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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082257
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】複合材製造設備のための熱管理
(51)【国際特許分類】
   B29C 69/02 20060101AFI20240612BHJP
   B29C 64/386 20170101ALI20240612BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20240612BHJP
   B29C 64/10 20170101ALI20240612BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240612BHJP
【FI】
B29C69/02
B29C64/386
B33Y50/00
B29C64/10
B33Y10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023204488
(22)【出願日】2023-12-04
(31)【優先権主張番号】18/063,059
(32)【優先日】2022-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ネビンスキー, マイケル ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ミラー, ジーナ エム.
(72)【発明者】
【氏名】フェルカー, クリストファー ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ドリオ, マイケル ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】ミシアーニャ, デーヴィッド トーマス
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AG03
4F213AH81
4F213AR06
4F213WA16
4F213WA25
4F213WA43
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL85
4F213WL96
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複合材部品を形成するためのツール、及びツール及び複合材部品を作製する方法を提供する。
【解決手段】ツールは、形成中に複合材部品を支持する上面であって、中央部品接触表面の両側に配置された第1の側方部分及び第2の側方部分を含む上面と、上面とは反対側に配置された第1の統合ヒートシンクであって、第1の統合ヒートシンクの形状がツールの熱的トポロジ最適化プロセスに基づく、第1の統合ヒートシンクと、第1の側方部分上の第1の位置に配置された第1の真空ポートと、第2の側方部分上の第2の位置に配置された第2の真空ポートと、を備え、第1の真空ポート及び第2の真空ポートが、複合材部品の形成中に上面に少なくとも部分真空を提供する真空ポンプへのアクセスを提供する。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材部品(104、404、504、704、804)を形成するためのツール(406、506、706、906、1006)であって、
形成中に前記複合材部品を支持する上面(102)であって、中央部品接触表面(528、628)の両側に配置された第1の側方部分(524、624)及び第2の側方部分(526、626)を含む上面(102)と、
前記上面とは反対側に配置された第1の統合ヒートシンク(108、408、508、708、908)であって、前記第1の統合ヒートシンクの形状が前記ツールの熱的トポロジ最適化プロセスに基づく、第1の統合ヒートシンク(108、408、508、708、908)と、
前記第1の側方部分上の第1の位置に配置された第1の真空ポート(520、620)と、
前記第2の側方部分上の第2の位置に配置された第2の真空ポート(522、622)と、
を備え、
前記第1の真空ポート及び前記第2の真空ポートが、複合材部品の形成中に前記上面に少なくとも部分真空を提供する真空ポンプ(514、614)へのアクセスを提供する、ツール(406、506、706、906、1006)。
【請求項2】
前記第1の側方部分上、前記第2の側方部分上、又は反対側の表面上に配置された第2の統合ヒートシンクをさらに含む、請求項1に記載のツール。
【請求項3】
前記ツール、前記第1の統合ヒートシンク、又は前記ツールと前記第1の統合ヒートシンクとの両方が、追加の熱放散のための1つ以上の流体経路(1104)を含む、請求項1に記載のツール。
【請求項4】
前記複合材部品の形成中に前記部分真空を提供するための、前記上面の上に配置されたエンクロージャ(112、402、502、602、702)をさらに含む、請求項1に記載のツール。
【請求項5】
統合ヒートシンク(108、408、508、708、908)を含むツール(406、506、706、906、1006)を使用して、複合材部品(104、404、504、704、804)を形成する方法であって、
製造中に前記ツールの上面上に前記複合材部品を配置すること(1402)と、
前記複合材部品に少なくとも部分真空を提供すること(1404)と、
前記統合ヒートシンクによって、前記上面とは反対側の表面に向かって前記複合材部品から熱を発散させること(1406)であって、前記統合ヒートシンクの形状が、前記複合材部品を硬化させるための、前記ツールの熱的トポロジ最適化プロセスに基づく、熱を発散させること(1406)と、
を含む、方法。
【請求項6】
前記熱的トポロジ最適化プロセスが、形状的包絡線、1つ以上の構造的パラメータ、及び少なくとも1つの熱入力を含む入力を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
統合ヒートシンク(108、408、508、708、908)を備えた、複合材部品(104、404、504、704、804)を形成するためのツール(406、506、706、906、1006)を製造する方法であって、
製造される前記ツールのデジタル表現を取得すること(1502)と、
1つ以上のハードウェアプロセッサ(1604)を使用して、1つ以上の熱的コンピュータモデルを用いて、前記デジタル表現の第1の熱的トポロジ最適化プロセスを実行すること(1504)と、
前記1つ以上のハードウェアプロセッサを使用して、前記第1の熱的トポロジ最適化プロセスを用いて、製造後の前記ツールの第1の熱的ホットスポット(106)を決定すること(1506)と、
前記第1の熱的トポロジ最適化プロセスに基づいて、前記第1の熱的ホットスポットを緩和するよう構成された第1の統合ヒートシンク(108、408、508、708、908)の第1のデジタル表現を生成すること(1508)と、
製造ツール(116)を使用して前記ツール及び前記第1の統合ヒートシンクを作製すること(1510)であって、前記第1の統合ヒートシンクの形状が、前記ツールの前記第1の熱的トポロジ最適化プロセスに基づく、前記ツール及び前記第1の統合ヒートシンクを作製すること(1510)と、
を含む、方法。
【請求項8】
前記第1の熱的トポロジ最適化プロセスが、伝熱効率と、前記統合ヒートシンクが適用される前記ツールの表面領域の最大化と、のための1つ以上のパラメータに基づいている、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ツールと前記第1の統合ヒートシンクとが同時に作製され、又は前記ツールと前記第1の統合ヒートシンクとが異なる時間に作製される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記ツール、前記第1の統合ヒートシンク、又は前記ツールと前記第1の統合ヒートシンクとの両方が、追加の熱放散のための1つ以上の流体経路を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上のハードウェアプロセッサ(1604)を使用して、製造中又は製造後の前記ツールの第2の熱的トポロジ最適化プロセスを実行すること(1510)と、
前記1つ以上のハードウェアプロセッサ(1604)を使用して、製造中又は製造後の前記ツールの第2の熱的ホットスポット(1318)を決定することと、
前記第2の熱的トポロジ最適化プロセスに基づいて、前記第2の熱的ホットスポットを緩和するよう構成された第2の統合ヒートシンク(410、412、414、416、418、510、512)の第2のデジタル表現を生成することと、
前記第2の統合ヒートシンクを作製することと、
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
システムであって、
ハードウェアプロセッサ(1604)、及び命令を格納する記憶媒体(1606)を含むコンピュータ(1600)を備え、前記命令は、前記ハードウェアプロセッサ(1604)によって実行されたときには、統合ヒートシンク(108、408、508、708、908)を備えた、複合材部品(104、404、504、704、804)を形成するためのツール(406、506、706、906、1006)を付加製造する方法を実行し、前記方法が、
製造されるツール(406、506、706、906、1006)のデジタル表現を取得すること(1502)と、
