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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082319
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】自動取引装置
(51)【国際特許分類】
   G07F 19/00 20060101AFI20240613BHJP
   G07D 11/00 20190101ALI20240613BHJP
【FI】
G07F19/00
G07D11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196079
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】山中 章義
(72)【発明者】
【氏名】阿部 洋之
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA07
3E141BA07
3E141CA14
3E141CB04
3E141FJ02
3E141FK05
(57)【要約】
【課題】 紙の通帳の継続使用を金融機関機及び顧客の双方にとって円滑に行うことができる自動取引装置を提供する。
【解決手段】 本発明の自動取引装置は、操作表示部を介して顧客が操作することにより所定の取引に係る処理を行う自動取引装置において、前記取引において、顧客が保持する紙媒体の通帳が継続使用できるか否かをホスト端末との間で通帳継続使用照会電文を授受することにより照会する第1の制御手段と、前記通帳継続使用照会電文の応答結果に基づき、前記通帳を継続使用できるように前記ホスト端末との間で通帳継続使用実行電文を授受することにより処理を実行する第2の制御手段とを有することを特徴とする。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作表示部を介して顧客が操作することにより所定の取引に係る処理を行う自動取引装置において、
前記取引において、顧客が保持する紙媒体の通帳が継続使用できるか否かをホスト端末との間で通帳継続使用照会電文を授受することにより照会する第1の制御手段と、
前記通帳継続使用照会電文の応答結果に基づき、前記通帳を継続使用できるように前記ホスト端末との間で通帳継続使用実行電文を授受することにより処理を実行する第2の制御手段と
を有することを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記第1の制御手段は、所定のタイミングで、顧客に対して前記通帳からWeb通帳へ切り替え可能であることを案内する案内画面を前記操作表示部に表示することを特徴とする請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記第1の制御手段は、前記通帳から読み取った口座情報の科目が普通預金の場合のみ、前記ホスト端末に前記通帳が継続使用できるか否かを照会することを特徴とする請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記取引は、前記通帳を継続使用できるように処理する専用取引である通帳継続取引、入金取引、出金取引、又は通帳記帳取引であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の自動取引装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、未利用(不稼働)口座の増大等による、管理コストの増大に伴い、各金融機関では様々な対策が講じられている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
例えば、コスト削減の一環として、所定期間(例えば、数年以上)、通帳への記入(記帳)がされていない等、所定の条件を満たす顧客の口座に対しては、通帳による取引を制限する運用を行っている金融機関も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-165910号公報
【特許文献2】特開2021-189860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、通帳による取引を制限された場合、キャッシュカードによる取引は継続可能だとしても、通帳による取引を継続したい顧客も存在する。この場合、金融機関の窓口(窓口端末)において、通帳の使用を継続する手続きを行わなければならない。そうすると、却って金融機関の負担(窓口業務の負荷)が大きくなり、また、顧客にとっても手間の掛かることになる。
【0006】
