IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社KDDIテクノロジーの特許一覧

特開2024-82298情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
<>
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図1
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図2
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図3
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図4
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082298
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/136 20170101AFI20240613BHJP
【FI】
G06T7/136
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196029
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】592008055
【氏名又は名称】株式会社KDDIテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】森 英一
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA02
5L096AA06
5L096CA02
5L096DA02
5L096DA03
5L096FA14
5L096FA15
5L096FA54
5L096FA62
5L096GA51
5L096MA07
(57)【要約】
【課題】画像を用いた黒サビ検出においてノイズの影響を抑制する。
【解決手段】検査対象の物品を撮像した画像データと、画像データにおいて物品にサビが生じている領域を示す領域情報と、を取得する取得部131と、画像データを構成する画素のうち、領域情報が示す物品においてサビが生じている領域の画素ごとの明度及び彩度に基づいて、画像データを構成する各画素をクラスタリングするクラスタリング部132と、クラスタリング部132が生成したクラスタの中から、クラスタの中心の明度が第1閾値以下であるクラスタに含まれる画素数に基づいて、黒サビの有無を判定する判定部133と、判定部133の判定結果に応じた情報を通知する出力部134と、を有する情報処理装置1である。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の物品を撮像した画像データと、前記画像データにおいて前記物品にサビが生じている領域を示す領域情報と、を取得する取得部と、
前記画像データを構成する画素のうち、前記領域情報が示す前記物品においてサビが生じている領域の画素ごとの明度及び彩度に基づいて、前記画像データを構成する各画素をクラスタリングするクラスタリング部と、
前記クラスタリング部が生成したクラスタの中から、クラスタの中心の明度が第1閾値以下であるクラスタに含まれる画素数に基づいて、黒サビの有無を判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に応じた情報を通知する出力部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記クラスタリング部が生成したクラスタの中から、クラスタの中心の明度が第1閾値以下であり、かつクラスタ中心の彩度が第2閾値以下であるクラスタに含まれる画素数に基づいて、黒サビの有無を判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記クラスタリング部が生成したクラスタのうち、クラスタの中心の明度が前記第1閾値以下であるクラスタに含まれる画素数の、前記物品においてサビが生じている領域の画素数に対する割合が第3閾値以上である場合に、黒サビが生じていることを判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記クラスタリング部が生成したクラスタのうち、クラスタの中心の明度が第1閾値以下であるクラスタに含まれる画素数の、画像全体の画素数に対する割合が第4閾値以上である場合に、警告するメッセージを通知する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第4閾値の設定を受付ける受付部をさらに有し、
