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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082296
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
H01L25/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196026
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榎本 一雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 悠司
(57)【要約】
【課題】製造コストを抑制することができる。
【解決手段】半導体装置1は、側面視で、ケース2の複数のモジュールケース20の間にそれぞれ形成された複数のケース溝4a及び放熱ベース3の複数の放熱板30の間にそれぞれ形成された複数のベース溝5aを含む。また、ケース2はケース溝4aにより構成される連結梁21fにより複数のモジュールケース20が連結されている。放熱ベース3はベース溝5aにより構成される連結梁31fにより複数の放熱板30が連結されている。したがって、半導体装置1は、連結梁21f,31fにより複数の半導体モジュール10が連結されている。このような半導体装置1は、複数の半導体モジュール10を連結する連結梁21f,31fを切断するだけで、所望の仕様を満たすために必要な個数の半導体モジュール10を含ませることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体チップと、
前記複数の半導体チップがそれぞれ配置される複数のユニット領域がおもて面に設定された複数の放熱板を備え、平面視で矩形状を成し、前記複数の放熱板が長手方向に沿って含まれる放熱ベースと、
前記放熱ベースのおもて面に設けられ、前記複数の放熱板上の前記複数のユニット領域をそれぞれ覆う複数のモジュールケースを含むケースと、
を含み、
側面視で、前記ケースの前記複数のモジュールケースの間にそれぞれ形成された複数の第1溝、または、前記放熱ベースの前記複数の放熱板の間にそれぞれ形成された複数の第2溝の少なくとも一方を含む、
半導体装置。
【請求項2】
前記複数の第1溝及び前記複数の第2溝を含む場合、
前記複数の第1溝は、前記ケースのおもて面から前記放熱ベースに向かってそれぞれ形成されており、
前記複数の第2溝は、前記放熱ベースの裏面から前記ケースに向かってそれぞれ形成されている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数の第1溝が形成された前記ケースでは、
前記複数のモジュールケースは、前記複数の第1溝の前記放熱ベース側を複数の第1連結部によりそれぞれ連結されている、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記複数の第1連結部は前記放熱ベースの短手方向に沿って第1隙間が空いている、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記複数の第2溝が形成された前記放熱ベースでは、
前記複数の放熱板が、前記複数の第2溝の前記ケース側を複数の第2連結部によりそれぞれ連結されている、
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記複数の第2連結部は前記放熱ベースの前記短手方向に沿って第2隙間が空いている、
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1連結部と前記第2連結部とは前記ケースと前記放熱ベースとの境界に接して前記ケースと前記放熱ベースとにそれぞれ形成されている、
請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
平面視で、前記第2連結部は、前記第1連結部に重複することなく、前記複数の放熱板をそれぞれ連結している、
請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記放熱ベースは、前記複数の放熱板の間であって、一対の長辺側に複数の締結孔がそれぞれ形成されて、
前記ケースは、前記複数の締結孔に対応する箇所に、前記複数の締結孔を露出する複数の挿通部がそれぞれ形成されている、
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記複数の第2連結部は、前記複数の締結孔の前記一対の長辺側に含まれている、
請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1溝を含まず、前記第2溝を含む場合、
前記放熱ベースの前記複数の放熱板に前記複数のモジュールケースが分割されてそれぞれ設けられている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記複数の第2溝は、前記放熱ベースの裏面から前記モジュールケースに向かってそれぞれ形成されている、
請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記複数の第2溝が形成された前記放熱ベースでは、
前記複数の放熱板が、前記複数の第2溝の前記ケース側を複数の第2連結部によりそれぞれ連結されている、
請求項11に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記複数の第2連結部は前記放熱ベースの短手方向に沿って第2隙間が空いている、
請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記複数の第2連結部は前記ケースと前記放熱ベースとの境界に接して前記放熱ベースにそれぞれ形成されている、
請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第1溝を含み、前記第2溝を含まない場合、
前記放熱ベースは前記複数の放熱板ごとに分割されて、前記ケースの前記複数のモジュールケースが、分割された前記複数の放熱板の前記複数のユニット領域ごとに設けられている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記複数の第1溝は、前記ケースのおもて面から前記放熱ベースに向かってそれぞれ形成されている、
請求項16に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記複数の第1溝が形成された前記ケースでは、
前記複数のモジュールケースが、前記複数の第1溝の前記放熱ベース側を複数の第1連結部によりそれぞれ連結されている、
請求項16に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記複数の第1連結部は前記放熱ベースの短手方向に沿って第1隙間が空いている、
