工程は、このような壁装材を製造するために、スクリーン印刷やデジタル印刷などのフィルムの多段階印刷、ラミネート加工、及び熱エンボス加工を含む。これらの壁装材は、航空機の内装や他の輸送体内用途に使用されるが、一般的には、後付けの化粧板や塗料に限られている。これらの装飾的パネルには、埋め立てゴミに流れる量が大きいという更なる制約もある。この新しい工程は、製造の複雑さを軽減し、埋め立て地に送られる材料の量を減らす可能性がある。
【0004】
[0004] したがって、簡素化された工程を利用して、航空機又は他の輸送体用の装飾的内装パネルを製造し、所望の質感及び画像を提供し、ゴミを削減することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 以下、本教示の1以上の実施形態のうちの幾つかの態様の基本的な理解を提供するために、簡略化された概要を提示する。この概要は、広範な概説ではなく、また本教示の主要な要素又は重要な要素を特定することや、本開示の範囲を定めることを意図するものでもない。むしろ、本概要の本質的な目的は、後に提示される詳細な説明の前置きとして簡略的に1以上の概念を提示するためのものに過ぎない。
【0006】
[0006] 装飾的表面材料をデジタル印刷するための方法が開示される。該方法はまた、基材をデジタルプリンターに提供すること、印刷基材の上面に材料を印刷すること、及び印刷材料を硬化させることも含む。装飾的表面材料をデジタル印刷するための該方法はまた、装飾的印刷の裏面に接着剤を付加すること、及び装飾的印刷を内装パネルに貼り付けることも含む。装飾的表面材料をデジタル印刷するための該方法の複数の実施態様は、印刷材料が可視画像を含む場合を含み得る。印刷材料は、質感を持つ表面を含み得る。装飾的表面材料は、航空宇宙輸送体用の装飾的内装パネルを含み得る。印刷材料を硬化させることは、印刷材料を紫外線放射源に曝露することを更に含み得る。接着剤は、感圧接着剤を含み得る。装飾的表面材料は、壁装材を含み得る。基材は、火炎バリア材料を含み得る。基材は、アルミニウムを含み得る。基材は、繊維ガラスを含み得る。
【0007】
[0007] 装飾的表面材料をデジタル印刷するための別の方法が開示される。該方法は、パネル基材を提供すること、印刷材料を受け入れるようにパネル基材を準備すること、準備されたパネル基材の上面に印刷材料を印刷すること、及び印刷材料を硬化させることを含む。装飾的表面材料をデジタル印刷するための該方法の複数の実施態様は、印刷材料が可視画像を含み得る場合を含み得る。印刷材料は、質感を持つ表面を含み得る。装飾的表面材料は、航空宇宙輸送体用の装飾的内部パネルを含み得る。印刷材料を硬化させることは、印刷材料を紫外線放射源に曝露することを更に含み得る。パネル基材を準備することは、パネル基材の上面に接着剤を付加することを含み得る。パネル基材を準備することは、パネル基材の上面を高温に曝露することを含み得る。
パネル基材は、火炎バリア材料、アルミニウム、又は繊維ガラスを含み得る。
【0008】
[0008] 上記の特徴、機能、及び利点は、様々な実施態様において単独で実現することが可能であり、また別の実施態様において組み合わせることも可能である。これらの更なる詳細は、以下の記載及び添付図面を参照して理解され得る。
【0009】
[0009] この明細書に組み込まれ、且つ、この明細書の一部を構成する添付の図面は、本教示の実施形態を例示しており、説明部分と共に、本開示の原理を説明するために役立つ。図面において、
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】[0010] 図1A及び図1Bは、既存の化粧板材料と本開示の化粧板との概略図である。
図1B図1A及び図1Bは、既存の化粧板材料と本開示の化粧板との概略図である。
図2A】[0011] 図2A図2Cは、本開示による化粧板の用途の幾つかの図である。
図2B図2A図2Cは、本開示による化粧板の用途の幾つかの図である。
図2C図2A図2Cは、本開示による化粧板の用途の幾つかの図である。
