(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082295
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】流体封入式防振装置
(51)【国際特許分類】
F16F 13/10 20060101AFI20240613BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
F16F13/10 G
F16F13/10 K
F16F13/10 J
F16J15/10 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196023
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴士
(72)【発明者】
【氏名】大木 健司
(72)【発明者】
【氏名】近藤 弘基
【テーマコード(参考)】
3J040
3J047
【Fターム(参考)】
3J040AA17
3J040BA04
3J040EA16
3J040FA05
3J040HA02
3J040HA03
3J040HA04
3J047AA03
3J047CA04
3J047CC01
3J047DA01
3J047FA01
(57)【要約】
【課題】オリフィス通路の両端部間における液体のリークを簡単な構造で防止できる、新規な構造の流体封入式防振装置を提供する。
【解決手段】仕切部材58には第一部材60と第二部材62の重ね合わせ面間にメンブラン64の収容領域66とオリフィス通路96が形成され、メンブラン64には外周へ突出する誤組付け防止用突起108が周方向非対称位置に形成されており、オリフィス通路96の両端部間に形成された突起収容領域82に誤組付け防止用突起108が圧縮状態で収容されることにより、メンブラン64が仕切部材58に表裏特定状態で組み付けられていると共に、オリフィス通路96の両端部間での液体のリークが防止されている。第一部材60と第二部材62が収容領域66とオリフィス通路96の間において周方向の複数箇所でピン固定されており、突起収容領域82が周方向で隣り合うピン固定位置の周方向中央よりも一方のピン固定位置に近接している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動入力時に相対的な圧力変動が生ぜしめられる二つの液室間に配された仕切部材には、両面に及ぼされる各該一方の液室の圧力差により変形するメンブランが配されていると共に、該メンブランの外周側を周方向に延びて該二つの液室を相互に連通するオリフィス通路が設けられた流体封入式防振装置において、
前記仕切部材が第一部材と第二部材との重ね合わせ構造とされて、該第一部材と該第二部材との重ね合わせ面間に前記メンブランの収容領域と前記オリフィス通路とが形成されており、
該メンブランが表裏相違形状とされて外周側に突出する誤組付け防止用突起が周方向非対称位置に一体形成されており、
該第一部材と該第二部材との重ね合わせ面間において該オリフィス通路の周方向両端部間に形成された突起収容領域に該誤組付け防止用突起が収容されて位置決めされることによって、該メンブランが表裏を特定されて該仕切部材に組み付けられていると共に、
該メンブランには、外周縁部を周方向に延びて該メンブランの収容領域において該第一部材と該第二部材との対向内面に対して当接状態に支持される厚肉の支持部が設けられており、該支持部の外周面に突出して該誤組付け防止用突起が形成されて該突起収容領域に圧縮状態で配されていることによって、該オリフィス通路の周方向両端部間における該第一部材と該第二部材との重ね合わせ面間を通じた液体の短絡的なリークが防止されており、
該第一部材と該第二部材とが該メンブランの収容領域と該オリフィス通路との間の領域において周方向の複数箇所で相互に直接重ね合わされてピン固定されていると共に、
該仕切部材における該突起収容領域が周方向で隣り合うピン固定位置の周方向中央よりも何れか一方のピン固定位置に近接して形成されている流体封入式防振装置。
【請求項2】
前記メンブランが、直交2方向の長さが異なる略矩形の平面形状をもった長手膜形状であり、
該メンブランにおける四隅部分に対応する位置において前記第一部材と前記第二部材とが前記ピン固定されていると共に、
該メンブランにおける長辺部分に位置して前記誤組付け防止用突起が設けられている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
【請求項3】
前記第一部材と前記第二部材とが、前記オリフィス通路よりも内周側だけにおいて前記ピン固定されている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
【請求項4】
前記誤組付け防止用突起の厚さ寸法が、前記メンブランの外周縁部に設けられた前記支持部における厚さ寸法以上である請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
【請求項5】
前記第一部材と前記第二部材との対向内面において、前記メンブランの収容領域と前記誤組付け防止用突起が収容される前記突起収容領域との境界部分が段差のない連続面とされている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
【請求項6】
前記メンブランの中央部分には挿通孔が形成されており、
該挿通孔を通じて前記第一部材と前記第二部材とが中央部分で直接重ね合わされてピン固定されている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
【請求項7】
前記誤組付け防止用突起の周方向幅寸法が、前記突起収容領域における周方向幅寸法に比して小さくされていると共に、
該誤組付け防止用突起の周方向両側面には、該突起収容領域の周方向内面に当接する位置合わせ用当接突起が設けられている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
【請求項8】
前記誤組付け防止用突起には、厚さ方向の表面において突出方向に延びるシールリップが形成されている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
【請求項9】
前記誤組付け防止用突起には、突出方向の先端側に向かって次第に厚肉とされることで厚さ方向の端面において傾斜部が設けられている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
【請求項10】
前記メンブランには、外周縁部が前記第一部材と前記第二部材との両方から離れることで前記二つの液室間での短絡的連通を許容するリリーフ部が、周方向において部分的に設けられている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
【請求項11】
前記第一部材が型成形品の仕切ベース部材であり、前記第二部材がプレス成形品の仕切プレート部材である請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
【請求項12】
