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特開2024-82334製鋼工程における脱硫スラグの脱硫方法
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  • 特開-製鋼工程における脱硫スラグの脱硫方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082334
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】製鋼工程における脱硫スラグの脱硫方法
(51)【国際特許分類】
   C21C 7/00 20060101AFI20240613BHJP
   C21C 7/076 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
C21C7/00 J
C21C7/076 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196112
(22)【出願日】2022-12-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】306030275
【氏名又は名称】山田 榮子
(74)【代理人】
【識別番号】393025334
【氏名又は名称】山田 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】山田 勝彦
【テーマコード(参考)】
4K013
【Fターム(参考)】
4K013BA05
4K013CA04
4K013CF01
4K013CF13
4K013FA05
(57)【要約】
【課題】 電炉製鋼における取鍋精錬に供された脱酸脱硫スラグの再使用を図る。
【解決手段】 鋳込終了時に取鍋内に残存した脱酸脱硫スラグをスラグポットに流入し、該スラグを酸素バーナーにより加熱・酸化してスラグ中のS分をSOxとして気化除去する。排ガスは洗浄等に誘導してアルカリ水溶液のスプレイ洗浄により中和する。脱硫されたスラグは直ちに元の取鍋に流入し、受鋼する。スラグがホットリサイクルされる。アルカリにアンモニアを使用すると副産物として硫安が得られる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電炉製鋼における取鍋精錬に供された塩基性の脱酸・脱硫スラグを鋳込み終了後直ちにスラグポットに移し替え、該脱酸・脱硫スラグに溶融状態で酸素ガスを吹き込んでスラグ中のSをSOxガスとして分離・除去することを特徴とする取鍋精錬スラグの脱硫・再生方法。
【請求項2】
下記4条件、
1) 酸素を吹き込む方法が酸素ガスランサーと共用の酸素ガスバーナーによること、
2) 燃焼排ガスの煙道中にSOxセンサーを設けて脱硫の進行を把握すること、
3) 燃焼排ガスを洗浄塔に誘導し、アルカリ水溶液のシャワーによりのSOxを溶解除去すること、
4) 脱硫後のスラグを溶融状態で元の取鍋に直ちに回帰させること、
のうちどれか一つ以上を組み込んだことを特徴とする請求項1に記載した取鍋精錬スラグの脱硫・再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電炉製鋼において精錬後半を担う取鍋精錬に適用される脱酸・脱硫スラグを脱硫して再使用する方法に関している。
【背景技術】
【0002】
電炉製鋼法における現在の主流プロセスは、屑鉄を主原料とし、アーク炉によって該原料を溶解・酸化精錬し、次いで直ちに取鍋に出鋼し、通称LF(Ladle Furnace)によって取鍋内溶鋼をアーク再加熱しつつ還元・脱酸・脱硫に適切なスラグを生成して脱酸・脱硫を終了した後、所定成分・所定温度に誘導・調整する2段処理を経て連続鋳造に供される。
【0003】
精錬後段の作業は以下の段階を経る。
