(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082340
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】通信装置およびこれを備えた通信システム、通信方法、通信プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 48/18 20090101AFI20240613BHJP
H04W 48/16 20090101ALI20240613BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20240613BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20240613BHJP
【FI】
H04W48/18
H04W48/16 132
H04W88/06
H04W4/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196123
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129012
【弁理士】
【氏名又は名称】元山 雅史
(72)【発明者】
【氏名】三浦 剛史
(72)【発明者】
【氏名】中條 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】小島 英明
(72)【発明者】
【氏名】三輪田 寿康
(72)【発明者】
【氏名】三野 宏之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅博
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA33
5K067BB21
5K067DD34
5K067DD44
5K067DD45
5K067HH22
(57)【要約】
【課題】外部機器から取得した出力信号を安定的に外部サーバへ信号を出力することが可能な通信装置およびこれを備えた通信システム、通信方法、通信プログラムを提供する。
【解決手段】通信装置10は、制御部11bと、第1通信部11および第2通信部12と、通信制御部11daと、を備える。制御部11bは、センサ21a~21dから出力信号を取得する。第1通信部11および第2通信部12は、制御部11bにおいて取得された出力信号を、クラウドサーバ31へ送信する。通信制御部11daは、第1通信部11からクラウドサーバ31へ送信された信号の電波強度が所定の閾値よりも大きい場合には、そのまま第1通信部11を用いてクラウドサーバ31との通信を行い、電波強度が所定の閾値以下である場合には、第1通信部11を用いた通信から第2通信部12を用いた通信に切り替えるように制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器から出力信号を取得して外部サーバへ送信する通信装置であって、
前記外部機器から出力信号を取得する信号取得部と、
前記信号取得部において取得された前記出力信号を、前記外部サーバへ送信する第1通信部および第2通信部と、
前記第1通信部から前記外部サーバへ送信された信号の電波強度が所定の閾値よりも大きい場合には、そのまま前記第1通信部を用いて前記外部サーバとの通信を行い、前記電波強度が前記所定の閾値以下である場合には、前記第1通信部を用いた通信から前記第2通信部を用いた通信に切り替えるように制御する第1通信制御部と、
を備えている通信装置。
【請求項2】
前記第2通信部から前記外部サーバへ送信された信号の電波強度が前記所定の閾値よりも大きいか否かに応じて、通信の可否を判定する第2通信制御部をさらに備えている、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第1通信制御部は、前記外部サーバへ前記出力信号を送信した際に、前記外部サーバから所定時間内に応答信号を受信するか否かに応じて、通信の可否を判定する、
請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第2通信制御部は、前記外部サーバへ前記出力信号を送信した際に、前記外部サーバから所定時間内に応答信号を受信するか否かに応じて、通信の可否を判定する、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第1通信制御部は、電波強度を用いた判定用のデータとして、RSSI(Received Signal Strength Indicator)あるいはRSRP(Reference Signal Received Power)のデータを使用する、
請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項6】
前記第1通信部は、第1通信方式によって前記外部サーバとの通信を行うとともに、
前記第2通信部は、前記第1通信方式とは異なる第2通信方式によって前記外部サーバとの通信を行う、
請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項7】
前記第1通信部は、前記信号取得部において取得した前記出力信号を保存する第1記憶部を、さらに備えている、
請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項8】
前記第1記憶部は、前記第1通信部から前記外部サーバへ送信された信号の前記電波強度を保存する、
請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
前記第2通信部は、前記第2通信部から前記外部サーバへ送信された信号の電波強度を保存する第2記憶部を、さらに備えている、
請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項10】
前記外部機器は、気象データを取得する気象センサ、電力情報を取得する電力監視センサ、農作物を生育する機器から情報を取得する農業センサのいずれかを含む、
請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項11】
請求項1または2に記載の通信装置と、
前記通信装置に対して出力信号を送信する外部機器と、
前記通信装置を介して送信される前記出力信号を受信する外部サーバと、
を備えた通信システム。
