(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082256
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】共晶材料を含む工具、工具の製造方法、及び工具の使用方法
(51)【国際特許分類】
C22C 1/04 20230101AFI20240612BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20240612BHJP
B22F 10/66 20210101ALI20240612BHJP
B22F 10/64 20210101ALI20240612BHJP
B22F 3/24 20060101ALI20240612BHJP
B22F 7/00 20060101ALI20240612BHJP
B22F 10/25 20210101ALI20240612BHJP
【FI】
C22C1/04 E
B22F1/00 R
B22F10/66
B22F10/64
B22F3/24 F
B22F7/00 F
B22F10/25
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023204487
(22)【出願日】2023-12-04
(31)【優先権主張番号】18/063,051
(32)【優先日】2022-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ネビンスキー, マイケル ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ミシアーニャ, デーヴィッド トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ドリオ, マイケル ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】フェルカー, クリストファー ジェイ
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018AA40
4K018CA44
4K018HA07
4K018KA14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】成形工具及び積層造形による成形工具の製造方法を提供する。
【解決手段】成形工具は、部品を成形するための工具表面を有する工具本体を含む。工具本体は共晶合金を含む。積層造形による成形工具の製造方法は、共晶合金の第1の層を形成することであって、液体の形態にある共晶合金を堆積させ、次いで、冷却して固体の共晶合金を形成することを含む、第1の層を形成すること、第1の層上に共晶合金の更なる層を形成することであって、液体の形態にある共晶合金を堆積させ、次いで、冷却して固体の共晶合金を形成することを含む、更なる層を形成すること、及び、第1の層上に共晶合金の更なる層を形成することであって、液体の形態にある共晶合金を堆積させ、次いで、冷却して固体の共晶合金を形成することを含む、更なる層を形成することを繰り返すこと、並びに、1回以上繰り返して、工具表面を有する工具本体を備える構造体を形成することを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品(106)を成形するための工具表面(104)を有する工具本体(102)を備える成形工具(100)であって、前記工具本体(102)は共晶金属合金を含む、成形工具(100)。
【請求項2】
前記工具表面(104)は、前記工具本体(102)の少なくとも一側面を取り囲まない成形された複合材部品(106)の取り外しを妨げる可能性がある三次元形状を有する、請求項1に記載の成形工具(100)。
【請求項3】
前記工具表面(104)は、前記工具本体(102)の少なくとも一側面を取り囲まない成形された複合材部品(106)の取り外しを妨げる可能性があるフルート形状を含み、又は、前記工具表面(104)は、前記工具本体(102)の少なくとも一側面を取り囲まない成形された複合材部品(106)の取り外しを妨げる可能性がある凹形状を含み、又は、前記工具表面(104)は、2つのより大きな外周部分の間に配置されたより小さな外周部分を含む、請求項1に記載の成形工具(100)。
【請求項4】
前記共晶金属合金は、錫/亜鉛合金、錫-鉛合金、錫-銀合金、錫-鉛-銀合金、錫-銅-ニッケル-ゲルマニウム合金、ビスマス-鉛-インジウム-錫-カドミウム合金、インジウム-ビスマス-錫合金、及びビスマス-錫合金、から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項1に記載の成形工具(100)。
【請求項5】
前記工具は一体型の工具である、請求項1に記載の成形工具。
【請求項6】
積層造形によって成形工具(100)を製造する方法であって、
i)共晶材料の第1の層を形成することであって、液体の形態にある前記共晶材料を堆積させ、次いで、前記共晶材料を凝固させることを含む、第1の層を形成すること、
ii)前記第1の層上に前記共晶材料の更なる層を形成することであって、液体の形態にある前記共晶材料を堆積させ、次いで、前記共晶材料を凝固させることを含む、更なる層を形成すること、及び
iii)ii)を1回以上繰り返して、工具表面(104)を有する工具本体(102)を備える構造体を形成することを含み、前記共晶材料は金属合金である、方法。
【請求項7】
