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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082343
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 41/12 20060101AFI20240613BHJP
   B60K 11/04 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
A01D41/12 R
B60K11/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196128
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】安田 和男
(72)【発明者】
【氏名】久保田 実希
【テーマコード(参考)】
2B074
3D038
【Fターム(参考)】
2B074AA01
2B074AA05
2B074AB01
2B074AC02
2B074AF02
2B074BA06
2B074CD02
2B074CD05
2B074DA01
2B074DA02
2B074DA06
2B074DE03
2B074DF03
2B074DF08
3D038AA05
3D038AB08
3D038AC03
3D038AC11
3D038AC12
3D038AC14
3D038AC21
3D038AC23
(57)【要約】
【課題】エンジンルームを効果的に換気することが可能な収穫機が要望されている。
【解決手段】収穫機は、水冷式のエンジンEと、エンジンE用の冷却水を冷却するラジエータ15と、エンジンEとラジエータ15との間に設けられ、ラジエータ15に冷却風を供給する第一ファン16と、エンジンE、ラジエータ15及び第一ファン16を収容するエンジンルーム18と、エンジンルーム18を換気する第二ファン27と、を備えている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水冷式のエンジンと、
前記エンジン用の冷却水を冷却するラジエータと、
前記エンジンと前記ラジエータとの間に設けられ、前記ラジエータに冷却風を供給する第一ファンと、
前記エンジン、前記ラジエータ及び前記第一ファンを収容するエンジンルームと、
前記エンジンルームを換気する第二ファンと、を備えている収穫機。
【請求項2】
機体を備え、
前記第一ファンは、前記エンジンに対して機体左右方向の一方側に配置され、
前記第二ファンは、前記エンジンに対して機体左右方向の他方側に配置されている請求項1に記載の収穫機。
【請求項3】
前記エンジンルームは、前記機体における機体左右方の一方側の箇所に形成され、
前記第一ファンは、前記エンジンに対して機体横外側に配置され、
前記第二ファンは、前記エンジンに対して機体横内側に配置されている請求項2に記載の収穫機。
【請求項4】
前記第二ファンは、側面視で前記エンジンルームと重複している請求項1から3の何れか一項に記載の収穫機。
【請求項5】
前記第二ファンは、前記エンジンに対して機体前後方向の一方側に位置ずれしてる請求項4に記載の収穫機。
【請求項6】
前記エンジンは、前記エンジンにおける機体左右方向の他方側の側部から動力を出力する出力部を有し、
前記機体における機体左右方向の他方側の箇所に設けられ、刈取穀稈を脱穀する脱穀装置と、
機体左右方向に沿って延び、前記エンジンからの動力を前記脱穀装置に伝達する伝動軸と、
前記出力部と前記伝動軸とに亘って設けられ、前記エンジンからの動力を前記伝動軸に伝達するベルト伝動機構と、を備え、
前記ベルト伝動機構は、前記出力部に設けられる第一プーリと、前記伝動軸に設けられる第二プーリと、前記第一プーリ及び前記第二プーリに巻き付けられるベルトと、を有し、
前記第二ファンは、前記第二プーリによって構成されている請求項3に記載の収穫機。
【請求項7】
前記エンジンルームは、前記脱穀装置の前部に対して機体左右方向の一方側の箇所に形成され、
