(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082335
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】リクライニング式ベッド
(51)【国際特許分類】
A61G 7/018 20060101AFI20240613BHJP
A47C 20/08 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
A61G7/018
A47C20/08 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196113
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】599139442
【氏名又は名称】株式会社プラッツ
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】江▲崎▼ 公一
【テーマコード(参考)】
4C040
【Fターム(参考)】
4C040AA05
4C040BB06
4C040DD05
4C040EE05
4C040EE08
(57)【要約】
【課題】リクライニング式ベッドにおける屈曲位置の変更に要する作業性の向上及び部品数の削減や部品形状の簡素化によるコストの削減を図ること。
【解決手段】本発明では、横臥者の身体を受ける受台(3)を横臥者の身長方向に沿って前後に並べて設けるとともに、前後の受台(3)を連結体(29)で屈曲可能に連結したリクライニング式ベッド(1)において、連結体(29)は、前後の受台(3)を屈曲させる屈曲中心となる前後の回転軸(25,26)を回動自在に支持するとともに、前後の受台(3)にそれぞれ設けられた挿通孔(27,28)と符合する連結孔(32,33)を前後に設け、前後いずれかの連結孔(32,33)と前後いずれかの受台(3)に設けられた挿通孔(27,28)とを選択ピン(34)で連結することで、前後の受台(3)を屈曲させる屈曲中心となる前後いずれかの回転軸(25,26)を選択できるようにした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横臥者の身体を受ける受台を横臥者の身長方向に沿って前後に並べて設けるとともに、前後の受台を連結体で屈曲可能に連結したリクライニング式ベッドにおいて、
連結体は、前後の受台を屈曲させる屈曲中心となる前後の回転軸を回動自在に支持するとともに、前後の受台にそれぞれ設けられた挿通孔と符合する連結孔を前後に設け、前後いずれかの連結孔と前後いずれかの受台に設けられた挿通孔とを選択ピンで連結することで、前後の受台を屈曲させる屈曲中心となる前後いずれかの回転軸を選択できるようにしたことを特徴とするリクライニング式ベッド。
【請求項2】
前記連結体は、前後の回転軸と連結孔とをそれぞれ上下に配置したことを特徴とする請求項1に記載のリクライニング式ベッド。
【請求項3】
前記連結体は、前後の受台の間に配置されて横臥者の身体を受けるための補助受台を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリクライニング式ベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横臥者(仰臥位や側臥位や腹臥位などでベッドに横たわる者)の身体を受ける受台を横臥者の身長方向に沿って前後に並べて設けるとともに、前後の受台を連結体で屈曲可能に連結したリクライニング式ベッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、病院や介護施設や在宅介護・看護などにおいて、横臥者の身体を受ける受台を横臥者の身長方向に沿って前後に分割して屈曲可能にしたリクライニング式ベッドが広く利用されている。
【0003】
このリクライニング式ベッドでは、基台の上部に横臥者の身体を受ける肩部受台と背部受台と尻部受台と大腿部受台と下腿部受台を設け、尻部受台に対して肩部受台及び背部受台や大腿部受台及び下腿部受台をそれぞれ屈曲可能とするとともに、肩部受台と背部受台、及び、大腿部受台と下腿部受台とを屈曲中心となる回転軸が設けられた蝶番を介してそれぞれ屈曲可能に連結している。
【0004】