図3】[0012] 本開示による化粧板を提供するための工程の概略図である。
図4】[0013] 化粧板を提供するための既存の工程を、本開示による化粧板を提供するための2つの代替的な工程と比較した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0014] 図面の幾つかの細部は、厳密な構造的な精度、詳細、及び縮尺を維持するより、むしろ、本開示の理解を促すために簡略化され図示されていることに留意されたい。
【0012】
[0015] 次に、本教示の例示的な複数の実施形態が詳細に参照されることになる。複数の実施形態のうちの複数の実施例が、添付図面で示されている。
可能な場合には全て、図面全体を通して、同一、同様、又は類似の部品を指すのに同一の参照番号が使用される。
【0013】
[0016] 内壁装材、装飾的表面、又は化粧板の製造は、現在、スクリーン印刷及びデジタル印刷、ラミネート加工、並びに熱エンボス加工を含む、技法を使用するフィルムの多段階印刷を含む。これらの積層パネルは、しばしば、後付けの化粧板や塗料に限定され、航空機や他の輸送体の内装用途において採用される。これらの装飾パネルの更なる制限の1つは、大きな埋め立てゴミの流れである。本教示で説明される方法は、簡素化された製造工程を提供し、埋め立て地に送られるゴミを減らすことができる。質感を構築するためにUV硬化デジタル印刷を利用することによって、壁装材や内部装飾パネルを製造するための工程が、比較すると簡素化される。
【0014】
[0017] 質感を持つ画像をパネルの上に直接印刷するか、又はパネルに後付けされる基材の上に直接印刷するために、市販の機械を使用することは、既存の工程と比較してかなりの改善である。この工程のアウトプットは、複雑な製造工程の使用なしに、質感と画像とを有する化粧板又は装飾的表面を提供する。これらの印刷された触感のある装飾的特徴及び内張りは、民間航空機内のブランド表示や装飾の目的で、インクジェット印刷を使用して製造され得る。インクジェット印刷は、航空機内や飛行機の内装の化粧板にエンボス加工された、質感を持つ、又は隆起した印刷物を印刷することができる。これは、より少ないステップを含み、時間のかかる工程を減らし、結果としてゴミが少なくなる。また、飛行機の内装にインクジェット印刷でカラーリングを施すことにより、特定の企業やブランディングシナリオに関連付けられた、輸送体、航空機、又は製品に使用される特別なデザインや配色を提供することが可能になる。従来の製造技法の代わりに、デジタル印刷を使用して装飾的壁装材を製造したり、パネルに直接印刷したりすることにより、質感を印刷される画像に位置合わせしながら、航空機の内装の壁装材を製造する工程を単純化し、柔軟にすることができる。本明細書で説明されるような完成された化粧板又は装飾的表面は、特定の複数の実施例では、組み込まれる構造及びそれらが製造される工程に応じて、同様な物品を指す場合があることに留意すべきである。
【0015】
[0018] 非限定的に、紫外線(UV)硬化性インクを使用する印刷システムを含む、市販の印刷システムを利用して、質感を持つ画像をパネルの上に直接印刷するか、又はパネルに後付けされる基材の上に直接印刷することができる。この工程のアウトプットは、複雑な製造工程を回避しながら、質感や画像を有する化粧板のような仕上がりになる。本開示の工程は、工具を製造するステップを省略することができ、代替的に部品を直接製造する。本明細書で説明されるような例示的な工程は、UV硬化性又は放射線硬化性インクを含み得る。画像を印刷するために使用されるインクは可燃性であり得るため、基材の上に噴射されるインクの量も、航空機の内部で使用されるように制御され得る。他の複数の実施例では、非限定的に、アルミニウムフォイル、フェノールプリプレグ、アルミニウムパネルのような低熱放出基材、アクリル‐ポリ塩化ビニル熱可塑性物質、ポリ塩化ビニル熱可塑性物質、又はそれらの組み合わせなどの火炎バリアが、構造の熱放出率を低下させ得る。フェノールプリプレグ材料には、フェノール樹脂で飽和させ、低温でBステージ化(溶剤を除去する工程)して、硬化工程を長引かせた繊維ガラス織物が含まれる。このようにして、液体樹脂を使用する代わりに、固体材料を更に加工することができる。