そのため、紙の通帳の継続使用を金融機関機及び顧客の双方にとって円滑に行うことができる自動取引装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、操作表示部を介して顧客が操作することにより所定の取引に係る処理を行う自動取引装置において、(1)前記取引において、顧客が保持する紙媒体の通帳が継続使用できるか否かをホスト端末との間で通帳継続使用照会電文を授受することにより照会する第1の制御手段と、(2)前記通帳継続使用照会電文の応答結果に基づき、前記通帳を継続使用できるように前記ホスト端末との間で通帳継続使用実行電文を授受することにより処理を実行する第2の制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、紙の通帳の継続使用を金融機関機及び顧客の双方にとって円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1、第2の実施形態のATMの制御系の構成を示すブロック図である。
図2】第1、第2の実施形態に係る自動取引システムの全体構成を示す全体構成図である。
図3】第1、第2の実施形態に係るATMの外観構成を示す外観斜視図である。
図4】第1の実施形態に係るATMの特徴動作(通帳継続取引に係る処理)
図5】第1の実施形態に係る取引選択画面の構成例について示す説明図である。
図6】第1の実施形態に係るWeb通帳案内画面の構成例について示す説明図である。
図7】第1の実施形態に係る通帳継続使用確認画面の構成例について示す説明図である。
図8】第2の実施形態に係るATMの特徴動作(出金取引における通帳継続使用に係る処理)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(A)第1の実施形態
以下では、本発明の自動取引装置の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。第1の実施形態では、本発明の自動取引装置をATMに適用した例について説明する。
【0011】
(A-1)第1の実施形態の構成
【0012】
(A-1-1)全体構成
図2は、第1の実施形態に係る自動取引システムの全体構成を示す全体構成図である。図2において、自動取引システム5は、ネットワークNに接続可能な、ATM1、及びホストコンピュータ2を有して構成される。
【0013】
ネットワークNは、金融取引に関するデータを通信することができる通信網であり、例えば、専用網を適用することができる。また、ネットワークNは、金融取引に関するデータを通信することができるのであれば公衆網としても良い。
【0014】
ATM1は、例えば、金融機関、駅、コンビニエンスストア、ホテル等に設けられている現金自動預け払い装置(ATM)である。なお、変形例として、ATM1の代わりに、通帳等の紙媒体を用いて取引可能な装置に適用することができる。
【0015】
ATM1は、ネットワークNを介して、ホストコンピュータ2と通信可能であり、例えば、振り込み取引、預け入れ取引(入金取引)、引き出し取引(出金取引)、等の各種金融取引を行うものである。なお、図2では、説明を容易にするために、1台のATM1のみ図示している。しかし、実際には、複数台のATM1のそれぞれが、ネットワークNを介して、ホストコンピュータ2と接続する。
【0016】
ホストコンピュータ2は、金融機関のホストコンピュータであり、ATM1から取引に関する情報を取得すると、取得した取引に関する情報に基づいて、顧客が行なった取引の内容を管理するものである。また、ホストコンピュータ2は、所定の条件(例えば、紙の通帳への記入が所定期間行われていない等)に合致する顧客の口座に対して、紙の通帳による取引を制限する処理を行っている。紙の通帳による取引を制限の解除は、後述する動作の項で述べるようにATM1と電文のやりとりを行うことにより解除することができる。
【0017】
(A-1-2)ATM1の詳細な構成
図3は、第1の実施形態に係るATMの外観構成を示す外観斜視図である。
【0018】
図3において、第1の実施形態のATM1は、操作表示部12、カード入出口13、紙幣入出口14、硬貨入出口15、レシート排出口16、及び通帳入出口17を有する。
【0019】
操作表示部12は、例えば、取引種類の選択メニュー画面、各取引の操作画面、取引内容の確認画面等を表示したり、顧客が入力した入力情報を取り込んだりするものである。操作表示部12は、例えば、タッチパネル方式の操作表示部を適用することができる。なお、操作表示部12は、操作部と表示部とが一体となったタッチパネル方式のものに限らず、操作部と表示部とがそれぞれ物理的に別の構成のものであってもよい。
【0020】
カード入出口13は、利用者がキャッシュカードを挿入したり又はキャッシュカードを取り出したりするものである。
【0021】