前記オリフィス通路における前記二つの液室のうちの一方の液室への連通口が他方の液室への連通口に比して、前記誤組付け防止用突起に対する周方向の離隔距離が小さくされている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のパワーユニットマウント等に用いられる流体封入式防振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、内部に封入された流体の流動作用に基づく防振効果を利用する流体封入式防振装置が、自動車のパワーユニットマウント等に用いられている。流体封入式防振装置は、例えば、特開2011-241930号公報(特許文献1)等に開示されているように、振動入力時に相対的な圧力変動が生ぜしめられる二つの液室が内部に形成されており、それら二つの液室間には液室を相互に仕切る仕切部材が配されている。また、仕切部材には、両面に及ぼされる各一方の液室の圧力差によって変形するメンブランが配されており、仕切部材におけるメンブランの外周側には、周方向に延びて二つの液室を相互に連通するオリフィス通路が設けられている。そして、流体封入式防振装置への振動入力時には、メンブランの変形による液室間での液圧伝達や、オリフィス通路を通じた液体の液室間での流動によって、防振効果が発揮される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の仕切部材は、下枠部材の上面に上枠部材が重ね合わされた構造とされており、下枠部材に形成された凹所や溝の開口部が上枠部材で覆われることによって、それら下枠部材と上枠部材の重ね合わせ面間にメンブラン(弾性仕切部材)の収容領域やオリフィス通路が形成されている。
【0005】
しかしながら、このような二部材の重ね合わせ構造とされた仕切部材では、それら二部材の重ね合わせ面間において、液体のリークが問題となる場合がある。即ち、仕切部材の周方向で隣接して位置するオリフィス通路の両端部間において、下枠部材と上枠部材の重ね合わせ面間を通じた液体の短絡的なリークが生じると、オリフィス通路の流体流動量の減少や液室圧力の低下などが生じて、防振性能に悪影響が及ぶおそれがあった。
【0006】
なお、かかる問題に対処するために、例えば仕切部材を構成する二部材の重ね合わせ面間にシールゴムを設けてオリフィス通路の液密性を向上させることも考えられるが、新たにシールゴムの部材が必要となって組付工程も煩雑になるために採用し難い。かかるシールゴムを仕切部材に加硫成形することで組付工程を簡略化することも考えられるが、新たなシールゴムの加硫成形工程が必要になって製造コストの増大を避け難い。
【0007】
本発明の解決課題は、オリフィス通路の両端部間における液体の短絡的なリークを簡単な構造で防止することができる、新規な構造の流体封入式防振装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、本発明を把握するための好ましい態様について記載するが、以下に記載の各態様は、例示的に記載したものであって、適宜に互いに組み合わせて採用され得るだけでなく、各態様に記載の複数の構成要素についても、可能な限り独立して認識及び採用することができ、適宜に別の態様に記載の何れかの構成要素と組み合わせて採用することもできる。それによって、本発明では、以下に記載の態様に限定されることなく、種々の別態様が実現され得る。
【0009】
第一の態様は、振動入力時に相対的な圧力変動が生ぜしめられる二つの液室間に配された仕切部材には、両面に及ぼされる各該一方の液室の圧力差により変形するメンブランが配されていると共に、該メンブランの外周側を周方向に延びて該二つの液室を相互に連通するオリフィス通路が設けられた流体封入式防振装置において、前記仕切部材が第一部材と第二部材との重ね合わせ構造とされて、該第一部材と該第二部材との重ね合わせ面間に前記メンブランの収容領域と前記オリフィス通路とが形成されており、該メンブランが表裏相違形状とされて外周側に突出する誤組付け防止用突起が周方向非対称位置に一体形成されており、該第一部材と該第二部材との重ね合わせ面間において該オリフィス通路の周方向両端部間に形成された突起収容領域に該誤組付け防止用突起が収容されて位置決めされることによって、該メンブランが表裏を特定されて該仕切部材に組み付けられていると共に、該メンブランには、外周縁部を周方向に延びて該メンブランの収容領域において該第一部材と該第二部材との対向内面に対して当接状態に支持される厚肉の支持部が設けられており、該支持部の外周面に突出して該誤組付け防止用突起が形成されて該突起収容領域に圧縮状態で配されていることによって、該オリフィス通路の周方向両端部間における該第一部材と該第二部材との重ね合わせ面間を通じた液体の短絡的なリークが防止されており、該第一部材と該第二部材とが該メンブランの収容領域と該オリフィス通路との間の領域において周方向の複数箇所で相互に直接重ね合わされてピン固定されていると共に、該仕切部材における該突起収容領域が周方向で隣り合うピン固定位置の周方向中央よりも何れか一方のピン固定位置に近接して形成されているものである。
【0010】
本態様によれば、メンブランの外周側に突出する誤組付け防止用突起が周方向非対称位置に形成されていることから、誤組付け防止用突起が突起収容領域に収容されて位置決めされることによって、メンブランが仕切部材に対して表裏を特定された状態で容易に組み付けられる。それゆえ、表裏相違形状とされたメンブランが、仕切部材に対して誤って表裏反対に組み付けられるのを防ぐことができる。
【0011】
メンブランの表裏を特定する誤組付け防止用突起は、オリフィス通路の両端部の周方向間に設けられた突起収容領域に収容されており、第一部材と第二部材の間で圧縮されている。これにより、誤組付け防止用突起が第一部材と第二部材との重ね合わせ面間のシール機能を発揮し、オリフィス通路の周方向両端部間において、第一部材と第二部材との重ね合わせ面間を通じた液体の短絡的なリークが、誤組付け防止用突起を利用して防止される。このように、メンブランを表裏特定状態で仕切部材に組み付けるためにメンブランに一体形成された誤組付け防止突起を利用してシール構造を設けることによって、オリフィス通路の両端部間における液体のリーク防止が、部品点数の少ない簡単な構造で実現される。
【0012】
また、ピン固定による第一部材と第二部材の固定力が突起収容領域から近い位置に作用することから、突起収容領域に収容された誤組付け防止用突起に対して、第一部材と第二部材との対向内面の当接による圧縮力を有効に作用させることができる。それゆえ、オリフィス通路の周方向両端部間において、誤組付け防止用突起によるリーク防止効果を有効に得ることができる。
【0013】
第二の態様は、第一の態様に記載された流体封入式防振装置において、前記メンブランが、直交2方向の長さが異なる略矩形の平面形状をもった長手膜形状であり、該メンブランにおける四隅部分に対応する位置において前記第一部材と前記第二部材とが前記ピン固定されていると共に、該メンブランにおける長辺部分に位置して前記誤組付け防止用突起が設けられているものである。
【0014】
本態様によれば、メンブランの平面視での自由長が最大となる対角方向の両側において第一部材と第二の部材がピン固定されていることから、メンブランの打ち当たりによって仕切部材に作用する力に対する反力が効率的に発揮される。
【0015】
第三の態様は、第一又は第二の態様に記載された流体封入式防振装置において、前記第一部材と前記第二部材とが、前記オリフィス通路よりも内周側だけにおいて前記ピン固定されているものである。
【0016】