前記伝動軸は、前記脱穀装置の前下方に設けられている請求項6に記載の収穫機。
【請求項8】
前記第二プーリの外径は、前記第一プーリの外径よりも大きい請求項6又は7に記載の収穫機。
【請求項9】
前記第二プーリは、前記伝動軸に支持されるボス部と、前記ベルトが巻き付けられる外輪部と、前記ボス部と前記外輪部とに亘って設けられ、前記ボス部と前記外輪部とを連結する連結部と、を有し、
前記連結部に、機体左右方向に開口する一又は複数の開口が形成されている請求項6又は7に記載の収穫機。
【請求項10】
第二プーリは、前記連結部のうち機体左右方向で前記エンジンルーム側の部分に設けられ、機体左右方向で前記エンジンルーム側に向かって立ち上がる一又は複数の立ち上がり部を有している請求項9に記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、収穫機として、例えば、特許文献1に記載の収穫機が知られている。特許文献1に記載の収穫機は、水冷式のエンジンと、エンジン用の冷却水を冷却するラジエータと、エンジンとラジエータとの間に設けられ、ラジエータに冷却風を供給する第一ファンと、エンジン、ラジエータ及び第一ファンを収容するエンジンルームと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-97218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の収穫機では、エンジンルームを効果的に換気することが望まれている。
【0005】
上記状況に鑑み、エンジンルームを効果的に換気することが可能な収穫機が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、水冷式のエンジンと、前記エンジン用の冷却水を冷却するラジエータと、前記エンジンと前記ラジエータとの間に設けられ、前記ラジエータに冷却風を供給する第一ファンと、前記エンジン、前記ラジエータ及び前記第一ファンを収容するエンジンルームと、前記エンジンルームを換気する第二ファンと、を備えていることにある。
【0007】
本特徴構成によれば、第一ファンによってラジエータに冷却風が供給されると共に、第二ファンによってエアクリーナルームが換気される。これにより、エンジンルームを効果的に換気することができる。
【0008】
さらに、本発明において、機体を備え、前記第一ファンは、前記エンジンに対して機体左右方向の一方側に配置され、前記第二ファンは、前記エンジンに対して機体左右方向の他方側に配置されていると好適である。
【0009】
本特徴構成によれば、エンジンに対して機体左右方向の一方側において、第一ファンによってラジエータに冷却風が供給されると共に、エンジンに対して機体左右方向の他方側において、第二ファンによってエンジンルームが換気される。したがって、第一ファンによる冷却風が、エンジンルーム内を機体左右方向の他方側に流れて、エンジンルーム内の空気が、エンジンルームにおける機体左右方向の他方側の側部から、第二ファンによってエンジンルームの外部に排出される。これにより、エンジンルームをより効果的に換気することができる。
【0010】
さらに、本発明において、前記エンジンルームは、前記機体における機体左右方の一方側の箇所に形成され、前記第一ファンは、前記エンジンに対して機体横外側に配置され、前記第二ファンは、前記エンジンに対して機体横内側に配置されていると好適である。
【0011】
本特徴構成によれば、エンジンに対して機体横外側において、第一ファンによってラジエータに冷却風が供給されると共に、エンジンに対して機体横内側において、第二ファンによってエンジンルームが換気される。したがって、第一ファンによる冷却風が、エンジンルーム内を機体横内側に流れて、エンジンルーム内の空気が、エンジンルームにおける機体横内側の側部から、第二ファンによってエンジンルームの外部に排出される。これにより、エンジンルームをより効果的に換気することができる。また、エンジンルームの外部に排出される空気が、収穫機の周囲に影響を及ぼさないようにすることができる。
【0012】
さらに、本発明において、前記第二ファンは、側面視で前記エンジンルームと重複していると好適である。