【請求項12】
外部機器から取得した出力信号を外部サーバへ送信する複数の通信部を備えた通信装置による通信方法であって、
前記通信装置の信号取得部が、前記外部機器から出力信号を取得する信号取得ステップと、
前記通信装置の第1通信部が、前記信号取得ステップにおいて取得された前記出力信号を、前記外部サーバへ送信する通信ステップと、
前記通信装置の第1通信制御部が、前記第1通信部から前記外部サーバへ送信された信号の電波強度が所定の閾値よりも大きい場合には、そのまま前記第1通信部を用いて前記外部サーバとの通信を行い、前記電波強度が前記所定の閾値以下である場合には、前記第1通信部を用いた通信から第2通信部を用いた通信に切り替えるように制御する判定ステップと、
を備えている通信方法。
【請求項13】
外部機器から取得した出力信号を外部サーバへ送信する複数の通信部を備えた通信装置によって実行される通信プログラムであって、
前記通信装置の信号取得部が、前記外部機器から出力信号を取得する信号取得ステップと、
前記通信装置の第1通信部が、前記信号取得ステップにおいて取得された前記出力信号を、前記外部サーバへ送信する通信ステップと、
前記通信装置の第1通信制御部が、前記第1通信部から前記外部サーバへ送信された信号の電波強度が所定の閾値よりも大きい場合には、そのまま前記第1通信部を用いて前記外部サーバとの通信を行い、前記電波強度が前記所定の閾値以下である場合には、前記第1通信部を用いた通信から第2通信部を用いた通信に切り替えるように制御する判定ステップと、
を備えている通信方法をコンピュータに実行させる通信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部機器から出力信号を取得して外部サーバへ送信する通信装置およびこれを備えた通信システム、通信方法、通信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、センサ等の外部機器からの出力を管理サーバ等へ送信する通信装置が用いられている。
例えば、特許文献1には、無線通信モジュールとセンサとを有する複数のノード端末と、管理サーバとを備え、無線通信モジュールを通してセンサ情報を管理サーバに送信するとともに、管理サーバは、センサ情報を受信し、センサ情報に基づいて通知の必要の有無を判断し、通知の必要がある場合にはチャットルームに投稿するIoTシステムおよび管理サーバについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のIoTシステムでは、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示されたIoTシステムでは、データをクラウドサーバに送信するための通信手段を1つしか有していない。このため、1つの通信手段が、通信環境の悪化等で通信不可になると、クラウドサーバにデータを送信することができないおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、外部機器から取得した出力信号を安定的に外部サーバへ信号を出力することが可能な通信装置およびこれを備えた通信システム、通信方法、通信プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る通信装置は、外部機器から出力信号を取得して外部サーバへ送信する通信装置であって、信号取得部と、第1通信部および第2通信部と、第1通信制御部と、を備えている。信号取得部は、外部機器から出力信号を取得する。第1通信部および第2通信部は、信号取得部において取得された出力信号を、外部サーバへ送信する。第1通信制御部は、第1通信部から外部サーバへ送信された信号の電波強度が所定の閾値よりも大きい場合には、そのまま第1通信部を用いて外部サーバとの通信を行い、電波強度が所定の閾値以下である場合には、第1通信部を用いた通信から第2通信部を用いた通信に切り替えるように制御する。
【0007】
ここでは、センサ等の外部機器からの出力信号を取得し外部サーバへ送信する通信装置が、複数の通信手段として、第1通信部と第2通信部とを備えている。そして、第1通信部から外部サーバへ送信された信号の電波強度を所定の閾値と比較して、閾値よりも大きい場合にはそのまま第1通信部を用いて通信を行い、閾値以下である場合には、第2通信部を介して通信を行うように制御される。
【0008】
ここで、外部機器には、例えば、各種センサ、リレー等の各種機器等が含まれる。
外部サーバには、例えば、記憶部を備えたクラウドサーバ、サーバ装置等が含まれる。
第1通信部と第2通信部とは、外部サーバに対して、例えば、LTE(登録商標)(Long Term Evolution)、Wifi(登録商標)、LoRa(登録商標)(Long Range)等の異なる通信方式によって通信を行ってもよいし、同じ通信方式によって通信を行ってもよい。
【0009】
電波強度としては、例えば、RSSI(Received Signal Strength Indicator)あるいはRSRP(Reference Signal Received Power)の値を用いることができる。
これにより、通信装置が複数の通信手段を備えていることで、第1通信部と外部サーバとの通信時の電波強度に応じて、第2通信部へ切り替えて通信を行うか否かを選択することができる。
この結果、外部機器から取得した出力信号を安定的に外部サーバへ信号を出力することができる。
【0010】
第2の発明に係る通信装置は、第1の発明に係る通信装置であって、第2通信部から外部サーバへ送信された信号の電波強度が所定の閾値よりも大きいか否かに応じて、通信の可否を判定する第2通信制御部をさらに備えている。
これにより、第1通信部と外部サーバとの間の通信の電波強度が所定の閾値よりも小さく、第2通信部に切り替えられた場合において、第2通信部と外部サーバとの間の通信の電波強度が、所定の閾値よりも大きい場合には第2通信部を用いて通信を行うとともに、閾値以下である場合には、通信不可と判定することができる。
【0011】
第3の発明に係る通信装置は、第1または第2の発明に係る通信装置であって、第1通信制御部は、外部サーバへ出力信号を送信した際に、外部サーバから所定時間内に応答信号を受信するか否かに応じて、通信の可否を判定する。
これにより、第1通信部側において、電波強度を用いた通信可否の判定に加えて、外部サーバからの応答信号を所定時間内に受信するか否かに応じて、通信の可否を判定することができる。