本態様によれば、誤組付け防止突起を含むメンブランの外周部分に対して、より近い位置でピン固定による締付力を及ぼすことができるから、メンブランの支持部及び誤組付け防止突起に対して締付力が効率的に及ぼされて、メンブランの安定した支持やオリフィス通路の両端部間における液体のリーク防止が効果的に実現される。
【0017】
第四の態様は、第一~第三の何れか1つの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記誤組付け防止用突起の厚さ寸法が、前記メンブランの外周縁部に設けられた前記支持部における厚さ寸法以上であるものである。
【0018】
本態様によれば、誤組付け防止用突起が第一部材と第二部材の間でメンブランの支持部と同等に或いはそれ以上に大きく圧縮されることから、第一部材と第二部材の重ね合わせ面間を通じた液体のリークを誤組付け防止用突起によって効果的に防止することができる。
【0019】
第五の態様は、第一~第四の何れか1つの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記第一部材と前記第二部材との対向内面において、前記メンブランの収容領域と前記誤組付け防止用突起が収容される前記突起収容領域との境界部分が段差のない連続面とされているものである。
【0020】
本態様によれば、メンブランの収容領域と突起収容領域との境界部分において、第一部材と第二部材との対向内面が段差のない連続面とされていることから、メンブランの収容領域と突起収容領域との境界部分において誤組付け防止用突起が第一部材と第二部材との対向内面に隙間なく押し当てられ易くなって、液体のリークが発生し難い。
【0021】
第六の態様は、第一~第五の何れか1つの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記メンブランの中央部分には挿通孔が形成されており、該挿通孔を通じて前記第一部材と前記第二部材とが中央部分で直接重ね合わされてピン固定されているものである。
【0022】
本態様によれば、メンブランの中央部分の変形乃至は変位が挿通孔を通じた第一部材と第二部材のピン固定によって制限されることから、メンブランの仕切部材への打ち当たりによる打音等が抑制される。
【0023】
また、第一部材と第二部材が、メンブランの中央部分と周囲とにおいてそれぞれピン固定されることから、メンブランの打ち当たりに対する反力を効率的に得ることができる。
【0024】
第七の態様は、第一~第六の何れか1つの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記誤組付け防止用突起の周方向幅寸法が、前記突起収容領域における周方向幅寸法に比して小さくされていると共に、該誤組付け防止用突起の周方向両側面には、該突起収容領域の周方向内面に当接する位置合わせ用当接突起が設けられているものである。
【0025】
本態様によれば、誤組付け防止用突起の周方向幅寸法が、突起収容領域における周方向幅寸法に比して小さくされていることにより、誤組付け防止用突起が突起収容領域への収容によって周方向で強く圧縮されてしまうのを防ぐことができて、誤組付け防止用突起の歪な変形によってシール性能が低下するのを防止することができる。また、誤組付け防止用突起の周方向両側面に設けられた位置合わせ用当接突起が、突起収容領域の周方向内面に当接することによって、誤組付け防止用突起が突起収容領域に安定した収容態様で配されることから、誤組付け防止用突起のシール機能が安定して発揮される。
【0026】
第八の態様は、第一~第七の何れか1つの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記誤組付け防止用突起には、厚さ方向の表面において突出方向に延びるシールリップが形成されているものである。
【0027】
本態様によれば、誤組付け防止用突起に設けられたシールリップが第一部材と第二部材に押し当てられることによって、第一部材と第二部材の間で圧縮された誤組付け防止用突起によるシールの性能向上が図られる。
【0028】
第九の態様は、第一~第八の何れか1つの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記誤組付け防止用突起には、突出方向の先端側に向かって次第に厚肉とされることで厚さ方向の端面において傾斜部が設けられているものである。
【0029】
本態様によれば、誤組付け防止用突起へ充分な圧縮力を及ぼしてリークの防止効果を達成しつつ、誤組付け防止用突起の圧縮変形によって圧縮応力がメンブランへ不必要に及ぼされるのを防いで、メンブラン特性の不安定化等を防止乃至は軽減することができる。
【0030】
第十の態様は、第一~第九の何れか1つの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記メンブランには、外周縁部が前記第一部材と前記第二部材との両方から離れることで前記二つの液室間での短絡的連通を許容するリリーフ部が、周方向において部分的に設けられているものである。
【0031】
本態様によれば、リリーフ部によって二つの液室間で許容される短絡的な連通により、例えば、液室の急激な圧力低下によって生じるキャビテーションに起因する異音を防ぐことができる。
【0032】
第十一の態様は、第一~第十の何れか1つの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記第一部材が型成形品の仕切ベース部材であり、前記第二部材がプレス成形品の仕切プレート部材であるものである。
【0033】
本態様によれば、第一の部材が型成形品の仕切ベース部材とされていることにより、第一部材に形成されるメンブランの収容領域や突起収容領域を構成する凹所、オリフィス通路を構成する凹溝等の形状自由度を大きく得ることができる。また、メンブランの収容領域や突起収容領域を構成する凹所、オリフィス通路を構成する凹溝等の開口を覆う第二部材は、プレス成形品の仕切プレート部材とされていることにより、簡単に形成することができる。
【0034】
第十二の態様は、第一~第十一の何れか1つの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記オリフィス通路における前記二つの液室のうちの一方の液室への連通口が他方の液室への連通口に比して、前記誤組付け防止用突起に対する周方向の離隔距離が小さくされているものである。
【0035】
本態様によれば、オリフィス通路の連通口から誤組付け防止用突起へ向けた圧力伝播のタイミングが、両側相互間で僅かにでもずらされて、誤組付け防止用突起によるリーク防止効果の向上が期待できる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、流体封入式防振装置において、オリフィス通路の両端部間における液体の短絡的なリークを、簡単な構造で防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の第一の実施形態としてのパワーユニットマウントを示す斜視図
【
図4】
図1に示すパワーユニットマウントを構成する仕切部材の分解斜視図
【
図5】
図4に示す仕切部材を構成する仕切ベース部材の平面図
【
図8】
図4に示す仕切部材を構成する仕切プレート部材の平面図
【
図10】
図4に示す仕切部材を構成するメンブランの平面図
【
図14】
図4に示す仕切部材の縦断面図であって、
図15のXIV-XIV断面に相当する図
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0039】