このリクライニング式ベッドにおいては、肩部受台と背部受台との屈曲位置(屈曲中心)や、大腿部受台と下腿部受台との屈曲位置(屈曲中心)は、横臥者の身体(身長や脚長や座高など)によって横臥者に適した位置が異なる。
【0005】
そのため、従来のリクライニング式ベッドでは、前後に隣接する受台(肩部受台と背部受台、及び、大腿部受台と下腿部受台)を連結する蝶番を前後にずらすことによって、屈曲中心となる蝶番の回転軸を前後にずらし、横臥者の身体に適した屈曲位置に変更することができるようにしている(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来のリクライニング式ベッドでは、受台に蝶番を固定する固定具を外し、蝶番(回転軸)を前方又は後方にずらし、その後、固定具で蝶番を固定することで、屈曲位置を変更するようにしている。
【0008】
そこで、本発明では、屈曲位置を前後に変更可能なリクライニング式ベッドにおいて、屈曲位置の変更に要する作業性をより一層向上させることを目的として成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る本発明では、横臥者の身体を受ける受台を横臥者の身長方向に沿って前後に並べて設けるとともに、前後の受台を連結体で屈曲可能に連結したリクライニング式ベッドにおいて、連結体は、前後の受台を屈曲させる屈曲中心となる前後の回転軸を回動自在に支持するとともに、前後の受台にそれぞれ設けられた挿通孔と符合する連結孔を前後に設け、前後いずれかの連結孔と前後いずれかの受台に設けられた挿通孔とを選択ピンで連結することで、前後の受台を屈曲させる屈曲中心となる前後いずれかの回転軸を選択できるようにした。
【0010】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記連結体は、前後の回転軸と連結孔とをそれぞれ上下に配置することにした。
【0011】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記連結体は、前後の受台の間に配置されて横臥者の身体を受けるための補助受台を有することにした。
【発明の効果】
【0012】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0013】
すなわち、本発明では、横臥者の身体を受ける受台を横臥者の身長方向に沿って前後に並べて設けるとともに、前後の受台を連結体で屈曲可能に連結したリクライニング式ベッドにおいて、連結体は、前後の受台を屈曲させる屈曲中心となる前後の回転軸を回動自在に支持するとともに、前後の受台にそれぞれ設けられた挿通孔と符合する連結孔を前後に設け、前後いずれかの連結孔と前後いずれかの受台に設けられた挿通孔とを選択ピンで連結することで、前後の受台を屈曲させる屈曲中心となる前後いずれかの回転軸を選択できるようにしているために、予め連結体に屈曲中心となる前後の回転軸が設けられており、連結体を取外さずに選択ピンだけで前後いずれかの回転軸を容易に選択することができるので、リクライニング式ベッドにおける屈曲位置の変更に要する作業性を向上させることができる。
【0014】
特に、連結体の前後の回転軸と連結孔とをそれぞれ上下に配置することにした場合には、連結体の前後長を短くすることができ、前後の受台の間隔を狭めることができるので、前後の受台の屈曲時に横臥者の身体を前後の受台の端縁で良好に受けることができる。
【0015】
また、前後の受台の間に配置されて横臥者の身体を受けるための補助受台を連結体に設けた場合には、前後の受台の間隙を補助受台で塞ぐことができるので、前後の受台の屈曲時に横臥者の身体を補助受台で良好に受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係るリクライニング式ベッドを示す側面説明図。
【
図3】屈曲位置選択機構を示す平面図(a)、側面図(b)。
【
図5】屈曲位置選択機構を示す平面図(a)、側面図(b)。
【
図7】屈曲位置選択機構を示す平面図(a)、側面図(b)。連結体を示す平面図(c)、側面図(d)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係るリクライニング式ベッドの具体的な構成について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1及び