請求項18に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記複数の第1連結部は前記ケースと前記放熱ベースとの境界に接して前記ケースにそれぞれ形成されている、
請求項19に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は3相交流によりモーター駆動する場合には、1相分に相当する1つの半導体モジュールを3つ含む(例えば、特許文献1,2)。半導体装置が昇圧コンバータとして機能する場合には、同様の半導体モジュールを1つ含む。1つの半導体モジュールは、連なった複数のベースにそれぞれ半導体チップが配置されて封止部によりそれぞれ封止され、分割されて得られる(例えば、特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-031738号公報
【特許文献2】特開2009-070934号公報
【特許文献3】特開2000-150548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように半導体装置は、所定の機能を持たせるために、同種の半導体モジュールの個数に応じて作り分ける必要があった。このため、機能の異なる半導体装置にそれぞれ対応する製造ラインが必要となり、製造コストが嵩んでしまう。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、製造コストが抑制された半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、複数の半導体チップと、前記複数の半導体チップがそれぞれ配置される複数のユニット領域がおもて面に設定された複数の放熱板を備え、平面視で矩形状を成し、前記複数の放熱板が長手方向に沿って含まれる放熱ベースと、前記放熱ベースのおもて面に設けられ、前記複数の放熱板上の前記複数のユニット領域をそれぞれ覆う複数のモジュールケースを含むケースと、を含み、側面視で、前記ケースの前記複数のモジュールケースの間にそれぞれ形成された複数の第1溝、または、前記放熱ベースの前記複数の放熱板の間にそれぞれ形成された複数の第2溝の少なくとも一方を含む、半導体装置が提供される。
【0007】
前記複数の第1溝及び前記複数の第2溝を含む場合、前記複数の第1溝は、前記ケースのおもて面から前記放熱ベースに向かってそれぞれ形成されており、前記複数の第2溝は、前記放熱ベースの裏面から前記ケースに向かってそれぞれ形成されてよい。
【0008】
前記複数の第1溝が形成された前記ケースでは、前記複数のモジュールケースは、前記複数の第1溝の前記放熱ベース側を複数の第1連結部によりそれぞれ連結されてよい。
【0009】
前記複数の第1連結部は前記放熱ベースの短手方向に沿って第1隙間が空いていてよい。
【0010】
前記複数の第2溝が形成された前記放熱ベースでは、前記複数の放熱板が、前記複数の第2溝の前記ケース側を複数の第2連結部によりそれぞれ連結されていてよい。
【0011】
前記複数の第2連結部は前記放熱ベースの前記短手方向に沿って第2隙間が空いていてよい。
【0012】
前記第1連結部と前記第2連結部とは前記ケースと前記放熱ベースとの境界に接して前記ケースと前記放熱ベースとにそれぞれ形成されていてよい。
【0013】
平面視で、前記第2連結部は、前記第1連結部に重複することなく、前記複数の放熱板をそれぞれ連結していてよい。
【0014】
前記放熱ベースは、前記複数の放熱板の間であって、一対の長辺側に複数の締結孔がそれぞれ形成されて、前記ケースは、前記複数の締結孔に対応する箇所に、前記複数の締結孔を露出する複数の挿通部がそれぞれ形成されていてよい。
【0015】
前記複数の第2連結部は、前記複数の締結孔の前記一対の長辺に含まれていてよい。
【0016】
前記第1溝を含まず、前記第2溝を含む場合、前記放熱ベースの前記複数の放熱板に前記複数のモジュールケースが分割されてそれぞれ設けられていてよい。
【0017】
前記複数の第2溝は、前記放熱ベースの裏面から前記モジュールケースに向かってそれぞれ形成されていてよい。
【0018】
前記複数の第2溝が形成された前記放熱ベースでは、前記複数の放熱板が、前記複数の第2溝の前記ケース側を複数の第2連結部によりそれぞれ連結されていてよい。
【0019】
前記複数の第2連結部は前記放熱ベースの短手方向に沿って第2隙間が空いていてよい。
【0020】
前記複数の第2連結部は前記ケースと前記放熱ベースとの境界に接して前記放熱ベースにそれぞれ形成されていてよい。
【0021】
前記第1溝を含み、前記第2溝を含まない場合、前記放熱ベースは前記複数の放熱板ごとに分割されて、前記ケースの前記複数のモジュールケースが、分割された前記複数の放熱板の前記複数のユニット領域ごとに設けられていてよい。
【0022】
前記複数の第1溝は、前記ケースのおもて面から前記放熱ベースに向かってそれぞれ形成されていてよい。
【0023】
前記複数の第1溝が形成された前記ケースでは、前記複数のモジュールケースが、前記複数の第1溝の前記放熱ベース側を複数の第1連結部によりそれぞれ連結されていてよい。
【0024】
前記複数の第1連結部は前記放熱ベースの短手方向に沿って第1隙間が空いていてよい。
【0025】
前記複数の第1連結部は前記ケースと前記放熱ベースとの境界に接して前記ケースにそれぞれ形成されていてよい。
【0026】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた発明となりうる。
【発明の効果】
【0027】
開示の技術によれば、製造コストが抑制されて、汎用性が高い半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1の実施の形態の半導体装置の平面図である。
図2】第1の実施の形態の半導体装置の側面図である。
図3】第1の実施の形態の半導体装置のケース連結部の平面図である。
図4】第1の実施の形態の半導体装置のベース連結部の裏面図である。
図5】第1の実施の形態の半導体装置に含まれる半導体モジュールの平面図である。
図6】第1の実施の形態の半導体装置に含まれる半導体モジュールの側面図(その1)である。
図7】第1の実施の形態の半導体装置に含まれる半導体モジュールの側面図(その2)である。
図8】第1の実施の形態の半導体装置に含まれる半導体モジュールの未封止の平面図である。
図9】第1の実施の形態の半導体装置に含まれる半導体モジュールの未封止の断面図である。
図10】第1の実施の形態の半導体装置の分割を説明するための平面図(ケース側)である。
図11】第1の実施の形態の半導体装置の分割を説明するための断面図(ケース側)である。
図12】第1の実施の形態の半導体装置の分割を説明するための平面図(放熱ベース側)である。
図13】第1の実施の形態の半導体装置の分割を説明するための断面図(放熱ベース側)である。
