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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000823
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】信号伝送装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/02 20060101AFI20231226BHJP
   G06F 3/00 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H04L25/02 303Z
H04L25/02 V
G06F3/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099758
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 圭亮
【テーマコード(参考)】
5K029
【Fターム(参考)】
5K029AA02
5K029CC01
5K029DD24
5K029JJ08
(57)【要約】
【課題】ノイズの低減と、他の装置との間の信号線路における信号の反射の低減とを実現できる信号伝送装置を提供する。
【解決手段】信号伝送装置は、回路基板と、前記回路基板に設けられ、外部の装置と差動信号を伝送するケーブルを着脱可能なコネクタと、前記回路基板に実装される集積回路と、前記回路基板に設けられており、前記集積回路と前記コネクタとの間で前記差動信号の授受を行うための信号線路と、前記信号線路に設けられており、前記集積回路から出力されるノイズを抑制するためのコモンモードチョークコイルと、前記信号線路において、前記コモンモードチョークコイルと前記コネクタとの間に設けられたリタイマICと、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
前記回路基板に設けられ、外部の装置と差動信号を伝送するケーブルを着脱可能なコネクタと、
前記回路基板に実装される集積回路と、
前記回路基板に設けられており、前記集積回路と前記コネクタとの間で前記差動信号の授受を行うための信号線路と、
前記信号線路に設けられており、前記集積回路から出力されるノイズを抑制するためのコモンモードチョークコイルと、
前記信号線路において、前記コモンモードチョークコイルと前記コネクタとの間に設けられたリタイマICと、を含む信号伝送装置。
【請求項2】
前記コモンモードチョークコイルは、前記集積回路から前記信号線路へ前記差動信号を出力する端子の直近に設けられている請求項1に記載の信号伝送装置。
【請求項3】
前記リタイマICは、
前記差動信号を受信し、シングルエンド信号を出力する受信部と、前記受信部から出力される前記シングルエンド信号からデータおよびクロックを生成するクロックデータリカバリ部と、前記クロックデータリカバリ部によって生成されるデータを前記クロックのタイミングで記憶するエラスティックバッファと、前記エラスティックバッファからデータを読み出すためのクロックを生成するクロック生成部と、前記エラスティックバッファから読み出されるデータを入力し、差動信号を出力する送信部と、を含む請求項1または請求項2に記載の信号伝送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
信号伝送装置にUSB-ICなどのコントローラICが実装されることがある。例えば、USB-ICは、USB(Universal Serial Bus)信号を出力する。USB信号は、USBの規格に準拠した差動信号である。USB信号は、コネクタを介して、信号伝送装置の外部の装置に入力される。
【0003】
ここで、コントローラICにおいて発生するノイズを低減するために、コモンモードチョークコイル(CMCC:Common Mode Choke Coil)を設けることがある。コモンモードチョークコイル(以下、CMCCと記すことがある)は、例えば、コントローラICとコネクタとの間に設けられる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-135760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