図2に示すように、リクライニング式ベッド1は、正面視で前後に縦長状に伸延させた基台2の上部に横臥者の身体を支持する受台3を設けている。なお、ここでは、便宜的に、リクライニング式ベッド1に横臥する者の足側を前側とし、頭側を後側として説明する。
【0019】
受台3は、主に横臥者の尻の荷重を受ける(横臥者の尻を下方から支える)ための尻部受台4と、主に横臥者の上半身(尻よりも上側)の荷重を受ける(横臥者の上半身を下方から支える)ための上半身受台5と、主に横臥者の下半身(尻よりも下側)の荷重を受ける(横臥者の下半身を下方から支える)ための下半身受台6とで構成している。
【0020】
尻部受台4は、基台2の中央上部に固定されている。なお、尻部受台4は、1枚で構成した場合に限られず、複数枚で構成してもよい。
【0021】
上半身受台5は、横臥者の肩(肩甲骨)よりも下側の背中(背骨)の荷重を受ける(横臥者の肩(肩甲骨)よりも下側の背中(背骨)を下方から支える)ための背部受台7と、横臥者の肩(肩甲骨)から上側の肩及び頭の荷重を受ける(横臥者の肩(肩甲骨)から上側の肩及び頭を下方から支える)ための肩部受台8とに屈曲可能に分割されている。
【0022】
背部受台7は、基台2の後側(尻部受台4よりも後側)に上下回動自在に枢着された前後に伸延する左右一対の背部支持フレーム9,9と、左右の背部支持フレーム9,9の上部に取付けられた背部台板10とで構成している。なお、背部台板10は、1枚で構成した場合に限られず、複数枚で構成してもよい。
【0023】
肩部受台8は、背部受台7の背部支持フレーム9,9に上下回動自在に連結された前後に伸延する左右一対の肩部支持フレーム11,11と、左右の肩部支持フレーム11,11の上部に取付けられた肩部台板12とで構成している。なお、肩部台板12は、1枚で構成した場合に限られず、複数枚で構成してもよい。
【0024】
これら背部受台7と肩部受台8とは、各背部支持フレーム9の後端部と肩部支持フレーム11の前端部との間に、背部受台7と肩部受台8とを谷折り状に屈曲させる屈曲位置(屈曲中心)を前後に調整するための屈曲位置選択機構13を設けて、屈曲可能に連結されている。
【0025】
下半身受台6は、横臥者の大腿の荷重を受ける(横臥者の大腿を下方から支える)ための大腿部受台14と、横臥者の下腿の荷重を受ける(横臥者の下腿を下方から支える)ための下腿部受台15とに屈曲可能に分割されている
【0026】
大腿部受台14は、基台2の前側(尻部受台4よりも前側)に上下回動自在に枢着された前後に伸延する左右一対の大腿部支持フレーム16,16と、左右の大腿部支持フレーム16,16の上部に取付けられた大腿部台板17とで構成している。なお、大腿部台板17は、1枚で構成した場合に限られず、複数枚で構成してもよい。
【0027】
下腿部受台15は、大腿部受台14の大腿部支持フレーム16,16に上下回動自在に連結された前後に伸延する左右一対の下腿部支持フレーム18,18と、左右の下腿部支持フレーム18,18の上部に取付けられた下腿部台板19とで構成している。なお、下腿部台板19は、1枚で構成した場合に限られず、複数枚で構成してもよい。
【0028】
これら大腿受台14と下腿部受台15とは、各大腿部支持フレーム16と下腿部支持フレーム18との間に、大腿部受台14と下腿部受台15とを山折り状に屈曲させる屈曲位置(屈曲中心)を前後に調整するための屈曲位置選択機構13を設けて、屈曲可能に連結されている。
【0029】
受台3は、以上のように構成しており、上半身受台5には、背部受台7を起倒させる(基台2に対して背部受台7を上下に回動させる)ための背部起倒機構20と、肩部受台8を起倒させる(背部受台7に対して肩部受台8を上下に回動させる)ための肩部起倒機構21とが接続され、下半身受台6には、大腿部受台14を起倒させる(基台2に対して大腿部受台14を上下に回動させる)ための大腿部起倒機構22が接続されている。これらの背部起倒機構20、肩部起倒機構21、大腿部起倒機構22は、制御機構(コンピューター)23に接続されている。制御機構23には、操作スイッチ24が接続されている。なお、リクライニング式ベッド1では、背部受台7と肩部受台8と大腿部受台14を起倒させる機構が設けれていればよく、たとえば、一つの起倒機構によって背部受台7と肩部受台8とを連動させて起倒させるようにしてもよい。
【0030】