1つ以上のハードウェアプロセッサ(1604)を使用して、1つ以上の熱的コンピュータモデルを用いて、前記デジタル表現の第1の熱的トポロジ最適化プロセスを実行すること(1504)と、
前記1つ以上のハードウェアプロセッサ(1604)を使用して、前記第1の熱的トポロジ最適化プロセスを用いて、製造後の前記ツール(406、506、706、906、1006)の第1の熱的ホットスポット(106)を決定すること(1506)と、
前記第1の熱的トポロジ最適化プロセスに基づいて、前記第1の熱的ホットスポット(106)を緩和するよう構成された第1の統合ヒートシンク(108、408、508、708、908)の第1のデジタル表現を生成すること(1508)と、
製造ツール(116)を使用して前記ツール(406、506、706、906、1006)及び第1の統合ヒートシンクを作製すること(1510)であって、前記第1の統合ヒートシンクの形状が、前記ツール(406、506、706、906、1006)の前記第1の熱的トポロジ最適化プロセスに基づく、前記ツール(406、506、706、906、1006)及び第1の統合ヒートシンクを作製すること(1510)と、
を含む、システム。
【請求項13】
前記第1の熱的トポロジ最適化プロセスが、伝熱効率と、前記統合ヒートシンクが適用される前記ツールの表面領域の最大化と、のための1つ以上のパラメータに基づいている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記ツールと前記第1の統合ヒートシンクとが同時に作製され、又は前記ツールと前記第1の統合ヒートシンクとが異なる時間に作製される、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記ツール、前記第1の統合ヒートシンク、又は前記ツールと前記第1の統合ヒートシンクとの両方が、追加の熱放散のための1つ以上の流体経路を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記ハードウェアプロセッサが、
前記1つ以上のハードウェアプロセッサを使用して、製造中又は製造後の前記ツールの第2の熱的トポロジ最適化プロセスを実行することと、
前記1つ以上のハードウェアプロセッサを使用して、製造中又は製造後の前記ツールの第2の熱的ホットスポットを決定することと、
第2の熱的トポロジ最適化プロセスに基づいて、前記第2の熱的ホットスポットを緩和するよう構成された第2の統合ヒートシンクの第2のデジタル表現を生成することと、
前記第2の統合ヒートシンクを作製することと、
を含む方法を実行するようさらに構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1の熱的トポロジ最適化プロセスが、形状的包絡線、1つ以上の構造的パラメータ、及び1つ以上の熱入力を含む入力を含む、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合材製造設備の熱管理のための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
複合材部品が設計、強度、及び耐久性の要件を満たすことを保証するために、複合材料は、その部品の硬化プロファイルがプロセス仕様要件の範囲内で維持されるように製造する必要がある。
【0003】
従って、当該技術分野では、複合材製造プロセスにおける1つ以上の欠如に対処することが必要である。
【発明の概要】
【0004】
本開示の実施例に従って、複合材部品を形成するためのツールが開示される。ツールが、形成中に複合材部品を支持する上面であって、中央部品接触表面の両側に配置された第1の側方部分及び第2の側方部分を含む上面と、上面とは反対側に配置された第1の統合ヒートシンクであって、第1の統合ヒートシンクの形状がツールの熱的トポロジ最適化プロセスに基づく、第1の統合ヒートシンクと、第1の側方部分上の第1の位置に配置された第1の真空ポートと、第2の側方部分上の第2の位置に配置された第2の真空ポートと、を備え、第1の真空ポート及び第2の真空ポートが、複合材部品の形成中に上面に少なくとも部分真空を提供する真空ポンプへのアクセスを提供する。熱的トポロジ最適化プロセスが、統合ヒートシンク設計プロセス、熱的最適化プロセス、及び解析プロセスを含む。統合ヒートシンクを作製するために、形状的包絡線、1つ以上の構造的パラメータ、及び1つ以上の熱入力が、熱的トポロジ最適化プロセスへの入力として提供される。
【0005】
以下の特徴の1つ以上を含む様々なさらなる特徴がツールに含まれうる。ツールが、第1の側方部分上、第2の側方部分上、又は反対側の表面上に配置された第2の統合ヒートシンクをさらに含みうる。ツール、第1の統合ヒートシンク、又はツールと第1の統合ヒートシンクとの両方が、空気を冷却する追加の熱放散のための1つ以上の流体経路を含む。ツールが、複合材部品の形成中に部分真空を提供するための、上面の上に配置されたエンクロージャをさらに含みうる。ツール、第1の統合ヒートシンク、及び第2の統合ヒートシンクが、付加製造プロセスによって形成される。
【0006】
本開示の実施例に従って、統合ヒートシンクを含むツールを用いて複合材部品を形成する方法が開示される。本方法は、製造中にツールの上面上に複合材部品を配置することと、複合材部品に少なくとも部分真空を提供することと、統合ヒートシンクによって、上面とは反対側の表面に向かって複合材部品から熱を発散させることであって、統合ヒートシンクの形状が、複合材部品を硬化させるための、ツールの熱的トポロジ最適化プロセスに基づく、熱を発散させることと、を含む。
【0007】
本開示の実施例に従って、統合ヒートシンクを備えた、複合材部品を形成するためのツールを製造する方法か開示される。本方法は、製造されるツールのデジタル表現を取得することと、1つ以上のハードウェアプロセッサを使用して、1つ以上の熱的コンピュータモデルを用いて、デジタル表現の第1の熱的トポロジ最適化プロセスを実行することと、1つ以上のハードウェアプロセッサを使用して、第1の熱的トポロジ最適化プロセスを用いて、製造後のツールの第1の熱的ホットスポットを決定することと、第1の熱的トポロジ最適化プロセスに基づいて、第1の熱的ホットスポットを緩和するよう構成された第1の統合ヒートシンクの第1のデジタル表現を生成することと、製造ツールを使用してツール及び第1の統合ヒートシンクを作製することであって、第1の統合ヒートシンクの形状が、ツールの第1の熱的トポロジ最適化プロセスに基づく、ツール及び第1の統合ヒートシンクを作製することと、を含む。熱的トポロジ最適化プロセスが、統合ヒートシンク設計プロセス、熱的最適化プロセス、及び解析プロセスを含みうる。統合ヒートシンクを作製するために、形状的包絡線、1つ以上の構造的パラメータ、及び1つ以上の熱入力が、熱的トポロジ最適化プロセスへの入力として提供される。機能的な生成プロセスは上記の入力を使用して、反復的な熱的トポロジ最適化プロセスを自動化し、データ入力から形状を出力する。
【0008】
以下の特徴の1つ以上を含む様々なさらなる特徴がツールに含まれうる。ツールのデジタル表現が、CAD(computer-aided design)図面である。第1の熱的トポロジ最適化プロセスが、伝熱効率と、統合ヒートシンクが適用されるツールの表面領域の最大化と、のための1つ以上のパラメータに基づいている。ツールと第1の統合ヒートシンクとが同時に作製される。ツールと第1の統合ヒートシンクと異なる時間に作製される。ツール、第1の統合ヒートシンク、又はツールと第1の統合ヒートシンクとの両方が、追加の熱放散のための1つ以上の空気を冷却する流体経路を含む。本方法がさらに、1つ以上のハードウェアプロセッサを使用して、製造中又は製造後のツールの第2の熱的トポロジ最適化プロセスを実行することと、1つ以上のハードウェアプロセッサを使用して、製造中又は製造後のツールの第2の熱的ホットスポットを決定することと、第2の熱的トポロジ最適化プロセスに基づいて、第2の熱的ホットスポットを緩和するよう構成された第2の統合ヒートシンクの第2のデジタル表現を生成することと、第2の統合ヒートシンクを作製することと、を含む。第2の熱的トポロジ最適化プロセスは、先に述べた、かつ以下でさらに述べる第1の熱的トポロジ最適化プロセスと同様である。
【0009】
本開示の実施例に従って、システムが開示される。本システムは、ハードウェアプロセッサ、及び命令を格納する記憶媒体を含むコンピュータを備え、命令は、ハードウェアプロセッサによって実行されたときには、統合ヒートシンクを備えた、複合材部品を形成するためのツールを付加製造する方法を実行し、上記方法が、製造されるツールのデジタル表現を取得することと、1つ以上のハードウェアプロセッサを使用して、1つ以上の熱的コンピュータモデルを用いて、デジタル表現の第1の熱的トポロジ最適化プロセスを実行することと、1つ以上のハードウェアプロセッサを使用して、第1の熱的トポロジ最適化プロセスを用いて、製造後のツールの第1の熱的ホットスポットを決定することと、第1の熱的トポロジ最適化プロセスに基づいて、第1の熱的ホットスポットを緩和するよう構成された第1の統合ヒートシンクの第1のデジタル表現を生成することと、製造ツールを使用してツール及び第1の統合ヒートシンクを作製することであって、第1の統合ヒートシンクの形状が、ツールの第1の熱的トポロジ最適化プロセスに基づく、ツール及び第1の統合ヒートシンクを作製することと、を含む。幾つかの実施例において、トポロジ的に最適化された形状を備えたツールが、付加製造ツールを使用して製造されうる。
【0010】