図14】第1の実施の形態の半導体装置並びに半導体モジュールの締結のための部品を説明するための図である。
図15】第1の実施の形態の締結された半導体モジュールの側面図である。
図16】第1の実施の形態の締結された半導体モジュールの平面図である。
図17】第2の実施の形態の半導体装置の平面図である。
図18】第2の実施の形態の半導体装置の側面図である。
図19】第2の実施の形態の半導体装置に含まれる半導体モジュールの側面図である。
図20】第3の実施の形態の半導体装置の平面図である。
図21】第3の実施の形態の半導体装置の側面図である。
図22】第3の実施の形態の半導体装置に含まれる半導体モジュールの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、「おもて面」及び「上面」とは、図の半導体装置1及び半導体モジュール10において、上側(+Z方向)を向いたX-Y面を表す。同様に、「上」とは、図の半導体装置1及び半導体モジュール10において、上側(+Z方向)の方向を表す。「裏面」及び「下面」とは、図の半導体装置1及び半導体モジュール10において、下側(-Z方向)を向いたX-Y面を表す。同様に、「下」とは、図の半導体装置1及び半導体モジュール10において、下側(-Z方向)の方向を表す。必要に応じて他の図面でも同様の方向性を意味する。「おもて面」、「上面」、「上」、「裏面」、「下面」、「下」、「側面」は、相対的な位置関係を特定する便宜的な表現に過ぎず、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、「上」及び「下」は、必ずしも地面に対する鉛直方向を意味しない。つまり、「上」及び「下」の方向は、重力方向に限定されない。また、以下の説明において「主成分」とは、80vol%以上含む場合を表す。また、「略同一」とは、±10%以内の範囲であればよい。また、「垂直」、「平行」とは、±10°以内の範囲であればよい。
【0030】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態の半導体装置について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、第1の実施の形態の半導体装置の平面図であり、図2は、第1の実施の形態の半導体装置の側面図である。なお、図2は、図1においてX-Z面を+Y方向に見た側面図である。
【0031】
半導体装置1は、放熱ベース3と放熱ベース3上に設けられたケース2とを含んでいる。放熱ベース3は、平面視で矩形状を成し、複数の放熱板30がベース連結部5により長手方向(±X方向)に沿って1列に連結されて構成されている。なお、複数の放熱板30上にはそれぞれ複数の半導体チップがそれぞれ配置される。なお、ベース連結部5の詳細については後述する。このような放熱ベース3は、平面視で四方が長側面3a、短側面3b、長側面3c、短側面3dにより順に取り囲まれている。放熱ベース3は、放熱板30の間であって長側面3a,3c側に締結孔3eがそれぞれ形成されている。なお、放熱ベース3の短側面3b,3dの長側面3a,3c側の放熱板30の側部はそれぞれ窪んでいる。この窪みは、平面視で締結孔3eの半分に対応している。
【0032】
放熱ベース3は、熱伝導性に優れた金属を主成分として構成されている。金属は、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの一種を含む合金である。放熱ベース3の耐食性を向上させるために、めっき処理を行ってもよい。この際、用いられるめっき材は、例えば、ニッケル、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金である。放熱ベース3の厚さは、例えば、0.5mm以上、5mm以下である。放熱ベース3の長手方向の長さは、例えば、50mm以上、200mm以下であり、短手方向の長さは、例えば、30mm以上、100mm以下である。
【0033】
ケース2は、放熱ベース3のおもて面に設けられ、直方体状(平面視では矩形状)を成しており、複数のモジュールケース20がケース連結部4により長手方向(±X方向)に沿って1列に連結されて構成されている。複数のモジュールケース20が複数の放熱板30にそれぞれ対応するようにケース2が放熱ベース3に設けられる。なお、複数のモジュールケース20の詳細については後述する。このようなケース2は、平面視で四方が長側面2a、短側面2b、長側面2c、短側面2dにより順に取り囲まれている。ケース2は、モジュールケース20の間であって長側面2a,2c側に挿通部2eがそれぞれ形成されている。挿通部2eから締結孔3eが露出されていればよい。この場合の挿通部2eは、平面視で、長側面2a,2cから内側に窪んでいる。なお、ケース2の短側面2b,2dの長側面2a,2c側のモジュールケース20の側部はそれぞれ窪んでいる。この窪みは、平面視で、挿通部2eの半分に対応している。
【0034】
ケース2は、熱可塑性樹脂を用いて射出成形により、後述する第1接続端子24と第2接続端子25と出力端子26と制御端子27とを含んで一体成形される。これにより、ケース2が構成される。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリアミド樹脂、または、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂である。ケース2の平面視のサイズは、放熱ベース3のサイズに対応してよい。ケース2の長手方向の長さは、例えば、50mm以上、200mm以下であり、短手方向の長さは、例えば、30mm以上、100mm以下であり、厚さ(±Z方向の長さ)は、5mm以上、20mm以下である。
【0035】
このようなケース2は放熱ベース3に対して接着剤により取り付けられる。この際、複数の放熱板30に対して複数のモジュールケース20がそれぞれ取り付けられる。なお、後述するように、複数の放熱板30に対して複数のモジュールケース20がそれぞれ取り付けられることで、半導体モジュール10a,10b,10cが構成される。したがって、半導体装置1は、半導体モジュール10a,10b,10cが、ケース連結部4及びベース連結部5により連結されることで構成される。半導体モジュール10a,10b,10cはいずれも同じ構成を成している。なお、半導体装置1に含まれる半導体モジュール10a,10b,10cは、3つに限らない。半導体装置1は所望の仕様に応じて3つ以外の複数の半導体モジュールが長手方向に沿って連結されてよい。以降、特に区別することが無い場合には、半導体モジュール10とする。半導体モジュール10の詳細については後述する。
【0036】
次に、半導体装置1に含まれるケース連結部4及びベース連結部5の詳細について図1及び図2並びに図3及び図4を用いて説明する。図3は、第1の実施の形態の半導体装置のケース連結部の平面図であり、図4は、第1の実施の形態の半導体装置のベース連結部の裏面図である。なお、図3及び図4は、半導体装置1のおもて面及び裏面における隣接する半導体モジュール10の境界の拡大図である。