そして、リクライニング式ベッド1では、使用者(横臥者や介護者など)が操作スイッチ24を操作することによって、制御機構23が背部起倒機構20や肩部起倒機構21や大腿部起倒機構22を起立又は倒伏動作させ、背部受台7や肩部受台8や大腿部受台14を所望の傾斜角度にすることができる。
【0031】
その際に、リクライニング式ベッド1では、背部受台7と肩部受台8との間での屈曲する位置や大腿部受台14と下腿部受台15との間での屈曲する位置を、屈曲位置選択機構13によって前後に調整することができるようになっている。
【0032】
屈曲位置選択機構13は、
図3及び
図4に示すように、横臥者の身長方向に沿って前後に並べて配置された受台3(背部受台7と肩部受台8、大腿部受台14と下腿部受台15)の間に設けられている。なお、
図3では、背部受台7と肩部受台8との間に設けられた屈曲位置選択機構13を図示しているが、大腿部受台14と下腿部受台15との間に設けられた屈曲位置選択機構13も同様の構成となっている。
【0033】
この屈曲位置選択機構13は、前側の背部受台7の左右の背部支持フレーム9,9の後端部間に前側の屈曲中心となる回転軸25を左右に伸延させた状態で回動自在に設けるとともに、後側の肩部受台8の左右の肩部支持フレーム11,11の前端部間に後側の屈曲中心となる回転軸26を左右に伸延させた状態で回動自在に設けている。
【0034】
また、屈曲位置選択機構13は、前側の背部支持フレーム9,9の後端部に左右に伸延する貫通状の挿通孔27を形成し、挿通孔27と回転軸25とを前後同一直線上に並べて配置するとともに、後側の肩部支持フレーム11,11の前端部に左右に伸延する貫通状の挿通孔28を形成し、回転軸26と挿通孔28とを前後同一直線上に並べて配置している。
【0035】
さらに、屈曲位置選択機構13は、前側の背部支持フレーム9,9と後側の肩部支持フレーム11,11とを前後一直線状に伸延する板状の連結体29,29で連結している。
【0036】
連結体29には、前後の回転軸25,26をそれぞれ回動自在に挿通させるための軸孔30,31が前後に並べて形成されている。これにより、連結体29は、前後の回転軸25,26をそれぞれ回動自在に軸支している。
【0037】
また、連結体29には、前側の軸孔30の前方と後側の軸孔31の後方とに左右に伸延する貫通状の連結孔32,33が形成されている。この連結孔32,33は、前後の背部受台7と後側の肩部受台8とを起倒及び屈曲させずに水平に基台2に載置されている状態において、背部受台7に形成された挿通孔27と肩部受台8に形成された挿通孔28にそれぞれ符合して(位置が一致するようにして)連通孔32,33と挿通孔27,28とが左右一直線状に連通する位置に形成されている。これらの連通孔32,33と挿通孔27,28のいずれかには、連通させた状態で選択ピン34が挿通される。これにより、いずれかの連通孔32,33と挿通孔27,28に挿通させた選択ピン34を介して前側の背部受台7又は後側の肩部受台8と連結体29とを選択的に固定させることができるようになっている。
【0038】
そして、屈曲位置選択機構13は、
図4(a)に示すように、前側の受台となる背部受台7の背部支持フレーム9に設けた挿通孔27と連結体29の前側の連結孔32とに選択ピン34を挿通させた状態で、背部起倒機構20によって前側の背部受台7を起立させるとともに肩部起倒機構21によって後側の肩部受台8を起立させると、背部支持フレーム9と連結体29とが選択ピン34を介して一体化される一方、後側の受台となる肩部受台8の肩部支持フレーム11と連結体29とが後側の回転軸26を中心に回動可能となり、後側の回転軸26を屈曲中心として前側の背部受台7に対して後側の肩部受台8を谷折り状に屈曲させることができる。
【0039】
また、屈曲位置選択機構13は、
図4(b)に示すように、後側の受台となる肩部受台8の肩部支持フレーム11に設けた挿通孔28と連結体29の後側の連結孔33とに選択ピン34を挿通させた状態で、背部起倒機構20によって前側の背部受台7を起立させるとともに肩部起倒機構21によって後側の肩部受台8を起立させると、肩部支持フレーム11と連結体29とが選択ピン34を介して一体化される一方、前側の受台となる背部受台7の背部支持フレーム9と連結体29とが前側の回転軸25を中心に回動可能となり、前側の回転軸25を屈曲中心として前側の背部受台7に対して後側の肩部受台8を谷折り状に屈曲させることができる。