【0016】
[0019] 図1A及び図1Bは、既存の化粧板材料と本開示の化粧板との概略図である。図1Aは、塗料層又は画像層を保護するためのクリアキャップ層106、接着剤層108、及び画像層110を含む、幾つかの層を含むトップシート104を有する、既存の化粧板材料100の概略図を示す。トップシートは、1以上の更なる層の上に積層され得る。1以上の更なる層は、エンボス加工樹脂層112又はフィルム層114若しくはフォイル層を含み得る。次いで、それらは、接着剤116を用いて基材パネル118に貼り付けられる。エンボス加工樹脂層112は、質感を形成し、硬化して質感を保持する室温にあるフィルム材料であり得る。フィルム層114は、アルミニウムフォイル、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニル(PVC)などのポリマーフィルム、繊維ガラス強化樹脂、コーティング、難燃剤、又はそれらの組み合わせなどの、更なる材料層を含んでよい。接着剤は、感圧シート接着剤又は液状塗布接着剤であり得る。図1Bは、本開示の装飾的表面又は化粧板102を示す。これは、印刷された表面120を含む。印刷された表面120は、基材122の上の質感又は画像を含み得る。基材122は、フィルム又は可撓性積層材料であり得る。先行する層は、接着剤124を使用して基材パネル126に貼り付けられ得る。接着剤124は、感圧シート接着剤又は液状塗布接着剤であってよい。図1Bに関して説明されたような構造は、より少ない層を含み、図1Aに関して説明されたような構造よりもかなり複雑でないことに留意されたい。特定の複数の実施例では、基材122が、非限定的に、PVF、PVDF、アクリル-ポリ塩化ビニル(Kydex(商標)など)などのポリマーフィルム、フェノールプリプレグ、繊維ガラス強化樹脂、炭素繊維強化樹脂、アルミニウムフォイル、繊維強化難燃性エポキシ、又はそれらの組み合わせなどの、材料であり得るか又はそのような材料を含み得る。更に、デジタル印刷された質感を使用する化粧板は、様々な顧客のニーズに対応することが容易であり、製造若しくは制作を簡素化し、又は従来製造されていた化粧板よりもゴミの生成を少なくすることができる。
【0017】
[0020] 図2A図2Cは、本開示による化粧板の用途の幾つかの図である。図2Aの航空機の第1の内装図200は、1以上の窓エリア又は開口部206と、幾つかの座席208と、第1の化粧板210と、第2の化粧板212とを含む。第1の化粧板210及び第2の化粧板212は、第1の内装図200においてキャビンセクションの後方に向かって示されているが、座席208の部分、窓エリア又は開口部206を取り囲むエリア、セクションの間の仕切り、又は航空機の内装の他のエリアは、本開示で示されるように1以上の化粧板でカバーされてよい。図2Bは、頭上のコンパートメントエリア214と、幾つかの質感を持つ要素を示す化粧板216と、幾つかのビューイングスクリーン218とを含む、航空機の第2の内装図202を示す。特定の複数の実施例では、頭上のコンパートメントエリア214の部分又はビューイングスクリーン218を取り囲む構造的特徴が、本明細書で示され説明されるように、化粧板216の1以上のセクションを含んでよい。図2Cは、幾つかの座席208と、セクションの仕切りを画定する航空機の内壁上の化粧板220とを含む、航空機の第3の内装図204を示す。更に、化粧板220は、本明細書で説明されるように、化粧板220又は航空機の内装の他の部分の製造中にカスタマイズされ得るブランディング要素222を含む。これらの装飾的パネル210、212、216、220は、特定の複数の実施例において、ウェルカムフィーチャ、額装されたアート、交差しない曲面を含む横断面、装飾パネル、動的な幾何学的表面などの質感を持つ特徴、没入感のある自然要素、高められた木目シミュレーション、変化する木目の方向、有機的形状、独特なパターン、ロゴ若しくは他のブランディング特徴などのブランディング要素222、又はそれらの組み合わせなどの、様々な画像を含んでよい。