【0012】
第4の発明に係る通信装置は、第2の発明に係る通信装置であって、第2通信制御部は、外部サーバへ出力信号を送信した際に、外部サーバから所定時間内に応答信号を受信するか否かに応じて、通信の可否を判定する。
これにより、第2通信部側においても同様に、電波強度を用いた通信可否の判定に加えて、外部サーバからの応答信号を所定時間内に受信するか否かに応じて、通信の可否を判定することができる。
【0013】
第5の発明に係る通信装置は、第1または第2の発明に係る通信装置であって、第1通信制御部は、電波強度を用いた判定用のデータとして、RSSI(Received Signal Strength Indicator)あるいはRSRP(Reference Signal Received Power)のデータを使用する。
これにより、例えば、第1通信部側に設けられたアンテナから、上記RSSI、RSRP等の電波強度を取得することで、電波強度を用いた通信可否の判定を実施することができる。
【0014】
第6の発明に係る通信装置は、第1または第2の発明に係る通信装置であって、第1通信部は、第1通信方式によって外部サーバとの通信を行うとともに、第2通信部は、第1通信方式とは異なる第2通信方式によって外部サーバとの通信を行う。
これにより、外部サーバに対して、例えば、LTE(登録商標)(Long Term Evolution)、Wifi(登録商標)、LoRa(登録商標)(Long Range)等の異なる通信方式によって通信を行うことで、第1通信部の通信方式での通信不良が発生した場合でも、第2通信部の通信方式によって通信を確保することができる。
【0015】
第7の発明に係る通信装置は、第1または第2の発明に係る通信装置であって、第1通信部は、信号取得部において取得した出力信号を保存する第1記憶部を、さらに備えている。
これにより、第1通信部内に、信号取得部において外部機器から取得した出力信号のデータを第1記憶部に保存することで、外部サーバと通信する際に取り出すことができる。
【0016】
第8の発明に係る通信装置は、第7の発明に係る通信装置であって、第1記憶部は、第1通信部から外部サーバへ送信された信号の電波強度を保存する。
これにより、第1記憶部に保存された通信環境を示す電波強度のログデータを、第1通信部と外部サーバとの間の通信可否の判定に用いることができる。
【0017】
第9の発明に係る通信装置は、第1または第2の発明に係る通信装置であって、第2通信部は、第2通信部から外部サーバへ送信された信号の電波強度を保存する第2記憶部を、さらに備えている。
これにより、第2記憶部に保存された通信環境を示す電波強度のログデータを、第2通信部と外部サーバとの間の通信可否の判定に用いることができる。
【0018】
第10の発明に係る通信装置は、第1または第2の発明に係る通信装置であって、外部機器は、気象データを取得する気象センサ、電力情報を取得する電力監視センサ、農作物を生育する機器から情報を取得する農業センサのいずれかを含む。
これにより、外部機器として、上述した各種センサを用いることで、各種センサから取得した各種データを外部サーバに対して安定的に送信することができる。
【0019】
第11の発明に係る通信システムは、第1または第2の発明に係る通信装置と、通信装置に対して出力信号を送信する外部機器と、通信装置を介して送信される出力信号を受信する外部サーバと、を備えている。
これにより、上述した通信装置によって、外部機器から取得した出力信号を安定的に外部サーバへ信号を出力することが可能なシステムを構築することができる。
【0020】
第12の発明に係る通信方法は、外部機器から取得した出力信号を外部サーバへ送信する複数の通信部を備えた通信装置による通信方法であって、信号取得ステップと、通信ステップと、判定ステップと、を備えている。信号取得ステップでは、通信装置の信号取得部が、外部機器から出力信号を取得する。通信ステップでは、通信装置の第1通信部が、信号取得ステップにおいて取得された出力信号を、外部サーバへ送信する。判定ステップでは、通信装置の第1通信制御部が、第1通信部から外部サーバへ送信された信号の電波強度が所定の閾値よりも大きい場合には、そのまま第1通信部を用いて外部サーバとの通信を行い、電波強度が所定の閾値以下である場合には、第1通信部を用いた通信から第2通信部を用いた通信に切り替えるように制御する。
【0021】
センサ等の外部機器からの出力信号を取得し外部サーバへ送信する通信装置が、複数の通信手段として、第1通信部と第2通信部とを備えている。そして、第1通信部から外部サーバへ送信された信号の電波強度を所定の閾値と比較して、閾値よりも大きい場合にはそのまま第1通信部を用いて通信を行い、閾値以下である場合には、第2通信部を介して通信を行うように制御される。
【0022】
ここで、外部機器には、例えば、各種センサ、リレー等の各種機器等が含まれる。
外部サーバには、例えば、記憶部を備えたクラウドサーバ、サーバ装置等が含まれる。
第1通信部と第2通信部とは、外部サーバに対して、例えば、LTE(登録商標)(Long Term Evolution)、Wifi(登録商標)、LoRa(登録商標)(Long Range)等の異なる通信方式によって通信を行ってもよいし、同じ通信方式によって通信を行ってもよい。
【0023】
電波強度としては、例えば、RSSI(Received Signal Strength Indicator)あるいはRSRP(Reference Signal Received Power)の値を用いることができる。
これにより、通信装置が複数の通信手段を備えていることで、第1通信部と外部サーバとの通信時の電波強度に応じて、第2通信部へ切り替えて通信を行うか否かを選択することができる。
この結果、外部機器から取得した出力信号を安定的に外部サーバへ信号を出力することができる。
【0024】
第13の発明に係る通信プログラムは、外部機器から取得した出力信号を外部サーバへ送信する複数の通信部を備えた通信装置によって実行される通信プログラムであって、信号取得ステップと、通信ステップと、判定ステップと、を備えている通信方法をコンピュータに実行させる。信号取得ステップでは、通信装置の信号取得部が、外部機器から出力信号を取得する。通信ステップでは、通信装置の第1通信部が、信号取得ステップにおいて取得された出力信号を、外部サーバへ送信する。判定ステップでは、通信装置の第1通信制御部が、第1通信部から外部サーバへ送信された信号の電波強度が所定の閾値よりも大きい場合には、そのまま第1通信部を用いて外部サーバとの通信を行い、電波強度が所定の閾値以下である場合には、第1通信部を用いた通信から第2通信部を用いた通信に切り替えるように制御する。