【0040】
このように、屈曲位置選択機構13は、選択ピン34を挿通させる挿通孔27,28と連結孔32,33とによって屈曲中心となる回転軸25,26を選択することができ、横臥者の体型等に応じて屈曲位置を前後に変更することができる。
【0041】
大腿部受台14と下腿部受台15との間に設けた屈曲位置選択機構13でも同様に、
図4(c)に示すように、前側の受台となる下腿部受台15の下腿部支持フレーム18に設けた挿通孔35と連結体29の前側の連結孔32とに選択ピン34を挿通させた状態で、大腿部起倒機構21によって後側の大腿部受台14を起立させると、下腿部支持フレーム18と連結体29とが選択ピン34を介して一体化される一方、後側の受台となる大腿部受台14の大腿部支持フレーム16と連結体29とが後側の回転軸38を中心に回動可能となり、後側の回転軸38を屈曲中心として後側の大腿部受台14に対して前側の下腿部受台15を山折り状に屈曲させることができる。
【0042】
また、屈曲位置選択機構13は、
図4(d)に示すように、後側の受台となる大腿部受台14の大腿部支持フレーム16に設けた挿通孔36と連結体29の後側の連結孔33とに選択ピン34を挿通させた状態で、大腿部起倒機構21によって後側の大腿部受台14を起立させると、大腿部支持フレーム16と連結体29とが選択ピン34を介して一体化される一方、前側の受台となる下腿部受台15の下腿部支持フレーム18と連結体29とが前側の回転軸37を中心に回動可能となり、前側の回転軸37を屈曲中心として後側の大腿部受台14に対して前側の下腿部受台15を山折り状に屈曲させることができる。
【0043】
上記屈曲位置選択機構13は、前後の受台3を構成するフレームの間に連結体29を設けているが、前後の受台3を構成する台板の間に連結体を設けてもよい。また、屈曲位置選択機構13は、前後の受台3の屈曲中心となる回転軸25,26を選択して屈曲位置を前後に変更することができればよく、上記構成に限定されるものではない。
【0044】
たとえば、
図5及び
図6に示す屈曲位置選択機構39では、前側の受台となる背部受台7の背部支持フレーム9の後端部と後側の受台となる肩部受台8の肩部支持フレーム11の前端部に回転軸40,41をそれぞれ設けるとともに、背部支持フレーム9の後端下部と肩部支持フレーム11の前端下部に下方へ向けて突出させたブラケット42,43をそれぞれ形成し、ブラケット42,43に挿通孔44,45を形成している。
【0045】
また、屈曲位置選択機構39では、連結体46を凹字形状として、連結体46の上方へ向けて突出させた前後上部に前後の回転軸40,41をそれぞれ回動自在に挿通させるための軸孔47,48を形成するとともに、軸孔47,48の下部に連結孔49,50を形成している。
【0046】
このように、屈曲位置選択機構39では、各回転軸40,41(各軸孔47,48)と各挿通孔44,45(連結孔49,50)とを前後に間隔をあけて上下に一直線上に配置している。これにより、屈曲位置選択機構39では、各回転軸25,26(各軸孔30,31)と各挿通孔27,28(連結孔32,33)とを一直線上に配置した屈曲位置選択機構13に比べて、連結体46の前後長を短くすることができ、前後の背部受台7と肩部受台8(下腿部受台15と大腿部受台14)との間隔を狭めることができるので、前後の受台3の屈曲時に横臥者の身体を前後の背部受台7(下腿部受台15)の後端縁部分と肩部受台8(大腿部受台14)の前端縁部分で良好に受けることができる。なお、各回転軸40,41(各軸孔47,48)を各挿通孔44,45(連結孔49,50)の上方にして一直線上に配置した場合に限られず、各回転軸40,41(各軸孔47,48)を各挿通孔44,45(連結孔49,50)の下方にして一直線上に配置してもよい。また、各回転軸40,41(各軸孔47,48)と各挿通孔44,45(連結孔49,50)とは、上下に一直線上に配置した場合に限られず、各回転軸40,41(各軸孔47,48)の斜め上方又は斜め下方に各挿通孔44,45(連結孔49,50)を配置してもよい。
【0047】
そして、屈曲位置選択機構39は、
図6(a)に示すように、前側の受台となる背部受台7の背部支持フレーム9に設けた挿通孔44と連結体46の前側の連結孔49とに選択ピン51を挿通させると、後側の回転軸41を屈曲中心として前側の背部受台7に対して後側の肩部受台8を谷折り状に屈曲させることができ、