【0018】
[0021] 図3は、本開示による化粧板を提供するための工程の概略図である。印刷される化粧板用の既存の工程は、手間のかかる工程と、グラフィックに質感を位置合わせする能力がない限られたアートワーク能力とを含むが、図3で示されている化粧板を提供するための工程300は、装飾的パネル用のグラフィックコンテンツをデザインするためのステップ、ラスターイメージプロセッサ(RIP)304を用いて印刷するためにグラフィックを変換するステップ、及び印刷用に基材又は部品を準備するためのステップ306を含む。次いで、準備された基材は、一群のUV-LEDインクジェットプリンター308の1以上を使用して、その上に印刷することができ、処理された画像が、準備された基材の上に印刷される310。従来の化粧板製造に替わるこの代替的な方法は、カスタムグラフィックに位置合わせされたカスタム質感、耐久性のある表面、及び比較的簡素化された工程を提供する。
【0019】
[0022] 図4は、化粧板を提供するための既存の工程を、本開示による化粧板を提供するための2つの代替的な工程と比較した概略図である。化粧板を提供するための既存の比較工程400が、図示されている。これは、ロールを装填し、ロール材料の上に印刷し402、ロール材料の上にクリアキャップを積層すること404で開始する。印刷は、典型的には、スクリーン印刷工程である。印刷され、キャッピングされた材料は、トップシート用にカットオフテーブル上で作業され406、その後、更なる材料がシート化され408、任意の必要な更なる原材料が提供される410。次に、化粧板の手作業によるレイアップ412が完了し、加熱されたマルチオープンプレス(MOP)414を使用して、画像又は印刷された部分を化粧板に貼り付け、その後、トップシートを剥がす416。工程400のこの部分の後に、接着剤がトップシートに付加され424、材料が使用工場に運ばれ426、パネルに貼り付けられる428。この既存の比較工程400は、手間がかかる多段階工程である。
【0020】
[0023] 装飾的表面材料を製造するための第1の代替的な工程418は、より少ないステップを含む。より少ないステップは、印刷基材を印刷システムの中に装填するステップ420、基材の上に印刷するステップ422、その後、接着剤を構造又は装飾的印刷の裏面に付加し424、材料を使用工場に運び426、印刷されたシートをパネルに貼り付ける428共通のステップを含む。化粧板材料をデジタル印刷するためのこの第1の代替的な工程418は、積層パネル基材をデジタルプリンターに提供し、積層パネル基材の上面に質感及び画像を印刷することを含み、印刷材料を硬化させ、接着剤を積層パネル基材の裏面又は装飾的印刷に付加することを更に含む。これは、非限定的に、感圧接着剤又は液状塗布接着剤であり得る。工程418は更に、積層パネル基材を積層パネルに貼り付けることを含む。印刷材料は、可視画像及び/又は可変画像、質感を持つ表面、又はそれらの組み合わせを含み得る。本明細書で説明されるような化粧板材料は、航空宇宙輸送体用の装飾的内装パネルであり得る。印刷材料を硬化させることは、印刷材料を紫外線放射源に曝露するか、又は熱若しくは高温に曝露することを含み得る。印刷基材の装填420の材料は、壁装材であり得るか又は壁装材を含み得るか、或いは、火炎バリア材料を含む。これは、アルミニウムや繊維ガラスなどで構成され又は部分的に構成されてよい。可変画像は、結果として生じる画像の特定のエリアに変化する又は可変外観を提供するようにデジタル処理によって準備され得る画像を含む。
【0021】