【0013】
本特徴構成によれば、第二ファンが回転すると、エンジンルーム内の空気が第二ファンに向かって流れる。これにより、エンジンルーム内の空気をエンジンルームの外部にスムーズに排出することができる。
【0014】
さらに、本発明において、前記第二ファンは、前記エンジンに対して機体前後方向の一方側に位置ずれしてると好適である。
【0015】
本特徴構成によれば、エンジンルーム内を第二ファンに向かって流れる空気が、エンジンによって阻害されない。
【0016】
さらに、本発明において、前記エンジンは、前記エンジンにおける機体左右方向の他方側の側部から動力を出力する出力部を有し、前記機体における機体左右方向の他方側の箇所に設けられ、刈取穀稈を脱穀する脱穀装置と、機体左右方向に沿って延び、前記エンジンからの動力を前記脱穀装置に伝達する伝動軸と、前記出力部と前記伝動軸とに亘って設けられ、前記エンジンからの動力を前記伝動軸に伝達するベルト伝動機構と、を備え、前記ベルト伝動機構は、前記出力部に設けられる第一プーリと、前記伝動軸に設けられる第二プーリと、前記第一プーリ及び前記第二プーリに巻き付けられるベルトと、を有し、前記第二ファンは、前記第二プーリによって構成されていると好適である。
【0017】
本特徴構成によれば、第二ファンとして第二プーリを利用することができる。
【0018】
さらに、本発明において、前記エンジンルームは、前記脱穀装置の前部に対して機体左右方向の一方側の箇所に形成され、前記伝動軸は、前記脱穀装置の前下方に設けられていると好適である。
【0019】
本特徴構成によれば、第二プーリをエンジンルームの近傍に配置することができる。
【0020】
さらに、本発明において、前記第二プーリの外径は、前記第一プーリの外径よりも大きいと好適である。
【0021】
本特徴構成によれば、第二プーリを大径に構成して、第二プーリのファンとしての機能を向上させることができる。
【0022】
さらに、本発明において、前記第二プーリは、前記伝動軸に支持されるボス部と、前記ベルトが巻き付けられる外輪部と、前記ボス部と前記外輪部とに亘って設けられ、前記ボス部と前記外輪部とを連結する連結部と、を有し、前記連結部に、機体左右方向に開口する一又は複数の開口が形成されていると好適である。
【0023】
本特徴構成によれば、エンジンルーム内の空気を開口からエンジンルームの外部に排出することができる。
【0024】
さらに、本発明において、第二プーリは、前記連結部のうち機体左右方向で前記エンジンルーム側の部分に設けられ、機体左右方向で前記エンジンルーム側に向かって立ち上がる一又は複数の立ち上がり部を有していると好適である。
【0025】
本特徴構成によれば、立ち上がり部がファンの羽根として機能することにより、第二プーリのファンとしての機能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】コンバインを示す右側面図である。
図2】コンバインを示す平面図である。
図3】運転部、原動部及びこれらの周辺構造を示す左側面図である。
図4】運転部、原動部及びその周辺構造を示す正面断面図である。
図5】原動部及びその周辺構造を示す平面断面図である。
図6】第二プーリを示す斜視図である。
図7】収容部を示す右側面である。
図8図7におけるVIII-VIII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下では、矢印Fの方向を「機体の前方」、矢印Bの方向を「機体の後方」、矢印Lの方向を「機体の左方」、矢印Rの方向を「機体の右方」、矢印Uの方向を「機体の上方」、矢印Dの方向を「機体の下方」とする。
【0028】
〔コンバインの全体構成〕
図1及び図2には、コンバイン(本発明に係る「収穫機」に相当)を示している。図1及び図2に示すように、コンバインは、全稈投入型コンバインである。コンバインは、機体1と、刈取部2と、フィーダ3と、脱穀装置4と、穀粒タンク5と、穀粒排出装置6と、運転部7と、原動部8と、変速装置Tと、を備えている。
【0029】