図1~
図3には、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置の第一の実施形態として、自動車用のパワーユニットマウント10が示されている。パワーユニットマウント10は、エンジンやモータ等の駆動源を含むパワーユニットを車両ボデーに対して防振連結するものであって、
図3に示すように、第一の取付部材12と第二の取付部材14が本体ゴム弾性体16によって連結された構造を有している。以下の説明では、原則として、上下方向とはマウント中心軸方向である
図3中の上下方向を、前後方向とは後述する仕切部材58の短辺方向である
図2中の上下方向を、左右方向とは後述する仕切部材58の長辺方向である
図2中の左右方向を、それぞれ言う。
【0040】
第一の取付部材12は、金属等によって形成されており、前後方向に延びる略四角筒状の筒状部18と、筒状部18の下壁部から下方へ向けて突出する突出部20とを、一体的に備えている。本実施形態では、突出部20が中実構造とされているが、例えば、上方へ向けて開口する凹状の中空構造とされていてもよい。
【0041】
第二の取付部材14は、全体として前後方向の寸法が左右方向の寸法よりも小さくされた扁平な略角丸矩形筒状とされている。第二の取付部材14の上部は、固着部材22によって構成されている。固着部材22は、扁平な略角丸矩形環状とされており、上部が下部よりも内周へ突出して厚肉とされている。固着部材22の下部は、固着部材22の上部である固着部24に比して薄肉とされており、固着部24の外周端部から下方へ向けて突出する嵌合部26とされている。
【0042】
第二の取付部材14の固着部材22は、第一の取付部材12に対して下方に離隔して配されており、それら第一の取付部材12と固着部材22の間が本体ゴム弾性体16によって連結されている。本体ゴム弾性体16は、上方へ向けて収縮する略四角錐台形状とされており、上端部が第一の取付部材12の突出部20に加硫接着されていると共に、下端部の外周端部が第二の取付部材14の固着部材22に加硫接着されている。本体ゴム弾性体16は、第一の取付部材12と第二の取付部材14の固着部材22とを備えた一体加硫成形品として形成されている。
【0043】
本体ゴム弾性体16には、下面に開口する凹所28が設けられている。凹所28は、底面が下方へ向けて凹となる湾曲面とされている。凹所28は、第二の取付部材14の固着部材22よりも内周に形成されており、固着部材22の固着部24よりも内周において下方へ向けて開口している。
【0044】
第一の取付部材12の筒状部18は、本体ゴム弾性体16と一体形成された被覆ゴム30によって覆われている。被覆ゴム30は、筒状部18から左右両外側へ向けて突出する一対のストッパゴム32,32を備えている。
【0045】
第二の取付部材14の固着部材22の外周面は、本体ゴム弾性体16と一体形成された連結ゴム層34によって覆われている。連結ゴム層34は、略一定の厚さ寸法で固着部材22の外周面に被着形成されている。
【0046】
固着部材22の嵌合部26の下面には、本体ゴム弾性体16と一体形成されたシール突部36が固着されている。シール突部36は、下方へ向けて径方向で幅狭となる先細形状とされており、嵌合部26の下端から下方へ向けて突出している。シール突部36の嵌合部26から下方への突出寸法は、連結ゴム層34の厚さ寸法よりも大きくされていることが望ましい。
【0047】
固着部材22における嵌合部26の下部の内周面は、本体ゴム弾性体16と一体形成された嵌合ゴム層38によって覆われている。また、固着部材22における嵌合部26の上部の内周面は、本体ゴム弾性体16と一体形成されて、嵌合ゴム層38よりも径方向で厚肉とされた当接ゴム40によって覆われている。当接ゴム40は、嵌合ゴム層38よりも内周へ突出しており、固着部24の下面にも固着されている。当接ゴム40は、本体ゴム弾性体16における凹所28の開口部分の外周壁部を構成している。
【0048】
本体ゴム弾性体16に固着された固着部材22には、支持部材42が取り付けられている。支持部材42は、全体として扁平な略角丸矩形枠状とされており、固着部材22に対して外嵌される連結部44を上端部分に備えている。連結部44は、連結ゴム層34で覆われた嵌合部26の外周面に対して外嵌固定されており、これによって固着部材22と支持部材42が相互に連結されて、それら固着部材22と支持部材42とによって第二の取付部材14が構成されている。
【0049】
支持部材42における連結部44の下方には、シール受部46が設けられている。シール受部46は、連結部44に比して径方向で厚肉とされている。連結部44は、シール受部46の外周端部から上方へ向けて突出しており、シール受部46と連結部44は外周面が段差のない連続面で構成されている。シール受部46は、固着部材22の嵌合部26に対して軸方向で重ね合わされている。それら固着部材22の嵌合部26と支持部材42のシール受部46の重ね合わせ面間には、シール突部36が介在しており、それら固着部材22とシール受部46の重ね合わせ面間がシール突部36によって液密にシールされている。
【0050】
支持部材42は、シール受部46の下側において内周へ突出する押え部48を備えている。押え部48は、扁平な略角丸矩形環板状とされている。押え部48の内周への突出寸法は、支持部材42の短辺である左右両側部分において、支持部材42の長辺である前後両側部分よりも大きくされている。
【0051】
支持部材42には、可撓性膜52が取り付けられている。可撓性膜52は、軸方向視において扁平な略角丸矩形状とされた薄肉のゴム膜であって、少なくとも内周部分において厚さ方向の変形が容易に許容される。可撓性膜52の内周部分は、中央部が上方へ向けて凸となるドーム状とされていると共に、その周囲が上方へ向けて凹となる溝状とされている。可撓性膜52の外周端部は、内周部分よりも厚肉の挟持部54とされている。
【0052】
可撓性膜52は、挟持部54が第二の取付部材14の支持部材42における押え部48に対して上方から重ね合わされており、押え部48と後述する仕切部材58との重ね合わせ面間で挟持部54が挟み込まれて支持される。これにより、可撓性膜52は、第二の取付部材14の支持部材42に対して液密に取り付けられている。
【0053】
本体ゴム弾性体16と可撓性膜52の軸方向対向面間には、外部から液密に隔てられた液封入領域56が画成されている。液封入領域56には、水、エチレングリコール、アルキレングリコール、シリコーン油、それらの混合液等の液体が封入されている。液封入領域56に封入される液体は、非圧縮性且つ低粘性であることが望ましい。
【0054】
液封入領域56には、仕切部材58が配されている。仕切部材58は、
図4に示すように、第一部材としての仕切ベース部材60と、第二部材としての仕切プレート部材62と、それら仕切ベース部材60と仕切プレート部材62との間に配されるメンブラン64とを、含んで構成されている。
【0055】
仕切ベース部材60は、
図5~
図7にも示すように、前後方向が左右方向よりも幅狭とされた厚肉の略角丸矩形板状とされている。仕切ベース部材60は、合成樹脂や金属によって形成されており、後述するメンブラン収容領域66やオリフィス溝76の設計自由度を大きく得る等の観点から、型成形品であることが望ましい。
【0056】
仕切ベース部材60の内周部分には、
図5,