[0024] 装飾的表面材料を製造するための第2の代替的な工程430も、より少ないステップを含む。より少ないステップは、装飾的パネルを提供し又はベースパネルを製造し432、印刷材料を受け入れるように積層パネル基材又は印刷基材を準備し、製造された積層パネル432の基材の上面に質感を持つ印刷を印刷し434、印刷材料を硬化させることを含む。この完成したパネルは、次いで、使用工場に直接運ばれ436得る。使用工場も、既存の工程400と比較して幾つかのステップを省くことができる。第2の代替的な工程430は、ステップ434の後で仕上げられたパネルが完成するので、貼り付けるステップを含まないことに留意されたい。再び、印刷材料は、可視画像、質感を持つ表面、又はそれらの組み合わせを含む。本明細書で説明されるような化粧板材料は、航空宇宙輸送体用の装飾的内装パネル又は装飾的内部パネルであり得る。印刷材料を硬化させることは、印刷材料を紫外線放射源に曝露するか、又は熱若しくは高温に曝露することを含み得る。化粧板材料の部分は、壁装材であり得るか又は壁装材を含み得るか、或いは、火炎バリア材料を含む。これは、アルミニウムや繊維ガラスなどで構成され又は部分的に構成されてよい。化粧板材料上にデジタル印刷された質感は、上面に印刷されたアートワーク又は画像と位置合わせされ得る。
【0022】
[0025] 第1の代替的な工程418及び第2の代替的な工程430では、UV硬化性のインクジェットのインクが印刷された表面が、飛行機の中に組み込まれ得る。それは、次のやり方による。すなわち、化粧室の壁や他の内装面などの構造部品に接着接合され得る、薄い膜又は薄い剛性基材へのロールツーロール印刷又はフラットベッド印刷、化粧室の壁のような内装面などの構造部品に接着接合され得るか又はクラスの仕切りなどの構造部品に機械的に取り付けられる、剛性基材へのフラットベッド印刷、或いは繊維ガラス製の幅の広いセンターライン仕切りパネルや下塗りアルミニウムフェースシートを有するアウトボードバルクヘッドパネルなどの上に直接印刷することによる。フラットベッドで大型のUV硬化性インクジェットプリンターを使用して、高度な製造スタイルの工程においてインクの層を積み重ねることにより、印刷された画像に対応し得る質感と画像を位置合わせする能力を提供することができ、これは単一のステップにおいて同時に行うことができる。本開示の工程及び方法は、航空宇宙用途に許容可能なインクの選択性を更に可能にする。というのも、利用されるインクと基材とは、燃焼性要件に適合する必要があるからである。接着剤接合方法は、硬化を伴う接着剤の噴霧や、テープ状の材料接着剤などの感圧接着剤を含み得る。機械的締結には、剛性部品を共に締結するための小さなねじやボルトなどのファスナの使用を含み得る。その場合、ねじ、ボルト、又はファスナは、装飾的トリムの下或いはファスナを隠すためにパネルに取り付けられている他の特徴の後ろに隠すための凹型頭部の設計を含む。更に、装飾的内部の内張り及び特徴は、現在の方法と比較して、同じ印刷エリア内で、比較的高い印刷品質、より高い彩度、低光沢から高光沢の表面品質で製造することができる。また、インクの特定の厚さまでのカスタム表面質感を提供することができる。これは、火災安全規制を満たし、色や画像のコンセプトと質感のコンセプトとの組み合わせを完全に適合させ及び/又は位置合わせしながらである。例えば、印刷された木材パネル内の物理的な溝は、それらの溝において一貫した色の変化を持つように製造することができ、部品をより本物の木材のように見せることができる。本明細書で開示されるような工程は、非限定的に、印刷、積層、シート化、エンボス加工、及び部品のスタックの分離を含む、既存の複数の動作と比較して、製造工程を簡素化する。装飾的パネルの上に直接印刷することによって、着脱可能なフィルムなどの白い表面を使用することができ、その表面は、化粧板の以前に製造されたどの部分にも貼り付けることができる。特定の複数の代替案では、表面が、貼り付けられ、使用され、除去され、再印刷され、再貼り付けされてよい。このような化粧板を補修するこの能力は、同様に望ましい。というのも、高品質の表面を剥がしたり、補修したり、再印刷したりすることができるからである。
【0023】