以下の特徴の1つ以上を含む様々なさらなる特徴がツールに含まれうる。ツールの第1のデジタル表現がCAD図面である。熱的トポロジ解析が、伝熱効率と、統合ヒートシンクが適用されるツールの表面領域の最大化と、のための1つ以上のパラメータに基づいている。ツールと第1の統合ヒートシンクとが同時に作製される。ツールと第1の統合ヒートシンクと異なる時間に作製される。ツール、第1の統合ヒートシンク、又はツールと第1の統合ヒートシンクとの両方が、追加の熱放散のための1つ以上の流体経路を含む。ハードウェアプロセッサが、1つ以上のハードウェアプロセッサを使用して、製造中又は製造後のツールの第2の熱的トポロジ最適化プロセスを実行することと、1つ以上のハードウェアプロセッサを使用して、製造中又は製造後のツールの第2の熱的ホットスポットを決定することと、第2の熱的トポロジ最適化プロセスに基づいて、第2の熱的ホットスポットを緩和するよう構成された第2の統合ヒートシンクの第2のデジタル表現を生成することと、付加製造ツールを使用して、第2の統合ヒートシンクを生成することと、を含む方法を実行するようさらに構成される。本方法は、コンピュータに電気的に接続された付加製造ツールをさらに含みうる。
【0011】
先の概略的な説明及び以下の詳細な説明は、例示及び説明にすぎず、特許請求される本教示を限定するものではないと理解されたい。
【0012】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本教示の態様を例示しており、本明細書の記載と共に、本教示の原則を説明する役目を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】本開示の実施例に係る、複合材部品の平面図100を示す。
図1B図1の線A-Aに沿って切った断面の側面図120を示す。
図2A-F】図1Bの統合ヒートシンク108で使用可能な、AM(付加製造された)統合ヒートシンクの様々な例を示す。
図3A-B】本開示の実施例に係る、統合ヒートシンクの様々な熱解析の結果を示す。
図3C-D】本開示の実施例に係る、更なる統合ヒートシンクの例を示す。
図4】本開示の実施例に係る、例示的な統合ヒートシンクが追加された、図1Bの配置による複合材部品システム400の同様の配置を示す。
図5】本開示の実施例に係る、例示的な統合ヒートシンクが追加された、図1Bの配置による複合材部品システム500の同様の配置を示す。
図6】本開示の実施例に係る、例示的な統合ヒートシンクが追加された、図1Bの配置による複合材部品システム600の同様の配置を示す。
図7】本開示の実施例に係る、例示的な統合ヒートシンクが追加された、図1Bの配置による複合材部品システム700の同様の配置を示す。
図8】本開示の実施例に係る、例示的な統合ヒートシンクが追加された、図1Bの配置による複合材部品システム800の同様の配置を示す。
図9】本開示の実施例に係る、例示的な統合ヒートシンクが追加された、図1Bの配置による複合材部品システム900の同様の配置を示す。
図10】本開示の実施例に係る、例示的な統合ヒートシンクが追加された、図1Bの配置による複合材部品システム1000の同様の配置を示す。
図11A-B】本開示の実施例に係る、壁/ツールの表面における熱伝導率の助けとなる、流体境界層を壊す攪拌フィーチャを組み込むキャビティが配設された統合ヒートシンク形状の分解側面図1100及び非分解側面図1150を示す。
図12A-E】本開示の実施例に係る攪拌フィーチャを備えた例示的な統合ヒートシンク形状を示す。
図13】本開示の実施例に係る、統合ヒートシンクを製造する方法1300を示す。
図14】本開示の実施例に係る、統合ヒートシンクを含むツールを使用して複合材部品を形成する方法のフローチャート1400を示す。
図15】本開示の実施例に係る、統合ヒートシンクを備えた、複合材部品を形成するためのツールを付加製造する方法のフローチャート1500を示す。
図16】本開示の実施例に係る、計算システム1600の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面の幾つかの細部は、厳密な構造的な精度、細部、及び縮尺を維持するよりむしろ、理解を促すために簡略化されて図示されていることに注意されたい。
【0015】
ここで、本教示について詳しく言及していくが、本教示の実施例は、添付の図面に示されている。図面では、同一の要素を示すために、同様の参照番号が全体を通して使用されている。以下の記載においては、本明細書の記載の一部を成す添付の図面が参照されるが、図面では、本教示を実施する特定の実施例が図示されている。従って、以下の記載は単なる例示にすぎない。
【0016】
部品及びツールの適格性評価(qualification)プロセスの間には、部品/ツールに亘る温度を理解するために及び先行の熱電対及び遅行の熱電対の位置を特定するために、温度プロファイルが取られる。不均一な温度プロファイルは、硬化キネティックス(cure kinetics)に影響を与える可能性があり、結果として、部品のより冷たい領域では硬化度又はガラス転移温度がより低くなりうる。温度プロファイルが、ツールの外面に亘って正規化されていて予測可能であれば、より高品質の硬化が可能である。複合材部品を作製するために使用される製造設備は、大型で複雑な形状を含む可能性があり、通常では、重くて熱膨張率が低い(low CTE)材料が利用される。ツールは、ツールの設計に影響を与える追加の要件を有しうる(即ち、「回転する繊維配置機械上に取り付けられる必要がある」)。複合材は、限定するものではないが、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、アラミド繊維強化プラスチック(AFRP)を含むことができ、例えば、ケブラー(Kevlar)(登録商標)パラアラミド繊維、セラミックマトリクス複合材(CMC)、金属マトリクス複合材(MMC)などを含みうる。
【0017】
本開示は、統合ヒートシンクを含む製造設備に関し、特に、統合ヒートシンク及びその作製方法に関する。統合ヒートシンクは、ツールの部品であり、金属部品で構成されうる。1つ以上の統合ヒートシンクを搭載したツールが、ツール上でレイアップされている複合材部品を硬化させるために使用される。統合ヒートシンクは、例えば付加製造(AM:additively manufacturing)プロセスを使用して、かつ熱的ホットスポットの位置に、製造中のツールと一体的に形成することができる。AMによって、接合ジグ(bond jig)といった支持構造における材料消費を少なくすることが可能になる。一部のケースでは、ツールは、大規模な付加製造プロセスによって製造され、ここでは、付加製造プリンタのヘッドの外形的寸法が因子(factor)とならない。熱的ホットスポットが、部品の熱解析を実施することによって、部品が製造される前に決定されうる。統合ヒートシンクが、硬化サイクル中のツール温度のピークに関する懸念を和らげるために使用されうる。統合ヒートシンクは、適所にプリントすることができ、又はプリントして、既存の機械加工されたツールといった部品に取り付けることができる。このことによって、全ての複合材ツールのために、熱ベースのレトロフィット(retrofit)オプションの能力が提供される。例えば、今正に製造された新しいツールは、効果的なソルーションを提供することができる。しかしながら、複合材ツールが存在することあり、何百万ドルものコストが掛かることもある。この場合には、本ツール設計及び作製プロセスを使用して、有効性を改善するために既存のツールに後付けする(retrofit)ことが可能な統合ヒートシンクを作製することができる。
【0018】
熱解析によって、ツール温度プロファイルの予測モデルが提供される。熱解析は、ツールの機能性表面の温度プロファイルを特徴付けるため、及び当該温度プロファイルが硬化サイクル中に部品にどのような影響を与えるのかを特徴づけるための、部品-ツール温度プロファイルプロセスを含みうる。部品-ツール温度プロファイルは、物理的なハードウェア及び計測機器を用いて取ることが可能であり、又は、COMPRO若しくはRAVENといったソフトウェアによるモデルを用いて、仮想的に取ることが可能である。この部品-ツール温度プロファイルは、部品及びツール、並びに部品を硬化させるために使用される機器(オーブン、オートクレーブ、又はプレス機など)の形状、質量、及び材料、並びに、上記機器の条件(圧力、空気循環、チャンバの容積、温度、加熱率など)を考慮に入れる。熱電対を、部品とツールの間に当該部品の表面領域の全域に取り付けることができ、データ点が、硬化プロセス全体にわたって、当該プロセス中の部品及びツールの温度プロファイルを特徴付けるために生成される。その後、硬化中の熱流を増大させ従って温度プロファイルを変更するためにツール上の統合ヒートシンクをシミュレートするデジタル解析プロセスに、上記データ点が入力される。実施例によれば、統合ヒートシンク外形の形状、配置、及び複雑さは調整可能であり、統合ヒートシンクが、部品-ツール温度プロファイル上のホットスポットを緩和するよう配置されるように構成される。加えて、本開示の実施例は、既存のツールのツールの修正(又は、初期の最適化がオフの場合にツールの修正)を提供する。既存のツールがホットスポットを有する場合には、本開示の実施例によって、設計されかつ既存のツールの背面に追加されるカスタムAM統合ヒートシンクが提供される。
【0019】