前記工具表面(104)を機械加工することを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
i)及びii)において前記共晶材料を堆積させることは、前記金属合金を含むワイヤフィードを供給し、前記ワイヤフィードを前記金属合金の共晶点より上に華氏10度を超えない温度まで加熱することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
i)及びii)において凝固させることは、前記共晶材料の前記温度が前記共晶材料の凝固点未満に低下するまで、不活性ガスを液体の形態にある前記共晶材料に接触させて流すことを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記不活性ガスは、前記共晶材料の略前記共晶点から前記共晶点よりも華氏約50度低い温度までの範囲の温度を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記共晶材料は、錫/亜鉛合金、錫-鉛合金、錫-銀合金、錫-鉛-銀合金、錫-銅-ニッケル-ゲルマニウム合金、ビスマス-鉛-インジウム-錫-カドミウム合金、インジウム-ビスマス-錫合金、及びビスマス-錫合金、から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記工具は一体型の工具である、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記工具表面(104)は、2つのより大きな外周部分の間に配置されたより小さな外周部分を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
複合材部品(106)を製造する方法であって、
工具上に成形可能な複合材料をレイアップすることであって、前記工具は融点を有する共晶材料を含む、成形可能な複合材料をレイアップすること、
前記成形可能な複合材料を前記共晶材料の前記融点未満の第1の温度まで加熱して、グリーン体を形成すること、
前記グリーン体を第2の温度まで加熱して、複合材部品(106)を形成することであって、前記第2の温度は前記共晶材料の前記融点よりも上であり、前記工具を溶融させて液体の工具の材料を生成する、複合材部品(106)を形成すること、及び
前記複合材部品(106)から前記液体の工具の材料の少なくとも一部分を除去することを含む、方法。
【請求項15】
前記成形可能な複合材料は、マトリクス材料、及び前記マトリクス材料内に配置された繊維を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記繊維はセラミックを含み、及び/又は、前記マトリクス材料は、セラミック若しくは液体成分と固体成分とを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の温度は、華氏約200度から前記共晶材料の共晶点未満の温度までの範囲である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
固体成分はセラミックを含み、前記第2の温度は前記セラミックの焼結温度である、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記焼結温度は、華氏約1500度から華氏約3000度の範囲である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
工具表面(104)は、固体の形態にある前記複合材部品(106)の取り外しを妨げる三次元形状を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記共晶材料は、錫/亜鉛合金、錫-鉛合金、錫-銀合金、錫-鉛-銀合金、錫-銅-ニッケル-ゲルマニウム合金、ビスマス-鉛-インジウム-錫-カドミウム合金、インジウム-ビスマス-錫合金、及びビスマス-錫合金、から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
セラミック材料を含む複合材部品(106)であって、前記複合材部品(106)は内面(104)及び外面(104)を有し、前記内面(104)には少なくとも微量の共晶金属合金が配置されている、複合材部品(106)。
【請求項23】
前記セラミック材料は細孔を有し、前記共晶金属合金は前記内面(104)の少なくとも幾つかの細孔内に配置されている、請求項22に記載の複合材部品(106)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は、共晶合金(eutectic alloy)を含む成形工具を対象とする。成形工具の製造方法、及び成形工具を使用して複合材部品を製造する方法も、開示される。
【背景技術】
【0002】
[0002] セラミックマトリクス複合(CMC)材料などの複合材は、一般によく知られており、セラミックマトリクス内に強化用繊維を含む。特定のCMC材料では、強化用繊維とマトリクスとの両方がセラミック材料であり得る。これらの材料は、次のものを含む多くの用途で使用される。すなわち、例えば、エンジン排気ダクトなどの高温用途や、温度が例えば華氏300度から華氏2000度に達し得るヒートシールド用途における、金属構造の代替物としてである。複合材料を製造する技術には、所望の形状を有する成形工具上に湿った複合材料をレイアップし、次いで、複合材を乾燥又は予備硬化させてグリーン体を形成することが含まれ得る。グリーン体を形成するための最初の乾燥又は予備硬化ステップの後に、焼結又は最終硬化フェーズが続き、その後、最終的に複合材部品を成形工具から取り外す。代替的に、高温での成形工具と複合材表面との間の熱膨張率(CTE)の不整合の問題を回避するために、最終焼結ステップの前に成形工具を取り外すことが望ましい場合もある。熱的な不整合の問題は、複合材(例えば、CMC)部品の最終形状を歪ませる可能性がある。