1) 溶解炉内溶鋼を取鍋へ出鋼する。溶解炉スラグの一部が取鍋に流出する。
2) 出鋼中に取鍋へ成分調整材、脱酸剤及び生石灰を主とする造滓材を投入する。
3) 取鍋台車をアーク加熱装置(LF)に誘導し、再加熱し、造滓材を溶解する。
4) 取鍋底に設けた通気プラグから不活性ガスを吹込み溶鋼を撹拌し続ける。
5) スラグを還元する炭材を投入し、保持し、脱酸・脱硫スラグを生成する。
6) 測温・サンプリングし、成分調整、温度調整する。
7) 取鍋をアーク加熱装置から引き出し、連続鋳造装置の架台に上置し、鋳込に供する。
【0004】
脱酸・脱硫スラグの生成は以下の反応に依存する。
a) 上記5)の段階でスラグ組成は以下の塩基性である。
CaO45~55%、SiO2 15~20%、Al2310~15%、MgO5~10%、(FeO+MnO)5~10%である。
b) 炭材の投入によりスラグ中の低級酸化物(FeO+MnO)は容易に還元される。 C+CO2=2CO
(FeO+MnO)+2CO=Fe+Mn+2CO2
c) スラグの脱酸によりSの分配が溶鋼からスラグ側へ移行する。
[FeS]=(FeS)
d) 炭材の一部はアーク下でCaOをも還元し、Caカーバイドを生成する。
CaO+3C=CaC2+CO
e) Caカーバイドはスラグ中のSを固定し、脱硫が完了する。
(FeS)+(CaC2)=(CaS)+Fe+2C
精錬によりスラグ中の低級酸化物FeO+MnOの濃度は約1.0%以下に低下し、
CaS濃度は0から約2~3%に増加する。その過程で溶存酸素濃度は約0.01%から約0.003%、Sは約0.03%から約0.01%に低下する。
【0005】
精錬開始から鋳込終了までの取鍋中のスラグの機能は、アークの安定化・溶鋼の大気による汚染の防止・保温・脱酸・脱硫等である。鋳込終了後、スラグは廃棄される。脱硫能が消費されたので再使用は不能である。
鋳込終了後の当該スラグは通常冷却途上で風滓化(粉体に変成)する。粉塵処理、埋め立て処理の困難等、廃棄には問題多々で、種々の策が講じられているが、いずれも産業廃棄物としての処理が煩雑且つ費用高である。
【0006】
処理方法の事例を検討する。取鍋スラグが冷却時に風砕化せず、固化するようスラグ成分を調整する。具体的には取鍋からスラグポットへの流し込み時に硼砂を主成分とする固化剤をスラグ中に混合する。しばしば実施されているが、混合性が不十分で、固化強度が地盤材として不足する、スラグ量が増加する等の問題がある。
【0007】
特許文献1には、当該スラグは通常冷却途上で風砕化するが、超徐冷すると石化するという新規の知見に基づいて、スラグを保温鋳型中で数10時間保持すると言う方法が開示されている。花崗岩に匹敵する強度が得られる。
原理は、冷却・凝固過程で平衡状態図に従う鉱物組成が凝固・析出・変態の進行に合わせて発現することであろう。
問題は、出鋼サイクルが1時間以内に対して保持時間が数10倍になり、処理スペース、
処理鋳型台数等が過大で実施不能である。
【0008】
特許文献2には、上記方法(スラグの石化)において石化時間を大幅に短縮する方法が開示されている。
それによると、脱酸・脱硫スラグの生成時に石化促進剤として廃石膏(CaS・2H2O)をスラグ質量の約2%を添加することにより石化時間は数時間に短縮される。本方法は実用され、製品は魚礁材に使用されている。
問題は、廃石膏の添加量は多くはないとは言え、CaSによりスラグの脱硫能が低下すること、水和水から溶鋼中へHが侵入して品質上の問題が生ずること等が挙げられる。
【0009】
特許文献3には、溶鋼ではなく溶銑に対する脱硫処理に適用されたスラグの脱硫と脱硫後の再使用方法が開示されている。
それによると、溶銑脱硫スラグは粉化せず固化する。固化したスラグを粉砕(5mm径以下)して、ロータリーキルンに装入、適切な加熱・酸化条件の下で、燃焼し、固体スラグからS分をSOxガスとして抜き取り、石灰CaOを主成分とする残スラグは製鋼工程に移送して再使用する。