さらに、ユーザの初期の修正されたモデルがオフであった場合に、又は、部品-ツール温度プロファイルが、オートクレーブ内/オーブン内でのツールの配置又は配向など製造上の決定により変更されるならば、本開示の実施例によって、モジュール式の統合ヒートシンクを取り出して、異なる形状のものと取り替えることが可能となり、又は、製造設備の構成要素の交換によって、新しい温度プロファイルと関連するホットスポットを緩和することが可能となる。このモジュール式のフィーチャによって、完全に新しいツールを設計し製造するというよりは、ツールモジュール修正のみによって追加の統合ヒートシンク形状を追加することが可能となる。
【0020】
更なる実施例において、統合ヒートシンク又は部品は、統合真空ポートを含めて製造することができ、このことにより、ユーザは、漏れのリスクを緩和するために製造中に使用されるバッグ(bag)に真空孔を開けなくてよくなる。真空ポートは、統合ヒートシンク又は製造中の部品の表面品質に悪影響を与えないように、配置されうる。例えば、複合材部品がオーブン内又はオートクレーブ内で硬化させられるときには、バギング材料(bagging material)が部品を覆い、バッグの下方から空気が逃げられない又は入れないようにツールにシールされる。その後、真空ポートが、バッグに刺して入れることで、ツールに追加される。上記ポートは、バッグにシールされ、かつ、ユーザが、バッグに対して真空引きすること、及び空気及び揮発性物質のすべてをバッグの下から引き出すことを可能にする。これは、複合材硬化への1ステップである。というのは、このステップにより、材料の適切な圧縮及び強化(consolidation)が保証されるからである。しかしながら、バッグにかすり傷がある度、バックに孔が開く度、孔でバックがダメになる度などに、硬化中に当該バッグから空気が漏れる可能性がある。この漏れが生じた場合には、その部品は通常廃棄される。ツールに真空ポートを統合することで、ツール内の統合された空気チャネルが、空気及び揮発性物質を、真空を介してバッグの下から引き出すことが可能であり、その際に、バギング材料に孔が開く更なるリスクが無く、漏れるチャンスを作らない。
【0021】
幾つかの実施例において、キャビティが配設された統合ヒートシンク形状は、流体境界層を壊すための攪拌フィーチャを組み込むことができ、このことは、壁/ツールの表面における熱伝導率を助ける。攪拌器を適所にプリントして、層流において又は層流付近で見られる流体境界の影響を緩和することが可能である。上記フィーチャによって、積層板の強化(consolidation)後の制御されている適切な冷却フィーチャが提供して、製造率を上げることが可能である。
【0022】
本開示の幾つかの実施例において、熱的最適化プロセスも、製造中の部品のバック側の温度プロファイルを最適化するために使用されうる。カウル及び増圧器は、AM中に使用されている間、硬化レシピ及びカウルの形状に従って、硬化キネティックスに悪影響を与える可能性がある。カスタマイズされたカウルが、硬化中により予測可能な樹脂性能を実現するために、ツールに挿入されうる。カウル及び増圧器への同様の熱的最適化の構想を使用して、熱プレス機の上方プラテン及び下方プラテンの温度プロファイルを修正することが可能である。例えば、バッグは、レイアップされた複合材料の形状に適合する可撓性材料である。(オートクレーブ内又はオーブン内の)硬化される複合材のバック側では、カウルが、厳しいプロファイル許容要件を有する滑らかでより均一な表面を生成するために使用される。カウルは、典型的に、部品のバック側の形状を再現するプレートである。さらに厳しい凹部(c字状チャネル、真っすぐなレッジ(leg)を含むL字状又はT字状のプロファイルなど)が存在するところでは、プレートを使用して、カウルプレートの効果を実現することができない。この場合には、凹部の内側の空間を再現する増圧器が使用され、適切に硬い表面に対して、バックでは出来ないところの圧力を上げるために提供される。
【0023】
図1Aは、本開示の実施例に係る、温度プロファイルを示すツールの上面図100を示している。図1Bは、図1Aの線A-Aに沿って切った断面の側面図120を示している。図1Aに示されるように、1つ以上の材料で構成されるツール110の上面102は、上面102上の中心位置から放射状に広がる熱的ホットスポット106を有する。ツール110は、複合材部品104を形成するために使用される。ツール110は、限定するものではないが1つ以上の直線部分及び/又は1つ以上の湾曲部分を含む形成される複合材部品104の種類に従って、様々なやり方で成形されるよう製造可能である。ツール110は、コンピュータ114に接続されており、コンピュータ114は、限定するものではないが製造中の部品のCAD図面に対するものを含む1つ以上の因子に基づいて潜在的な熱的ホットスポットを決定することが可能な熱解析ソフトウェアによって構成されている。熱解析ソフトウェアは、ツール110の1つ以上の熱的トポロジ最適化プロセスを実行するよう構成されうる。非限定的な一例において、コンピュータ114は、COMPRO又は他の最適化ツールセットといった熱的最適化モデリング及びシミュレーションツールを使用でき、ここで、熱入力は、3DX、Inspire、又は他のトポロジ的なデジタモデリングCADツールにおいて設計された複合材接合ジグ(bond jig)として生成されうる。上述したように、熱入力は、硬化プロセス中の熱伝達に影響を与える因子を表しうる。例えば、熱入力の因子は、限定するものではないが、オートクレーブ内又はプレス機内の気流、オーブン内又はオートクレーブ内の部品及びツールの質量、他の部品がバッチ硬化のためにオートクレーブ内又はオーブン内に存在するか否か、部品材料、ツール材料などを含みうる。
【0024】
熱的トポロジ最適化プロセスは、統合ヒートシンク設計プロセス、熱的最適化プロセス、及び解析プロセスを含む。統合ヒートシンクを作製するために、形状的包絡線、1つ以上の構造的パラメータ、及び1つ以上の熱入力が、熱的トポロジ最適化プロセスへの入力として提供される。形状的包絡線(geometrical envelope)は、或るデザインがその範囲内に存在する3D空間のブロックであり、或るデザインの最大の高さ、幅、及び幅を表し、さらに、その3D空間の3D座標位置も表す。構造的パラメータは、構造的な荷重のケースを含みうる。例えば、統合ヒートシンクは、それ自身の重量を支持し、何らかの取り扱い荷重まで持ちこたえることができ、これにより、機械工又は技術者が誤って統合ヒートシンクにぶつかり、又は統合ヒートシンクを掴んだ場合には、統合ヒートシンクは無効にされず又は部分的に破壊されるであろう。熱入力は、硬化プロセス中に熱伝達に影響を与える因子を表す。例えば、熱入力の因子は、限定するものではないが、オートクレーブ内又はプレス機内の気流、オーブン内又はオートクレーブ内の部品及びツールの質量、他の部品がバッチ硬化のためにオートクレーブ内又はオーブン内に存在するか否か、部品材料、ツール材料などを含みうる。機能的生成プロセスは上記の入力を使用して、反復的な熱的トポロジ最適化プロセスを自動化し、データ入力から形状を出力する。
【0025】
幾つかの実施例において、モデリング及びシミュレーションツールが熱入力を使用して、複合材の硬化、及び当該硬化と関連付けられた熱伝達をモデル化する。熱伝達は、ツールの外面にわたって様々な速度で起きうる。これは、「ツールの質量」、「部品の質量」、又は「循環している空気へのアクセス」といった特定の入力がツールの外面に亘って変わりうるからである。熱伝達が、望まれるよりも遅い速度で起きている場合、このことは機能的には「コールドスポット(cold spot)」であり、ここで、部品-ツール界面の選択点位置での別個の温度は、部品-ツール界面の全平均温度よりも低い。同様に、熱伝達が、望まれるよりも加速された速度で起きている場合、このことは機能的には「ホットスポット(hot spot)」であり、ここで、部品-ツール界面の選択点位置における別個の温度は、部品-ツール界面の全平均温度よりも高い。
【0026】
コンピュータ114は、付加製造装置116と接続されうる。上記の熱入力を設計空間に与えて、複合材部品104の形成中にツール110の複合部品形成表面から熱を発散させる統合ヒートシンク形状を、ツール110の裏側(非機能的な側)に自動的に生成することが可能である。
【0027】
図1Bに示されるように、複合材部品104は、当該複合材部品104の形成中に、ツール110に取り付けられている。ツール110を形成するために使用された同じ製造プロセスを使用して同時に又は異なる時間に作製可能な統合ヒートシンク108が、ツール110の下側の表面に取り付けられて、ツール110及び複合材部品104のヒートシンクを提供し、結果として、複合材部品104上の均一に広がった熱表面が得られる。例えば、温度プロファイルは、温度におけるピーク及び谷間を示し、この温度におけるピーク及び谷間は、硬化中のツールの外面に亘る熱エネルギーのピーク及び谷間を効果的に示す。一部のケースでは、上記のホットスポットは、架橋結合が適切な速度で生じない場合などには、硬化キネティックスに悪影響を与え、結果として、硬化度が低くなり、
孔及びボイドが沢山あり、許容できない樹脂流れに繋がる。統合ヒートシンク形状を戦略的に生成し、その統合ヒートシンク又は統合ヒートシンクを戦略的に配置することで、上記の熱的なピーク及び谷間が無くされ又は硬化中のツールの外面に亘る熱エネルギーのプロファイルが効果的に均一なポイントまで効果的に緩和される。
【0028】
図1Bは、1つの統合ヒートシンク108を示しているが、製造中の特定の複合材部品104の熱解析に従って、1より多い統合ヒートシンク108が存在しうる。真空バッグ112が、複合材部品104の上面上に配置されており、複合材部品104が製造されている種類及び/又はプロセスに従って形成を完了するための、例えば、接合及び硬化を終了するための複合材部品104の真空環境を提供する。