【0037】
ケース連結部4は、ケース溝4a(第1溝)と複数の連結梁21f(第1連結部)とを含んでいる。ケース溝4aは、側面視で、ケース2の複数のモジュールケース20の間にそれぞれ形成されている(図2を参照)。隣接するモジュールケース20の対向する側面がそれぞれ平行となるように、複数のケース溝4aが形成されている。複数のケース溝4aは、ケース2のおもて面から放熱ベース3に向かって(-Z方向に向かって)それぞれ形成されている。ケース溝4aの(±X方向の)幅は後述する切断刃70が挿通できればよい。また、ケース溝4aの+Z方向の上端部はケース2の短手方向に沿ってテーパが形成されてもよい。
【0038】
複数のモジュールケース20は、複数のケース溝4aの放熱ベース3側を複数の連結梁21fによりそれぞれ連結されている。さらに、連結梁21fはケース2と放熱ベース3との境界に接してケース2(モジュールケース20)にそれぞれ形成されている。また、複数の連結梁21fは放熱ベース3の短手方向に沿って隙間21g(第1隙間)を空けてそれぞれ形成されている。複数の連結梁21fは、モジュールケース20の側面に窪み21eを除いて3つ形成されている。なお、複数の連結梁21fは、等間隔に並ぶことが好ましい。これにより、後述する切断刃70で切断しやすくなる。連結梁21fは柱状を成している。柱状とは、円柱状、多角形状であってよい。ここでは、多角形状であって、四角柱状である場合を例示している(後述する図6を参照)。連結梁21fは、ケース2の強度が一定以上に保たれるサイズであって、後述するように切断可能なサイズであればよい。このような連結梁21fの幅(±Y方向の長さ)は、例えば、後述する切断刃70で切断可能な幅であればよい。連結梁21fの長さ(±X方向の長さ)は、例えば、ケース溝4aの幅に対応すると共に少なくとも後述する切断刃70の厚さ以上であってよい。また、連結梁21fは、平面視で、図3に示されるように、少なくとも一方の辺が内側に窪んでいてもよい。さらに、連結梁21fの厚さ(±Z方向の長さ)は、例えば、半導体装置1の組立時に、不用意に個片化されない程度のケース2の強度を保てる厚さがあればよい。また、例えば、ケース2の材料がPPS(ポリフェニレンサルファイド)であれば、連結梁部21fの厚みは3mm以上、5mm以下、長さは1mm以上、5mm以下、幅は3mm以上、10mm以下であればよい。なお、複数の連結梁21fの幅、長さ、厚さは、それぞれ異なっていてもよい。また、複数の連結梁21fは一例である。必要に応じて、複数の連結梁21fの個数、形状、大きさ、位置、間隔を適宜選択してもよい。
【0039】
ベース連結部5は、ベース溝5a(第2溝)と複数の連結梁31f(第2連結部)とを含んでいる。ベース溝5aは、側面視で、放熱ベース3の複数の放熱板30の間にそれぞれ形成されている(図2を参照)。隣接する放熱板30の対向する側面がそれぞれ平行となるように、複数のベース溝5aが形成されている。複数のベース溝5aは、放熱ベース3の裏面からケース2に向かって(+Z方向に向かって)それぞれ形成されている。ベース溝5aはケース溝4aに平行であって、側面視で、ケース溝4aに対して一直線状を成している(対向している)。ベース溝5aの(±X方向の)幅は後述する切断刃70が挿通できればよい。また、ベース溝5aの+Z方向の下端部は放熱ベース3の短手方向に沿ってテーパが形成されてもよい。
【0040】
複数の放熱板30は、複数のベース溝5aのケース2側を複数の連結梁31fによりそれぞれ連結されている。さらに、連結梁31fはケース2と放熱ベース3との境界に接して放熱ベース3(放熱板30)にそれぞれ形成されている。また、複数の連結梁31fは放熱ベース3の短手方向に沿って隙間31g(第2隙間)を空けてそれぞれ形成されている。複数の連結梁31fは、まず、放熱板30の締結孔3eを除いて、内側に4つ形成されている。なお、複数の連結梁31fは、等間隔に並ぶことが好ましい。これにより、後述する切断刃70で切断しやすくなる。連結梁31fのこれらの個数は4つに限らず、必要な個数で形成されてよい。また、複数の連結梁31fの間隔は、等間隔に限定されない。さらに、複数の連結梁31fは、締結孔3eの側面31a,31c(図5を参照)に含まれている。
【0041】
連結梁31fもまた柱状を成している。柱状とは、円柱状、多角形状であってよい。ここでは、多角形状であって、四角柱状である場合を例示している(後述する図6を参照)。連結梁31fは、放熱ベース3の一定の強度が維持されて、後述するように切断可能なサイズであればよい。このような連結梁31fの幅(±Y方向の長さ)は、例えば、後述する切断刃70で切断可能な幅であればよい。連結梁31fの長さ(±X方向の長さ)は、例えば、ベース溝5aの幅に対応すると共に少なくとも後述する切断刃70の厚さ以上であってよい。また、連結梁31fは、平面視で、図4に示されるように、少なくとも一方の辺が内側に窪んでいてもよい。さらに、連結梁31fの厚さ(±Z方向の長さ)は、例えば、半導体装置1の組立時に、不用意に個片化されない程度のケース2の強度を保てる厚さがあればよい。また、例えば、放熱ベース3の材料が銅で厚み3mmの場合であれば、連結梁部31fの厚みは1.5mm以上3mm以下、長さ1mm以上、5mm以下、幅3mm以上、10mm以下となる。なお、複数の連結梁31fの幅、長さ、厚さは、上記の範囲であれば、それぞれ異なっていてもよい。
【0042】
さらに、ベース連結部5の連結梁31fは、平面視並びに側面視で、ケース連結部4の連結梁21fに重複することなく複数の放熱板30を連結している(図3及び図4並びに後述する図6を参照)。なお、ベース連結部5の連結梁31fとケース連結部4の連結梁21fとは、互い違いに、等間隔に形成されることが好ましい。
【0043】
次に、半導体装置1からそれぞれ分割された半導体モジュール10について、図5図7を用いて説明する。図5は、第1の実施の形態の半導体装置に含まれる半導体モジュールの平面図である。図6及び図7は、第1の実施の形態の半導体装置に含まれる半導体モジュールの側面図である。なお、図6は、図5の半導体モジュール10を+Y方向に見た側面図であり、図7は、図5の半導体モジュール10を-X方向に見た側面図である。
【0044】
半導体装置1から後述する分割方法により分割された複数の半導体モジュール10は、モジュールケース20と放熱板30と図8及び図9で後述する半導体ユニット40とをそれぞれ含んでいる。半導体モジュール10は、放熱板30に半導体ユニット40が設けられ、モジュールケース20が半導体ユニット40を収納して放熱板30に接合されている。さらに、モジュールケース20に収納されている半導体ユニット40は、封止部材28により封止されている。
【0045】