信号伝送装置においては、ノイズを低減するとともに、信号伝送装置と他の装置との間の信号線路における信号の反射について考慮する必要がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ノイズの低減と他の装置との間の信号線路における信号の反射の低減を実現できる信号伝送装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある態様による信号伝送装置は、回路基板と、前記回路基板に設けられ、外部の装置と差動信号を伝送するケーブルを着脱可能なコネクタと、前記回路基板に実装される集積回路と、前記回路基板に設けられており、前記集積回路と前記コネクタとの間で前記差動信号の授受を行うための信号線路と、前記信号線路に設けられており、前記集積回路から出力されるノイズを抑制するためのコモンモードチョークコイルと、前記信号線路において、前記コモンモードチョークコイルと前記コネクタとの間に設けられたリタイマICと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示にかかる信号伝送装置によれば、ノイズの低減と、他の装置との間の信号線路における信号の反射の低減とを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、比較例の信号伝送装置の要部の構成を示す図である。
図2図2は、図1の構成においてケーブル側に反射するコモンモード信号の例を示す図である。
図3図3は、実施形態による信号伝送装置の要部を示す図である。
図4図4は、リタイマICの構成例を示す図である。
図5図5は、CMCCの例を示す外観図である。
図6図6は、図5のCMCCに差動信号を入力した場合の周波数特性を示す図である。
図7図7は、図5のCMCCにコモンモード信号を入力した場合の周波数を示す図である。
図8図8は、信号伝送装置におけるノイズの測定について説明する図である。
図9図9は、信号伝送装置におけるノイズの測定について説明する図である。
図10図10は、ノイズに関する評価の例を示す図である。
図11図11は、信号伝送装置に関して、コネクタ側から見た反射特性の測定について説明する図である。
図12図12は、信号伝送装置に関して、コネクタ側から見た反射特性の測定について説明する図である。
図13図13は、図3の構成においてケーブル側に反射するコモンモード信号の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の信号伝送装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、各実施形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。各実施形態は例示であり、異なる実施の形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能である。以下の各実施形態の説明において、他の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本開示の要旨を逸脱しない範囲で構成の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0011】
(比較例)
本開示の理解のため、比較例について先に説明する。
【0012】
図1は比較例の信号伝送装置10aの要部の構成を示す図である。図1において、信号伝送装置10aは、回路基板1aと、コントローラIC11と、コネクタ20と、CMCC12と、信号線路15と、を有する。コントローラIC11、コネクタ20、CMCC12、および、信号線路15は、回路基板1aに実装される。
【0013】
コネクタ20は、回路基板1aに設けられている。コネクタ20は、ケーブル2を着脱できる。コネクタ20にケーブル2を接続することにより、信号伝送装置10aに対して、図示しない外部の装置を電気的に接続できる。ケーブル2は、例えば、外部の装置に差動信号を伝送するケーブルである。
【0014】
コントローラIC11は、所定の規格に沿った信号を入出力できるコントローラとしての機能を有する集積回路である。コントローラIC11は、回路基板1aに実装される。コントローラIC11は、図示しない外部の装置がコネクタ20に接続されている場合に、コネクタ20を介して外部の装置と差動信号の授受を行う集積回路である。コントローラIC11は、例えば、USB信号を入出力できるUSB-ICである。コントローラIC11は、コントローラとしての機能を有するCPU(Central Processing Unit)であってもよい。
【0015】
信号線路15は、回路基板1aに設けられている。信号線路15は、コントローラIC11とコネクタ20との間において、差動信号の授受を行うための線路である。CMCC12は、信号線路15に設けられている。CMCC12は、コントローラIC11から出力されて信号線路15を伝送する信号のコモンモードノイズを抑制する。