機体1は、左右のクローラ走行装置9と、機体フレーム10と、を備えている。機体フレーム10は、左右のクローラ走行装置9に支持されている。なお、本実施形態では、機体左右方向の一方側は、「右側」、機体左右方向の他方側は、「左側」、機体前後方向の一方側は、「前側」、機体前後方向の他方側は、「後側」である。
【0030】
刈取部2は、植立穀稈を刈り取る。刈取部2は、機体1の前方に配置されている。
【0031】
フィーダ3は、刈取穀稈を脱穀装置4に向けて搬送する。フィーダ3は、刈取部2と脱穀装置4とに亘って設けられている。
【0032】
脱穀装置4は、刈取穀稈を脱穀する。脱穀装置4は、機体1における機体左右方向の他方側(本実施形態では、左側)の箇所に設けられている。
【0033】
穀粒タンク5は、穀粒を貯留する。穀粒タンク5は、脱穀装置4の右方に配置されている。穀粒排出装置6は、穀粒タンク5内の穀粒を排出する。
【0034】
運転部7には、運転者が搭乗する。運転部7は、機体1における機体左右方向の一方側(本実施形態では、右側)の箇所に設けられている。運転部7は、運転座席11と、フロントパネル12と、サイドパネル13と、を備えている。運転座席11には、運転者が着座する。フロントパネル12は、運転座席11の前方に配置されている。サイドパネル13は、運転座席11の左方に配置されている。
【0035】
原動部8は、エンジンEと、マフラー14と、ラジエータ15と、第一ファン16と、エンジンボンネット17と、エンジンルーム18と、防塵カバー19と、を備えている。
【0036】
変速装置Tは、エンジンEからの動力を変速して左右のクローラ走行装置9に伝達する。変速装置Tは、機体1の後部に設けられている。
【0037】
〔原動部〕
図3から図5に示すように、エンジンボンネット17は、エンジンルーム18を形成している。エンジンボンネット17の上面部17aには、運転座席11が支持されている。
【0038】
エンジンルーム18は、エンジンE、マフラー14、ラジエータ15及び第一ファン16を収容している。エンジンルーム18は、運転部7の下方に形成されている。すなわち、エンジンルーム18は、機体1における機体左右方向の一方側(本実施形態では、右側)の箇所に形成されている。言い換えると、エンジンルーム18は、脱穀装置4の前部に対して機体左右方向の一方側(本実施形態では、右側)の箇所に形成されている。
【0039】
防塵カバー19は、通気を許容し、かつ、塵埃の通過を阻止する。防塵カバー19は、エンジンルーム18を機体左右方向の外側(本実施形態では、右側)から覆っている。
【0040】
エンジンEは、水冷式のエンジンである。エンジンEは、フライホイール20(本発明に係る「出力部」に相当)を備えている。フライホイール20は、エンジンEの左側部に設けられている。フライホイール20は、図示しない出力軸(クランク軸)に連結されている。エンジンEは、前記出力軸からの動力をフライホイール20から出力する。すなわち、エンジンEは、エンジンEにおける機体左右方向の他方側(本実施形態では、左側)の側部から動力を出力するフライホイール20を備えている。エンジンEからの動力は、ベルト伝動機構21等によって変速装置T(図1参照)に伝達される。
【0041】
マフラー14は、エンジンE用のマフラーである。マフラー14は、エンジンEの上部の左隣りに配置されている。マフラー14には、エンジンEの排気を排出する排気管22が接続されている。
【0042】
ラジエータ15は、エンジンE用の冷却水を冷却する。ラジエータ15は、エンジンEの右方に配置されている。
【0043】
第一ファン16は、ラジエータ15に冷却風を供給する。第一ファン16は、外気が防塵カバー19を介してエンジンルーム18内に流入する正転状態と、エンジンルーム18内の空気が防塵カバー19を介してエンジンルーム18の外部に流出する逆転状態とに切り替え可能に構成されている。
【0044】
第一ファン16は、エンジンEとラジエータ15との間に設けられている。第一ファン16は、エンジンEに対して右側に配置されている。言い換えると、第一ファン16は、エンジンEに対して機体横外側に配置されている。すなわち、第一ファン16は、エンジンEに対して機体左右方向の一方側(本実施形態では、右側)に配置されている。第一ファン16の周囲には、シュラウド23が設けられている。