【0003】
[0003] 部品が複雑な場合、製造されている部品の幾何学的輪郭が工具に接近すると、成形工具がグリーン体に引っかかる場合がある。このような引っかかった工具は、殊に焼結前に取り外すことが、不可能ではないにせよ困難であり得る。というのも、グリーン体は比較的壊れ易いからである。引っかかった工具を取り外すための既存の解決策は幾つかあるが、コストがかかるか、環境的に好ましくないか、又はそれらの両方である。
【0004】
[0004] 1つの既知の解決策は、本明細書でレイアップ工具とも呼ばれる成形工具を、共晶塩などの溶解可能な材料から製造することである。共晶塩は水溶性であるため、複雑な部品からの除去が可能である。しかし、共晶塩には、上手く働くことを難しくしている幾つかの特性もある。例えば、高処理温度(例えば、~華氏500度の高温で鋳造する)、高密度、腐食性の廃棄物が出る、凝固時の高収縮率(~20%)、洗浄時間が遅い(例えば、数日)ことである。更に、共晶塩はコストが高く、CMC材料から工具材料を洗い流すために水を必要とし、CMC材料も水性であり得るので、焼結前に部品の浸食を引き起こす可能性がある。
【0005】
[0005] 他の既知の解決策は、セラミック部品からの取り外しを可能にするために、使用後に分解可能な分割成形工具を採用することである。しかし、分割成形工具は、複数の部品で作製されているので複雑であり、コストが高くなる可能性がある。
【0006】
[0006] 更に別の既知の解決策は、バーンアウト工具である。これらの工具は可燃性材料でできており、工具を燃え尽きさせることができる。しかし、バーンアウト工具は、熱的な不整合をもたらし、環境上の危険も伴うため、望ましくない。
【0007】
[0007] したがって、複合材部品の製造中に容易に取り外し可能な工具を提供することができる代替材料及びプロセスが、当該技術分野において必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
[0008] 本開示によれば、部品を成形するための工具表面を有する工具本体を備える成形工具であって、工具本体が共晶金属を含む、成形工具が提供される。
【0009】
[0009] 本開示によれば、積層造形によって成形工具を製造する方法が提供される。該方法は、共晶合金の第1の層を形成することであって、液体の形態にある共晶合金を堆積させ、次いで、冷却して固体の共晶合金を形成することを含む、第1の層を形成すること、第1の層上に共晶合金の更なる層を形成することであって、液体の形態にある共晶材料を堆積させ、次いで、冷却して固体の共晶合金を形成することを含む、更なる層を形成すること、及び、更なる層を形成することを1回以上繰り返して、工具表面を有する成形工具であって、共晶合金を含む成形工具を備える構造体を形成することを含む。
【0010】
[0010] 本開示によれば、複合材部品を製造する別の方法が提供される。該方法は、工具上に成形可能な複合材料をレイアップすることであって、工具は融点を有する共晶合金を含む、成形可能な複合材料をレイアップすること、成形可能な複合材料を共晶合金の融点未満の第1の温度まで加熱して、固体の共晶合金を形成し、グリーン体を形成すること、グリーン体を第2の温度まで加熱して、複合材部品を形成することであって、第2の温度は共晶合金の融点よりも上であり、成形工具を溶融させて液体の工具の合金を生成する、複合材部品を形成すること、及び複合材部品から液体の成形工具の材料の少なくとも一部分を除去することを含む。
【0011】
[0011] 本開示によれば、セラミック材料を含む複合材部品が提供される。複合材部品は内面及び外面を有し、内面には少なくとも微量の共晶合金が配置される。
【0012】
[0012] 先述の一般的な記載及び後述の詳細な記載は、両方とも例示及び説明のみのためのものであり、特許請求される本開示を限定するものではないことを理解されよう。
【0013】
[0013] 本明細書に組み込まれ、且つ、この明細書の一部を構成する添付図面は、本教示の態様を例示しており、説明部分と共に、本教示の原理を説明する役割を果たしている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】[0014] 本開示の一実施例による成形工具の概略図を示す。
【
図2】[0015] 本開示の一実施例による成形工具及びその上で成形されている部品の概略図を示す。
【
図3】[0016] 本開示の一実施例による積層造形によって成形工具を製造する方法を示す。
【
図4】[0017] 本開示の一実施例による複合材部品を製造する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0018] 図面の幾つかの細部は、厳密な構造的精度、細部、及び縮尺を維持するよりむしろ、理解を促すために簡略化されて図示されていることに留意されたい。
【0016】