図6(b)に示すように、後側の受台となる肩部受台8の肩部支持フレーム11に設けた挿通孔45と連結体46の後側の連結孔50とに選択ピン51を挿通させると、前側の回転軸40を屈曲中心として前側の背部受台7に対して後側の肩部受台8を谷折り状に屈曲させることができる。同様に、
図6(c)に示すように、前側の受台となる下腿部受台15の下腿部支持フレーム18に設けた挿通孔52と連結体46の前側の連結孔49とに選択ピン51を挿通させると、後側の回転軸55を屈曲中心として後側の大腿部受台14に対して前側の下腿部受台15を山折り状に屈曲させることができ、
図6(d)に示すように、後側の受台となる大腿部受台14の大腿部支持フレーム16に設けた挿通孔53と連結体46の後側の連結孔50とに選択ピン51を挿通させると、前側の回転軸54を屈曲中心として後側の大腿部受台14に対して前側の下腿部受台15を山折り状に屈曲させることができる。
【0048】
また、
図7及び
図8に示す屈曲位置選択機構56では、前側の受台となる背部受台7の背部支持フレーム9の後端部と後側の受台となる肩部受台8の肩部支持フレーム11の前端部に挿通孔57,58をそれぞれ形成するとともに、背部支持フレーム9の後端下部と肩部支持フレーム11の前端下部に上方へ向けて突出させたブラケット59,60をそれぞれ形成し、ブラケット59,60に回転軸61,62を設けている。
【0049】
また、屈曲位置選択機構56では、前後の背部受台7と肩部受台8との間に配置されて横臥者の身体を受けるための補助受台63の左右端部に連結体64,64を形成している。各連結体64は、左右に伸延する補助受台63の端部を前後に折曲して形成し、前後の折曲片の上部に前後の回転軸61,62をそれぞれ回動自在に挿通させるための軸孔65,66を形成するとともに、軸孔65,66の下部に連結孔67,68を形成している。
【0050】
このように、屈曲位置選択機構56では、連結体64に補助受台63を設けている。これにより、屈曲位置選択機構56では、前後の受台3の屈曲時に横臥者の身体を前後の背部受台7(下腿部受台15)の後端縁と肩部受台8(大腿部受台14)の前端縁との間の間隙を補助受台63で塞ぐことができるので、前後の背部受台7(下腿部受台15)と肩部受台8(大腿部受台14)の屈曲時に横臥者の身体を補助受台63で良好に受けることができる。
【0051】
そして、屈曲位置選択機構56は、
図8(a)に示すように、前側の受台となる背部受台7の背部支持フレーム9に設けた挿通孔57と連結体64の前側の連結孔67とに選択ピン69を挿通させると、後側の回転軸62を屈曲中心として前側の背部受台7に対して後側の肩部受台8を谷折り状に屈曲させることができ、
図8(b)に示すように、後側の受台となる肩部受台8の肩部支持フレーム11に設けた挿通孔58と連結体64の後側の連結孔68とに選択ピン69を挿通させると、前側の回転軸61を屈曲中心として前側の背部受台7に対して後側の肩部受台8を谷折り状に屈曲させることができる。同様に、
図8(c)に示すように、前側の受台となる下腿部受台15の下腿部支持フレーム18に設けた挿通孔70と連結体64の前側の連結孔67とに選択ピン69を挿通させると、後側の回転軸73を屈曲中心として後側の大腿部受台14に対して前側の下腿部受台15を山折り状に屈曲させることができ、
図8(d)に示すように、後側の受台となる大腿部受台14の大腿部支持フレーム16に設けた挿通孔71と連結体64の後側の連結孔68とに選択ピン69を挿通させると、前側の回転軸72を屈曲中心として後側の大腿部受台14に対して前側の下腿部受台15を山折り状に屈曲させることができる。
【0052】
以上に説明したように、上記リクライニング式ベッドは、横臥者の身体を受ける受台3(背部受台7と肩部受台8、下腿部受台15と大腿部受台14)を横臥者の身長方向に沿って前後に並べて設けるとともに、前後の受台3(背部受台7と肩部受台8、下腿部受台15と大腿部受台14)を連結体29(46,64)で屈曲可能に連結している。