【0045】
〔動力伝達構造〕
図3から図5に示すように、脱穀装置4の前下方には、機体左右方向に沿って延びる伝動軸24が設けられている。伝動軸24は、エンジンEからの動力を、刈取部2、フィーダ3及び脱穀装置4に伝達する。フライホイール20と伝動軸24とに亘って、エンジンEからの動力を伝動軸24に伝達するベルト伝動機構25が設けられている。ベルト伝動機構25は、機体左右方向でベルト伝動機構21よりもエンジンE側(本実施形態では、右側)に配置されている。ベルト伝動機構25は、第一プーリ26と、第二プーリ27(本発明に係る「第二ファン」、「第二プーリ」に相当)と、ベルト28と、を備えている。
【0046】
第一プーリ26は、フライホイール20に設けられている。第一プーリ26は、フライホイール20と一体的に回転するように、フライホイール20の左側面部に固定されている。
【0047】
第二プーリ27は、伝動軸24に設けられている。第二プーリ27は、伝動軸24と一体的に回転するように、伝動軸24の右端部に固定されている。第二プーリ27の外径は、第一プーリ26の外径よりも大きい。
【0048】
ベルト28は、第一プーリ26及び第二プーリ27に巻き付けられている。ベルト28は、Vベルトである。
【0049】
第二プーリ27は、カバー29によって覆われている。カバー29は、第二プーリ27を径方向外側から覆っている。具体的には、カバー29は、第二プーリ27を前方、上方及び下方から覆っている。
【0050】
エンジンEから伝動軸24への動力伝達経路には、エンジンEから伝動軸24への動力を断続するクラッチ機構30が設けられている。クラッチ機構30は、ベルトテンションクラッチである。クラッチ機構30は、ベルト伝動機構25と、テンションアーム31と、テンションローラ32と、戻しバネ33と、を備えている。
【0051】
テンションアーム31は、伝動軸24周りで揺動可能に構成されている。テンションアーム31は、伝動軸24に対して前側に位置する前アーム部31aと、伝動軸24に対して後側に位置する後アーム部31bと、を備えている。前アーム部31aには、テンションアーム31を揺動操作するためのリンク機構47が連結されている。テンションローラ32は、後アーム部31bに回転可能に支持されている。
【0052】
戻しバネ33は、テンションアーム31を、テンションローラ32がベルト28から離間する側に揺動付勢している。戻しバネ33は、カバー29と後アーム部31bとに亘って設けられている。
【0053】
テンションローラ32がベルト28に押し付けられることにより、エンジンEからの動力がベルト伝動機構25によって伝動軸24に伝達される。テンションローラ32がベルト28から離間することにより、ベルト伝動機構25によるエンジンEから伝動軸24への動力の伝達が遮断される。
【0054】
〔第二プーリ〕
図3から図5に示すように、第二プーリ27は、エンジンルーム18を換気する。すなわち、本発明に係る「第二ファン」は、第二プーリ27によって構成されている。第二プーリ27は、エンジンEに対して左側に配置されている。言い換えると、第二プーリ27は、エンジンEに対して機体横内側に配置されている。すなわち、第二プーリ27は、エンジンEに対して機体左右方向の他方側(本実施形態では、左側)に配置されている。第二プーリ27は、機体左右方向でエンジンEと脱穀装置4との間の範囲に配置されている。
【0055】
第二プーリ27は、エンジンEに対して前側に位置ずれしている。すなわち、第二プーリ27は、エンジンEに対して機体前後方向の一方側(本実施形態では、前側)に位置ずれしてる。第二プーリ27は、側面視で、エンジンルーム18と重複しているが、エンジンE及び脱穀装置4とは重複していない。
【0056】
図4から図6に示すように、第二プーリ27は、Vプーリである。第二プーリ27は、伝動軸24に支持されるボス部34と、ベルト28が巻き付けられる外輪部35と、ボス部34と外輪部35とを連結する連結部36と、複数(本実施形態では、三つ)の立ち上がり部37と、を備えている。外輪部35は、ベルト28が入り込む複数(本実施形態では、三つ)の溝部35aを備えている。