[0019] 次に、本教示について詳しく言及していくが、本教示の実施例は、添付図面に示されている。図面において、同一の要素を示すために、類似の参照番号が全体を通して使用されている。以下の説明では、説明の一部を成す添付図面を参照するが、図面には本教示を実施する特定の実施例が図解されている。したがって、以下の説明は例示にすぎない。
【0017】
[0020] 本開示は、成形工具及び成形工具の製造方法を対象とする。成形工具を採用して、CMCや他の複合材料を成形し、複合材部品を形成することができる。成形工具は、共晶合金を使用して製造される。共晶合金は、成形工具がグリーン体のCMCを形成するための(本明細書で予備硬化とも呼ばれる)初期加熱プロセス中に固体のままであるが、CMCの焼結温度より上では液体になるような共晶点を有するように選択される。初期加熱プロセスは、複合材料を十分に乾燥させ、グリーン体部品が所望の形状を維持することを可能にする。次いで、成形工具は、成形された複合材部品の複合材料を焼結させるために使用される後続の高温加熱ステップ中に溶融される。この焼結ステップは、本明細書で最終硬化ステップとも呼ばれる。共晶合金で形成された成形工具の全部又は一部が溶融すると、複合材部品は容易に取り外すことができる。
【0018】
[0021] 本開示の共晶成形工具及び方法は、熱的な不整合と引っかかる工具との両方の問題に対処することができる。更に、成形工具は、積層造形技術によって製造され得る。成形工具を積層造形することにより、複雑な工具形状が可能になり、工具用のより広い設計スペースが可能になる。
【0019】
[0022] 成形工具
【0020】
[0023]
図1は、複合材を成形するのに適したレイアップマンドレルや任意の他の種類の成形工具などの成形工具100を示す。成形工具は、工具表面104を有する工具本体102を備える。工具表面104は、
図2で示されているような部品106を製造するために使用される。成形工具100は、2種類以上の金属の共晶合金を含む。一実施例では、成形工具100が、共晶材料だけで又は実質的に共晶材料だけで構成される。
【0021】
[0024] 工具表面104は、形成される複合材部品の(所望であれば三次元であり得る)形状を有し得る。特定の複数の態様では、工具表面104の形状の複雑さが部品106からの工具本体102の取り外しを妨げる。その場合、部品106は、工具本体102の少なくとも一側面を取り囲まないので、普通であれば取り外すことができるはずである。例えば、工具表面104は、フルート形状及び/又は凹形状などの複雑な形状を有し得る。それは、部品106が成形工具100に引っかかることをもたらし得る。一実施態様では、
図1で示されているように、工具表面104が、(破線108によって図示されている)より小さい周囲部分を備える。この部分は、2つのより大きな周囲部分(破線110によって示されている)の間に配置されている。成形工具100は、
図1及び
図2において特定の形状を有するように示されているが、成形工具100は、部品106の所望の形状に応じて多くの異なる形状を有し得ることが理解されるべきである。
【0022】
[0025] 採用される共晶合金は、部品106を製造するために使用される温度に応じることになる。任意の適切な共晶合金が採用され得る。適切な共晶合金の複数の例には、非限定的に、錫/亜鉛合金、錫-鉛合金、錫-銀合金、錫-鉛-銀合金、錫-銅-ニッケル-ゲルマニウム合金、ビスマス-鉛-インジウム-錫-カドミウム合金、インジウム-ビスマス-錫合金、ビスマス-錫合金、及びそれらの組み合わせが含まれる。適切な共晶合金は、CMCグリーン体を形成する予備硬化温度より上であるが、CMCの焼結温度より下である共晶点を有するようになる。
【0023】
[0026] 共晶点は、概して、共晶合金に含まれる成分種の全ての混合比における可能な限り最も低い融点として規定される。採用される共晶合金は、共晶点の華氏約1度又は華氏約2度以内などの、共晶合金の共晶点にある(又は実質的にある)融点を有するように選択され得る。加えて、共晶合金は、成形材料を乾燥させるために使用される初期熱処理に耐えられるように選択される。初期熱処理は、成形材料をグリーン体に予備硬化し、その後、グリーン体を初期熱処理で使用されるよりも高い温度で焼結又は最終硬化させる。例えば、初期熱処理又は予備硬化が華氏約370度以下の温度で実行される場合、華氏約390度の融点を有する錫/亜鉛合金を含む共晶合金が、採用され得る。共晶合金はまた、焼結又は最終硬化のより高い温度よりも下の融点を有するように選択される。それによって、焼結中に、成形工具は液体の形態に溶融される。これにより、部品からの成形工具の除去を容易にすることができる。部品は、複雑な形状を有することがあり、成形工具が共晶合金で形成されていないときには、成形工具から除去することが困難であり得る。結果として、開示される共晶合金は、共晶塩の使用に関連付けられた幾つかの問題を回避することができる。それらの問題には、~華氏500度での鋳造などの高処理温度、高密度、腐食性の廃棄物が出ること、凝固時の高収縮率(~20%)、数日に及ぶ洗浄時間などが含まれる。
【0024】
[0027] 成形工具100は、部品106から取り外すために分解する必要がないため、成形工具100は、任意選択的に一体型の工具であり得る。それは、工具が単一のみの一体型部品を備えることを意味する。一体型の工具は、マルチピース工具よりも製造することがより単純であり、よりコスト効果が高い。にもかかわらず、成形工具100は、所望であれば2ピース以上を備え得る。
【0025】
[0028] 成形工具の製造方法
【0026】