モジュールケース20は、直方体状を成し、平面視で矩形状の上面21hと上面21hの四方を順に取り囲む側面21a~21dとを含んでいる。なお、側面21a,21cは、それぞれケース2の長側面2a,2cに対応する。側面21b,21dは、それぞれ、ケース2の短側面2b,2dに平行を成す。なお、ケース2の最端部のモジュールケース20の外側の側面21b,21dは、ケース2の短側面2b,2dにそれぞれ対応する。
【0046】
モジュールケース20の上面21hは端子台22と貫通して開口された収納部23とが設けられている。なお、端子台22から制御端子27が上面21hに対して鉛直上方に延伸している。さらに、上面21hは、側面21a側に第1接続端子24及び第2接続端子25と、側面21c側に出力端子26とをそれぞれ含んでいる。第1接続端子24、第2接続端子25及び出力端子26は上面21hに表出されている。
【0047】
なお、側面21bの側面21c側に窪み21eが形成されている。窪み21eは側面21bが上面21hから上面21hに対向する下面(符号を省略)まで窪んでいる。同様に、窪み21eは、側面21bの側面21a側に、また、側面21dの側面21a,21c側にそれぞれ同様に形成されている。
【0048】
また、側面21b,21dには連結梁21fがそれぞれ側面21a,21cに平行を成して突出している。この連結梁21fは、図3に示した連結梁21fの略半分の(±X方向の)長さである。また、連結梁21fは、側面21b,21cの放熱板30との境界側に、当該境界に沿って一列に形成されている。連結梁21fは、側面21b,21dの窪み21eを除いた範囲に等間隔に形成されている。
【0049】
制御端子27は、後述する半導体チップの制御電極にモジュールケース20内で電気的に接続されている。第1接続端子24及び第2接続端子25とは、モジュールケース20内で、後述する半導体チップの入力電極及び出力電極にそれぞれ電気的に接続されている。出力端子26は、モジュールケース20内で、後述する半導体チップの入力電極及び出力電極に電気的に接続されている。第1接続端子24、第2接続端子25、出力端子26及び制御端子27は、導電性に優れた金属により構成されている。このような金属は、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの一種を主成分とする合金である。第1接続端子24、第2接続端子25、出力端子26及び制御端子27の表面に対して、めっき処理を行ってもよい。この際、用いられるめっき材は、例えば、ニッケル、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金、錫である。
【0050】
封止部材28によりモジュールケース20の収納部23が封止されている。封止部材28は、熱硬化性樹脂であってよい。熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、マレイミド樹脂、ポリエステル樹脂である。好ましくは、エポキシ樹脂である。さらに、封止部材28は、フィラーが添加されていてもよい。フィラーは、絶縁性で高熱伝導を有するセラミックスである。あるいは、封止材としてシリコン系ゲルを用いてもよい。
【0051】
放熱板30は、平板状を成し、四方を順に取り囲む側面31a~31dを含んでいる。なお、側面31a,31cは、それぞれ放熱ベース3の長側面3a,3cに対応する。側面31b,31dは、それぞれ、放熱ベース3の短側面3b,3dに平行を成す。なお、放熱ベース3の最端部の放熱板30の外側の側面31b,31dは、放熱ベース3の短側面3b,3dにそれぞれ対応する。
【0052】
なお、側面31bの側面31a,31c側に締結部31eがそれぞれ形成されている。同様に、締結部31eは、側面31dの側面31a,31c側にそれぞれ形成されている。また、側面31b,31dには連結梁31fがそれぞれ側面31a,31cに平行を成して突出している。この連結梁31fは、図3に示した連結梁31fの略半分の(±X方向の)長さである。また、連結梁31fは、側面31b,31cのモジュールケース20との境界側に、当該境界に沿って一列に形成されている。連結梁31fは、側面31a,31c側であって締結部31eに含まれている。また、連結梁31fは、側面31b,31cにおいて側面31a,31c側の連結梁31fを除いた範囲に等間隔に形成されている。この際、既述の通り、連結梁31fは、連結梁21fに平面視並びに側面視で重複しないように形成されている。
【0053】
次に、半導体モジュール10に含まれる半導体ユニット40について、図8及び図9を用いて説明する。図8は、第1の実施の形態の半導体装置に含まれる半導体モジュールの未封止の平面図であり、図9は、第1の実施の形態の半導体装置に含まれる半導体モジュールの未封止の断面図である。なお、図8は、図5の半導体モジュール10の収納部23が封止部材28で封止されていない場合の平面図である。図9は、図8の一点鎖線Y-Yにおける断面図である。
【0054】
なお、第1接続端子24の第1内端部24a、第2接続端子25の第2内端部25a、出力端子26の内端部26a、制御端子27の内端部27aがそれぞれモジュールケース20の収納部23内に表出している。
【0055】
半導体ユニット40は、絶縁回路基板41と2つの半導体チップ45とを含んでいる。半導体チップ45は接合部材(図示を省略)により絶縁回路基板41に接合されている。なお、この接合部材は、はんだ、または、焼結材を用いてよい。はんだは、鉛フリーはんだであってよい。鉛フリーはんだは、例えば、錫、銀、銅、亜鉛、アンチモン、インジウム、ビスマスの少なくとも2つを含む合金を主成分とする。さらに、はんだには、添加物が含まれてもよい。添加物は、例えば、ニッケル、ゲルマニウム、コバルトまたはシリコンである。はんだは、添加物が含まれることで、濡れ性、光沢、結合強度が向上し、信頼性の向上を図ることができる。焼結材は、例えば、銀、銅または少なくともこれらを1つ含む合金を含む金属材料が用いられる。
【0056】
絶縁回路基板41は、絶縁板42と回路パターン43a,43bと金属板44とを含んでいる。絶縁板42及び金属板44は、平面視で矩形状である。また、絶縁板42及び金属板44は、角部がR面取り、C面取りされていてもよい。金属板44のサイズは、平面視で、絶縁板42のサイズより小さく、絶縁板42の内側に形成されている。
【0057】
絶縁板42は、絶縁性を備え、熱伝導性に優れた材質により構成されている。このような絶縁板42は、セラミックスにより構成されている。セラミックスは、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素である。
【0058】
回路パターン43a,43bは、絶縁板42のおもて面に形成されている。回路パターン43a,43bは、導電性に優れた金属により構成されている。このような金属は、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの一種を主成分とする合金である。また、回路パターン43a,43bの厚さは、0.1mm以上、2.0mm以下である。回路パターン43a,43bの表面に対して、耐食性を向上させるために、めっき処理を行ってもよい。この際、用いられるめっき材は、例えば、ニッケル、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金である。