【0057】
連結部36は、ボス部34と外輪部35とに亘って設けられている。連結部36は、複数(本実施形態では、三つ)のスポーク部36aと、複数(本実施形態では、三つ)の開口36bと、を備えている。
【0058】
スポーク部36aは、ボス部34から外輪部35に向かって放射状に延びている。開口36bは、機体左右方向に開口している。開口36bは、連結部36のうち隣り合う一対のスポーク部36aの間の部分に形成されている。すなわち、連結部36には、機体左右方向に開口する複数(本実施形態では、三つ)の開口36bが形成されている。
【0059】
立ち上がり部37は、連結部36のうち機体左右方向でエンジンルーム18側(本実施形態では、右側)の部分に設けられている。具体的には、立ち上がり部37は、スポーク部36aのうち機体左右方向でエンジンルーム18側(本実施形態では、右側)の部分に形成されている。立ち上がり部37は、機体左右方向でエンジンルーム18側(本実施形態では、右側)に向かって立ち上がっている。立ち上がり部37は、ファンの羽根として機能する。立ち上がり部37の高さ(機体左右方向の長さ)は、ボス部34側から外輪部35側に近付くほど高くなっている。立ち上がり部37は、ボス部34、外輪部35及びスポーク部36aに連結されている。すなわち、ボス部34、外輪部35、スポーク部36a及び立ち上がり部37は、一体に形成されている。
【0060】
図5に示すように、第一ファン16が正転状態で回転すると、外気が防塵カバー19を介してエンジンルーム18内に流入する(図5中の空気の流れA1参照)。そして、第二プーリ27が回転すると、エンジンルーム18内の空気が第二プーリ27に向かって流れる(図5中の空気の流れA2参照)。最終的には、エンジンルーム18内の空気が、開口36bからエンジンルーム18の外部に流出する(図5中の空気の流れA3参照)。すなわち、第二プーリ27は、エンジンルーム18内の空気をエンジンルーム18の外部に排出するファン(排気ファン)である。なお、図2において、空気の流れを、白抜き矢印(太点線)で示している。
【0061】
エンジンルーム18内には、エンジンルーム18内の空気が第二プーリ27側に流れる通路38が形成されている。通路38は、エンジンEの周囲、特に、エンジンEの前部とエンジンボンネット17の前面部17bとの間に形成されている。
【0062】
〔収納部〕
図7及び図8に示すように、穀粒タンク5の下部には、下窄まり部5aが形成されている。下窄まり部5aの右側部には、収納部39が設けられている。収納部39は、小物入れ(例えば、工具入れ等)として使用される。収納部39は、下窄まり部5aと一体に構成されている。
【0063】
収納部39は、本体部40と、蓋部41と、を備えている。本体部40には、開口40aが形成されている。蓋部41は、開口40aを蓋する。蓋部41の下縁部は、前後のヒンジ42を介して、本体部40に揺動開閉可能に支持されている。
【0064】
蓋部41は、ロック機構43によって、開口40aを閉じる位置(閉じ位置)に固定可能に構成されている。ロック機構43は、ピン44と、ストッパ45と、を備えている。ピン44は、本体部40のうち開口40aよりも上側の部分に設けられている。蓋部41の上縁部には、ピン44が入り込む切り欠き41aが形成されている。ストッパ45は、蓋部41の上縁部に設けられている。ストッパ45は、板バネである。ストッパ45の前部は、前後のボルト46によって蓋部41の上縁部に固定されている。ストッパ45の後端部には、ピン44が差し込まれる孔45aが形成されている。
【0065】
蓋部41が閉じている状態では、ピン44が切り欠き41aに入り込んでいる。そして、孔45aにピン44が差し込まれることにより、ストッパ45がピン44に引っ掛かって、蓋部41を開くことができない。すなわち、蓋部41がロック機構43によって閉じ位置に固定される。
【0066】