図7に示すように、上方へ開口する凹所状のメンブラン収容領域66が形成されている。メンブラン収容領域66は、軸方向視において略角丸矩形状とされている。メンブラン収容領域66の底壁部には、厚さ方向(上下方向)に貫通する4つの下透孔68が形成されている。下透孔68は、略矩形断面とされており、前後及び左右に各2列で並んで配されている。
【0057】
メンブラン収容領域66の中央部分には、メンブラン収容領域66の底壁部から上方へ向けて突出する中央固定ピン70が設けられている。中央固定ピン70は、仕切ベース部材60に一体形成されており、大径の基部72と小径の先部74とを備えている。
【0058】
仕切ベース部材60には、メンブラン収容領域66よりも外周側を周方向に延びるオリフィス溝76が形成されている。オリフィス溝76は、メンブラン収容領域66に対して外周へ離れた部分を周方向に一周に満たない長さで延びており、仕切ベース部材60の上面に開口している。オリフィス溝76の周方向両端部は、仕切ベース部材60の周方向で近接して位置しており、本実施形態では、何れも仕切ベース部材60の一方の長辺上に位置している。オリフィス溝76は、長さ方向の二箇所において部分的に拡幅しており、当該拡幅部分の一方において、オリフィス溝76の底壁部を貫通する下連通口78が設けられている。オリフィス溝76の外周側の壁部は内周側の壁部よりも上方へ突出しており、オリフィス溝76の深さ寸法が内周端と外周端とで相互に異なっている。
【0059】
メンブラン収容領域66とオリフィス溝76との間(オリフィス溝76の内周側の壁部)には、4つの外周固定ピン80a~80dが設けられている。外周固定ピン80は、略一定の円形断面で延びる小径の円柱状とされている。外周固定ピン80は、仕切ベース部材60に一体形成されており、メンブラン収容領域66の外周壁部から上方へ向けて突出して設けられている。外周固定ピン80は、軸方向視において扁平な略角丸矩形状とされたメンブラン収容領域66の角部にそれぞれ設けられている。仕切ベース部材60に設けられた全ての固定ピン(中央固定ピン70と4つの外周固定ピン80a~80d)は、何れもオリフィス溝76よりも内周側に位置している。なお、4つの外周固定ピン80a~80dは、形成位置が異なる以外は同一の形状及び大きさとされているが、互いに異なる形状や大きさとされていてもよい。
【0060】
仕切ベース部材60におけるオリフィス溝76の両端部の周方向間には、突起収容領域82が形成されている。突起収容領域82は、メンブラン収容領域66から外周(後方)へ向けて延び出すように形成されており、底面がメンブラン収容領域66の底面に対して段差のない連続面で構成されて、本実施形態では単一平面で構成されている。このように、突起収容領域82は、メンブラン収容領域66と一体的に連続する凹部とされている。従って、メンブラン収容領域66が周方向の一部において外周へ拡径されており、当該拡径部分が仕切ベース部材60の上面に開口する突起収容領域82であるとみなすこともできる。突起収容領域82の外周端は、オリフィス溝76の周方向両端部の外周端に対して径方向で略同じか僅かに外周に位置している。突起収容領域82の外周端部は、外周へ向けて周方向で幅狭となっている。突起収容領域82の周方向両側の壁部は、中間部分において上面がテーパ状とされており、テーパ状部分よりも外周側の上面が内周側の上面よりも上方に位置している。
【0061】
仕切プレート部材62は、
図4,
図8,
図9に示すように、軸方向視で扁平な略角丸矩形状とされた板状の部材であって、金属製とされており、例えばアルミ合金やステンレス等のプレス成形品(プレス金具)とされている。仕切プレート部材62は、外周部分が内周部分よりも上方に位置しており、それら外周部分と内周部分とを相互に連結するテーパ部84が全周に亘って設けられている。仕切プレート部材62の下面は、メンブラン収容領域66と突起収容領域82との境界の覆蓋部分を含む全体が、段差のない連続面とされている。
【0062】
仕切プレート部材62には、4つの上透孔86が厚さ方向(上下方向)に貫通して形成されている。上透孔86は、仕切ベース部材60の下透孔68と対応する略矩形断面の孔であって、下透孔68と同様に前後及び左右において各2列となるように配置されている。
【0063】
仕切プレート部材62の中央部分には、上下方向に貫通する円形の中央ピン挿通孔88が形成されている。中央ピン挿通孔88は、仕切ベース部材60の中央固定ピン70の先部74が挿通可能な孔とされている。また、略矩形板状とされた仕切プレート部材62の角部に対応する4箇所には、それぞれ上下方向に貫通する円形の外周ピン挿通孔90a~90dが形成されている。外周ピン挿通孔90は、仕切ベース部材60の外周固定ピン80が挿通可能な孔とされている。本実施形態では、中央ピン挿通孔88と外周ピン挿通孔90は、略同じ直径の円形孔とされているが、相互に異なる直径や形状の孔とされていてもよい。中央ピン挿通孔88及び外周ピン挿通孔90は、何れも仕切プレート部材62におけるテーパ部84よりも内周側に形成されている。
【0064】
仕切プレート部材62には、外周部分の一部において上下方向に貫通する上連通口92が形成されている。上連通口92は、上下方向視において略矩形断面とされており、仕切プレート部材62の短辺上の前後中央部分に形成されている。
【0065】
仕切プレート部材62には、一対のリリーフ孔94,94が形成されている。リリーフ孔94は、略角丸長方形の孔断面形状で仕切プレート部材62を上下方向に貫通して形成されている。リリーフ孔94は、後述するメンブラン64のリリーフ部106,106と対応する位置に配置されており、テーパ部84よりも内周側で上透孔86に対して長辺方向の両外側に位置している。
【0066】
仕切プレート部材62は、仕切ベース部材60の上面に重ね合わされた状態で、仕切ベース部材60に固定される。即ち、仕切プレート部材62は、仕切ベース部材60に対して、中央固定ピン70の先部74が中央ピン挿通孔88に挿通されると共に、外周固定ピン80が外周ピン挿通孔90に挿通された状態で重ね合わされている。そして、仕切プレート部材62よりも上側に突出した中央固定ピン70及び外周固定ピン80の各先端部を、レーザーの照射による溶融やかしめ等の手段で拡径させて、中央ピン挿通孔88及び外周ピン挿通孔90の周縁部に軸方向で係止させることにより、仕切ベース部材60と仕切プレート部材62とが相互に固定される。仕切プレート部材62の下面は、メンブラン収容領域66とオリフィス溝76とを隔てる壁部(オリフィス溝76の内周壁部)及びオリフィス溝76の外周壁部とにおいて、仕切ベース部材60の上面に直接当接して、外周固定ピン80によって周方向の複数箇所でピン固定されている。外周固定ピン80によるピン固定位置は、軸方向視で略長手角丸矩形状とされたメンブラン収容領域66の四隅部分に設定されている。中央固定ピン70と外周固定ピン80は、何れもオリフィス溝76よりも内周側に設けられており、仕切ベース部材60と仕切プレート部材62とのピン固定位置が、後述するオリフィス通路96よりも内周側だけに設定されている。
【0067】
仕切ベース部材60の上面に仕切プレート部材62が重ね合わされることにより、オリフィス溝76の上開口部が仕切プレート部材62によって覆われており、仕切ベース部材60と仕切プレート部材62との重ね合わせ面間にオリフィス通路96が形成されている。オリフィス通路96は、仕切部材58の外周部分において仕切ベース部材60と仕切プレート部材62の重ね合わせ面間を周方向に延びて形成されており、一方の端部が仕切プレート部材62の上連通口92を通じて上方へ開口していると共に、他方の端部が仕切ベース部材60の下連通口78を通じて下方へ開口している。オリフィス通路96は、メンブラン収容領域66よりも外周を周方向に延びている。