前記出力部は、前記クラスタリング部が生成したクラスタのうち、クラスタの中心の明度が第1閾値以下であるクラスタに含まれる画素数の、画像データにおいて検査対象の物品が写りこむ領域の画素数に対する割合が、前記受付部が受付けた前記第4閾値以上である場合に、警告するメッセージを通知する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記画像データにおいて撮像されている物品においてサビが生じている領域を特定する特定部をさらに有し、
前記取得部は、前記取得部が取得した前記画像データに基づいて前記特定部が生成した前記領域情報を取得する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータが実行する、
検査対象の物品を撮像した画像データと、前記画像データにおいて前記物品にサビが生じている領域を示す領域情報と、を取得するステップと、
前記画像データを構成する画素のうち、前記領域情報が示す前記物品においてサビが生じている領域の画素ごとの明度及び彩度に基づいて、前記画像データを構成する各画素をクラスタリングするステップと、
前記クラスタリングするステップにおいて生成したクラスタの中から、クラスタの中心の明度が第1閾値以下であるクラスタに含まれる画素数に基づいて、黒サビの有無を判定するステップと、
前記判定するステップにおける判定結果に応じた情報を通知するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
検査対象の物品を撮像した画像データと、前記画像データにおいて前記物品にサビが生じている領域を示す領域情報と、を取得するステップと、
前記画像データを構成する画素のうち、前記領域情報が示す前記物品においてサビが生じている領域の画素ごとの明度及び彩度に基づいて、前記画像データを構成する各画素をクラスタリングするステップと、
前記クラスタリングするステップにおいて生成したクラスタの中から、クラスタの中心の明度が第1閾値以下であるクラスタに含まれる画素数に基づいて、黒サビの有無を判定するステップと、
前記判定するステップにおける判定結果に応じた情報を通知するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象物を撮像した画像データが示す色に基づいてサビを特定する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-159793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
様々な種類のサビのうち、黒サビは美感等の問題から、点検において特に注視する必要があるが、従来技術においては画素単位の情報に基づいて黒サビを検出するため、撮影ノイズ等を黒サビとして誤検出する場合があるという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、画像を用いた黒サビ検出においてノイズの影響を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置においては、検査対象の物品を撮像した画像データと、前記画像データにおいて前記物品にサビが生じている領域を示す領域情報と、を取得する取得部と、前記画像データを構成する画素のうち、前記領域情報が示す前記物品においてサビが生じている領域の画素ごとの明度及び彩度に基づいて、前記画像データを構成する各画素をクラスタリングするクラスタリング部と、前記クラスタリング部が生成したクラスタの中から、クラスタの中心の明度が第1閾値以下であるクラスタに含まれる画素数に基づいて、黒サビの有無を判定する判定部と、前記判定部の判定結果に応じた情報を通知する出力部と、を有する。
【0007】
前記判定部は、前記クラスタリング部が生成したクラスタの中から、クラスタの中心の明度が第1閾値以下であり、かつクラスタ中心の彩度が第2閾値以下であるクラスタに含まれる画素数に基づいて、黒サビの有無を判定してもよい。
【0008】
前記判定部は、前記クラスタリング部が生成したクラスタのうち、クラスタの中心の明度が前記第1閾値以下であるクラスタに含まれる画素数の、前記物品においてサビが生じている領域の画素数に対する割合が第3閾値以上である場合に、黒サビが生じていることを判定してもよい。
【0009】
前記出力部は、前記クラスタリング部が生成したクラスタのうち、クラスタの中心の明度が第1閾値以下であるクラスタに含まれる画素数の、画像全体の画素数に対する割合が第4閾値以上である場合に、警告するメッセージを通知してもよい。
【0010】
前記第4閾値の設定を受付ける受付部をさらに有し、前記出力部は、前記クラスタリング部が生成したクラスタのうち、クラスタの中心の明度が第1閾値以下であるクラスタに含まれる画素数の、画像データにおいて検査対象の物品が写りこむ領域の画素数に対する割合が、前記受付部が受付けた前記第4閾値以上である場合に、警告するメッセージを通知してもよい。
【0011】
前記画像データにおいて撮像されている物品においてサビが生じている領域を特定する特定部をさらに有し、前記取得部は、前記取得部が取得した前記画像データに基づいて前記特定部が生成した前記領域情報を取得してもよい。