そして、ピン44が孔45aから外れるように、ストッパ45がボルト46側を支点にして曲げられることにより、ロック機構43による蓋部41の閉じ位置への固定が解除される。これにより、蓋部41を前後のヒンジ42を支点にして下側に揺動させて、蓋部41を開くことができる。
【0067】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、第二プーリ27は、エンジンEに対して左側に配置されている。しかし、第二プーリ27は、エンジンEに対して右側に配置されていてもよい。
【0068】
(2)上記実施形態では、第二プーリ27は、エンジンEに対して機体横内側に配置されている。しかし、第二プーリ27は、エンジンEに対して機体横外側に配置されていてもよい。
【0069】
(3)上記実施形態では、第二プーリ27は、側面視で、エンジンルーム18と重複している。しかし、第二プーリ27は、側面視で、エンジンルーム18と重複していなくてもよい。
【0070】
(4)上記実施形態では、第二プーリ27は、エンジンEに対して前側に位置ずれしてる。すなわち、第二プーリ27は、エンジンEに対して機体前後方向の一方側に位置ずれしてる。しかし、第二プーリ27は、エンジンEに対して後側に位置ずれしていてもよい。すなわち、第二プーリ27は、エンジンEに対して機体前後方向の他方側に位置ずれしていてもよい。あるいは、第二プーリ27は、エンジンEに対して機体前後方向に位置ずれしていなくてもよい。すなわち、第二プーリ27は、側面視でエンジンEと重複していてもよい。
【0071】
(5)上記実施形態では、本発明に係る「第二ファン」は、第二プーリ27によって構成されている。しかし、本発明に係る「第二ファン」は、第二プーリ27によって構成されていなくてもよい。すなわち、本発明に係る「第二ファン」は、第二プーリ27とは別に構成されていてもよい。例えば、第二プーリ27とは別の、本発明に係る「第二ファン」が、伝動軸24に設けられていてもよい。また、本発明に係る「第二ファン」を第二プーリ27とは別に構成する場合、本発明に係る「第二ファン」は、専用のアクチュエータ(例えば、油圧モータ、電動モータ等)によって回転駆動されるように構成されていてもよい。
【0072】
(6)上記実施形態では、伝動軸24は、脱穀装置4の前下方に設けられている。しかし、伝動軸24は、脱穀装置4の前下方とは別の箇所に設けられていてもよい。
【0073】
(7)上記実施形態では、第二プーリ27の外径は、第一プーリ26の外径よりも大きい。しかし、第二プーリ27の外径は、第一プーリ26の外径よりも小さくてもよい。あるいは、第二プーリ27の外径は、第一プーリ26の外径と同じであってもよい。
【0074】
(8)上記実施形態では、連結部36に、三つの開口36bが形成されている。しかし、連結部36に、一つ、二つ又は四つ以上の開口36bが形成されていてもよい。
【0075】
(9)上記実施形態では、第二プーリ27は、三つの立ち上がり部37を備えている。しかし、第二プーリ27は、一つ、二つ又は四つ以上の立ち上がり部37を備えていてもよい。
【0076】
(10)上記実施形態では、第二プーリ27は、エンジンルーム18内の空気をエンジンルーム18の外部に排出するファン(排気ファン)である。しかし、第二プーリ27は、エンジンルーム18を換気可能であれば、外気をエンジンルーム18内に向けて送風するファン(送風ファン)であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、全稈投入型コンバインの他、自脱型コンバインやトウモロコシ収穫機、野菜収穫機にも利用可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 機体
4 脱穀装置
15 ラジエータ
16 第一ファン
18 エンジンルーム
20 フライホイール(出力部)
24 伝動軸
25 ベルト伝動機構
26 第一プーリ
27 第二プーリ(第二ファン、第二プーリ)
28 ベルト
34 ボス部
35 外輪部
36 連結部
36b 開口
37 立ち上がり部
E エンジン
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8