紙幣入出口14は、顧客が紙幣を挿入したり又は紙幣を取り出したりするものである。紙幣入出口14は、例えば、開閉可能な開閉体を有するバケットタイプのものを用いても良いし、若しくは、開閉体を有しないバケットタイプのものを用いることができる。顧客が紙幣を投入するときには、例えば、開閉体を有するバケットタイプの場合、開閉体がバケットの開口部を開けた後、顧客はバケットの開口部に紙幣を投入し、その後ATM1は、開閉体が閉じて投入された紙幣を取り込む。またATM1が紙幣を返却するときには、ATM1はバケットに紙幣を繰り出し、その後、開閉体が開放する。なお、紙幣入出口14は、紙幣を投入する紙幣入口と紙幣を放出する紙幣出口とが一体となったものに限らず、紙幣入口と紙幣出口とがそれぞれ物理的に別の構成のものであってもよい。
【0022】
硬貨入出口15は、顧客が硬貨を投入したり又は硬貨を取り出したりするものである。硬貨入出口15も、例えば、開閉体が開口部を開閉可能なバケットタイプのものを用いても良いし、若しくは、開閉体を有しないバケットタイプのものを用いても良い。この場合も、紙幣入出口14と同様に、顧客が硬貨を投入するときには、例えば、開閉体を有するバケットタイプの場合、開閉体がバケットの開口部を開けた後、顧客はバケットの開口部に硬貨を投入し、その後ATM1は、開閉体を閉じて投入された硬貨を取り込む。またATM1が硬貨を返却するときには、ATM1はバケットに硬貨を繰り出し、その後、開閉体が開放する。なお、硬貨入出口15は、硬貨を投入する硬貨入口と硬貨を放出する硬貨出口とが一体となったものに限らず、硬貨入口と硬貨出口とがそれぞれ物理的に別の構成のものであってもよい。
【0023】
レシート排出口16は、取引内容を印刷したレシートを排出するものである。
【0024】
通帳入出口17は、顧客により挿入される通帳を受け入れたり又は通帳を排出したりするものである。
【0025】
図1は、第1の実施形態のATMの制御系の構成を示すブロック図である。図1において、ATM1は、制御部10、記憶部20、通信部30、操作表示制御部40、カード処理部50、通帳処理部60、紙幣入出金部70、硬貨入出金部80、及び明細票発行部90を有する。
【0026】
制御部10は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、記憶部20から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引、収納処理や出金取引等の種々の処理を行う。
【0027】
制御部10が備える取引処理部11は、ホストコンピュータ2と連携して、各取引に係る処理を行う機能部である。
【0028】
記憶部20は、制御部10が実行する処理プログラム等を記憶するものあり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等により構成される。記憶部20には、利用者が行なった取引の情報である取引情報、発生した障害の内容を示す情報等の障害発生情報等のジャーナルデータ等が記憶される。
【0029】
通信部30は、ネットワークNを介して、ホストコンピュータ2と接続するためのネットワークインタフェースである。
【0030】
操作表示制御部40は、制御部10の制御の下、操作表示部12の動作を制御するものである。操作表示制御部40は、制御部10から画面情報に基づいて、操作表示部12に画面を表示させたり、又は操作表示部12から入力された情報を制御部10に与えたりするものである。
【0031】
カード処理部50は、制御部10の制御の下、カード入出口13からキャッシュカードを取り込んだり又は排出したりするものである。また、カード処理部50は、カード入出口13から挿入されたキャッシュカードの格納部(例えば、磁気格納部やICチップ等)に格納されているカード情報を読み取り、そのカード情報を制御部10に与えるものである。
【0032】
通帳処理部60は、制御部10の制御の下、通帳入出口17から通帳を取り込んだり又は排出したりするものである。また、通帳処理部60は、通帳入出口17から挿入された通帳の格納部(例えば、磁気データ格納部)に格納されている通帳情報を読み取り、その通帳情報を制御部10に与えるものである。
【0033】
紙幣入出金部70は、制御部10の制御の下、紙幣を金種別に収納・管理するものである。
【0034】
硬貨入出金部80は、制御部10の制御の下、硬貨を金種別に収納・管理するものである。
【0035】
明細票発行部90は、制御部10の制御の下、取引明細票に取引結果を印刷して、レシート排出口16から発行(排出)を行うものである。
【0036】
(A-1-3)取引処理部11の詳細な構成
取引処理部11は、顧客との取引処理を行うための情報処理(顧客への操作画面の提示や操作受付に伴う処理を含む)や取引処理に伴ってATM1内の各構成要素の制御等を行うものである。
【0037】
第1の実施形態のATM1(取引処理部11)は、何らかの要因により金融機関(ホストコンピュータ2)によって、通帳(紙媒体)の使用が制限された口座に対して、通帳の使用を継続するための取引(通帳継続取引)を選択できる画面(後述する取引選択画面)を操作表示部12に表示する。
【0038】