【0016】
図1に示す信号伝送装置10aにおいて、コントローラIC11から出力される信号は、信号線路15を伝送し、コネクタ20およびケーブル2を介して図示しない外部の装置に伝送される。また、図示しない外部の装置から出力される信号は、ケーブル2およびコネクタ20を介して信号伝送装置10aに入力される。信号伝送装置10aに入力される信号は、信号線路15を伝送してコントローラIC11に入力される。信号線路15を伝送する信号のコモンモードノイズは、CMCC12によって低減される。このため、信号伝送装置10aからコネクタ20を介してケーブル2へ流れるコモンモードノイズはCMCC12によって低減される。
【0017】
ここで、CMCC12は、コントローラIC11とコネクタ20との間に設けられている。このため、コントローラIC11から出力される信号については、周波数帯域によっては、矢印Y1で示すようにCMCC12によって反射される。矢印Y1のように反射される信号が信号伝送装置10aの各部に入力されることは好ましくない。
【0018】
また、外部の装置から出力される信号についても、コネクタ20を通過した後、周波数帯域によっては、矢印Y2で示すようにCMCC12によって反射される。矢印Y2のように反射される信号は、コネクタ20を通過してケーブル2に入力される。矢印Y2のように反射される信号がケーブル2を通って外部の装置に入力されることは好ましくない。
【0019】
図2は、図1の構成においてケーブル2側に反射するコモンモード信号の例を示す図である。図2において、横軸は周波数[GHz]、縦軸はSパラメータのScc11[dB]を示す。Scc11は、コモンモード信号の反射特性を示す。
【0020】
図2において、信号範囲100は、所定の規格によって信号の品位に対する指標として定められている範囲である。信号範囲100は、例えば、USBの規格において、USBのコネクタ側に反射するコモンモード信号を規定した範囲である。ここで、ノイズ除去用のCMCC12は、入力されたコモンモード信号を、通過させずに入力側に反射させる特性を持つ。したがって、CMCC12の反射特性により、矢印Y2のように、コネクタ20側にコモンモード信号が反射してしまう。そのため、図1に示す比較例の構成において、は、図2の信号範囲100を外れる部分があり、コモンモードリターンロスの指標を満足することができない。
【0021】
(実施形態)
次に、実施形態による信号伝送装置について説明する。
【0022】
図3は、実施形態による信号伝送装置10の要部を示す図である。図3に示すように、本例の信号伝送装置10は、回路基板1と、コントローラIC11と、コネクタ20と、CMCC12と、信号線路15と、リタイマIC13と、を有する。図1を参照して説明した比較例と異なる点は、信号線路15にリタイマIC13を追加した点である。リタイマIC13は、信号線路15において、CMCC12とコネクタ20との間に設けられている。なお、信号伝送装置10は、例えば、ノート型パーソナルコンピュータ、デスクトップ型パーソナルコンピュータ、ゲーム機などである。
【0023】
(リタイマIC)
リタイマIC13は、入力される差動信号を一旦シングルエンド信号に変換し、さらに差動信号に変換し、出力する。そのため、入力される信号のコモンモード成分は出力信号側に流れない。このとき、リタイマIC13は、入力される差動信号に対応する差動信号を、他のクロックに同期させて出力する。つまり、リタイマIC13は、入力される差動信号を、他のクロックに同期させて再生成する。CMCC12によるコモンモードの反射信号は、リタイマIC13によってキャンセルされる。したがって、コネクタ20側にコモンモードの反射信号が伝送されることは無い。
【0024】
リタイマIC13は、入力された信号を増幅するのではなく、全く新しく信号を作り直す機能を持つ。そのため、リタイマIC13から出力される信号は、入力される信号の影響を受けない。
【0025】
図4は、リタイマIC13の構成例を示す図である。図4において、リタイマIC13は、受信部(Rx)121と、クロックデータリカバリ部(CDR)122と、エラスティックバッファ123と、クロック生成部(Local Clock)124と、送信部(Tx)125とを有する。
【0026】
受信部121は、差動信号110をシングルエンド信号111に変換する。すなわち、受信部121は、差動信号110を受信し、シングルエンド信号111を出力する。
【0027】