【0068】
また、仕切ベース部材60の上面に仕切プレート部材62が重ね合わされることにより、メンブラン収容領域66の上開口が仕切プレート部材62によって覆蓋されている。そして、仕切ベース部材60と仕切プレート部材62の重ね合わせ面間に形成されたメンブラン収容領域66に対して、メンブラン64が収容されている。
【0069】
メンブラン64は、
図4,
図10~
図12に示すように、ゴムや樹脂エラストマで形成された板状乃至は膜状の弾性体であって、軸方向視において略角丸矩形状とされている。メンブラン64は、直交2方向(前後方向と左右方向)の長さが相互に異なっており、左右方向が前後方向よりも長い長手膜形状とされている。メンブラン64の外周端部には、上側へ向けて突出する厚肉の支持部としての外周支持部98が周方向に延びて形成されている。また、メンブラン64の中央部分には、上下方向に貫通する略円形断面の挿通孔100が形成されており、挿通孔100の周囲には上側へ向けて突出する内周支持部102が設けられている。メンブラン64は、外周支持部98と内周支持部102の間が薄肉の液圧吸収部104とされており、液圧吸収部104において厚さ方向の変形を許容されている。メンブラン64は、外周支持部98の形成部分と内周支持部102の形成部分とが相互に略同じ厚さ寸法とされていると共に、液圧吸収部104がそれら外周支持部98及び内周支持部102の形成部分よりも薄肉とされている。メンブラン64は、外周支持部98と内周支持部102とが何れも上面にのみ形成されており、下面が軸直角方向に広がる略平面とされていることから、表裏の形状が相互に異なっている。
【0070】
メンブラン64の外周支持部98は、
図4,
図10に示すように、全周に亘って連続しておらず、メンブラン64の両方の短辺部分において周方向に分断されている。これにより、メンブラン64には、一方の長辺部分とその両端の角部に位置する外周支持部98aと、他方の長辺部分とその両端の角部に位置する外周支持部98bとが、分断部分に対する短辺方向の両側に設けられている。
【0071】
メンブラン64における外周支持部98aと外周支持部98bとの周方向間には、リリーフ部106が設けられている。リリーフ部106は、外周支持部98の分断部分に設けられて、外周支持部98a,98bを外れており、液圧吸収部104と同様に薄肉とされて、厚さ方向の変形が許容されている。リリーフ部106は、液圧吸収部104と一体的に形成されており、外周支持部98a,98bの下端部と連続している。本実施形態では、リリーフ部106がメンブラン64の各短辺上の前後中央部分にそれぞれ設けられている。
【0072】
メンブラン64には、外周へ突出する誤組付け防止用突起108が設けられている。誤組付け防止用突起108は、メンブラン64の長辺部分から後方へ向けて突出しており、本実施形態では外周支持部98aから更に外周(後方)へ突出している。誤組付け防止用突起108は、メンブラン64の長辺部分の左右中央に対して左方に偏倚した周方向非対称位置に設けられている。メンブラン64は、誤組付け防止用突起108が周方向非対称位置で外周へ突出して設けられていることによっても、表裏相違形状とされている。誤組付け防止用突起108は、メンブラン64の長辺部分から突出しており、円弧状に湾曲した角部を外れた長辺部分の左右中間部分に位置している。誤組付け防止用突起108は、好適には、メンブラン64の長辺部分における直線部分の端部に位置して設けられている。誤組付け防止用突起108は、最小厚さ寸法(後述するシールリップ112を外れた部分の厚さ寸法)が外周支持部98a,98bと略同じとされている。誤組付け防止用突起108は、仕切ベース部材60における突起収容領域82に挿入可能な対応形状とされている。後述する位置合わせ用当接突起114を外れた部分における誤組付け防止用突起108の周方向幅寸法w2は、仕切ベース部材60における突起収容領域82の周方向幅寸法w1よりも小さくされている。
【0073】
誤組付け防止用突起108の上面は、傾斜部としてのテーパ面110を含んで構成されている。テーパ面110は、
図12に示すように、誤組付け防止用突起108の突出先端側へ向けて上傾する傾斜面であって、誤組付け防止用突起108の突出方向の中間部分に設けられている。誤組付け防止用突起108は、テーパ面110の形成部分において、突出先端側へ向けて次第に厚肉となっている。テーパ面110の傾斜角度は、誤組付け防止用突起108の突出方向において略一定であってもよいし、誤組付け防止用突起108の突出先端側へ向けて大きく又は小さくなっていてもよい。本実施形態において、テーパ面110は、誤組付け防止用突起108の突出方向の中央よりも先端側に位置している。
【0074】
誤組付け防止用突起108には、上面に突出するシールリップ112が設けられている。シールリップ112は、
図10~
図12に示すように、誤組付け防止用突起108の幅方向中央部分に位置して、誤組付け防止用突起108の突出方向(前後方向)に直線的に延びており、誤組付け防止用突起108の略全長に亘って連続して形成されている。シールリップ112は、突出先端に向けて左右方向で幅狭となる先細形状とされている。シールリップ112は、突出先端面が周方向に所定の幅を有する平面で構成されている。シールリップ112の形成部分における誤組付け防止用突起108の厚さ寸法Hは、仕切ベース部材60における突起収容領域82の深さ寸法よりも大きくされている。誤組付け防止用突起108の厚さ寸法は、外周支持部98a,98bの形成部分におけるメンブラン64の厚さ寸法以上とされており、シールリップ112の形成部分における誤組付け防止用突起108の厚さ寸法Hは、外周支持部98a,98bの形成部分におけるメンブラン64の厚さ寸法hよりも大きくされている。シールリップ112の上方へ向けた突出高さ寸法は、誤組付け防止用突起108の突出方向において略一定とされている。
【0075】
誤組付け防止用突起108には、側面に突出する位置合わせ用当接突起114が設けられている。位置合わせ用当接突起114は、
図10に示すように、誤組付け防止用突起108から周方向(左右方向)の両側へ突出して、上下方向に直線的に延びている。位置合わせ用当接突起114は、本実施形態では誤組付け防止用突起108の突出方向の一か所だけに設けられているが、例えば、誤組付け防止用突起108の突出方向で相互に離れた複数箇所にそれぞれ設けられていてもよい。位置合わせ用当接突起114は、誤組付け防止用突起108の左右両側面において、前後方向で相互に略同じ位置に設けられている。位置合わせ用当接突起114の突出先端間の距離w3は、仕切ベース部材60における突起収容領域82の周方向幅寸法w1よりも大きくされている。位置合わせ用当接突起114は、突出先端に向けて前後方向で幅狭となる先細形状とされていることが望ましく、本実施形態では略半円形の断面形状で上下方向に延びている。
【0076】
メンブラン64は、
図13に示すように、仕切ベース部材60のメンブラン収容領域66に収容されている。メンブラン64は、中央固定ピン70の基部72が挿通孔100に挿通されることによって、仕切ベース部材60に対して軸直角方向で位置決めされている。
【0077】
仕切ベース部材60のメンブラン収容領域66にメンブラン64が収容された状態で、仕切ベース部材60に仕切プレート部材62が固定されることにより、