【0025】
センサ等の外部機器からの出力信号を取得し外部サーバへ送信する通信装置が、複数の通信手段として、第1通信部と第2通信部とを備えている。そして、第1通信部から外部サーバへ送信された信号の電波強度を所定の閾値と比較して、閾値よりも大きい場合にはそのまま第1通信部を用いて通信を行い、閾値以下である場合には、第2通信部を介して通信を行うように制御される。
【0026】
ここで、外部機器には、例えば、各種センサ、リレー等の各種機器等が含まれる。
外部サーバには、例えば、記憶部を備えたクラウドサーバ、サーバ装置等が含まれる。
第1通信部と第2通信部とは、外部サーバに対して、例えば、LTE(Long Term Evolution)、Wifi、LoRa(Long Range)等の異なる通信方式によって通信を行ってもよいし、同じ通信方式によって通信を行ってもよい。
【0027】
電波強度としては、例えば、RSSI(Received Signal Strength Indicator)あるいはRSRP(Reference Signal Received Power)の値を用いることができる。
これにより、通信装置が複数の通信手段を備えていることで、第1通信部と外部サーバとの通信時の電波強度に応じて、第2通信部へ切り替えて通信を行うか否かを選択することができる。
【0028】
この結果、外部機器から取得した出力信号を安定的に外部サーバへ信号を出力することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る通信装置によれば、外部機器から取得した出力信号を安定的に外部サーバへ信号を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施形態に係る通信装置を含む通信システムの構成を示すブロック図。
【
図2】
図1の通信装置において判定に用いられる電波強度の種類について説明する図。
【
図3】
図1の通信装置に含まれる第1通信部の記憶部に保存されるセンサログデータを示す図。
【
図4】
図1の通信装置に含まれる第1通信部の記憶部に保存される通信環境データを示す図。
【
図5】
図1の通信装置に含まれる第1通信部の記憶部に保存される通信環境判定用の閾値のデータを示す図。
【
図6】
図1の通信システムにおける処理の全体シーケンスを示す図。
【
図7】
図1の通信装置によって実施される通信方法の処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の一実施形態に係る通信装置10を備えた通信システム1について、
図1~
図7を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、本実施形態では、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
また、出願人は、当業者が本発明を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0032】
(1)通信システム1の構成
本実施形態に係る通信システム1は、
図1に示すように、複数のセンサ(外部機器)21a~21dにおいて検出した各種データ(出力信号)を、センサモジュール20を介して取得し、通信ネットワーク30を介して、クラウドサーバ31へ送信する通信装置10を中心に構成されている。すなわち、通信システム1は、通信装置10と、センサモジュール20およびセンサ21a~21dと、通信ネットワーク30と、クラウドサーバ(外部サーバ)31と、ユーザ端末装置32と、を備えている。
【0033】
通信装置10は、
図1に示すように、センサモジュール20を介してセンサ21a~21dにおいて検出された各種データを取得し、電波強度を用いて通信環境を判定して、第1通信部11および第2通信部12のいずれの通信手段を用いてクラウドサーバ31との通信を行うかを選択する。
なお、通信装置10の詳細な構成については、後段にて詳述する。
【0034】
ここで、通信装置10が備えている第1通信部11とクラウドサーバ31との間の通信環境、あるいは第2通信部12とクラウドサーバ31との間の通信環境を示す電波強度は、後述する第1通信部11のアンテナ11db、あるいは第2通信部12のアンテナ12dbから取得される電波強度の値として、例えば、
図2に示すように、RSSI(Received Signal Strength Indicator)あるいはRSRP(Reference Signal Received Power)の測定値を用いることができる。
【0035】
RSSI(Received Signal Strength Indicator)は、
図2に示すように、単位がdBm(デシベルミリワット)の値であって、アクセスポイント(基地局)またはルータからの信号(システム帯域全体)の電力測定値として表される。RSSI値は、値がプラスの方向に大きいほど電波が強いと判定され、例えば、-30dBm以上であれば“非常に強い”、-67dBm以上であれば“とても強い”、-70dBm以上であれば“強い”、-80dBm以上であれば“弱い”と判定される。
【0036】
RSRP(Reference Signal Received Power)は、
図2に示すように、単位がdBm(デシベルミリワット)の値であって、端末と基地局との位置関係で決まる基準信号の受信電力値として表される。RSRP値は、例えば、RSSIと同様に、値がプラスの方向に大きいほど電波が強いと判定され、例えば、-44dBm以上であれば“非常に強い”、-90dBm以上であれば“とても強い”、-100dBm以上であれば“強い”、-120dBm以上であれば“とても弱い”と判定される。
【0037】
センサモジュール20は、センサ21a~21dに接続されており、センサ21a~21dにおいて検出された各種データを、通信装置10に対して送信する。
センサ21a~21dは、例えば、気象データ(気圧、温度、湿度等)を取得する気象センサ、家庭や事業所等における電力情報を取得する電力監視センサ、農作物を生育する機器から情報(日照時間、温湿度、加速度等)を取得する農業センサ等である。
【0038】