[0026] 本教示によって提供される更なる複数の利点は、説明される工程によって利用可能な幅広いサイズを含む。パネルは、約144平方インチの小さなサイズから通常であれば装飾的ライナのスプライスが必要となるような超幅広パネルまで製造され得る。例示的な複数の実施例は、約98インチ×120インチ又は約80インチ×120インチを含むが、他の複数の実施例ではもっと大きくてよい。本明細書で説明される製造工程を使用して、クラスの仕切り、クローゼット又はクルーレストなどのモニュメントの壁、ドア及びバックスプラッシュ、並びにファーストクラスとビジネスクラスのミニスイートの壁を製造することができる。これらのパネルは、臭いがなく、脆くなく、運航中に剥がれ落ちにくい可撓性を備え、デザイン上の配慮、長期的なUV安定性、及び火災安全規制を満たすことができる。その他の利点としては、耐摩耗性、耐傷性、耐擦り傷性、耐衝撃性、耐湿性、耐菌性、耐洗浄性、耐溶剤性、及び使用や乗客との接触による耐汚染性などが挙げられる。本開示の更なる利点は、無駄の少ない簡素化された生産工程、能力の拡大、及びカスタマイズとブランディングが容易な低コストの資本設備、並びに工具の保管とコストの大幅な削減を提供する。
【0024】
[0027] 1以上の実施態様に関連して本明細書の教示を例示してきたが、付随する特許請求の範囲の主旨及び範囲から逸脱しなければ、実施例に変更及び/又は改変がなされ得る。例えば、工程を一連の作用又はイベントとして説明しているが、本明細書の教示は係る作用又はイベントの順序により限定されるわけではないことが理解されよう。幾つか作用は、本明細書に記載のものとは異なる順序で、且つ/又は本明細書で説明されるもの以外の作用若しくはイベントと同時に生じ得る。また、本開示の1以上の態様若しくは実施形態に従って方法論を実施するために、全ての工程段階が必要とされるわけではない。構造部品及び/又は工程段階を追加してもよく、或いは、既存の構造部品及び/又は工程段階を取り除いたり修正したりしてもよいことが認識されよう。更に、本明細書に記載された作用のうちの1以上は、1以上の別の作用及び/又はフェーズにおいて実行されてもよい。また更に、「含んでいる(including)」、「含む(includes)」、「有している(having)」、「有する(has)」、「伴う(with)」、又はこれらの変形例が、詳細な説明及び特許請求の範囲のいずれかで使用されている限り、これらの用語は、「備える/含む(comprising)」という用語と同様に包括的であることが意図されている。「~のうちの少なくとも1つ」という表現は、列挙された項目のうちの1以上を選択し得ることを意味するように使用される。更に、本明細書の説明及び特許請求の範囲で、一方が他方の「上に」あるなど、2つの材料に関連して使用された「上に(on)」という用語は、材料間に少なくとも幾らかの接触があることを意味するのに対し、「上方に(over)」は、複数の材料が互いに接近しているが、1以上の追加の介在材料を伴う場合があり、接触は可能だが必須ではないことを意味する。「上に(on)」、「上方に(over)」のいずれも、本明細書で使用する限り、任意の方向性を示唆するわけではない。「コンフォーマル」という用語は、下にある材料の角度がコンフォーマル材料によって保護されるコーティング材を表す。「約」という用語は、列挙された値が、例示された実施形態に対して工程又は構造の不適合を生じさせない限り、幾らか変更され得ることを示す。用語「結合する」、「結合された」、「接続する」、「接続」、「接続された」、「に接続して」、及び「接続している」は、「直接的な接続」又は「1以上の中間要素又は部材を介した接続」を指す。最後に、「例示的な」は、記述が、理想的であることを示唆するというよりむしろ、例として使用されていることを示している。本開示の他の実施形態は、本明細書の開示の仕様及び実践を検討することにより、当業者には明らかになるだろう。本明細書及び実施例は、例示のみであると見なされるよう意図されており、本教示の真の範囲及び精神は、以下の特許請求の範囲によって示される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4
【外国語明細書】