[0029] 本開示はまた、積層造形によって成形工具を製造する方法も対象とする。
図3の130で示されているように、該方法は、共晶合金の第1の層を形成することを含む。その場合、第1の層を形成することは、液体の形態にある共晶合金を堆積させ、次いで、急速に冷却して固体の共晶合金を形成することを含む。(本明細書で瞬間凝固とも呼ばれる)急速に冷却することは、液体の共晶合金を固体の共晶合金に凝固させる。固体の共晶合金は、共晶合金の組成及び特性を保持する。132で示されているように、該方法は、第1の層上に共晶合金の更なる層を形成することを更に含む。更なる層を形成することはまた、液体の形態にある共晶合金を堆積させ、急速に冷却して固体の共晶合金を形成することを含む。134で示されているように、更なる層を形成する132のプロセスは、1回以上繰り返されて、工具表面を有する工具本体を備える構造体を形成する。本明細書で説明されるように、共晶合金は、少なくとも2種類の金属を含む金属合金であり得る。一実施例では、該方法が、工具表面104を機械加工して、部品106の成形用に望まれる所望の滑らかさ及び/又は他の質感を提供することを更に含み得る。
【0027】
[0030] 一実施態様では、積層造形プロセスとして、引き延ばされる糸はんだ(drawn wire solder)プロセスが採用され得る。そのようなプロセスでは、第1の層及び更なる層を形成するために、共晶合金を堆積させることが、共晶合金を含むワイヤフィードを供給すること、共晶合金を堆積用の適切な粘度まで加熱すること、及び溶融した共晶合金を堆積させて構築される層を形成することを含む。堆積した溶融した共晶合金は急速に冷却されて、固体の共晶合金を形成する。非限定的に、溶融堆積モデリング(「FDM」)を含む、他の適切な積層造形技術も採用され得る。本明細書で説明される共晶合金はいずれも、積層造形プロセスで採用されて、成形工具100を製造することができる。
【0028】
[0031] 共晶合金を加熱すると、温度限界を超えた場合、共晶合金の2種類以上の金属成分が分離する可能性がある。温度限界は、採用される共晶合金の種類に依存することになる。加熱中、共晶合金の金属成分への分離を回避するために、共晶合金は、概して合金の共晶点付近(例えば、合金によって異なるが、共晶点からプラス華氏5度以内、又はプラス華氏10度以内)の所望の温度範囲内に維持され得る。例えば、華氏約390度の共晶点を有する錫/亜鉛合金では、堆積中の共晶温度が、華氏395度から華氏400度を超えないように維持され得る。
【0029】
[0032] 本開示の積層造形プロセスでは、共晶合金の金属成分が分離し得る前に、材料を冷却して凝固させるために、共晶合金に対して凝固プロセスが実行される。金属成分の分離は、所望の共晶特性を損なう。共晶合金を凝固させるための急速冷却、例えば瞬間凝固は、共晶合金の金属(例えば、亜鉛と錫)のこのような分離を防止することにより、積層造形工具の共晶特性を維持することができる。
【0030】
[0033] 一実施例として、急速冷却は、共晶合金の温度が共晶合金の凝固点未満に低下するまで、不活性ガスを共晶合金に接触させて流すことを含み得る。任意の適切な不活性ガス(アルゴンや窒素など)が、採用され得る。不活性ガスの温度は、堆積後の共晶合金の所望の冷却速度を提供するように選択することができる。例えば、冷却ガスの温度は、本明細書で説明される合金のうちのいずれかなどの所与の材料について、略共晶点から共晶点より華氏約50度低い温度までの範囲、又はそれより低い温度であり得る。
【0031】
[0034] 冷却ガスは、溶融した共晶合金と接触するように、任意の所望のやり方で導くことができる。例えば、冷却ガスは、共晶合金に衝突するように、1以上の噴流又は他のガス導管によって導くことができる。一実施態様では、共晶合金が、積層造形法中に形成される層の一部として液体の共晶合金が配置されるのと同時にか、又はその直後(例えば、約30秒以内、若しくは約10秒以内)に冷却ガスと接触する。一実施例として、冷却ガスは、引き延ばされる糸はんだプロセスにおける材料の堆積の直後に、液体の材料に影響を与え得る。
【0032】
[0035] 上述されたように、成形工具100は一体型の工具であり得る。代替的に、成形工具100はマルチピース工具であり得る。更に、積層造形は、複雑な形状を含め、事実上あらゆる形状の成形工具を製造することができる。本明細書で説明される任意の形状の工具は、本開示の方法によって製造され得る。例えば、フルート形状などの2つのより大きな外周部分の間に配置されたより小さな外周部分を画定する工具表面を含む工具が製造され得る。
【0033】
[0036] 複合材部品の製造方法
【0034】
[0037] 本開示は、複合材部品を製造する方法を対象とする。
図4の140で示されているように、該方法は、セラミックマトリクス複合材などの複合材料を成形工具上にレイアップすることを含む。成形工具は、本明細書で説明される成形可能工具のいずれかであり得る。成形工具は、共晶合金の共晶点又は実質的に共晶点にある融点を有する共晶合金を含む。142で示されているように、成形可能な複合材料は、共晶材料の融点未満(例えば、共晶点未満)の第1の温度まで加熱されて、グリーン体を形成する。第1の温度まで加熱した後で、144で示されているように、グリーン体は第2の温度まで加熱されて、複合材料を形成する。第2の温度は、共晶合金の融点よりも上であり、成形工具を溶融させて、液体の成形工具の合金を生成する。第2の温度は、例えば、多孔質グリーン体を合体させ及び/又は任意の残存する水分を除去する焼結温度であり得る。成形工具はまた、最終焼結プロセスのために温度が上昇している最中に溶融し得る。