取引処理部11は、取引選択画面を介して、顧客から通帳継続取引を受け付けた場合には、ホストコンピュータ2と電文(後述する通帳継続使用照会電文、通帳継続使用実行電文等)のやりとりを行うことにより、通帳を継続して使用することが可能となる。これ以上の取引処理部11の詳細は動作の項で述べる。
【0039】
(A-2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態の自動取引システム5の動作を説明する。
【0040】
図4は、第1の実施形態に係るATMの特徴動作(通帳継続取引に係る処理)を示すフローチャートである。
【0041】
まず、初期状態(顧客待ち状態)として、取引処理部11の制御に基づいて、操作表示部12に、取引の種類を選択することが可能な操作画面(以下、「取引選択画面」と呼ぶ)が表示されているものとする。例えば、図5に示すような取引選択画面100である。そして、ここでは、顧客により、上述の取引選択画面100で、「通帳継続」が押下(選択)されたものとして説明する(S101)。
【0042】
次に、取引処理部11は、操作表示部12に、通帳(紙媒体)からWeb通帳への切り替えを案内するための操作画面(以下、「Web通帳案内画面」と呼ぶ)を表示させる(S102)。
【0043】
図6は、第1の実施形態に係るWeb通帳案内画面の構成例について示す説明図である。
【0044】
図6に示すWeb通帳案内画面200には、Web通帳への切替を促す旨のメッセージと共に、通帳の継続使用を受付けるための通帳継続ボタン210と、Web通帳への切替に移行するためのWeb通帳切替ボタン220が配置されている。なお、図6のWeb通帳案内画面200は、あくまで一例であって、例えば、Web通帳案内画面200に表示するメッセージ(図やアニメーション等を含んでも良い)には、Web通帳の利点等を簡潔に表示しても良い。
【0045】
そして、取引処理部11は、上述のWeb通帳案内画面200を介して、顧客から通帳の継続使用又はWeb通帳への切替の選択を受付ける処理を行う(S103)。取引処理部11は、顧客から通帳の継続使用を実行する旨(通帳継続ボタン210の押下)を受付けた場合には、後述するステップS104へ移行し、一方、顧客からWeb通帳への切替を実行する旨(Web通帳切替ボタン220の押下)を受付けた場合には、後述するステップS116へ移行する。
【0046】
次に、取引処理部11は、上述のWeb通帳案内画面200を介して、顧客から通帳の継続使用を受け付けた場合、操作表示部12に通帳の挿入を要求する画面(例えば、「通帳を挿入してください」というメッセージを表示した画面)を表示させる。そして、顧客により、通帳入出口17に通帳が挿入されたものとする(S104)。
【0047】
取引処理部11は、挿入された通帳の磁気ストライプ等に保持されている顧客の口座情報から科目を取得し、当該科目が普通預金か否かを判定する(S105)。この実施形態では、継続使用の対象口座(科目)は普通預金のみとするが、対象口座を限定しない場合(又はATM1で判断しない場合)には当該ステップS105の処理は省略しても良い。取引処理部11は、科目が普通預金の場合には、後述するステップS106へ移行し、一方、科目が普通預金以外の場合には、後述するステップS116へ移行する。
【0048】
取引処理部11は、上述のステップS105で顧客が継続使用を希望する通帳(口座)が普通預金であった場合、通帳継続使用が可能であるか否かをホストコンピュータ2に問い合わせる(S106)。
【0049】
具体的には、ATM1からホストコンピュータ2に通帳継続使用照会電文を送信する。一方、ホストコンピュータ2は、通帳継続使用照会電文を受信すると、受信した通帳継続使用照会電文に基づいて、当該顧客の口座について、紙の通帳の継続使用を許可できるか否か(及び紙の通帳の継続使用の処理が必要か否か)を判定する。ホストコンピュータ2は、判定した情報を含む通帳継続使用照会電文の応答電文をATM1へ返信する。
【0050】
取引処理部11は、通帳継続使用照会電文に対する応答電文の情報から紙の通帳の継続使用が許可されているか判定する(S107)。取引処理部11は、通帳の継続使用が許可されている場合には、後述するステップS108へ移行し、一方、通帳の継続使用が許可されていない場合には、後述するステップS116へ移行する。
【0051】
次に、取引処理部11は、通帳継続使用照会電文に対する応答電文の情報から紙の通帳の継続使用の要否を判定する(S108)。取引処理部11は、通帳の継続使用が必要な場合には、後述するステップS109へ移行し、一方、通帳の継続使用が不要な場合には、後述するステップS116へ移行する。
【0052】
取引処理部11は、上述のステップS108の処理で通帳の継続使用に係る処理が必要と判定された場合、顧客に通帳の継続使用を最終確認するための画面(以下、「通帳継続使用確認画面」と呼ぶ)を表示させる(S109)。
【0053】
図7は、第1の実施形態に係る通帳継続使用確認画面の構成例について示す説明図である。
【0054】