通信ネットワーク30は、通信装置10とクラウドサーバ31との間を接続し、通信装置10とクラウドサーバ31との間における無線通信が可能となる。
クラウドサーバ31は、インターネット上のクラウド空間に設けられた仮想的なサーバ装置であって、通信装置10を介して送信されてきた各種データを保存する。そして、クラウドサーバ31は、
図1に示すように、データ入力部31aと、記憶部31bと、表示・通知制御部31cとを有している。
【0039】
データ入力部31aは、通信ネットワーク30を介して、通信装置10から送信された各種データが入力される。
記憶部31bは、
図1に示すように、センサ21a~21dにおいて検出された各種データを、センサログデータ31baとして保存するとともに、通信装置10との間の通信環境を電波強度の値として示す通信環境ログデータ31bbを保存する。
【0040】
表示・通知制御部31cは、センサログデータ31baと通信環境ログデータ31bbとを、通信ネットワーク30を介して、ユーザ端末装置32に表示させて、通信装置10とクラウドサーバ31との間における通信環境等をユーザに通知する。
ユーザ端末装置32は、センサ21a~21dを用いて検出された各種データを管理する管理者が所有する端末であって、通信ネットワーク30を介して、クラウドサーバ31と接続されている。そして、ユーザ端末装置32は、後述する通信装置10における電波強度を用いた判定結果(通信環境等)の情報を表示する。
【0041】
(2)通信装置10の構成
本実施形態に係る通信装置10は、センサモジュール20を介して取得したセンサ21a~21dにおける検出結果を、クラウドサーバ31に送信する装置であって、選択的に使用される複数の通信手段として、
図1に示すように、第1通信部11と、第2通信部12と、を備えている。
【0042】
(2-1)第1通信部11の構成
第1通信部11は、通信装置10が備えている複数の通信手段のうちの1つであって、例えば、LTE(登録商標)(Long Term Evolution)、Wifi(登録商標)、LoRa(登録商標)(Long Range)、BLE(登録商標)(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等の通信方式を採用している。第1通信部11は、
図1に示すように、無線通信モジュール11aと、ネットワーク装置11eとを有している。
【0043】
無線通信モジュール11aは、
図1に示すように、制御部(信号取得部)11bと、記憶部11cと、通信処理部11dとを含む。
制御部(信号取得部)11bは、
図1に示すように、センサモジュール20と接続されており、センサモジュール20を介して、センサ21a~21dにおける検出結果(出力信号)を取得する。また、制御部11bは、取得した検出結果をセンサログデータ11caとして、記憶部11cに保存させる。さらに、制御部11bは、通信処理部11dと接続されており、後述する電波強度のデータを取得して、通信環境ログデータ11cbとして記憶部11cに保存させる。
【0044】
記憶部11cは、
図1に示すように、センサログデータ11ca、通信環境ログデータ11cbおよび判定用閾値11ccを保存する。
センサログデータ11caは、センサ21a~21dにおいて検出された各種データであって、例えば、
図3に示すように、センサ21a~21dにおける検出時間、センサ21a~21dの種別(温度、湿度、気圧等)、第1通信部11および第2通信部12のID(“1”または“2”)、センサデータ(20.0℃、1011hPa等)を含む。
【0045】
通信環境ログデータ11cbは、第1通信部11のアンテナ11dbから取得される電波強度のデータであって、
図4に示すように、電波強度の取得日時、1時間おきに取得された電波強度(RSSIの値、RSRPの値)のデータ等が記録されている。
判定用閾値11ccは、後述する電波強度を用いた通信環境の判定処理で使用される閾値であって、
図5に示すように、第1通信部11または第2通信部12において採用された通信方式(LTE、LoRa、Wifi、BLE等)と、閾値設定項目(RSRP、タイムアウト時間)、それぞれの閾値設定項目の値(dBm、秒)を含む。
【0046】
例えば、第1通信部11または第2通信部12が、通信方式としてLTE-Cat1あるいはLTE-CatM1を採用している場合、電波強度の閾値(RSRP)は-120dBmであって、タイムアウト時間の閾値は150秒と設定されている。
また、第1通信部11または第2通信部12が、通信方式としてLoRaを採用している場合、電波強度の閾値(RSSI)は-90dBであって、タイムアウト時間の閾値は60秒と設定されている。
【0047】
さらに、第1通信部11または第2通信部12が、通信方式としてWifiあるいはBLEを採用している場合、電波強度の閾値(RSSI)は-90dBmであって、タイムアウト時間の閾値は60秒と設定されている。
通信処理部11dは、制御部11bが取得したセンサ21a~21dにおける検出結果を、ネットワーク装置11e、通信ネットワーク30を介して、クラウドサーバ31に送信する。通信処理部11dは、
図1に示すように、通信制御部(第1通信制御部)11daと、アンテナ11dbとを有している。
【0048】
通信制御部(第1通信制御部)11daは、通信ネットワーク30を介した通信装置10とクラウドサーバ31との通信を制御する。より具体的には、通信制御部11daは、第1通信部11のアンテナ11dbからクラウドサーバ31へ送信された信号の電波強度が所定の閾値よりも大きい場合には、そのまま第1通信部11を用いてクラウドサーバ31との通信を行う。一方、電波強度が所定の閾値以下である場合には、通信制御部11daは、第1通信部11を用いた通信から第2通信部12を用いた通信に切り替えるように制御する。
【0049】
また、通信制御部11daは、クラウドサーバ31に対して、センサ21a~21dにおける検出結果(出力信号)を送信した際に、クラウドサーバ31から所定時間内に応答信号を受信するか否かに応じて、通信の可否を判定する。
ここで、通信制御部11daは、電波強度を用いた判定用のデータとして、RSSI(Received Signal Strength Indicator)あるいはRSRP(Reference Signal Received Power)のデータを使用する。
【0050】