脱硫スラグから安定して脱硫するためには酸化条件が重要であり、酸化が過剰であるとスラグ中の鉄粒子が酸化してFeOとなり、これが石灰CaOと反応して低融点のCaフェライトを生成し、粉粒体を溶着・固着させ、脱硫反応を抑制する。最適値が提示されている。
スラグ中の硫化物を加熱・燃焼処理してS分ををSOxとして分離する方式は非鉄精錬における金属硫化物を燃焼( Roasting )する操作と類似する。
【0010】
本方法の問題点は、1)事前にスラグの粉砕工程が必要であること、2)粉粒体を加熱燃焼させる設備(ロータリーキルン)と燃料を必要とすること、3)脱硫速度が小さいこと等、電炉製鋼への応用には魅力に欠ける。しかしスラグ中のSのガス化処理は大いに参考になる。
【0011】
特許文献4には、鋳込後の取鍋内スラグを次回受鋼に向けて同一取鍋にホットリサイクルする方法が開示されている。それによると塩基度1.5以下の中性スラグを使用する特殊高級精錬において、鋳込終了後の取鍋補修のための水平転倒に際して、取鍋に設けられた一種のダムによりスラグの流出を止め、補修後の正転時には底部に溶融スラグを保持したまま次回の受鋼を行う。
造滓材及び造滓材に起因する産業廃棄物が大幅に削減されるだけでなく省エネルギーにも有効である。
【0012】
本方法の問題点は、中性スラグは脱酸には有効でも脱硫機能が全く無い。従って原料を良質材に限定するか事前の脱硫処理が必要になる。量産普通鋼には適さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】公開特許公報2015-36350
【特許文献2】公開特許公報2021-014382
【特許文献3】公開特許公報2014-201805
【特許文献4】公開特許公報平成11-092817
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
電炉製鋼において精錬の後段は、取鍋において溶鋼をアークによって再加熱しつつ、塩基性スラグを形成し、適時炭材を投入して還元性を強化し、溶鋼の脱酸・脱硫を進行させ、溶鋼中のSをスラグ中にCaSとして固定する。脱酸・脱硫に供されたスラグは鋳込終了後には廃棄されるが、冷却途上で風化・粉化して産業廃棄物としての処理が煩雑・処理費高となっている。
スラグの石化処理(一種の恒温熱処理)は投棄に際して問題が無いが、処理能率が極めて小さく実用不能、解決策としての促進剤廃石膏の添加は製品の品質に問題が生ずる。
溶銑脱硫に使用されたスラグの酸化処理による脱硫はスラグの再使用は可能となるが、設備・エネルギー・能率に問題があり電炉製鋼には向かない。
中性スラグを使用する高級鋼の取鍋精錬ではスラグの再使用は可能であるが、中性故に脱硫能が無く、量産普通鋼には適さない。
【0015】
本願発明は、電炉製鋼の取鍋において仕上げ精錬に供される脱酸・脱硫スラグを脱硫処理してスラグの再使用を可能とすること、脱硫を高速処理し、溶融状態のまま後続のチャージの精錬に供すること、即ちスラグのホットリサイクルを可能とすることの2点を解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1の発明は、電炉製鋼における取鍋精錬に供された塩基性の脱酸・脱硫スラグを鋳込み終了後直ちにスラグポットに移し替え、該脱酸・脱硫スラグに溶融状態で酸素ガスを吹き込んでスラグ中のSをSOxガスとして分離・除去することを特徴とする取鍋精錬スラグの脱硫・再生方法である。
【0017】
第2の発明は、下記4条件、
1) 酸素を吹き込む方法が酸素ガスランサーと共用の酸素ガスバーナーによること、
2) 燃焼排ガスの煙道中にSOxセンサーを設けて脱硫の進行を把握すること、
3) 燃焼排ガスを洗浄塔に誘導し、アルカリ水溶液のシャワーによりのSOxを溶解除去すること、
4) 脱硫後のスラグを溶融状態で元の取鍋に直ちに回帰させること、