図7に示す通帳継続使用確認画面300には、通帳の継続使用を行う旨のメッセージと共に、通帳の継続使用に係る処理の実行を受付けるための確認ボタン310が配置されている。なお、図7の通帳継続使用確認画面300は、あくまで一例であって、例えば、通帳の継続使用に係る処理を中止するためのキャンセルボタンを追加で配置しても良い。また、上述のステップS102、S103で顧客から通帳の継続使用を行いたい旨は1度確認しているので、当該ステップS109及び後述するステップS110の処理を省略しても良い。
【0055】
そして、取引処理部11は、上述の通帳継続使用確認画面300を介して、顧客から確認ボタン310の押下を受付ける処理を行う(S110)。取引処理部11は、確認ボタン310の押下を受け付けた場合には、後述するステップS111へ移行し、一方、確認ボタン310の押下がされていない場合(例えば、一定時間操作されずタイムアウトした場合)には、後述するステップS116へ移行する。
【0056】
取引処理部11は、上述のステップS110で確認ボタン310が押下された場合、通帳の継続使用に係る処理の実行をホストコンピュータ2に依頼する(S111)。
【0057】
具体的には、ATM1からホストコンピュータ2に通帳継続使用実行電文を送信する。一方、ホストコンピュータ2は、通帳継続使用実行電文を受信すると、受信した通帳継続使用実行電文に基づいて、当該顧客の口座について、紙の通帳の継続使用の実行に係る処理を行う(顧客の口座について紙の通帳でも取引を行えるように処理する)。ホストコンピュータ2は、実行結果を含む通帳継続使用照会電文の応答電文をATM1へ返信する。
【0058】
取引処理部11は、通帳継続使用実行電文に対する応答電文の情報から紙の通帳の継続使用の処理が成立したか否か(処理が正常に実行されたか否か)判定する(S112)。取引処理部11は、通帳の継続使用の処理が成立した場合には、後述するステップS113へ移行し、一方、通帳の通帳の継続使用の処理が不成立の場合には、後述するステップS115へ移行する。
【0059】
取引処理部11は、上述のステップS112で通帳の継続使用の処理が成立した場合には、その旨のメッセージを操作表示部12に表示すると共に、記憶部20のジャーナルデータにその内容(成立したホスト通信の履歴等)を記憶する(S113)
そして、取引処理部11は、通帳を通帳入出口17から排出(返却)させる制御を行い、取引を終了する(S114)。
【0060】
一方、取引処理部11は、上述のステップS112で通帳の継続使用の処理が不成立の場合には、その旨のメッセージを操作表示部12に表示すると共に、ジャーナルデータにその内容(不成立のホスト通信の履歴等)を保持する(S115)。
【0061】
取引処理部11は、上述のステップS115の後(上述のステップS103で「Web通帳」が選択された場合、上述のステップS105で「NO」の場合、上述のステップS107で「NO」の場合、上述のステップS108で「不要」の場合、上述のステップS110で「確認ボタンが押下されなかった」場合も同様)には、取引を中断する。
【0062】
また、取引を中断する際に中断理由(「Web通帳」選択/普通科目以外/通帳継続使用照会不成立/通帳継続不要/「確認」押下タイムアウト)をジャーナルデータに保持することも可能とする。
【0063】
なお、上述のステップS103で「Web通帳」が選択された場合には、本取引の終了後に「Web通帳」へ切り替る画面を表示して、顧客を誘導することになる。ATM1において「Web通帳」へ切り替える処理は、例えば、特許文献2に記載の技術を適用できる。
【0064】
(A-3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、金融機関等に設置されるATM1において、顧客の保有している口座(通帳使用不可の口座)に対して、通帳を継続使用できる処理を行う事が可能となった。即ち、顧客の利便性と共に金融機関の窓口業務の負担を軽減させることができる。
【0065】
また、通帳の継続使用の処理、ホストコンピュータ2との通信結果(取引成立/不成立)をジャーナルデータに残すことも可能とする。
【0066】
(B)第2の実施形態
以下では、本発明の自動取引装置の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。第2の実施形態では、本発明の自動取引装置をATMに適用した例について説明する。
【0067】
(B-1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態のATM及び自動取引システムの構成については、第1の実施形態と同様に上述の図1図3を用いて説明することができる。以下では、第2の実施形態について第1の実施形態との差異を説明する。
【0068】