アンテナ11dbは、ネットワーク装置11eに対して、センサ21a~21dにおける検出結果等のデータを送信する。また、アンテナ11dbは、アンテナ11dbが受信している信号の強度として、電波強度(RSSI値あるいはRSRP値等)の測定が行われる。
ネットワーク装置11eは、通信ネットワーク30に接続されており、無線通信モジュール11aから受信した各種データを、通信ネットワーク30を介して、クラウドサーバ31へ送信する。
【0051】
(2-2)第2通信部12の構成
第2通信部12は、通信装置10が備えている複数の通信手段のうちの1つであって、例えば、LTE(Long Term Evolution)、Wifi、LoRa(Long Range)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等の通信方式を採用している。第2通信部12は、
図1に示すように、無線通信モジュール12aと、ネットワーク装置12eとを有している。
【0052】
無線通信モジュール12aは、
図1に示すように、制御部(信号取得部)12bと、記憶部12cと、通信処理部12dとを含む。
制御部(信号取得部)12bは、
図1に示すように、センサモジュール20および第1通信部11の制御部11bと接続されており、第1通信部11における電波強度が低い場合に、第1通信部11の記憶部11cから、センサ21a~21dにおける検出結果(出力信号)を取得する。また、制御部12bは、通信処理部12dと接続されており、第2通信部12から送信される信号の電波強度のデータを取得して、通信環境ログデータ12cbとして記憶部12cに保存させる。
【0053】
記憶部12cは、
図1に示すように、通信環境ログデータ12cbを保存する。
通信環境ログデータ12cbは、第2通信部12のアンテナ12dbから取得される電波強度のデータであって、
図4に示すように、電波強度の取得日時、RSSIの値、RSRPの値等が記録されている。
なお、第2通信部12の記憶部12cには、第1通信部11の記憶部11cに保存されているセンサログデータ11caおよび判定用閾値11ccのデータは保存されていない。
【0054】
これにより、第2通信部12を用いて通信を行うことが選択された場合には、第1通信部11の記憶部11cから必要なセンサログデータ11caを取り出して送信することで、第2通信部12の記憶部12cの記憶容量を削減することができる。
通信処理部12dは、制御部12bが取得したセンサ21a~21dにおける検出結果を、ネットワーク装置12e、通信ネットワーク30を介して、クラウドサーバ31に送信する。通信処理部12dは、
図1に示すように、通信制御部(第2通信制御部)12daと、アンテナ12dbとを有している。
【0055】
通信制御部(第2通信制御部)12daは、通信ネットワーク30を介した通信装置10とクラウドサーバ31との通信を制御する。より具体的には、通信制御部12daは、第2通信部12のアンテナ12dbからクラウドサーバ31へ送信された信号の電波強度が所定の閾値よりも大きい場合には、そのまま第2通信部12を用いてクラウドサーバ31との通信を行う。一方、電波強度が所定の閾値以下である場合には、通信制御部12daは、第1通信部11および第2通信部12を用いた通信がともに不可であることを示す警告を、通信ネットワーク30を介してクラウドサーバ31へ送信する。
【0056】
これにより、複数の通信手段として第1通信部11および第2通信部12を備えた通信装置10において、第1通信部11および第2通信部12の双方の電波強度が閾値よりも小さい場合には、通信遮断等の通信障害が解消されて通信可能となった際に、通信装置10の通信環境が悪化して通信不可であることをユーザ(ユーザ端末装置32)に対して報知することができる。
【0057】
また、通信制御部12daは、クラウドサーバ31に対して、センサ21a~21dにおける検出結果(出力信号)を送信した際に、クラウドサーバ31から所定時間内に応答信号を受信するか否かに応じて、通信の可否を判定する。
なお、通信制御部12daは、第1通信部11の通信制御部11daと同様に、電波強度を用いた判定用のデータとして、RSSI(Received Signal Strength Indicator)あるいはRSRP(Reference Signal Received Power)のデータを使用する。
【0058】
アンテナ12dbは、ネットワーク装置12eに対して、センサ21a~21dにおける検出結果等のデータを送信する。また、アンテナ12dbは、アンテナ12dbが受信している信号の強度として、電波強度(RSSI値あるいはRSRP値等)の測定が行われる。
ネットワーク装置12eは、通信ネットワーク30に接続されており、無線通信モジュール12aから受信した各種データを、通信ネットワーク30を介して、クラウドサーバ31へ送信する。
【0059】
<通信装置10による通信処理>
本実施形態の通信システム1は、
図6に示すように、通信装置10(第1通信部11、第2通信部12)、センサモジュール20およびセンサ21a~21d、クラウドサーバ31、ユーザ端末装置32との間において、通信判定処理を行う。
すなわち、通信装置10は、まず、第1通信部11から、第2通信部12とセンサモジュール20に対してそれぞれ初期設定を送信する。
【0060】
続いて、第1通信部11は、センサデータ取得指示信号を、センサモジュール20に対して送信する。
センサモジュール20は、第1通信部11から受信したセンサデータ取得指示信号を受信すると、これに応答して、センサ21a~21dにおける検出結果を、センサデータ(出力信号)として、第1通信部11に対して送信する。これにより、第1通信部11は、センサデータを取得して、記憶部11cに保存することができる。
【0061】
続いて、第1通信部11は、通信処理部11d内の通信制御部11daが、アンテナ11dbから電波強度に関するデータ(A)を取得する。
このとき、第1通信部11とほぼ同時に、第2通信部12は、通信処理部12d内の通信制御部12daが、アンテナ12dbから電波強度に関するデータ(B)を取得する。
なお、第1通信部11および第2通信部12において取得される電波強度に関するデータは、上述したように、例えば、RSSI(Received Signal Strength Indicator)あるいはRSRP(Reference Signal Received Power)のデータである。
【0062】