【0029】
図2A図2B図2C図2D図2E、及び図2Fは、図1Bの統合ヒートシンク108として使用可能なAM統合ヒートシンクの様々な例を示す。統合ヒートシンクの特定の種類、構造、材料、及び形状が、製造中の特定の複合材部品104に基づいて最適化される。
【0030】
図3A及び図3Bは、本開示の実施例に係る、統合ヒートシンクの様々な熱解析の結果を示す。図3Aは、統合ヒートシンクのパラメータ的に最適な結果302を示し、図3Bは、統合ヒートシンクのトポロジ的に最適な結果304を示す。図3C及び図3Dは、本開示の実施例に係る、トポロジ最適化プロセスを使用して形成された更なる統合ヒートシンクの例を示す。
【0031】
図4は、本開示の実施例に係る、例示的な統合ヒートシンクが追加された、図1Bの配置によるシステム400の同様の配置を示す。図4に示されるように、複合材部品404はツール406上に取り付けられている。ツール406を形成するために使用された同じ製造プロセスを使用して同時に又は異なる時間に作製可能な統合ヒートシンク408が、ツール406の下側の表面に取り付けられて、ツール406及び複合材部品404の熱シンクを提供し、結果として、複合材部品404上の均一に広がった熱表面が得られる。追加の統合ヒートシンク410及び412が、複合材部品404及びツール406の端に、図4では破線で囲んで示されている。追加の統合ヒートシンク410及び412は、例えば、代替的な統合ヒートシンク414、代替的な統合ヒートシンク416、及び代替的な統合ヒートシンク418によって示された形態のいずれかを取りうる。追加の統合ヒートシンク410及び412の代替的な形態も、複合材部品404の熱特性に基づいて使用可能である。真空バッグ402が、複合材部品404の上面上に配置されており、複合材部品404が製造されている種類及び/又はプロセスに従って形成を完了するための、例えば、接合及び硬化を終了するための複合材部品404の真空環境を提供する。
【0032】
図5は、本開示の実施例に係る、例示的な統合ヒートシンクが追加された、図1Bの配置による複合材部品システム500の同様の配置を示す。図5に示されるように、複合材部品504はツール506上に取り付けられている。ツール506を形成するために使用された同じ製造プロセスを使用して同時に又は異なる時間に作製可能な統合ヒートシンク508が、ツール506の下側の表面に取り付けられて、複合材部品504の熱シンクを提供し、結果として、ツール506上及び複合材部品504上の均一に広がった熱表面が得られる。例えば追加の統合ヒートシンクでありうる追加の支持体510及び512が、複合材部品504及びツール506の端に配置されている。追加の統合ヒートシンクでありうる又は統合ヒートシンクのような特性を有しうる、ツール506の追加の支持体510及び512は、例えば、図2A図2B図2C図2D図2E図2F図3C図3D、又は図4に示された形態のいずれかを取りうる。追加の支持体510及び512の代替的な形態も、ツール506の熱特性に基づいて使用可能である。例えば、追加の統合ヒートシンクとして機能する追加の支持体510及び512は、上述の構造的入力及び熱入力を使う最適化プロセスを使用して作製される。複合材部品に接触する表面とは反対側の、ツールの非機能的な表面上の構造的な入力は制限されている。この場合、統合ヒートシンクは、自身の重量、プラス、ショップ内又はラボ内でツールをあちこちに動かすときに見られる任意の制限された取り扱い荷重を支持するだけよい。支持体上の統合ヒートシンクについては、構造的な入力は異なっており、従って、統合ヒートシンク形状が機能的に異なっている。構造的な支持体は、硬化中に、自身の重量のみならずツール及び部品の重量を支持する必要があり、従って、より多くの質量が、当該支持体を作製するために使用されることになる。より多くの質量が使用されるつれて、表面領域最適化のためのチャンスは、自身の重量を支持するための質量を使用するだけでよい統合ヒートシンクとは異なってくる。真空バッグ502が、複合材部品504の上面上に配置されており、複合材部品504が製造されている種類及び/又はプロセスに従って形成を完了するための、例えば、接合及び硬化を終了するための複合材部品504の真空環境を提供する。真空ポンプ514が、第1の側方部分524及び第2の側方部分526にそれぞれ配置された真空ポート520、522にそれぞれ取り付けられた真空カプラ516、518を介して、真空バッグ502に真空環境を提供する。図5に示される例では、真空ポート520、522は、例えば中心部品接触表面528からずれた領域において、真空バッグ502の上面に対して配置されている。
【0033】
図6は、本開示の実施例に係る、例示的な統合ヒートシンクが追加された、図1Bの配置による複合材部品システム600の同様の配置を示す。図6に示されるように、複合材部品604はツール606上に取り付けられている。ツール606を形成するために使用された同じ製造プロセスを使用して同時に又は異なる時間に作製可能な統合ヒートシンク608が、ツール606の下側の表面に取り付けられて、複合材部品604の熱シンクを提供し、結果として、ツール606上及び複合材部品604上の均一に広がった熱表面が得られる。追加の支持体610及び612は、ツール606の端に配置することができ、追加の統合ヒートシンクの形態をしていることができ、又は、統合ヒートシンクのような特性を有しうる。追加の支持体610及び612は、例えば、図2A図2B図2C図2D図2E図2F図3C図3D、又は図4に示された形態のいずれかを取りうる。追加の支持体610及び612の代替的な形態も、ツール606の熱特性に基づいて使用可能である。真空バッグ602が、複合材部品604の上面上に配置されており、複合材部品604が製造されている種類及び/又はプロセスに従って形成を完了するための、例えば、接合及び硬化を終了するための複合材部品604の真空環境を提供する。真空ポンプ614が、第1の側方部分624及び第2の側方部分626にそれぞれ配置された真空ポート620、622にそれぞれ取り付けられた真空カプラ616、618を介して、真空バッグ602に真空環境を提供する。図6に示される例では、真空ポート620、622は、中心部品接触表面628の近傍の、例えば真空バック602及び複合材部品604からずれた領域において、真空バッグ602の上面に対して配置されている。
【0034】
図7は、本開示の実施例に係る、例示的な統合ヒートシンクが追加された、図1Bの配置によるシステム700の同様の配置を示す。図7に示されるように、複合材部品704はツール706上に取り付けられている。ツール706を形成するために使用された同じ製造プロセスを使用して同時に又は異なる時間に作製可能な統合ヒートシンク708が、ツール706の下側の表面に取り付けられて、ツール706及び複合材部品704のヒートシンクを提供し、結果として、ツール706上及び複合材部品704上の均一に広がった熱表面が得られる。追加の支持体710及び712がツール706の端に配置されうる。追加の支持体710及び712は、例えば、図2A図2B図2C図2D図2E図2F図3C図3D、又は図4に示された形態のいずれかを取りうる。追加の支持体710及び712の代替的な形態も、ツール706の熱特性に基づいて使用可能である。カウル/増圧器714が真空バッグ702内に配置されており、複合材部品704の上面に対して、複合材部品704の製造(即ち、接合及び/又は硬化)を完了するための追加の圧力が提供される。カウル/増圧器714は、図5及び図6の真空ポンプ構成の代わりとして使用されうる。上述したように、バッグは、レイアップされた複合材料の形状に適合する可撓性材料である。(オートクレーブ内又はオーブン内の)硬化される複合材のバック側では、カウルが、厳しいプロファイル許容要件を有する滑らかでより均一な表面を生成するために使用される。カウルは、典型的に、部品のバック側の形状を再現するプレートである。さらに厳しい凹部(c字状チャネル、真っすぐなレッジ(leg)を含むL字状又はT字状のプロファイルなど)が存在するところでは、プレートを使用して、カウルプレートの効果を実現することができない。この場合には、凹部の内側の空間を再現する増圧器が使用され、適切に硬い表面に対して、バックでは出来ないところの圧力を上げるために提供される。
【0035】
図8は、本開示の実施例に係る、例示的な統合ヒートシンクが追加された、図1Bの配置によるシステム800の同様の配置を示す。図8に示されるように、複合材部品804はツール806上に取り付けられている。ツール806を形成するために使用された同じ製造プロセスを使用して同時に又は異なる時間に作製可能な統合ヒートシンク808が、ツール806の下側の表面に取り付けられて、ツール806及び複合材部品804のヒートシンクを提供し、結果として、ツール806上及び複合材部品804上の均一に広がった熱表面が得られる。追加の支持体810及び812がツール806の端に配置されうる。追加の支持体810及び812は、例えば、図2A図2B図2C図2D図2E図2F図3C図3D、又は図4に示された形態のいずれかを取りうる。例えば統合ヒートシンクでありうる追加の支持体810及び812の代替的な形態も、ツール806の熱特性に基づいて使用可能である。カウル/増圧器814が、外側の真空バッグ802内及び内側の真空バッグ816内に配置されており、複合材部品804の上面に対して、複合材部品804の製造(即ち、接合及び/又は硬化)を完了するための追加の圧力が提供される。
【0036】