【0012】
本発明の第2の態様の情報処理方法においては、コンピュータが実行する、検査対象の物品を撮像した画像データと、前記画像データにおいて前記物品にサビが生じている領域を示す領域情報と、を取得するステップと、前記画像データを構成する画素のうち、前記領域情報が示す前記物品においてサビが生じている領域の画素ごとの明度及び彩度に基づいて、前記画像データを構成する各画素をクラスタリングするステップと、前記クラスタリングするステップにおいて生成したクラスタの中から、クラスタの中心の明度が第1閾値以下であるクラスタに含まれる画素数に基づいて、黒サビの有無を判定するステップと、前記判定するステップにおける判定結果に応じた情報を通知するステップと、を有する。
【0013】
本発明の第3の態様のプログラムにおいては、コンピュータに、検査対象の物品を撮像した画像データと、前記画像データにおいて前記物品にサビが生じている領域を示す領域情報と、を取得するステップと、前記画像データを構成する画素のうち、前記領域情報が示す前記物品においてサビが生じている領域の画素ごとの明度及び彩度に基づいて、前記画像データを構成する各画素をクラスタリングするステップと、前記クラスタリングするステップにおいて生成したクラスタの中から、クラスタの中心の明度が第1閾値以下であるクラスタに含まれる画素数に基づいて、黒サビの有無を判定するステップと、前記判定するステップにおける判定結果に応じた情報を通知するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、画像を用いた黒サビ検出においてノイズの影響を抑制するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態にかかる情報処理システムSの概要を示す図である。
図2】実施形態にかかる情報処理システムSの概要を示す図である。
図3】情報処理装置1の構成を示すブロック図である。
図4】出力部134が提示する画面の一例を示す図である。
図5】情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[情報処理システムSの概要]
図1及び図2は、実施形態にかかる情報処理システムSの概要を示す図である。情報処理システムSは設備点検を支援するためのシステムであり、点検対象の設備の画像データに基づいて黒サビの発生有無を判定するためのシステムである。情報処理システムSは情報処理装置1及び情報端末2を有する。情報処理装置1及び情報端末2はネットワークを介して通信可能に接続されている。
【0017】
情報処理装置1は、点検対象の設備におけるサビの発生状況について画像解析により判定するための装置である。より具体的には、情報処理装置1は、点検対象の設備において生じているサビのうち、黒サビが生じているか否かを判定する。情報処理装置1は、例えばサーバである。情報端末2は、例えば設備の点検をするユーザが使用する端末である。情報端末2は、スマートフォン、タブレット又はパーソナルコンピュータである。
【0018】
情報処理システムSにおける処理について説明する。情報処理装置1は、画像データPを取得する(図1における(1))。画像データPは、点検対象の設備を撮像した撮像装置が生成したデータである。一例として、情報処理装置1は、画像データPを画像解析し、領域情報Rを生成する。領域情報Rは、画像データにおいて撮像されている物品にサビが生じていると疑われる部分に対応する画素の集合を示す情報である。情報処理装置1は、画像データPにおける黒サビの有無を判定する(図1における(2))。
【0019】
図2を用いて判定処理の詳細について説明する。情報処理装置1は、画像データPを構成する画素のうち、領域情報Rが示すサビが生じている領域の画素を、それぞれの画素の明度及び彩度に基づいてクラスタリングし、複数のクラスタ(図2におけるC1、C2、C3及びC4)を生成する。情報処理装置1は、生成した複数のクラスタそれぞれについての中心の明度及び彩度が閾値以下であるクラスタを特定し(図2におけるC1及びC2)、特定したクラスタに含まれる画素数に基づいて、画像データPに撮像された物品における黒サビの有無を判定する。一例として、情報処理装置1は、特定したクラスタに含まれる画素数と、領域情報Rが示すサビが生じている画素数と、の割合が閾値以上である場合に、黒サビが生じていると判定する。
【0020】
情報処理装置1は、判定結果を情報端末2に出力する(図1における(3))。情報処理装置1がこのように構成されることで、画像を用いた黒サビ検出においてノイズの影響を抑制し、判定精度を向上させるという効果を奏する。
【0021】
[情報処理装置1の構成]
図3は情報処理装置1の構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、通信部11、記憶部12及び制御部13を有する。制御部13は、取得部131、クラスタリング部132、判定部133、出力部134、受付部135及び特定部136を有する。