図2の矢印116によって示されているように、
図4の146で示されているように、液体の成形工具の合金の少なくとも一部分は、次いで、複合材部品から除去され得る。液体の成形工具の合金の除去は、部品106内のオリフィスから重力の下で液体の合金を排出することを可能にすることなどにより、任意の適切な技術によって行うことができる。任意選択的に、溶融した共晶合金は、回収容器118内に回収され、本明細書で説明される積層造形技術によって更なる成形工具を製造するためにリサイクルされ得る。
【0035】
[0038] 成形可能な複合材部品は、任意の適切な複合材料を含み得る。一実施例では、複合材料が、マトリクス材料、及びマトリクス材料内に配置された繊維を含む。繊維は、セラミック、金属、又はそれらの組み合わせを含む。マトリクス材料は、セラミック、金属、又はそれらの組み合わせを含む。一実施例では、繊維とマトリクス材料との両方が、セラミック材料を含む。繊維用とマトリクス用に選ばれる材料は、同じであり得るか又は異なり得る。一実施例では、マトリクス材料が、液体成分(例えば、キャリア液体又は溶媒)と、セラミックを含む粒子などの固体成分とを含む。一実施例では、成形可能な複合材料が、プリプレグ、セラミック繊維とセラミックマトリックスとの両方を含むセラミックマトリックス複合材料、又は金属繊維と金属マトリックスとの両方を含む金属マトリックス複合材料から選ばれる。
【0036】
[0039] 複合材を乾燥及び焼結させるための熱処理の温度プロファイルは、複合材の組成に応じて変化し得る。一実施例では、グリーン体を形成するための乾燥中に採用される温度が、共晶材料の共晶点未満、例えば、華氏約200度から華氏約500度、華氏約250度から華氏約450度、華氏約320度から華氏約370度の範囲内、又は華氏約350度となる。例えば、焼結及び/又は最終硬化温度に加熱するためにグリーン体を乾燥チャンバから炉に移動させるなど、グリーン体の取り扱いを可能にするために、乾燥は複合材を十分に固化させ、接合させる。
【0037】
[0040] 一実施例では、第2の温度が、複合材のマトリックス及び/又は繊維を焼結させるのに十分である。一実施例として、第2の温度は、華氏約1500度から華氏約3000度、例えば華氏約1500度から華氏約2500度の範囲、又は華氏約2000度である。一実施態様では、固体成分がセラミックを含み、第2の温度がセラミックの焼結温度である。
【0038】
[0041] 本明細書で説明されるように、成形工具の工具表面は、本明細書で説明される成形工具の形状のいずれかなどの、固体の形態にある複合材部品の取り外しを妨げ得る三次元形状を有する。成形工具は、本明細書で説明される共晶合金のいずれかを含み得る。
【0039】
[0042] 一実施態様では、部品106が、内面と外面とを含む複合材部品であり得る。複合材部品の内面は、例えばフーリエ変換赤外(FTIR)分光法を用いて検出できる共晶合金を少なくとも微量保持する。例えば、複合材部品は、セラミックなどの多孔質材料を含み得る。その場合、成形工具の溶融からの共晶合金の一部分が、最終加熱(例えば、焼結)後に、内面の少なくとも幾つかの細孔内に配置されたままである。本開示の複合材部品を製造する方法から残る共晶合金は検出可能である。本明細書で説明される方法によって製造される複合材部品(例えば、CMC製品)を、フーリエ変換赤外分光法で検査すると、スペクトルは、複合材部品の細孔の中に染み込んだ任意の共晶合金成分を含む、共晶合金系を構成する元素を示す。
【0040】
[0043] 実施例
【0041】
[0044] 成形工具用の金属合金の選択は、成形工具を使用して製造されるCMC工具の硬化温度及び焼結温度に依存する。一実施例では、錫‐亜鉛の成形工具が、本開示に従って製造され得る。亜鉛の融点は華氏約787度であり、錫の融点は華氏約450度である。しかし、錫及び亜鉛は、華氏約389度で、約9重量%の亜鉛と91重量%の錫の共晶混合物を形成する。共晶点は華氏約389度なので、共晶錫‐亜鉛合金で形成される錫‐亜鉛の成形工具は、酸化物‐酸化物CMC複合材部品を製造するために有用であり得る。酸化物‐酸化物CMC複合材部品は、概して、華氏350付近の硬化温度、華氏1200度と華氏2000度との間の焼結温度を有する。錫‐亜鉛の共晶成形工具は、酸化物‐酸化物CMC部品を硬化させる最中に使用され得る。というのも、硬化温度は、共晶錫‐亜鉛合金の融点未満だからである。その後、焼結温度まで上昇している最中に、錫‐亜鉛の共晶成形工具は溶融し得る。これは、酸化物‐酸化物CMC部品が、(成形工具からの酸化物‐酸化物CMC部品の容易な取り外しを妨げる)フルート形状などの三次元形状を含む場合に特に有利であり得る。焼結温度への昇温中に共晶成形工具を溶融させることによって、まだ焼結していない酸化物-酸化物CMC部品に損傷を与えることなく成形工具を除去することができる。
【0042】
[0045] CMC及び金属マトリクス複合材(MMC)部品を製造するための成形工具用に使用され得る他の共晶合金は、非限定的に、華氏約673度の共晶点を有する金‐ゲルマニウム合金、華氏約430度の共晶点を有する錫‐銀合金、華氏約536度の共晶点を有する金‐錫合金、華氏約361度の共晶点を有する錫‐鉛合金、及び華氏約244度の共晶点を有するインジウム‐錫合金を含む。
【0043】
[0046] 更に、本開示は、以下の条項による実施例を含む。
【0044】
[0047] 条項1.