図9は、本開示の実施例に係る、例示的な統合ヒートシンクが追加された、図1Bの配置によるシステム900の同様の配置を示す。図9に示されるように、複合材部品904はツール906上に取り付けられている。ツール906を形成するために使用された同じ製造プロセスを使用して同時に又は異なる時間に作製可能な統合ヒートシンク908が、ツール906の下側の表面に取り付けられて、ツール906及び複合材部品904のヒートシンクを提供し、結果として、ツール906上及び複合材部品904上の均一に広がった熱表面が得られる。追加の支持体910及び912がツール906の端に配置されうる。追加の支持体910及び912は、例えば、図2A図2B図2C図2D図2E図2F図3C図3D、又は図4に示された形態のいずれかを取りうる。追加の支持体910及び912の代替的な形態も、ツール906の熱特性に基づいて使用可能である。通常では油圧的に作動されるプレス機が、複合材部品904を硬化させるための追加の圧力を提供するために使用されうる。プレス機はアクチュエータ916を含むが、プレス機の大きさに従って、複数のアクチュエータが存在しうる。アクチュエータ916は、複合材部品904の上面上に配置されており複合材部品904の製造(即ち、接合及び/又は硬化)を完了するために追加の圧力を提供する熱プレス上方プラテン914に接続されており、当該熱プレス上方プラテン914を動かす。熱プレス上方プラテン914は、図5及び図6の真空ポンプの代わりとして使用されうる。
【0037】
図10は、本開示の実施例に係る、例示的な統合ヒートシンクが追加された、図1Bの配置によるシステム1000の同様の配置を示す。図10に示されるように、複合材部品1004はツール1006上に取り付けられている。ツール1006を形成するために使用された同じ製造プロセスを使用して同時に又は異なる時間に作製可能な統合ヒートシンク1008が、ツール1006の下側の表面に取り付けられて、ツール1006及び複合材部品1004のヒートシンクを提供し、結果として、ツール1006上及び複合材部品1004上の均一に広がった熱表面が得られる。追加の支持体1010及び1012がツール1006の端に配置されうる。追加の支持体1010及び1012は、例えば、図2A図2B図2C図2D図2E図2F図3C図3D、又は図4に示された形態のいずれかを取りうる。追加の支持体1010及び1012の代替的な形態も、ツール1006の熱特性に基づいて使用可能である。通常では油圧的に作動されるプレス機が、複合材部品1004を硬化させるための追加の圧力を提供するために使用されうる。プレス機はアクチュエータ1016を含むが、プレス機の大きさに従って、複数のアクチュエータが存在しうる。アクチュエータ1016は、複合材部品1004の上面上に配置されており複合材部品1004の製造(即ち、接合及び/又は 硬化)を完了するために追加の圧力を提供する熱プレス上方プラテン1014に接続されており、当該熱プレス上方プラテン1014を動かす。熱プレス上方プラテン1014は、図5及び図6の真空ポンプの代わりとして使用されうる。
【0038】
キャビティが配設された統合ヒートシンク形状は、流体境界層を壊すための攪拌フィーチャを組み込むことができ、このことは、壁/ツールの表面における熱伝導率を助ける。例えば、一部のケースでは、複合材部品の製造設備構成は、ツールが部品の外面に直接当接する部品の1の側では、「ハード(hard)」と見做され、バッグが部品に直接当接する部品の他の側では「ソフト(soft)」と見做されうる。部品のバッグ側では、空気が部品の表面に向かって流れうる。熱プレス、圧縮成形、RTM(resin transfer molding)などの場合に、部品の両側にハードな製造設備があるときには、部品の表面を横切る気流は、対流熱伝達のために存在しない。この場合には、製造設備表面の下にある配設されたキャビティが、水又は油といった液体で満たされており、液体が、ポンプを介してキャビティを通って循環して、対流熱伝達を可能にする。例えば、攪拌形状の例が、図12A図12Eに示されている。さらなる攪拌形状が、同様の機能的なジェネレ―ティブ・デザイン(generative design)及び先に記載の関連する熱的最適化プロセスを介して生成されうる。この攪拌形状は、配設されたキャビティの範囲内に存在して、層状の流体の流れを壊し、かつツール壁を介するより効率の良い熱伝達を可能にすることができる。統合ヒートシンク外形の形状、配置、及び複雑さは調整可能であり、統合ヒートシンクは、部品-ツール温度プロファイル上のホットスポットを緩和するよう配置される。攪拌器を適所にプリントして、層流において又は層流付近で見られる流体境界の影響を緩和することが可能である。流体の温度境界層は、流体の層流が壊れるのにつれて減少する。境界層が減少するにつれて、壁の温度勾配が上がり、かつ表面熱伝達率が上がる。流体の層流によって、結果的に温度境界層がより大きくなって、熱伝達率が下がる。このことは結果的に、先に述べた熱エネルギーにおける「ピーク」をもたらし、従って、硬化の度合が低い、孔が多いといった硬化キネティックスの問題に繋がる。上記攪拌フィーチャは、積層板の強化後の制御されている適切な冷却フィーチャを提供し、製造率を上げることが可能である。
【0039】
図11A及び図11Bは、本開示の実施例に係る、壁/ツールの表面における熱伝導率の助けとなる、流体境界層を壊すための攪拌フィーチャ(図12A図12B図12C図12D、及び図12Eに図示)を組み込むキャビティ1104、1112が配設された統合ヒートシンク形状の分解側面図1100及び非分解側面図1150を示す。例えば、攪拌形状の例が、図12A図12Eに示されている。統合ヒートシンクは、本実施例によれば、統合ヒートシンクの層を形成するために共に押圧される雄型ツール要素1102及び雌型ツール要素1114を有するツールを利用して形成される。雌型ツール要素1114は、統合ヒートシンクに接触する雌型ツール表面1110を含み、雄型ツール要素1102は、統合ヒートシンクに接触する雄型ツール表面1106を含む。統合ヒートシンクは、第1の配設されたキャビティ1104及び第2の配設されたキャビティ1112を含み、これらは両方とも、統合ヒートシンク形状に晒される流体である。統合ヒートシンクの部品1108が、第1の配設されたキャビティ1104と第2の配設されたキャビティ1112との間に配置されている。統合ヒートシンク外形の形状、配置、及び複雑は調整可能であり、統合ヒートシンクは、部品-ツール温度プロファイル上のホットスポットを緩和するよう配置される。攪拌器を適所にプリントして、層流において見られる又は層流付近の流体境界の影響を緩和することが可能である。上記攪拌フィーチャは、積層板の強化後の制御されている適切な冷却フィーチャを提供して、製造率を上げることが可能である。
【0040】
図12A図12B図12C図12D、及び図12Eは、本開示の実施例に係る、攪拌フィーチャ1202、1204、1206、1208、及び1210をそれぞれ備えた例示的な統合ヒートシンク形状を示している。攪拌フィーチャの形状は、配設されたキャビティの範囲内に存在しうる。配設されたキャビティは、1112及び1104で示されている。層流を壊して乱流にし、従って壁における温度境界層を低減させる働きをする様々な攪拌フィーチャの形状は、配設されたキャビティの範囲内に存在しており、このことによって、壁の温度勾配が上がって、表面熱伝達率が上がる。攪拌器の形状は、境界層の厚さを調整するため、従ってツールの表面領域に亘る表面熱伝達率を調整するために修正されうる。
【0041】
部品-ツール温度プロファイルが、オートクレーブ内/オーブン内でのツールの配置又は配向といった製造上の決定に因り変更されるならば、モジュール式の複数部品から成る製造設備では、製造設備の構成要素の交換によって、新しい温度プロファイルと関連するホットスポットの緩和することを容易に可能とするであろう。このモジュール性のフィーチャによって、完全に新しいツールを設計し製造するというよりも、ツールモジュール変更のみによって、追加の統合ヒートシンク形状を追加することが可能となる。
【0042】
図13は、本開示の実施例に係る、ヒートシンクを製造するための方法1300を示す。図13に示されるフィーチャは、図11A及び図11Bに示されたものと同様である。1302において、統合ヒートシンク1316が、雄型ツール部品1312及び第1の雌型ツール部品1314を含む形成ツールに対して圧力を印加することで形成されている様子が示されている。1304において、図1Aの熱解析といった熱解析の間に、更なる熱的緩和を要しうる熱的ホットスポット1318が決定される。1306において、第2の雌型ツール部品1320が、第1の雌型ツール部品1314の上に敷設される。1308において、第2の雌型ツール部品1320が、熱的ホットスポット1318に対して更なる熱的緩和を提供する追加の又は修正された統合ヒートシンク要素1322を含んで示されている。例えば、既存のツールが再加工される必要があることもあり得、これにより、(a)ツールが以前にヒートシンクを含んでいないため又は(b)熱入力が変化していて、予期される熱伝達が変わり、従ってヒートシンクの追加が必要となったため、ヒートシンクの追加が必要となりうる。例えば、積層パネルを硬化させるために以前使用した同じツールが、今ここで、更なる剛性のために二重のプライも組み込むハニカム構造を硬化させるために使用される場合には、部品の質量及び/又は材料が変わる可能性があるであろう。1310において、第2の雌型ツール部品1320の上面に圧力が印加されて、熱的ホットスポットの追加の又は修正された統合ヒートシンク要素1322を含む統合ヒートシンクが形成される。