【0022】
通信部11は、ネットワークを介して他の装置とデータの送受信をするための通信インターフェースである。記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。
【0023】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部131、クラスタリング部132、判定部133、出力部134、受付部135及び特定部136として機能する。
【0024】
取得部131は、検査対象の物品を撮像した画像データPと、画像データPにおいて物品にサビが生じている領域を示す領域情報と、を取得する。取得部131は、情報端末2から画像データPを取得する。取得部131は、後述するように特定部136が画像データPに基づいて生成した領域情報を取得する。なお、取得部131は、情報端末2から領域情報を取得してもよいし、不図示の外部装置から領域情報を取得してもよい。
【0025】
クラスタリング部132は、画像データPを構成する画素のうち、領域情報が示す物品においてサビが生じている領域の画素ごとの明度及び彩度に基づいて、画像データPを構成する各画素をクラスタリングする。クラスタリング部132は、各画素の明度及び彩度を変数として、画像データPを構成する各画素をクラスタリングし、複数のクラスタを生成する。一例として、クラスタリング部132は、k-means又はx-meansの手法に基づいて画像データPを構成する画素をクラスタリングする。
【0026】
判定部133は、クラスタリング部132が生成したクラスタの中から、クラスタの中心の明度が第1閾値以下であるクラスタに含まれる画素数に基づいて、黒サビの有無を判定する。判定部133はクラスタリング部132が生成したクラスタそれぞれのうち、中心の明度が第1閾値以下であるクラスタを特定する。第1閾値は黒サビが生じている場合に発する色の明度の統計値に基づいて決定される値である。クラスタの中心は、例えばクラスタのセントロイドである。判定部133は、一例として明度が第1閾値以下であるクラスタに含まれる画素数が所定の閾値以上である場合に、画像データPに含まれる検査対象の物品に黒サビが生じていると判定する。判定部133は、後述するように明度が第1閾値以下であるクラスタに含まれる画素数の割合に基づいて黒サビが生じているか否かを判定してもよい。
【0027】
出力部134は、表示させる画面を生成し、情報端末2に表示させるよう制御する。出力部134は、メッセージを情報端末2に送信してもよい。出力部134は、判定部133の判定結果に応じた情報を通知する。図4は、出力部134が表示する画面の一例を示す図である。図4に示す画面においては、判定対象の画像を表示する箇所(以下、「画像表示箇所)と言う)O01、クラスタリング結果を表示する箇所(以下、「結果表示箇所」と言う)O02、判定対象の画像を選択するためのインターフェースO03及び通知箇所O04を含む。ユーザは、インターフェースO03において、判定対象の画像データPを選択し、「判定」ボタンを押すと、取得部131は、選択された画像データPを情報端末2から取得する。インターフェースO03においては、さらに領域情報を選択するためのインターフェースが含まれていてもよい。
【0028】
画像表示箇所O01においては、インターフェースO03において選択された画像データPが表示されている。図4に示す画像表示箇所O01においては、領域情報が示す、検査対象の物品においてサビが生じている領域が画像データPに重畳して表示されている。出力部134は、黒サビが生じていると判定部133が判定する画素を異なる態様で表示してもよい。一例として、出力部134は、黒サビが生じていると判定部133が判定する画素に所定の色の画像を重畳して表示してもよい。一例として、判定部133は、中心の明度が第1閾値以下のクラスタに属する画素を、黒サビが生じている画素として判定してもよい。
【0029】
結果表示箇所O02においては、クラスタリング部132が画像データPを構成する画素をクラスタリングし、各画素及び生成したクラスタの分布が表示されている。結果表示箇所O02においては、画像データPを構成する各画素が明度及び彩度に基づいてプロットされている。結果表示箇所O02においては、同一のクラスタに属する画素を他のクラスタに属する画素と区別できる態様で、各画素がプロットされている。一例として、結果表示箇所O02においては、同一のクラスタに属する画素を線で囲んで表示してもよいし、クラスタごとに異なる色で各画素を表示してもよい。
【0030】
黒サビが生じていると判定部133が判定した場合、通知箇所O04においては、黒サビが生じていることを示すメッセージが表示される。
【0031】
情報処理装置1がこのように構成されることで、画像を用いた黒サビ検出においてノイズの影響を抑制するという効果を奏する。