第1の実施形態のATM1(取引処理部11)では、紙の通帳の使用が制限されていた場合、専用の取引(通帳継続取引)を選択して紙の通帳を継続使用する処理(紙の通帳の使用制限を解除する処理)を行っていた。一方、第2の実施形態のATM1(取引処理部11A)では、出金取引等の通常の取引の最中に紙の通帳を継続使用する処理を併せて行う。これ以上の第2の実施形態の取引処理部11Aの詳細は動作の項で述べる。
【0069】
(B-2)第2の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第2の実施形態の自動取引システム5の動作を説明する。
【0070】
図8は、第2の実施形態に係るATMの特徴動作(出金取引における通帳継続使用に係る処理)を示すフローチャートである。なお、図8の処理の内、上述の図4のフローチャートと同一符号に係る処理は、基本的に同一又は類似する処理のため、詳しい説明を省略する。以下では、取引として「出金取引」が選択された例を挙げて説明を行うが、「入金取引」、「通帳記帳」等、他の通帳使用取引についても、通帳継続使用に係る処理については同様である。
【0071】
まず、上述の取引選択画面の表示後、ここでは、顧客により、「出金」が押下(選択)されたものとして説明する(S201)。
【0072】
次に、取引処理部11Aは、操作表示部12に通帳及びカード(通帳と同じ口座のキャッシュカード)の挿入を要求する画面(例えば、「通帳・カードを挿入してください」というメッセージを表示した画面)を表示させたものとする。そして、顧客により、通帳処理部60の通帳入出口17に通帳が挿入され、さらにカード処理部50のカード入出口13にカードが挿入されたものとする(S202)。
【0073】
取引処理部11Aは、顧客から出金取引に必要な出金金額の入力を受付ける処理を行う(S203)。具体的には、取引処理部11Aは、操作表示部12に、出金金額の入力を要求する画面(例えば、ソフトキーを用いた金額入力を受付ける操作画面)を表示して出金金額の入力を受付けるようにしても良い。
【0074】
上述のステップS203の後、上述のステップS105~S108の処理が行われる。ただし、第2の実施形態(図8)では、ステップS108において、通帳継続要否の判定が不要であった場合には、後述するステップS204(出金処理)へ移行する。また、通帳継続要否の判定が必要であった場合には、上述するステップS102へ移行する。取引処理部11Aは、上述のステップS102、S103を実行した後、上述のステップS111~ステップS116(S114は除く)を行う。
【0075】
ステップS113の後(即ち、通帳の継続使用に係る処理が成立した後)、取引処理部11Aは、ホストコンピュータ2と通信して、出金取引に係る情報処理(既存の出金処理と同様の処理)を実行する。
【0076】
そして、取引処理部11Aは、通帳処理部60、カード処理部50、紙幣入出金部70及び硬貨入出金部80を制御して、通帳、カード、及び出金する現金を排出(返却)させて、取引を終了する(S205、S206)。
【0077】
(B-3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。例えば、顧客は自身の通帳が何らかの要因(例えば、未使用期間が数年以上)により使用が制限されている事を知らない場合が多い(知らずに、通帳を用いて出金取引を行う)。このような場合、出金取引の最中に、通帳の継続使用に係る処理を行うことにより、顧客はスムーズに通帳の使用制限の解除を行うことができる(通帳を継続することができる)。
【0078】
(C)他の実施形態
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0079】
(C-1)上記各実施形態では、図4又は図8のフローチャートの中でWeb通帳案内画面200を表示して、紙の通帳からWeb通帳へ誘導する処理(上述のステップS102、ステップS103)を行っていたが、Web通帳案内画面200は表示しなくても良い(又は単なる紙の通帳の継続使用を確認するだけの画面を表示しても良い)。
【0080】
(C-2)変形例として、ATM1は、上記各実施形態、(C-1)で述べた変形例の構成及び/又は機能の全部又は一部を組み合わせて使用しても良い。また、ATM1は、上記各実施形態及び(C-1)で述べた変形例の構成及び/又は機能のうち少なくとも一部を省略しても良い。
【符号の説明】
【0081】
1…ATM、2…ホストコンピュータ、5…自動取引システム、10…制御部、11、11A…取引処理部、12…操作表示部、13…カード入出口、14…紙幣入出口、15…硬貨入出口、16…レシート排出口、17…通帳入出口、20…記憶部、30…通信部、40…操作表示制御部、50…カード処理部、60…通帳処理部、70…紙幣入出金部、80…硬貨入出金部、90…明細票発行部、100…取引選択画面、200…Web通帳案内画面、210…通帳継続ボタン、220…Web通帳切替ボタン、300…通帳継続使用確認画面、310…確認ボタン、N…ネットワーク。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8