本例では、統合ヒートシンクを有さなかったツールが、別個のホットスポット又はコールドスポットの位置で、大質量のツールに組み込まれた。ツールを再加工するために、大質量のツールの一部が削除され、ツールデザインのこの領域が統合ヒートシンクを含むよう修正され、再加工されたデザインのこの部分が、ツールの上部の適所にプリントされて、削除された材料と置換される。先に記載の例において、統合ヒートシンク形状は、オーブン又はオートクレーブの閉じたシステム内を循環する空気、又は熱プレス機を取り囲む周囲空気に対して晒されうる。代替的に、接合ジグ、又は、水、油のためのキャビティが内部に配設されたモールド、又は他の液体によって、空気を冷却するというよりは、統合ヒートシンク形状を流体的に冷却することが可能となるであろう。圧縮成形又は射出成形される部品(通常では熱可塑性物質)については、周囲空気が冷却される例と、内部に配設された流体が冷却される例の両方が適用されうる。内部に配設された冷却によって、より一定で急速な冷却が可能となり、その際に、反り又は結晶化の心配はなく、従って、速度を上げて、スケールメリットを介してコストを削減する手段を追加することができる。先に記載のツールのメリットには、限定するものではないが、複合材パネルの外面に亘る、より一定のガラス転移温度(Tg)及び硬化度(Degree of Cure)の測定値、及び、硬化中のより予測可能なレオロジー的挙動が含まれる。AMによって、重量の最適化、漏れのリスクを緩和するための統合真空ポートといった他のメリットも可能となる。AMによって、表面領域を最適化し冷却を向上させるための再考された統合ヒートシンクの形状も可能となる。
【0043】
図14は、本開示の実施例に係る、統合ヒートシンクを含むツールを使用して複合材部品を形成する方法のフローチャート1400を示す。本方法は、1402において、製造中にツールの上面上に複合材部品を配置することを含む。例えば、図6に示されるように、複合材部品604が、ツール608の上面上に配置される。本方法は、1404において、複合材部品に対して少なくとも部分真空を提供することをさらに含む。図6の例でさらに続けると、真空バッグ602が、複合材部品604の上面上に配置され、真空ポンプ614が、少なくとも部分真空を供給する。本方法は、1406において、統合ヒートシンクによって上面とは反対側の表面に向かって、複合材部品から熱を発散させることをさらに含む。統合ヒートシンクの形状はツールの熱的トポロジ最適化プロセスに基づいている。さらに、複合材部品が硬化させられる。図6の例でさらに続けると、統合ヒートシンク608が、複合材部品604の形成中にツール606から熱を除去するための熱的経路を提供する。
【0044】
図15は、本開示の実施例に係る、統合シンクを備えた、複合材部品を形成するためのツールを付加製造する方法のフローチャート1500を示す。本方法は、1502において、付加製造されるツールのデジタル表現を取得することを含む。幾つかの実施例において、ツールのデジタル表現がCAD(computer-aided design)図面である。例えば、図1Aに示すように、コンピュータ114が、ツール110のデジタル表現を取得するために使用される。
【0045】
本方法が、1504において、1つ以上のハードウェアプロセッサを使用して、1つ以上の熱的コンピュータモデルを用いて、デジタル表現の第1の熱的トポロジ最適化プロセスを実行することをさらに含む。幾つかの実施例において、第1の熱的トポロジ最適化プロセスが、伝熱効率と、統合ヒートシンクが適用されるツールの表面領域の最大化と、のための1つ以上のパラメータに基づいている。図1Aの例でさらに続けると、コンピュータ114が、1つ以上の熱的モデルを使用して、熱的トポロジ最適化プロセスを実行する。本方法が、1506において、1つ以上のハードウェアプロセッサを使用して、第1の熱的トポロジ最適化プロセスを用いて、製造後のツールの第1の熱的ホットスポットを決定することをさらに含む。図1Aの例でさらに続けると、コンピュータ114が、ツール110の熱的ホットスポット106を決定する。本方法が、1508において、第1の熱的トポロジ最適化プロセスに基づいて、第1の熱的ホットスポットを緩和するよう構成された第1の統合ヒートシンクの第1のデジタル表現を生成することをさらに含む。図1Aの例でさらに続けると、コンピュータ114が、先に述べた様々な統合ヒートシンクといった、第1の統合ヒートシンクの第1のデジタル表現を生成する。本方法が、1510において、付加製造ツールを使用してツール及び第1の統合ヒートシンクを作製することをさらに含み、第1の統合ヒートシンクの形状が、ツールの熱的トポロジ最適化プロセスに基づいている。第1の統合ヒートシンクの形状は、ツールの第1の熱的トポロジ最適化プロセスに基づいている。幾つかの実施例において、ツールと第1の統合ヒートシンクとが同時に作製される。幾つかの実施例において、ツールと第1の統合ヒートシンクとが異なる時間に作製される。幾つかの実施例において、ツール、第1の統合ヒートシンク、又は、ツールと第1の統合ヒートシンクとの両方が、追加の熱放散のための1つ以上の流体経路を含む。
【0046】
本方法が、1512において、1つ以上のハードウェアプロセッサを使用して、製造中又は製造後のツールの第2の熱的トポロジ最適化プロセスを実行することと、1つ以上のハードウェアプロセッサを使用して、製造中又は製造後のツールの第2の熱的ホットスポットを決定することと、第2の熱的トポロジ最適化プロセスに基づいて、第2の熱的ホットスポットを緩和するよう構成された第2の統合ヒートシンクの第2のデジタル表現を生成することと、付加製造ツールを使用して、第2の統合ヒートシンクを作製することと、をさらに含む。
【0047】
幾つかの実施例において本開示の方法はいずれも、計算システムによって実行されうる。図16は、幾つかの実施例に係る、計算システム1600の一例を示す。計算システム1600は、コンピュータ又はコンピュータシステム1601Aを含むことができ、個別のコンピュータシステム1601Aであってよく、又は分散されたコンピュータシステムの構成であってよい。コンピュータシステム1601Aは、本明細書で開示される1つ以上の方法といった、幾つかの実施例に係る様々なタスクを実行するよう構成された1つ以上の解析モデル1602を含む。上記の様々なタスクを実行するために、解析モデル1602は、単独で実行し、又は1つ以上の記憶媒体1606に接続された1つ以上のプロセッサ1604と協働して実行する。プロセッサ1604は、ネットワークインタフェース1607にも接続されており、コンピュータシステム1601Aがデータネットワーク1609を介して、1つ以上の追加のコンピュータシステム及び/又は計算システム(例えば、1601B、1601C、及び/又は1601Dなど)と通信することを可能にする(コンピュータシステム1601B、1601C 及び/又は1601Dが、コンピュータシステム1601Aと同じアーキテクチャを共有してもしなくてもよく、様々な物理的な位置に配置されてよく、例えば、コンピュータシステム1601A及び1601Bは、処理施設内に位置しうるが、1つ以上のデータセンタ内に位置し及び/又は異なる大陸の様々な国に位置する1つ以上のコンピュータシステム(1601C及び/又は1601Dなど)と通信できることに注意されたい)。
【0048】
プロセッサは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、プロセッサモジュール又はサブシステム、プログラム可能な集積回路、プログラム可能なゲートアレイ、又は、他の制御装置若しくは計算装置を含みうる。
【0049】
記憶媒体1606は、1つ以上の非一過性のコンピュータ可読媒体又は機械可読媒体として実現されうる。記憶媒体1606は、熱解析機械学習モジュール1608に接続又は結合されうる。図16の例では、記憶媒体1606がコンピュータシステム1601Aの範囲内に図示されているが、幾つかの実施例において、記憶媒体1606が、計算システム1601A及び/又は追加の計算システムの複数の内部及び/又は外部の筐体の範囲内に及び/又は当該筐体に亘って分散されうることに注意されたい。記憶媒体1606は、ダイナミックRAM(random access memory)又はスタティックRAM(DRAM又はSRAM)といった半導体メモリデバイス、消去可能PROM(programmable read-only memory)(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、及びフラッシュメモリを含む1つ以上の様々な形態のメモリデバイス、固定ディスク、フロッピィディスク、取り外し可能なディスクといった磁気ディスク、テープを含む他の磁気媒体、CD若しくはDVD、BLURAY(登録商標)ディスクといった光媒体、又は他の種類の光学的ストレージ、又は他の種類のストレージデバイスを含みうる。先に述べた命令が、非一過性のコンピュータ可読又は機械可読記憶媒体上で提供され得、又は、代替的に、場合により複数のノードを有する大きなシステム内に分散されたコンピュータ可読又は機械可読な記憶媒体上で提供されうることに注意されたい。このような非一過性のコンピュータ可読又は機械可読な記憶媒体は、或る物品(又は、製造部品)の一部と見做される。物品又は製造部品は、あらゆる製造された単一の構成要素又は複数の構成要素を指しうる。記憶媒体は、機械可読命令を実行する機械内に位置することができ、又は、実行のためにネットワークを介して命令をそこからダウンロード可能なリモートサイトに位置しうる。
【0050】