【0059】
回路パターン43a,43bは平面視で矩形状を成している。回路パターン43a,43bは、絶縁板42の±Y方向の中心線に対して線対称を成して、絶縁板42のおもて面の半分の領域にそれぞれ形成されている。回路パターン43a,43bのサイズは、半導体チップ45のサイズよりも広い。
【0060】
このような回路パターン43a,43bは、以下のようにして絶縁板42のおもて面に形成される。絶縁板42のおもて面に金属層を形成し、この金属層に対してエッチング等の処理を行って所定形状の回路パターン43a,43bが得られる。または、あらかじめ金属層から切り出した回路パターン43a,43bを絶縁板42のおもて面に圧着させてもよい。なお、回路パターン43a,43bは一例である。必要に応じて、回路パターン43a,43bの個数、形状、大きさ、位置を適宜選択してもよい。
【0061】
金属板44は、絶縁板42の裏面に形成されている。金属板44は、矩形状を成している。金属板44の平面視の面積は、絶縁板42の面積よりも小さく、回路パターン43a,43bが形成されている領域の面積よりも広い。金属板44の角部は、R面取り、C面取りされていてもよい。金属板44は、絶縁板42のサイズより小さく、絶縁板42の縁部を除いた全面に形成されている。金属板44は、熱伝導性に優れた金属を主成分として構成されている。この金属は、例えば、銅、アルミニウムまたは、少なくともこれらの一種を含む合金である。
【0062】
このような構成を有する絶縁回路基板41として、例えば、DCB(Direct Copper Bonding)基板、AMB(Active Metal Brazed)基板を用いてもよい。絶縁回路基板41が配置される放熱板30の裏面に冷却装置のおもて面を既述の接合部材(図示を省略)を介して取り付けてもよい。半導体チップ45で発生した熱を回路パターン43a,43b、絶縁板42及び金属板44並びに放熱板30を介して、冷却装置に伝導させて放熱することができる。
【0063】
なお、放熱板30と冷却装置とを接合する接合部材(図示を省略)は、ろう材、サーマルインターフェースマテリアルであってよい。ろう材は、例えば、アルミニウム合金、チタン合金、マグネシウム合金、ジルコニウム合金、シリコン合金の少なくともいずれかを主成分とする。サーマルインターフェースマテリアルは、例えば、エラストマーシート、RTV(Room Temperature Vulcanization)ゴム、ゲル、フェイズチェンジ材などを含む接着剤である。このようなろう材またはサーマルインターフェースマテリアルを介して冷却装置に取り付けることで、半導体モジュール10の放熱性を向上させることができる。
【0064】
半導体チップ45は、炭化シリコンにより構成されるパワーデバイスである。このパワーデバイスの一例として、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)が挙げられる。このような半導体チップ45は、裏面に入力電極(主電極)としてドレイン電極を、おもて面に、制御電極45aとしてゲート電極及び出力電極(主電極)としてソース電極をそれぞれ備えている。
【0065】
また、半導体チップ45は、シリコンにより構成されるパワーデバイスであってもよい。この場合のパワーデバイスは、例えば、RC(Reverse Conducting)-IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。RC-IGBTは、スイッチング素子であるIGBT及びダイオード素子であるFWD(Free Wheeling Diode)が1チップ内に構成されたものである。このような半導体チップ45は、例えば、裏面に入力電極(主電極)としてコレクタ電極を、おもて面に、制御電極としてゲート電極、出力電極(主電極)としてエミッタ電極をそれぞれ備えている。
【0066】
なお、半導体チップ45は、図8及び図9に示されるように、回路パターン43a,43bにそれぞれ配置されている。第1の実施の形態では、それぞれ、1つずつ配置されている場合を示している。この場合、各半導体チップ45は、制御電極45aがそれぞれ+Y方向側を向いて配置されている。
【0067】
また、半導体チップ45は、パワーMOSFET、RC-IGBTに代わり、一組のスイッチング素子及びダイオード素子をそれぞれに用いてもよい。スイッチング素子は、例えば、IGBT、パワーMOSFETである。ダイオード素子は、例えば、SBD(Schottky Barrier Diode)、PiN(P-intrinsic-N)ダイオード等のFWDである。ダイオード素子である半導体チップ45は、裏面に主電極として出力電極(カソード電極)を、おもて面に主電極として入力電極(アノード電極)をそれぞれ備えている。
【0068】
このような半導体ユニット40は第1接続端子24、第2接続端子25、出力端子26、制御端子27に対して電気的に接続されている。すなわち、制御ワイヤ51は、半導体チップ45の制御電極45aと制御端子27の内端部27aとを直接接続している。
【0069】
主電流ワイヤ52は、第2接続端子25の第2内端部25aと(図9中左側の)半導体チップ45の出力端子とを直接接続している。主電流ワイヤ53は、出力端子26の内端部26aと回路パターン43aとを直接接続している。すなわち、主電流ワイヤ53は、(図9中左側の)半導体チップ45の入力端子に電気的に接続されている。主電流ワイヤ54は、出力端子26の内端部26aと(図9中右側の)半導体チップ45の出力端子とを直接接続している。
【0070】
主電流ワイヤ55は、第1接続端子24の第1内端部24aと回路パターン43bとを直接接続している。すなわち、主電流ワイヤ55は、(図9中右側の)半導体チップ45の入力端子に電気的に接続されている。
【0071】
なお、制御ワイヤ51及び主電流ワイヤ52~55は、導電性に優れた材質を主成分としている。このような材質は、例えば、金、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの1種を含む合金により構成されている。好ましくは、ワイヤは、シリコンを微量含むアルミニウム合金であってよい。なお、主電流ワイヤ52~55は、ワイヤでなくてもよく、例えば、リードフレーム等でもよい。
【0072】
このような半導体ユニット40及び制御ワイヤ51及び主電流ワイヤ52~55がモジュールケース20の収納部23内で封止部材28により封止される。半導体モジュール10は以上の構成を含んでおり、半導体装置1はこのような半導体モジュール10が連結されている。
【0073】