部品を成形するための工具表面を有する工具本体を備える成形工具であって、工具本体は共晶金属合金を含む、成形工具。
【0045】
[0048] 条項2.
工具表面は、工具本体の少なくとも一側面を取り囲まない成形された複合材部品の取り外しを妨げる可能性がある三次元形状を有する、条項1に記載の成形工具。
【0046】
[0049] 条項3.
工具表面は、工具本体の少なくとも一側面を取り囲まない成形された複合材部品の取り外しを妨げる可能性があるフルート形状を含む、条項1又は2に記載の成形工具。
【0047】
[0050] 条項4.
工具表面は、工具本体の少なくとも一側面を取り囲まない成形された複合材部品の取り外しを妨げる可能性がある凹形状を含む、条項1から3のいずれか一項に記載の成形工具。
【0048】
[0051] 条項5.
工具表面は、2つのより大きな外周部分の間に配置されたより小さな外周部分を含む、条項1から4のいずれか一項に記載の成形工具。
【0049】
[0052] 条項6.
共晶金属合金は、錫/亜鉛合金、錫-鉛合金、錫-銀合金、錫-鉛-銀合金、錫-銅-ニッケル-ゲルマニウム合金、ビスマス-鉛-インジウム-錫-カドミウム合金、インジウム-ビスマス-錫合金、ビスマス-錫合金、又はそれらの組み合わせを含む、条項1から5のいずれか一項に記載の成形工具。
【0050】
[0053] 条項7.
工具は一体型の工具である、請求項1から6のいずれか一項に記載の成形工具。
【0051】
[0054] 条項8.
積層造形によって成形工具を製造する方法であって、i)共晶材料の第1の層を形成することであって、液体の形態にある共晶材料を堆積させ、次いで、共晶材料を凝固させることを含む、第1の層を形成すること、ii)第1の層上に共晶材料の更なる層を形成することであって、液体の形態にある共晶材料を堆積させ、次いで、共晶材料を凝固させることを含む、更なる層を形成すること、及び、iii)ii)を1回以上繰り返して、工具表面を有する工具本体を備える構造体を形成することを含み、共晶材料は金属合金である、方法。
【0052】
[0055] 条項9.
工具表面を機械加工することを更に含む、条項8に記載の方法。
【0053】
[0056] 条項10.
i)及びii)において共晶材料を堆積させることは、金属合金を含むワイヤフィードを供給し、ワイヤフィードを金属合金の共晶点より上に華氏10度を超えない温度まで加熱することを含む、条項8又は9に記載の方法。
【0054】
[0057] 条項11.
i)及びii)において凝固させることは、共晶材料の温度が共晶材料の凝固点未満に低下するまで、不活性ガスを液体の形態にある共晶材料に接触させて流すことを含む、条項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【0055】
[0058] 条項12.
不活性ガスは、共晶材料の略共晶点から共晶点よりも華氏約50度低い温度までの範囲の温度を有する、請求項8から11に記載の方法。
【0056】
[0059] 条項13.
共晶材料は、錫/亜鉛合金、錫-鉛合金、錫-銀合金、錫-鉛-銀合金、錫-銅-ニッケル-ゲルマニウム合金、ビスマス-鉛-インジウム-錫-カドミウム合金、インジウム-ビスマス-錫合金、ビスマス-錫合金、又はそれらの組み合わせを含む、条項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【0057】
[0060] 条項14.
工具は一体型の工具である、請求項8から13のいずれか一項に記載の方法。
【0058】
[0061] 条項15.