当然のことながら、計算システム1600は計算システムの一例にすぎず、計算システム1600は、示されるより少なく又は多い構成要素を有してよく、図16の例には図示されない追加の構成要素を組み合わせてよく、及び/又は、計算システム1600は、図16に図示される構成要素とは異なる構成又は配置を有しうる。図16に示される様々な構成要素は、1つ以上の信号処理及び/又は特定用途向け集積回路を含む、ハードウェア、ソフトウェア、又は、ハードウェアとソフトウェアの両方の組み合わせにより実現することができる。
【0051】
さらに、本明細書に記載の処理方法におけるステップが、汎用プロセッサ、若しくはASIC、FPGA、PLDといった特定用途向けチップといった情報処理装置内の1つ以上の機能モジュール、又は他の適切なデバイスを実行することによって実行されうる。上記モジュール、上記モジュールの組み合わせ、及び/又は、これらと汎用のハードウェアの組み合わせは全て、本開示の保護の範囲内に含まれる。
【0052】
熱解析及び/又は材料若しくは部品制約データ、モジュール及び/又は他の解釈支援は、反復的なやり方で洗練させることができ、即ち、本構想は、本明細書で述べた方法の実施例に適用可能である。このことは、計算装置(例えば、計算システム1600、図16)などにおける、及び/又は所与のステップ、アクション、テンプレート、モデル、又は曲線のセットが、検討中の信号の評価のために十分正確になりうるかに関する決定を行いうるユーザによる手動の制御を通じた、アルゴリズムベースで実行されるフィードバックループの利用を含みうる。
【0053】
さらに、本開示は、以下の条項に係る実施例を含む。
【0054】
条項1.複合材部品を形成するためのツールであって、
形成中に複合材部品を支持する上面であって、中央部品接触表面の両側に配置された第1の側方部分及び第2の側方部分を含む上面と、
上面とは反対側に配置された第1の統合ヒートシンクであって、第1の統合ヒートシンクの形状がツールの熱的トポロジ最適化プロセスに基づく、第1の統合ヒートシンクと、
第1の側方部分上の第1の位置に配置された第1の真空ポートと、
第2の側方部分上の第2の位置に配置された第2の真空ポートと、
を備え、第1の真空ポート及び第2の真空ポートが、複合材部品の形成中に上面に少なくとも部分真空を提供する真空ポンプへのアクセスを提供する、ツール。
【0055】
条項2.第1の側方部分上、第2の側方部分上、又は反対側の表面上に配置された第2の統合ヒートシンクをさらに含む、条項1に記載のツール。
【0056】
条項3.ツール、第1の統合ヒートシンク、又はツールと第1の統合ヒートシンクとの両方が、追加の熱放散のための1つ以上の流体経路を含む、条項1又は2に記載のツール。
【0057】
条項4.複合材部品の形成中に部分真空を提供するための、上面の上に配置されたエンクロージャをさらに含む、条項1から3のいずれか一項に記載のツール。
【0058】
条項5.統合ヒートシンクを含むツールを用いて複合材部品を形成する方法であって、
製造中にツールの上面上に複合材部品を配置することと、
複合材部品に少なくとも部分真空を提供することと、
統合ヒートシンクによって、上面とは反対側の表面に向かって複合材部品から熱を発散させることであって、統合ヒートシンクの形状が、複合材部品を硬化させるための、ツールの熱的トポロジ最適化プロセスに基づく、熱を発散させることと、
を含む、方法。
【0059】
条項6.条項5に記載の方法。熱的トポロジ最適化プロセスが、形状的包絡線、1つ以上の構造的パラメータ、及び少なくとも1つの熱入力を含む入力を含む、条項5に記載の方法。
【0060】
条項7.統合ヒートシンクを備えた、複合材部品を形成するためのツールを製造する方法であって、
製造されるツールのデジタル表現を取得することと、
1つ以上のハードウェアプロセッサを使用して、1つ以上の熱的コンピュータモデルを用いて、デジタル表現の第1の熱的トポロジ最適化プロセスを実行することと、
1つ以上のハードウェアプロセッサを使用して、第1の熱的トポロジ最適化プロセスを用いて、製造後のツールの第1の熱的ホットスポットを決定することと、
第1の熱的トポロジ最適化プロセスに基づいて、第1の熱的ホットスポットを緩和するよう構成された第1の統合ヒートシンクの第1のデジタル表現を生成することと、
製造ツールを使用してツール及び第1の統合ヒートシンクを作製することであって、第1の統合ヒートシンクの形状が、ツールの第1の熱的トポロジ最適化プロセスに基づく、ツール及び第1の統合ヒートシンクを作製することと、
を含む、方法。
【0061】
条項8.ツールのデジタル表現がCAD(computer-aided design)図面である、条項7に記載の方法。
【0062】
条項9.第1の熱的トポロジ最適化プロセスが、伝熱効率と、ヒートシンクが適用されるツールの表面領域の最大化と、のための1つ以上のパラメータに基づいている、条項7又は8に記載の方法。
【0063】
条項10.ツールと第1の統合ヒートシンクとが同時に作製される、条項7から9のいずれか一項に記載の方法。
【0064】
条項11.ツールと第1の統合ヒートシンクとが異なる時間に作製される、条項7から10のいずれか一項に記載の方法。
【0065】
条項12.ツール、第1の統合ヒートシンク、又はツールと第1の統合ヒートシンクとの両方が、追加の熱放散のための1つ以上の流体経路を含む、条項7から11のいずれか一項に記載の方法。
【0066】
条項13.
1つ以上のハードウェアプロセッサを使用して、製造中又は製造後のツールの第2の熱的トポロジ最適化プロセスを実行することと、
1つ以上のハードウェアプロセッサを使用して、製造中又は製造後のツールの第2の熱的ホットスポットを決定することと、
第2の熱的トポロジ最適化プロセスに基づいて、第2の熱的ホットスポットを緩和するよう構成された第2の統合ヒートシンクの第2のデジタル表現を生成することと、
第2の統合ヒートシンクを作製することと、
をさらに含む、条項7から12のいずれか一項に記載の方法。
【0067】
条項14.システムであって、
ハードウェアプロセッサ、及び命令を格納する記憶媒体を含むコンピュータを備え、命令は、ハードウェアプロセッサによって実行されたときには、統合ヒートシンクを備えた、複合材部品を形成するためのツールを付加製造する方法を実行し、方法が、
製造されるツールのデジタル表現を取得することと、
1つ以上のハードウェアプロセッサを使用して、1つ以上の熱的コンピュータモデルを用いて、デジタル表現の第1の熱的トポロジ最適化プロセスを実行することと、
1つ以上のハードウェアプロセッサを使用して、第1の熱的トポロジ最適化プロセスを用いて、製造後のツールの第1の熱的ホットスポットを決定することと、
第1の熱的トポロジ最適化プロセスに基づいて、第1の熱的ホットスポットを緩和するよう構成された第1の統合ヒートシンクの第1のデジタル表現を生成することと、
製造ツールを使用してツール及び第1の統合ヒートシンクを作製することであって、第1の統合ヒートシンクの形状が、ツールの第1の熱的トポロジ最適化プロセスに基づく、ツール及び第1の統合ヒートシンクを作製することと、
を含む、システム。
【0068】
条項15.第1の熱的トポロジ最適化プロセスが、伝熱効率と、統合ヒートシンクが適用されるツールの表面領域の最大化と、のための1つ以上のパラメータに基づいている、条項14に記載のシステム。
【0069】
条項16.ツールと第1の統合ヒートシンクとが同時に作製される、条項14又は15に記載のシステム。
【0070】
条項17.ツールと第1の統合ヒートシンクとが異なる時間に作製される、条項14から16のいずれか一項に記載のシステム。
【0071】
条項18.ツール、第1の統合ヒートシンク、又はツールと第1の統合ヒートシンクとの両方が、追加の熱放散のための1つ以上の流体経路を含む、条項14から17のいずれか一項に記載のシステム。
【0072】
条項19.ハードウェアプロセッサが、
1つ以上のハードウェアプロセッサを使用して、製造中又は製造後のツールの第2の熱的トポロジ最適化プロセスを実行することと、
1つ以上のハードウェアプロセッサを使用して、製造中又は製造後のツールの第2の熱的ホットスポットを決定することと、
第2の熱的トポロジ最適化プロセスに基づいて、第2の熱的ホットスポットを緩和するよう構成された第2の統合ヒートシンクの第2のデジタル表現を生成することと、
第2の統合ヒートシンクを作製することと、
を含む方法を実行するようさらに構成される、条項14から18のいずれか一項に記載のシステム。
【0073】
条項20.第1の熱的トポロジ最適化プロセスが、形状的包絡線、1つ以上の構造的パラメータ、及び1つ以上の熱入力を含む入力を含む、条項14から19のいずれか一項に記載のシステム。
【0074】
先の明細書の記載では、説明を目的として、特定の実施形態を参照しながら記載されてきた。しかしながら、先の例示的な考察は、網羅的であること、又は本発明を開示された厳密な形態に限定することは意図されていない。上記の教示に鑑みて、多くの修正及び変更が可能である。さらに、方法の要素が図示され記載された順序は並べ変えることができ、及び/又は2つ以上の要素が同時に発生してよい。実施例は、本発明の原則及びその実際の応用を説明するために、それにより当業者が本発明及び様々な実施例を、想定される特定の用途に適した様々な修正とともに最適に利用するために、選択され説明されている。
図1A
図1B
図2A-F】
図3A-B】
図3C-D】
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A-B】
図12A-E】
図13
図14
図15
図16
【外国語明細書】