そして、第1通信部11の通信制御部11daは、アンテナ11dbから取得した電波強度のデータ(A)と、記憶部11cに予め保存された通信環境判定用の閾値とを比較し、(A)の値が閾値よりも大きい場合(Case1)には、そのまま第1通信部11からクラウドサーバ31へセンサデータを送信する。
一方、(A)の値が閾値以下である場合(Case2)には、第1通信部11の制御部11bが、第2通信部12の制御部12bから、第2通信部12のアンテナ12dbから電波強度に関するデータ(B)を取得する。
【0063】
そして、通信制御部11daは、送信手段として、第1通信部11から第2通信部12へ切り替え可能か否かを判定する。具体的には、第2通信部12の通信制御部12daがアンテナ12dbから取得した電波強度(B)と上記閾値とを比較して、(B)の値が閾値よりも大きい場合には、第1通信部11の通信制御部11daが、制御部11bによって記憶部11cから取り出されたセンサデータと、通信動作開始指示信号とを、第2通信部12に対して送信する。
【0064】
これにより、第2通信部12は、第1通信部11において十分な電波強度が得られない通信環境下において、第1通信部11(例えば、LTE)とは異なる通信方式(例えば、Wifi)によって、第2通信部12からクラウドサーバ31へセンサデータを送信することができる。
また、第1通信部11において(A)の値が閾値以下である場合において、第2通信部12の電波強度(B)の値も閾値以下である場合(Case3)、第2通信部12は、通信不可であることを示す信号を、クラウドサーバ31に対して送信する。
【0065】
クラウドサーバ31は、上記Case1または2の場合には、ユーザ端末装置32に対して、センサデータを送信する。一方、クラウドサーバ31は、上記Case3の場合には、複数の通信手段を備えた通信装置10であっても、十分な電波強度が得られない通信環境にあることから、通信不可信号をユーザ端末装置32に対して送信する。
これにより、ユーザ端末装置32を所有するユーザは、通信装置10の通信環境が悪化していることを認識することができる。
【0066】
<通信装置10による通信方法>
本実施形態の通信装置10による通信方法について、
図7のフローチャートを用いて説明すれば以下の通りである。
すなわち、ステップS11では、通信装置10の電源がONされる。
次に、ステップS12では、第1通信部11の制御部11bが、第2通信部12の制御部12bに対して、初期設定を送信する。
【0067】
次に、ステップS13では、第1通信部11の制御部11bが、センサモジュール20を介して、各センサ21a~21dにおける検出結果を取得する。
次に、ステップS14では、第1通信部11の制御部11bが、取得したセンサデータを、記憶部11cに保存する。
次に、ステップS15では、第1通信部11の通信制御部11daが、アンテナ11dbから電波強度を取得し、通信環境ログデータとして記憶部11cに保存する。
【0068】
次に、ステップS16では、第2通信部12の通信制御部12daがアンテナ12dbを用いて電波強度を取得し、通信環境ログデータとして記憶部12cに保存する。
次に、ステップS17では、ステップS15において取得された第1通信部11の現在の電波強度を、通信環境判定用閾値(RSSI/RSRP)と比較して、閾値よりも大きい場合にはステップS18へ進む。一方、第1通信部11の現在の電波強度が閾値以下である場合には、第1通信部11を用いた通信を断念して、ステップS22へ進む。
【0069】
次に、ステップS18では、第1通信部11の制御部11bが、通信処理部11dを介して、センサデータをクラウドサーバ31へ送信する。
次に、ステップS19では、第1通信部11からセンサデータを送信した後、記憶部11cに保存された判定用閾値(タイムアウト時間)内に、クラウドサーバ31からの応答があったか否かを判定する。
【0070】
ここで、第1通信部11が、所定のタイムアウト時間内にクラウドサーバ31からの応答信号を受信した場合には、ステップS20へ進む。一方、第1通信部11が、所定のタイムアウト時間内にクラウドサーバ31からの応答信号を受信できなかった場合には、第1通信部11とクラウドサーバ31との間のいずれかの通信環境が悪化していると想定されるため、別の通信手段(第2通信部12)を用いるために、ステップS22へ進む。
【0071】
次に、ステップS20では、ステップS19においてタイムアウト時間内にクラウドサーバ31からの応答があったと判定されたため、クラウドサーバ31のデータ入力部31aが、第1通信部11から受信したセンサデータを記憶部31bに保存する。
次に、ステップS21では、クラウドサーバ31の表示・通知制御部31cが、記憶部31bからセンサデータを取り出して、通信ネットワーク30を介して、ユーザ端末装置32へセンサデータを送信し、表示させる。
【0072】
次に、ステップS22では、ステップS17において第1通信部11の電波強度が閾値以下であった、あるいは、ステップS19においてタイムアウト時間内にクラウドサーバ31からの応答がなかったと判定されたため、第1通信部11を用いた通信は不可と判断して、第1通信部11の制御部11bが第2通信部12の制御部12bから第2通信部12の電波強度を取得する。
【0073】
次に、ステップS23では、ステップS16において取得された第2通信部12の現在の電波強度を、通信環境判定用閾値(RSSI/RSRP)と比較して、閾値よりも大きい場合にはステップS24へ進む。一方、第2通信部12の現在の電波強度が閾値以下である場合には、第2通信部12を用いた通信を断念して、ステップS27へ進む。
次に、ステップS24では、ステップS23において、第2通信部12からの電波強度が十分大きいと判定されたため、第1通信部11の制御部11bが、第2通信部12の制御部12bに対して、第2通信部12から送信指示信号を送信するとともに、記憶部11cに保存されたセンサデータを取り出して、第2通信部12の制御部12bに対して送信する。
【0074】
次に、ステップS25では、第1通信部11から送信指示信号を受信した第2通信部12の通信処理部12dが、通信ネットワーク30を介して、クラウドサーバ31へセンサデータを送信する。
次に、ステップS26では、第2通信部12からセンサデータを送信した後、記憶部11cに保存された判定用閾値(タイムアウト時間)内に、クラウドサーバ31からの応答があったか否かを判定する。
【0075】