クロックデータリカバリ部122は、シングルエンド信号111を入力し、データ112およびクロック113を出力する。すなわち、クロックデータリカバリ部122は、受信部121から出力されるシングルエンド信号111からデータ112およびクロック113を生成する。
【0028】
エラスティックバッファ123は、クロックデータリカバリ部122によって生成されるデータ112およびクロック113を入力する。エラスティックバッファ123は、データ112をクロック113のタイミングで記憶する。
【0029】
クロック生成部124は、エラスティックバッファ123からデータ114を読み出すためのクロックCKを生成する。クロック生成部124は、クロック113とは異なるクロックCKを生成する。
【0030】
送信部125は、データ114を差動信号115に変換する。すなわち、送信部125は、エラスティックバッファ123から読み出されるデータ114を入力し、差動信号115を出力する。
【0031】
(CMCCの例)
図5は、CMCCの例を示す外観図である。図5において、例えば、CMCC12の縦の長さAは0.65[mm]、同じく横の長さBは、0.5[mm]、同じく高さCは、0.3[mm]、である。
【0032】
CMCC12は、4つの端子T11、T12、T21およびT22を有する。端子T11と端子T12とは、例えば、信号線路15において、CMCC12のコントローラIC11側に接続される。端子T21と端子T22とは、例えば、図1中の信号線路15において、CMCC12のコネクタ20側に接続される。
【0033】
CMCC12を信号線路15に設けることによって、差動信号の伝送時に発生するコモンモードノイズを抑制することができる。一般的に、コモンモードノイズの発生源は、差動信号を生成するコントローラIC11である。また、ノイズの放射に関しては、コントローラIC11から発生したコモンモードノイズが、信号線路15に伝送することで、信号線路15上からノイズが放射することが一般的である。コントローラIC11からCMCC12に伝送したコモンモードノイズをコントローラIC11側に反射させることで、通過するノイズを抑制することができる。したがって、図3に示すように、信号線路15において、コントローラIC11とリタイマIC13との間にCMCC12を搭載することで、信号線路15から放射するコモンモードのノイズNを抑制することができる(図3中のX印)。
【0034】
図3の信号線路15において、CMCC12は、コントローラIC11から信号線路15へ差動信号を出力する端子T1、T2の直近に設けられていることが好ましい。端子T1、T2の直近に設ければ、ノイズを抑制する効果が大きい。ここで、無線通信規格の5[GHz]の通信帯域へのノイズの影響を抑制するには、例えば、5[GHz]に対応する1波長である約6[cm]の半分の3[cm]以内を端子T1、T2の直近とする。なお、この「3[cm]」は、一般的な基板材料であるFR-4(Flame Retardant Type 4)の比誘電率4.5を加味した波長短縮結果である。すなわち、コントローラIC11およびCMCC12を実装する基板上において、端子T1、T2から3[cm]以内の配線長でCMCC12を実装することが好ましい。
【0035】
(CMCCの周波数特性)
図6および図7は、図5のCMCC12の周波数特性を示す図である。図6は、図5のCMCC12に差動信号を入力した場合の周波数特性を示す図である。図6において、横軸は周波数[Hz]、縦軸はSパラメータのSdd11[dB]を示す。また、図7は、図5のCMCC12にコモンモード信号を入力した場合の周波数を示す図である。図7において、横軸は周波数[Hz]、縦軸はSパラメータのScc11[dB]を示す。図7中の周波数f1は、無線通信規格の2.4[GHz]に相当する。周波数f2は、無線通信規格の5[GHz]に相当する。これらの周波数f1およびf2の近傍の周波数帯において、本例のCMCC12は、良好な反射特性を有する。
【0036】
図3に戻り、リタイマIC13とコネクタ20との間にCMCC12を搭載した場合、コネクタ20側にコモンモード信号が矢印Y3で示すように反射してしまう。ここで、リタイマIC13は、差動信号を新たに再生成することで、信号を補正するICである。したがって、リタイマIC13から出力される信号は、矢印Y3で示すように反射するコモンモードの反射信号の影響を受けない。そこで、図3のようにCMCC12をコントローラIC11とリタイマIC13との間に搭載する。CMCC12によるコモンモードの反射信号は、リタイマIC13によってキャンセルされる。したがって、コネクタ20側にコモンモードの反射信号が伝送されることは無い。
【0037】
(ノイズの測定)