工具表面は、2つのより大きな外周部分の間に配置されたより小さな外周部分を含む、条項8から14のいずれか一項に記載の方法。
【0059】
[0062] 条項16.
複合材部品を製造する方法であって、成形工具上に成形可能な複合材料をレイアップすることであって、成形工具は融点を有する共晶合金を含む、成形可能な複合材料をレイアップすること、成形可能な複合材料を共晶合金の融点未満の第1の温度まで加熱して、グリーン体を形成すること、グリーン体を第2の温度まで加熱して、複合材部品を形成することであって、第2の温度は共晶合金の融点よりも上であり、工具を溶融させて液体の工具の合金を生成する、複合材部品を形成すること、及び複合材部品から液体の工具の合金の少なくとも一部分を除去することを含む、方法。
【0060】
[0063] 条項17.
成形可能な複合材料は、マトリクス材料、及びマトリクス材料内に配置された繊維を含む、条項16に記載の方法。
【0061】
[0064] 条項18.
繊維はセラミックを含む、条項16又は17に記載の方法。
【0062】
[0065] 条項19.
マトリクス材料はセラミックを含む、条項16から18のいずれか一項に記載の方法。
【0063】
[0066] 条項20.
マトリクス材料は、液体成分と固体成分とを含む、条項16から19のいずれか一項に記載の方法。
【0064】
[0067] 条項21.
第1の温度は、華氏約200度から共晶合金の共晶点未満の温度までの範囲である、条項16から20のいずれか一項に記載の方法。
【0065】
[0068] 条項22.
固体成分はセラミックを含み、第2の温度はセラミックの焼結温度である、条項16から21のいずれか一項に記載の方法。
【0066】
[0069] 条項23.
焼結温度は、華氏約1500度から華氏約3000度の範囲である、条項16から22のいずれか一項に記載の方法。
【0067】
[0070] 条項24.
工具表面は、固体の形態にある複合材部品の取り外しを妨げる三次元形状を有する、条項16から23のいずれか一項に記載の方法。
【0068】
[0071] 条項25.
共晶合金は、錫/亜鉛合金、錫-鉛合金、錫-銀合金、錫-鉛-銀合金、錫-銅-ニッケル-ゲルマニウム合金、ビスマス-鉛-インジウム-錫-カドミウム合金、インジウム-ビスマス-錫合金、ビスマス-錫合金、又はそれらの組み合わせを含む、条項16から24のいずれか一項に記載の方法。
【0069】
[0072] 条項26.
セラミック材料を含む複合材部品であって、複合材部品は内面及び外面を有し、内面には少なくとも微量の共晶合金が配置されている、複合材部品。
【0070】
[0073] 条項27.
セラミック材料は細孔を有し、共晶合金は内面の少なくとも幾つかの細孔内に配置されている、条項26に記載の複合材部品。
【0071】
[0074] 本開示の広い範囲を説明している数値の範囲及びパラメータは概算であるが、特定の実施例で説明されている数値は、可能な限り正確に記載されている。しかし、任意の数値は、それぞれの試験的測定に見られる標準偏差から必然的に生じる若干の誤差を本質的に含んでいる。更に、本明細書で開示された全ての範囲が、本明細書内に包含される任意の全ての部分範囲を含むと理解すべきである。
【0072】
[0075] 1以上の実施態様に関連して本明細書の教示を例示してきたが、付随する特許請求の範囲の主旨及び範囲から逸脱しなければ、実施例に変更及び/又は改変がなされ得る。加えて、幾つかの実施態様のうちの1つのみに関して本教示の特定の特徴が開示されてきたかもしれないが、こうした特徴は、任意の所与の又は特定の機能に関して所望され且つ有利である場合、他の実施態様の1以上の他の特徴と組み合わされてもよい。また更に、詳細な説明及び特許請求の範囲のいずれにおいても、用語「含んでいる(including)」、「含む(includes)」、「有している(having)」、「有する(has)」、「伴う(with)」、又はそれらの変形が使用される限りにおいて、そのような用語は、「備えている(comprising)」という用語と同様に包括的であることを意図している。更に、本明細書における考察及び特許請求の範囲において、「約」という用語は、変更が本明細書に記載の意図された目的に対してプロセス又は構造の不適合を生じさせない限り、列挙された値がいくらか変更されてもよいことを示している。最後に、「例示的な」は、記述が、理想的であることを示唆するというよりむしろ、例として使用されていることを示している。
【0073】
[0076] 上に開示した変形例、並びに、他の特徴及び機能又はそれらの代替例が、他の多くの異なるシステム又は用途に組み込まれてもよいことは理解されよう。現在予見できない又は予期しない様々な代替例、修正例、変形例又はそれらの改良が、後に当業者によりなされるかもしれないが、それらもまた以下の特許請求の範囲によって包含される。
【外国語明細書】