ここで、第2通信部12が、所定のタイムアウト時間内にクラウドサーバ31からの応答信号を受信した場合には、ステップS20へ戻って、それ以降の処理を繰り返す。一方、第2通信部12が、所定のタイムアウト時間内にクラウドサーバ31からの応答信号を受信できなかった場合には、第2通信部12とクラウドサーバ31との間のいずれかの通信環境が悪化していると想定されるため、通信装置10からの通信は不可と判断して、ステップS27へ進む。
【0076】
次に、ステップS27では、ステップS23において第2通信部12の電波強度が閾値以下であった、あるいは、ステップS26においてタイムアウト時間内にクラウドサーバ31からの応答がなかったと判定されたため、通信装置10からクラウドサーバ31へのセンサデータの送信は不可であることを示すメッセージ等を、ユーザ端末装置32に対して送信する。
【0077】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、通信装置および通信方法として、本発明を実現した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0078】
例えば、上述した通信装置による通信方法をコンピュータに実行させる通信プログラムとして本発明を実現してもよい。
このプログラムは、通信装置に搭載されたメモリ(記憶部)に保存されており、CPUがメモリに保存された通信プログラムを読み込んで、ハードウェアに各ステップを実行させる。より具体的には、CPUが通信プログラムを読み込んで、上述した信号取得ステップと、通信ステップと、判定ステップと、を実行することで、上記と同様の効果を得ることができる。
また、本発明は、通信プログラムを保存した記録媒体として実現されてもよい。
【0079】
(B)
上記実施形態では、第1通信部11と第2通信部12とが、異なる通信経路、かつ異なる通信方式で、クラウドサーバ31との通信を行う例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、第1通信部と第2通信部とが、異なる通信経路で、同じ通信方式で通信を行う構成であってもよい。
【0080】
(C)
上記実施形態では、第1通信部11に設けられた通信制御部11daが、第1通信部11における電波強度を取得して閾値と比較するとともに、第2通信部12における電波強度も取得して閾値と比較する判定処理を実施する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、電波強度と閾値とを比較する判定処理は、複数の通信手段を統括的に制御する単一の通信制御部によって実施されてもよい。
この場合には、各通信部に通信制御部を設けることなく、統括的な単一の通信制御部によって全ての通信部による通信を制御することができる。
【0081】
(D)
上記実施形態では、第2通信部12側の記憶部12cには、通信環境データのみが保存され、センサログデータ、通信環境判定用閾値データは、第1通信部11側の記憶部11cにのみ保存されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、第2通信部側においても、第1通信部側と同様に、センサログデータ、通信環境判定用閾値データ等を保存する構成であってもよい。
【0082】
(E)
上記実施形態では、電波強度を用いた判定用のデータとして、RSSI(Received Signal Strength Indicator)あるいはRSRP(Reference Signal Received Power)のデータを用いる例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、他の判定用データとして、RSRQ(Reference Signal Received Quality)やSINR(Signal to Interference plus Noise Ratio)等のデータを用いてもよい。
【0083】
(F)
上記実施形態では、通信装置10が、通信方式が異なる2つの通信手段(第1通信部11と第2通信部12)を備えている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、通信装置が、通信方式および/または通信経路が異なる3つ以上の通信部を備えた構成であってもよい。
【0084】
(G)
上記実施形態では、センサモジュール20を介して、4つのセンサ21a~21dにおいて検出された各種データ(出力信号)が、通信装置10に送信される例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、通信装置に対して送信される出力信号は、1つ、2つあるいは3つの外部機器(センサ等)から送信されてもよいし、5つ以上の外部機器から送信されてもよい。
【0085】
(H)
上記実施形態では、外部機器として、気象センサ、電力監視センサ、農業センサ等の各種センサから出力信号を取得する通信装置10を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0086】
例えば、リレー等の外部機器から電力遮断信号を取得して、外部サーバへ送信する通信装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の通信装置は、外部機器から取得した出力信号を安定的に外部サーバへ信号を出力することができるという効果を奏することから、各種通信装置として広く適用可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 通信システム
10 通信装置
11 第1通信部
11a 無線通信モジュール
11b 制御部(信号取得部)
11c 記憶部(第1記憶部)
11ca センサログデータ
11cb 通信環境ログデータ
11cc 判定用閾値
11d 通信処理部
11da 通信制御部(第1通信制御部)
11db アンテナ
11e ネットワーク装置
12 第2通信部
12a 無線通信モジュール
12b 制御部
12c 記憶部(第2記憶部)
12cb 通信環境ログデータ
12d 通信処理部
12da 通信制御部(第2通信制御部)
12db アンテナ
12e ネットワーク装置
20 センサモジュール
21a~21d センサ(外部機器)
30 通信ネットワーク
31 クラウドサーバ(外部サーバ)
31a データ入力部
31b 記憶部
31ba センサログデータ
31bb 通信環境ログデータ
31c 表示・通知制御部
32 ユーザ端末装置