【0032】
明度に加えて彩度にさらに基づいて黒サビが生じているかを判定するよう情報処理装置1が構成されることで、より高い精度で黒サビの有無を判定することができる。
【0033】
判定部133は、クラスタリング部132が生成したクラスタの中から、クラスタの中心の明度が第1閾値以下であり、かつクラスタ中心の彩度が第2閾値以下であるクラスタに含まれる画素数に基づいて、黒サビの有無を判定してもよい。判定部133はクラスタリング部132が生成したクラスタそれぞれの中心について、明度が第1閾値以下であり、かつ、彩度が第2閾値以下であるクラスタを特定する。第2閾値は黒サビが生じている場合に発する色の彩度の統計値に基づいて決定される値である。判定部133は、明度が第1閾値以下であり、かつ、彩度が第2閾値以下であるクラスタに含まれる画素数が所定の閾値以上である場合に、画像データPに含まれる検査対象の物品に黒サビが生じていると判定する。
【0034】
判定部133がクラスタの中心の彩度に基づいて黒サビの有無を判定するよう構成されることで、より高い精度で黒サビの有無を判定することができる。
【0035】
中心の明度が閾値以下のクラスタに含まれる画素数と、サビが生じている領域の画素数と、の割合に基づいて黒サビの有無を判定するよう情報処理装置1が構成されることで、判定におけるノイズの影響を軽減させることができる。
【0036】
判定部133は、クラスタリング部132が生成したクラスタのうち、クラスタの中心の明度が第1閾値以下であるクラスタに含まれる画素数の、物品においてサビが生じている領域の画素数に対する割合が第3閾値以上である場合に、黒サビが生じていることを判定する。判定部133は、中心の明度が第1閾値以下であり、かつ、中心の彩度が第2閾値以下であるクラスタに含まれる画素数を分子とし、領域情報が示すサビが生じている領域の画素数を分母とする割合を算出する。判定部133は、算出した割合が第3閾値以上である場合に、画像データPに含まれる検査対象の物品に黒サビが生じていることを判定する。第3閾値はノイズの影響で生じうる閾値以下の明度の画素の割合に基づいて設定される値である。なお、判定部133は、クラスタの中心の明度が第1閾値以下であり、かつクラスタの中心の彩度が第2閾値以下であるクラスタに含まれる画素数と、物品においてサビが生じている領域の画素数と、の割合に基づいて黒サビが生じているか否かを判定してもよい。
【0037】
上記の説明においては、中心の明度が閾値以下のクラスタに含まれる画素数と、サビが生じている領域の画素数と、の割合に基づいて黒サビの有無を判定する例について説明したが、中心の明度が閾値以下のクラスタに含まれる画素数と、画像データPを構成する画素数と、の割合に基づいてメッセージを表示するか否かを判定してもよい。このように情報処理装置1が構成されることで、黒サビの量に鑑みて適切なタイミングに通知することができる。一例として、検査対象の物品が一定の方法で撮像されている場合、画像データ全体に対する所定の画素数の割合が高い画像データを通知対象とすることで、サビが生じている領域に対する黒サビが生じている領域の割合が低い場合であっても黒サビが生じている領域が多く保全の優先度が高い物品について通知することができる。一定の方法は、検査対象の物品が画像データPに写りこむ画素数が一定の範囲に含まれるように撮像する撮像方法である。一例として、検査対象の物品のサイズ、撮像装置の画素数等の設定又は撮像装置と物品との距離、検査対象の物品を撮像する方向等が予め定められた方法である。また、画像データPに基準となる長さを示す物体が映り込むよう検査対象の物品を撮像する方法であってもよい。
【0038】
出力部134は、クラスタリング部132が生成したクラスタのうち、クラスタの中心の明度が第1閾値以下であるクラスタに含まれる画素数の、画像全体の画素数に対する割合が第4閾値以上である場合に、警告するメッセージを通知する。第4閾値は、検査対象の物品の性質や物品の管理ポリシーに基づいて設定される値である。警告するメッセージは、一例として検査対象の物品において黒サビが一定の領域において生じていることを示すメッセージや、保全作業の検討を促すメッセージである。
【0039】
判定部133は、中心の明度が第1閾値以下であるクラスタに含まれる画素数を分子とし、画像データPを構成する全ての画素数を分母とする割合を算出してもよい。判定部133は、算出した割合が第4閾値以上である場合に、画像データPに含まれる検査対象の物品に黒サビが生じていることを判定する。
【0040】
なお、判定部133は中心の明度が第1閾値以下であり、かつ、中心の彩度が第2閾値以下であるクラスタに含まれる画素数を分子とし、画像データPを構成する全ての画素数を分母とする割合を算出してもよい。この場合、判定部133は、算出した割合が第4閾値以上である場合に、画像データPに含まれる検査対象の物品に黒サビが生じていることを判定する。
【0041】