のうちどれか一つ以上を組み込んだことを特徴とする第1発明に記載した取鍋精錬スラグの脱硫・再生方法である。
【発明の効果】
【0018】
取鍋精錬に供された脱酸・脱硫スラグは、鋳込終了後溶融状態で酸素ガス吹込みにより酸化処理され、スラグ中のSがSOxガスとして分離・除去され、該スラグは造滓材として再使用に供することが可能になる。造滓材の使用量及び廃スラグの産業廃棄物処理量とも大幅に削減される。多少の燃料の消費があるとは言え、産業廃棄物の削減は余りある。
【0019】
取鍋精錬に必要な脱酸・脱硫スラグは溶融状態で供されるので溶解熱量が不要になり、且つ取鍋精錬能率が向上するので電力省エネルギーが得られる。
【0020】
スラグの脱硫処理により発生したSOxガスは、大気中に放散されることなく、簡単なアルカリ洗浄装置により水中に中和処理され、大気汚染にはならない。沈澱晶出したアルカリ硫酸塩は、例えば硫安となって肥料として有効利用される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】脱酸・脱硫に供された取鍋精錬スラグの脱硫処理を実施する概念図である。
図2】取鍋精錬スラグをリサイクルする作業方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
取鍋精錬に当たり、塩基性の生石灰を主とする造滓材が出鋼中取鍋内に装入される。出鋼に際して炉内スラグの一部も取鍋に持ち越される。
精錬開始時のスラグ組成は、CaO45~55%、Si
2 15~20%、Al2310~15%、MgO5~10%、低級酸化物(FeO+MnO)は5~15%である。
精錬はアーク加熱しつつ、密閉に近づけた状態で炭材を投入して、C,COにより低級酸化物を還元し、還元後FeSの分配が溶鋼からスラグに移行(脱硫反応)する。
3C+CaO=CaC2+CO
FeO+CO=Fe+CO2
MnO+CO=Mn+CO2
[FeS]=(FeS)
(FeS)+CaC2=CaS+Fe+2C
取鍋精錬が終了した段階でスラグ組成は、(FeO+MnO)が2.0%以下に低下、
CaSが0からCaSが2~4%に増加する。
【0023】
上記脱酸脱硫後のSを含有するスラグからSを除去する方法を図1に従って説明する。
鋳込終了後、取鍋(図示せず)に残留した脱酸脱硫スラグは、スラグポット1に流入される。スラグポット1内の脱酸脱硫スラグ2には少量の残溶鋼が混入する。
流入後直ちに酸素ランスを共用する酸素バーナー3により該脱酸脱硫スラグ2を加熱する。該酸素バーナー3はコヒーレント酸素ジェットバーナーとして市販され広く使用されており、ランサーとしても共用可能であり、これを適時操作して酸化と吹付圧による撹拌を付加する。
【0024】
酸素ジェットは残溶鋼に作用すると酸化によって溶鋼が昇温し、且つFeOを生成し、スラグの融点を下げ、流動性が増し、スラグの酸化促進に有利に作用する。
【0025】
酸素バーナーによる酸化・加熱によってスラグ中のSは燃焼してSOxガスとなって排ガス中に放散する。
CaS+2O2=CaO+SO3
CaS+4FeO=CaO+4Fe+SO3
SOxの生成は燃焼ガスの臭気からも知覚することができる。燃焼ガスは煙道4を介して洗浄塔5に送られる。洗浄塔5でアルカリ性水溶液のシャワー6によってSOxガスが吸収除去され大気に放出される。洗浄塔5の底部の水溶液はポンプによりシャワー6へ循環される。分岐弁8により一部は冷却沈殿槽9へ移相され硫酸塩10が沈澱晶出し系外へ移送される。洗浄水とアルカリは適宜補充する。
反応の終点は、煙道4内に設置されたSOxセンサー11の連続測定により適時判断する。
【0026】
上記脱酸脱硫スラグの脱硫処理を現行製鋼作業に効果的に活用する方法を図2に従って説明する。
鋳込終了後の取鍋21を傾転して脱酸脱硫スラグ22をスラグポット23に流入させる。該スラグポット23は酸素バーナー24と前記排煙洗浄塔等とから成る脱硫装置へ誘導し、直ちに酸素バーナー24により加熱・酸化・撹拌を作用させる。約20分の処理によりスラグ中のSの過半が気化して除去される。