図8および図9は、信号伝送装置10におけるノイズの測定について説明する図である。図8および図9においては、信号伝送装置10と外部の装置16とがケーブル2を介してUSB信号200を授受する場合に、コントローラICとリタイマICとの間の信号線路15から放射するノイズを測定する。本例では、無線通信規格の2.4[GHz]帯域に干渉するノイズの放射レベルについて、スペクトラムアナライザ18を用いて測定した。
【0038】
図8は、コントローラIC11とリタイマIC13との間の信号線路15にCMCCを搭載していない場合の計測状況を示す。図9は、コントローラIC11とリタイマIC13との間の信号線路15にCMCC12を搭載している場合の計測状況を示す。
【0039】
図8および図9において、電波暗箱300に信号伝送装置10を載置し、信号伝送装置10内にアンテナ14を設けた。アンテナ14は、コントローラICが実装されている基板から10cm離れた位置に設けた。アンテナ14は、無線通信規格の2.4[GHz]帯域に干渉するノイズの放射レベルを受信できるアンテナである。アンテナ14に接続されたケーブルC1をプリアンプ17に接続し、プリアンプ17によって増幅した信号をケーブルC2によってスペクトラムアナライザ18に入力した。コネクタ20には、ケーブル2を介して外部の装置16を接続した。外部の装置16は、本例でSDD(Solid State Drive)による記憶装置である。
【0040】
図10は、ノイズに関する評価の例を示す図である。図10において、横軸は周波数(frequency)[MHz]、縦軸はノイズレベル(Noise Level)[dBm]、である。
【0041】
図10中の実線は、信号を出力していない状態(No communication)を示す。図10中の破線は、図8のようにCMCCを設けずに(No CMCC)、USB4の信号を出力している状態を示す。図10中の一点鎖線は、図9のようにCMCCを設けて(with CMCC)、USB4の信号を出力している状態を示す。図10中の破線の楕円Dで示すように、無線通信規格の2.4[GHz]帯域に関して、約4.5[dBm]の改善を確認できた。したがって、図3に示すように、信号伝送装置10内のノイズNを低減できる。
【0042】
(反射特性の測定)
図11および図12は、信号伝送装置10に関して、コネクタ20側から見た反射特性の測定について説明する図である。図11および図12に示すように、コネクタ20に治具40を接続し、ネットワークアナライザ19によって反射特性を測定した。すなわち、コネクタ20において矢印Y4のように反射する信号について、コモンモードリターンロス、すなわちScc11を測定した。
【0043】
図11は、コントローラIC11とリタイマIC13との間の信号線路15にCMCCを搭載していない場合の計測状況を示す。図12は、コントローラIC11とリタイマIC13との間の信号線路15にCMCC12を搭載している場合の計測状況を示す。
【0044】
治具40は、信号線路15のコネクタ20から50Ωの同軸線に変換する治具である。図11および図12のいずれの場合においても、ケーブルC3、C4によって、治具40において変換されるコモンモード信号Tx+、Tx-を、ネットワークアナライザ19のチャンネルCh1、Ch3に入力した。ネットワークアナライザ19により、コネクタ20側から見たコモンモードリターンロス、すなわちScc11を測定した。
【0045】
図13は、図3の構成においてケーブル2側に反射するコモンモード信号の例を示す図である。図13において、横軸は周波数[GHz]、縦軸はSパラメータのScc11[dB]を示す。図2を参照して説明したコモンモード信号101とは異なり、コモンモード信号102は信号範囲100内において変化する信号である。したがって、コモンモード信号102は、所定の規格を満たしている。
【0046】
以上のように、信号伝送装置10においては、コントローラICとリタイマICとの間の信号線路15上に、例えば無線通信規格の2.4[GHz]通信帯域に干渉するノイズを抑制するCMCC12を実装している。これにより、コモンモードリターンロス、すなわちScc11の規格を満足しつつ、無線通信規格の通信帯域に干渉するノイズの放射を抑制できる。
【符号の説明】
【0047】
1、1a 回路基板
2 ケーブル
10、10a 信号伝送装置
11 コントローラIC
13 リタイマIC
14 アンテナ
15 信号線路
20 コネクタ
121 受信部
122 クロックデータリカバリ部
123 エラスティックバッファ
124 クロック生成部
125 送信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13