連結体29(46,64)は、前後の受台3(背部受台7と肩部受台8、下腿部受台15と大腿部受台14)にそれぞれ設けられた屈曲中心となる回転軸25,26(37,38,40,41,54,55,61,62,72,73)を回動自在に支持するとともに、前後の受台3(背部受台7と肩部受台8、下腿部受台15と大腿部受台14)にそれぞれ設けられた挿通孔27,28(35,36,44,45,52,53,57,58,70,71)と符合する連結孔32,33(49,50,67,68)を前後に設け、前後いずれかの連結孔32,33(49,50,67,68)と前後いずれかの受台3(背部受台7と肩部受台8、下腿部受台15と大腿部受台14)に設けられた挿通孔27,28(35,36,44,45,52,53,57,58,70,71)とを選択ピン34(51,69)で連結することで、前後の受台3(背部受台7と肩部受台8、下腿部受台15と大腿部受台14)を屈曲させる屈曲中心となる前後いずれかの回転軸25,26(37,38,40,41,54,55,61,62,72,73)を選択できる構成となっている。
【0053】
そのため、上記構成のリクライニング式ベッド1では、予め連結体29(46,64)に屈曲中心となる前後の回転軸25,26(37,38,40,41,54,55,61,62,72,73)が設けられており、連結体29(46,64)を取外さずに選択ピン34(51,69)だけで前後いずれかの回転軸25,26(37,38,40,41,54,55,61,62,72,73)を容易に選択することができるので、リクライニング式ベッド1における屈曲位置の変更に要する作業性を向上させることができ、また、部品数の削減や部品形状の簡素化によるコストの削減を図ることができる。
【0054】
また、上記リクライニング式ベッド1は、連結体46(64)の前後の回転軸40,41(61,62)と連結孔49,50(67,68)とをそれぞれ上下に配置した構成となっている。
【0055】
そのため、上記構成のリクライニング式ベッド1では、連結体46(64)の前後長を短くすることができ、前後の受台3(背部受台7と肩部受台8、下腿部受台15と大腿部受台14)の間隔を狭めることができるので、前後の受台3(背部受台7と肩部受台8、下腿部受台15と大腿部受台14)の屈曲時に横臥者の身体を前後の受台3(背部受台7と肩部受台8、下腿部受台15と大腿部受台14)の端縁で良好に受けることができ、使い心地の良好なリクライニング式ベッド1とすることができる。
【0056】
また、上記リクライニング式ベッド1は、前後の受台3(背部受台7と肩部受台8、下腿部受台15と大腿部受台14)の間に配置されて横臥者の身体を受けるための補助受台63を連結体64に設けた構成となっている。
【0057】
そのため、上記構成のリクライニング式ベッド1では、前後の受台3(背部受台7と肩部受台8、下腿部受台15と大腿部受台14)の間隙を補助受台63で塞ぐことができるので、前後の受台3(背部受台7と肩部受台8、下腿部受台15と大腿部受台14)の屈曲時に横臥者の身体を補助受台63で良好に受けることができ、これによっても使い心地の良好なリクライニング式ベッド1とすることができる。
【0058】
なお、選択ピン34(51,69)による左右一対の連結において、誤って左右で異なる回転軸25,26(37,38,40,41,54,55,61,62,72,73)を選択してしまった状態で、気付かずに前後の受台3(背部受台7と肩部受台8、下腿部受台15と大腿部受台14)を屈曲させた場合、連結体29(46,64)がねじれにより塑性変形してしまい、選択ピン34(51,69)が抜けなくなってしまったり、選択ピン34(51,69)による連結ができなくなったりする懸念がある。これら誤った選択ピン34(51,69)の取付けに対して、連結体29(46,64)、支持フレーム(背部支持フレーム9、肩部支持フレーム11、下腿部支持フレーム18、大腿部支持フレーム16)が塑性変形に至らないように、連結体29(46,64)、または支持フレーム(背部支持フレーム9、肩部支持フレーム11、下腿部支持フレーム18、大腿部支持フレーム16)の端部(挿通孔27,28(35,36,44,45,52,53,57,58,70,71)の周辺)の少なくともいずれか一方を弾性変形によって発生するねじれを吸収できる弾性部材(バネ鋼材やポリプロピレンなどの可撓性のある樹脂材料)で構成すること、あるいは、連結体29(46,64)に設けられた連結孔32,33(49,50,67,68)と受台3(背部受台7と肩部受台8、下腿部受台15と大腿部受台14)に設けられた挿通孔27,28(35,36,44,45,52,53,57,58,70,71)との連結において発生するねじれを各部材を塑性変形させない範囲で吸収できるように、連結孔32,33(49,50,67,68)や挿通孔27,28(35,36,44,45,52,53,57,58,70,71)の孔径と選択ピン34(51,69)の軸径との関係でクリアランスを設けること、さらにそれらのクリアランスに対して用いられるスペーサーやカラーをバネ鋼材やポリプロピレンなどの可撓性のある樹脂材料のような弾性変形可能な材料を用いることも有効である。