次に、半導体装置1から半導体モジュール10を個片化する方法について図10図13を用いて説明する。図10は、第1の実施の形態の半導体装置の分割を説明するための平面図(ケース側)であり、図11は、第1の実施の形態の半導体装置の分割を説明するための断面図(ケース側)である。図12は、第1の実施の形態の半導体装置の分割を説明するための平面図(放熱ベース側)であり、図13は、第1の実施の形態の半導体装置の分割を説明するための断面図(放熱ベース側)である。なお、図10及び図11は、半導体装置1のケース2に対する分割を示しており、図11は、図10の一点鎖線X-Xにおける切断時を示している。図12及び図13は、半導体装置1の放熱ベース3に対する分割を示しており、図13は、図12の一点鎖線X-Xにおける切断時を示している。
【0074】
図1図3に示した半導体装置1の組み立て後、半導体装置1のモジュールケース20の連結梁21fを切断刃70で切断する。連結梁21fは、例えば、図11に示されるように、切断刃70が±Z方向に平行に挟み込み切断される。この際、放熱ベース3の連結梁31fは、連結梁21fに重複していないため、切断刃70による連結梁21fの切断の妨げにならない。また、ベース溝5aは、放熱ベース3の裏面からケース2に向かって(+Z方向に向かって)それぞれ形成されている。このため、切断刃70の位置決めを行うことができ、連結梁31fの切断を容易に行うことができる。
【0075】
次いで、半導体装置1の放熱板30の連結梁31fを切断刃70で切断する。連結梁31fは、例えば、図13に示されるように、切断刃70が±Z方向に平行に挟み込み切断される。この際、放熱ベース3の連結梁31fは、連結梁21fに重複していないため、切断刃70による連結梁31fの切断の妨げにならない。また、ケース溝4aは、ケース2のおもて面から放熱ベース3に向かって(-Z方向に向かって)それぞれ形成されている。このため、切断刃70の位置決めを行うことができ、連結梁31fの切断を容易に行うことができる。
【0076】
なお、連結梁21f,31fの切断順序は逆であってもよく、連結梁21f,31fを同時に切断してもよい。また、連結梁21f,31fを切断する切断刃70は一例である。切断可能なものであれば、例えば、ワイヤーカッターでもよい。また、連結梁21f,31fはそれぞれ材質が異なる。このため、それぞれを切断する切断刃70は材質に適したものを利用してよい。また、半導体装置1から半導体モジュール10を個片化する方法は、例えば、プレス方式や折り曲げ方式等を適用してもよい。すなわち、手作業により連結梁21f,31fを折り曲げて、分割してもよい。
【0077】
次に、このような半導体装置1並びに半導体モジュール10の所定の装置に対する締結について、まず、図14を用いて説明する。図14は、第1の実施の形態の半導体装置並びに半導体モジュールの締結のための部品を説明するための図である。なお、図14(A)は、締結部品60の、図14(B)は、座金65の斜視図をそれぞれ示している。また、図14(C-1)は、半導体モジュール10の端部に用いる座金65aの斜視図であって、図14(C-2)は、図14(C-1)の座金65aの反対側から見た斜視図である。
【0078】
半導体装置1が配置される所定の装置の一例として冷却装置の場合について説明する。半導体装置1を冷却装置の冷却面に締結する際に、半導体装置1の締結孔3eに対して締結部品60及び座金65が用いられる。締結部品60は、ねじ部61と頭部62とを備えている。
【0079】
ねじ部61は、円筒状を成して、下端部が縮径して、側面にねじ溝(図示を省略)が形成されている。頭部62の直径はねじ部61の直径よりも大きい。座金65は、ワッシャー部66と位置決め部67とを含んでいる。ワッシャー部66は、平面視で中心部に挿通孔66aが形成された、平板状であって連続する環状を成している。位置決め部67は、ワッシャー部66の主面に挿通孔66aの周囲を連続して取り囲んで形成され、挿通孔66aと同様の直径で貫通された筒状を成している。位置決め部67の外径は、半導体装置1の締結孔3eの直径に対応する。
【0080】
半導体装置1を冷却装置の冷却面に配置して、半導体モジュール10a,10b,10cの間の締結孔3eを冷却面の固定孔に位置合わせする。締結孔3eに座金65を取り付ける。この際、座金65の位置決め部67を締結孔3eに取り付けて、締結部品60のねじ部61を、座金65を通じて冷却装置の固定孔(図示を省略)に螺合させる。以上により、半導体装置1を所定の装置に締結することができる。
【0081】
次いで、半導体装置1から個片化された後の1つの半導体モジュール10を冷却装置の冷却面に締結する場合について説明する。半導体モジュール10を冷却装置の冷却面に締結する際に、半導体モジュール10の締結部31eに対して締結部品60及び座金65aが用いられる。なお、これらの締結部品60及び座金65aは、半導体モジュール10のみに限らず、半導体装置1の両端部(短側面2b,2d及び短側部3b,3d)の締結部31eに対しても用いてよい。
【0082】
座金65aは、図14(C-1),(C-2)に示されるように、ワッシャー部66とスペーサ部68と、を含んでいる。ワッシャー部66は、図14(B)と同様である。スペーサ部68は、ワッシャー部66の主面に、挿通孔66aの周囲の一部と共にワッシャー部66の外径の一部を取り囲んで形成されている。すなわち、スペーサ部68は、挿通孔66aと同様の直径で貫通され、外径がワッシャー部66と同様の筒状のものからその一部を切り欠き加工されて構成されている。また、スペーサ部68の(±Z方向の)厚さは、放熱板30の厚さ程度であってよい。
【0083】
このような締結部品60及び座金65aを用いた半導体モジュール10の締結について図15及び図16を用いて説明する。図15は、第1の実施の形態の締結された半導体モジュールの側面図であり、図16は、第1の実施の形態の締結された半導体モジュールの平面図である。図15は、冷却装置80に締結された半導体モジュール10を+Y方向に見た側面図である。
【0084】
冷却装置80の冷却面81に半導体モジュール10を配置する。半導体モジュール10の放熱板30の締結部31eと冷却装置80の冷却面81とは段差を成している。座金65aのスペーサ部68を冷却面81に配置して、スペーサ部68が設けられていないワッシャー部66の領域を放熱板30の締結部31eの周囲に配置する。これにより、ワッシャー部66のおもて面は冷却面81に平行となり、ワッシャー部66の挿通孔66aは冷却面81の固定孔に対向する。締結部品60のねじ部61を、座金65aを通じて冷却装置の固定孔(図示を省略)に螺合させる。以上により、半導体モジュール10を冷却装置80に締結することができる。
【0085】