図14,
図15に示すように、メンブラン64が仕切ベース部材60と仕切プレート部材62との重ね合わせ面間に配されている。メンブラン64は、外周支持部98a,98bと内周支持部102とにおいて、仕切ベース部材60と仕切プレート部材62の対向内面に当接しており、仕切ベース部材60と仕切プレート部材62の間で軸方向に圧縮されて挟持されている。メンブラン64の液圧吸収部104は、仕切ベース部材60に対して当接状態で重ね合わされていると共に、仕切プレート部材62から下方に離隔しており、上方への変形が許容されている。メンブラン64の挿通孔100に挿入された中央固定ピン70の基部72に仕切プレート部材62が上方から当接しており、仕切ベース部材60と仕切プレート部材62とが挿通孔100を通じて直接重ね合わされてピン固定されている。
【0078】
メンブラン64がメンブラン収容領域66に収容された状態において、メンブラン64の誤組付け防止用突起108は、仕切ベース部材60と仕切プレート部材62との重ね合わせ面間に形成された突起収容領域82に収容されている。
【0079】
誤組付け防止用突起108は、突起収容領域82よりも周方向の幅寸法が小さくされていることから、
図13に拡大して示すように、誤組付け防止用突起108と突起収容領域82の周方向の壁内面との間には隙間が形成されている。また、誤組付け防止用突起108の側面から周方向の両側へ突出する位置合わせ用当接突起114は、突起収容領域82の周方向の壁内面に対して当接状態とされており、位置合わせ用当接突起114によって誤組付け防止用突起108が突起収容領域82内で周方向に位置決めされている。このように、誤組付け防止用突起108が突起収容領域82の壁内面に対して直接当接することなく位置合わせ用当接突起114を介して当接していることにより、誤組付け防止用突起108に周方向の圧縮力が強く作用することがなく、誤組付け防止用突起108の歪な変形が防止されている。それゆえ、誤組付け防止用突起108が仕切ベース部材60と仕切プレート部材62の間で上下方向に挟み込まれることで発揮されるシール性能の安定化が図られると共に、誤組付け防止用突起108の変形がメンブラン64の変形特性に影響するのを防ぐことができる。
【0080】
メンブラン64は、表裏が相互に異なる形状とされていることから、仕切ベース部材60に対する表裏逆となる誤組付けが防止されている。即ち、メンブラン64には、誤組付け防止用突起108が周方向非対称位置に一体形成されていることから、誤組付け防止用突起108が仕切ベース部材60の突起収容領域82に収容されることによって、メンブラン64が適切な向きに表裏を特定された状態で仕切ベース部材60に組み付けられる。換言すれば、仮にメンブラン64を表裏逆向きに仕切ベース部材60に組み付けようとしても、誤組付け防止用突起108を突起収容領域82に収容できなくなることから、メンブラン64の仕切ベース部材60に対する表裏逆向きの組付けが阻止されている。
【0081】
本実施形態のメンブラン64は、メンブラン収容領域66に収容された仕切部材58への組付け状態において、メンブラン64の下面がメンブラン収容領域66の底面に当接しており、メンブラン64の上面が仕切プレート部材62から下方へ離隔している。従って、仮にメンブラン64が表裏逆向きに仕切部材58へ組み付けられると、振動入力時の液圧吸収部104の変形態様等に影響して、目的とする特性(防振性能やばね特性等)が十分に発揮されなくなるおそれがある。そこにおいて、パワーユニットマウント10では、誤組付け防止用突起108の突起収容領域82への収容によってメンブラン64の向きが特定されることから、目的とする特性を高い信頼性で得ることができる。
【0082】
誤組付け防止用突起108は、仕切ベース部材60と仕切プレート部材62の対向内面に当接して、上下方向に圧縮された状態で突起収容領域82に収容されており、誤組付け防止用突起108と仕切ベース部材60及び仕切プレート部材62との当接面間が液密にシールされている。特に、誤組付け防止用突起108は、シールリップ112の形成部分において仕切ベース部材60及び仕切プレート部材62に押し当てられており、シールリップ112と仕切ベース部材60及び仕切プレート部材62との当接部分においてより高い液密性が確保されている。
【0083】
突起収容領域82は、仕切ベース部材60におけるオリフィス溝76の両端部間に形成されていることから、誤組付け防止用突起108によるシール機構がオリフィス溝76の周方向間に設けられている。これにより、オリフィス通路96の両端部間において、仕切ベース部材60と仕切プレート部材62の重ね合わせ面間を通じた液体の短絡的なリークが防止されている。
【0084】
誤組付け防止用突起108の上面に設けられたテーパ面110に対して、仕切プレート部材62のテーパ部84が押し当てられている。これにより、誤組付け防止用突起108は、少なくともテーパ面110の形成部分とそれよりも先端側(外周側)において先端へ向けた変形が生じ易くなって、基端側(内周側)への変形が生じ難くなる。それゆえ、誤組付け防止用突起108が上下方向の圧縮によって上下直交方向に膨出変形しても、誤組付け防止用突起108の変形がメンブラン64(液圧吸収部104)の変形特性等に影響し難い。
【0085】
仕切ベース部材60の外周固定ピン80aによるピン固定位置は、外周固定ピン80aと周方向で隣り合う外周固定ピン80dによるピン固定位置に比して、突起収容領域82に近い位置に設定されている。換言すれば、突起収容領域82は、突起収容領域82と周方向で隣り合う外周固定ピン80aによるピン固定位置と外周固定ピン80dによるピン固定位置との周方向中央よりも、外周固定ピン80aによるピン固定位置に近接して形成されている。これにより、外周固定ピン80aを用いたピン固定による仕切ベース部材60と仕切プレート部材62の固定力が、突起収容領域82に収容された誤組付け防止用突起108に対して、上下方向の圧縮力として効率的に及ぼされる。好適には、突起収容領域82(誤組付け防止用突起108)の左右中央と外周固定ピン80aの左右中央との距離d1は、周方向で隣り合う外周固定ピン80a,80dの各左右中央間の距離d2の1/3よりも小さくされている。
【0086】
誤組付け防止用突起108の突出先端面は、突起収容領域82の外周側の壁内面に対して当接していてもよいが、本実施形態では隙間をもって前後方向で対向している。これにより、誤組付け防止用突起108が内周側へ押圧されることによるメンブラン64の変形特性等への影響が防止される。
【0087】
かくの如き構造とされた仕切部材58は、
図3に示すように液封入領域56に配設されている。即ち、仕切部材58は、外周部分が第二の取付部材14における固着部材22の固着部24と支持部材42の押え部48との軸方向間に挟持されることによって第二の取付部材14に固定されており、本体ゴム弾性体16と可撓性膜52との軸方向間に位置決めされている。
【0088】