他方、該取鍋21は横転状態でノズル26等の補修を行い、直立して次回受鋼に待機する。前記スラグポット23内の脱硫処理がなされたスラグ25を該取鍋21に流入し、回帰する。
【0027】
スラグの酸化処理によりスラグ中のCaS濃度は約2~4%から約1%以下に減少、
FeOは約1%から約5%に増加する。
スラグの燃焼により生ずる化学反応を検討する。
3反応A,B,Cが想定される。
(A) <CaS>+(O2)= <CaO>+SO)
ΔG°=-37170-0.7T (298-1760K)
(B) <CaS>+3/2(O2)= <CaO>+(SO2
ΔG°=-108390-16.61T (298-2000K)
(C) <CaS>+2(O2)= <CaO>+(SO3
ΔG°=-130990-37.97T (298-1800K)
1800K(1523℃)で比較すると
ΔG°(A)=-38430cal/mol
ΔG°(B)=-138288cal/mol
ΔG°(C)=-199336cal/mol
ΔG°=-RTlnK (R=1.987cal/deg・mol) で平衡定数を求めると
K(A)=a(CaO)xP(SO)/a(CaS)xP(O2)=46390
K(B)=a(CaO)xP(SO2)/a(CaS)x(P(O2))3/2=6.19x1016
K(C)=a(CaO)xP(SO3)/a(CaS)xP(O2)=1.615x1024
となる。固体CaSを高温で酸化すると三酸化硫黄(SO3:無水硫酸)ガスが主として生じ、空気中の水分と反応して硫酸霧が生成すると推測される。
平衡定数値からはCaSの活量と気相の酸素分圧が可成り低くても、Cの反応が優先して起こりそうである。
【0028】
前記のスラグのホットリサイクル方式の操業による効果は、造滓材の使用量が格段に減少する。理論的には原単位は0%に接近する。産業廃棄物が大幅削減される効果は付随の手作業・管理作業を軽減する。
従来方式では出鋼時に造滓材が投入され、精錬スラグに変性するには加熱時間と電力を消費するが、それらが短縮・軽減され、能率改善に寄与する。
【0029】
溶鋼中のS分の多くは一時的にはスラグに移行するが、本発明の脱硫処理により硫酸塩として沈澱・晶出する。アルカリ水溶液にアンモニアを使用するなら副産物として肥料になる硫安が得られる。
【実施例0030】
取鍋精錬によって生成され、脱酸脱硫反応に供されたスラグの少量を鋳込み終了後、溶融状態で約1リットル(約2kg)採取して耐火物るつぼ内に保持し、溶融状態のまま鋼溶断用の酸素ガストーチによって10分間加熱・酸化処理を行った。
処理前のスラグ中のS濃度は1.2%、処理後は0.2%、脱硫効果が確認された。
実際では1回のスラグ量は500~2000kgあって、反応速度が問題となりそうである。撹拌が律速となり、酸素ランスが有効となると推測される。
【符号の説明】
【0031】
1;スラグポット 2;脱酸脱硫スラグ 3;酸素バーナー 4;煙道 5;洗浄塔 6;スプレイ 7;ポンプ 8;分岐弁 9;冷却沈殿槽 10;硫酸塩 11;SOxセンサー 21;取鍋 22;脱酸脱硫スラグ 23;スラグポット 24;酸素バーナー 25;脱酸脱硫スラグ 26;ノズル
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-03-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電炉製鋼における取鍋精錬に供された塩基性の脱酸・脱硫スラグを鋳込み終了後直ちにスラグポットに移し替え、該脱酸・脱硫スラグを溶融状態で酸素ガスランサーと共用の酸素ガスバーナーによって加熱・酸化・撹拌を作用させ、該脱酸脱硫スラグ中のSをSOxガスとして分離・除去し、直ちに元の取鍋に流入・回帰させ、次回の受鋼に供することを特徴とする取鍋精錬スラグの脱硫・再生方法。