上記の半導体装置1は、複数の半導体チップ45と、放熱ベース3と、ケース2とを含んでいる。放熱ベース3は、複数の半導体チップ45がそれぞれ配置される複数のユニット領域32がおもて面に設定された複数の放熱板30を備え、平面視で矩形状を成し、複数の放熱板30が長手方向に沿って含まれる。ケース2は、放熱ベース3のおもて面に設けられ、複数の放熱板30上の複数のユニット領域32をそれぞれ覆う複数のモジュールケース20を含む。さらに、半導体装置1は、側面視で、ケース2の複数のモジュールケース20の間にそれぞれ形成された複数のケース溝4a及び放熱ベース3の複数の放熱板30の間にそれぞれ形成された複数のベース溝5aを含む。また、ケース2はケース溝4aにより構成される連結梁21fにより複数のモジュールケース20が連結されている。放熱ベース3はベース溝5aにより構成される連結梁31fにより複数の放熱板30が連結されている。したがって、半導体装置1は、連結梁21f,31fにより複数の半導体モジュール10が連結されている。このような半導体装置1は、複数の半導体モジュール10を連結する連結梁21f,31fを切断するだけで、所望の仕様を満たすために必要な個数の半導体モジュール10を含ませることができる。このため、半導体装置1の使用者は、半導体装置1だけで様々な仕様に適用可能な製品の選択肢が広がる。また、半導体装置1の製造者は、複数の製造ラインを用意する必要がないため、製造コストを抑制でき、汎用性が高く、製造効率が向上した半導体装置1を製造することが可能となる。
【0086】
また、上記の半導体装置1を個片化せずに使用する場合、すなわち、連結梁21f,31fが含まれる場合には、ケース2のケース溝4aが設けられている。このため、半導体装置1がケース溝4aでたわみやすくなり、応力の集中を抑制することができる。すなわち、封止部材28等の半導体装置1の各構成部材の膨張及び収縮を吸収できるため、接合部材等に対するクラックの発生を抑制できる。
【0087】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、第1の実施の形態の半導体装置1において、ケース2に含まれる複数のモジュールケース20が予め分割されている場合である。この場合の半導体装置について、図17図19を用いて説明する。図17は、第2の実施の形態の半導体装置の平面図であり、図18は、第2の実施の形態の半導体装置の側面図である。図19は、第2の実施の形態の半導体装置に含まれる半導体モジュールの側面図である。なお、図17図19の視線は、図1図2及び図6にそれぞれ対応している。
【0088】
半導体装置1aは、第1の実施の形態の半導体装置1において、ケース2の複数のモジュールケース20が予め分離されて、それぞれ、放熱ベース3の放熱板30に設置されている。複数のモジュールケース20の間隔は、第1の実施の形態のケース溝4aと同様でよい。その他の構成は、半導体装置1と同様である。なお、第2の実施の形態では、ケース2は、複数のモジュール20が予め分離されているため、ケース溝4aが含まれない。
【0089】
このような半導体装置1aの放熱板30の連結梁31fを切断刃70で切断することで、複数の半導体モジュール10に分割することができる。なお、連結梁31fは、第1の実施の形態と同様に、切断刃70を用いて切断してよい。また、例えば、プレス方式や折り曲げ方式等を適用してもよい。
【0090】
このような半導体装置1aでも、連結梁31fにより複数の半導体モジュール10が連結されている。半導体装置1aは、複数の半導体モジュール10を連結する連結梁31fを切断するだけで、所望の仕様を満たすために必要な個数の半導体モジュール10を含ませることができる。このため、半導体装置1aの使用者は、半導体装置1aだけで様々な仕様に適用可能な製品の選択肢が広がる。また、半導体装置1の製造者は、複数の製造ラインを用意する必要がないため、製造コストを抑制でき、汎用性が高く、製造効率が向上した半導体装置1aを製造することが可能となる。
【0091】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、第1の実施の形態の半導体装置1において、放熱ベース3に含まれる放熱板30が予め分割されている場合について説明する。この場合の半導体装置について、図20図22を用いて説明する。図20は、第3の実施の形態の半導体装置の平面図であり、図21は、第3の実施の形態の半導体装置の側面図である。図22は、第3の実施の形態の半導体装置に含まれる半導体モジュールの側面図である。なお、図20図22の視線は、図1図2及び図6にそれぞれ対応している。
【0092】
半導体装置1bは、第1の実施の形態の半導体装置1において、放熱ベース3の複数の放熱板30が予め分離されている。ケース2の複数のモジュールケース20が複数の放熱板30にそれぞれ設置されている。複数の放熱板30の間隔は、第1の実施の形態のベース溝5aと同様でよい。その他の構成は、半導体装置1と同様である。なお、第3の実施の形態では、放熱ベース3は、複数の放熱板30が予め分離されているため、ベース溝5aが含まれない。
【0093】
このような半導体装置1bのモジュールケース20の連結梁21fを切断刃70で切断することで、複数の半導体モジュール10に個片化することができる。なお、連結梁21fは、第1の実施の形態と同様に、切断刃70を用いて切断してよい。また、例えば、プレス方式や折り曲げ方式等を適用してもよい。
【0094】
このような半導体装置1bでも、連結梁21fにより複数の半導体モジュール10が連結されている。半導体装置1bは、複数の半導体モジュール10を連結する連結梁21fを切断するだけで、所望の仕様を満たすために必要な個数の半導体モジュール10を含ませることができる。このため、半導体装置1bの使用者は、半導体装置1bだけで様々な仕様に適用可能な製品の選択肢が広がる。また、半導体装置1bの製造者は、複数の製造ラインを用意する必要がないため、製造コストを抑制でき、汎用性が高く、製造効率が向上した半導体装置1bを製造することが可能となる。
【符号の説明】
【0095】
1、1a、1b 半導体装置
2 ケース
2a、2c 長側面
2b、2d 短側面
2e 挿通部
3 放熱ベース
3a、3c 長側面
3b、3d 短側面
3e 締結孔
4 ケース連結部
4a ケース溝
5 ベース連結部
5a ベース溝
10、10a~10c 半導体モジュール
20 モジュールケース
21a、21b、21c、21d 側面
21e 窪み
21f 連結梁
21g 隙間
21h 上面
22 端子台
23 収納部
24 第1接続端子
24a 第1内端部
25 第2接続端子
25a 第2内端部
26 出力端子
26a 内端部
27 制御端子
27a 内端部
28 封止部材
30 放熱板
31a、31b、31c、31d 側面
31e 締結部
31f 連結梁
31g 隙間
32 ユニット領域
40 半導体ユニット
41 絶縁回路基板
42 絶縁板
43a、43b 回路パターン
44 金属板
45 半導体チップ
45a 制御電極
51 制御ワイヤ
52~55 主電流ワイヤ
60 締結部品
61 ねじ部
62 頭部
65、65a 座金
66 ワッシャー部
66a 挿通孔
67 位置決め部
68 スペーサ部
70 切断刃
80 冷却装置
81 冷却面
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