【0059】
また、選択ピン34(51,69)による左右一対の連結において、選択ピン34(51,69)が連結孔32,33(49,50,67,68)や挿通孔27,28(35,36,44,45,52,53,57,58,70,71)から抜けてしまう懸念がある。そのため、選択ピン34(51,69)が抜けないように選択ピン抜け防止機構を設けることが好ましい。たとえば、連結孔32,33(49,50,67,68)もしくは挿通孔27,28(35,36,44,45,52,53,57,58,70,71)にネジ部やその他の手段による選択ピン抜け防止機構を設けてもよく、または、選択ピン34(51,69)の途中に弾性を有する突起を設けるなどの抜け防止機構を設けてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 リクライニング式ベッド 2 基台
3 受台 4 尻部受台
5 上半身受台 6 下半身受台
7 背部受台 8 肩部受台
9 背部支持フレーム 10 背部台板
11 肩部支持フレーム 12 肩部台板
13 屈曲位置選択機構 14 大腿部受台
15 下腿部受台 16 大腿部支持フレーム
17 大腿部台板 18 下腿部支持フレーム
19 下腿部台板 20 背部起倒機構
21 肩部起倒機構 22 大腿部起倒機構
23 制御機構 24 操作スイッチ
25,26 回転軸 27,28 挿通孔
29 連結体 30,31 軸孔
32,33 連結孔 34 選択ピン
35,36 挿通孔 37,38 回転軸
39 屈曲位置選択機構 40,41 回転軸
42,43 ブラケット 44,45 挿通孔
46 連結体 47,48 軸孔
49,50 連結孔 51 選択ピン
52,53 挿通孔 54,55 回転軸
56 屈曲位置選択機構 57,58 挿通孔
59,60 ブラケット 61,62 回転軸
63 補助受台 64 連結体
65,66 軸孔 67,68 連結孔
69 選択ピン 70,71 挿通孔
72,73 回転軸
【手続補正書】
【提出日】2024-02-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横臥者の身体を受ける受台を横臥者の身長方向に沿って前後に並べて設けるとともに、前後の受台を連結体で屈曲可能に連結したリクライニング式ベッドにおいて、
連結体は、前後の受台を屈曲させる屈曲中心となる回転軸を回動自在に支持するとともに、前後の受台にそれぞれ設けられた挿通孔と符合する連結孔を設け、連結孔と前後いずれかの受台に設けられた挿通孔とを選択ピンで連結することで、前後の受台を屈曲させる屈曲中心を前後に変更できるようにしたことを特徴とするリクライニング式ベッド。
【請求項2】
前記連結体は、回転軸と連結孔とをそれぞれ上下に配置したことを特徴とする請求項1に記載のリクライニング式ベッド。
【請求項3】
前記連結体は、前後の受台の間に配置されて横臥者の身体を受けるための補助受台を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリクライニング式ベッド。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
請求項1に係る本発明では、横臥者の身体を受ける受台を横臥者の身長方向に沿って前後に並べて設けるとともに、前後の受台を連結体で屈曲可能に連結したリクライニング式ベッドにおいて、連結体は、前後の受台を屈曲させる屈曲中心となる回転軸を回動自在に支持するとともに、前後の受台にそれぞれ設けられた挿通孔と符合する連結孔を設け、連結孔と前後いずれかの受台に設けられた挿通孔とを選択ピンで連結することで、前後の受台を屈曲させる屈曲中心を前後に変更できるようにした。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記連結体は、回転軸と連結孔とをそれぞれ上下に配置することにした。