クラスタの中心の明度が閾値以下の画素数と、画像データPにおいて検査対象の物品が映り込んでいる画素数と、の割合に基づいて黒サビの有無を判定するよう情報処理装置1が構成されてもよい。この場合、特定部136は、既知の画像解析処理により、画像データPにおいて検査対象の物品が映り込んでいる画素を特定し、判定部133は、クラスタの中心の明度が閾値以下の画素数と、画像データPにおいて検査対象の物品が映り込んでいる画素数と、の割合が所定の閾値以上であるか否かを判定する。出力部134は、クラスタの中心の明度が閾値以下の画素数と、画像データPにおいて検査対象の物品が映り込んでいる画素数と、の割合が所定の閾値以上であると判定部133が判定する場合に、警告するメッセージを通知する。
【0042】
第4閾値はユーザにより設定可能とし、ユーザから受付けた第4閾値の値に基づいて判定するように情報処理装置1が構成されてもよい。これにより、ユーザが使用する環境や状況に適するタイミングでメッセージを出力させることができる。
【0043】
受付部135は、第4閾値の設定を受付ける。出力部134は、第4閾値の設定を受付ける画面を情報端末2に表示させ、受付部135は、ユーザが表示された画面上に入力した第4閾値を受付ける。判定部133は、特定したクラスタに属する画素数と、画像データを構成する画素数と、の割合が、受付部135が受付けた第4閾値以上である場合にメッセージを出力することを判定する。
【0044】
出力部134は、クラスタリング部132が生成したクラスタのうち、クラスタの中心の明度が第1閾値以下であるクラスタに含まれる画素数の、画像データPにおいて検査対象の物品が写りこむ領域の画素数に対する割合が、受付部135が受付けた第4閾値以上である場合に、警告するメッセージを通知する。
【0045】
取得した画像データPを画像解析することによりサビが生じている領域を特定するよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0046】
特定部136は、画像データPにおいて撮像されている物品においてサビが生じている領域を特定する。記憶部12は、検査対象の物品を撮像した画像データと、画像データに含まれる物品にサビが生じている領域と、を教師データとして学習した学習済みモデルであって、検査対象の物品が撮像された画像データを入力とし、画像データに含まれる物品にサビが生じている領域を示す領域情報を出力する学習済みモデルを記憶している。特定部136は、記憶部12に記憶された学習済みモデルに取得部131が取得した田雑データPを入力し、領域情報を出力させる。取得部131は、取得部131が取得した画像データPに基づいて特定部136が生成した領域情報を取得する。
【0047】
[情報処理装置1における処理の流れ]
図5は、情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。図5におけるフローチャートは画像データを取得する時点から開始している。
【0048】
取得部131は、画像データPを取得する(S01)。特定部136は、画像データPに撮像されている検査対象の物品においてサビが生じている領域を特定し、領域情報を生成する(S02)。クラスタリング部132は、画像データPを構成する画素をクラスタリングする(S03)。
【0049】
判定部133は、中心の明度が第1閾値以下のクラスタを特定する(S04)。判定部133は、中心の明度が第1閾値以下であり、かつ、中心の彩度が第2閾値以下であるクラスタを特定してもよい。判定部133は、特定したクラスタに含まれる画素数と、領域情報が示すサビが生じている領域に含まれる画素数と、の割合を算出する(S05)。
【0050】
判定部133は、算出した割合が第3閾値以上であるか否かを判定する(S06)。算出した割合が第3閾値以上である場合(S06におけるYES)、出力部134は、黒サビが生じていることを情報端末2に通知し(S07)、出力部134は、判定結果の詳細を示す画面を情報端末2に表示させる(S08)。そして情報処理装置1は、処理を終了する。
【0051】
算出した割合が第3閾値以上でない場合(S06におけるNO)、出力部134は、判定結果の詳細を示す画面を情報端末2に表示させる(S08)。そして情報処理装置1は、処理を終了する。
【0052】
[情報処理装置1による効果]
情報処理装置1が取得した画像データPを構成する各画素をクラスタリングし、各クラスタの中心の明度に基づいて黒サビの有無を判定することで、画像を用いた黒サビ検出においてノイズの影響を抑制するという効果を奏する。
【0053】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0054】
1 情報処理装置
2 情報端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 取得部
132 クラスタリング部
133 判定部
134 出力部
135 受付部
136 特定部
図1
図2
図3
図4
図5