仕切部材58の外周部分の上面が固着部材22の固着部24に対して当接ゴム40を介して当接していることにより、仕切部材58の上面と固着部24との重ね合わせ面間が液密に封止されている。仕切部材58の外周部分の下面と支持部材42の押え部48との間に可撓性膜52の挟持部54が挟み込まれていることにより、仕切部材58の下面と押え部48との重ね合わせ面間が液密に封止されている。これらにより、液封入領域56が仕切部材58の上下に二分されており、仕切部材58の上下両側に2つの液室が形成されている。即ち、仕切部材58の上側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて、振動入力時に内圧変動が生じる、一方の液室としての受圧室116が形成されている。また、仕切部材58の下側には、壁部の一部が可撓性膜52で構成されて、可撓性膜52の変形によって容積変化が容易に許容される、他方の液室としての平衡室118が形成されている。受圧室116と平衡室118は、液封入領域56を構成することからも理解されるように、内部に液体が封入されている。受圧室116と平衡室118は、振動入力時に相対的な圧力変動が生ぜしめられる。
【0089】
オリフィス通路96は、上連通口92で構成された一方の端部が受圧室116に連通されていると共に、下連通口78で構成された他方の端部が平衡室118に連通されており、受圧室116と平衡室118を相互に連通している。そして、第一の取付部材12と第二の取付部材14の間への振動入力によって、受圧室116と平衡室118の間に相対的な圧力変動が生じると、受圧室116と平衡室118の間でオリフィス通路96を通じた液体の流動が生じて、液体の流動作用に基づく防振効果(振動減衰作用)が発揮される。オリフィス通路96は、流動する液体の共振周波数(チューニング周波数)が防振対象振動の周波数に設定されており、防振対象振動の入力時にオリフィス通路96を通じた液体の流動が共振状態で積極的に生じるようになっている。
【0090】
オリフィス通路96を通じた液体の流動が生じる際に、オリフィス通路96の両端部間において、誤組付け防止用突起108によるシール機構が設けられていることにより、仕切ベース部材60と仕切プレート部材62との重ね合わせ面間を通じた液体の短絡的なリークが防止されている。これにより、受圧室116と平衡室118の間でオリフィス通路96を通じた液体の流動量が大きく確保されて、液体の流動作用に基づく防振効果を効率的に発揮させることができる。オリフィス通路96の両端部間のシールに誤組付け防止用突起108を利用することにより、簡単な構造によってオリフィス通路96の性能向上を図ることができる。
【0091】
オリフィス通路96の受圧室116への連通口(上連通口92)は、オリフィス通路96の平衡室118への連通口(下連通口78)に比して、誤組付け防止用突起108からの周方向距離が小さくされている。このように、誤組付け防止用突起108から上下の連通口92,78までの周方向距離が相互に異なっていることによって、オリフィス通路96の各連通口92,78から誤組付け防止用突起108へ向けた圧力伝播のタイミングが相互間でずれ得て、圧力伝播のタイミングが相互に同じである場合に比してリーク防止効果の向上が期待できる。
【0092】
メンブラン64の液圧吸収部104には、上面に対して上透孔86を通じて受圧室116の液圧が及ぼされていると共に、下面に対して下透孔68を通じて平衡室118の液圧が及ぼされている。そして、振動入力によって受圧室116と平衡室118の間に相対的な圧力差が生じると、液圧吸収部104が厚さ方向に弾性変形して、受圧室116と平衡室118の圧力差が液圧吸収部104の変形によって低減される。液圧吸収部104は、オリフィス通路96のチューニング周波数よりも高周波の振動入力時に共振状態で積極的に変形して液圧吸収作用を発揮するようになっている。従って、オリフィス通路96が反共振によって実質的に閉塞された状態において、液圧吸収部104の弾性変形によって受圧室116の実質的な密閉化が回避されて、低動ばね化による振動絶縁作用が発揮される。
【0093】
メンブラン64のリリーフ部106には、仕切プレート部材62のリリーフ孔94を通じて受圧室116の液圧が上面に作用している。そして、キャビテーションが発生し得る受圧室116の急激且つ著しい液圧低下が生じる際に、リリーフ部106が受圧室116の負圧の作用によって受圧室116側へ吸引されて、メンブラン収容領域66の底面から離隔する。その結果、仕切ベース部材60及び仕切プレート部材62の両方から離隔したリリーフ部106の外周側及びリリーフ孔94を通じて、平衡室118から受圧室116へ向けた短絡的な液の流動が許容されて、受圧室116の液圧低下が速やかに低減乃至は解消される。それゆえ、受圧室116の液圧低下による気相分離(キャビテーション)が防止されて、キャビテーションに起因する異音の発生が防止される。なお、受圧室116の内圧が正圧となる場合には、リリーフ部106がメンブラン収容領域66の底面に当接することから、リリーフ部106の外周側を通じた短絡的な液の流動が阻止されて、受圧室116の液圧低下が防止される。
【0094】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、メンブラン64のリリーフ部106と仕切プレート部材62のリリーフ孔94は、必須ではなく、キャビテーションによる異音が問題にならない場合等には省略することができる。
【0095】
位置合わせ用当接突起114は、例えば、誤組付け防止用突起108の突出方向で相互に離れた位置に複数が設けられていてもよい。具体的には、例えば、誤組付け防止用突起108の先端部分と基端部分とにそれぞれ位置合わせ用当接突起114が設けられていれば、誤組付け防止用突起108を周方向でより安定して位置決めすることもできる。
【0096】
オリフィス通路96の受圧室116と平衡室118への上下連通口92,78は、両方がオリフィス溝76の端部に設定されていてもよいし、両方がオリフィス溝76の途中に設定されていてもよい。
【0097】
メンブラン64の外周支持部98(98a,98b)は、平衡室118側へ向けて厚さ方向の下向きに突出していてもよいし、厚さ方向の上下両側へ突出していてもよい。このことは、内周支持部102についても同様である。
【0098】
第一の取付部材12及び第二の取付部材14の具体的な構造は、あくまでも例示であって、例えば、第一の取付部材及び第二の取付部材として国際公開第2020/208689号の如き構造を採用することもできる。なお、流体封入式防振装置は、特開2014-219035号公報のような軸方向視で略円形のものであってもよい。
【符号の説明】
【0099】
10 パワーユニットマウント(流体封入式防振装置)
12 第一の取付部材
14 第二の取付部材
16 本体ゴム弾性体
18 筒状部
20 突出部
22 固着部材
24 固着部
26 嵌合部
28 凹所
30 被覆ゴム
32 ストッパゴム
34 連結ゴム層
36 シール突部
38 嵌合ゴム層
40 当接ゴム
42 支持部材
44 連結部
46 シール受部
48 押え部
52 可撓性膜
54 挟持部
56 液封入領域
58 仕切部材
60 仕切ベース部材(第一部材)
62 仕切プレート部材(第二部材)
64 メンブラン
66 メンブラン収容領域
68 下透孔
70 中央固定ピン
72 基部
74 先部
76 オリフィス溝
78 下連通口
80(80a~80d) 外周固定ピン
82 突起収容領域
84 テーパ部
86 上透孔
88 中央ピン挿通孔
90(90a~90d) 外周ピン挿通孔
92 上連通口
94 リリーフ孔
96 オリフィス通路
98(98a,98b) 外周支持部(支持部)
100 挿通孔
102 内周支持部
104 液圧吸収部
106 リリーフ部
108 誤組付け防止用突起
110 テーパ面(傾斜部)
112 シールリップ
114 位置合わせ用当接突起
116 受圧室(一方の液室)
118 平衡室(他方の液室)